JP7123373B2 - 作業用フード及びその製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、開口部の周縁下部に、作業者の顎部を覆う布を取り付け、顎ヒゲ等落下を防止した技術が知られている(特許文献1)。
これにより、略U字で帯状の下側縁取り布が両短辺で引っ張られてスリングショット(ゴムパチンコ)のように上方に伸び、膨出部も上方に引っ張られて顎に密着し、フィットするようになる。
このとき、膨出部が立体形状(略椀状)になって顎の底面と前面とに保持されるので、平面状の布で顎部を覆う場合のように顎からズレて唇までずり上がったり、逆にずり下がって首に巻き付くことが抑制され、着用者の顎を確実に覆い、膨出部の顎からのずり上がりやずり下がりを防止することができる。
つまり、顎を密着させる下側縁取り布の膨出部の効果と、着用者の都合で眉をカバーする、しないを加減できる上側縁取り布の効果とを両立できる。
前記折り線が前記第4の長辺となり、前記下側縁取り布素材の前記長手方向に延びる端縁が前記第3の長辺を構成し、前記第4の長辺が前記第3の長辺より短くなることで、前記膨出部を形成する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る作業用フードの正面図、図2は作業用フードの側面図、図3、図4は下側縁取り布のダーツを形成する方法を示す図、図5は下側縁取り布の膨出部が顎にフィットする機構を示す。
作業用フード100は、着用者の頭部を覆う頂部押さえ布2と、頂部押さえ布2の下側に接合されて着用者の頸部及び後頭部を覆う略筒状の後頭部布4と、後頭部布4と頂部押さえ布2とに取り付けられる帯状伸縮性の上側縁取り布6と、後頭部布4に取り付けられる帯状伸縮性の下側縁取り布10と、を有する。
作業用フード100は、織物または編物からなる上記の頂部押さえ布2、後頭部布4、編物からなる上側縁取り布6及び下側縁取り布10を縫合して形成されている。
なお、本実施形態では、頂部押さえ布2は、着用者の頭部を左右からそれぞれ覆う左頂部押さえ布2aと右頂部押さえ布2bとを接合してなるが、これに限定されない。
又、本実施形態では、後頭部布4は、着用者の頸部の前側を覆う第1後頭部布4aと、第1後頭部布4aの後側に接合される第2後頭部布4bとを有するが、これに限定されない。
又、下側縁取り布10は、前面から見て略U字状をなして着用者の顎を覆い、第1の前側周縁4pに自身の第3の長辺10L3が取り付けられる。
このようにして、上側縁取り布6の第2の長辺6L2と、下側縁取り布10の第4の長辺10L4との間に、着用者の耳よりも前方の顔面が露出する開口部100hが形成されている。
又、下側縁取り布10の中心線Cを挟む左右2カ所の位置で、第4の長辺10L4が第3の長辺10L3より短くなるよう接合された縫い目(ダーツ)10d、10dがそれぞれ形成されている。
そして、2つのダーツ10d、10dの間の部位が表側に略椀状に膨出し、顎の底面と前面とにフィットする膨出部10cとして構成されている。
但し、ケープが無く、着用者の首周りまでで終端するものも本発明に含まれる。
まず、図3に示すように、下側縁取り布素材10xの中心線Cを挟む左右に、幅方向に延びる切欠き10nを設ける。この切欠き10nは、下側縁取り布素材10xの長手方向に延びる折り線10fを挟みつつ、下側縁取り布素材10xの長手方向両端に向かって延びるが、両端まで達しない。
そして、図4(a)に示すように、下側縁取り布素材10xを折り線10fで二つ折りすると、折り線10fが第4の長辺10L4となり、下側縁取り布素材10xの長手方向両端が第3の長辺10L3となる。又、切欠き10nはV字のノッチ状になっている。
次に、図4(c)に示すように、素材10x1,10x2の重なり部分(10x2の縁部)を適宜縫合線10mで縫合するとダーツ10dが完成する。そして、第4の長辺10L4が第3の長辺10L3より短いために、2つのダーツ10d、10dの間の部位が表側に膨出し、顎の底面と前面とにフィットする膨出部10cとなる。
上述のように、下側縁取り布10の両短辺10S1,10S2が第1の下側周縁2pに取り付けられている。
作業用フード100を着用して膨出部10cを顎に保持させると、頂部押さえ布2が頭部によって上方に引っ張られ、頂部押さえ布2の第1の下側周縁2pに取り付けられた下側縁取り布10の両短辺10S1,10S2も上方に引っ張られる。
これにより、略U字で帯状の下側縁取り布10が両短辺10S1,10S2で引っ張られてスリングショット(ゴムパチンコ)のように上方に伸び、膨出部10cも上方に引っ張られて顎に密着し、フィットするようになる。
このとき、膨出部10cがダーツ10dによって立体形状(略椀状)になって顎の底面と前面とに保持されるので、平面状の布で顎部を覆う場合のように顎からズレて唇までずり上がったり、逆にずり下がって首に巻き付くことが抑制され、着用者の顎を確実に覆い、膨出部10cの顎からのずり上がりやずり下がりを防止することができる。
つまり、顎を密着させる下側縁取り布10の膨出部10cの効果と、着用者の都合で眉をカバーする、しないを加減できる上側縁取り布6の効果とを両立できる。
同様に、頂部押さえ布2の伸びが、下側縁取り布10の伸びよりも小さいと、頂部押さえ布2による下側縁取り布10の引張り効果が大きくなる。なお、伸縮性や伸びは引張試験(JIS-L1096(2010))で測定できる。
これにより、図5に示すように、下側縁取り布10の両短辺10S1,10S2近傍にスリット(挿通部)10mを設ければ、このスリット10mに着用者の眼鏡のツルを挿通できる。
そして、下側縁取り布10の上に上側縁取り布6を重ねているので、下側縁取り布10に設けられたスリット10mが上側縁取り布10で隠れて表側に露出しない。このため、作業用フード内の着用者の頭部から髪の毛等が脱落してスリット10mを通ったとしても、上側縁取り布6で保持されて外部に落下することが防止される。
なお、スリット10mは、下側縁取り布10自身を切って設けるほか、下側縁取り布10の第3の長辺10L3と第1の前側周縁4pとの一部を接合しないことでも形成できる。
本発明において、「取り付け」、「接合」は縫合、ホットメルト接着剤等の接着剤による接着、溶着等により行うことができる。ダーツの形成においても、接合方法は限定されない。
又、図7のように、下側縁取り布素材10xを切欠かず、折り線10f側を幅方向に略V字状になるよう摘んで折り畳み、折り畳み部分(重なり部分)10gを縫合線10m2で縫合したり、他の方法で接合してもよい。
図8に示すように、第2の実施形態に係る作業用フード110は、上記したように、図2の頂部押さえ布2及び後頭部布4が一体となったフード本体12を構成する点が第1の実施形態に係る作業用フード100と異なる。そして、フード本体12の前方には、着用者の顔面が露出する開口部110hが形成され、開口部110hの前側の周縁が第1の前側周縁4pとなり、開口部110hの下向きの周縁が第1の下側周縁2pとなる。
なお、図示はしないが、フード本体12は、左右の布を中心線で接合してなる。
この場合も、フード本体12が頭部によって上方に引っ張られ、下側周縁2pに取り付けられた下側縁取り布10の両短辺10S1,10S2も上方に引っ張られる。これにより、膨出部10cも上方に引っ張られて顎に密着し、フィットするようになる。
又、第1の下側周縁2pが接合(縫合等)によって伸縮性が低下し、頭の一部(おでこ)を締めるので、第1の下側周縁2pが撓み難く、第1の下側周縁2pによる下側縁取り布10の引張り効果が大きくなるので、着用者の顎をより確実に覆ってずり上がりやずり下がりをさらに防止することができる。
この場合、下側縁取り布10vは、図2の下側縁取り布10よりも狭幅で、それ単体では膨出部10c2となる立体形状をならないが、前側布10eと接合されることで、立体形状になる。
この場合、3枚の下側縁取り布素材パーツ10y1、10y2、10y3を用意する(図12(a)。パーツ10y1は細長く、長手方向に延びる折り線10fで線対称をなし、短辺方向の一端S1が折り線10fへ向かって凹む形状になっている。パーツ10y2は長手方向に延びる折り線10fで線対称をなし、長手方向が短く、折り線10fに直交する方向の両端S21、S22がそれぞれ折り線10fへ向かって凹む形状になっている。パーツ10y3は、折り線10fに直交する線でパーツ10y1と線対称をなし、短辺方向の一端S3が折り線10fへ向かって凹む形状になっている。
さらに、下側縁取り布素材10yを折り線10fで二つ折りすると、折り線10fが第4の長辺10L4となり、下側縁取り布素材10xの長手方向両端が第3の長辺10L3となる(図12(c))。
このようにして、下側縁取り布10の中心線Cを挟む左右2カ所の位置で、第4の長辺10L4が第3の長辺10L3より短くなるよう、縫い目10d2で接合される(図12(d))。
そして、一方(図15の左側)の縫い位置マーク10tを中心線Cに平行な中心線D1で下側縁取り布素材10zの裏面10b同士が表側に露出するように(つまり、表面同士が向かい合うように)二つ折り(山折り)し、表出した縫い位置マーク10t上を縫合線10m5で縫合したり、縫い位置マーク10tの内側部分を他の方法で接合する(図15(b))。
他方(図15の右側)の縫い位置マーク10tについても中心線D2で折って同様に縫合線10m5で縫合する。このようにして、それぞれ中心線D1、D2を頂点として裏面10bから平行に立ち上がる2つの畝状の折部10rが形成される(図15(d))。
そして、下側縁取り布素材10xを折り線10fで二つ折りする。但し、2つの折部10rは二つ折りの邪魔となるので、各折部10rを倒した状態で二つ折りする(図15(d))。
このようにして、下側縁取り布10xの中心線Cを挟む左右2カ所の位置で、第4の長辺10L4が第3の長辺10L3より短くなるよう、縫い目(ダーツ)10d5で接合される(図15(f))。
又、縫合線10m5での縫合に限らず、縫合線10m5及びその内側を接着、溶着等で接合してもよい。
このように、下側縁取り布素材10zの折り線10fから幅方向端部に向かって、折部10rの基部10kから頂点D1,D2に延びる線上を接合することで、折り線10fが第4の長辺10L4となり、下側縁取り布素材10zの長手方向に延びる両端縁が第3の長辺10L3を構成し、第4の長辺10L4が第3の長辺10L3より短くなることで、膨出部c5を形成することができる。
2p 第1の下側周縁
2a 左頂部押さえ布
2b 右頂部押さえ布
4 後頭部布
4p 第1の前側周縁
4a 第1後頭部布
4b 第2後頭部布
6 上側縁取り布
6s1,6s2 上側縁取り布の両短辺
6L1 第1の長辺
6L2 第2の長辺
10、10w 下側縁取り布
10s1,10s2 下側縁取り布の両短辺
10L3 第3の長辺
10L4 第4の長辺
10c、10c2、10c3,10c4 膨出部
10d、10d2、10d5 縫い目(ダーツ)
10e 前側布
12 フード本体
100、110、120、130 作業用フード
100h、110h 開口部
C 中心線
Claims (4)
- 着用者の頭部及び頸部を覆うフード本体と、
前記フード本体に設けられ、前記着用者の顔面が露出する開口部と、
前記開口部の第1の前側周縁に自身の両短辺が取り付けられ、前記開口部の第1の下側周縁に自身の第1の長辺が取り付けられる帯状伸縮性の上側縁取り布と、
前面から見て略U字状をなして前記着用者の顎を覆い、前記第1の前側周縁に自身の第3の長辺が取り付けられる帯状伸縮性の下側縁取り布と、を有する作業用フードであって、
前記上側縁取り布の第2の長辺と、前記下側縁取り布の第4の長辺との間に前記着用者の耳よりも前方の顔面が露出し、
前記下側縁取り布の両短辺は、前記上側縁取り布に重なるようにして前記第1の下側周縁に取り付けられ、
前記下側縁取り布の中心線を挟む部位が表側に膨出し、前記顎の底面と前面とにフィットする膨出部として構成されてなる作業用フードであって、
前記膨出部は、前記下側縁取り布の前記中心線を挟む左右2カ所の位置で、前記第4の長辺が前記第3の長辺より短くなるよう、かつ前記第4の長辺から延びて前記第3の長辺まで達しないダーツ状に接合された縫い目によって形成されてなる作業用フード。 - 請求項1に記載の作業用フードの製造方法であって、
長片状の下側縁取り布素材を長手方向に延びる折り線で二つ折りし、前記折り線が前記第4の長辺となり、前記下側縁取り布素材の長手方向両端が前記第3の長辺となるようにし、
かつ、前記第4の長辺から延びて前記第3の長辺まで達しないように縫い目をダーツ状に接合し、
前記折り線が前記第4の長辺となり、前記下側縁取り布素材の前記長手方向に延びる端縁が前記第3の長辺を構成し、前記第4の長辺が前記第3の長辺より短くなることで、前記膨出部を形成する、作業用フードの製造方法。 - 請求項2に記載の作業用フードの製造方法であって、
長片状の下側縁取り布素材に切欠きを設けず、その裏面のうち長手方向の中心線を挟む2カ所の位置で、前記裏面同士が露出するように前記中心線に平行に二つ折りする折り工程と、
前記折り工程で折られた2か所の折部に対し、前記下側縁取り布素材の前記長手方向に延びる折り線から幅方向端部に向かって、前記折部の基部から頂点に延びる線上を接合する接合工程と、
前記折部を倒した状態で、前記折り線にて前記下側縁取り布素材の前記裏面同士が重なるように二つ折りする第2折り工程と、を有し、
前記折り線が前記第4の長辺となり、前記下側縁取り布素材の前記長手方向に延びる端縁が前記第3の長辺を構成し、前記第4の長辺が前記第3の長辺より短くなることで、前記膨出部を形成する、作業用フードの製造方法。 - 請求項2に記載の作業用フードの製造方法であって、
長片状の下側縁取り布素材に切欠きを設けず、その裏面のうち長手方向の中心線を挟む2カ所の位置で、前記裏面同士が露出するように前記中心線に平行に二つ折りする折り工程と、
前記折り工程で折られた2か所の折部に対し、前記下側縁取り布素材の前記長手方向に延びる折り線から幅方向端部に向かって、前記折部の基部から頂点に延びる線上を接合する接合工程と、
前記折部を倒した状態で、前記折り線にて前記下側縁取り布素材の前記裏面同士が重なるように二つ折りする第2折り工程と、を有し、
前記折り工程と、前記接合工程とを、前記下側縁取り布素材の前記中心線を挟む2カ所の位置のうちそれぞれ別の1カ所の位置でこの順に繰り返し、
前記折り線が前記第4の長辺となり、前記下側縁取り布素材の前記長手方向に延びる端縁が前記第3の長辺を構成し、前記第4の長辺が前記第3の長辺より短くなることで、前記膨出部を形成する、作業用フードの製造方法。
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