JP4088492B2 - 炉内構造物の収納方法及びこれに用いる保管容器 - Google Patents

炉内構造物の収納方法及びこれに用いる保管容器 Download PDF

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    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、原子炉に関し、特に炉内構造物を保管容器に収納する収納方法及び当該炉内構造物を保管する保管容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の原子力プラントに多く用いられている加圧水型原子炉(PWR)においては、原子炉用の燃料を支持等するための炉内構造物が、原子炉容器内に設けられている。これまで、原子炉容器内の炉内構造物の取り替えは行われていなかった。これは、炉内構造物は、恒久的な構造物として長期の使用に耐えうるように設計・製作されたものであり、原子炉の予定使用期間内はその性能を発揮できるものだからである。また、海内においては、炉内構造物を構成するボルトなどの部品に異常、すなわち磨耗や損傷がある場合は、点検時に発見され、この異常がある部品のみを取り替えており、わが国においても同様の処置をすることとしていた。
【0003】
しかしながら、数十年にいたる長期使用により、炉内構造物の設計当初には想定されていなかった事象が生じる場合がある。また、予定使用期間を越えて引き続き原子炉の運転を継続する場合もある。上記の場合には原子炉の運転において高い安全性を維持するために炉内構造物を新品に取り替える必要が生じることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来は炉内構造物を取り替えることは想定していなかったので、炉内構造物を取り替える際に必要な技術は考案されていなかった。また、炉内構造物は、原子炉を運転することにより中性子等の照射を受けて放射能を帯びることとなる。さらに炉内構造物は、その重量が大きいとともに大型の構造物である。従って、通常の収納技術ではこれらの放射性を有する炉内構造物を安全に収納することができない。
【0005】
即ち、炉内構造物が発生させる放射線を十分に安全なレベルまで遮蔽できる保管容器にこの炉内構造物を収納するためには、この保管容器を原子炉格納容器内に搬入し、この原子炉容器内で吊り上げ、吊り下げ(揚重)する必要があるが、原子炉格納容器内の既存のポーラークレーン等の揚重設備では、重量物である保管容器の揚重が行えるようには設計されていないため、新たに揚重設備を設ける必要がある。
【0006】
上記問題点を解決する方法として、外部遮蔽壁の上部に揚重設備を設け、原子炉格納容器の天井部に保管容器を搬入できる開口部を設け、この開口部から揚重設備により吊り下げられた保管容器を原子炉容器内部に搬入し、炉内構造物を保管容器内に収納し、搬出する方法が提案されている。上記方法によれば、炉内構造物を保管容器に収納でき、炉内構造物が収納された保管容器を原子炉容器外に搬出することができる。
【0007】
しかし、上記方法では、原子炉容器に保管容器を搬入するための開口部を設けなければならず、また揚重設備を外部遮蔽壁の上部に設けるための大型クレーンなどが必要になり、炉内構造物を取り替えるために必要な作業期間が大幅に長くなるという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、炉内構造物の取替作業期間の短縮を図ることができ、炉内構造物を保管容器に収納する際に原子炉格納容器内の放射性物質による汚染を少なくすることができる炉内構造物の収納方法及びこれに用いる保管容器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、原子炉格納容器内に搬入された保管容器に炉内構造物を収納する炉内構造物の収納方法において、保管容器は、保管容器上蓋、保管容器本体及び保管容器底蓋により構成されており、原子炉格納容器のキャビティー内の水を排水しつつ、保管容器上蓋をキャビティー内の原子炉容器に挿入されている炉内構造物の上部に吊り下げる工程と、保管容器上蓋を炉内構造物に取り付ける工程と、保管容器本体を当該保管容器本体の下面が原子炉容器の上面に密着するように吊り下げる工程と、炉内構造物を保管容器上蓋とともに保管容器本体の内部に吊り上げる工程と、保管容器上蓋を保管容器本体に取り付ける工程と、保管容器本体を所定高さまで吊り上げる工程と、保管容器本体の下方に保管容器底蓋を配置する工程と、保管容器底蓋を吊り上げ、保管容器本体に取り付ける工程とを含み、保管容器本体を保管容器本体の下面が原子炉容器の上面に密着するように吊り下げた後、保管容器本体内の気体を抽気することを特徴とする
【0010】
この発明によれば、原子炉格納容器のキャビティー内の水を排水しつつ、保管容器上蓋をキャビティー内の原子炉容器に挿入されている炉内構造物の上部に吊り下げ、保管容器上蓋を炉内構造物に取り付け、保管容器本体を当該保管容器本体の下面が原子炉容器の上面に密着するように吊り下げ、炉内構造物を保管容器上蓋とともに保管容器本体の内部に吊り上げ、保管容器上蓋を保管容器本体に取り付け、保管容器本体を所定高さまで吊り上げ、保管容器本体の下方に保管容器底蓋を配置し、保管容器底蓋を吊り上げ、保管容器本体に取り付けるので、炉内構造物の取替作業期間の短縮を図ることができ、保管容器に収納する際に原子炉格納容器内の放射性物質による汚染を少なくすることができる。なお、ここで所定高さとは、保管容器底蓋を保管容器本体の下方に配置できる高さをいう。
【0011】
また、この発明は、請求項1に記載の炉内構造物の収納方法において、保管容器本体を当該保管容器本体の下端が原子炉容器の上端に密着するように吊り下げた後、保管容器本体内の気体を抽気することを特徴とする。
【0013】
また、この発明は、請求項1に記載の炉内構造物の収納方法において、保管容器本体及び保管容器上蓋に炉内構造物ガイド機構を設け、炉内構造物ガイド機構により保管容器上蓋に取り付けられた炉内構造物を保管容器本体に対してガイドしつつ当該保管容器本体の内部に吊り上げることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、保管容器本体及び保管容器上蓋に炉内構造物ガイド機構を設け、炉内構造物ガイド機構により保管容器上蓋に取り付けられた炉内構造物を保管容器本体に対してガイドしつつ当該保管容器本体の内部に吊り上げるので、炉内構造物を吊り上げる際にこの炉内構造物が回転することを防止できる。従って、炉内構造物が原子炉容器及び保管容器本体と干渉することを防止できるとともに、この炉内構造物を保管容器本体の内部の収納位置まで確実に且つ安全に吊り上げることができる。
【0015】
また、この発明は、請求項1または2に記載の炉内構造物の収納方法において、保管容器本体及び保管容器底蓋に底蓋ガイド機構を設け、底蓋ガイド機構により保管容器底蓋を保管容器本体に対してガイドしつつ吊り上げることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、保管容器本体及び保管容器底蓋に底蓋ガイド機構を設け、底蓋ガイド機構により保管容器底蓋を保管容器本体に対してガイドしつつ吊り上げるので、保管容器底蓋を保管容器本体に取り付ける位置に確実に吊り上げることができる。
【0017】
また、この発明は、請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法において、保管容器上蓋と保管容器本体を取り付けた後、少なくとも保管容器本体を吊り上げる所定高さまでキャビティー内に水を注水することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、保管容器上蓋と保管容器本体を取り付けた後、少なくとも保管容器本体を吊り上げる所定高さまでキャビティー内に水を注水するので、保管容器底蓋を取り付けていない保管容器本体下部から原子炉格納容器内に放射性物質が飛散することを防止することができる。なお、ここで所定高さとは、保管容器底蓋を保管容器本体の下方に配置できる高さをいう。
【0019】
また、この発明は、請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法において、保管容器本体の吊り上げ、吊り下げは、原子炉格納容器に揚重設備を設置し、当該揚重設備により行うことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、原子炉格納容器内に揚重設備を設置し、当該揚重設備により保管容器本体の吊り上げ、吊り下げを行うので、原子炉格納容器に開口部を設ける必要がなく、炉内構造物の取替作業期間の短縮を図ることができる。
【0021】
また、この発明は、請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法において、保管容器上蓋を炉内構造物に取り付けた後、キャビティー内に移動装置を設置するとともに、当該移動装置に保管容器底蓋を載置し、移動装置が移動することにより、保管容器底蓋を保管容器本体の下方に配置することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、保管容器上蓋を炉内構造物に取り付けた後、キャビティー内に移動装置を設置するとともに、当該移動装置に保管容器底蓋を載置し、移動装置が移動することにより、保管容器底蓋を保管容器本体の下方に配置するので、保管容器底蓋を保管容器本体に吊り上げるためにキャビティー内に作業員を配置する必要がなくなり、作業員が被爆する恐れを回避することができる。また、移動装置により保管容器底蓋を保管容器本体の下方に配置するので、炉内構造物の取替作業期間の短縮を図ることができる。
【0023】
また、この発明は、請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法において、炉内構造物を保管容器上蓋とともに保管容器本体の内部に吊り上げる際に、保管容器上蓋の下部に設けられたつば部が、保管容器本体の上部開口部の周囲に設けられた係止部に係止することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、炉内構造物を保管容器上蓋とともに保管容器本体の内部に吊り上げる際に、保管容器上蓋の下部に設けられたつば部が、保管容器本体の上部開口部の周囲に設けられた係止部に係止するので、保管容器上蓋を保管容器本体に取り付ける位置まで確実に吊り上げることができる。また、炉内構造物を保管容器本体に収納する位置まで確実に吊り上げることができる。
【0025】
また、この発明は、請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法において、保管容器底蓋を前記保管容器本体に取り付けた後、保管容器内の水を排水することを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、保管容器底蓋を前記保管容器本体に取り付けた後、保管容器内の水を排水するので、保管容器内に収納された炉内構造物に付着している水(残留水)を保管容器外に排出することができる。これにより、残留水が放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱により蒸発して水蒸気となることを軽減でき、この水蒸気による保管容器内圧力(内圧)の上昇を防止することができる。
【0027】
また、この発明は、請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納法において、保管容器底蓋を保管容器本体に取り付けた後、保管容器内を真空引きすることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、保管容器底蓋を保管容器本体に取り付けた後、保管容器内を真空引きするので、保管容器内に収納された放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱による保管容器内の気体が加熱されることで保管容器内圧力(内圧)が上昇することを防止できる。また、保管容器内の水(残留水)を排水する際に、この保管容器内を真空引きすることにより、残留水をさらに保管容器外に排出することができる。これにより、残留水が放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱により蒸発して水蒸気となることをさらに軽減でき、この水蒸気による保管容器内圧力(内圧)の上昇をさらに防止することができる。ここで、真空引きとは、保管容器内の圧力を大気圧以下にすることをいう。
【0029】
また、この発明は、請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納法において、保管容器本体と保管容器上蓋との当接面又は保管容器と保管容器底蓋との当接面の少なくともいずれか一方がラビリンス構造であることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、保管容器本体と保管容器上蓋との当接面又は保管容器本体と保管容器底蓋との当接面の少なくともいずれか一方がラビリンス構造であるので、保管容器内の放射性物質の漏洩を防止することができる。
【0031】
また、この発明は、請求項1〜10のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法において、保管容器本体と保管容器上蓋との間又は保管容器本体と保管容器底蓋との間の少なくともいずれか一方をシール部材でシールすることを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、保管容器本体と保管容器上蓋との間又は保管容器本体と保管容器底蓋との間の少なくともいずれか一方をシール部材でシールするので、保管容器内の放射性物質の漏洩をさらに防止することができる。
【0033】
また、この発明は、炉内構造物を収納する保管容器において、保管容器は、保管容器上蓋、保管容器本体及び保管容器底蓋により構成されており、保管容器上蓋の下部にはつば部が設けられ、つば部に突起を設け、当該突起が保管容器本体の内部長手方向に設けられた溝内を摺動し、つば部が保管容器本体の上部開口部の周囲に設けられた係止部に係止することを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、保管容器は、保管容器上蓋、保管容器本体及び保管容器底蓋により構成されており、保管容器上蓋の下部にはつば部が設けられ、当該つば部が保管容器本体の上部開口部の周囲に設けられた係止部に係止するので、保管容器上蓋を保管容器本体の取付位置に確実に取り付けることができる。また、炉内構造物を保管容器本体の収納位置に確実に収納することができる。
【0036】
この発明によれば、つば部に突起を設け、当該突起が保管容器本体の内部長手方向に設けられた溝内を摺動するので、保管容器上蓋に取り付けられた炉内構造物を保管容器本体に対してガイドしつつ当該保管容器本体の内部に吊り上げることができ、炉内構造物を吊り上げる際にこの炉内構造物が回転することを防止できる。従って、炉内構造物が原子炉容器及び保管容器本体と干渉することを防止できるとともに、この炉内構造物を保管容器本体の内部の収納位置まで確実に且つ安全に吊り上げることができる。
【0037】
また、この発明は、請求項12に記載の保管容器において、保管容器本体と保管容器上蓋との当接面又は保管容器本体と保管容器底蓋との当接面の少なくともいずれか一方がラビリンス構造であることを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、保管容器本体と保管容器上蓋との当接面又は保管容器本体と保管容器底蓋との当接面の少なくともいずれか一方がラビリンス構造であるので、保管容器内の放射性物質の漏洩を防止することができる。
【0039】
また、この発明は、請求項12または13に記載の保管容器において、保管容器本体と保管容器上蓋との間又は保管容器本体と保管容器底蓋との間の少なくともいずれか一方をシール部材でシールすることを特徴とする。
【0040】
この発明によれば、保管容器本体と保管容器上蓋との間又は保管容器本体と保管容器底蓋との間の少なくともいずれか一方をシール部材でシールするので、保管容器内の放射性物質の漏洩をさらに防止することができる。
【0041】
また、この発明は、請求項1214のいずれか一つに記載の保管容器において、保管容器には、保管容器内の水を排水するための排水ドレン穴が設けられていることを特徴とする。
【0042】
この発明によれば、保管容器にこの保管容器内の水を排水するための排水ドレン穴を設けるので、保管容器内に収納された炉内構造物に付着している水(残留水)を保管容器外に排出することができる。これにより、残留水が放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱により蒸発して水蒸気となることを軽減でき、この水蒸気による保管容器内圧力(内圧)の上昇を防止することができる。
【0043】
また、この発明は、請求項1215のいずれか一つに記載の保管容器において、保管容器には、保管容器内を真空引きするための真空引き用ノズルが設けられていることを特徴とする。
【0044】
この発明によれば、保管容器に当該保管容器内を真空引きするための真空引き用ノズルを設けるので、保管容器内に収納された放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱による保管容器内の気体が加熱されることで保管容器内圧力(内圧)が上昇することを防止できる。また、保管容器内の水(残留水)を排水する際に、この保管容器内を真空引きすることにより、残留水をさらに保管容器外に排出することができる。これにより、残留水が放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱により蒸発して水蒸気となることをさらに軽減でき、この水蒸気による保管容器内圧力(内圧)の上昇をさらに防止することができる。ここで、真空引きとは、保管容器内の圧力を大気圧以下にすることをいう。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0046】
図1は、原子力プラントの原子炉の概略構成例を示す図であり、図2は、原子力プラントの原子炉の要部断面図を示す図である。図1及び図2に示すように、この原子炉10は、外周を外部遮蔽壁11に覆われた原子炉格納容器20内に原子炉容器30が設けられており、この原子炉容器30内に炉内構造物40が挿入されている。この原子炉容器30は、オペレーションフロア13に設けられたキャビティー12の底部に挿入されており、このキャビティー12内には、後述する上部炉内構造物(UCI)を仮置きするUCIスタンド70及び後述する下部炉内構造物(LCI)を仮置きするLCIスタンド80が取り付けられている。
【0047】
また、原子炉格納容器20のオペレーションフロア13上には、炉内構造物40内の原子炉用の燃料集合体を取り替えるための燃料取替クレーン90、原子炉10内で発生した熱エネルギーを発電に必要な蒸気に変換する蒸気発生器100(同図では、2個)が設置されている。また、原子炉格納容器20内の上部には、この原子炉格納容器20内における作業に使用するポーラークレーン110が回動自在に支持されている。なお、14は原子炉10の出入口、15は、出入口遮蔽壁である。
【0048】
図3は、原子炉容器の構成例を示す図である。同図に示すように、原子炉容器30は、その内部に炉内構造物40が挿入できるように原子炉容器本体31とその上部の原子炉容器蓋32により構成されている。原子炉容器本体31の外側面上部には、入口ノズル31a及び出口ノズル31bが設けられ、内側面下部には後述する下部炉内構造物のラジアルサポート31cが設けられている。原子炉容器蓋32は、原子炉容器本体31に原子炉容器固定ボルト33により固定されている。この原子炉容器蓋32の上部には、後述する上部炉内構造物の制御棒クラスタ案内管に連通する複数のノズル32aが設けられている。なお、図示は省略するが、原子炉容器蓋32の各ノズル32aには、燃料集合体内の制御棒クラスタを駆動する複数の制御棒クラスタ駆動装置が取り付けられている。
【0049】
炉内構造物40は、上部炉内構造物50と下部炉内構造物60により構成されている。制御棒クラスタ案内管54は中空であり、その内部に燃料集合体の制御棒クラスタを駆動する図示しない制御棒クラスタ駆動装置の駆動軸が挿入されている。なお、55、56は、それぞれ燃料集合体内に配置された熱電対を引き出す熱電対引出管、熱電対引出管支持柱である。
【0050】
下部炉内構造物60は、図3に示すように炉心槽61、下部炉心支持板62等により構成されている。炉心槽61の外周上部には原子炉容器本体31の出口ノズル31bに対応する位置に出口ノズル61aが設けられ、炉心槽61内部には燃料集合体が配置される。61fは図示しない照射試験片を挿入する照射試験片案内管である。
【0051】
下部炉心支持板62は、炉心槽61の下端に位置し、その外周部には原子炉容器本体31のラジアルサポート31cに嵌合する複数のラジアルサポートキー62aが設けられている。
【0052】
炉内構造物40を原子炉容器30に挿入する際は、上記下部炉内構造物60を原子炉容器本体31内に挿入した後、複数個の燃料集合体をこの下部炉内構造物60の炉心槽61内に装填する。そして、上部炉内構造物50を下部炉内構造物60内に挿入し、原子炉容器蓋32を原子炉容器本体31の上部に原子炉容器固定ボルト33で固定し、この原子炉容器蓋32のノズル32aに図示しない制御棒クラスタ駆動装置を取り付ける。なお、原子力プラント運転中においては、原子炉格納容器20のキャビティー12内には、水Wが注入されている。
【0053】
図4は、この発明にかかる保管容器の構成例を示す図であり、同図(a)は保管容器の上蓋、同図(b)は保管容器の本体、同図(c)は保管容器の底蓋の構成例を示す要部断面図である。また、同図(d)は同図(a)のO−O矢視図、同図(e)は同図(b)のP−P断面図である。同図に示すように、保管容器1は、保管容器上蓋2、保管容器本体3、保管容器底蓋4により構成されている。
【0054】
保管容器上蓋2は、同図(a)及び(d)に示すように、その下部につば部2aが設けられており、このつば部2aの外径は、保管容器本体3の内径d1とほぼ同一である。また、保管容器上蓋2の上部には、この保管容器上蓋2を吊り上げるための吊治具受け部材2b(同図では、3個)が取り付けられている。
【0055】
保管容器本体3は、同図(b)及び(e)に示すように、中空部3aを有し、その上端部には保管容器上蓋2の外径d2とほぼ同一の径である上部開口部3bが設けられており、その下端部にはその断面が階段状である下部開口部3cが設けられている。また、上部開口部3bの周囲には、上記保管容器上蓋2のつば部2aを係止する係止部3dが設けられている。さらに、保管容器本体3の外周上部及び外周下部の所定位置に脱着可能なトラニオン3e(同図では、4個)が取り付けられている。なお、3gは排水ドレン穴、3hは真空引き用ノズルである。
【0056】
ここで、同図(d)及び(e)に示すように、保管容器上蓋2のつば部2aの外側には、突起2c(図では4個)が設けられており、保管容器本体3の中空部3aの側面には、この突起2cに対応した溝3f(図では4個)が設けられている。炉内構造物40を保管容器上蓋2とともに保管容器本体3内に収納する際には、保管容器上蓋2の突起2cが保管容器本体3の溝3fを摺動しながら吊り上げが行われる。
【0057】
保管容器底蓋4は、円板状であり、その断面が上記保管容器本体3の下部開口部3cに対応するように階段状となっている。なお、上記保管容器1は、その内部に中性子等の照射を受けて放射能を帯びた炉内構造物40を収納するため放射線の遮蔽に必要な厚さを有し、且つ耐熱性のある鋼製(例えば、炭素鋼など)の容器である。
【0058】
以下に、本発明にかかる炉内構造物の収納方法について説明する。なお、本炉内構造物の収納方法においては、予め制御棒クラスタ駆動装置を取り外しており、原子炉容器30の原子炉容器蓋32を原子炉容器本体31から取り外しているものとする。また、使用済み燃料集合体及び照射試験片案内管61f内に収納されている照射試験片を取り外し、必要に応じ熱電対引出管支持柱56とともに取り外しているものとする(図3参照)。
【0059】
まず、保管容器上蓋を炉内構造物の上部に吊り下げる工程について説明する。図5は、キャビティー内に保管容器上蓋を吊り下げた状態を示す図である。同図に示すように、まず原子炉格納容器20内に搬入した保管容器1の保管容器上蓋2をポーラークレーン110により吊り上げる。吊り上げた保管容器上蓋2をその中心と炉内構造物40の中心が一致するように移動させる。
【0060】
ポーラークレーン110により保管容器上蓋2の移動が終了した後、同図に示すように、保管容器上蓋2を炉内構造物40の上部に吊り下げる。このとき、キャビティー12内にある水Wが保管容器上蓋2に接触しないように、この保管容器上蓋2の吊り下げに連動してキャビティー12内の水をキャビティー12の外部に排水する。なお、キャビティー12内に注入されている水Wは、放射能汚染されている水である。
【0061】
次に、保管容器上蓋を炉内構造物に取り付ける工程について説明する。図6は、炉内構造物に保管容器上蓋を取り付けた状態を示す図であり、同図(a)は原子炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のA部分拡大図である。同図(b)に示すように、まず炉内構造物40の上部に吊り下げられた保管容器上蓋2を炉内構造物取付ボルト2dにより炉内構造物40に取り付ける。すなわち、炉内構造物取付ボルト2dにより、上部炉内構造物50と下部炉内構造物60を保管容器上蓋2に固定する。なお、炉内構造物取付ボルト2dが貫通する貫通孔は、予め貫通孔を上部炉内構造物50に設けても良いし、上部炉内構造物50を吊り上げるための図示しない吊り上げ用リグのネジ穴を加工して貫通孔としても良い。ここで、保管容器上蓋2を炉内構造物40に取り付ける際には、キャビティー12内は除染されており、このキャビティー12の底部は養生されている。次に、保管容器上蓋2の吊治具受け部材2bに上蓋吊治具2eを取り付ける。
【0062】
次に、保管容器底蓋を保管容器本体の下方に配置するための移動装置の設置について説明する。図7は、キャビティー内に移動装置を設置した状態を示す図であり、同図(a)はキャビティーの平面図、同図(b)は原子炉格納容器の要部断面図、同図(c)は同図(b)のB部分拡大図である。同図(a)及び(b)に示すように、まずキャビティー12の底部に走行台車などの移動装置120がキャビティー12内を左右方向に移動できるように走行用レール121を設置する。この走行用レール121上に左右方向に移動できる、すなわち横行できる移動装置120を設置する。ここで、移動装置120を設置する位置は、この移動装置120が原子炉容器30上に被らない位置に設置する。
【0063】
この設置された移動装置120の上に図示しないポーラークレーン110により、円盤状の原子炉容器遮蔽板130を吊り下げて載置し、さらにこの原子炉容器遮蔽板130の上に原子炉格納容器内に搬入した保管容器底蓋4を吊り下げて載置する。そして、同図(a)及び(c)に示すように、移動装置120の上に載置された保管容器底蓋4のつば部の外周の所定位置に上方に突出するガイドピン141(同図では、3箇所)を取り付ける。なお、142は、ガイドピン141に設けられたすきま確認用スケールである。また、12aは、後述する保管容器本体3に保管容器底蓋4を取り付ける際に使用するすきま確認用カメラ(同図では、3個)である。また、122は、移動装置120を横行させるための横行用ワイヤである。この横行用ワイヤ122は、図示しない横行用ワイヤ巻取装置(例えば、ワイヤジャッキ等)により巻き取ることができる。
【0064】
次に、揚重設備の設置について説明する。図8は、原子炉格納容器内に揚重設備を設置した状態を示す図である。同図に示すように、まずキャビティー12の内に移動装置120の横行に支障がない高さでキャビティー12内に発生するダストを防止するためのダスト防止用グリーンハウス12bを設置する。次に、キャビティー12を覆うように仮設床13bを敷設する。次に揚重設備150を仮設床13b上に設置する。
【0065】
この揚重設備150は、揚重用ジャッキ151a、151b、151c及びホイスト152により構成されている。各揚重用ジャッキ151a、151b、151cには、それぞれ揚重用ワイヤ(又はチェーン)153a、153b、153cが接続されている。なお、揚重設備150は、図示しないポーラークレーン110よりも高い巻上能力を有するものである。また、各揚重用ワイヤ153a、153b、153cの先端には、揚重用ワイヤフック154a、154b、154cが取り付けられている。さらに、揚重用ワイヤフック154a、154cには、保管容器本体3を吊り上げるための本体吊治具155a、155bが取り付けられている。
【0066】
次に、保管容器本体を原子炉容器に吊り下げる工程について説明する。図9は、揚重設備により保管容器を吊り上げた状態を示す図である。図9に示すように、まず原子炉格納容器20内に搬入した保管容器本体3の外周上部に取り付けられたトラニオン3e、3eと揚重用ワイヤ153a、153cの本体吊治具155a、155bを連結させた後、揚重用ジャッキ151a、151cを駆動することで、保管容器本体3を吊り上げる。次に保管容器本体3を原子炉格納容器20内に搬入する際に使用した保管容器仮底蓋3iを取り外す。
【0067】
図10は、オペレーションフロアの仮設床の一部を取り外した状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のC−C断面図、同図(c)は同図(a)のD部分拡大図である。同図(b)及び(c)に示すように、保管容器本体3の外周下部に保管容器底蓋4に取り付けられたガイドピン141に対応する位置にガイドブッシュ143(同図では3個所)を取り付ける。そして、保管容器本体3の下方の仮設床13bの一部13b´をホイスト152により取り外す。ここで、取り外す仮設床13b´の範囲は、キャビティー12内に保管容器本体3を吊り下げることができる程度である。なお、3jは、後述する保管容器本体3に保管容器底蓋4を取り付ける際に使用するガイドピン挿入用カメラである。このガイドピン挿入用カメラ3jは、各ガイドブッシュ143に対応するように保管容器本体3に取り付けられている。仮設床13b´の取り外しが終了した後、揚重設備150の揚重用ジャッキ151bを駆動して、揚重用ワイヤ153bの揚重用ワイヤフック154bを保管容器本体3の中空部3aを通過させてキャビティー12内に吊り下げる。
【0068】
図11は、揚重用ワイヤフックと上蓋吊治具が接続した状態を示す図である。図11に示すように、キャビティー12内に吊り下げられた揚重用ワイヤフック154bと上蓋吊治具2eを接続する。揚重用ワイヤフック154bと上蓋吊治具2eを接続した後、揚重用ジャッキ151a、151cを駆動することにより、揚重用ワイヤ153a、153c及び本体吊治具155a、155bを介して、保管容器本体3をキャビティー12内に吊り下げる。
【0069】
図12は、保管容器本体を原子炉容器に吊り下げた状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のE部分拡大図、同図(c)は同図(a)のF−F断面図、同図(d)は同図(a)のG−G断面図である。同図(a)に示すように、キャビティー12内に吊り下げられた保管容器本体3は、原子炉容器30の上に吊り下げられる。すなわち、同図(b)に示すように、保管容器本体3の下面が原子炉容器30(原子炉容器本体31)の上面に密着するように保管容器本体3を吊り下げる。ここで、保管容器本体3の吊り下げは、保管容器本体3を保管容器上蓋2の直上まで吊り下げた際に、図3に示す保管容器本体3の溝3f内に保管容器上蓋2の突起2cが挿入されていることを確認した後、さらに原子炉容器30の上面まで吊り下げる。このとき、保管容器上蓋2及び炉内構造物40を吊り上げる際に、原子炉容器本体31の上面と保管容器本体3の下面のすきまからの放射性物質の漏洩を防止するために、保管容器本体3により原子炉容器本体31の上面に荷重をかける。
【0070】
保管容器本体3を原子炉容器30の上に吊り下げた後、同図(a)及び(c)に示すように、保管容器本体3の外周上部の所定個所に底蓋用ワイヤ123(同図では、3箇所)を取り付ける。なお、この底蓋用ワイヤ123は、予め図示しない底蓋用ワイヤ巻取装置(例えば、ワイヤジャッキ等)に接続されている。
【0071】
底蓋用ワイヤ123を取り付けた後、同図(a)に示すように、ダスト防止用グリーンハウス12bにキャビティー12とダスト防止用グリーンハウス12bの間の気体を抽気する排気ダクト161を接続する。排気ダクト161を接続した後、保管容器本体3の外周下部とダスト防止用グリーンハウス12bとの間にジャバラ式シート12cを取り付ける。
【0072】
そして、同図(d)に示すように、保管容器本体3の外周上部と仮設床13bとの間に鉛などにより形成された保管容器遮蔽板13dを取り付け、ジャバラ式シート13eを保管容器本体3の外周上部と保管容器遮蔽板13dの間に取り付ける。保管容器遮蔽板13d、ジャバラ式シート13eを取り付けた後、保管容器本体3の上部に汚染防止用グリーンハウス13cを取り付ける。これにより、炉内構造物40を保管容器上蓋2とともに吊り上げる際に、保管容器本体3の上部開口部3bから飛散する放射性物質が原子炉格納容器20内に漏洩することを防止できる。
【0073】
汚染防止用グリーンハウス13cを取り付けた後、図示しない揚重用ジャッキ151bを駆動することにより、揚重用ワイヤ153bの揚重用ワイヤフック154bに接続された上蓋吊治具2e、保管容器上蓋2及びこの保管容器上蓋2に取り付けられた炉内構造物40を保管容器本体3の中空部3a内に吊り上げる。このとき、図3に示す保管容器上蓋2の突起2cが保管容器本体3の溝3f内を摺動するので、保管容器上蓋2に取り付けられた炉内構造物40を保管容器本体3に対してガイドしつつ当該保管容器本体3の中空部3a内に吊り上げることができる。つまり、保管容器上蓋2の突起2cと保管容器本体3の溝3fにより構成されている炉内構造物ガイド機構により、炉内構造物40を吊り上げる際に、この炉内構造物40が回転することを防止でき、炉内構造物40が原子炉容器30及び保管容器本体3と干渉することを防止できるとともに、この炉内構造物40を保管容器本体3の中空部3a内の収納位置まで確実に且つ安全に吊り上げることができる。なお、本実施形態では、突起2cをつば部2aに設けたがこれに限定されるものではなく、このつば部2aの上部又は下部に設けても良い。
【0074】
次に、炉内構造物を保管容器上蓋とともに保管容器本体の内部に吊り上げる工程について説明する。図13は、炉内構造物を保管容器本体の内部に吊り上げた状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のH部分拡大図である。炉内構造物40を保管容器本体3に吊り上げる際、同図(b)に示すように、保管容器上蓋2の下部に設けられたつば部2aが、保管容器本体3の上部開口部3bの周囲に設けられた係止部3dに係止する。これにより、炉内構造物40を保管容器本体3の内部、すなわち中空部3aに確実に吊り上げることができるとともに、炉内構造物40を保管容器本体3の収納位置に確実に収納することができる。
【0075】
炉内構造物40を保管容器本体3の内部に吊り上げ収納する前に、保管容器上蓋2に排気ダクト162を接続し、保管容器上蓋2及び保管容器本体3の中空部3aの放射性物質を含む気体の抽気を開始する。この排気ダクト162は、図示しない気体中の放射性物質を除去する除去装置に接続されている。なお、排気ダクトの本数は、保管容器本体3内の放射性物質の量に応じてその本数を増減しても良い。
【0076】
次に、保管容器上蓋を保管容器本体に取り付ける工程について説明する。図14は、保管容器上蓋を保管容器本体に取り付けた状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のI部分拡大図である。まず、図示しない保管容器本体3の上部の汚染防止用グリーンハウス13cを取り外す。次に、上蓋吊治具2eと保管容器上蓋2とを切り離し、上蓋吊治具2eを取り外す。
【0077】
同図(b)に示すように、保管容器上蓋2を上蓋取付ボルト2fにより保管容器本体3に取り付ける。そして、保管容器上蓋2と保管容器本体3との間をシール部材170でシールする。つまり、保管容器上蓋2の外周と保管容器本体3の上面を覆うようにシール部材170でシールする。これにより、保管容器上蓋2と保管容器本体3の当接面から保管容器本体3の内部の放射性物質が漏洩することを防止することができる。保管容器上蓋2と保管容器本体3との間をシールした後、揚重用ジャッキ151a、151cを駆動することにより、揚重用ワイヤ153a、153c及び本体吊治具155a、155bを介して保管容器本体3を所定の高さまで吊り上げる。
【0078】
次に、保管容器本体を所定の高さまで吊り上げる工程及び保管容器本体の下方に保管容器底蓋を配置する工程について説明する。図15は、保管容器本体を所定の高さまで吊り上げた状態を示す図であり、同図(a)はキャビティーの平面図、同図(b)は炉格納容器の要部断面図である。同図(b)に示すように、保管容器本体3を吊り上げる高さは、少なくともこの保管容器本体3の下面に対して移動装置120に載置されている原子炉容器遮蔽板130に取り付けられたガイドピン141が接触しない高さまで吊り上げる。なお、保管容器本体3を吊り上げることで、ジャバラ式シート12c及びジャバラ式シート13eが伸びる。そして、排気ダクト161により、キャビティー12とダスト防止用グリーンハウス12bの間の気体の抽気を開始する。なお、この排気ダクト161は、図示しない気体中の放射性物質を除去する除去装置に接続されている。
【0079】
保管容器本体3を所定の高さまで吊り上げた後、オペレーションフロア13上に設けられた図示しない横行用巻取装置を駆動し横行用ワイヤ122を介して移動装置120を横行させ、同図(a)及び(b)に示すように、保管容器本体3の下方に保管容器底蓋4を配置する。ここで、キャビティー12内の各すきま確認用カメラ12aは、保管容器底蓋4の各ガイドピン141を撮影できるように配置されている。保管容器底蓋4を保管容器本体3の下方に配置した後、揚重用ジャッキ151a、151cを駆動することにより、揚重用ワイヤ153a、153c及び本体吊治具155a、155bを介して保管容器本体3を吊り下げる。
【0080】
次に、保管容器底蓋をガイド機構により保管容器本体に吊り上げる工程及び保管容器本体に取り付ける工程について説明する。図16は、ガイドピンがガイドブッシュに挿入された状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のJ部分拡大図である。同図(b)に示すように、保管容器本体3の吊り下げは、保管容器本体3のガイドブッシュ143に保管容器底蓋4のガイドピン141が挿入するまで行う。このとき、同図(a)及び(b)に示すように、ガイドブッシュ143にガイドピン141が挿入していることを、ガイドピン挿入用カメラ3jからの映像をオペレーションフロア13(仮設床13b)上のモニタ13gに表示することにより確認する。このガイドピン141がガイドブッシュ143に挿入されたことを確認した後、底蓋用巻取装置を駆動することにより、底蓋用ワイヤ123を介して保管容器底蓋4を吊り上げる。つまり、保管容器底蓋4のガイドピン141と保管容器本体3のガイドブッシュ143により構成されている底蓋ガイド機構により、保管容器底蓋4を保管容器本体3に対してガイドしつつ吊り上げるので、保管容器底蓋4を保管容器本体3に取り付ける位置に確実に吊り上げることができる。
【0081】
図17は、保管容器底蓋を保管容器本体に吊り上げた状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のK部分拡大図である。同図(b)に示すように、保管容器底蓋4の吊り上げは、保管容器底蓋4が保管容器本体3に密着するまで行う。このとき、同図(a)及び(b)に示すように、すきま確認用スケール142を用いて保管容器底蓋4が保管容器本体3に密着していることをすきま確認用カメラ12aを介してオペレーションフロア13(仮設床13b)上のモニタ13gに表示することで確認する。なお、保管容器本体3の下部開口部3cと保管容器底蓋4の当接面は、図4に示すように、ともに階段状であり、この当接面がラビリンス構造となっているので、保管容器本体3と保管容器底蓋4の間から、保管容器本体3の内部の放射性物質の漏洩が防止できる。
【0082】
保管容器底蓋4を保管容器本体3に密着するまで吊り上げた後、キャビティー12内の線量当量率を計測し、安全に作業することができることを確認する。次に、同図(a)に示すように作業員180をキャビティー12内に配置し、当該作業員180が同図(b)に示すように保管容器底蓋4を底蓋取付ボルト3kで保管容器本体3に取り付けるとともに、保管容器底蓋4から底蓋用ワイヤ123を切り離す。
【0083】
図18は、原子炉容器遮蔽板を原子炉容器に吊り下げた状態を示す図である。同図に示すように、原子炉容器遮蔽板130を遮蔽板用チェーンブロック190により吊り下げる。次に作業員180により移動装置120を設置時の位置まで横行させる。なお、図17に示す状態で取り付けられていたジャバラ式シート12c、ジャバラ式シート13eは取り外されている。次に、排気ダクト161を取り外し、キャビティー12とダスト防止用グリーンハウスの間の気体の抽気を終了する。
【0084】
図19は、原子炉容器遮蔽板を原子炉容器に吊り下げた状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のL部分拡大図である。同図(a)及び(b)に示すように、原子炉容器遮蔽板130を原子炉容器30(原子炉容器本体31)の上面に載置することで、キャビティー12内に原子炉容器30から放射性物質が飛散することを防止する。次に揚重用ジャッキ151a、151c(図示省略)を駆動することにより、揚重用ワイヤ153a、153c及び本体吊治具155a、155bを介して保管容器1をオペレーションフロア13まで吊り上げる。次に、図示しない排気ダクト162を取り外し、保管容器本体3内の気体の抽気を終了する。なお、図18に示す状態で取り付けられていた保管容器遮蔽板13dは、仮設床13bから取り外されている。
【0085】
図20は、オペレーションフロアに載置された保管容器を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のM部分拡大図、同図(c)は同図(a)のN−N断面図である。同図(a)示すように、保管容器1がオペレーションフロア13上に吊り上げられた後、揚重設備150のホイスト152により、仮設床13b´をキャビティー12の上部に戻し、保管容器1を載置台13hを介して仮設床13bの上に載置する。載置された保管容器1の保管容器本体3の外周下部に、同図(a)に示すように、保管容器遮蔽板13dを取り付ける。保管容器遮蔽板13dを取り付けた後、図(b)に示すように、保管容器底蓋4と保管容器本体3との間をシール部材170でシールする。これにより、保管容器底蓋4と保管容器本体3の当接面から保管容器本体3の内部の放射性物質が漏洩することを防止することができる。なお、保管容器底蓋4を確実に保管容器本体3に取り付けるため、底蓋取付ボルト3kとは別個に設けた固定ボルトにより保管容器底蓋4を保管容器本体3に固定しても良い。この場合は、保管容器底蓋4と保管容器本体3との間をシールする前に、固定ボルトにより保管容器底蓋4を保管容器本体3に固定することとなる。以上により、炉内構造物40は、保管容器1内に収納される。
【0086】
以上により、炉内構造物40は、保管容器1内に収納される。なお、炉内構造物40が収納された保管容器1は、この保管容器1に設けられた排水ドレン穴3gより、保管容器1に収納された炉内構造物40に付着した水(残留水)を保管容器1外に排出したことを確認した後、原子炉格納容器20の外部へ搬出される。
【0087】
また、炉内構造物40が収納された保管容器1内をこの保管容器1の真空引き用ノズル3hと図示しない真空排気設備を接続して真空引きし、保管容器1内を乾燥させても良い。これにより、放射能を帯びた炉内構造物40からの崩壊熱による保管容器1内の気体(空気又は窒素等)及び水分(残留水)が加熱されることで保管容器内圧力(内圧)が上昇することを防止できる。これにより、保管容器1の保管場所におけるこの保管容器1の保管・管理を容易することができる。
【0088】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、保管容器上蓋2を保管容器本体3に取り付けた後(図13参照)、保管容器本体3を吊り上げる際に、キャビティー12内に水を注水しても良い。この場合は、キャビティー12内に水を注水することにより、保管容器本体3の内部の放射性物質が下部開口部3cから飛散することがない。従って、ダスト防止用グリーンハウス12b、ジャバラ式シート12c、13eなどを設ける必要がなくなる。
【0089】
また、本実施形態では炉内構造物ガイド機構は保管容器上蓋2の突起2cと保管容器本体3の溝3fにより構成されているが、これに限定されるものではなく、他の構成であっても良い。図21は、本発明にかかる炉内構造物ガイド機構の他の構成例を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、図(b)は同図(a)のQ部分拡大図、同図(c)は同図(a)のR部分拡大図、図(d)は同図(b)のS−S断面図である。同図に示すように、予め照射試験片案内管61f内に収納されている照射試験片を取り外した際に、この照射試験片案内管61f内にガイド棒200を挿入する。同図(b)に示すように、上部炉内構造物50及び下部炉内構造物60の外周の所定個所には、予め照射試験片の取り付け、取り外しを行うための溝が設けられている。同様に、同図(d)に示すように、原子炉容器30の張出部33にも溝33aが設けられている。
【0090】
保管容器上蓋2に取り付けられた炉内構造物40を保管容器本体3の中空部3a内に吊り上げる際には、ガイド棒200が原子炉容器30の溝33a内を摺動するので、保管容器上蓋2に取り付けられた炉内構造物40を保管容器本体3(原子炉容器30)に対してガイドしつつ当該保管容器本体3の中空部3a内に吊り上げることができる。つまり、ガイド棒200と原子炉容器30の溝33aにより構成されている炉内構造物ガイド機構により、炉内構造物40を吊り上げる際に、この炉内構造物40が回転することを防止でき、炉内構造物40が原子炉容器30及び保管容器本体3と干渉することを防止できるとともに、この炉内構造物40を保管容器本体3の中空部3a内の収納位置まで確実に且つ安全に吊り上げることができる。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、原子炉格納容器のキャビティー内の水を排水しつつ、保管容器上蓋をキャビティー内の原子炉容器に挿入されている炉内構造物の上部に吊り下げ、保管容器上蓋を炉内構造物に取り付け、保管容器本体を当該保管容器本体の下面が原子炉容器の上面に密着するように吊り下げ、炉内構造物を保管容器上蓋とともに保管容器本体の内部に吊り上げ、保管容器上蓋を保管容器本体に取り付け、保管容器本体を所定高さまで吊り上げ、保管容器本体の下方に保管容器底蓋を配置し、保管容器底蓋を吊り上げ、保管容器本体に取り付けるので、炉内構造物の取替作業期間の短縮を図ることができ、保管容器に収納する際に原子炉格納容器内の放射性物質による汚染を少なくすることができる。また、保管容器本体を当該保管容器本体の下端が原子炉容器の上端に密着するように吊り下げた後、保管容器本体内の気体を抽気するので、当該保管容器本体内の放射性物質の漏洩を防止することができる。
【0093】
また、請求項に記載の発明によれば、保管容器本体及び保管容器上蓋に炉内構造物ガイド機構を設け、炉内構造物ガイド機構により保管容器上蓋に取り付けられた炉内構造物を保管容器本体に対してガイドしつつ当該保管容器本体の内部に吊り上げるので、炉内構造物を吊り上げる際にこの炉内構造物が回転することを防止できる。従って、炉内構造物が原子炉容器及び保管容器本体と干渉することを防止できるとともに、この炉内構造物を保管容器本体の内部の収納位置まで確実に且つ安全に吊り上げることができる。
【0094】
また、請求項に記載の発明によれば、保管容器本体及び保管容器底蓋に底蓋ガイド機構を設け、底蓋ガイド機構により保管容器底蓋を保管容器本体に対してガイドしつつ吊り上げるので、保管容器底蓋を保管容器本体に取り付ける位置に確実に吊り上げることができる。
【0095】
また、請求項に記載の発明によれば、保管容器上蓋と保管容器本体を取り付けた後、少なくとも保管容器本体を吊り上げる所定高さまでキャビティー内に水を注水するので、保管用容器底蓋を取り付けていない保管容器本体下部から原子炉格納容器内に放射性物質が飛散することを防止することができる。
【0096】
また、請求項に記載の発明によれば、原子炉格納容器内に揚重設備を設置し、当該揚重設備により保管容器本体の吊り上げ、吊り下げを行うので、原子炉格納容器に開口部を設ける必要がなく、炉内構造物の取替作業期間の短縮を図ることができる。
【0097】
また、請求項に記載の発明によれば、保管容器上蓋を炉内構造物に取り付けた後、キャビティー内に移動装置を設置するとともに、当該移動装置に保管容器底蓋を載置し、移動装置が移動することにより、保管容器底蓋を保管容器本体の下方に配置するので、保管容器底蓋を保管容器本体に吊り上げるためにキャビティー内に作業員を配置する必要がなくなり、作業員が被爆する恐れを回避することができる。また、移動装置により保管容器底蓋を保管容器本体の下方に配置するので、炉内構造物の取替作業期間の短縮を図ることができる。
【0098】
また、請求項に記載の発明によれば、炉内構造物を保管容器上蓋とともに保管容器本体の内部に吊り上げる際に、保管容器上蓋の下部に設けられたつば部が、保管容器本体の上部開口部の周囲に設けられた係止部に係止するので、保管容器上蓋を保管容器本体に取り付ける位置まで確実に吊り上げることができる。また、炉内構造物を保管容器本体に収納する位置まで確実に吊り上げることができる。
【0099】
また、請求項に記載の発明によれば、保管容器底蓋を前記保管容器本体に取り付けた後、保管容器内の水を排水するので、保管容器内に収納された炉内構造物に付着している水(残留水)を保管容器外に排出することができる。これにより、残留水が放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱により蒸発して水蒸気となることを軽減でき、この水蒸気による保管容器内圧力(内圧)の上昇を防止することができる。
【0100】
また、請求項に記載の発明によれば、保管容器底蓋を保管容器本体に取り付けた後、保管容器内を真空引きするので、保管容器内に収納された放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱による保管容器内の気体が加熱されることで保管容器内圧力(内圧)が上昇することを防止できる。また、保管容器内の水(残留水)を排水する際に、この保管容器内を真空引きすることにより、残留水をさらに保管容器外に排出することができる。これにより、残留水が放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱により蒸発して水蒸気となることさらに軽減でき、この水蒸気による保管容器内圧力(内圧)の上昇をさらに防止することができる。
【0101】
また、請求項10に記載の発明によれば、保管容器本体と保管容器上蓋との当接面又は保管容器本体と保管容器底蓋との当接面の少なくともいずれか一方がラビリンス構造であるので、保管容器内の放射性物質の漏洩を防止することができる。
【0102】
また、請求項11に記載の発明によれば、保管容器本体と保管容器上蓋との間又は保管容器本体と保管容器底蓋との間の少なくともいずれか一方をシール部材でシールするので、保管容器内の放射性物質の漏洩をさらに防止することができる。
【0103】
また、請求項12に記載の発明によれば、保管容器を保管容器上蓋、保管容器本体及び保管容器底蓋により構成し、保管容器上蓋の下部にはつば部が設けられ、当該つば部が保管容器本体の上部開口部の周囲に設けられた係止部に係止するので、保管容器上蓋を保管容器本体の取付位置に確実に取り付けることができる。また、炉内構造物を保管容器本体の収納位置に確実に収納することができる。また、つば部に突起を設け、当該突起が保管容器本体の内部長手方向に設けられた溝内を摺動するので、保管容器上蓋に取り付けられた炉内構造物を保管容器本体に対してガイドしつつ当該保管容器本体の内部に吊り上げることができ、炉内構造物を吊り上げる際にこの炉内構造物が回転することを防止できる。従って、炉内構造物が原子炉容器及び保管容器本体と干渉することを防止できるとともに、この炉内構造物を保管容器本体の内部の収納位置まで確実に且つ安全に吊り上げることができる。
【0105】
また、請求項13に記載の発明によれば、保管容器本体と保管容器上蓋との当接面又は保管容器本体と保管容器底蓋との当接面の少なくともいずれか一方がラビリンス構造であるので、保管容器内の放射性物質の漏洩を防止することができる。
【0106】
また、請求項14に記載の発明によれば、保管容器本体と保管容器上蓋との間又は保管容器本体と保管容器底蓋との間の少なくともいずれか一方をシール部材でシールするので、保管容器内の放射性物質の漏洩をさらに防止することができる。
【0107】
また、請求項15に記載の発明によれば、保管容器にこの保管容器内の水を排水するための排水ドレン穴を設けるので、保管容器内に収納された炉内構造物に付着している水(残留水)を保管容器外に排出することができる。これにより、残留水が放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱により蒸発して水蒸気となることを軽減でき、この水蒸気による保管容器内圧力(内圧)の上昇を防止することができる。
【0108】
また、請求項16に記載の発明によれば、保管容器に当該保管容器内を真空引きするための真空引き用ノズルを設けるので、保管容器内に収納された放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱による保管容器内の気体が加熱されることで保管容器内圧力(内圧)が上昇することを防止できる。また、保管容器内の水(残留水)を排水する際に、この保管容器内を真空引きすることにより、残留水をさらに保管容器外に排出することができる。これにより、残留水が放射能を帯びた炉内構造物からの崩壊熱により蒸発して水蒸気となることをさらに軽減でき、この水蒸気による保管容器内圧力(内圧)の上昇をさらに防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】原子力プラントの原子炉の概略構成例を示す図である。
【図2】原子力プラントの原子炉の要部断面図を示す図である。
【図3】原子炉容器の構成例を示す図である。
【図4】この発明にかかる保管容器の構成例を示す図であり、同図(a)は保管容器の上蓋、同図(b)は保管容器の本体、同図(c)は保管容器の底蓋の構成例を示す要部断面図であり、同図(d)は同図(a)のO−O矢視図、同図(e)は同図(b)のP−P断面図である。
【図5】キャビティー内に保管容器上蓋を吊り下げた状態を示す図である。
【図6】炉内構造物に保管容器上蓋を取り付けた状態を示す図であり、同図(a)は原子炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のA部分拡大図である。
【図7】図7は、キャビティー内に移動装置を設置した状態を示す図であり、同図(a)はキャビティーの平面図、同図(b)は炉格納容器の要部断面図、同図(c)は同図(b)のB部分拡大図である。
【図8】原子炉格納容器内に揚重設備を設置した状態を示す図である。
【図9】揚重設備により保管容器を吊り上げた状態を示す図である。
【図10】オペレーションフロアの仮設床の一部を取り外した状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のC−C断面図、同図(c)は同図(a)のD部分拡大図である。
【図11】揚重用ワイヤフックと上蓋吊治具が接続した状態を示す図である。
【図12】保管容器本体を原子炉容器に吊り下げた状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のE部分拡大図、同図(c)は同図(a)のF−F断面図、同図(d)は同図(a)のG−G断面図である。
【図13】炉内構造物を保管容器本体の内部に吊り上げた状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のH部分拡大図である。
【図14】保管容器上蓋を保管容器本体に取り付けた状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のI部分拡大図である。
【図15】保管容器本体を所定の高さまで吊り上げた状態を示す図であり、同図(a)はキャビティーの平面図、同図(b)は炉格納容器の要部断面図である。
【図16】ガイドピンがガイドブッシュに挿入された状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のJ部分拡大図である。
【図17】保管容器底蓋を保管容器本体に吊り上げた状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のK部分拡大図である。
【図18】原子炉容器遮蔽板を原子炉容器に吊り下げた状態を示す図である。
【図19】原子炉容器遮蔽板を原子炉容器に吊り下げた状態を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のL部分拡大図である。
【図20】オペレーションフロアに載置された保管容器を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、同図(b)は同図(a)のM部分拡大図、同図(c)は同図(a)のN−N断面図である。
【図21】本発明にかかる炉内構造物ガイド機構の他の構成例を示す図であり、同図(a)は炉格納容器の要部断面図、図(b)は同図(a)のQ部分拡大図、同図(c)は同図(a)のR部分拡大図、図(d)は同図(b)のS−S断面図である。
【符号の説明】
1 保管容器
2 保管容器上蓋
2a つば部
2b 吊治具受け部材
2c 突起
2d 炉内構造物取付ボルト
2e 上蓋吊治具
2f 上蓋取付ボルト
3 保管容器本体
3a 中空部
3b 上部開口部
3c 下部開口部
3d 係止部
3e トラニオン
3f 溝
3g 排水ドレン穴
3h 真空引き用ノズル
3j ガイドピン挿入用カメラ
3k 底蓋取付ボルト
4 保管容器底蓋
10 原子炉
11 外部遮蔽壁
12 キャビティー
12a すきま確認用カメラ
12b ダスト防止用グリーンハウス
12c ジャバラ式シート
13 オペレーションフロア
13b 仮設床
13c 汚染防止用グリーンハウス
13d 保管容器遮蔽板
13e ジャバラ式シート
13g モニタ
14 出入口
15 出入口遮蔽壁
20 原子炉格納容器
30 原子炉容器
40 炉内構造物
50 上部炉内構造物(UCI)
60 下部炉内構造物(LCI)
70 UCIスタンド
80 LCIスタンド
90 燃料取替クレーン
100 蒸気発生器
110 ポーラークレーン
120 移動装置
121 走行用レール
122 横行用ワイヤ
123 底蓋用ワイヤ
130 原子炉容器遮蔽板
150 揚重設備
151a〜c 揚重用ジャッキ
152 ホイスト
153a〜c 揚重用ワイヤ
154a〜c 揚重用ワイヤフック
155a、b 本体吊治具
161、162 排気ダクト
170 シール部材
180 作業員
190 遮蔽板用チェーンブロック

Claims (16)

  1. 原子炉格納容器内に搬入された保管容器に炉内構造物を収納する炉内構造物の収納方法において、
    前記保管容器は、保管容器上蓋、保管容器本体および保管容器底蓋により構成されており、
    前記原子炉格納容器のキャビティー内の水を排水しつつ、前記保管容器上蓋を前記キャビティー内の原子炉容器に挿入されている炉内構造物の上部に吊り下げる工程と、
    前記保管容器上蓋を前記炉内構造物に取り付ける工程と、
    前記保管容器本体を当該保管容器本体の下面が前記原子炉容器の上面に密着するように吊り下げる工程と、
    前記炉内構造物を前記保管容器上蓋とともに前記保管容器本体の内部に吊り上げる工程と、
    前記保管容器上蓋を前記保管容器本体に取り付ける工程と、
    前記保管容器本体を所定高さまで吊り上げる工程と、
    前記保管容器本体の下方に保管容器底蓋を配置する工程と、
    前記保管容器底蓋を吊り上げ、前記保管容器本体に取り付ける工程と、
    を含み
    前記保管容器本体を当該保管容器本体の下面が前記原子炉容器の上面に密着するように吊り下げた後、
    前記保管容器本体内の気体を抽気することを特徴とする炉内構造物の収納方法。
  2. 前記保管容器本体および保管容器上蓋に炉内構造物ガイド機構を設け、
    前記炉内構造物ガイド機構により前記保管容器上蓋に取り付けられた前記炉内構造物を前記保管容器本体に対してガイドしつつ当該保管容器本体の内部に吊り上げることを特徴とする請求項1に記載の炉内構造物の収納方法。
  3. 前記保管容器本体および前記保管容器底蓋に底蓋ガイド機構を設け、
    前記底蓋ガイド機構により前記保管容器底蓋を前記保管容器本体に対してガイドしつつ吊り上げることを特徴とする請求項1または2に記載の炉内構造物の収納方法。
  4. 前記保管容器上蓋と前記保管容器本体を取り付けた後、
    少なくとも前記保管容器本体を吊り上げる所定高さまで前記キャビティー内に水を注水することを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法。
  5. 前記保管容器本体の吊り上げ、吊り下げは、前記原子炉格納容器に揚重設備を設置し、当該揚重設備により行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法。
  6. 前記保管容器上蓋を前記炉内構造物に取り付けた後、
    前記キャビティー内に移動装置を設置するとともに、当該移動装置に前記保管容器底蓋を載置し、
    前記移動装置が移動することにより、前記保管容器底蓋を前記保管容器本体の下方に配置することを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法。
  7. 前記炉内構造物を前記保管容器上蓋とともに前記保管容器本体の内部に吊り上げる際に、
    前記保管容器上蓋の下部に設けられたつば部が、保管容器本体の上部開口部の周囲に設けられた係止部に係止することを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法。
  8. 前記保管容器底蓋を前記保管容器本体に取り付けた後、
    前記保管容器内の水を排水することを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法。
  9. 前記保管容器底蓋を前記保管容器本体に取り付けた後、
    前記保管容器内を真空引きすることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法。
  10. 前記保管容器本体と前記保管容器上蓋との当接面または前記保管容器本体と前記保管容器底蓋との当接面の少なくともいずれか一方がラビリンス構造であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法。
  11. 前記保管容器本体と前記保管容器上蓋との間または前記保管容器と前記保管容器底蓋との間の少なくともいずれか一方をシール部材でシールすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の炉内構造物の収納方法。
  12. 炉内構造物を収納する保管容器において、
    前記保管容器は、保管容器上蓋、保管容器本体および保管容器底蓋により構成されており、
    前記保管容器上蓋の下部につば部を設け、
    前記つば部に突起を設け、当該突起が前記保管容器本体の内部長手方向に設けられた溝内を摺動し、
    前記つば部が前記保管容器本体の上部開口部の周囲に設けられた係止部に係止することを特徴とする保管容器。
  13. 前記保管容器本体と前記保管容器上蓋との当接面または前記保管容器本体と前記保管容器底蓋との当接面の少なくともいずれか一方がラビリンス構造であることを特徴とする請求項12に記載の保管容器。
  14. 前記保管容器本体と前記保管容器上蓋との間または前記保管容器本体と前記保管容器底蓋との間の少なくともいずれか一方をシール部材でシールすることを特徴とする請求項12または13に記載の保管容器。
  15. 前記保管容器には、
    前記保管容器内の水を排水するための排水ドレン穴が設けられていることを特徴とする請求項1214のいずれか一つに記載の保管容器。
  16. 前記保管容器には、
    前記保管容器内を真空引きするための真空引き用ノズルが設けられていることを特徴とする請求項1215のいずれか一つに記載の保管容器。
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