JP7123019B2 - 貯蔵施設 - Google Patents
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Description
さらに、貯蔵容器からの放射線を低減するためには、貯蔵容器の周囲に、ALARA(as low as reasonably achievable)に基づいた遮蔽体を設置することが望ましい。
特許文献1では、地下に埋設された垂直モジュールに貯蔵容器を保管することで、貯蔵容器の周囲を遮蔽体で取り囲むシステムが提案されている。
さらに本発明の貯蔵施設は、通路の床面と、空間の床面が、壁部の上面に対して相対的に低い位置に設けられ、貯蔵容器は、壁部の上面から空間に懸下した状態で収容部に収容されるものである。
従って、コンクリートで構成された壁部と、貯蔵容器を搬入および搬出するための通路という、容易に作製できる構造によって、貯蔵容器の搬送中の落下を防ぐことができる。
また、本発明の貯蔵施設は、通路の床面と空間の床面が、壁部の上面に対して相対的に低い位置に設けられている。
さらに、本発明の貯蔵施設は、貯蔵容器が、壁部の上面から空間に懸下した状態で収容部に収容される。
この構成において、さらに、収容部が通路の両側にそれぞれ配置され、通路の両側の各収容部が、通路を隔てた向こう側の壁部と対向する配置とすることができる。
この構成において、さらに、収容部に貯蔵容器を収容した状態で、空間の床面と貯蔵容器との間に空間が残存する構成とすることができる。
この構成において、さらに、コンクリートに凹部が設けられ、この凹部に突起部が固定されている構成とすることができる。
貯蔵容器としては、例えば、特許文献1に開示されている貯蔵容器等、従来公知の構成の貯蔵容器も使用することができる。
そこで、例えば、貯蔵容器に突起部を設けて、この突起部を壁部に懸けて、貯蔵容器を壁部から空間に懸下した状態とする。突起部は、貯蔵容器本体自体による構成も、突起部となる別の部品が貯蔵容器本体に取り付けられた構成も、いずれも可能である。
貯蔵容器本体自体による突起部の構成としては、例えば、円筒形の貯蔵容器の上部の直径を下部の直径より大きくして、上部を突起部とする構成が考えられる。
突起部となる別の部品が貯蔵容器本体に取り付けられた構成としては、例えば、従来公知の円筒形状の貯蔵容器の外周に、突起部となる別の部品が取り付けられた構成が考えられる。
そして、貯蔵容器の上面からの放射線の放出に基づく、スカイシャイン線を防ぐために、特許文献1の貯蔵容器のように蓋を十分に厚く形成したり、後述する実施例のように蓋の上にさらに放射線遮蔽用の貯蔵カバーを設けたりする。
そして、貯蔵容器を収容する収容部は、このコンクリートで構成された壁部によって囲まれた空間からなる構成とする。
また、貯蔵容器を収容する収容部は、貯蔵容器を搬入および搬出するための通路と接続する。
さらに、通路の床面と空間の床面を、壁部の上面に対して相対的に低い位置に設ける。
これらの構成により、貯蔵容器の搬送(搬入および搬出)は、壁部の上面よりも相対的に低い通路の床面上で行われ、通路と空間との間で貯蔵容器を出し入れする際にも、壁部の上面よりも相対的に低い空間の床面の上で行われる。従って、貯蔵容器の搬送や通路と空間との出し入れの際に、壁部よりも上方に貯蔵容器を吊り上げる必要がなく、貯蔵容器の壁部上から空間への落下を生じない。
従って、実際の構成としては、(1)壁部の上面が地表面の高さであり、各床面が地下である構成、(2)各床面が地表面の高さであり、壁部の上面が地表面より上方にある構成、(3)各床面と壁部の上面とがいずれも地表面より上方であって、高さの差がある構成、(4)各床面と壁部の上面とがいずれも地下であって、高さの差がある構成、の4通りが考えられる。
貯蔵施設を設置する場所や貯蔵施設の建設コスト等を考慮して、上記の4通りの構成のうちの適切と考えられる構成を採用する。
上記の(1)の構成を建設する場合、例えば、全体を地表面から通路の床面の高さまで掘った後に、壁部となる所に型枠を使用してコンクリートで壁部を作製することにより、通路と壁部と収容部から成る貯蔵施設を建設することができる。
貯蔵容器を収容する収容部の空間が、コンクリートで構成された壁部によって囲まれているため、貯蔵容器に充填された放射性物質からの放射線を、壁部のコンクリートで遮蔽することができる。
通路の床面が、壁部の上面に対して低い位置に設けられているので、貯蔵容器を搬送(搬入および搬出)する際に、相対的に低い位置にある通路の床面の上を搬送させることになる。これにより、壁部の上面よりも上方に貯蔵容器を吊り上げる必要が無く、貯蔵容器の搬送中の落下を防ぐことができる。
従って、コンクリートで構成された壁部と、貯蔵容器を搬入および搬出するための通路という、容易に作製できる構造によって、貯蔵容器の搬送中の落下を防ぐことができる。
また、収容部の空間の床面も、壁部の上面に対して低い位置に設けられているので、貯蔵容器を通路と収容部との間で出し入れする際にも、壁部の上面よりも上方にまで貯蔵容器を吊り上げる必要が無く、収容部との間で出し入れする際も貯蔵容器の落下を防ぐことができる。
従って、コンクリートで構成された壁部と、貯蔵容器を搬入および搬出するための通路と、貯蔵容器を収容する収容部という、容易に作製できる構造によって、貯蔵容器の出し入れの際の落下を防ぐことができる。
さらに、貯蔵容器を収容する収容部が通路の両側にそれぞれ配置され、通路の両側の各収容部が、通路を隔てた向こう側の壁部と対向する配置としたときには、収容部の空間の周囲を囲む壁部に加えて、通路を隔てた向こう側の壁部も、遮蔽材として利用できる。これにより、通路の両側の各収容部が向かい合う配置と比較して、遮蔽の効果を上げることができる。
この構成において、さらに、収容部に貯蔵容器を収容した状態で、空間の床面と貯蔵容器との間に空間が残存する構成としたときには、搬送時に搬送器具上に載置した貯蔵容器を、搬送時と高さを大きく変えないで収容部に収容することができる。これにより、収容時における貯蔵容器への衝撃を低減することができる。また、空間が残存しない構成(空間の床面に貯蔵容器を置いた構成等)と比較して、残存する空間を貯蔵容器の冷却に利用することが可能になる。
この構成において、さらに、コンクリートに凹部が設けられ、この凹部に突起部が固定されている構成としたときには、凹部に突起部を固定するので、より確実に貯蔵容器がコンクリート上で動かないように固定される。
本実施例の貯蔵施設の説明に先立ち、本実施例の貯蔵施設において使用する貯蔵容器の構成を説明する。
本実施例において使用する貯蔵容器の斜視図を、図1に示す。
図1に示す貯蔵容器では、貯蔵容器本体1の側面の上部と下部にそれぞれ4個ずつのトラニオン(突起部)1aを設けている。そして、貯蔵容器本体1の側面の上部および下部の各トラニオン1aは、90°ごとに均等に配置されている。
貯蔵カバー2は、貯蔵容器本体1から発生するスカイシャイン線を遮蔽することを目的とする。
本実施例の貯蔵施設(放射性物質保管設備)の概略構成図(平面図)を、図2に示す。
仮置きエリア4には、搬送する前の貯蔵容器(貯蔵容器本体1およびトラニオン1a)が、仮置きされている。
保管エリアは、地表面を掘り下げてから、コンクリートから成る壁部5を設置し、中央に搬送通路3を設けている。
また、保管エリアでは、搬送通路3に接続して、貯蔵容器本体1を収容する収容部を構成する空間6が設けられている。この空間6は、図2において、コンクリートから成る壁部5に三方を囲まれた凹部となっている。
搬送通路3は、貯蔵容器を搬送するための通路である。貯蔵容器本体1を搬送用台車7に載置して、搬送通路3内を搬送する。
貯蔵容器を空間に収容した状態では、図2に示すように、断面円形状の貯蔵容器本体1が断面正方形状の空間6内にあり、貯蔵容器本体1に取り付けられたトラニオン1aが、壁部5の上にある。
図3の側面図は、貯蔵容器の運搬工程を示している。
図3に示すように、仮置きエリア4では、搬送通路3よりも高い位置にある置き場(例えば、搬送通路3が地下で、仮置きエリア4の置き場が地表面)の上に、貯蔵容器本体1が仮置きされている。
そして、仮置きエリア4の貯蔵容器本体1を、揚重機8で吊り上げて、搬送用台車7に載置して、図3中の矢印で示すように、右方向に搬送通路3上を搬送する。
貯蔵容器本体1を吊り上げる際と、貯蔵容器の搬送中においては、揚重機8を図中手前側と奥側のトラニオン1aに固定する。
揚重機8は、貯蔵施設の天井部又は中間部に設けられたレール等に沿って、自動又は手動制御により移動する。
搬送用台車7は、図3に示すように、貯蔵容器本体1の下端部を囲う構成とされ、これにより貯蔵容器が搬送用台車7から滑り落ちないように保持している。
搬送用台車7は、自動又は手動制御により駆動して揚重機8と連動して走行する構成も、駆動機構を持たず揚重機8の移動に追随して走行する構成も、いずれも可能である。
図4の断面図は、貯蔵容器の保管時の状態を示している。
図4に示すように、空間6に貯蔵容器本体1を収容し、貯蔵容器の上側のトラニオン1aを壁部5の上に懸けている。
また、貯蔵容器の下側のトラニオン1aに対応する部分は、トラニオン1aと衝突しないように、空間6の幅が空間6の上部よりも広く形成された、凹部11となっている。
なお、図4では、壁部5の高さと、仮置きエリア4の仮置き場の高さが同じになっているが、これらを異なる高さとしても構わない。例えば、仮置き場を、搬送通路3と同じ高さとした構成や、搬送通路3よりも若干高い位置とした構成も、可能である。
ここで、比較例として、特許文献1に開示された貯蔵施設のような、従来の貯蔵施設の概略構成図(斜視図)を、図9に示す。
図9に示す従来の貯蔵施設では、貯蔵容器101が縦横に密に配置され、貯蔵容器101の間の作業路102は比較的狭くなっており、作業者103が貯蔵容器101に対して作業を行う場合の貯蔵容器101へのアクセス性が良くない。
これに対して、本実施例の貯蔵施設では、図2の平面図に示したように、搬送通路3を隔てた空間6が互い違いに配置されているため、左右に隣接する空間6の間の壁部5がある程度広くなっている。また、各空間6の搬送通路3とは反対の側では、放射線を遮蔽する目的で、ある程度広い壁部5が設けられている。従って、これらの壁部5によって、壁部5の上面に設けられる作業路が広く確保され、貯蔵容器への作業者15のアクセス性が良好である。
より好ましくは、壁部5のコンクリートの高さH1が、高さH2の6割~7割の範囲内である構成とする。この構成としたときには、壁部5の上面の作業路に居る作業者15が、貯蔵容器の蓋1bや貯蔵カバー2を着脱する作業やメンテナンス作業を、容易に行うことができる。
なお、図4では、高さH2を、貯蔵カバー2の上面までの高さとしているが、貯蔵容器の上面までの高さとして、貯蔵容器の蓋1bの上面までの高さを採用しても構わない。
図5~図8に示すように、貯蔵容器のトラニオン1aが載置される部分の壁部5に、凹部である支持用溝10を設けて、この支持用溝10にトラニオン1aを入れてはめ込み、トラニオン1aを支持している。支持用溝10は、空間6を囲う三方の壁部5(図2の平面図を参照)のそれぞれのトラニオン1aが載置される部分に設けられる。
支持用溝10の深さは、円柱形状のトラニオン1aの直径の半分程度としている。
また、トラニオン1aの上半分に沿って、トラニオン1a上に、上部固定金具9を設けている。上部固定金具9は、薄い板状の金属で構成され、トラニオン1aの上半分に沿う曲面部と、曲面部の両側の平面部とを有する。上部固定金具9は、固定具(ピン、ボルト等)12により、支持用溝10の外側の壁部5に固定されている。
支持用溝10でトラニオン1aを支持して、上部固定金具9および固定具12でトラニオン1aを壁部5に固定しているので、地震等の外的事象に対して、貯蔵容器の位置ずれの発生や壁部5からの落下を防止できる。
実施例1では、貯蔵容器のトラニオン1aに対して、支持用溝10と、上部固定金具9および固定具12とを設けていた。これらを両方設けた構成には限定されず、支持用溝10のみ、もしくは、上部固定金具9および固定具12のみを設けた構成や、どちらも設けない構成も可能である。
例えば、貯蔵容器本体の上部の突起部を、三方の壁部に対応する3個のみ、もしくは、180°毎の2個のみ、とすることも可能である。また例えば、貯蔵容器本体の下部の突起部を、三方の壁部に対応する3個のみ、180°毎の2個のみ、或いは、突起部無し(0個)、とすることも可能である。
そして、図3に示した搬送用台車7の貯蔵容器を囲う部材や、図4に示した空間6の下部の凹部11は、貯蔵容器本体の下部の突起部の個数に対応して、変形することが可能である。
搬送用台車に貯蔵容器を囲う部材を設ける代わりに、搬送用台車と貯蔵容器との接触面に凹凸等を形成して、接触面と貯蔵容器の底面との摩擦力によって貯蔵容器の落下を防ぐ構成も考えられる。
Claims (9)
- 放射性物質を充填した貯蔵容器を保管する貯蔵施設であって、
コンクリートで構成された壁部と、
前記貯蔵容器を搬入および搬出するための通路と、
前記通路と接続され、前記壁部によって囲まれた空間から成り、前記貯蔵容器を収容する収容部とを備え、
前記通路の床面と、前記空間の床面が、前記壁部の上面に対して相対的に低い位置に設けられ、
前記貯蔵容器は、前記壁部の上面から前記空間に懸下した状態で前記収容部に収容される
ことを特徴とする貯蔵施設。 - 請求項1に記載の貯蔵施設において、
前記収容部が複数存在していることを特徴とする貯蔵施設。 - 請求項2に記載の貯蔵施設において、
前記収容部が前記通路の両側にそれぞれ配置され、前記通路の両側の各前記収容部が、前記通路を隔てた向こう側の前記壁部と対向する配置とされていることを特徴とする貯蔵施設。 - 請求項1に記載の貯蔵施設において、
前記壁部の前記コンクリートの高さが、前記空間の前記床面から前記貯蔵容器の上面までの高さの6割~7割の範囲内であることを特徴とする貯蔵施設。 - 請求項4に記載の貯蔵施設において、
前記収容部に前記貯蔵容器を収容した状態において、前記空間の床面と前記貯蔵容器との間に前記空間が残存することを特徴とする貯蔵施設。 - 請求項1に記載の貯蔵施設において、
前記貯蔵容器が円筒形状であり、前記空間の断面形状が四角形であることを特徴とする貯蔵施設。 - 請求項1に記載の貯蔵施設において、
外気による自然冷却によって前記貯蔵容器が冷却される構成であることを特徴とする貯蔵施設。 - 請求項1に記載の貯蔵施設において、
前記貯蔵容器に設けられた突起部が、固定具によって前記壁部の前記コンクリートの上に固定されていることを特徴とする貯蔵施設。 - 請求項8に記載の貯蔵施設において、
前記コンクリートに凹部が設けられ、前記凹部に前記突起部が固定されていることを特徴とする貯蔵施設。
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