以下に説明する各実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(1)概要
まず、本実施形態に係るスナバ回路3、及びそれを用いた電力変換システム1の概要について、図1を参照して説明する。
電力変換システム1は、主回路2と、スナバ回路3と、を備えている。主回路2は、電力の変換を行う電力変換回路2である。以降、主回路2を電力変換回路2ともいう。電力変換回路2は、交流電圧を直流電圧に変換する。スナバ回路3は、電力変換回路2で発生するサージ電圧を抑制するための保護回路である。電力変換回路2において、交流電圧を直流電圧に変換する際に、後述するトランス21の漏れインダクタンス、及び後述する整流回路22の寄生容量によって共振が発生してサージ電圧が生じることがある。本実施形態に係る電力変換システム1では、このようなサージ電圧をスナバ回路3にて抑制することが可能である。スナバ回路3は、主回路2に対して副回路に相当する。
主回路2(電力変換回路2)は、電源回路20から供給される交流電力を直流電力に変換して負荷5に出力するAC/DCコンバータである。主回路2は、電源回路20から交流電圧が入力されるトランス21と、トランス21の二次側に設けられた整流回路22と、整流回路22の出力電圧を平滑する平滑フィルタ(インダクタL21)及び平滑コンデンサ(出力コンデンサCo)と、を備えている。出力コンデンサCoの両端間に負荷5が電気的に接続されている。
スナバ回路3は、主回路2から電気エネルギを吸収する。スナバ回路3は、第1容量成分(第1コンデンサC1)と、第2容量成分(第2コンデンサC2)と、インダクタンス成分(インダクタL1)と、切替回路31と、を備える。第1容量成分(C1)は、主回路2から吸収した電気エネルギを蓄積する。第2容量成分(C2)は、主回路2から吸収した電気エネルギを蓄積する。インダクタンス成分(L1)は、第1容量成分(C1)及び第2容量成分(C2)に蓄積された電気エネルギを主回路2又は負荷5に回生する。切替回路31は、第1容量成分(C1)からインダクタンス成分(L1)に供給される電流の向きと、第2容量成分(C2)からインダクタンス成分(L1)に供給される電流の向きとが互いに逆向きとなるように、インダクタンス成分(L1)に電気エネルギを供給する供給源を第1容量成分(C1)と第2容量成分(C2)とで切り替える。
インダクタンス成分(L1)には、主回路2から吸収した電気エネルギが第1容量成分(C1)又は第2容量成分(C2)から供給される。この際に、切替回路31によって、インダクタンス成分(L1)に流れる電流の向きが切り替わる。したがって、インダクタンス成分(L1)に生じる電圧の極性が切り替わるので、インダクタンス成分(L1)が主回路2又は負荷5に電気エネルギを回生する際に、主回路2に流すリップル電流(第2リップル電流Ir2)の向きが切り替わる。主回路2に流れるリップル電流を相殺するようにインダクタンス成分(L1)が主回路2にリップル電流(Ir2)を流すことにより、主回路2に流れるリップル電流を抑制することができる。
(2)構成
図1に示すように、電力変換システム1は、電力変換回路2と、スナバ回路3と、制御回路4と、を備えている。
(2.1)電力変換回路
電力変換回路2は、トランス21と、整流回路22と、(第2)インダクタL21と、出力コンデンサCoと、を備えている。電力変換回路2は、電源回路20から供給される交流電力を直流電力に変換して負荷5に出力する。電力変換回路2は、一対の第1端子H11,H12、及び一対の第2端子H21,H22を更に備えている。ただし、ここでいう「端子」は、電線等を接続するための部品でなくてもよく、例えば、電子部品のリード、又は回路基板に含まれる導体の一部であってもよい。
トランス21は、互いに磁気的に結合された一次巻線L11と二次巻線L12とを有する高周波絶縁トランスであり、一次巻線L11と二次巻線L12とが電気的に絶縁されている。一次巻線L11は、電源回路20と電気的に接続されている。電源回路20は、例えば、DC/ACインバータ回路である。電源回路20は、直流電圧を交流電圧に変換して、一次巻線L11に印加する。二次巻線L12は、一対の第1端子H11,H12を介して整流回路22と電気的に接続されている。具体的には、二次巻線L12の一端が第1端子H11と電気的に接続され、二次巻線L12の他端が第1端子H12と電気的に接続されている。トランス21の一次巻線L11に電源回路20から交流電圧が印加されることにより、二次巻線L12の両端間に交流電圧が発生する。
整流回路22は、一対の第1端子H11,H12を介してトランス21の二次巻線L12と電気的に接続されている。一対の第1端子H11,H12は、整流回路22の一対の入力端子として機能する。以下、一対の第1端子H11,H12間の電圧(二次巻線L12の両端間の交流電圧)を入力電圧Viという。
整流回路22は、入力電圧Viを全波整流する全波整流回路である。整流回路22は、入力電圧Viを全波整流した電圧(バス電圧Vbus)を一対の第2端子H21,H22間に生成する。一対の第2端子H21,H22は、整流回路22の一対の出力端子として機能する。
本実施形態では、整流回路22は、整流素子として4つのスイッチング素子Q11~Q14を有する同期整流型の全波整流回路である。一例として、スイッチング素子Q11~Q14の各々は、デプレッション型のnチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成されている。スイッチング素子Q11~Q14は、フルブリッジ接続されている。高電位側の第2端子H21と低電位側の第2端子H22との間に、スイッチング素子Q11,Q12の直列回路と、スイッチング素子Q13,Q14の直列回路とが、電気的に並列接続されている。スイッチング素子Q11とスイッチング素子Q12との接続点が第1端子H11と電気的に接続され、スイッチング素子Q13とスイッチング素子Q14との接続点が第1端子H12と電気的に接続されている。
具体的には、スイッチング素子Q11は、ドレインが第2端子H21と電気的に接続され、ソースが第1端子H11と電気的に接続されている。スイッチング素子Q12は、ドレインが第1端子H11と電気的に接続され、ソースが第2端子H22と電気的に接続されている。スイッチング素子Q13は、ドレインが第2端子H21と電気的に接続され、ソースが第1端子H12と電気的に接続されている。スイッチング素子Q14は、ドレインが第1端子H12と電気的に接続され、ソースが第2端子H22と電気的に接続されている。
また、スイッチング素子Q11~Q14は、それぞれ寄生ダイオードD11~D14を有している。寄生ダイオードD11~D14は、それぞれアノードがソースと電気的に接続され、カソードがドレインと電気的に接続されるように構成されている。
整流回路22では、スイッチング素子Q11~Q14が、入力電圧Viの位相に同期してオン/オフすることにより、入力電圧Viを全波整流したバス電圧Vbusを一対の第2端子H21,H22間に生成する。スイッチング素子Q11~Q14は、それぞれ制御回路4からの駆動信号S11~S14によってオン/オフが個別に制御される。
出力コンデンサCoは、整流回路22の一対の出力端間(一対の第2端子H21,H22間)に電気的に接続された平滑コンデンサである。具体的には、出力コンデンサCoは、高電位側の端子がインダクタL21を介して、高電位側の第2端子H21と電気的に接続され、低電位側の端子がスナバ回路3のインダクタL1を介して、低電位側の第2端子H22と電気的に接続されている。インダクタL21は、チョークコイルであり、バス電圧Vbusを平滑する平滑フィルタとして機能する。出力コンデンサCoの両端間には、第2端子H21,H22間のバス電圧Vbusを平均化した直流の出力電圧Voが生成される。出力コンデンサCoの両端間には、負荷5が電気的に接続されている。負荷5は、出力電圧Voが印加されることにより動作する。
(2.2)スナバ回路
スナバ回路3は、電力変換回路2に電気的に接続されている。具体的には、スナバ回路3は、電力変換回路2における整流回路22の一対の出力端である一対の第2端子H21,H22に電気的に接続されている。つまり、電力変換回路2は、スナバ回路3が電気的に接続される一対の第2端子H21,H22を有する。
スナバ回路3は、電力変換回路2から電気エネルギを吸収することによって、一対の第2端子H21,H22間の電圧(バス電圧Vbus)が所定のクランプ値を超えないようにクランプする。スナバ回路3は、バス電圧Vbusの大きさがクランプ値を超える場合には、クランプ値を超える分の電気エネルギを引き抜くことにより、バス電圧Vbusの上限値がクランプ値となるようにクランプする。
本実施形態のスナバ回路3は、電力変換回路2から吸収した電気エネルギを負荷5又は電力変換回路2に回生させる。これにより、スナバ回路3による電力損失を抑制することができる。さらに、スナバ回路3は、電力変換回路2から吸収した電気エネルギを負荷5又は電力変換回路2に回生させる際に、電力変換回路2が発生させる第1リップル電流Ir1とは逆位相の第2リップル電流Ir2を発生させる。これにより、第1リップル電流Ir1と第2リップル電流Ir2とが相殺され、電力変換回路2に流れるリップル電流が低減され、出力コンデンサCoの容量の低減を図ることができる。
スナバ回路3は、第1コンデンサC1(第1容量成分)と、第2コンデンサC2(第2容量成分)と、(第1)インダクタL1(インダクタンス成分)と、ダイオードD3と、切替回路31と、を備えている。切替回路31は、第1コンデンサC1又は第2コンデンサC2からインダクタL1に供給される電流の向きを切り替えるように構成されている。切替回路31は、第1スイッチング素子Q1と、第2スイッチング素子Q2と、を備えている。
電力変換回路2の一対の第2端子H21,H22間に、ダイオードD3と第1コンデンサC1との直列回路が電気的に接続されている。ダイオードD3は、アノードが高電位側の第2端子H21と電気的に接続され、カソードが第1コンデンサC1を介して低電位側の第2端子H22と電気的に接続されている。
第1コンデンサC1の両端間に、第1スイッチング素子Q1、第2コンデンサC2、及びインダクタL1の直列回路が電気的に接続されている。つまり、第1コンデンサC1の放電経路に、第1スイッチング素子Q1と第2コンデンサC2とインダクタL1とが含まれている。
第1スイッチング素子Q1は、デプレッション型のnチャネルMOSFETで構成されている。第1スイッチング素子Q1は、ドレインが第1コンデンサC1と電気的に接続され、ソースが第2コンデンサC2と電気的に接続されている。
インダクタL1は、一端が第2コンデンサC2と電気的に接続され、他端が第1コンデンサC1と電気的に接続されている。また、インダクタL1の一端(インダクタL1と第2コンデンサC2との接続点)は、電力変換回路2における出力コンデンサCoの低電位側の端子と電気的に接続されている。つまり、インダクタL1は、インダクタL21及び出力コンデンサCoと共に、一対の第2端子H21,H22間に電気的に直列接続されており、電力変換回路2における平滑フィルタを兼ねている。インダクタL21が高電位側の平滑フィルタであるのに対して、インダクタL1は、低電位側の平滑フィルタである。本実施形態では、インダクタL1とインダクタL21とは、互いに同じ大きさのインダクタンス(例えば500μH)であるが、互いに異なる大きさのインダクタンスであってもよい。
第2スイッチング素子Q2は、インダクタL1と共に第2コンデンサC2の両端間に電気的に接続されている。つまり、第2コンデンサC2の放電経路に、第2スイッチング素子Q2とインダクタL1とが含まれている。
第2スイッチング素子Q2は、デプレッション型のnチャネルMOSFETで構成されている。第2スイッチング素子Q2は、ドレインが第2コンデンサC2の一端(第2コンデンサC2と第1スイッチング素子Q1との接続点)と電気的に接続され、ソースがインダクタL1を介して第2コンデンサC2の他端と電気的に接続されている。
また、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2は、それぞれ寄生ダイオードD1,D2を有している。寄生ダイオードD1,D2は、それぞれアノードがソースと電気的に接続され、カソードがドレインと電気的に接続されるように構成されている。
上記構成により、第1コンデンサC1の両端電圧Vc1の大きさをクランプ値とすれば、バス電圧Vbusがクランプ値を超えると、ダイオードD3がオン(導通状態)になり第1コンデンサC1に電流Id3が流れる。厳密には、第1コンデンサC1の両端電圧Vc1にダイオードD3の順方向降下電圧を加えた電圧がクランプ値になる。ただし、クランプ値に比べてダイオードD3の順方向降下電圧が十分に小さいため、ここでは、ダイオードD3の順方向降下電圧をゼロ、つまり第1コンデンサC1の両端電圧Vc1の大きさがクランプ値であるとして説明する。
第1コンデンサC1は、電力変換回路2から吸収した電気エネルギが蓄積される。第1コンデンサC1の両端間には、第1スイッチング素子Q1、第2コンデンサC2、及びインダクタL1の直列回路が電気的に接続されている。したがって、第1スイッチング素子Q1がオン状態になると、第1コンデンサC1、第1スイッチング素子Q1、第2コンデンサC2、及びインダクタL1を含む閉ループが形成される。この場合、第1コンデンサC1が放電し、第1コンデンサC1から第1スイッチング素子Q1、第2コンデンサC2、インダクタL1の順の経路に電流が流れる。この電流により、第2コンデンサC2が充電される。つまり、スナバ回路3では、電力変換回路2から吸収した電気エネルギが、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に蓄積される。第2コンデンサC2の両端電圧Vc2は、第1コンデンサC1の両端電圧Vc1を降圧した電圧となる。
第2コンデンサC2の両端間には、第2スイッチング素子Q2、及びインダクタL1の直列回路が電気的に接続されている。したがって、第2スイッチング素子Q2がオン状態になると、第2コンデンサC2、第2スイッチング素子Q2、及びインダクタL1を含む閉ループが形成される。この場合、第2コンデンサC2が放電し、第2コンデンサC2から第2スイッチング素子Q2、インダクタL1の順の経路に電流が流れる。
つまり、インダクタL1に対して、第1コンデンサC1の放電電流が流れる向きと、第2コンデンサC2の放電電流が流れる向きとが、互いに逆向きとなる。第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2を含む切替回路31は、第1スイッチング素子Q1、及び第2スイッチング素子Q2がオン/オフすることにより、インダクタL1に流れる電流の向きを切り替える。切替回路31では、第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2とが交互にオンすることにより、インダクタL1に流れる電流の向きを周期的に切り替える。第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2は、それぞれ制御回路4からの駆動信号S1,S2によってオン/オフが個別に制御される。
(2.4)制御回路
制御回路4は、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、制御回路4は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御回路4として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
制御回路4は、電力変換回路2、及びスナバ回路3を制御するように構成されている。具体的には、制御回路4は、電力変換回路2に対しては、スイッチング素子Q11~Q14をそれぞれ駆動する駆動信号S11~S14を出力する。また、制御回路4は、スナバ回路3に対しては、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2をそれぞれ駆動する駆動信号S1,S2を出力する。
なお、本実施形態では、1つの制御回路4が、電力変換回路2及びスナバ回路3の両方を制御しているが、電力変換回路2を制御する制御回路と、スナバ回路3を制御する制御回路とに分かれていてもよい。また、制御回路4は、電源回路20を更に制御するように構成されていてもよい。
(3)動作例
(3.1)電力変換回路の動作
以下に、電力変換回路2の動作について、図2を参照して説明する。図2は、横軸を時間軸とした、電力変換回路2の動作波形図である。図2では、上から1番目の段に、入力電圧Viを示している。図2では、上から2番目の段に、スイッチング素子Q11,Q14のオン/オフを示し、上から3番目の段に、スイッチング素子Q12,Q13のオン/オフを示している。図2では、上から4番目の段に、バス電圧Vbus、及び出力電圧Voを示している。
トランス21の一次巻線L11には、電源回路20から交流電圧が印加される。トランス21の一次巻線L11と二次巻線L12とは磁気的に結合されており、二次巻線L12の両端には、一次巻線L11と二次巻線L12との巻数比に応じた電圧値の交流電圧(入力電圧Vi)が発生する。入力電圧Viは、一次巻線L11に印加される交流電圧と同位相の交流電圧である。本実施形態では、電源回路20が出力する交流電圧が矩形波(疑似正弦波)であるため、入力電圧Viも矩形波となる。
制御回路4は、電源回路20の出力電圧(入力電圧Vi)に同期して、スイッチング素子Q11~Q14を駆動する駆動信号S11~S14を出力する。具体的には、制御回路4は、入力電圧Viの極性が「正」である場合、スイッチング素子Q11,Q14がオンし、スイッチング素子Q12,Q13がオフするように駆動信号S11~S14を出力する。制御回路4は、入力電圧Viの極性が「負」である場合、スイッチング素子Q12,Q13がオン、スイッチング素子Q11,Q14がオフするように駆動信号S11~S14を出力する。また、制御回路4は、入力電圧Viの電圧値がゼロである場合、スイッチング素子Q11~Q14がオフするように駆動信号S11~S14を出力する。
これにより、整流回路22の一対の出力端である一対の第2端子H21,H22間に、入力電圧Viを全波整流したバス電圧Vbusが生成される。負荷5には、インダクタL21、出力コンデンサCo、及びスナバ回路3のインダクタL1によってバス電圧Vbusを平滑した直流の出力電圧Voが出力される。
出力電圧Voは、バス電圧Vbusを平均した電圧となる。具体的には、入力電圧Viの極性が「正」又は「負」であるときの電圧値の絶対値をviとする。バス電圧Vbusの周期をT1とする。スイッチング素子Q11,Q14の組、又はスイッチング素子Q12,Q13の組がオンしている期間(オン期間)をTon1とする。バス電圧Vbusのデューティ比をDr1とする。バス電圧Vbusのデューティ比Dr1は、バス電圧Vbusの周期T1に対するオン期間Ton1の比率であり、Ton1/T1で表される。出力電圧Voの電圧値は、vi×Dr1となる。
(3.2)スナバ回路の動作
次に、スナバ回路3の動作について、図1、図3を参照して説明する。図3は、横軸を時間軸とした、電力変換回路2及びスナバ回路3の動作波形図である。図3では、上から1番目の段に、バス電圧Vbus、出力電圧Vo、及び第1コンデンサC1の両端電圧Vc1を示している。図3では、上から2番目の段に、スイッチング素子Q11~Q14のオン/オフを示し、上から3番目の段に、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2のオン/オフを示している。図3では、上から4番目の段に、ダイオードD3に流れる電流Id3を示し、上から5番目の段に、第2コンデンサC2の両端電圧Vc2、インダクタL21の両端電圧VL21、インダクタL1の両端電圧VL1を示している。図3では、上から6番目の段に、第2コンデンサC2に流れる電流Ic2を示し、上から7番目の段に、電力変換回路2(電源回路20)が流す第1リップル電流Ir1、スナバ回路3が流す第2リップル電流Ir2、及び出力コンデンサCoに流れる電流Icoを示している。なお、図3における電流、及び電圧の極性は、図1に記載した矢印の向きを「正」としている。
(3.2.1)クランプ動作
まず、スナバ回路3のクランプ動作について説明する。
上述した電力変換回路2の動作に伴って、バス電圧Vbusにサージが生じることがある。トランス21の二次巻線L12には、整流回路22のスイッチング素子Q11~Q14が電気的に接続されている。そのため、二次巻線L12の漏れインダクタンスと、スイッチング素子Q11~Q14それぞれの寄生容量とで直列共振回路が構成される。したがって、スイッチング素子Q11~Q14のスイッチング動作時に、バス電圧Vbusにサージ電圧が重畳する可能性がある。
スナバ回路3は、バス電圧Vbusにサージ電圧が生じた場合、電力変換回路2から電気エネルギを吸収することにより、バス電圧Vbusをクランプ値(第1コンデンサC1の両端電圧Vc1の電圧値)にクランプする。すなわち、バス電圧Vbusにサージ電圧が生じて電圧値がクランプ値(電圧Vc1の電圧値)を超えれば、ダイオードD3がオンする。このとき、電気エネルギの吸収に伴って、ダイオードD3にパルス状の電流Id3が流れる(図3参照)。したがって、スナバ回路3は、バス電圧Vbusの大きさがクランプ値(電圧Vc1の電圧値)を超えると、電力変換回路2からクランプ値を超える分の電気エネルギを引き抜いて、この電気エネルギを第1コンデンサC1に蓄積することができる。よって、バス電圧Vbusにサージ電圧が生じても、バス電圧Vbusの最大値は、クランプ値に抑制される。
(3.2.2)回生動作
次に、スナバ回路3の回生動作について説明する。ここでは、電力変換回路2が電流連続モードで動作しているとする。
スナバ回路3は、電力変換回路2から吸収した電気エネルギをインダクタL1に供給することにより、インダクタL1を電源とみなして電力変換回路2、又は負荷5に電気エネルギを回生する。さらに、スナバ回路3は、出力コンデンサCoに流れるリップル電流を低減させるように、電力変換回路2又は負荷5に電気エネルギを回生させる。
スナバ回路3は、回生動作において4つの動作モード(第1モード~第4モード)を有している。第1モードでは、第1スイッチング素子Q1がオンし、第2スイッチング素子Q2がオフする。第2モード及び第4モードでは、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2がオフする。第3モードでは、第1スイッチング素子Q1がオフし、第2スイッチング素子Q2がオンする。
スナバ回路3は、バス電圧Vbusに同期して動作モードを切り替える。言い換えれば、切替回路31は、整流回路22の出力電圧(バス電圧Vbus)に同期して、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2がオン/オフする。スナバ回路3は、バス電圧Vbusの電圧値がviである期間、つまり整流回路22のスイッチング素子Q11,Q14の組、又はスイッチング素子Q12,Q13の組がオンしているオン期間Ton1に、第1モード及び第2モードで動作する。スナバ回路3は、バス電圧Vbusの電圧値がゼロである期間、つまり整流回路22のスイッチング素子Q11~Q14がオフしているオフ期間Toff1に第3モード及び第4モードで動作する。図3において、期間T11が、スナバ回路3が第1モードで動作している期間であり、期間T12が、スナバ回路3が第2モードで動作している期間であり、期間T13が、スナバ回路3が第3モードで動作している期間であり、期間T14が、スナバ回路3が第4モードで動作している期間である。つまり、第2モードである期間T12、及び第4モードである期間T14は、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2がオフしているデッドタイムTdである。
以下、第1モード~第4モードについて、図4~図7を参照して説明する。なお、図4~図7に記載されている各矢印は、その動作モード時における電流又は電圧の極性を表している。
・第1モード
図4は、スナバ回路3が第1モードである場合における、スナバ回路3及び電力変換回路2の等価回路である。第1モードは、整流回路22のスイッチング素子Q11,Q14(又はQ12,Q13)がオンしているオン期間Ton1に実行されるため、バス電圧Vbusの電圧値がviで一定である。そのため、図4では、電源回路20、トランス21、及び整流回路22をまとめて、直流電圧を出力する電源E1として記載している。
第1モードは、後述する第4モードの後に実行される。第1モードでは、オン期間Ton1において、第1スイッチング素子Q1がオンし、第2スイッチング素子Q2がオフしている。具体的には、制御回路4は、スイッチング素子Q11,Q14(又はQ12,Q13)のオンに同期させて、第1スイッチング素子Q1をオンする。これにより、整流回路22の出力電圧(バス電圧Vbus)の立ち上がりに同期して、第1スイッチング素子Q1がオンする。
第1スイッチング素子Q1がオンすることにより、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、及びインダクタL1を含む閉ループが形成される。
そして、第1コンデンサC1が供給源として、第2コンデンサC2及びインダクタL1に電流Ic2が流れる。この電流Ic2により、第2コンデンサC2が充電される。第2コンデンサC2の両端電圧Vc2は、第1コンデンサC1の両端電圧Vc1よりも低くなる。具体的には、第1スイッチング素子Q1のデューティ比をDr2とする。第1スイッチング素子Q1のデューティ比Dr2は、バス電圧Vbusの周期T1に対する第1スイッチング素子Q1のオン期間(期間T11)の比率であり、T11/T1で表される。第2コンデンサC2の両端電圧Vc2は、Vc1×Dr2で表される。第2コンデンサC2の両端電圧Vc2を、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2がオフしているデッドタイムTdを用いて表すと、以下の通りとなる。第2コンデンサC2の両端電圧Vc2は、(Dr1-Td/T1)Vc1となる。
第1モードでは、インダクタL1には、インダクタL1と第2コンデンサC2との接続点から、インダクタL1と第1コンデンサC1との接続点に向かう向きの電流が流れる。
また、第1モードでは、インダクタL1の両端電圧VL1は、第1コンデンサC1の両端電圧Vc1から、第2コンデンサC2の両端電圧Vc2を差し引いた電圧(Vc1-Vc2)となる。第2コンデンサC2の両端電圧Vc2は、第1コンデンサC1の両端電圧Vc1を降圧した電圧である。したがって、インダクタL1の両端電圧VL1は、インダクタL1と第1コンデンサC1との接続点が低電位側、インダクタL1と第2コンデンサC2との接続点が高電位側となる。
第1モードにおけるインダクタL21の両端電圧VL21は、インダクタL1の両端電圧VL1と、バス電圧Vbusと、出力電圧Voとによって求まる。具体的には、インダクタL21の両端電圧VL21は、VL1-(Vbus-Vo)で求まる。ここでは、インダクタL21の両端電圧VL21の極性が、インダクタL21と出力コンデンサCoとの接続点が「正」として計算している。第1モードでは、インダクタL1の両端電圧VL1は、Vc1-Vc2である。第2コンデンサC2の両端電圧Vc2は、(Dr1-Td/T1)Vc1である。また、出力電圧Voは、Dr1×Vbusである。したがって、インダクタL21の両端電圧VL21は、下記の数1で求まる。
第1コンデンサC1の両端電圧Vc1は、バス電圧Vbusにサージ電圧を足し合わせた電圧である。したがって、(Vc1-Vbus)が正となるので、上記数1で求まるインダクタL21の両端電圧VL21が「正」となる。つまり、インダクタL21の両端電圧VL21は、インダクタL21と出力コンデンサCoとの接続点が高電位側となる。
インダクタL1の両端電圧VL1により、出力コンデンサCoに第2リップル電流Ir2が流れる。両端電圧VL1は、インダクタL1と出力コンデンサCoとの接続点が高電位側である。そのため、第2リップル電流Ir2は、出力コンデンサCoを放電する向きに流れる。また、第1モードでは、整流回路22におけるスイッチング素子Q11,Q14の組、又はスイッチング素子Q12,Q13の組がオンしている。そのため、第2リップル電流Ir2がトランス21の二次巻線L12を流れ、一次巻線L11を介して電源回路20に電気エネルギが伝達される。
つまり、第1モードでは、スナバ回路3は、電力変換回路2から吸収した電気エネルギを、インダクタL1を電源として電力変換回路2(電源E1)に回生している。これにより、スナバ回路3が電力変換回路2から吸収した電気エネルギを、抵抗等で消費する構成に比べて、電力変換回路2の電力損失を低減することができる。
このとき、出力コンデンサCoには、電源E1が流す第1リップル電流Ir1と、スナバ回路3が流す第2リップル電流Ir2とを足し合わせた電流Icoが流れる。出力コンデンサCoに流れる電流Icoは、スナバ回路3から電力変換回路2に回生される回生電流である。スナバ回路3から電力変換回路2に回生される回生電力は、インダクタL1の両端電圧VL1と回生電流(電流Ico)とを乗算することにより求まる(VL1×Ico)。
・第2モード
図5は、スナバ回路3が第2モードである場合における、スナバ回路3及び電力変換回路2の等価回路である。第2モードは、整流回路22のスイッチング素子Q11,Q14(又はQ12,Q13)がオンしているオン期間Ton1に実行されるため、バス電圧Vbusの電圧値がviで一定である。そのため、図5では、電源回路20、トランス21、及び整流回路22をまとめて、直流電圧を出力する電源E1として記載している。
第2モードでは、第1モードの後に実行され、第1モードの状態から第1スイッチング素子Q1がオフする。具体的には、制御回路4は、所定の期間T11(<オン期間Ton1)、第1スイッチング素子Q1をオンした後、第1スイッチング素子Q1をオフする。
第1スイッチング素子Q1がオフすることにより、第1コンデンサC1からインダクタL1への電流供給が停止する。これにより、インダクタL1の両端電圧VL1の極性が反転し、インダクタL1と第2コンデンサC2との接続点が低電位側となる。
インダクタL1の両端電圧VL1により、第2スイッチング素子Q2の寄生ダイオードD2を介して第2コンデンサC2を充電する向きに電流Ic2が流れる。このとき、インダクタL1の両端電圧VL1の大きさは、第2コンデンサC2の両端電圧Vc2と同じ大きさである。なお、ここでは、寄生ダイオードD2の順方向降下電圧は、両端電圧Vc2に比べて十分に小さいため無視している。
第2モードにおけるインダクタL21の両端電圧VL21は、インダクタL1の両端電圧VL1と、バス電圧Vbusと、出力電圧Voとによって求まる。具体的には、インダクタL21の両端電圧VL21は、-VL1-Vbus+Voで求まる。ここでは、インダクタL21の両端電圧VL21の極性が、インダクタL21と出力コンデンサCoとの接続点が「負」として計算している。インダクタL21の両端電圧VL21は、下記の数2で求まる。
第1コンデンサC1の両端電圧Vc1は、バス電圧Vbusにサージ電圧を足し合わせた電圧であるため、(Vc1-Vbus)が正となる。また、デッドタイムTdは、周期T1に比べて十分に小さい値である。したがって、上記数2で求まるインダクタL21の両端電圧VL21が「負」となる。つまり、インダクタL21の両端電圧VL21は、インダクタL21と出力コンデンサCoとの接続点が低電位側となる。
インダクタL1の両端電圧VL1により、出力コンデンサCoに第2リップル電流Ir2が発生する。両端電圧VL1は、インダクタL1と出力コンデンサCoとの接続点が低電位側であるため、出力コンデンサCoを充電する向きに第2リップル電流Ir2が流れる。また、第2モードでは、整流回路22におけるスイッチング素子Q11,Q14の組、又はスイッチング素子Q12,Q13の組がオンしている。そのため、第2リップル電流Ir2は、スイッチング素子Q11,Q14の組、又はスイッチング素子Q12,Q13の組を介して、出力コンデンサCoに流れる。
つまり、第2モードでは、スナバ回路3は、電力変換回路2から吸収した電気エネルギを、インダクタL1を電源として負荷5に回生している。これにより、スナバ回路3が電力変換回路2から吸収した電気エネルギを、抵抗等で消費する構成に比べて、電力変換回路2の電力損失を低減することができる。
また、第2モードにおいて、出力コンデンサCoに流れる電流Icoは、スナバ回路3から負荷5に回生される回生電流である。スナバ回路3から負荷5に回生される回生電力は、インダクタL1の両端電圧VL1と回生電流(電流Ico)とを乗算することにより求まる(VL1×Ico)。
・第3モード
図6は、スナバ回路3が第3モードである場合における、スナバ回路3及び電力変換回路2の等価回路である。第3モードでは、整流回路22のスイッチング素子Q11~Q14がオフしているオフ期間Toff1に実行される。そのため、図6では、スイッチング素子Q11~Q14の寄生ダイオードD11~D14をまとめてダイオードD10として記載している。
第3モードは、第2モードの後に実行される。第3モードでは、オフ期間Toff1において、第1スイッチング素子Q1がオフし、第2スイッチング素子Q2がオンしている。具体的には、制御回路4は、スイッチング素子Q11,Q14(又はQ12,Q13)のオフに同期させて、第2スイッチング素子Q2をオンする。これにより、整流回路22の出力電圧(バス電圧Vbus)の立下りに同期して、第2スイッチング素子Q2がオンする。
第2スイッチング素子Q2がオンすることにより、第2コンデンサC2、及びインダクタL1を含む閉ループが形成される。
そして、第2コンデンサC2が供給源として、第2スイッチング素子Q2を介してインダクタL1に電流Ic2が流れる。つまり、第3モードでは、インダクタL1に第1モードの場合と逆向きの電流が流れる。インダクタL1の両端電圧VL1は、インダクタL1と第2コンデンサC2との接続点が低電位側となる。インダクタL1の両端電圧VL1の大きさは、第2コンデンサC2の両端電圧Vc2と同じ大きさである。
第3モードにおけるインダクタL21の両端電圧VL21は、インダクタL1の両端電圧VL1と、出力電圧Voとによって求まる。具体的には、インダクタL21の両端電圧VL21は、-VL1+Voで求まる。ここでは、インダクタL21の両端電圧VL21の極性が、インダクタL21と出力コンデンサCoとの接続点が「負」として計算している。インダクタL21の両端電圧VL21は、下記の数3で求まる。
第1コンデンサC1の両端電圧Vc1は、バス電圧Vbusにサージ電圧を足し合わせた電圧であるため、(Vc1-Vbus)が正となる。また、デッドタイムTdは、周期T1に比べて十分に小さい値である。したがって、上記数3で求まるインダクタL21の両端電圧VL21が「負」となる。つまり、インダクタL21の両端電圧VL21は、インダクタL21と出力コンデンサCoとの接続点が低電位側となる。
インダクタL1の両端電圧VL1により、出力コンデンサCoに第2リップル電流Ir2が流れる。両端電圧VL1は、インダクタL1と出力コンデンサCoとの接続点が低電位側であるため、第2リップル電流Ir2は、整流回路22のスイッチング素子Q11~Q14の寄生ダイオードD11~D14(図6ではダイオードD10)を介して、出力コンデンサCoを充電する向きに流れる。
つまり、第3モードでは、スナバ回路3は、電力変換回路2から吸収した電気エネルギを、インダクタL1を電源として負荷5に回生している。これにより、スナバ回路3が電力変換回路2から吸収した電気エネルギを、抵抗等で消費する構成に比べて、電力変換回路2の電力損失を低減することができる。
また、第3モードにおいて、出力コンデンサCoに流れる電流Icoは、スナバ回路3から負荷5に回生される回生電流である。スナバ回路3から負荷5に回生される回生電力は、インダクタL1の両端電圧VL1と回生電流(電流Ico)とを乗算することにより求まる(VL1×Ico)。
・第4モード
図7は、スナバ回路3が第4モードである場合における、スナバ回路3及び電力変換回路2の等価回路である。第4モードでは、整流回路22のスイッチング素子Q11~Q14がオフしている。そのため、図6では、スイッチング素子Q11~Q14の寄生ダイオードD11~D14をまとめてダイオードD10として記載している。
第4モードは、第3モードの後に実行され、第3モードの状態から第2スイッチング素子Q2がオフする。具体的には、制御回路4は、所定の期間T13(<オフ期間Toff1)、第2スイッチング素子Q2をオンした後、第2スイッチング素子Q2をオフする。
第2スイッチング素子Q2がオフすることにより、第2コンデンサC2からインダクタL1への電流供給が停止する。これにより、インダクタL1の両端電圧VL1の極性が反転し、インダクタL1と第2コンデンサC2との接続点が高電位側となる。
インダクタL1の両端電圧VL1により、第2コンデンサC2、第1スイッチング素子Q1の寄生ダイオードD1を介して第1コンデンサC1を充電する向きに電流Ic2が流れる。インダクタL1の両端電圧VL1は、第1コンデンサC1の両端電圧Vc1から、第2コンデンサC2の両端電圧Vc2を差し引いた電圧(Vc1-Vc2)となる。なお、ここでは、寄生ダイオードD1の順方向降下電圧は、両端電圧Vc1,Vc2に比べて十分に小さいため無視している。
第4モードにおけるインダクタL21の両端電圧VL21は、インダクタL1の両端電圧VL1と、出力電圧Voとによって求まる。具体的には、インダクタL21の両端電圧VL21は、VL1+Voで求まる。ここでは、インダクタL21の両端電圧VL21の極性が、インダクタL21と出力コンデンサCoとの接続点が「正」として計算している。インダクタL21の両端電圧VL21は、下記の数4で求まる。
また、インダクタL1の両端電圧VL1により、出力コンデンサCoに第2リップル電流Ir2が流れる。両端電圧VL1は、インダクタL1と出力コンデンサCoとの接続点が高電位側である。そのため、第2リップル電流Ir2は、出力コンデンサCoを放電する向きに流れる。
上述した第1~第4モードにおいて、スナバ回路3による回生電力の大きさは、負荷5の大きさ(出力電流Ioの大きさ)に関わらず、ほぼ一定である。負荷5が無負荷(出力電流Ioがゼロ)である場合、回生電流の全てが電力変換回路2(電源回路20)に流れる。負荷5が軽負荷(例えば出力電流Ioが15A)である場合、回生電流が電力変換回路2(電源回路20)と負荷5との両方に流れる。また、負荷5が重負荷(例えば、出力電流Ioが60A)である場合、回生電流の全てが負荷5に流れる。
・リップル電流の低減
次に、スナバ回路3による出力コンデンサCoに流れるリップル電流の低減について、図8A~図9Bを参照して説明する。
上述したように、スナバ回路3は、第1モードから第4モードを順に行うことにより、出力コンデンサCoに流す第2リップル電流Ir2の向きを切り替えている。スナバ回路3は、第1モードでは、オン期間Ton1において、出力コンデンサCoを放電させる向きに第2リップル電流Ir2を発生させる。このとき、整流回路22のスイッチング素子Q11,Q14(又はQ12,Q13)がオンしているため、バス電圧Vbusの電圧値がviとなり、電源E1(電力変換回路2)は、出力コンデンサCoを充電する向きに第1リップル電流Ir1を発生させる。
また、スナバ回路3は、第3モードでは、オフ期間Toff1において、出力コンデンサCoを充電させる向きに第2リップル電流Ir2を発生させる。このとき、整流回路22のスイッチング素子Q11~Q14がオフしているため、バス電圧Vbusの電圧値がゼロとなり、電源E1(電力変換回路2)は、出力コンデンサCoを放電する向きに第1リップル電流Ir1を発生させる。
つまり、スナバ回路3は、電源E1が流す第1リップル電流Ir1と逆向きの第2リップル電流Ir2を発生させる。出力コンデンサCoに流れるリップル電流は、第1リップル電流Ir1と第2リップル電流Ir2とを足し合わせた電流である。したがって、第1リップル電流Ir1が第2リップル電流Ir2で相殺され、出力コンデンサCoに流れるリップル電流が低減する。
具体的には、整流回路22のスイッチング素子Q11,Q14(又はQ12,Q13)がオンしているオン期間Ton1、及びスイッチング素子Q11~Q14がオフしているオフ期間Toff1における第1リップル電流Ir1は、以下のようになる。
図8Aは、オン期間Ton1(第1モード、第2モード)における等価回路であり、図8Bは、オフ期間Toff1(第3モード、第4モード)における等価回路である。図8A、図8Bでは、スナバ回路3(インダクタL1を含む)を無視している。
オン期間Ton1では、スイッチング素子Q11,Q14(又はQ12,Q13)がオンしているため、バス電圧Vbusの電圧値がviで一定である。そのため、図8Aでは、電源回路20、トランス21、及び整流回路22をまとめて、直流電圧を出力する電源E1として記載している。
オン期間Ton1(第1モード、第2モード)では、電圧値がviのバス電圧VbusがインダクタL21を介して出力コンデンサCoに印加される。そのため、電源E1からインダクタL21を介して出力コンデンサCoを充電する向きに第1リップル電流Ir1が流れる(図8A、図3参照)。このときの第1リップル電流Ir1は、バス電圧Vbus、出力電圧Vo、及びインダクタL21のインダクタンスに基づいて、下記の数5で求まる。
また、オフ期間Toff1(第3モード、第4モード)では、バス電圧Vbusの電圧値がゼロとなる。そのため、出力コンデンサCoが放電する向きに第1リップル電流Ir1が流れる(図8B、図3参照)。このときの第1リップル電流Ir1は、出力電圧Vo、及びインダクタL21のインダクタンスに基づいて、下記の数6で求まる。
また、第1~第4モードにおける第2リップル電流Ir2は、以下のようになる。
図9Aは、第1モード及び第4モードにおける等価回路であり、図9Bは、第2モード及び第3モードにおける等価回路である。図9A、図9Bでは、電源E1、負荷5等を無視している。
第1モード及び第4モードでは、インダクタL1の両端電圧VL1は、インダクタL1と出力コンデンサCoとの接続点が高電位側となる。図9Aでは、インダクタL1を直流電源として記載している。第1モード及び第4モードでは、インダクタL1を電源として、出力コンデンサCoを放電する向きに第2リップル電流Ir2が流れる(図9A、図3参照)。このときの第2リップル電流Ir2は、インダクタL1の両端電圧VL1及びインダクタL21のインダクタンスに基づいて、下記の数7で求まる。
また、第2モード及び第3モードでは、インダクタL1の両端電圧VL1は、インダクタL1と出力コンデンサCoとの接続点が低電位側となる。図9Bでは、インダクタL1を直流電源として記載している。第2モード及び第3モードでは、インダクタL1を電源として、出力コンデンサCoを充電する向きに第2リップル電流Ir2が流れる(図9B、図3参照)。このときの第2リップル電流Ir2は、インダクタL1の両端電圧VL1及びインダクタL21のインダクタンスに基づいて、下記の数8で求まる。
このように、スナバ回路3が第1モードである期間T11では、第1リップル電流Ir1が出力コンデンサCoを充電する向きに流れるのに対して、第2リップル電流Ir2が出力コンデンサCoを放電する向きに流れる。また、スナバ回路3が第3モードである期間T13では、第1リップル電流Ir1が出力コンデンサCoを放電する向きに流れるのに対して、第2リップル電流Ir2が出力コンデンサCoを充電する向きに流れる。つまり、第1リップル電流Ir1と第2リップル電流Ir2とは、互いに逆位相となるので、出力コンデンサCoに流れるリップル電流が低減される。なお、第1リップル電流Ir1と第2リップル電流Ir2とは、厳密には逆位相ではなく、スナバ回路3が第2モード及び第4モードであるデッドタイムTdの分だけ、位相がずれている。
上述したように、出力コンデンサCoに流れる電流Icoは、重ねの理により、第1リップル電流Ir1と第2リップル電流Ir2とを足し合わせた電流となる。したがって、スナバ回路3が第1モードである期間T11における電流Icoの大きさは、上記の数5で求まる第1リップル電流Ir1と、上記の数7で求まる第2リップル電流Ir2とを足した値となる。スナバ回路3が第2モードである期間T12における電流Icoの大きさは、上記の数5で求まる第1リップル電流Ir1と、上記の数8で求まる第2リップル電流Ir2とを足した値となる。スナバ回路3が第3モードである期間T13における電流Icoの大きさは、上記の数6で求まる第1リップル電流Ir1と、上記の数8で求まる第2リップル電流Ir2とを足した値となる。スナバ回路3が第4モードである期間T14における電流Icoの大きさは、上記の数6で求まる第1リップル電流Ir1と、上記の数7で求まる第2リップル電流Ir2とを足した値となる。
このように、スナバ回路3は、電力変換回路2から吸収した電気エネルギを、出力コンデンサCoに流れるリップル電流が低減するように、電力変換回路2又は負荷5に回生させる。これにより、出力コンデンサCoの容量を低減し小型化を図ることができる。例えば、本実施形態のスナバ回路3が接続されていない電力変換回路2では、出力コンデンサCoに流れるリップル電流が3Ap-pであり、出力コンデンサCoの容量が330μFであるとする。この電力変換回路2に本実施形態のスナバ回路3を接続した場合、出力コンデンサCoに流れるリップル電流を1.5Ap-p以下まで低減することができる。これにより、出力コンデンサCoに容量が120μFのコンデンサを採用することができ、電力変換回路2の小型化を図ることができる。
(4)変形例
(4.1)第1変形例
以下に、電力変換システム1の第1変形例について図10を参照して説明する。
上述した例では、整流回路22は、スイッチング素子Q11~Q14を整流素子として備える同期整流型の全波整流回路であったが、これに限らない。
図10に示すように、整流回路22は、ダイオードD11a~D14aを整流素子として備えるダイオードブリッジ回路であってもよい。ダイオードD11a~D14aは、フルブリッジ接続されている。高電位側の第2端子H21と低電位側の第2端子H22との間に、ダイオードD11a,D12aの直列回路と、ダイオードD13a,D14aの直列回路とが、電気的に並列接続されている。ダイオードD11aとダイオードD12aとの接続点が第1端子H11と電気的に接続され、ダイオードD13aとダイオードD14aとの接続点が第1端子H12と電気的に接続されている。
具体的には、ダイオードD11aは、カソードが第2端子H21と電気的に接続され、アノードが第1端子H11と電気的に接続されている。ダイオードD12aは、カソードが第1端子H11と電気的に接続され、アノードが第2端子H22と電気的に接続されている。ダイオードD13aは、カソードが第2端子H21と電気的に接続され、アノードが第1端子H12と電気的に接続されている。ダイオードD14aは、カソードが第1端子H12と電気的に接続され、アノードが第2端子H22と電気的に接続されている。
ダイオードD11a~D14aは、入力電圧Viの位相に同期してオン/オフする。具体的には、入力電圧Viの極性が「正」である場合、ダイオードD11a,D14aがオン(導通状態)し、入力電圧Viの極性が「負」である場合、ダイオードD12a,D13aがオン(導通状態)する。これにより、整流回路22の一対の出力端である一対の第2端子H21,H22間に、入力電圧Viを全波整流したバス電圧Vbusが生成される。
上述した実施形態(図1参照)では、整流回路22は、スイッチング素子Q11~Q14を整流素子として備える同期整流型の全波整流回路であった。そのため、スナバ回路3が第1モードである場合、第2リップル電流Ir2がスイッチング素子Q11,Q14(又はQ12,Q13)を介してトランス21の二次巻線L12を流れる。これにより、スナバ回路3から回生された電気エネルギがトランス21を介して電源回路20に伝達されていた。
本変形例では、整流回路22は、ダイオードD11a~D14aを整流素子として備えるダイオードブリッジ回路である。そのため、スナバ回路3が第1モードである場合、第2リップル電流Ir2は、トランス21の二次巻線L12に流れず、スナバ回路3のダイオードD3及び第1コンデンサC1に流れる。つまり、第2リップル電流Ir2は、出力コンデンサCo、インダクタL21、ダイオードD3、第1コンデンサC1を含む閉ループを流れる。これにより、第2リップル電流Ir2は、第1リップル電流Ir1と逆向きに流れるので、出力コンデンサCoに流れるリップル電流を低減することができる。これにより、出力コンデンサCoの容量を低減し小型化を図ることができる。
(4.2)第2変形例
以下、電力変換システム1の第2変形例について図11を参照して説明する。
図11に示すように、整流回路22は、スイッチング素子Q15,Q16を整流素子として備えるプッシュプル型の全波整流回路であってもよい。
図11に示す例では、トランス21は、一次巻線L11と、第1二次巻線L121と、第2二次巻線L122と、を備える。第1二次巻線L121及び第2二次巻線L122は、一次巻線L11と磁気的に結合されている。第1二次巻線L121は、一端が第2二次巻線L122の他端と電気的に接続されており、他端が第1端子H12と電気的に接続されている。第2二次巻線L122は、一端が第1端子H11と電気的に接続されている。第1二次巻線L121と第2二次巻線L122との接続点(トランス21の二次巻線のタップ)は、高電位側の第2端子H21と電気的に接続されている。なお、本変形例では、第1二次巻線L121と第2二次巻線L122の巻数が同じであるとする。
トランス21の一次巻線L12に電源回路20から交流電圧が印加されることにより、第1二次巻線L121と第2二次巻線L122との直列回路の両端間(一対の第1端子H21,H22間)に交流の入力電圧Viが発生する。
整流回路22は、整流素子として2つのスイッチング素子Q15,Q16を有する。一例として、スイッチング素子Q15,Q16は、デプレッション型のnチャネルMOSFETで構成されている。
スイッチング素子Q15は、ドレインが第1端子H12と電気的に接続され、ソースが第2端子H22と電気的に接続されている。スイッチング素子Q16は、ドレインが第1端子H11と電気的に接続され、ソースが第2端子H22と電気的に接続されている。
スイッチング素子Q15,Q16は、それぞれ寄生ダイオードD15,D16を有している。寄生ダイオードD15,D16は、それぞれアノードがソースと電気的に接続され、カソードがドレインと電気的に接続されるように構成されている。
整流回路22では、スイッチング素子Q15,Q16が、入力電圧Viの位相に同期してオン/オフすることにより、入力電圧Viを全波整流したバス電圧Vbusを一対の第2端子H21,H22間に生成する。スイッチング素子Q15,Q16は、それぞれ制御回路4からの駆動信号S15,S16によってオン/オフが個別に制御される。
制御回路4は、電源回路20の出力電圧(入力電圧Vi)に同期して、スイッチング素子Q15,Q16を駆動する駆動信号S15,S16を出力する。具体的には、制御回路4は、入力電圧Viの極性が「正」である場合、スイッチング素子Q15がオンし、スイッチング素子Q16がオフするように駆動信号S15,S16を出力する。制御回路4は、入力電圧Viの極性が「負」である場合、スイッチング素子Q16がオン、スイッチング素子Q15がオフするように駆動信号S15,S16を出力する。また、制御回路4は、入力電圧Viの電圧値がゼロである場合、スイッチング素子Q15,Q16がオフするように駆動信号S15,S16を出力する。
これにより、整流回路22の一対の出力端である一対の第2端子H21,H22間に、入力電圧Viを全波整流したバス電圧Vbusが生成される。
本変形例では、スナバ回路3が第1モードである場合、第2リップル電流Ir2がスイッチング素子Q15(又はQ16)を介してトランス21の第1二次巻線L121(又は第2二次巻線L122)を流れる。これにより、スナバ回路3から回生された電気エネルギがトランス21を介して電源回路20に伝達することができる。
(4.3)その他の変形例
以下、電力変換システム1のその他の変形例について列挙する。
上述した例では、第2モードである期間T12(デッドタイムTd)と、第4モードである期間T14(デッドタイムTd)とが同じ時間長であったが、期間T12と期間T14とは互いに異なる時間長であってもよい。
また、上述した例では、オン期間Ton1において、第1モードの後に第2モードが実行されていたが、第2モードの後に第1モードが実行されてもよい。つまり、整流回路22の整流素子がオンしているオン期間Ton1の始めに、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2がオフするデッドタイムTdが設定されていてもよい。同様に、オフ期間Toff1において、第4モードの後に第3モードが実行されてもよい。つまり、整流回路22の整流素子がオフしているオフ期間Toff1の始めに、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2がオフするデッドタイムTdが設定されていてもよい。
第1容量成分及び第2容量成分は、それぞれ容量素子(第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2)に限らず、例えば寄生容量であってもよい。
インダクタンス成分は、インダクタンス素子(インダクタL1)に限らず、例えば寄生インダクタンスであってもよい。
上述した例では、インダクタL1が電力変換回路2の平滑フィルタを兼ねているが、インダクタL1とは別に低電位側の平滑フィルタが設けられていてもよい。
上述した例では、トランス21は、一次巻線L11と二次巻線L12とが電気的に絶縁された絶縁型トランスであったが、これに限らず、一次巻線と二次巻線とが電気的に接続された非絶縁型トランスであってもよい。
上述した例では、整流回路22は、交流の入力電圧Viを全波整流する全波整流回路であったが、入力電圧Viを半波整流する半波整流回路であってもよい。
(まとめ)
第1態様に係るスナバ回路(3)は、主回路(2)から電気エネルギを吸収する。スナバ回路(3)は、第1容量成分(第1コンデンサC1)と、第2容量成分(第2コンデンサC2)と、インダクタンス成分(インダクタL1)と、切替回路(31)と、を備える。第1容量成分(C1)は、主回路(2)から吸収した電気エネルギを蓄積する。第2容量成分(C2)は、主回路(2)から吸収した電気エネルギを蓄積する。インダクタンス成分(L1)は、第1容量成分(C1)及び第2容量成分(C2)に蓄積された電気エネルギを主回路(2)又は負荷(5)に回生する。切替回路(31)は、第1容量成分(C1)からインダクタンス成分(L1)に供給される電流の向きと、第2容量成分(C2)からインダクタンス成分(L1)に供給される電流の向きとが互いに逆向きとなるように、インダクタンス成分(L1)に電気エネルギを供給する供給源を第1容量成分(C1)と第2容量成分(C2)とで切り替える。
この態様によれば、インダクタンス成分(L1)には、主回路(2)から吸収した電気エネルギが第1容量成分(C1)又は第2容量成分(C2)から供給される。この際に、切替回路(31)によって、インダクタンス成分(L1)に流れる電流の向きが切り替わる。したがって、インダクタンス成分(L1)に生じる電圧の極性が切り替わるので、インダクタンス成分(L1)が主回路(2)又は負荷に電気エネルギを回生する際に、主回路(2)に流すリップル電流(第2リップル電流Ir2)の向きが切り替わる。主回路(2)に流れるリップル電流を相殺するようにインダクタンス成分(L1)が主回路(2)にリップル電流(Ir2)を流すことにより、主回路(2)に流れるリップル電流を抑制することができる。
第2態様に係るスナバ回路(3)では、第1態様において、切替回路(31)は、第1スイッチング素子(Q1)と、第2スイッチング素子(Q2)と、を有する。第1容量成分(C1)の放電経路に、第1スイッチング素子(Q1)、第2容量成分(C2)、及びインダクタンス成分(L1)が含まれている。第2容量成分(C2)の放電経路に、第2スイッチング素子(Q2)、及びインダクタンス成分(L1)が含まれている。第1スイッチング素子(Q1)がオンすることによって、第1容量成分(C1)からインダクタンス成分(L1)に電流が供給される。第2スイッチング素子(Q2)がオンすることによって、第2容量成分(C2)からインダクタンス成分(L1)に電流が供給される。
この態様によれば、第1スイッチング素子(Q1)及び第2スイッチング素子(Q2)がオン/オフすることにより、インダクタンス成分(L1)に電気エネルギを供給する供給源を第1容量成分(C1)と第2容量成分(C2)とで切り替えることができる。
第3態様に係るスナバ回路(3)では、第2態様において、主回路(2)は、交流電圧(入力電圧Vi)を直流電圧(出力電圧Vo)に変換する電力変換回路であって、交流電圧(Vi)を整流する整流回路(22)を有している。切替回路(31)は、整流回路(22)の出力電圧(バス電圧Vbus)に同期して、第1スイッチング素子(Q1)及び第2スイッチング素子(Q2)がオン/オフする。
この態様によれば、整流回路(22)の出力電圧(Vbus)の変動によるリップル電流を相殺するようにスナバ回路(3)からリップル電流を流すことができる。
第4態様に係るスナバ回路(3)は、第3態様において、動作モードとして、第1モード、第2モード、第3モード、及び第4モードがある。第1モードでは、整流回路(22)の整流素子(スイッチング素子Q11~Q14,ダイオードD11a~D14a)がオンしているときに第1スイッチング素子(Q1)がオンし、かつ第2スイッチング素子(Q2)がオフする。第2モードでは、整流素子(Q11~Q14,D11a~D14a)がオンしているときに第1スイッチング素子(Q1)及び第2スイッチング素子(Q2)がオフする。第3モードでは、整流素子(Q11~Q14,D11a~D14a)がオフしているときに第1スイッチング素子(Q1)がオフし、かつ第2スイッチング素子(Q2)がオンする。第4モードでは、整流素子(Q11~Q14,D11a~D14a)がオフしているときに第1スイッチング素子(Q1)及び第2スイッチング素子(Q2)がオフする。
この態様によれば、整流回路(22)の出力電圧(Vbus)の変動によるリップル電流を相殺するようにスナバ回路(3)からリップル電流を流すことができる。
第5態様に係るスナバ回路(3)では、第4態様において、第2モードは、第1モードの後に実行され、第4モードは、第3モードの後に実行される。
この態様によれば、第1スイッチング素子(Q1)及び第2スイッチング素子(Q2)の制御が容易となる。
第6態様に係るスナバ回路(3)では、第1~第5態様のいずれかにおいて、インダクタンス成分(L1)は、主回路(2)の平滑フィルタを兼ねる。
この態様によれば、インダクタンス成分(L1)が主回路(2)の平滑フィルタを兼ねることにより、主回路(2)の小型化を図ることができる。
第7態様に係るスナバ回路(3)では、第6態様において、インダクタンス成分は、第1インダクタ(インダクタL1)であって、主回路(2)が有する第2インダクタ(インダクタL21)及び出力コンデンサ(Co)と直列接続されている。第1インダクタ(L1)は、出力コンデンサ(Co)に対して低電位側に電気的に接続されている。第2インダクタ(L21)は、出力コンデンサ(Co)に対して高電位側に電気的に接続されている。
この態様によれば、出力コンデンサ(Co)に流れるリップル電流を抑制することができる。
第8態様に係る電力変換システム(1)は、第1~第7態様のいずれかのスナバ回路(3)と、主回路(2)と、を備える。
この態様によれば、主回路(2)に流れるリップル電流を抑制することができる。
第9態様に係る電力変換システム(1)では、第8態様において、主回路(2)は、交流電圧(入力電圧Vi)を直流電圧(出力電圧Vo)に変換する電力変換回路であって、交流電圧(Vi)を整流する整流回路(22)を有している。整流回路(22)は、交流電圧(Vi)の位相に同期してオン/オフするスイッチング素子(Q11~Q14)を整流素子として備える。
この態様によれば、整流回路(22)における電力変換損失を低減することができる。
第10態様に係る電力変換システム(1)では、第8態様において、主回路(2)は、交流電圧(入力電圧Vi)を直流電圧(出力電圧Vo)に変換する電力変換回路であって、交流電圧(Vi)を整流する整流回路(22)を有している。整流回路(22)は、ダイオード(D11a~D14a)を整流素子として備える。
この態様によれば、整流回路(22)の構成を簡略化することができる。