JP7122245B2 - 蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は蛍光体の製造方法に関する。
窒化物蛍光体、及び酸窒化物蛍光体は、温度上昇に伴う輝度の低下が小さく、耐久性に優れた蛍光体として知られている。窒化物蛍光体及び酸窒化物蛍光体の中でも、ユウロピウムイオンを賦活したβ型サイアロンは、紫外光、可視光線等の波長の光で励起することが可能であることから注目されている。
β型サイアロン蛍光体は、例えば、窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、及び酸化ユウロピウム粉末を含む原料粉末を窒素雰囲気下で加熱することで得られる(例えば、特許文献1)。β型サイアロンの結晶が生成する過程で、窒化アルミニウム(AlN)の疑似多形であるAlNポリタイポイドが副生し、酸化ユウロピウム粉末がAlNポリタイポイドへ優先的に固溶することが知られている(例えば、特許文献2)。β型サイアロン蛍光体へのユウロピウムの固溶量を増加させるために原料粉末中の酸化ユウロピウムの配合量を増加させても、AINポリタイポイドへの酸化ユウロピウムの溶解が優先され、β型サイアロン蛍光体中に思うようにユウロピウムが固溶せず、原料粉末におけるユウロピウムの設計濃度よりもβ型サイアロン蛍光体中に固溶したユウロピウムの濃度は低いものとなり得る。
特開2017-002278号公報 特許5368557号公報
従来のβ型サイアロン蛍光体の製造方法においてユウロピウムの固溶量を調整しようとすると、原料粉末中の窒化アルミニウム等の量も併せて調整する必要がある。この場合、得られるβ型サイアロンの組成も原料粉末の組成を反映して変化する。このように、β型サイアロンの組成に影響を与えずに、ユウロピウムの固溶量のみを調整して、発光波長の異なる蛍光体を製造することは困難である。β型サイアロンの組成への影響を低減しつつ、固溶組成を調整して発光波長の異なる蛍光体を製造できる方法があれば有用である。
本開示は、発光波長の異なる蛍光体を容易に製造することが可能な蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一側面に係る蛍光体の製造方法は、窒素原子を含む母体結晶と発光中心とを有する蛍光体の製造方法であって、窒化物を含む原料粉末を加熱し上記母体結晶を得る第一の工程と、上記母体結晶と、上記発光中心を有する化合物と、を加熱し固溶させる第二の工程と、を備える。
上記蛍光体の製造方法においては、母体結晶を予め調製した後に、発光中心を上記母体結晶に固溶させることから、蛍光体に固溶させる発光中心の固溶量を上記結晶の組成設計とは独立して調整することができ、発光波長の異なる蛍光体を容易に調製することができる。
上記第二の工程が、上記母体結晶と上記化合物とを固体状態で接触させずに、上記化合物をガス化させて上記母体結晶に供給しながら、加熱し固溶させる工程であってもよい。上記母体結晶への上記化合物の供給を、直接接触させずに上記化合物をガス化させて行うことによって、上記母体結晶の組成への影響をより低減することができる。
上記母体結晶がβ型サイアロンであってよい。β型サイアロンは、結晶格子中に上記発光中心を固溶させる空隙を有するため、上記元素を供給し固溶させることがより容易となる。
上記β型サイアロンがSi6-ZAl8-Zの組成式(組成式中、zは、0.0<z≦4.2を満たす)で表される組成を有してもよい。
発光中心がEu、Ce、Tb、Pr、Dy、Sm、Tm、Yb、Cr、Mn及びFeからなる群より選択される少なくとも一種の元素のイオンを含んでもよい。
本開示によれば、発光波長の異なる蛍光体を容易に製造することが可能な蛍光体の製造方法を提供することができる。
図1は、蛍光体の製造方法に使用する加熱容器の一例を示す模式図である。 図2は、β型サイアロンにユウロピウムイオンが固溶した蛍光体の結晶を示す模式図である。 図3は、β型サイアロン及びβ型サイアロンにユウロピウムイオンが固溶した蛍光体の結晶格子定数(a軸)を示すグラフである。 図4は、β型サイアロン及びβ型サイアロンにユウロピウムイオンが固溶した蛍光体の結晶格子定数(c軸)を示すグラフである。 図5は、蛍光体の蛍光スペクトルを示すグラフである。
以下、場合により図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。
蛍光体の製造方法の一実施形態は、窒素原子を含む母体結晶と発光中心とを有する蛍光体の製造方法であって、窒化物を含む原料粉末を加熱し母体結晶を得る第一の工程と、上記母体結晶と、発光中心を有する化合物と、を固体状態で接触させずに、上記化合物をガス化させて上記結晶に供給しながら、加熱し固溶させる第二の工程を有する。
上記蛍光体の製造方法においては、母体結晶を予め調製した後に、発光中心となる元素を上記母体結晶中に固溶させることで、母体結晶の組成が変化することを抑制しつつ、発光中心となる元素の固溶量を調整することができる。
原料粉末は、窒化物を含む。原料粉末は、複数種の窒化物を含んでもよい。窒化物としては、例えば、窒化ケイ素(Si)、及び窒化アルミニウム(AlN)等が挙げられる。窒化ケイ素としては、α分率の高いものを用いることが好ましい。窒化ケイ素のα分率は、例えば、80質量%以上、90質量%以上又は95質量%以上であってよい。窒化ケイ素のα分率が上記範囲内であると、一次粒子成長を促進することができる。窒化ケイ素としては、酸素含有量の小さなものを用いることが好ましい。窒化ケイ素の酸素含有量は、例えば、3.0質量%以下、1.3質量%以下であってよい。窒化ケイ素の酸素含有量が上記範囲内であると、母体結晶における欠陥の発生を抑制できる。原料粉末は窒化物に加えて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、酸化ケイ素(SiO)、及び酸化アルミニウム(Al)等が挙げられる。原料粉末は、発光中心及び発光中心を有する化合物を実質的に含有しない。
原料粉末に含まれる成分及び各成分の割合は、調製する母体結晶の組成が所望の組成となるように調整することができる。窒化ケイ素の含有量は、原料粉末全量を基準として、例えば、80質量%以上又は90質量%以上であってよい。原料粉末は、上記窒化物、及び上記他の成分を秤量し、混合することによって調製できる。混合には、乾式混合法又は湿式混合法を用いてもよい。乾式混合法は、例えば、V型混合機等を用いて各成分を混合する方法であってよい。湿式混合法は、例えば、水等の溶媒又は分散媒を加えて溶液又はスラリーを調製し各成分を混合して、その後、溶媒又は分散媒を除去する方法であってよい。
第一の工程における加熱温度は、例えば、1500℃~2500℃であってよい。原料粉末が発光中心を有する化合物等を実質的に含有しないため、第一の工程における加熱温度は、母体結晶の製造に適すように比較的高温に設定することができる。第一の工程における加熱温度は、母体結晶の結晶成長をより向上させる観点から、例えば、1900℃~2500℃であってもよい。また、第一の工程における加熱時間は、例えば、5時間~20時間であってよい。第一の工程における加熱時間は、母体結晶の一次粒子成長を促進する観点から、例えば、10時間~20時間であってよい。
第一工程における加熱は加圧下で行ってもよく、例えば、原料粉末を、0.1MPa~200MPaの加圧下において加熱してもよい。
第一の工程は、母体結晶の粒度を調整する工程を含んでもよい。母体結晶の粒度を調整することで、母体結晶の取り扱い性を向上させることができ、また得られる蛍光体の色度のばらつき等を小さなものとすることができる。母体結晶のメディアン径D50は、例えば、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、16μm以下であってもよい。母体結晶のメディアン径D50は、例えば、1μm以上であってよく、又は5μm以上であってよい。
本明細書における「メディアン径D50」は、JIS R 1629:1997に記載のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法に基づいて測定される値を意味する。測定には、粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、製品名:「Microtrac MT3300EX II」)を用いることができる。具体的には、まず、測定対象となる蛍光体0.1gをイオン交換水100ccに投入し、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製、製品名:「Ultrasonic Homogenizer US-150E」、チップサイズ:φ20、Amplitude:100%、発振周波数:19.5KHz、振幅:約31μm)を用いて3分間、分散処理を行い、測定サンプルを調製する。その後、粒子径分布測定装置を用いて粒度を測定する。得られる粒度分布からメディアン径D50を決定できる。
上記母体結晶は、例えば、サイアロン、(Ca,Sr)SiAlN3、(Ba,Sr)Si及びSr(LiAl)等であってよい。サイアロンは、α型サイアロンであってよく、β型サイアロンであってよい。β型サイアロンは、Si6-ZAl8-Zの組成式で表される組成を有してもよい。上記組成式中、zは、0.0<z≦4.2であってよく、又は0.0<z≦0.5であってよい。β型サイアロンの組成は、原料粉末の成分及び組成比を変更することで、調整することができる。
第二の工程において、上記母体結晶と、発光中心を有する化合物と、を固体状態で接触させずに、上記化合物をガス化させて上記結晶に供給しながら、加熱し固溶させる。ガス化には、例えば、上記化合物が昇華すること、及び上記化合物の一部が分解され発光中心を含む気体を生じること等が含まれる。
第二の工程は、例えば、図1に示すような加熱容器を用いて行うことができる。図1は、蛍光体の製造方法に使用する加熱容器の一例を示す模式図である。加熱容器100は、容器10と、容器10の収容部12を密閉することが可能なように設けられた蓋14とを有する。収容部12には、母体結晶2が充填された第一の容器20と、発光中心を有する化合物4が充填された第二の容器30とが静置されている。母体結晶2と、化合物4とは、別々の容器に充填されており、固体状態での接触はない。
第二の工程では、例えば、上述の加熱容器100を、カーボンヒーターを備える電気炉中に配置し加熱処理を行う。加熱容器100を加熱する過程で、化合物4がガス化し、母体結晶2に化合物4が供給される。この状態で、加熱を行うことによって、母体結晶2中に化合物4に由来する発光中心が固溶される。
第二の工程における電気炉中の雰囲気は、例えば、窒素雰囲気及び希ガス雰囲気等であってよい。電気炉中の雰囲気は、母体結晶の分解を抑制する観点から、窒素雰囲気とすることが好適である。電気炉内が加圧状態となるように調整してもよい。電気炉内の圧力は、例えば、0.5MPa以上であってよく、0.8MPa以上であってよい。電気炉内の圧力は、例えば、200MPa以下であってよく、100MPa以下であってよく、20MPa以下であってよく、1.5MPa以下であってよい。電気炉内の圧力は上述の範囲内で調整することができ、例えば、0.5MPa~2.0MPaであってよく、0.8MPa~1.5MPaであってよい。
第二の工程における加熱温度は、例えば、1500℃以上であってよく、1800℃以上であってよく、1850℃以上であってよく、1900℃以上であってよい。第二の工程における加熱温度を上記範囲内に設定することによって、化合物4を十分にガス化させることができ、かつ母体結晶中に化合物4に由来する発光中心をより十分に固溶させることができる。第二の工程における加熱温度は、例えば、2500℃以下であってよく、2250℃以下であってよく、2100℃以下であってよく、2050℃以下であってよい。第二の工程における加熱温度を上記範囲内に設定することによって、母体結晶2が再溶解すること及び熱分解することを抑制し、母体結晶2の組成の変化を抑制することができる。第二の工程における加熱温度は上記範囲内で調整することができ、例えば、1500℃~2500℃であってよく、1900℃~2050℃であってよい。
第二の工程における加熱時間は、例えば、30分間以上であってよく、1時間以上であってよく、3時間以上であってよく、また5時間以上であってよい。第二の工程における加熱時間は、例えば、24時間以下であってよく、又は12時間以下であってよい。第二の工程における加熱時間は上記範囲内で調整することができ、例えば、30分間~24時間であってよい。
発光中心を有する化合物4は、例えば、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物及び炭酸塩等であってよい。上記化合物4としては、昇華等によってガス化できる化合物を好適に用いることができる。発光中心は、例えば、希土類元素のイオン等であってよく、Eu(ユウロピウム)、Ce(セリウム)、Tb(テルビウム)、Pr(プラセオジム)、Dy(ジスプロシウム)、Sm(サマリウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)及びFe(鉄)からなる群より選択される少なくとも一種の元素のイオンを含んでもよい。上記化合物4としては、例えば、酸化ユウロピウム(Eu)、酸化セリウム(CeO)、酸化プラセオジオム(Pr11)、酸化ジスプロシウム(Dy)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ツリウム(Tm)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化クロム(CrO)、酸化マンガン(MnO)及び酸化鉄(Fe)等が挙げられる。これらの化合物は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
第二の工程における化合物4の配合量は、調製する蛍光体の固溶組成が所望の組成となるように調整することができる。
第二の工程は、発光中心が固溶した固溶体の粒度を調整する工程を含んでもよい。固溶体の粒度を調整することで、蛍光体の取り扱い性を向上させることができる。蛍光体のメディアン径D50は、例えば、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、16μm以下であってよい。蛍光体のメディアン径D50は、例えば、1μm以上であってよく、又は5μm以上であってよい。
上述の蛍光体の製造方法は、他の工程を有してもよい。他の工程としては、例えば、第二の工程において得られる発光中心が固溶した固溶体を熱処理する工程、及び、第二の工程において得られる発光中心が固溶した固溶体を酸又はアルカリで処理する工程等を有してもよい。
蛍光体の製造方法が、第二の工程において得られる発光中心が固溶した固溶体を熱処理する工程(熱処理工程)を有する場合、得られる蛍光体の安定性をより向上させることができる。熱処理工程は、第二の工程における加熱温度よりも低い温度で上記固溶体を処理する。熱処理の温度は、例えば、1450℃~1650℃であってよい。熱処理の温度を上記範囲内とすることで、固溶体間で更なる焼結が進行して二次粒子を形成し粗大化が生じること、及び得られる蛍光体内で結晶欠陥が発生することを抑制することができる。
蛍光体の製造方法が、第二の工程において得られる発光中心が固溶した固溶体を酸又はアルカリで処理する工程(酸アルカリ処理工程)を有する場合、例えば、β型サイアロンの熱分解等により生成した固溶体表面に存在するケイ素の除去、及びβ型サイアロンの調製時に副生したAINポリタイポイド等の除去ができる。酸としては、例えば、フッ化水素酸及び硝酸等が挙げられる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
蛍光体の製造方法の上記実施形態における、第二の工程は、例えば、上記母体結晶と、発光中心を有する化合物とを直接混合させた状態で、加熱し固溶させる工程であってもよい。上記母体結晶及び上記化合物を直接混合する方法の場合、蛍光体の製造方法に用いる装置をより簡略化することができる。一方、上記母体結晶及び上記化合物を直接混合する方法に比べて、上記化合物をガス化させて上記母体結晶に供給する方法の方が、上記母体結晶の内部へ発光中心を固溶させやすく、得られる蛍光体における発光中心となる元素の固溶量をより向上させることができるためより好適である。また、発光強度に優れる蛍光体を得る観点からは、上記母体結晶及び上記化合物を直接混合する方法に比べて、上記化合物をガス化させて上記母体結晶に供給する方法の方がより好適である。
従来の蛍光体の製造方法では、母体結晶の成長と、発光中心の固溶とを同時に進行させているため、母体結晶の成長過程で発光中心を有する化合物が存在する。そのため母体結晶の組成が上記化合物の影響を受けやすく、母体結晶中に結晶欠陥等が生じ得る。一方、本開示に係る蛍光体の製造方法によれば、母体結晶を予め調製した後に、発光中心を母体結晶中に固溶させていることから、上述のような懸念が少ない。本開示に係る蛍光体の製造方法によれば、母体結晶の組成を固定した状態で、発光中心の固溶量を調整することができるため、発光波長の異なる蛍光体をより容易に調製することができる。
本開示に係る蛍光体の製造方法は、上述のとおり、母体結晶の組成への影響を抑制しつつ、発光中心の固溶量を調整できることから、種々の母体結晶が有する固有の組成に対して、発光波長、発光強度、及び蛍光スペクトルの形状等を所望の範囲とするための最適な発光中心の固溶量を決定するための方法としても有用である。
以上、幾つかの実施形態を説明したが、共通する構成については互いの説明を適用することができる。また、本開示は上述の実施形態に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<母体結晶の調製>
高純度窒化ケイ素粉末(宇部興産株式会社製、商品名:UBE窒化ケイ素 SN-E10、酸素含有量:1.0質量%、α分率:95質量%以上)、窒化アルミニウム粉末(株式会社トクヤマ製、商品名:窒化アルミニウム粉末 Fグレード、酸素含有量0.8質量%)、及び酸化アルミニウム粉末(大明化学工業株式会社製、商品名:低温焼結性アルミナ TM-DAR)を用いて、窒化ケイ素が96.98質量%、窒化アルミニウムが2.57質量%、及び酸化アルミニウムが0.44質量%となるように測り取り、V型混合機(筒井理化学機械株式会社製)によって混合し、混合物を得た。
得られた混合物を、目開きが250μmの篩に通すことによって、原料混合粉末を得た。篩を通らない凝集塊は粉砕し、篩を通るように粒径を調整した。上記配合比は、β型サイアロンの一般式:Si6-ZAl8-Zにおいて、Alの含有量に対するSiの含有量の比(Si/Al)から算出するzの値が0.20となるように調整した。
蓋付き円筒型窒化ホウ素容器(デンカ株式会社製、窒化ホウ素(商品名:デンカ ボロンナイトライド N-1)を主成分とする成型品、内径:10cm、高さ:10cm)に、上述のとおり調製した原料混合粉末を200g測り取った。その後、この容器を、カーボンヒーターを備える電気炉中に配置し、窒素ガスの雰囲気下(圧力:0.8MPa)で2000℃まで昇温し、2000℃の加熱温度で、8時間加熱を行った。加熱後、上記容器内で、緩く凝集した塊状となった試料を乳鉢に採り解砕した。解砕後、250μmの篩に通すことによって、母体結晶であるβ型サイアロンを調製した。
<蛍光体の調製>
円筒型の第一の窒化ホウ素容器(デンカ株式会社製、内径:5cm、高さ:3.5cm)に、上述の母体結晶を10g測り取った。次に、円筒型の第二の窒化ホウ素容器(デンカ株式会社製、内径:1.8cm、高さ:2cm)に、酸化ユウロピウム粉末(信越化学工業株式会社製、RUグレード)を2.0g測り取った。次いで、蓋付き円筒型窒化ホウ素容器(デンカ株式会社製、内径:8cm、高さ:9.4cm)内に、第一の窒化ホウ素容器及び第二の窒化ホウ素容器を配置した。
蓋付き円筒型窒化ホウ素容器を、カーボンヒーターを備える電気炉中に配置し、窒素ガスの雰囲気下(圧力:0.8MPa)で2000℃まで昇温し、2000℃の加熱温度で、8時間加熱を行った。加熱後、上記容器内で、緩く凝集した塊状となった試料を乳鉢に採り解砕した。解砕後、250μmの篩に通すことによって、蛍光体を得た。
(実施例2)
第二の窒化ホウ素容器に入れる酸化ユウロピウム粉末の量を0.1gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体を得た。
(実施例3)
第二の窒化ホウ素容器に入れる酸化ユウロピウム粉末の量を0.025gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体を得た。
(実施例4)
蛍光体の調製における加熱時間を15時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体を得た。
(実施例5)
実施例1で調整した母体結晶であるβ型サイアロン12.87gと、酸化ユウロピウム0.13gとを測り取り、V型混合機(筒井理化学機械株式会社製)を用いて混合し、混合物を得た。得られた混合物を、目開きが250μmの篩に通すことによって、混合粉末を得た。篩を通らない凝集塊は粉砕し、篩を通るように粒径を調整した。
蓋つき円筒型窒化ホウ素容器(デンカ株式会社製、内径:5cm、高さ:3.5cm)に、上述のとおり得られた混合粉末を10g測り取った。次いで、蓋付き円筒型窒化ホウ素容器を、カーボンヒーターを備える電気炉中に配置し、窒素ガスの雰囲気下(圧力:0.8MPa)で2000℃まで昇温し、2000℃の加熱温度で、8時間加熱を行った。加熱後、上記容器内で、緩く凝集した塊状となった試料を乳鉢に採り解砕した。解砕後、250μmの篩に通すことによって、蛍光体を得た。
(比較例1)
高純度窒化ケイ素粉末(宇部興産株式会社製、商品名:UBE窒化ケイ素 SN-E10、酸素含有量:1.0質量%、α分率:95質量%以上)、窒化アルミニウム粉末(株式会社トクヤマ製、商品名:窒化アルミニウム粉末 Fグレード、酸素含有量0.8質量%)、酸化アルミニウム粉末(大明化学工業株式会社製、商品名:低温焼結性アルミナ TM-DAR)、及び酸化ユウロピウム粉末(信越化学工業株式会社製、RUグレード)を用いて、窒化ケイ素が96.14質量%、窒化アルミニウムが2.66質量%、酸化アルミニウムが0.31質量%、及び酸化ユウロピウムが0.90質量%となるように測り取り、V型混合機(筒井理化学機械株式会社製)を用いて混合し、混合物を得た。
得られた混合物を、目開きが250μmの篩に通すことによって、原料混合粉末を得た。篩を通らない凝集塊は粉砕し、篩を通るように粒径を調製した。上記配合比は、β型サイアロンの一般式:Si6-ZAl8-Zにおいて、Alの含有量に対するSiの含有量の比(Si/Al)から算出して、zが0.20となるように設計した。
蓋付き円筒型窒化ホウ素容器(デンカ株式会社製、窒化ホウ素(商品名:デンカ ボロンナイトライド N-1)を主成分として用いた成型品、内径:10cm、高さ:10cm)に、上述のとおり調製した原料混合粉末を200g測り取った。その後、この容器を、カーボンヒーターを備える電気炉中に配置し、窒素ガスの雰囲気下(圧力:0.8MPa)で2000℃まで昇温し、2000℃の加熱温度で、8時間加熱を行った。加熱後、上記容器内で、緩く凝集した塊状となった試料を乳鉢に採り解砕した。解砕後、250μmの篩に通すことによって、蛍光体を調製した。
<蛍光体及びβ型サイアロンの組成分析>
実施例1で得られた蛍光体、実施例5で得られた蛍光体、及び実施例1で調整した母体結晶であるβ型サイアロンについて、組成分析を行った。また、実施例1で得られた蛍光体、実施例5で得られた蛍光体、及び実施例1で調整した母体結晶であるβ型サイアロンに対して、フッ化水素酸及び硝酸の混酸を用いて酸処理を行った後、同様に組成分析を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007122245000001
表1に示されるとおり、本開示の蛍光体の製造方法によって、β型サイアロンに、後から発光中心を固溶させられることが確認された。また、実施例5で得られた蛍光体よりも、実施例1で得られた蛍光体の方が、酸処理前後における変化が少なく、β型サイアロンの結晶内により十分に発光中心であるユウロピウムイオンが固溶されていると考えられる。
<蛍光体及びβ型サイアロンの格子定数の測定>
実施例1で得られた蛍光体、実施例5で得られた蛍光体、及び実施例1で調整した母体結晶であるβ型サイアロンについて、粉末X線回折によって格子定数の測定を行った。また、実施例1で得られた蛍光体、実施例5で得られた蛍光体、及び実施例1で調整した母体結晶であるβ型サイアロンに対して、酸処理を行った後、同様に格子定数の測定を行った。結果を図3及び図4に示す。
図2は、β型サイアロンにユウロピウムイオンが固溶した蛍光体の結晶を示す模式図である。β型サイアロンを母体結晶とする蛍光体は、発光中心であるユウロピウムイオンが、β型サイアロンのc軸方向に沿って形成される六角柱状の空隙に固溶したモデルとして描くことができる。図3は、β型サイアロン及びβ型サイアロンにユウロピウムイオンが固溶した蛍光体の結晶格子定数(a軸)を示すグラフである。図4は、β型サイアロン及びβ型サイアロンにユウロピウムイオンが固溶した蛍光体の結晶格子定数(c軸)を示すグラフである。
図3及び図4に示されるとおり、本開示の蛍光体の製造方法によって、β型サイアロンに、発光中心となる元素を固溶させると、a軸方向の結晶格子の長さが大きくなっていることが確認される。またc軸方向の結晶格子の長さは、発光中心となる元素を固溶させる前後で変化が少ない。また、図3に示されるとおり、実施例5で得られた蛍光体よりも、実施例1で得られた蛍光体の方が、ユウロピウムイオンの固溶量がより多い。
<蛍光体の蛍光スペクトル測定>
実施例1~4及び比較例1において得られた蛍光体について、分光蛍光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、製品名:「F7000」)を用いて、蛍光スペクトルを測定した。結果を図5に示す。
<蛍光体のメディアン径D50の測定>
実施例1~4及び比較例1において得られた蛍光体について、JIS R 1629:1997に記載のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法に基づきMicrotrac MT3300EX II(マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、メディアン径D50を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0007122245000002
<蛍光体の内部量子効率及び外部量子効率の測定>
実施例1で得られた蛍光体、及び実施例5で得られた蛍光体について、量子効率測定装置(大塚電子株式会社製、製品名:「MCPD-7000」)を用いて量子効率の測定を行った。また、実施例1で得られた蛍光体、及び実施例5で得られた蛍光体に対して、酸処理を行った後、同様に量子効率の測定を行った。結果を表3に示す。表3に示す結果は、波長が455nmの近紫外光を用いて蛍光体を励起した場合の発光強度、光の吸収量、内部量子効率及び外部量子効率である。
<蛍光体のCIE色度座標の測定>
実施例1で得られた蛍光体、及び実施例5で得られた蛍光体について、量子効率測定装置(大塚電子株式会社製、製品名:「MCPD-7000」)を用いて、波長が455nmの光を用いて蛍光体を励起した場合の蛍光スペクトルからCIE色度座標(x、y)を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0007122245000003
本開示は、発光波長の異なる蛍光体を容易に製造することが可能な蛍光体の製造方法を提供することができる。
2…母体結晶、4…化合物、10…容器、12…収容部、14…蓋、20…第一の容器、30…第二の容器、100…加熱容器。

Claims (4)

  1. 窒素原子を含む母体結晶と発光中心とを有する蛍光体の製造方法であって、
    窒化物を含む原料粉末を加熱し前記母体結晶を得る第一の工程と、
    前記母体結晶と、前記発光中心を有する化合物と、を加熱し固溶させる第二の工程と、
    を備え、
    前記第二の工程が、前記母体結晶と前記化合物とを固体状態で接触させずに、前記化合物をガス化させて前記母体結晶に供給しながら、加熱し固溶させる工程である、蛍光体の製造方法。
  2. 前記母体結晶がβ型サイアロンである、請求項1に記載の蛍光体の製造方法。
  3. 前記β型サイアロンがSi6-ZAl8-Zの組成式(組成式中、zは、0.0<z≦4.2を満たす)で表される組成を有する、請求項に記載の蛍光体の製造方法。
  4. 前記発光中心がEu、Ce、Tb、Pr、Dy、Sm、Tm、Yb、Cr、Mn及びFeからなる群より選択される少なくとも一種の元素のイオンを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
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