JP7124450B2 - 高圧ガスタンク - Google Patents

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Description

本発明は、高圧ガスタンクに関するものである。
高圧ガスタンクは、樹脂製容器或いは薄肉の金属製容器を用いたライナーの軸方向の端部に口金を装着し、口金が装着されたライナーの外周を繊維強化樹脂(Fiber Reinforced Plastics)による補強層で被覆することにより、構成されている。繊維強化樹脂による補強層の形成には、フィラメント・ワインディング法(以下、「FW法」とも呼ぶ)が用いられる。FW法では、ライナーの外周にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸した繊維束を巻き付けて、未硬化状態の繊維強化樹脂層を積層形成し、熱硬化性樹脂を熱硬化させて、複数の繊維強化樹脂層が積層された補強層が形成される。各繊維強化樹脂層は、繊維束の巻き付けの条件(例えば、ライナーの軸に対する巻き付けの角度)に応じて形成される。
ライナーは、一般に、略円筒形状のシリンダー部の両端に、外部配管との接続部である口金部などが設けられた略凸曲面形状のドーム部を有する。特に、このドーム部上に位置する各繊維強化樹脂層の端部の繊維束が折り返される位置(以下では、「折り返し端部」とも呼ぶ)では、補強層の厚さ方向に凹凸(「屈曲」とも呼ぶ)が発生して、補強層の強度が低下する可能性がある。この問題は、例えば、特許文献1に記載されたライナーのように、補強層の各繊維強化樹脂層の端部に対応する位置に段差が形成されたライナーを用いることで、上記凹凸の発生を抑制することが知られている。
特開2017-106614号公報
しかしながら、ライナーに形成された段差(凹凸)の部分には、ライナーの膨張収縮等に起因した応力の集中が発生し、これにより発生するライナーの破損によって高圧ガスタンクに貯蔵されたガスの漏洩を招く可能性があった。このため、段差が形成されたライナーでは、補強層の凹凸の抑制することは可能であるが、高圧ガスタンクの強度の低下を抑制する点で不十分であった。
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
高圧ガスタンクであって、
中空容器をなすライナーの軸方向の端部に口金が装着されたタンク容器と、
前記タンク容器の外周に積層された複数の繊維強化樹脂層構成された補強層と、
前記タンク容器と前記補強層との間に配置されるスペーサであって前記複数の繊維強化樹脂層のうち前記スペーサと接する繊維強化樹脂層の端部の位置において前記複数の繊維強化樹脂層の積層方向についての厚さが極大となる部分を有する断面形状を有するスペーサと、
を備える、高圧ガスタンク。
(1)本発明の一形態によれば、高圧ガスタンクが提供される。この高圧ガスタンクは;中空容器をなすライナーの軸方向の端部に口金が装着されたタンク容器と;前記タンク容器の外周に積層された複数の繊維強化樹脂層で構成された補強層と;前記タンク容器と前記補強層との間に配置され、前記繊維強化樹脂層の端部において、前記繊維強化樹脂層の積層方向の厚さが極大となる断面形状を有するスペーサと;を備える。
この形態の高圧ガスタンクによれば、課題で説明した段差が形成されたライナーを用いることなく、スペーサによって、繊維強化樹脂層の端部において補強層の厚さ方向(繊維強化樹脂層の積層方向)に発生する補強層の凹凸(屈曲)を抑制することができ、補強層への応力集中の発生を抑制することができる。そして、補強層の破損を抑制することができ、また、課題で説明したライナーの破損によるガスの漏洩を抑制することができる。
(2)上記形態の高圧ガスタンクにおいて、前記スペーサは、前記スペーサが配置された前記タンク容器の前記ライナーあるいは前記口金よりもヤング率が小さいとしてもよい。
この形態の高圧ガスタンクによれば、スペーサのヤング率が、スペーサが配置されている位置が、ライナー上である場合にはライナーよりも小さく、口金上である場合には口金よりも小さいので、スペーサの段差に発生する応力集中に対してスペーサが弾性変形することによってスペーサの破損を抑制することができる。また、仮にスペーサに破損が発生したとしても、補強層の破損を抑制することができ、また、課題で説明したライナーの破損によるガスの漏洩を抑制することができる。
(3)上記形態の高圧ガスタンクにおいて、前記スペーサは、複数の前記繊維強化樹脂層の端部に対応する位置に配置される複数の部位であって、前記繊維強化樹脂層の積層方向の厚さが極大と断面形状を有する複数の部位が一体成形された構造を有するとしてもよい。
この形態の高圧ガスタンクによれば、複数の繊維強化樹脂層の端部において補強層の厚さ方向(繊維強化樹脂層の積層方向)に発生する凹凸(屈曲)を抑制するためには、それぞれの位置に複数のスペーサを配置することでも対応可能であるが、複数のスペーサの配置ずれが起きやすい。これに対して、一体成形されたスペーサを用いれば、配置ずれの問題を抑制することができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、高圧ガスタンクや高圧ガスタンクの製造方法等の形態で実現することができる。
本発明の高圧ガスタンクの一例を示す説明図である。 補強層を形成するためのFW法を説明するための模式図である。 補強層を形成するためのFW法を説明するための模式図である。 補強層を形成するためのFW法を説明するための模式図である。 高角度のヘリカル巻きによるドーム部における繊維巻き付けの様子を模式的に示す説明図である。 低角度のヘリカル巻きによるドーム部における繊維巻き付けの様子を模式的に示す説明図である。 ドーム部に配置されたスペーサを模式的に示す平面図である。 ドーム部に配置されたスペーサを模式的に示す断面図である。 比較例としてスペーサが配置されていない状態で形成された補強層を示す説明図である。 繊維強化樹脂層の端部を拡大して示す説明図である。 スペーサを用いた場合の補強層の製造工程を示す説明図である。 図9に示した補強層の各層を移動させた状態の一例を示す説明図である。 ドーム部をその頂上方向から見て折り返し位置で折り返してヘリカル巻きされた繊維束の厚さ算出の様子を示す説明図である。 ドーム部をその頂上方向から見て折り返し位置で折り返してヘリカル巻きされた繊維束の厚さ算出の様子を示す説明図である。 2分割された部分で構成されたスペーサを模式的に示す説明図である。
A.高圧ガスタンクの構成:
図1は、本発明の高圧ガスタンクの一例を示す説明図である。図1において、上半分は断面図であり、下半分は正面図である。また、図1において、高圧ガスタンク10の中心軸AXは二点鎖線で示されている。高圧ガスタンク10は、例えば、車載用の燃料電池システムに用いる燃料ガスとしての水素を貯蔵するために利用される。
高圧ガスタンク10は、ライナー110と、口金120,130と、補強層140と、を備える。ライナー110は、ポリアミド樹脂等の水素ガスに対するガスバリア性を有する樹脂製の中空容器である。ライナー110は、中心軸AXに沿った方向(以下、「長手方向」とも呼ぶ)の両端近傍が、曲面形状に形成されている。ライナー110は、複数の樹脂性のパーツ、本例では、長手方向の中央部の円筒形状の部分であるシリンダー部111、および、シリンダー部111の長手方向の両端に設けられ、等張力曲面によって形成されているドーム部112,113、の3つのパーツから構成されている。シリンダー部111とドーム部112,113とは、熱溶着によって接合されている。
ドーム部112,113には、中心軸AXを中心として、外部配管との接続部である口金120,130が装着されている。ライナー110に口金120,130が装着された構成を「タンク容器100」とも呼ぶ。
補強層140は、タンク容器100の外表面上に形成されている。補強層140とタンク容器100との間には、後述するように、スペーサ150,160が設けられている。補強層140は、以下で説明するFW法を用いて、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を予め含浸させた繊維あるいは繊維束、本例では繊維束をタンク容器100に複数の層状に巻き付けた後、熱硬化性樹脂を加熱により硬化させることによって形成される。
図2~図4は、補強層140を形成するためのFW法を説明するための模式図である。FW法を用いた高圧ガスタンクの製造工程では、タンク容器100の外周に、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を予め含浸させた繊維束(例えば、カーボン繊維束)20を巻き付けて、熱硬化生樹脂を熱硬化させることにより補強層を形成し、タンク容器100の強度を向上させる。ここで、繊維束20のタンク容器100への巻き付けは、ライナーの略円筒状のシリンダー部111においてはフープ巻きとされ、シリンダー部両端のドーム部112,113においては、その折り返し位置に応じた角度のヘリカル巻きとされている。補強層140は、繊維束20の巻き付け方を変えた複数の繊維巻層が積層されることで未硬化状態の繊維強化樹脂層が積層され、熱硬化性樹脂が熱硬化されて複数の繊維強化樹脂層が多層的に積層されて形成される。
図2に示すように、シリンダー部111においては、フープ巻きをシリンダー部両端で折り返しつつ繰り返すことで、補強用の繊維巻層を形成する。つまり、タンク容器100を中心軸AXの回りで回転させつつ、繊維束20のリール25を中心軸AXに沿って所定速度で往復動させることで、補強用の繊維巻層が形成される。このフープ巻きは、繊維束20を、シリンダー部111の中心軸AXに対してほぼ垂直に近い巻き角度(繊維角α0)となるよう、ライナー回転速度とリール25の往復動速度を調整した上で、中心軸AX方向に沿ってリール25を往復移動させて、繊維束20をシリンダー部111に巻き付けていく巻き付け方法である。なお、このフープ巻きによって形成される繊維巻層を以後、フープ層と呼ぶ。フープ層は、シリンダー部111の全体に渡って形成され、シリンダー部111における補強を担う。
シリンダー部111のフープ層の形成に続き、図3に示す高角度のヘリカル巻きと、図4に示す低角度のヘリカル巻きとを繰り返し行うことで、ドーム部112,113に補強用の繊維巻層を形成する。図3に示す高角度のヘリカル巻きでは、フープ層の上とシリンダー部111から繋がったドーム部112,113の周縁側領域とを繊維巻対象とし、タンク容器100を中心軸AXの回りで回転させつつ、リール25から延びた繊維束20を中心軸AXに対して高角度の繊維角αHHで交差させた状態を保持し、ライナー回転速度とリール25の往復動速度を調整する。その上で、中心軸AX方向に沿ってリール25を往復移動させて、繊維束20を螺旋状に巻き付けていく巻き付け方法である。この場合、両側のドーム部112,113では、リール25の往路・復路の切換に伴って繊維束の巻き付け方向が折り返されると共に、中心軸AXからの折り返し位置も調整される。ドーム部112,113における巻き付け方向の折り返しを何度も繰り返すことにより、タンク容器100の外表面には、高角度の繊維角αHHで繊維束20が網目状に張り渡された繊維巻層が形成される。この高角度(繊維角αHH)のヘリカル巻きによって形成される繊維巻層を以後、「高角度ヘリカル層」とも呼ぶ。
図4に示す低角度のヘリカル巻きでは、フープ層および高角度ヘリカル層の上と口金120,130の回りのドーム部112,113の頂上領域とを繊維巻対象とし、タンク容器100を中心軸AXの回りで回転させつつ、リール25から延びた繊維束20を中心軸AXに対して低角度の繊維角αLHで交差させた状態を保持し、ライナー回転速度とリール25の往復動速度を調整する。その上で、中心軸AX方向に沿ってリール25を往復移動させて、繊維束20を螺旋状に巻き付けていく巻き付け方法である。この場合、両側のドーム部112,113では、リール25の往路・復路の切換に伴って繊維の巻き付け方向が折り返されると共に、中心軸AXからの折り返し位置も調整される。ドーム部112,113における巻き付け方向の折り返しを何度も繰り返すことにより、タンク容器100の外表面には、低角度の繊維角αLHで繊維束20が網目状に張り渡された繊維巻層が形成される。この低角度(繊維角αLH)のヘリカル巻きによって形成される繊維巻層を以後、「低角度ヘリカル層」とも呼ぶ。この繊維角αLHは、シリンダー部111において繊維束20が1周する前にドーム部112,113において巻き付け方向を折り返すこととなる程度の比較的小さい繊維角に設定される。上記した高角度ヘリカル層および低角度ヘリカル層は、主にドーム部112,113における補強を担う。
図5は高角度のヘリカル巻きによるドーム部112における繊維巻き付けの様子を模式的に示す説明図である。図6は低角度のヘリカル巻きによるドーム部112における繊維巻き付けの様子を模式的に示す説明図である。図5,図6にはそれぞれ、中心軸AX方向に沿って見たときのドーム部112が図示されており、図5のドーム部112には高角度ヘリカル層が形成され、図6のドーム部112には低角度ヘリカル層が形成されている。なお、図5,6では、図示を容易にするため、繊維束20を糸状で示しているが、実際に巻き付けられているのは繊維束である。このため、ドーム部112,113では、繊維束が束の状態のままでドーム外表面に帯状に重なり、ドーム外表面が繊維束で覆われるように巻かれる。
なお、「繊維束の折り返し位置」は、具体的には、ドーム部112,113上において繊維束20が描く曲線上の頂点の位置を意味する。高角度および低角度のヘリカル巻きを行う際に、繊維束20の折り返し位置は、図5,図6に示すように、ドーム部112,113において半径Rxの円周上に位置する。なお、Rxは、ドーム部112,113の中心(中心軸AX)から繊維束20の折り返し位置までの距離であり、R0は、シリンダー部111の半径である。
図7は、ドーム部112に配置されたスペーサ150模式的に示す平面図である。なお、図7は、図示を容易にするため、補強層140を省略して示している。図8は、ドーム部112に配置されたスペーサ150の中心軸AXに沿った断面を模式的に示す断面図である。
スペーサ150は、図7に示すように、口金120の中心軸AXに沿ったボス部122の外周に設けられたフランジ部124上に配置されており、中心軸AX方向に沿って見たときに、略ドーナツ状(環状)の円板形状を有している。また、スペーサ150は、図7,図8に示すように、中心軸AXを中心とする周方向に沿って、外周端から順に設けられた段差部152a、段差部152b、および段差部152cを有している。各段差部152a,152b,152cは、それぞれ、外周側から内周側に向けて高さが高くなる部分を有する断面形状であり、繊維強化樹脂層の積層方向の厚さが極大となるような断面形状を有している。この断面形状については後述する。なお、「極大」とは、スペーサの厚さの微分値の符号が+から-となることを意味している。
第1段差部152aは、図8に示すように、補強層140を構成する複数の繊維強化樹脂層のうち、最下層の繊維強化樹脂層142aの厚さが薄くなる端部142aeを補強層140の上層側(繊維強化樹脂層の積層方向)に向けて持ち上げている。同様に、第2段差部152bも、下から2層目の繊維強化樹脂層142bの厚さが薄くなる端部142beを補強層140の上層側に向けて持ち上げ、第3段差部152cも、下から3層目の繊維強化樹脂層142cの厚さが薄くなる端部142ceを補強層140の上層側に向けて持ち上げている。
図9は、比較例としてスペーサ150が配置されていない状態で形成された補強層140を示す説明図である。図9は、図8と同様の断面を模式的に示している。スペーサ150が配置されていない場合、繊維強化樹脂層142aの端部142ae、繊維強化樹脂層142bの端部142be、および、繊維強化樹脂層142cの端部142ceが持ち上げられない。このため、端部142ae,142be,142ceの薄くなった厚さの影響が、それぞれの上層に配置された繊維強化樹脂層に伝播し、形成された補強層140において繊維強化樹脂層の積層方向に凹凸(破線枠で示す)が発生する。この凹凸は、タンク容器100の膨張収縮等によって補強層140に加わった応力の集中を招き、補強層140の強度の低下を招く。
図10は、繊維強化樹脂層142aの端部142aeを拡大して示す説明図である。上述したように、繊維強化樹脂層142aは、設定された繊維角のヘリカル巻きによって巻き付けられた繊維束が重なり合って形成されており、その端部142aeの端縁では、繊維束の重なりが少なくなり、厚さが薄くなる。これは、他の繊維強化樹脂層142b~142fにおいても同様である。なお、繊維強化樹脂層の端部は、繊維束の折り返し位置が周方向に沿って配置されている位置(以下、「折り返し端部」とも呼ぶ)である。
図11は、スペーサ150を用いた場合の補強層140の製造工程を示す説明図である。図8に示した下層側の3つの繊維強化樹脂層142a,142b,142cの端部142ae,142be,142ceに対応する口金120の位置に段差部152a,152b,152cが設置されるように、スペーサ150を配置する。そして、繊維強化樹脂層142a~142fに対応するヘリカル層を順に形成し(図4参照)、熱硬化性樹脂を熱硬化させることにより、繊維強化樹脂層142a~142fを含む補強層140を形成する。
これにより、図9に示した下層側の3つの繊維強化樹脂層142a,142b,142cの端部142ae,142be,142ceの薄くなった厚さを補うように、端部142ae,142be,142ceがスペーサ150によって持ち上げられて形成され、図9に示した凹凸の発生が抑制される。
なお、上層側の2つの繊維強化樹脂層142d,142eは、本例では、フランジ部124よりも中心軸AX方向に突出するボス部122の面に接する位置に端部が配置されることになるため、図9に示すように、端部が薄くなる影響がほとんどなく、スペーサが配置されていない。
以上のように、実施形態においては、スペーサ150を配置して、補強層140において図9に示したような繊維強化樹脂層の積層方向に凹凸(破線枠で示す)が発生することを抑制することができる。これにより、補強層140への応力の集中を抑制して補強層140の強度の低下を抑制し、高圧ガスタンク10(図1参照)の強度の低下を抑制することができる。また、課題で説明したような段差付ライナーを用いていないので、ライナーの段差部に応力が集中してライナーが破損し、ガスの漏洩を招くことを抑制することができる。
なお、図示および説明を省略するが、ドーム部113側におけるスペーサ160および補強層140も、ドーム部112側におけるスペーサ150および補強層140と同様である。
B.スペーサ形状の求め方:
<例1>
スペーサ150の形状は、以下で説明するように求めることができる。すなわち、図9に示した補強層140の凹凸(破線枠で示す)が無くなるように、補強層140の内側の層から各層の厚さを保ったまま矢印で示した方向(積層方向の外層側)に各層を実際に移動させる。
図12は、図9に示した補強層140の各層を移動させた状態の一例を示す説明図である。上記のように補強層140の各層を移動させることにより、図12に示すように、口金120と補強層140との間に隙間SPが発生する。この隙間SPが口金120と補強層140との間に配置するスペーサ150の形状に相当する。従って、この隙間SPの寸法を計測することで、スペーサ150の形状を求めることができる。
また、図示および説明は省略するが、スペーサ160の形状もスペーサ150と同様に求めることができる。
<例2>
また、スペーサ150の形状は、以下で説明する別の方法によって求めることもできる。
図13および図14はドーム部112をその頂上方向から見て折り返し位置Rxで折り返してヘリカル巻きされた繊維束FLH(繊維束20)の厚さ算出の様子を示す説明図である。なお、Rxは、ドーム部112の中心(中心軸AX)から繊維束FLHの折り返し位置までの距離を示している。図示するようにドーム部112をその頂上方向から見ることで、繊維束FLHを平帯状繊維束FLHkに投影させて、微小領域要素を得るに必要な繊維束FLHの層の厚さを幾何学的に算出できる。この場合、平帯状繊維束FLHkは、中心軸AXと垂直な平面で延びると仮定した仮想の繊維束であり、繊維束FLHと同じ幅wを持って中心軸AXから折り返し位置Rxの最小値Rxmだけ隔たった位置に、上記平面において延びた繊維束である。
そして、図13に示すように、低角度ヘリカル層を構成する繊維束FLHの内で口金120のボス部122に近い折り返し位置Rx(Rxm<Rx≦Rxm+w)で巻き付け方向を折り返しつつ重ねてヘリカル巻きされたそれぞれの繊維束FLHを、平帯状繊維束FLHkに投影させる。図14に示すように、低角度ヘリカル層を構成する繊維束FLHの内で口金120のボス部122から離れた折り返し位置Rx(Rxm+w<Rx)で、および高角度ヘリカル層を構成する繊維束FLHであって折り返し位置Rx(Rxm+w<Rx)で巻き付け方向を折り返しつつ重ねてヘリカル巻きされたそれぞれの繊維束FLHについてもこれを、平帯状繊維束FLHkに投影させる。その上で、それぞれの繊維束FLHが平帯状繊維束FLHkに投影されて重なった範囲の投影範囲に属する繊維束を、それぞれの繊維束FLHと仮定する。
このように仮定することで、Rxm<Rx≦Rxm+wを満たす折り返し位置Rxでヘリカル巻きされたそれぞれの繊維束FLHは、図13に示す繊維束角度範囲FELに亘る投影範囲に属する繊維束となり、この繊維束角度範囲FELは繊維束FLHの存在長さを示し、次の式1で表される。
Figure 0007124450000001
この式1において、Rxはヘリカル巻きの際の折り返し位置を示し、この折り返し位置Rxで折り返された繊維束FLHの中心軸AXの側の幅方向端部が位置する当該中心軸からの半径となる。Rxmは既述したように折り返し位置Rxの最小値である。
式1で示された繊維束角度範囲FELは、折り返し位置Rxでヘリカル巻きされた巻数(サーキット数Ct)の分だけ存在することから、式1の繊維束角度範囲FELにサーキット数Ctを乗算することで、折り返し位置Rxでヘリカル巻きされた全ての繊維束FLHについての合計長を算出できる。そして、折り返し位置Rxを半径とする周長さは、2π・Rxであることから、上記した全ての繊維束FLHについての合計長をこの2π・Rxで除算することで、折り返し位置Rxでヘリカル巻きされた繊維束FLHが平均的にどれだけの繊維束の分だけ重なっているかが算出できる。その上で、シリンダー部111では、フープ層の各層において繊維束FLHが折り重ならないよう当該繊維束がフープ巻きされているために、シリンダー部111における繊維束FLHの1束分の層厚h0はフープ層の各層において同じであることを想定すると、折り返し位置Rxでヘリカル巻きされた繊維束角度範囲FELにおける繊維束FLHの層厚hxは、FW法による繊維巻回の関係から、次の式2で表される。
Figure 0007124450000002
その一方、Rxm+w<Rxを満たす折り返し位置Rxでヘリカル巻きされたそれぞれの繊維束FLHは、その折り返し位置Rxにおいて平帯状繊維束FLHkに投影されないことから、図14に示すように左右に分かれた二つの繊維束角度範囲FELに亘る投影範囲に属する繊維束となり、この繊維束角度範囲FELは繊維束FLHの存在長さを示し、次の式3で表される。
Figure 0007124450000003
式3で示された繊維束角度範囲FELにあっても、折り返し位置Rxでヘリカル巻きされた巻数(サーキット数Ct)の分だけ存在することから、式2の場合と同様にして、折り返し位置Rx(Rxm+w<Rx)でヘリカル巻きされた繊維束角度範囲FELにおける繊維束FLHの層厚hxは、次の式4で表される。
Figure 0007124450000004
式3,式4を用いれば、繊維束の折り返し位置Rxにおける層厚hxを算出することができるので、これを解析することにより、繊維強化樹脂層の端部においてスペーサ150を用いて繊維強化樹脂層の積層方向の凹凸を補うための厚さを算出することができ、スペーサ150の形状を求めることができる。
また、図示および説明は省略するが、スペーサ160の形状もスペーサ150と同様に求めることができる。
C.他の実施形態:
(C1)上記実施形態で示したスペーサ150の形状および配置位置は一例であって、これに限定されるものではなく、積層される繊維強化樹脂層の層数や端部位置に応じて適宜適切な形状および配置位置に設定されることが好ましい。
(C2)上記実施形態では、スペーサ150の部材について特に説明をしていないが、以下のようにすることが好ましい。スペーサがライナー上に配置される場合には、例えば、ポリアミド樹脂部材を用いたライナーに対して、ゴム部材を用いたスペーサが好ましい。また、スペーサが口金上に配置される場合には、例えば、アルミ部材を用いた口金に対して、ゴム部材やポリアミド樹脂部材を用いたスペーサが好ましい。すなわち、スペーサが配置される部位の部材に比べて、ヤング率が小さい部材を用いたスペーサであること好ましい。このようにすれば、スペーサの段差に発生する応力集中に対してスペーサが弾性変形することによってスペーサの破損を抑制することができる。また、仮にスペーサに破損が発生したとしても、補強層の破損を抑制することができ、また、課題で説明したライナーの破損によるガスの漏洩を抑制することができる。
(C3)実施形態のスペーサ150(図7)は、繊維強化樹脂層142a,142b,143cの端部142ae,142be,143ceに対応する位置に配置される部位である段差部152a,152b,152c(図8)が一体成形された構造を有している。しかしながら、これに限定されるものではなく、それぞれの部位を含む別々のスペーサを用いるようにしてもよい。但し、実施形態のスペーサ150のように一体成形された構造とするほうが、配置ずれの問題を抑制することができる。
(C4)図15は、2分割された部分150pa,150pbで構成されたスペーサ150Bを模式的に示す説明図である。実施形態のスペーサ150は、図7に示すように、略ドーナツ状(環状)の円板形状を例として示されている。図7では、図示を容易にするため、口金120,130のボス部122を省略して示しているが、実際には、図1に示したように、先端側の外径が大きくなった形状となる場合がある。スペーサ150のドーナツ状の内径が、ボス部122の先端側の外径よりも小さい場合において、ゴム等の伸縮性の部材でスペーサ150が構成される場合には、略ドーナツ状の円板形状で構わない。しかしながら、ポリアミド樹脂等を用いた伸縮性がない部材でスペーサ150が構成される場合には、スペーサ150を口金120上に配置することが困難となる。そこで、このような場合には、図15に示したように、スペーサ150(図7)を、2つの部分150pa,150pbに分割した構造のスペーサ150Bを用いることが好ましい。なお、分割数は2つに限定されるものではなく、特に限定はないが、分割数が多いと、製造工数が多くなるので、2~4分割程度が好ましい。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、フィラメント・ワインディング法による高圧ガスタンクの上記した強度解析を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
10…高圧ガスタンク、20…繊維束、25…リール、100…タンク容器、110…ライナー、111…シリンダー部、112,113…ドーム部、120,130…口金、122…ボス部、124…フランジ部、140…補強層、142a,142b,142c,142d,142e,142f…繊維強化樹脂層、142ae,142be,142ce…端部、150…スペーサ、150B…スペーサ、150pa,150pb…部分、152a,152b,152c…段差部、160…スペーサ、AX…中心軸、FLH…繊維束、FLHk…平帯状繊維束、SP…隙間

Claims (1)

  1. 高圧ガスタンクであって、
    中空容器をなすライナーの軸方向の端部に口金が装着されたタンク容器と、
    前記タンク容器の外周に積層された複数の繊維強化樹脂層構成された補強層と、
    前記タンク容器と前記補強層との間に配置されるスペーサであって前記複数の繊維強化樹脂層のうち前記スペーサと接する繊維強化樹脂層の端部の位置において前記複数の繊維強化樹脂層の積層方向についての厚さが極大となる部分を有する断面形状を有するスペーサと、
    を備える、高圧ガスタンク。
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