JP7121451B2 - 計量性向上ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット - Google Patents
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Description
(1)ポリブチレンテレフタレート樹脂と滑剤とを含み、予備乾燥後、成形機投入前におけるポリブチレンテレフタレート樹脂由来の赤外スペクトルピーク強度に対する、滑剤由来の赤外スペクトルピーク強度(2850cm-1の吸収/1019cm-1の吸収)が、0.005以上0.055以下であることを特徴とする、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット。
(2)予備乾燥前における表面結晶化状態として、ポリブチレンテレフタレート樹脂全体由来の赤外スペクトルピーク強度に対する、結晶化したポリブチレンテレフタレート樹脂由来の赤外スペクトルピーク強度(917cm-1の吸収/1019cm-1の吸収)が、0.200以上1.000以下である、(1)に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット。
(3)滑剤が脂肪酸エステルである、(1)または(2)に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット。
(4)ストランドカット直後のペレットの温度が70℃以上である、(1)から(3)のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット。
(5)無機充填剤を含有していない、(1)から(4)のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットは、ポリブチレンテレフタレート樹脂と滑剤とを含み、予備乾燥後、成形機投入前におけるポリブチレンテレフタレート樹脂由来の赤外スペクトルピーク強度に対する、滑剤由来の赤外スペクトルピーク強度(2850cm-1の吸収/1019cm-1の吸収)が、0.005以上0.055以下であることを特徴とする。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)は、少なくともテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(C1-6のアルキルエステルや酸ハロゲン化物等)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素原子数4のアルキレングリコール(1,4-ブタンジオール)又はそのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)を含むグリコール成分とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート樹脂である。本実施形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂はホモポリブチレンテレフタレート樹脂に限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上含有する共重合体であってもよい。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットは、滑剤を含有する。滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸部分鹸化エステル、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変性シリコーン等を挙げることができる。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットには、必要に応じて充填剤が使用される。このような充填剤は、機械的強度、耐熱性、寸法安定性、電気的性質等の性能に優れた性質を得るためには配合することが好ましく、特に剛性を高める目的で有効である。これは目的に応じて繊維状、粉粒状又は板状の充填剤が用いられる。
さらに本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットには、その目的に応じ、一般に熱可塑性樹脂等に添加される公知の物質を添加併用することができる。例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の安定剤、帯電防止剤、離型剤、染料や顔料等の着色剤、可塑剤、流動性向上剤、靱性向上剤、耐加水分解性向上剤、他の樹脂等いずれも配合することが可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、特性評価は以下の方法により行った。
(1) ペレットの表面に存在する滑剤量(滑剤染み出し量)の評価
測定機器としてBruker社製Hyperion3000を用い、照射面積を100μm×100μmとし、後述する方法で得た各実施例、比較例のペレットそれぞれ10粒を用いて、赤外スペクトル測定を行った。ポリブチレンテレフタレート樹脂由来のピークは1019cm-1に、滑剤由来のピークは2850cm-1にそれぞれ帰属させ、ポリブチレンテレフタレート樹脂由来のピーク強度に対する、滑剤由来のピーク強度(2850/1019)を求めた。結果を表1~4に示す。
(2)ペレットの表面結晶化度の評価
測定機器としてBruker社製Hyperion3000を用い、照射面積を100μm×100μmとし、後述する方法で得た各実施例、比較例のペレットそれぞれ10粒を用いて、赤外スペクトル測定を行った。ポリブチレンテレフタレート樹脂全体由来のピークは1019cm-1に、結晶化したポリブチレンテレフタレート樹脂由来のピークは917cm-1にそれぞれ帰属させ、ポリブチレンテレフタレート樹脂全体由来のピーク強度に対する、結晶化したポリブチレンテレフタレート樹脂由来のピーク強度(917/1019)を求めた。結果を表1~4に示す。
(3)計量性の評価
後述する方法で得た各実施例、比較例のペレットを、140℃にて、表1~4に示す乾燥時間(hr)で予備乾燥させた後、成形機(ファナック(株)製、「ROBOSHOT S-2000i 100B」、スクリュ径Φ28mm)を用いて、以下の成形条件で127mm×12.7mm×1.6mmの短冊状試験片を成形する際の計量時間の変動を測定した。50ショット行い、平均計量時間、および計量時間の標準偏差をバラつき(σ)として算出した。
〔成形条件〕
シリンダ温度:260℃
金型温度:60℃
射出速度:20mm/sec
保圧:50MPa
計量ストローク:21mm
スクリュ回転数:80rpm
背圧:3MPa
(3)計量性の評価におけるペレットの予備乾燥を行った後、乾燥機内の滑剤由来付着物の有無を目視で観察した。付着物が確認されなかったものを○、付着物が確認されたものを×とした。
表1~4に示す成分、組成(質量%)でドライブレンドした材料を、表1~4に示す押出機に供給して、シリンダ温度250℃にて、表1~4に示す浸水距離(cm)、スクリュ回転数(rpm)、吐出量(kg/hr)で溶融混練し、得られたポリブチレンテレフタレート樹脂と滑剤を含有するペレットを上述の各評価に用いる試料とした。ここで、浸水距離は、押出機のダイから押し出された溶融混練物のストランドをペレタイズ(カッティング)する前の冷却水槽の長さを指す。浸水距離が長いほどストランドの冷却が促進され、表面温度が低い状態でペレタイズされるため、ペレット表面の結晶化が進みにくく、表面結晶化度が低いペレットとなる。また、吐出量は少ないほど、低速でストランドが吐出されることを意味し、冷却水槽の長さが同じでも、その通過時間が長くなり、ストランドの冷却が促進されることになるため、ペレットの表面結晶化度が低いものとなる。通常、スクリュ回転数が高いほど吐出量が多い傾向となる。なお、本発明におけるストランドカット直後のペレットの温度として、各実施例、比較例において、ペレタイズされたストランドカット直後のペレットを1kg採取し、その中央部付近の温度を接触温度計で測定した結果を、ペレット温度(℃)として合わせて表1~4に示す。ここで、1kgのペレットの採取に要する時間は吐出量により異なるが、数秒から数分程度のため、採取の間の温度低下は無視することができる。
PBT樹脂:ウィンテックポリマー株式会社製、末端カルボキシル基濃度20meq/kg、固有粘度0.84dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂
脂肪酸エステル1:理研ビタミン株式会社製 リケマールB74
脂肪酸エステル2:理研ビタミン株式会社製 Licolub WE40
脂肪酸エステル3:クラリアントジャパン株式会社製 リコワックスE
脂肪酸エステル4:クラリアントジャパン株式会社製 Licocare RBW300TP
脂肪酸エステル5:クラリアントジャパン株式会社製 Licocare RBW102TP
脂肪酸アミド1:共栄社化学株式会社製 ライトアマイドWH-510K
脂肪酸アミド2:共栄社化学株式会社製 ライトアマイドWH-215
脂肪酸アミド3:共栄社化学株式会社製 ライトアマイドWH-255
タルク:林化成株式会社製 ミクロンホワイト#5000A
酸化防止剤:BASFジャパン株式会社製 Irganox1010
安定剤:株式会社ADEKA製 アデカスタブPEP36
カルボジイミド:ラインケミージャパン株式会社製 Stabaxol P400
酢酸カリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製 酢酸カリウム
カーボンブラック:三菱化学株式会社製 MA600B
Claims (4)
- ポリブチレンテレフタレート樹脂と滑剤とを含む原料を押出機で溶融混錬することと、
前記押出機のダイから押し出された溶融混錬物のストランドを水槽で冷却することと、
前記ストランドをペレタイズして樹脂ペレットを得ること、を含む、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットの製造方法であって、
前記ストランドの冷却工程が、ペレタイズ直後の樹脂ペレットの温度が70℃以上となるようにストランドを冷却することであり、
前記ペレタイズ工程の後、得られた樹脂ペレットの赤外スペクトル測定を行い、ポリブチレンテレフタレート樹脂由来の赤外スペクトルピーク強度に対する、滑剤由来の赤外スペクトルピーク強度の比(2850cm-1のスペクトルピーク強度/1019cm-1のスペクトルピーク強度)を確認したのち、0~24時間乾燥して、前記強度の比が0.005以上0.055以下の樹脂ペレットを得ることを特徴とする、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットの製造方法。 - 前記ストランドの冷却工程が、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットの表面結晶化状態を調整することをさらに含み、
前記表面結晶化状態の調整工程が、吐出量、及び浸水距離から選択される少なくとも1つの条件を調整することにより、前記0~24時間乾燥することの前の樹脂ペレットの赤外スペクトルにおける、ポリブチレンテレフタレート樹脂全体由来の赤外スペクトルピーク強度に対する、結晶化したポリブチレンテレフタレート樹脂由来の赤外スペクトルピーク強度(917cm-1のスペクトルピーク強度/1019cm-1のスペクトルピーク強度)を、0.200以上1.000以下とすることを含む、請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットの製造方法。 - 前記滑剤が脂肪酸エステルを含む、請求項1または2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットの製造方法。
- 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットが無機充填剤を含まない、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットの製造方法。
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