JP7124864B2 - 長尺の延伸フィルム及び長尺の偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

長尺の延伸フィルム及び長尺の偏光フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、長尺の延伸フィルム及び長尺の偏光フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置には、性能向上のために位相差フィルム等の光学部材が使用されている。位相差フィルムは、例えばモバイル機器や有機ELテレビなどの反射防止、並びに液晶表示装置の光学補償に用いられる場合には、その遅相軸が、偏光子の透過軸に対し、平行でも垂直でもない角度(斜め方向)にあることが求められる。
長尺の位相差フィルムは、遅相軸が斜め方向にあれば、透過軸が流れ方向と垂直又は平行である長尺の偏光子をロール・トゥ・ロールの方法により積層して、長尺の偏光フィルムを製造することができる。そこで、長尺の延伸前フィルムを斜め方向に延伸する工程を含む方法により、遅相軸が斜め方向にある長尺の位相差フィルムを製造する方法が提案されている(特許文献1~3)。
特開2012-101466号公報 国際公開第2015/072518号(対応公報:米国特許出願公開第2016/318233号明細書) 特許第5257505号公報
延伸フィルムに位相差を十分に発現させるために、延伸前フィルムの延伸倍率を大きくすると、得られる延伸フィルムの厚み方向における結合力が小さくなる場合がある。その結果、延伸フィルムを偏光子などの素子に貼り合わせ、それに剥離力を加えると、延伸フィルムが素子から剥離する場合があった。
したがって、位相差が十分に発現されていながら、剥離強度に優れた長尺の延伸フィルムを製造する方法;位相差が十分に発現されていながら剥離強度に優れた長尺の延伸フィルムを含む、長尺の偏光フィルムを製造する方法;が求められている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、延伸前フィルムを、所定の方向に段階的に延伸する製造方法により、位相差が十分に発現されていながら、剥離強度に優れた長尺の延伸フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、下記を提供する。
[1] 長尺の延伸フィルムの製造方法であって、
長尺の延伸前フィルムを、幅方向に対して15°以上50°以下の方向に延伸して、長尺の第1延伸フィルムを得る第1工程と、
前記長尺の第1延伸フィルムを、幅方向に延伸して、長尺の第2延伸フィルムを得る第2工程とをこの順で含み、
前記長尺の第2延伸フィルムが、幅方向に対して10°以上30°以下の角度をなす遅相軸を有する、
長尺の延伸フィルムの製造方法。
[2] 前記長尺の第2延伸フィルムの平均NZ係数が、1.2以上1.5以下であり、
前記第1工程における延伸倍率をA1とし、前記第2工程における延伸倍率をA2とすると、A1が1.2倍以上1.6倍以下であり、(A1×A2)が1.2倍より大きく2.0倍以下である、[1]に記載の長尺の延伸フィルムの製造方法。
[3] 前記長尺の第2延伸フィルムの平均面内レターデーションRe2が、200nm以上300nm以下である、[1]又は[2]に記載の長尺の延伸フィルムの製造方法。
[4] 前記延伸フィルムが、脂環式構造を含有する重合体を含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の長尺の延伸フィルムの製造方法。
[5] 長尺の偏光フィルムの製造方法であって、
[1]~[4]のいずれか1項に記載の長尺の延伸フィルムの製造方法により得られる長尺の延伸フィルムに、長尺の偏光子を積層する第3工程を含む、
長尺の偏光フィルムの製造方法。
本発明によれば、位相差が十分に発現されていながら、剥離強度に優れた長尺の延伸フィルムを製造する方法;位相差が十分に発現されていながら、剥離強度に優れた長尺の延伸フィルムを含む、長尺の偏光フィルムを製造する方法;が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法を実施するためのテンター装置を模式的に示す平面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る製造方法を実施するための横延伸装置を模式的に示す平面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、少なくとも5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。幅に対する長さの割合の上限は、特に限定されないが、例えば100,000倍以下とし得る。
以下の説明において、フィルムの面内レターデーションReは、別に断らない限り、(nx-ny)×dで表される値である。また、フィルムの厚み方向レターデーションRthは、別に断らない限り、{(nx+ny)/2-nz}×dで表される値である。更に、NZ係数は、別に断らない限り、(nx-nz)/(nx-ny)で表される値である。ここで、nxは、フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、フィルムの前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。nzはフィルムの厚み方向の屈折率を表す。dは、フィルムの厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、590nmとする。
NZ係数は、下記の式に従い、フィルムの面内レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthから求めることができる。
NZ係数=(Rth/Re)+0.5
以下の説明において、要素の方向が「平行」、「垂直」及び「直交」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±5°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、長尺のフィルムの長手方向は、通常は製造ラインにおけるフィルムの流れ方向と平行である。斜め方向とは、フィルムの面内方向であって、幅方向でも、長手方向でもない方向である。
[1.長尺の延伸フィルムの製造方法]
本発明の一実施形態に係る長尺の延伸フィルムの製造方法は、長尺の延伸前フィルムを、幅方向に対して15°以上50°以下の方向に延伸して、長尺の第1延伸フィルムを得る第1工程と、前記長尺の第1延伸フィルムを、幅方向に延伸して、長尺の第2延伸フィルムを得る第2工程とをこの順で含む。
(延伸前フィルム)
通常、延伸前フィルムとしては、樹脂フィルムを用いる。樹脂フィルムの材料としては、通常熱可塑性樹脂を用いる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ノルボルネン系樹脂等の脂環式構造を有する重合体樹脂;トリアセチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂;ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリケトンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、(メタ)アクリル酸エステル-ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、イソブテン/N-メチルマレイミド共重合体樹脂、スチレン/アクリルニトリル共重合体樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂は、通常重合体及び更に任意の成分を含みうる。重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
延伸前フィルムを形成する樹脂としては、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂が好ましい。以下、脂環式構造を含有する重合体を、適宜「脂環式構造含有重合体」ということがある。
脂環式構造含有重合体は、繰り返し単位中に脂環式構造を含有する重合体である。脂環式構造含有重合体の例としては、環状オレフィンを単量体として用いた重合反応によって得られうる重合体;及びその水素化物が挙げられる。また、前記の脂環式構造含有重合体としては、主鎖中に脂環式構造を含有する重合体、及び、側鎖に脂環式構造を含有する重合体のいずれも用いることができる。中でも、脂環式構造含有重合体は、主鎖に脂環式構造を含有することが好ましい。脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
1つの脂環式構造に含まれる炭素原子の数は、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上、より好ましくは6個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。1つの脂環式構造に含まれる炭素原子の数が上記範囲内にあることで、機械的強度、耐熱性、及び成形性が高度にバランスされる。
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上であり、100重量%以下であってもよい。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合を前記のように多くすることにより、耐熱性を高めることができる。
また、脂環式構造含有重合体において、脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択しうる。
脂環式構造含有重合体は、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物などが挙げられる。これらの中でも、透明性及び成形性の観点から、ノルボルネン系重合体及びこの水素化物がより好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素化物;ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が特に好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体は、例えば特開2002-321302号公報に開示されている重合体から選ばれる。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂としては、様々な商品が市販されているので、それらのうち、所望の特性を有するものを適宜選択し、使用しうる。かかる市販品の例としては、商品名「ZEONOR」(日本ゼオン株式会社製)、「アートン」(JSR株式会社製)、「アペル」(三井化学株式会社製)、「TOPAS」(ポリプラスチックス社製)の製品群が挙げられる。
延伸前フィルムを、脂環式構造含有重合体を含む樹脂により形成することで、脂環式構造含有重合体を含む延伸フィルムを得ることができる。
延伸前フィルムを形成する樹脂のガラス転移温度Tgは、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは190℃以下、より好ましくは180℃以下、特に好ましくは170℃以下である。ガラス転移温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、高温環境下における延伸フィルムの耐久性を高めることができる。また、上限値以下にすることにより、延伸処理を容易に行える。
延伸前フィルムの厚みは、延伸倍率、所望とする延伸フィルムの厚みなどに応じて決定され得、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下である。
本実施形態では、延伸前フィルムとして、延伸処理されていない未延伸フィルムを用いる。しかし、延伸前フィルムとして、延伸処理されているフィルムを用いてもよい。
未延伸フィルムは、キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法などの方法によって得ることができる。これらのうち押出成形法は、残留揮発性成分量が少なく、寸法安定性にも優れるので好ましい。
(第1工程)
本実施形態の長尺の延伸フィルムの製造方法では、長尺の延伸前フィルムを、幅方向に対して15°以上50°以下の方向に延伸して、長尺の第1延伸フィルムを得る第1工程を行う。
第1工程では、通常延伸前フィルムを長手方向に連続的に搬送しながら、テンター装置を用いて延伸を行なう。
テンター装置としては、例えば、一対のガイドレールと前記一対のガイドレールに沿って走行する複数の把持子とを備え、前記一対のガイドレールが、前記複数の把持子により搬送される延伸前フィルムの進行方向を曲げるように形成され、一対のガイドレールの間隔が下流ほど広くなる延伸ゾーンが設けられている装置を用い得る。
図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法を実施するためのテンター装置100を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、テンター装置100は、繰出しロール10から繰り出される延伸前フィルム20を、図示しないオーブンによる加熱環境下で、幅方向に対して15°以上50°以下の方向に延伸するための装置である。
テンター装置100は、複数個の把持子110R及び110Lと、一対のガイドレール120R及び120Lとを備える。前記の把持子110R及び110Lは、延伸前フィルム20の幅方向の端部21及び22をそれぞれ把持しうるように設けられている。また、ガイドレール120R及び120Lは、前記の把持子110R及び110Lを案内するためにフィルム搬送路の両側に設けられている。
把持子110R及び110Lは、ガイドレール120R及び120Lに沿って走行しうるように設けられている。また、把持子110R及び110Lはそれぞれ、前後の把持子110R及び110Lと一定間隔を保って、一定速度で走行しうるように設けられている。さらに、把持子110R及び110Lはそれぞれ、テンター装置100に順次供給される延伸前フィルム20の幅方向の端部21及び22を、テンター装置100の入口部130において把持し、テンター装置100の出口部140で開放しうる構成を有している。
ガイドレール120R及び120Lは、製造すべき第1延伸フィルム30の延伸の方向及び延伸倍率等の条件に応じた、非対称な形状を有している。本実施形態に係るテンター装置100には、ガイドレール120R及び120Lの間隔が下流ほど広くなる延伸ゾーン150が設けられている。この延伸ゾーン150では、一方の把持子110Rの移動距離が他方の把持子110Lの移動距離よりも長くなるように、ガイドレール120R及び120Lの形状が設定されている。このため、テンター装置100におけるガイドレール120R及び120Lの形状は、そのガイドレール120R及び120Lによって案内される把持子110R及び110Lが、左方向へ延伸前フィルム20の進行方向を曲げるように、延伸前フィルム20を搬送しうる形状に設定されている。ここで、本実施形態において長尺のフィルムの進行方向とは、別に断らない限り、そのフィルムの幅方向の中点の移動方向のことをいう。また、本実施形態において「右」及び「左」とは、別に断らない限り、水平に搬送されるフィルムを搬送方向の上流から下流を観察した場合における向きを示す。
また、ガイドレール120R及び120Lは、把持子110R及び110Lが所定の軌道を周回しうるように、無端状の連続軌道を有している。このため、テンター装置100は、テンター装置100の出口部140で延伸前フィルム20を開放した把持子110R及び110Lを、順次、入口部130に戻しうる構成を有している。
前記のテンター装置100を用いた延伸前フィルム20の延伸は、以下のようにして行なわれる。
繰出しロール10から延伸前フィルム20を繰り出し、その延伸前フィルム20をテンター装置100に連続的に供給する。
テンター装置100は、その入口部130において延伸前フィルム20の両端部21及び22を把持子110R及び110Lによって順次把持する。両端部21及び22を把持された延伸前フィルム20は、把持子110R及び110Lの走行に伴って搬送される。前記のように、本実施形態では、延伸前フィルム20の進行方向を左方向へ曲げるようにガイドレール120R及び120Lの形状を設定している。そのため、一方の把持子110Rが延伸前フィルム20を把持しながら走行する軌道の距離は、他方の把持子110Lが延伸前フィルム20を把持しながら走行する軌道の距離よりも長くなる。よって、テンター装置100の入口部130において延伸前フィルム20の進行方向に対して垂直な方向に相対していた一組の把持子110R及び110Lは、テンター装置100の出口部140において左側の把持子110Lが右側の把持子110Rよりも先行するので、延伸前フィルム20の斜め方向への延伸が行なわれて、長尺の第1延伸フィルム30が得られる。得られた第1延伸フィルム30は、テンター装置100の出口部140において把持子110R及び110Lから開放され、巻き取られてロール40として回収される。
第1工程における延伸方向は、幅方向に対して15°以上50°以下である。
第1工程における延伸方向は、幅方向に対して、好ましくは、20°以上、より好ましくは25°以上であり、好ましくは48°以下、より好ましくは45°以下である。第1工程における延伸方向を前記範囲とすることにより、幅方向に対して斜め方向に遅相軸を有する延伸フィルムを得ることができる。
第1工程における延伸倍率A1は、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.25倍以上、更に好ましくは1.3倍以上であり、好ましくは1.6倍以下、より好ましくは1.5倍以下、更に好ましくは1.4倍以下である。第1工程における延伸倍率A1を前記範囲の下限値以上にすることにより、延伸フィルムの面内レターデーションを大きくできる。また、上限値以下にすることにより、延伸フィルムの剥離強度を大きくすることができる。
第1工程における延伸方向及び延伸倍率は、上述した第1工程における延伸条件によって調整できる。例えば、繰出しロール10からの延伸前フィルム20の繰出し方向D20と、第1延伸フィルム30の巻取り方向D30とがなす繰出し角度φを調整することにより、第1延伸フィルム30の延伸方向を調整できる。ここで、延伸前フィルム20の繰出し方向D20とは、繰出しロール10から繰り出される延伸前フィルム20の進行方向を示す。また、第1延伸フィルム30の巻取り方向D30とは、ロール40として巻き取られる第1延伸フィルム30の進行方向を示す。
また、ガイドレール120Rとガイドレール120Lとの幅を調整することにより、第1工程における第1延伸フィルム30の延伸倍率を調整できる。
第1工程における延伸温度T1は、好ましくは(Tg)℃以上、より好ましくは(Tg+2)℃以上、特に好ましくは(Tg+5)℃以上であり、好ましくは(Tg+40)℃以下、より好ましくは(Tg+35)℃以下、特に好ましくは(Tg+30)℃以下である。ここで、Tgとは、延伸前フィルムを形成する樹脂のガラス転移温度を言う。また、本実施形態において第1工程における延伸温度T1とは、テンター装置100の延伸ゾーン150における温度をいう。第1工程における延伸温度T1を前記の範囲にすることにより、延伸前フィルム20に含まれる分子を確実に配向させることができるので、所望の光学特性を有する第1延伸フィルム30を容易に得ることができる。
第1延伸フィルム30の平均面内レターデーションRe1は、好ましくは180nm以上、より好ましくは200nm以上であり、好ましくは260nm以下、より好ましくは240nm以下である。第1延伸フィルム30の平均面内レターデーションRe1を前記範囲にすることにより、所望の平均面内レターデーションRe2を有する第2延伸フィルムを容易に得ることができる。
フィルムの平均面内レターデーションは、フィルムの幅方向に並んだ50mm間隔の複数の地点で面内レターデーションを測定し、これらの地点での面内レターデーションの平均値を計算することにより求めうる。
第1延伸フィルム30の遅相軸の方向は、第2延伸フィルムの遅相軸の方向に応じて設定することが好ましい。通常は、第2工程により得られる第2延伸フィルムの遅相軸がその幅方向に対してなす角度(配向角)は、第1延伸フィルムの遅相軸がその幅方向に対してなす角度よりも小さくなる。そのため、第1延伸フィルム30の遅相軸がその幅方向に対してなす角度を、第2延伸フィルムの遅相軸がその幅方向に対してなす角度よりも大きくすることが好ましい。例えば、第1延伸フィルム30は、その幅方向に対して、平均で、好ましくは20°以上、より好ましくは25°以上、且つ、好ましくは60°以下、より好ましくは55°以下の範囲に遅相軸を有する。これにより、配向角が10°以上30°以下の第2延伸フィルムを容易に得ることができる。第1延伸フィルム30の遅相軸の方向は、第1工程の延伸方向を調整することにより調整できる。
フィルムの平均の配向角は、フィルムの幅方向に並んだ50mm間隔の複数の地点で配向角を測定し、これらの地点での配向角の平均値を計算することにより求めうる。
(第2工程)
本実施形態の長尺の延伸フィルムの製造方法では、前記第1工程の後に、第1延伸フィルムを幅方向に延伸して、長尺の第2延伸フィルムを得る第2工程を行う。
ここで、「幅方向に延伸する」とは、幅方向と、延伸方向とのなす角度が、0°±5°の範囲内となるように延伸することを意味する。
第2工程における幅方向の延伸は、通常第1延伸フィルムを長手方向に連続的に搬送しながら、横延伸装置を用いて行われる。
図2は、本発明の一実施形態に係る製造方法を実施するための横延伸装置を模式的に示す平面図である。
図2に示すように、横延伸装置400は、ロール40から繰り出される第1延伸フィルム30を、図示しないオーブンによる加熱環境下で、流れ方向と直交する幅方向へ延伸する装置である。
横延伸装置400は、複数個の把持子410R及び410Lと、一対のガイドレール420Rと420Lとを備える。前記の把持子410R及び410Lは、第1延伸フィルム30の幅方向の端部31及び32をそれぞれ把持しうるように設けられている。また、ガイドレール420R及び420Lは、前記の把持子410R及び410Lを案内するためにフィルム搬送路の両側に設けられている。
把持子410R及び410Lは、ガイドレール420R及び420Lに沿って走行しうるように設けられている。また、把持子410R及び410Lはそれぞれ、前後の把持子410R及び410Lと一定間隔を保って、一定速度で走行しうるように設けられている。さらに、把持子410R及び410Lはそれぞれ、横延伸装置400に順次供給される第1延伸フィルム30の幅方向の端部31及び32を、横延伸装置400の入口部430において把持し、横延伸装置400の出口部440で開放しうる構成を有している。
ガイドレール420R及び420Lには、下流になるほどガイドレール420Rとガイドレール420Lとの間隔が大きくなる延伸ゾーン450を備えている。延伸ゾーン450におけるガイドレール420Rとガイドレール420Lの形状は、搬送される第1延伸フィルム30の幅方向の中点を通る線LN40に対して対称となっており、また延伸ゾーン450におけるガイドレール420Rとガイドレール420Lとの間隔は、第2工程における延伸倍率に応じて、調整できるようになっている。
また、ガイドレール420R及び420Lは、把持子410R及び410Lが所定の軌道を周回しうるように、無端状の連続軌道を有している。このため、横延伸装置400は、横延伸装置400の出口部440で第1延伸フィルム30を開放した把持子410R及び410Lを、順次、入口部430に戻しうる構成を有している。
前記の横延伸装置400を用いた第1延伸フィルム30の延伸は、以下のようにして行われる。
ロール40から第1延伸フィルム30を繰り出し、第1延伸フィルム30を横延伸装置400に連続的に供給する。
横延伸装置400は、その入口部430において第1延伸フィルム30の幅方向の端部31及び32を、把持子410R及び410Lによって順次把持する。端部31及び32を把持された第1延伸フィルム30は、把持子410R及び410Lの走行に伴って搬送される。
前記のとおり、把持子410R及び410Lが走行するガイドレール420R及び420Lは、延伸ゾーン450において、搬送される第1延伸フィルム30の幅方向の中点を通る線LN40に対して対称であって、下流になるほど間隔が大きくなるように配置されているので、把持子410R及び410Lによって把持された第1延伸フィルム30は、延伸ゾーン450において第1延伸フィルム30の幅方向に延伸されて、長尺の第2延伸フィルム50が得られる。得られた第2延伸フィルム50は、横延伸装置400の出口部440において把持子410R及び410Lから開放され、巻き取られてロール60として回収される。
第2工程における延伸倍率A2は、第1工程における延伸倍率A1との積(A1×A2)が所定の値となるように設定されることが好ましい。
(A1×A2)は、好ましくは1.2倍より大きく、より好ましくは1.25倍以上であり、好ましくは2.0倍以下、より好ましくは1.85倍以下、更に好ましくは1.65倍以下である。
(A1×A2)を、前記下限値の範囲とすることにより、第2延伸フィルム50に十分な面内レターデーションを発現させることができる。また、前記上限値以下とすることにより、延伸フィルムの剥離強度を大きくすることができる。
第2工程における延伸温度T2は、第1工程における延伸温度T1と同様としてもよい。具体的には、好ましくは(Tg)℃以上、より好ましくは(Tg+2)℃以上、特に好ましくは(Tg+5)℃以上であり、好ましくは(Tg+40)℃以下、より好ましくは(Tg+35)℃以下、特に好ましくは(Tg+30)℃以下である。ここで、Tgとは、延伸前フィルムを形成する樹脂のガラス転移温度を言う。また、本実施形態において第2工程における延伸温度T2とは、横延伸装置400の延伸ゾーン450における温度をいう。
延伸温度T2は、延伸温度T1とは異なる温度としてもよい。延伸温度T2を、延伸温度T1と異なる温度とする場合は、延伸温度T2を延伸温度T1よりも低くすることが好ましい。延伸温度T2は、好ましくは(T1-15)℃以上、より好ましくは(T1-10)℃以上であり、好ましくは(T1-2)℃以下、より好ましくは(T1-5)℃以下である。
第2延伸フィルム50は、平均面内レターデーションRe2が、好ましくは200nm以上、より好ましくは210nm以上、更に好ましくは220nm以上であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは290nm以下、更に好ましくは280nm以下である。
第2延伸フィルム50の平均面内レターデーションRe2は、第1工程の延伸倍率A1と第2工程の延伸倍率A2との積(A1×A2)を調整することにより調整できる。例えば、(A1×A2)を大きくすることにより、平均面内レターデーションRe2を大きくすることができる。
第2延伸フィルム50は、第1工程において、斜め方向に延伸されているので、斜め方向の遅相軸を有する。具体的には、第2延伸フィルム50は、幅方向に対して、10°以上30°以下の角度をなす遅相軸を有する。
第2延伸フィルム50は、平均NZ係数が、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.21以上、更に好ましくは1.22以上であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.48以下、更に好ましくは1.46以下である。
平均NZ係数は、第1工程の延伸倍率A1及び第2工程の延伸倍率A2を調整することにより調整できる。例えば、延伸倍率A2を大きくすることにより、平均NZ係数を小さくすることができる。
フィルムの平均NZ係数は、フィルムの幅方向に並んだ50mm間隔の複数の地点でNZ係数を測定し、これらの地点でのNZ係数の平均値を計算することにより求めうる。
斜め方向への延伸を含む延伸フィルムの製造方法では、所望のレターデーションが得られにくい場合がある。この場合、所望のレターデーションを得るために延伸倍率を高めると、延伸フィルムが凝集破壊を起こす傾向が高まり、延伸フィルムと他のフィルムの貼合物との剥離強度が不十分となり得る。一方、本実施形態のとおり、延伸前フィルムを、第1工程及び第2工程により所定の方向に2段階で延伸することにより、平均面内レターデーションが大きく、かつ剥離強度の大きい長尺の延伸フィルムを得ることができる。本実施形態の製造方法により、平均面内レターデーションが大きく、かつ剥離強度の大きい延伸フィルムが得られる理由は、本実施形態における製造方法では、フィルムに含まれる重合体の面内における配向の程度と、厚み方向における重合体の結合力がバランスするためと考えられるが、本発明を限定するものではない。
(変形例)
本発明は前記の実施形態に限定されず、更に変更して実施してもよい。
例えば、上述した製造方法は、第1工程及び第2工程以外に、更に任意の工程を有していてもよい。そのような工程としては、例えば、延伸フィルムの表面に保護層を設ける工程、延伸フィルムに、コロナ処理等の表面処理をする工程が挙げられる。
また、例えば、延伸前フィルムとして、未延伸フィルムを任意の方向に延伸したフィルムを用いてもよい。このように、第1工程に供する前に延伸前フィルムを延伸する方法としては、例えば、ロール方式、フロート方式の縦延伸法、テンター装置を用いた横延伸法などを用いうる。
また、上述した実施形態では、第1延伸フィルム30を巻き取ってロール40にし、そのロール40から第1延伸フィルム30を繰り出して第2工程に供給したが、第1工程で得た第1延伸フィルム30を巻き取らずに第2工程に供給してもよい。
[2.偏光フィルムの製造方法]
本発明の製造方法により得られる長尺の延伸フィルムを用いて、長尺の偏光フィルムを製造できる。
本発明の一実施形態に係る偏光フィルムの製造方法は、前記一実施形態に係る長尺の延伸フィルムの製造方法により得られる長尺の延伸フィルムに、長尺の偏光子を積層する第3工程を含む。
本発明の一実施形態に係る長尺の延伸フィルムの製造方法については、前記項目[1.長尺の延伸フィルムの製造方法]で説明した方法と同様である。
本実施形態の長尺の偏光フィルムの製造方法によれば、偏光フィルムが備える延伸フィルムの剥離強度が大きいので、機械的強度に優れた偏光フィルムを得ることができる。
(偏光子)
本実施形態で用いられる偏光子としては、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等の適切なビニルアルコール系重合体のフィルムに、ヨウ素及び二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適切な処理を適切な順序及び方式で施したものが挙げられる。このような偏光子は、自然光を入射させると直線偏光を透過させうるものであり、特に、光透過率及び偏光度に優れるものが好ましい。偏光子には任意の部材(例えば、保護フィルム)が積層されていてもよい。
(第3工程)
第3工程では、長尺の延伸フィルムに、長尺の偏光子を積層する工程を行う。
積層は、例えば、長尺の偏光子と長尺の延伸フィルムとを、その長手方向を平行にしてロール・トゥ・ロールにて貼り合わせて行いうる。貼り合わせの際には、必要に応じて、接着剤を用いてもよい。このように長尺のフィルムを用いて製造することにより、長尺の偏光フィルムを効率的に製造できる。
また、第3工程では、長尺の延伸フィルムに、長尺の偏光子に保護フィルムなどの任意の部材が積層されているフィルムを積層してもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施し得る。
以下の操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中にて行った。
[評価方法]
(フィルムの平均面内レターデーションRe)
評価対象のフィルムについて、波長590nmで位相差測定装置(Axometric社製 製品名「Axoscan」)を用いて、フィルムの幅方向に並ぶ50mm間隔の複数の地点で面内レターデーションを測定した。これらの地点での面内レターデーションの平均値を計算し、この平均値を当該フィルムの平均面内レターデーションReとした。
(フィルムの平均NZ係数)
評価対象のフィルムについて、波長590nmで位相差測定装置(Axometric社製 製品名「Axoscan」)を用いて、フィルムの幅方向に並ぶ50mm間隔の複数の地点でNZ係数を測定した。これらの地点でのNZ係数の平均値を計算し、この平均値を当該フィルムの平均NZ係数とした。
NZ係数は、面内レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthを測定し、下記の式に従って求めた値である。
NZ係数=(Rth/Re)+0.5
(フィルムの平均配向角)
位相差測定装置(Axometric社製 製品名「Axoscan」)を用いて、フィルムの幅方向に並ぶ50mm間隔の複数の地点で遅相軸とフィルムの幅方向との成す配向角を測定した。これらの地点での配向角の平均値を計算し、この平均値を当該フィルムの平均配向角とした。
(フィルムの剥離強度)
脂環式構造を含有する重合体(シクロオレフィン系重合体)を含む樹脂からなる未延伸フィルム(ガラス転移温度160℃、厚み100μm、日本ゼオン社製)を用意した。評価対象の延伸フィルム及び前記未延伸フィルムの片面に、コロナ処理を施した。延伸フィルムのコロナ処理を施した面と、未延伸フィルムのコロナ処理した面とに接着剤を付着させ、接着剤を付着させた面同士を貼り合わせた。この際、接着剤としてはUV接着剤を用いた。これにより、延伸フィルム及び未延伸フィルムを備えるサンプルフィルムを得た。
その後、前記サンプルフィルムを15mmの幅に裁断して、延伸フィルム側をスライドガラスの表面に粘着剤にて貼り合わせた。この際、粘着剤としては、両面粘着テープ(日東電工社製、品番「CS9621」)を用いた。
フォースゲージの先端に前記未延伸フィルムを挟み、スライドガラスの表面の法線方向に引っ張ることにより、90度剥離試験を実施した。この際、未延伸フィルムが剥れる際に測定された力は、延伸フィルムと未延伸フィルムとを剥離させるために要する力であるので、この力の大きさを評価対象である延伸フィルムの剥離強度とした。
[実施例1]
(長尺の延伸前フィルムの製造)
脂環式構造を含有する重合体(シクロオレフィン重合体の水素化物)を含む樹脂A(ガラス転移温度126℃のノルボルネン系重合体の樹脂、日本ゼオン社製)のペレットを100℃で5時間乾燥した。このペレットを押出機に供給し、押出機内で溶融させ、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを経てTダイからキャスティングドラム上にシート状に押し出した。押し出された樹脂はキャスティングドラム上で冷却されて硬化し、厚み70μmの長尺の延伸前フィルム20が得られた。この延伸前フィルムを巻き取り、繰出しロール10を得た。
(第1工程)
図1に示すように、繰出しロール10から長尺の延伸前フィルム20を繰り出し、上述した実施形態で説明した構造を有するテンター装置100に供給し、表1に示す条件で斜め方向に延伸して、第1延伸フィルム30を得た。得られた第1延伸フィルム30は巻き取ってロール40として回収した。この際、繰出しロール10からの延伸前フィルム20の繰出し方向D20と、第1延伸フィルム30の巻取り方向D30とがなす繰出し角度φは、45°に設定した。得られた第1延伸フィルム30の一部を用いて、その平均面内レターデーションRe1及び平均配向角θ1を測定した。
(第2工程)
第1工程で得られた第1延伸フィルムを、表1に示す条件で横延伸装置に供給し一軸延伸して、第2延伸フィルムである延伸フィルムを得た。この延伸フィルムを用いて、平均面内レターデーションRe2、平均配向角θ2、平均NZ係数、剥離強度を評価した。
[実施例2~4]
第1工程の延伸方向、並びに第2工程の延伸倍率及び延伸温度を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、長尺の第1延伸フィルム及び延伸フィルムの製造及び評価を行なった。結果を表1に示す。
[実施例5]
樹脂Aのペレットの代わりに、脂環式構造を含有する重合体(シクロオレフィン重合体の水素化物)を含む樹脂B(ガラス転移温度135℃のノルボルネン系重合体の樹脂、日本ゼオン社製)のペレットを用いて延伸前フィルムの繰出しロールを製造し、第1工程の延伸温度、及び第2工程の延伸温度を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、長尺の第1延伸フィルム及び延伸フィルムの製造及び評価を行なった。結果を表1に示す。
[比較例1及び2]
第1工程の延伸方向、延伸倍率、及び延伸温度を表2に示すように変更し、第2工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、長尺の延伸フィルムの製造及び評価を行なった。結果を表2に示す。表2には、A1×A2の値としてA1の値を記載した。剥離強度は、第1工程で得られた長尺の延伸フィルム(第1延伸フィルム)について測定された値を示す。
[比較例3及び4]
第1工程の延伸方向及び延伸倍率、並びに第2工程の延伸倍率を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、長尺の第1延伸フィルム及び延伸フィルムの製造及び評価を行なった。結果を表2に示す。
[表の説明]
下記表1及び表2において、延伸角度、並びに平均配向角θ1及びθ2は、フィルムの幅方向に対する値を示す。
Figure 0007124864000001
Figure 0007124864000002
以上の結果によれば、実施例1~5により得られた延伸フィルム(第2延伸フィルム)は、十分な面内レターデーションが発現しており、かつ剥離強度が大きいことが分かる。
一方、第2工程を行わなかった比較例1~2により得られた延伸フィルム(第1延伸フィルム)は、面内レターデーション及び剥離強度のいずれかが劣り、十分な面内レターデーションと優れた剥離強度とを両立できないことが分かる。
また、第1工程における延伸角度が幅方向に対して50°より大きい比較例3~4により得られた延伸フィルム(第2延伸フィルム)も、面内レターデーション及び剥離強度のいずれかが劣り、十分な面内レターデーションと優れた剥離強度とを両立できないことが分かる。
10 繰出しロール
20 延伸前フィルム
21及び22 延伸前フィルムの幅方向の端部
30 第1延伸フィルム
31及び32 第1延伸フィルムの幅方向の端部
40 ロール
50 第2延伸フィルム
60 ロール
100 テンター装置
110R及び110L 把持子
120R及び120L ガイドレール
130 テンター装置の入口部
140 テンター装置の出口部
150 テンター装置の延伸ゾーン
400 横延伸装置
410R及び410L 把持子
420R及び420L ガイドレール
430 横延伸装置の入口部
440 横延伸装置の出口部
450 横延伸装置の延伸ゾーン

Claims (4)

  1. 長尺の延伸フィルムの製造方法であって、
    長尺の延伸前フィルムを、幅方向に対して15°以上50°以下の方向に延伸して、長尺の第1延伸フィルムを得る第1工程と、
    前記長尺の第1延伸フィルムを、幅方向に延伸して、長尺の第2延伸フィルムを得る第2工程とをこの順で含み、
    前記第1工程における延伸倍率をA1とし、前記第2工程における延伸倍率をA2とすると、A1が1.2倍以上1.6倍以下であり、(A1×A2)が1.2倍より大きく2.0倍以下であり、
    前記長尺の第2延伸フィルムが、幅方向に対して10°以上30°以下の角度をなす遅相軸を有し、
    前記長尺の第2延伸フィルムの平均NZ係数が、1.2以上1.5以下であり、
    前記長尺の第2延伸フィルムの平均面内レターデーションRe2が、200nm以上300nm以下であり、
    前記延伸フィルムが、脂環式構造を含有する重合体を含む、
    長尺の延伸フィルムの製造方法。
  2. 前記第1延伸フィルムの平均面内レターデーションRe1が、180nm以上260nm以下である、請求項1に記載の長尺の延伸フィルムの製造方法。
  3. 前記脂環式構造を含有する重合体が、ノルボルネン系重合体又はその水素化物である、請求項1又は2に記載の長尺の延伸フィルムの製造方法。
  4. 長尺の偏光フィルムの製造方法であって、
    請求項1~のいずれか1項に記載の長尺の延伸フィルムの製造方法により得られる長尺の延伸フィルムに、長尺の偏光子を積層する第3工程を含む、
    長尺の偏光フィルムの製造方法。
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