JP7119706B2 - 圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法 - Google Patents

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本発明は、圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法に関し、より詳しくは、エッジポリッシュ工程でベベリング加工痕を残さず鏡面研磨でき、複数枚の圧電性酸化物単結晶ウエハを効率的に加工できる圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法に関するものである。
タンタル酸リチウム(LiTaO;以下、LTともいう)単結晶、および、ニオブ酸リチウム(LiNbO;以下、LNともいう)単結晶は、融点がそれぞれ約1650℃、約1250℃、キュリー点がそれぞれ約600℃、約1140℃の強誘電体であり、圧電性を有する。このLT単結晶またはLN単結晶を用いて製造されたLT単結晶ウエハやLN単結晶ウエハ(以下、単に単結晶ウエハと称す。)は、携帯電話の信号ノイズ除去用の弾性表面波(SAW)フィルタや光学素子などのデバイス材料として主に用いられており、デバイスが必要とする特性によって、いずれかの単結晶ウエハが選択される。SAWフィルタは、上記タンタル酸リチウム単結晶などを用いた素子であり、圧電性単結晶基板の上に形成された櫛形電極に高周波の電力を入力して圧電性単結晶基板の表面に弾性表面波を発生させ、この弾性表面波を別の櫛形電極により再び高周波の電気信号に戻すデバイスである。
LT単結晶では、チョクラルスキー法(CZ法)などの単結晶育成方法により、育成されたLT単結晶のインゴットから円筒体へと研削した後、ワイヤーソーなどの切断装置により、所望の結晶方位に沿って、所定の厚さの円盤状の単結晶ウエハにスライスされる。
次いで、スライスした単結晶ウエハを両面ラップ加工等により平行で平坦な形状へ所定の厚さまで研磨し、両面が粗面化された単結晶ウエハを得ている。この両面が粗面化された単結晶ウエハに対し、特定の単結晶ウエハ保持方法を適用し片面を鏡面研磨する加工方法が知られている(例えば、特許文献4)。これにより単結晶ウエハ片面の鏡面研磨を効率化できるようになった。
特許文献4には記載がないが、LT単結晶ウエハは、ダイヤモンド砥石を用いたベベリング加工により、単結晶ウエハの外周に面取り加工を施して、以後のプロセスでの割れを防止するとともに、単結晶ウエハの直径が所定の大きさになるようにする。また、面取り加工された単結晶ウエハ端部の外周は、SAWフィルタ製造時での割れを防止するために、仕上げとして、コロイダルシリカなどのスラリーを用いたメカノケミカルポリッシュにより、前記のベベリング加工後の端面を鏡面研磨(エッジポリッシュ)する必要がある。
エッジポリッシュでは、例えば、シリコン単結晶ウエハの場合、円筒体の外周に弾性体のスポンジシートと研磨布を取付け、回転装置に取付けた単結晶ウエハ外周部を所定の角度で傾かせて、研磨布に接触させると共に、研磨液をこの接触面に供給することで鏡面加工を行う方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、ガラス板を研磨する場合では、ガラス板を複数枚積層し、回転体の外周部に放射状に研磨ブラシを配置し、この研磨ブラシを、複数枚積層したガラス板の側面に接触させると共に、この接触面に研磨液を供給しながらガラス板の側面を研磨する方法が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、ガラス基板の間にスペーサを挟み離間させて複数枚を積層し、スペーサとの隙間に螺旋状に配置された回転ブラシを入れガラス基板の端面を研磨する方法が提案されている(特許文献3参照)。
WO2002/005337号公報 特開2015-91610号公報 特開2007-118172号公報 特開2011-206891号公報
ところが、上記特許文献1の方法では、単結晶ウエハ1枚毎に端面を研磨布に接触させるので研磨精度は向上するが、単結晶ウエハの上下2方向を別々に行う必要があるから、研磨効率が不十分であった。しかも、研磨布の硬度が高いので、スペーサを介して単結晶ウエハを複数枚積載した場合、研磨布が単結晶ウエハ同士の間隙に入り込みにくいので、単結晶ウエハ外周の傾斜部が十分に研磨できなかった。
また、特許文献2の方法は、複数枚のガラス板の側面を一度に加工することが可能であり生産性にすぐれているが、ブラシ幅をガラス板間の距離より大きく設定し、ガラス板の表裏の主面が必要以上に研磨されないようにするため、ガラス板の面取り部の全体を鏡面研磨するものではなく、硬くて脆いLT単結晶のベベリング加工に使用できるわけではない。
さらに、特許文献3の方法によれば、スペーサを挟み離間しているガラス基板の隙間に回転ブラシが入り込むのでガラス基板端面の傾斜部も十分に研磨されるが、LT単結晶ウエハ等を研磨しようとすると、回転ブラシの毛先がスペーサと基板との間に入り込み、単結晶ウエハの表裏面も研磨してしまい、研磨された部分が透明化する。この透明化部が単結晶ウエハ外周部に存在すると、弾性表面波(SAW)などの製造プロセスで単結晶ウエハを搬送したとき、単結晶ウエハ有無検出の光電センサーの光が透過するので、単結晶ウエハが存在しないと誤認識される。
このため、外周部から内側に向かって表裏面に透明領域のない単結晶ウエハが要求されるが、単結晶ウエハ端面から過剰に研磨されないようにブラシの接触長さを短くすると、端部にベベリング加工痕(「ベベル残り」ともいう)が発生しやすくなるので安定して生産することができない。
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑み、LTなど圧電性酸化物の単結晶ウエハを製造するエッジポリッシュ工程において、端面にベベリング加工痕を残さず鏡面に仕上げると共に、複数枚の単結晶ウエハを効率的に加工することができる研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、エッジポリッシュ工程で、円筒体外周部にポリウレタンなどアスカーC硬度が15~30の有機樹脂弾性体を用い、研磨材として単結晶ウエハ積載体の外周部と接触させると、有機樹脂弾性体が適度に柔らかく、連続気泡の中に研磨液が保持されシリカ粒子がエッジ端部に有効に接触するので、効率的に単結晶ウエハ端面を研磨できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の態様によれば、圧電性酸化物単結晶のインゴットをワイヤーソーによりスライスして単結晶ウエハとするスライス工程と、単結晶ウエハの端面を面取りするベベリング工程と、単結晶ウエハの両面を粗研磨するラッピング工程と、単結晶ウエハの端面を鏡面研磨するエッジポリッシュ工程と、単結晶ウエハの表裏いずれか一方の面を鏡面研磨するポリッシング工程とを有する圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法において、圧電性酸化物単結晶は、タンタル酸リチウム単結晶、またはニオブ酸リチウム単結晶であり、エッジポリッシュ工程の際に、研磨液を供給しながら、単結晶ウエハの端面をアスカーC硬度が15~30の有機樹脂弾性体を研磨材して接触させ、研磨材を単結晶ウエハの中心軸と平行な方向にスライドさせて研磨することを特徴とする圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法が提供される。
また、本発明の第の態様によれば、第1の態様において、エッジポリッシュ工程では、単結晶ウエハの間にスペーサを挿入し複数枚積層してウエハ積載体を形成し、ウエハクランプ治具で挟持するように固定した後、有機樹脂弾性体を外周側に設けた弾性ロールの外周部をウエハ積載体の外周部と接触させ、弾性ロールとウエハ積載体に研磨液を供給しながら、単結晶ウエハの端面を研磨することを特徴とする、圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法が提供される。
また、本発明の第の態様によれば、第の態様において、スペーサは、厚さが単結晶ウエハと同一又はほぼ同一の弾性体であることを特徴とする、圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法が提供される。
また、本発明の第の態様によれば、第又は第の態様において、有機樹脂弾性体は、厚さが20mm以上であり、長さがウエハ積載体の高さ以上のポリウレタンであることを特徴とする、圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法が提供される。
また、本発明の第5の態様によれば、第2から第4のいずれかの態様において、ウエハ積載体は、単結晶ウエハの枚数が20~150枚であることを特徴とする、圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法が提供される。
本発明の態様に係る圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法によれば、特定硬度の有機樹脂弾性体を用い、単結晶ウエハの端部をエッジポリッシュすれば、ベベリング加工痕を残さず鏡面研磨することができる。また、前記有機樹脂弾性体の研磨材を弾性ロールとして用いると、複数枚の単結晶ウエハを一度に加工することができるので作業効率があがり、生産性が大幅に向上するとともに、作業コストを節減することも可能となる。
得られるLT単結晶ウエハやLN単結晶ウエハは、携帯電話の信号ノイズ除去用の弾性表面波(SAW)フィルタや光学素子などのデバイス材料、振動子、発信器の基板材料として有効に用いられる。
圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法を工程毎に説明するフロー図である。 圧電性酸化物単結晶ウエハのエッジをベベリングする工程を模式的に表した説明図であり、(A)はベベリング準備段階の断面図、(B)はエッジの上側をベベリングしている段階の断面図、(C)はベベリング前後の単結晶ウエハ端部の断面図である。 エッジポリッシュ装置の全体構造を模式的に表した正面図である。 エッジポリッシュ装置でウエハ積載体の圧電性酸化物単結晶ウエハの先端部を研磨している状態を模式的に表した正面図である。 加工処理されるウエハ積載体の積載構造を表した縦断面図である。 加工処理されたウエハ積載体の先端部を拡大した縦断面図である。 圧電性酸化物単結晶ウエハを研磨する弾性ロールの構造を表した説明図である。(A)は平面図、(B)は側面の断面図、(C)は弾性ロールの有機樹脂弾性体の断面拡大図である。 ウエハ積載体を特定硬度の有機樹脂弾性体を用いた弾性ロールでエッジポリッシュ加工している状況を模式的に示した概略説明図である。(A)は弾性ロールをウエハ積載体に押し当てた時、(B)はスラリーを供給した時の概略説明図である。 ウエハ積載体を特定硬度の有機樹脂弾性体を用いた弾性ロールでエッジポリッシュ加工している状況であり、(A)は弾性ロールを上方にスライドさせた時、(B)は弾性ロールを下方にスライドさせた時の概略説明図である。 エッジポリッシュ加工した単結晶ウエハ外周部と傾斜部の研磨状況を表した概略説明図で、(A)はエッジが過度に研磨された状態、(B)はエッジの研磨が不足した状態である。
以下、圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法について図面を参照しながら説明する。図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど縮尺を適宜に変更して表現している。
本実施形態の圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法は、圧電性酸化物単結晶のインゴットをワイヤーソー等によりスライスして単結晶ウエハとするスライス工程と、単結晶ウエハの端面を面取りするベベリング工程と、単結晶ウエハの両面を粗研磨するラッピング工程と、単結晶ウエハの端面を鏡面研磨するエッジポリッシュ工程と、単結晶ウエハの表裏いずれか一方の面を鏡面研磨するポリッシング工程とを有する圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法において、エッジポリッシュ工程の際に、研磨液を供給しながら、単結晶ウエハの端面をアスカーC硬度が15~30の有機樹脂弾性体と接触させて研磨することを特徴とする。
[第1実施形態]
まず、図1を参照し、単結晶ウエハ(圧電性酸化物単結晶ウエハあるいは、単にウエハともいう)Wの製造方法を工程毎に説明する。図1は、第1実施形態に係る単結晶ウエハWを製造する方法を工程毎に説明するフロー図である。
第1実施形態では、圧電性酸化物単結晶のインゴットCiをワイヤーソーによりスライスして単結晶ウエハWとするスライス工程(S1)と、単結晶ウエハWの端面を面取りするベベリング工程(S2)と、単結晶ウエハWの両面を粗研磨するラッピング工程(S3)と、単結晶ウエハWの端面を鏡面研磨するエッジポリッシュ工程(S4)と、単結晶ウエハWの表裏いずれか一方の面を鏡面研磨するポリッシング工程(S5)とを有している。そして、エッジポリッシュ工程(S4)の際に、研磨液を供給しながら、粗研磨された単結晶ウエハWの端面をアスカーC硬度が15~30の有機樹脂弾性体を研磨材として接触させ研磨を行って単結晶ウエハWを製造する。
(1)圧電性酸化物単結晶
本実施形態において、圧電性酸化物単結晶とは、ニオブ酸リチウムLiNbO単結晶(LN)、タンタル酸リチウムLiTaO単結晶(LT)のほか、イットリウムアルミニウムガーネットYAl12単結晶(YAG)も包含される。以下、LT単結晶を圧電性酸化物単結晶の代表例として説明する。
LT単結晶は、結晶構造が変形イルメナイト構造を有しており、構成元素であるLi、Taの一部をGaで置換すると、GaがLi、Taの中間のイオン半径を持つために置換による結晶構造の歪みを小さくすることができる。そして、Gaは、LT原料へのドープ材料として、結晶育成が容易であり、音速温度係数の改善効果にとっても有効である。また、Gaのほかに同様な効果が期待できる周期表で同族のAl、Inを含有させることができる。したがって、LT単結晶には、これらGaなどの置換元素を含むものも包含される。
LT単結晶は、チョクラルスキー法(CZ法)などの単結晶育成方法により、育成される。チョクラルスキー法とは、原料粉末を溶融して得られた融液に、種結晶を浸けて引き上げることにより単結晶を成長させる育成方法であり、例えば高周波の誘導加熱装置等を用いて行うことで、大型の結晶を安定的に製造することができる。育成されたLT単結晶インゴットは、直径の不足するLT単結晶の上下端部をカットした後、中間のLT単結晶には、単一分極化の処理(ポーリング)が施される。このポーリング処理は、育成したLT単結晶の<001>軸方向に、キュリー点以上の温度、例えば600~700℃に加熱し、例えば200~500Vの電圧を印加することで、約0.5~2時間かけて結晶を分極化させるものである。
弾性表面波素子などを作製する際の基準面、すなわち、結晶方位や弾性表面波の伝播方向を示す面には、オリエンテーションフラット(OF)加工や、外径を整える円筒研削が、LT単結晶に施される。
(2)スライス工程~ラッピング工程
LT単結晶は、先ずスライス工程で、ワイヤーにダイヤモンド砥石を被着させたワイヤーソー(切断装置)等により、所望の結晶方位に沿って、所定の厚さの円盤状の単結晶ウエハWにスライスされる(S1)。
スライスされた円盤状の単結晶ウエハWは、周縁(端部)の上下に角部33があって割れや欠けが生じやすいため、次に、ベベリング工程で単結晶ウエハWの端部に、ベベリング加工が施され単結晶ウエハWの周縁が面取りされる(S2)。図2にべべリング装置の一例を示す。図2は、ベベリング装置30を用いてベベリングを行うところで、(A)は模式的に表した断面図、(B)はエッジの上端をベベリングしている断面図、(C)はベベリング前後の単結晶ウエハW端部の断面図である。ベベリング加工では図2に示すように、コアディスク周面の溝にリング状の面取り用砥石32が固着された装置が用いられる。ウエハ保持台31に保持された単結晶ウエハWの周縁を、回転する面取り用砥石32の上傾斜面に押し当て、単結晶ウエハWの上縁部を研磨したのち、ウエハ保持台31を所定量だけ下降させて単結晶ウエハWの下縁の角部33を面取り用砥石32の下傾斜面に押し当て研磨する。面取り用砥石32が接触する単結晶ウエハWの研磨面には水が供給され、摩擦熱を下げるとともに研磨屑などが除去される。
面取り用砥石32の上傾斜面と下傾斜面とに研磨される寸法を予め設定しておけば、研磨により面取りされた単結晶ウエハWの周縁には、前記回転する面取り用砥石32によって傾斜部34が形成されると共に、面取り用砥石32の平坦な面の上下に形成された曲面によってR面が形成される。単結晶ウエハWの面取り用砥石32として#400~#1000程度の番手のダイヤモンド砥石を用いたベベリングにより、単結晶ウエハWの周縁が面取りされるとともに単結晶ウエハWの直径が所定の大きさになり、以後のプロセスでの端部を起点としたウエハ割れが防止される。
次に、ラッピング工程で、単結晶ウエハWの両面にラッピング加工を施す(S3)。両面ラッピングには、通常、シリカなどの砥粒と水からなるスラリーが用いられ、相対向する面に研磨布が装着されている上下の研磨定盤と、その間に配置されるキャリアプレートを備える両面ラッピング装置が使用される。このキャリアプレートに単結晶ウエハWを支持固定してから、このキャリアプレートを研磨定盤の間にセットして、シリカなどの砥粒と水、防錆材、分散剤などを混濁した#800~#2000程度のスラリーを、研磨定盤と単結晶ウエハWの間に供給し、両者に圧力を加えながら滑り動かして、単結晶ウエハWの両面を研磨加工する。これにより、スライス時に受けたウエハ両面のダメージを取り除くとともに、所定の平面度と平行度を得ながら、単結晶ウエハWが所定の厚みに揃えられる。
ラッピング加工後には、エッチング液に単結晶ウエハWを浸漬することで単結晶ウエハWをエッチングすることができる。エッチング液としては、フッ化水素水溶液と硝酸水溶液の混酸であるフッ硝酸を用いることができる。エッチング液が高温になると、残留熱応力が大きくなって単結晶ウエハWの割れや反りの原因となるため、例えば常温(15℃~35℃)で4~6時間かけてエッチングすることが好ましい。
SAWフィルタ用途の場合には、さらに、仕様によって異なるが#240~#2500の番手の砥粒と水から成るスラリーを用いたラッピング加工により、単結晶ウエハWの裏面を粗面化することがある。
(3)エッジポリッシュ工程
次に、エッジポリッシュ工程で、研磨液を供給しながら、粗研磨された単結晶ウエハWの端面を特定の有機樹脂弾性体Rと接触させて研磨する(S4)。単結晶ウエハWの周縁は、コロイダルシリカなどのスラリーを用いたメカノケミカルポリッシュにより、端面に残ったベベリング加工した時の加工痕(ベベル残り)がこの工程で除去される。鏡面研磨するメカノケミカルポリッシュでは、コロイダルシリカと呼ばれる微粒子を水中に分散したスラリーを研磨材として用いる。
タンタル酸リチウム(LT)、ニオブ酸リチウム(LN)などの酸化物単結晶はモース硬度で5~6と非常に硬く、かつ、化学的にも極めて安定な材料であることから、研磨速度が非常に遅いため、十分な生産性を得ようとして、従来はポリアミド樹脂などの可撓性の線材(ブラシ)や、アスカーC硬度が65以上のポリウレタンなどからなる硬めの研磨材で単結晶ウエハWの端部を研磨していた。
しかしながら、ポリアミド樹脂など可撓性の線材ブラシだと毛先がスペーサと単結晶ウエハWとの間に入り込み、単結晶ウエハWの表裏面の一部も研磨してしまい、研磨された部分が透明化する。この透明化した部分が単結晶ウエハWの外周部に存在すると、弾性表面波(SAW)などの製造プロセスで単結晶ウエハWを搬送したとき、単結晶ウエハWの有無検出の光電センサーの光が透過するため、単結晶ウエハWが存在しないと誤認識される。
このため、本実施形態では、エッジポリッシュ工程(S4)の際に、研磨液を供給しながら、粗研磨された単結晶ウエハWの端面をアスカーC硬度が15~30の有機樹脂弾性体Rと接触させて研磨する。アスカーC硬度が15~30であるポリウレタンなどの有機樹脂弾性体Rを用いることで、端面の仕上げを充分に鏡面研磨することができ、端面からベベリング加工した時の加工痕(ベベル残り)がなくなり、SAWフィルタ製造時に、この加工痕が起因となる割れの発生を抑制し歩留まりが向上する。また、外周部から内側に向かって表裏面に透明領域のない単結晶ウエハWを安定して生産することができる。
LTやLNなどの単結晶ウエハWにおいては、近年、製造原価の低減を目的として、単結晶ウエハWの大型化や薄型化が進められている。実際、6インチを超える大口径で、0.5mm以下と薄い単結晶ウエハWを取り扱うことも増えている。ただ、単結晶ウエハWの外周端面のベベリング処理(物理的な研磨処理)に起因して、加工面であるベベル面にはマイクロクラックと呼ばれる電子顕微鏡で確認される程度の小さな亀裂が発生し、更に、結晶表面にかかる応力によって加工歪み層(ベベル残り)が存在する。しかし、このエッジポリシュ工程を実施することでマイクロクラックと加工歪み層が除去され、単結晶ウエハWの直径が大きく単結晶ウエハWとの熱膨張率の差による応力が大きくなっても、単結晶ウエハWに割れが発生しなくなる。なお、このような単結晶ウエハWのエッジポリッシュ後は、前記と同様に、フッ化水素、硝酸などによりエッチングを行うことができる。
(4)ポリッシング工程 端面が研磨された単結晶ウエハWは、次に表裏いずれか一方の面を鏡面研磨(ポリッシング)する(S5)。
単結晶ウエハWの片面のみを鏡面研磨するには、複数枚の単結晶ウエハWをセラミック等の円形ブロックにワックス等で固定し、この円形ブロックをポリッシングヘッド部の下面に保持させると共に、研磨布が装着された回転定盤に上記ポリッシングヘッド部を押し付け、かつ、回転定盤の研磨布にコロイダルシリカのスラリーを供給しながら単結晶ウエハWが固定された上記円形ブロックを回転させる。
研磨しない面の単結晶ウエハWを固定保持するための手段として、加熱したワックスを介してセラミックプレート等へ単結晶ウエハWを接着する方法以外にも、セラミックプレートのウエハ保持部に吸着孔を設けて単結晶ウエハWを真空吸着する方法、バッキング材と呼ばれる発泡ポリウレタン等からなる吸着材で単結晶ウエハWを水吸着する方法等を用いてもよい。
ポリッシュ後は、前記と同じ要領で、フッ化水素、硝酸などによりエッチングを行うことができる。エッチング後は洗浄し、LT単結晶ウエハWの製造が完了する。目視検査などを行ってウエハ収納容器に収納され梱包して出荷される。
次に、第1実施形態に係るエッジポリッシュ加工について説明する。第1実施形態では、エッジポリッシュ工程の際に、研磨液を供給しながら、前記粗研磨された単結晶ウエハWの端面をアスカーC硬度が15~30の有機樹脂弾性体Rと接触させて研磨する。有機樹脂弾性体Rは、アスカーC硬度が15以上30以下の材料を選択する。
有機樹脂弾性体Rは、アスカーC硬度が15~30であれば、その形状や構造は特に制限されない。平板状の研磨パッドとして用いることもできるし、前記したベベリング装置30の面取り用砥石32を有する回転体の外周部に張り付けて研磨材として使用してもよい。有機樹脂弾性体Rは、連続気泡B1を有する多孔質なスポンジ状のポリウレタンが好ましく、連続気泡B1を有することにより研磨液を保水し、回転・スライドに伴ってエッジの研磨面に研磨液が供給されるようになる。有機樹脂弾性体RのアスカーC硬度が高くて30を超えると、シリカ粒子Sが加工面に食い込んでいかないことがあり、一方、アスカーC硬度が低くて15未満だと食い込みすぎて単結晶ウエハWの内側を研磨しすぎる恐れがある。
ポリウレタンには、用いる原料、合成法によって様々なものが製造されているが、この実施形態では、次に詳述する軟質ポリウレタン(発泡ポリウレタン)が好ましい。ポリウレタンは、イソシアネート基含有化合物であるイソシアネート末端プレポリマーと、活性水素含有化合物である芳香族アミンとを、発泡剤である水と共に混合攪拌し、所定の型に注型し、反応硬化させて発泡ポリウレタンの成型体とし、所定の大きさ・形状に加工して用いることができる。
イソシアネート末端プレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるものであり、市販品を用いてもよいし、ポリオールとポリイソシアネートとから合成してもよい。ポリイソシアネートとしては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート等が挙げられ、ポリオールとしては、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールやポリ(オキシプロピレン)グリコール等のポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエステル系ポリオール等が挙げられる。研磨の際に水を含有する研磨スラリーと接触するため、加水分解を起こさないエーテル系のポリオールが好ましい。エーテル系のポリオールとして、PPG(ポリプロピレングリコール)、PTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)、PEG(ポリエチレングリコール)等の-O-結合を有するものが好ましく、その中でも引張り特性のような物性が良好なPTMG系が好ましい。特に、分子量(MW)500~5000のPTMGが好ましい。活性水素含有化合物である芳香族アミンとしては、例えば、ジアミン系化合物として、3,3´-ジクロロ-4,4´-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、クロロアニリン変性ジクロロジアミノジフェニルメタン、3,5-ビス(メチルチオ)-2,4-トルエンジアミン、3,5-ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミン等が挙げられる。これらのほかに、硬化触媒、発泡調整剤、界面活性剤、着色剤などを用いることがある。
ポリウレタンの場合、気泡には連続気泡B1と独立気泡があるが、気泡の外壁が薄いものほど連続気泡B1の比率が高い。本実施形態で用いる研磨体として好ましいポリウレタンは、スポンジのように大半が連続気泡B1を有し、独立気泡の割合が少ないものである。このように研磨体の有機樹脂弾性体Rの気泡構造の大半が連続気泡B1であることにより、研磨される単結晶ウエハWの平坦度を改善できるとともに、端面だれを抑制することができる。
有機樹脂弾性体Rは、アスカーC硬度が15~30であれば、ポリウレタンのほかに、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルホルマール(PVFM)でもよい。これらPVAやPVFMも、多孔質なスポンジ状のポリウレタンと同様、保水性が高く、乾燥状態か湿った状態かによらず硬さがほとんど変化しない。保水性が高いことで研磨液を研磨体20の弾性ロールに蓄え接触部22に継続して供給することが可能になり研磨効率を向上させることができる。
スポンジ状PVAは、PVA水溶液にアセタール化剤としてホルムアルデヒドなどのアルデヒド類、反応触媒として硫酸、塩酸等の鉱酸、多孔化剤としてデンプン類を添加、混合し、この原液を所定の金型中で40~100℃の温度で5~20時間反応させ、反応後、余剰の薬剤とデンプン類を洗浄除去する方法で製造されている。また、ポリビニルアルコール系水溶液に多孔化剤、架橋剤及び反応触媒を添加混合し、架橋反応の際、水溶性の発泡剤を多孔化剤として用いる改良法も知られている。
一方、スポンジ状PVFMの場合は、PVA水溶液に、気孔形成剤、ホルムアルデヒド水溶液、および酸を加えて、型に流し込んで加熱することにより、水に不溶のポリビニルホルマール樹脂を得、続いて気孔形成剤、未反応のホルムアルデヒド、および酸を水洗し除去する方法で製造されている。
有機樹脂弾性体Rは、平板状の研磨パッドとして用いることもできるし、円筒体23の外周部に取り付け、弾性ロールとして使用することもできる。単結晶ウエハWは、処理枚数によって限定されず、加工中に単結晶ウエハWやスペーサ11のずれが無く加工できればよい。単結晶ウエハWを1枚ずつエッジポリッシュしてもよいし、複数枚、例えばウエハクランプ治具2に2枚~150枚ほどスペーサ11を介して積載して加工することもできる。前記特許文献1では、アスカーC硬度が65以上と硬めの研磨布を用いるので、スペーサを介して単結晶ウエハWを複数枚積載した場合、研磨布が単結晶ウエハW同士の間隙に入り込みにくく、単結晶ウエハWの外周の傾斜部34が十分に研磨できなかったが、本実施形態であれば、アスカーC硬度が15~30であるポリウレタンなどの有機樹脂弾性体Rを用いているので、端面の仕上げを充分に鏡面研磨することができ、端面からベベリング加工した時の加工痕(ベベル残り)がなくなる。
スペーサ11は、厚さが単結晶ウエハWと同一又はほぼ同一の弾性体である。積載の時、単結晶ウエハWやスペーサ11がずれないように、スペーサ11の材質は、密着性を有する材質がよく、例えばウレタンゴム、シリコンゴム等が用いられる。スペーサ11の大きさは、単結晶ウエハWのベベリング加工された端部(傾斜部)34が露出するように単結晶ウエハWよりも小さいものを採用する。
エッジポリッシュ加工では、研磨液を単結晶ウエハWと研磨体20の接触部22に供給する。研磨液の供給方法は、摘下法、噴射法、シャワー等でよく限定されないが、接触部22の全体に供給できる噴射法がよい。
以上説明したように、本実施形態の圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法では、特定硬度の有機樹脂弾性体を用い単結晶ウエハの端部をエッジポリッシュするので、ベベリング加工痕を残さず鏡面研磨することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図3~図10は、第2実施形態に係るエッジポリッシュ加工に使用される装置、加工要領を示す図面である。
エッジポリッシュ加工では、単結晶ウエハWの間にスペーサ11を挿入し複数枚積層してウエハ積載体10を形成し、ウエハクランプ治具2で上下のスペーサ11を挟持するように固定した後、有機樹脂弾性体Rで弾性ロールを形成した研磨体20の外周部をウエハ積載体10の外周部21と接触させ、弾性ロールとウエハ積載体10に研磨液を供給しながら、単結晶ウエハWの端面の傾斜部34を研磨する。このエッジポリッシュの際に、ベベリングされた単結晶ウエハWの端部をアスカーC硬度が15~30である有機樹脂弾性体Rで弾性ロールを形成した研磨体20を用いて鏡面研磨する。
エッジポリッシュ加工は、図3に示すエッジポリッシュ装置1を用いて行われる。エッジポリッシュ装置1は、単結晶ウエハWを複数枚積層したウエハ積載体10を固定するウエハクランプ治具2と、外周部21に弾性ロールを形成した研磨体20と、ウエハ積載体10と研磨体20の接触部22に研磨液を供給する研磨液供給部3と、これらを設置するステージ部4を有する。
ウエハクランプ治具2は、単結晶ウエハWとスペーサ11を交互に積層したウエハ積載体10を上下方向より圧力を掛けて固定する治具である。単結晶ウエハWは水平方向に設置され、端部の位置が揃うように整列させ、単結晶ウエハWの中心軸がウエハクランプ治具2の回転軸と合うように配置する。クランプする方法は、底部と頂部にスペーサ11が位置して、回転軸の力がスペーサ11に負荷されるのであれば、特に限定されない。
ステージ部4には、前述したウエハ積載体10及びウエハクランプ治具2、円筒体23の連結穴24で回転駆動機構に取り付けられる研磨体20、研磨液供給部3が設置される。なお、ウエハ積載体10を回転させ、研磨体20を回転させる回転駆動機構及び上下左右に駆動させる駆動機構もこのステージ部4の一部に含まれる。また、弾性ロールを有する研磨体20は、ウエハ積載体10の回転軸と平行位置に回転軸を有しており、同時に回転軸方向に上下スライド(往復動)する。図3に示すエッジポリッシュ装置1では、ウエハ積載体10を上下方向より圧力を掛けて固定するタイプのウエハクランプ治具2が使用されているが、ウエハ積載体10を左右方向より圧力を掛けて固定するタイプの横置きウエハクランプ治具を用いた装置であってもよい。その場合は、回転軸も水平方向になる。
研磨液の供給部は、特に限定されず、先端に噴射・噴霧等の機能を有する公知の装置を用いることができる。なお、研削液の供給は、ウエハ積載体10と研磨体20との接触部22の全体に吹き掛かるように、噴射法を用いることが好ましい。
<研磨体>
研磨体20は、ウエハ積載体10の外周部に接触し、研磨液供給部3から研磨液の供給を受けて単結晶ウエハWの端面の傾斜部34を研磨する部材であり、図7のように、研磨体20の外周部21には弾性ロールが形成されている。弾性ロールは、材質によって限定されないが、アスカーC硬度が15以上30以下の有機樹脂弾性体Rでなければならない。
有機樹脂弾性体Rとしては、供給された研磨液が、弾性ロールに保水されるように多孔質なスポンジ状のポリウレタンが好ましい。多孔質なスポンジ状のポリウレタンは、保水性が高く、乾燥していても、湿った状態でも硬さがほとんど変化しない。
ポリウレタンには、前記したように原料、合成法によって様々なものがあるが、この実施形態では、イソシアネート基含有化合物であるイソシアネート末端プレポリマーと、活性水素含有化合物である芳香族アミンとを、発泡剤である水と共に混合攪拌し、所定の型に注型し、反応硬化させて得られる軟質ポリウレタン(発泡ポリウレタン)が好ましい。前記のように原料を混合攪拌し、所定の型に注型し、反応硬化させた発泡ポリウレタンの成型体を所定の厚さ・長さのシート状に加工し、外表面に両面テープを貼り付けた後、図7に示すような金属製の円筒体23の外周に巻き付けるようにするのが好ましい。両面テープの代わりに、接着剤としてホットメルト材を円筒体23の外周に塗布し、100℃前後の温度に加熱し接着剤を溶解して接着させてもよい。
なお、上記の原料を混合攪拌し、所定の型に注型し、反応硬化させると発泡ポリウレタンの成型体となるので、原料物質を混合攪拌し、図7に示すような内側の円筒体23とその外側の型の間に注型し、反応硬化させて円筒体23の外側に発泡ポリウレタンの層を有する成型体としてもよい。さらには、直方体のポリウレタンを発泡させた後、弾性ロールと同じ外径となり所定の厚さを有するようにドーナツ状に打ち抜いて、内側に芯材(金属製の円筒体23)を挿入して外側をドーナツ状のポリウレタンが囲包した弾性ロールとすることができる。ドーナツ状のポリウレタンの内径が内側の円筒体23の外径よりも小さめにすれば、接着剤が少量でもポリウレタンを挿入した後に円筒体23と密着する。
弾性ロールは20mm以上の厚さが必要である。単結晶ウエハWの直径が150mmで単結晶ウエハWとスペーサ11との距離L1を約2mmとした場合、弾性ロールの厚さが20mm以上であれば、被研磨物であるウエハ積載体10に押し付けたとき、十分に単結晶ウエハWとスペーサ11との間隙に入り込むことができる。一方、弾性ロールの厚さが20mm未満の場合、単結晶ウエハWの端面に研磨体20を押し付けても、適切な弾性を保ちにくくなる。好ましい弾性ロールの厚さは20~30mmである。弾性ロールの有機樹脂弾性体Rは、縦幅がウエハ積載体10の高さ以上であることが必要である。縦幅がウエハ積載体10の高さ未満であると、研磨できない単結晶ウエハWが生じることがある。
弾性ロールは、前記と同様、ポリウレタンのほか、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルホルマール(PVFM)の発泡体でもよい。これらの有機樹脂弾性体Rは、保水性が高いことで研磨液を弾性ロールに蓄え接触部22に向かって供給することが可能になり、研磨効率を向上させることができる。
次に、このエッジポリッシュ装置1を用いたエッジポリッシュ加工について説明する。エッジポリッシュ加工は、ウエハ積載体10の形成工程とウエハエッジポリッシュ工程から構成される。ウエハ積載体10の形成工程は、ウエハクランプ治具2に単結晶ウエハWとスペーサ11を交互に積層する工程である。
<ウエハ積載体の形成工程>
ウエハ積載体10は、図5のように、単結晶ウエハWをスペーサ11で挟んで交互に積層した積載体であり、図6に一部拡大図を示している。単結晶ウエハWは、前述したように、タンタル酸リチウムLiTaO(LT)などの圧電性酸化物単結晶を、ワイヤーソーなどの切断装置により切断し、端部の角部33をベベル加工し、表裏面をラッピング加工したものである。LT単結晶ウエハWは、通常、直径が3インチ~6インチ(76.2mm~152.4mm)、厚さが0.1mm~0.5mm程度の円盤状である。
単結晶ウエハWの間に挿入されるスペーサ11は、積層した単結晶ウエハWのズレを防止する機能と研磨体20が単結晶ウエハWの端面の傾斜部34を超えて単結晶ウエハWの表裏面の一部が過度に研磨されることを抑制する。上記機能を有すれば材質によって限定されないが、単結晶ウエハWの表裏面と密着し傷を生じないもの、例えばウレタンゴムやシリコンゴム等の弾性体が好ましい。
スペーサ11は、厚さが単結晶ウエハWと同一又はほぼ同一の弾性体である。スペーサ11の厚さは、単結晶ウエハWより厚いほど弾性ロールの外周部21が入り易いが、単結晶ウエハWの表裏面が過剰に研磨されてしまい、逆に薄すぎると弾性ロールの外周部21が入り込み難くなる。そのため、スペーサ11の厚さは、単結晶ウエハWと同一であることが望ましいが、単結晶ウエハの厚みに、0.1mm~0.2mm単位で合わせて、ほぼ同一にしても良い。スペーサ11の外径は、単結晶ウエハWのベベリング加工された傾斜部34が露出するように単結晶ウエハWの直径よりも小さいものを採用する。図6には、単結晶ウエハWとスペーサ11の端部の距離(L1),単結晶ウエハWのエッジ研磨距離(L2),研磨の許容距離(L3)、研磨の忌避距離(L4)を示している。例えば、単結晶ウエハWの直径が150mmの場合、単結晶ウエハWとスペーサ11の端部の距離(L1)は、2mmとする。すなわち、スペーサ11の外径が単結晶ウエハWの直径よりも4mm小さいスペーサ11を用いるのが好ましい。ベベル加工面は単結晶ウエハWの端面より2mm内側の部分なので、この大きさであれば、単結晶ウエハWの表裏面はスペーサ11により覆われ、エッジ研磨距離(L2)と研磨の許容距離(L3)以外の部分、すなわち研磨の忌避距離(L4)が研磨されるのを防止できる。
ウエハ積載体10は、エッジポリッシュ装置1の大きさ、単結晶ウエハWやスペーサ11の厚みにもよるが、ウエハクランプ治具2の内側に単結晶ウエハWを20枚~150枚積層することが好ましい。20枚未満では研磨効率が小さく、150枚を超えるとウエハ積載体10の一部に研磨不良が生じることがある。単結晶ウエハWを40枚~130枚積層することがより好ましい。
単結晶ウエハWとスペーサ11の固定方法は、特に限定されないが、例えば、ウエハクランプ治具2により上下方向から圧力を掛けて固定すればよい。一対のクランプディスクを備えているクランプ機構により、単結晶ウエハWを下方の回転自在なクランプディスク上に同心に載置した後、上昇させてランプディスクに押し付けることができる。これによりクランプディスクが回転駆動すると、単結晶ウエハW及びスペーサ11が一体的に回転できるようになる。
<ウエハエッジポリッシュ工程>
次に、ウエハエッジポリッシュ工程について説明する。ウエハエッジポリッシュ工程(S4)では、ウエハ積載体10に研磨体20である弾性ロールの外周部21を接触させて、同時に接触部22に研磨液を供給することで、単結晶ウエハWの端面の傾斜部34の研磨を行う。本実施形態では、円筒体23の外周部にアスカーC硬度が15以上30以下の有機樹脂弾性体Rで弾性ロールを形成した研磨体20を使用する。
前述した特許文献3に記載の従来技術では、研磨体20として回転ブラシを使用していた。しかし、回転ブラシの毛先がスペーサ11と単結晶ウエハWの間に入り込み、単結晶ウエハWの表裏面も研磨してしまう不具合が発生していた。単結晶ウエハWの表裏面で研磨された部分は、透明化し、この透明化部が単結晶ウエハWの外周部に存在すると、弾性表面波(SAW)などの製造プロセスで単結晶ウエハWを搬送したとき、単結晶ウエハWの有無を検出する光電センサーの光が透過するので、単結晶ウエハWが存在しないと誤認識される。また、単結晶ウエハWの表裏面も研磨してしまう不具合を解消するには、ブラシによって接触長さを短くする等で調整できるが、ブラシにはバラツキがありベベル残りが発生しやすく生産が不安定になる。
本実施形態では、ブラシではなく、円筒体23の外周部にアスカーC硬度が15以上30以下の有機樹脂弾性体Rで弾性ロールを形成した研磨体20を用いるので、回転する有機樹脂弾性体Rの先端がスペーサ11と単結晶ウエハWの間に入り込んでも、単結晶ウエハWの表裏面を研磨しすぎることがない。
準備が整ったところで、図3のエッジポリッシュ装置1上のウエハ積載体10を反時計回りに回転させ、研磨体20を時計回りに回転させる。引き続き、ウエハ積載体10に研磨体20を徐々に接近させ、研磨体20の弾性ロールをウエハ積載体10の単結晶ウエハWの端部に接触させる。ウエハ積載体10の単結晶ウエハWの端部に弾性ロールが押し当てられた状態は、図8(A)に示した。
研磨体20の弾性ロールがウエハ積載体10の単結晶ウエハWの端面の傾斜部34に接触したら、弾性ロールをウエハ積載体10に向かって徐々に押し付けていく。
研磨体20の弾性ロールとウエハ積載体10との接触部22は同じ方向になるが、回転速度は異なり、ウエハ積載体10が3~20rpm、研磨体20が500~2000rpmとなるようにする。両者の回転速度が小さいと研磨効率が悪く、大きすぎると研磨精度が低下するだけでなく、装置が不調になることがある。研磨体20とウエハ積載体10が接触した状態で、上方から研磨液を供給する。上記条件は、単結晶ウエハWの材質、大きさ、枚数等により適宜に設定することができるが、ウエハ積載体10は、5~15rpmで回転するのがより好ましく、研磨体20の回転数は、800~1500rpmがより好ましい。
研磨液の種類は、単結晶ウエハWの材質、鏡面加工状態により適宜に選定できる。例えば、単結晶ウエハWがLT単結晶の場合は、コロイダルシリカの使用が好ましいが、ヒュームドシリカ及びコロイダルセリアであってもよい。コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ及びコロイダルセリアは超微粒子であるとともに、化学的な活性を有し、加工面に対してメカノケミカル作用を呈する。
コロイダルシリカは、一次粒子の平均粒径が100nm以下のものが望ましい。二次粒子を構成している場合もあるが、平均粒径が100nmよりも大きいコロイダルシリカは、研磨能力が高くないため、コロイダルシリカの平均粒径は、25nm以上かつ90nm以下であることがより好ましい。
シリカ粒子Sの粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により計測される5~150nmの範囲が好ましく、10~140nmの範囲がより好ましい。また、コロイダルシリカの濃度は、特に限定されないが、10質量%よりも小さいとシリカ粒子Sと研磨の対象物が充分に接触せず、本来の研磨能力が発揮されない恐れがあり、また、50質量%よりも大きいとシリカ粒子Sの分散性が低下し、コロイダルシリカが凝集する恐れがある。したがって、コロイダルシリカの濃度は、10~50質量%であることが好ましく、15~30質量%であることがより好ましい。
コロイダルシリカ中にはキレート剤や有機酸などキレート性を示す物質を添加剤として含有させることができ、これにより研磨速度が向上する。添加剤としては、アルドースの酸化によって得られるウロン酸、グルコン酸塩やDHEG(ジヒドロキシグリシン)などクエン酸化合物が挙げられる。クエン酸化合物をコロイダルシリカに対して、0.01~0.12mol/L含有するものが好ましい。
研磨液スラリーの供給量は特に限定されないが研磨液により弾性ロールが十分に湿った状態になるようにする。図8(B)のように、研磨液スラリー中のシリカ粒子Sは、ウエハ積載体10の単結晶ウエハWの端面の傾斜部34に接触した弾性ロールの表面を流れていくが、一部のシリカ粒子Sは弾性ロールの連続気泡B1にも入り込んでゆく。
研磨体20は、回転すると共に、図4のように上下にスライド(往復動)して単結晶ウエハWの端面の傾斜部34の加工を行う。接触部22で弾性ロールの回転が安定したところで、弾性ロールを上下方向にスライドさせる。なお、エッジポリッシュ装置として、ウエハ積載体10を左右方向より圧力を掛けて固定するタイプの水平ウエハクランプ治具を用いた場合は、スライドは左右いずれかの方向になる。
研磨体20の上下スライド速度は、1~20往復/分で、上下の可動距離は5~50mmとすることができる。上記条件は、単結晶ウエハWの材質、大きさ、枚数等により適宜に設定することができるが、ウエハ積載体10の上下動は、5~10往復/分で、上下の可動距離は10~40mmとすることが好ましい。
研磨体20が上方にスライドすると、単結晶ウエハWの端面の傾斜部34に弾性ロールのポリウレタンの連続気泡B1内に保水された研磨液からシリカ粒子Sが放出され、シリカ粒子Sが単結晶ウエハWの端面の傾斜部34との接触面で摩擦し、特に単結晶ウエハWの下傾斜面を研磨する。シリカ粒子Sは単結晶ウエハWの端面の傾斜部34に留まらず、内側にも移行しスペーサ11に挟まれた領域で研磨を繰り返す。これは研磨体20の弾性ロールとウエハ積載体10が回転接触するだけでも相当の研磨効果を生むが、弾性ロールが上方にスライドすることで一層強化される。すなわち、弾性ロールが上方にスライドすると、図9(A)のように、シリカ粒子Sがポリウレタン表面と単結晶ウエハWの端面の傾斜部34(特に下面)に挟まれ、より強い摩擦を生じると考えられる。
弾性ロールが所定の高さまでスライドしたら、下方にスライドさせていく。弾性ロールが下方にスライドすると、図9(B)のように、前回とは反対側、すなわち単結晶ウエハWの端面の傾斜部34の特に上面で研磨が一層強化される。すなわち、弾性ロールが下方にスライドすると、シリカ粒子Sがポリウレタン表面と単結晶ウエハWの端面の傾斜部34(特に上面)に挟まれ、より強い摩擦を生じる。シリカ粒子Sは下方に流下していくが一部はポリウレタン表面から内側に向かい連続気泡B1内に留まる。この結果、シリカ粒子Sによる単結晶ウエハWの端面の傾斜部34の効率的な研磨が行われるものと考えられる。
ところで、本実施形態では、弾性ロールのアスカーC硬度が30以下と小さいために、単結晶ウエハWの周縁の角部33をベベル加工した傾斜部34が弾性ロール内に全て隠れる程度に沈み込むようになる。単結晶ウエハWとスペーサ11間は、弾性ロールが面全体で接触するため、この部分に隙間ができ、従来技術のブラシのように毛先が単結晶ウエハWとスペーサ11間に入り込み単結晶ウエハWの表裏面の一部を研磨してしまう恐れは小さい。但し、弾性ロールのアスカーC硬度が15未満であると弾性ロールが柔らかすぎるから、図10(A)のように、単結晶ウエハWとスペーサ11間まで、弾性ロールが接触するため、許容部分(L3)より奥の研磨忌避部分(L4)まで研磨されてしまうことがある。
一方、弾性ロールがアスカーC硬度で30を超える場合、弾性ロールが硬いので、図10(B)のように、単結晶ウエハWの端部のベベル加工を行った傾斜部34が弾性ロール内に食込み不十分となり、研磨が必要な傾斜部34の一部(L5)にベベル残りが発生しやすい。特に、弾性ロールの有機樹脂弾性体Rが硬質ポリウレタンのように、連続気泡B1がほとんどなく独立気泡の比率が極めて高いと、研磨液スラリーを供給しても、シリカ粒子Sが気泡内に入り込めず、弾性ロールの表面を流下してゆく。このため、単結晶ウエハWの端面の傾斜部34に有効に接触できないシリカ粒子Sが増えて、摩擦力が不十分となり研磨効率が低下すると推測される。
エッジポリッシュの仕上がり具合は、蛍光灯下の目視検査にてベベル加工痕(ベベル残り)の有無及び単結晶ウエハWの表裏面の先端部の透明化不良の有無を確認する。単結晶ウエハWの表裏面の先端部の透明化不良とは、端面の傾斜部34を鏡面研磨する際に、L2で示される端面の傾斜部34とL3で示される研磨許容部分だけでなく、端面から内側に入った表面または裏面までが過剰に研磨されて、図6における端面の傾斜部34の奥側、すなわち、L4で示される研磨忌避部分も透明になってしまうことである。厳密には金属顕微鏡で計測し、過剰に研磨され透明になった研磨許容部分(L3)の幅が約100μm以内であればよい。
なお、研磨領域の調整は、弾性ロールの有機樹脂弾性体RをアスカーC硬度で15~30とする代りに、押し付け量を変化させることでも可能であるが、押し付け量を大きくしすぎると研磨体20の弾性ロールを回転させるモーターに負荷がかかり故障の原因となる。すなわち、弾性ロールにアスカーC硬度の高い有機樹脂弾性体Rを用いて押し付け量を大きくした場合、端面の傾斜部34に荷重がかかり過ぎて単結晶ウエハWの一部が欠ける、あるいは研磨量が多く摩耗しやすくなり耐久性に劣る等の不具合が発生する。
なお、単結晶ウエハWの品種を識別するために、オリエンテーションフラット部(オリフラ、OF)を設ける場合は、オリフラ部と外周部は別々に研磨する。オリフラ部は、直線部であるためウエハ積載体10の回転を止め、オリフラの位置でウエハクランプ治具2を固定した後、ウエハ積載体10のオリフラの方向に研磨体20をスライドさせてから、研磨体20を回転させて研磨すればよい。
上記のように、特定の有機樹脂弾性体Rを研磨体20の弾性ロールとしてウエハ積載体10に押し当て、単結晶ウエハWの端面の傾斜部34を研磨するエッジポリッシュ工程において、ベベリング加工痕を残さず鏡面研磨することができ、また、複数枚の単結晶ウエハWを効率的に加工することができる。
以上、LT単結晶について単結晶ウエハWの製造工程について説明したが、これらは、結晶学的にも、製造プロセス的にも、LN単結晶の単結晶ウエハWにも同様に適用できる。また、単結晶ウエハWは、単結晶の種類によっては特に制限されない。また、円盤状のシリコンウエハ、サファイアウエハ、ガラス板等の研磨にも適用できる。
得られるLTやLNの単結晶ウエハWは、携帯電話の信号ノイズ除去用の弾性表面波(SAW)フィルタや光学素子などのデバイス材料、振動子、発信器の基板材料として有効に用いられる。
以下、実施例及び比較例を具体的に説明するが、本実施形態は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、エッジポリッシュの結果は、蛍光灯下の目視検査にてベベル加工痕の残り及びウエハ表裏面の研磨不具合を確認した。また、金属顕微鏡で過剰に研磨された研磨許容部分(L3)の幅を計測し、約100μm以内であれば、透明化不良なし(合格)とした。
(実施例1)
チョクラルスキー法によりLT単結晶を育成した後、得られたバルクを650℃に加熱し、300Vの電圧を印加して、1時間のポーリングを行って、LT単結晶に単一分極化の処理を施した。その後、端部カットおよび円筒研削をした後、ワイヤーソー(株式会社タカトリ製、MWS-612)を用いて、直径6インチ(152.4mm)、厚さ0.42mmのLT単結晶ウエハにスライスした。
次に、べべリング装置を用いて、外周およびオリフラ部にベベリング加工し、外周およびオリフラ部に面取りを施した。この時に単結晶ウエハの直径は150.0mmとした。その後、スラリー供給タンクを備えた、両面ラッピング装置を使用して、これらのLT単結晶ウエハをGC#1000の番手の炭化ケイ素の砥粒と水から成るスラリーを用いて、両面ラッピングを施した。単結晶ウエハの厚さが0.38になるまで研磨した。
引き続き、エッジポリッシュを行った。まず、エッジポリッシュ装置のクランプ治具内に、単結晶ウエハとスペーサを交互に積載した。スペーサは、外径146mm、厚さ0.35mmのウレタンゴムとした。このとき、単結晶ウエハはスペーサから2mm程度はみ出るようになった。このようにした後、クランプ治具により単結晶ウエハ100枚とスペーサからなるウエハ積載体を固定した。研磨体は、外径100mmの金属製円筒体の外周に形成した弾性ロールとした。弾性ロールの材料は、厚さ20mmのアスカーC硬度が15の多孔質なスポンジ状のポリウレタンを選択した。
エッジポリッシュ加工では、研磨体をウエハ積載体に接触させ、回転させながら、研磨体の弾性ロールがウエハ積載体のスペーサに接触する程度に押し付けた。コロイダルシリカのスラリーを研磨液とし、ウエハ積載体と研磨体の接触部に噴射法により供給した。ウエハ積載体の回転を7rpm、研磨体の回転を1200rpmとして研磨し、研磨体を上下にも11往復/分としてスライドさせた。
エッジポリッシュ加工を行った後、前記の要領で、ベベル加工痕(ベベル残り)の有無及び単結晶ウエハWの表裏面の先端部の透明化不良の有無を確認した。単結晶ウエハ端面にベベル加工痕のある単結晶ウエハはなく、端部の直径方向に向かって透明化不良もなかった。結果を表1に示す。
(実施例2)
アスカーC硬度20のポリウレタンの弾性ロールを用いた以外は実施例1と同様にして単結晶ウエハのエッジポリッシュを行った。
直径6インチ(152.4mm)、厚さ0.42mmのLT単結晶ウエハをベベリング加工により、外周、オリフラの面取りした後、厚さが0.38mmになるまで両面ラッピングを施した。その後、アスカーC硬度が20のポリウレタンの弾性ロールで、100枚の単結晶ウエハに、エッジポリッシュを施した。
エッジポリッシュ加工を行った後、前記の要領でベベル加工痕(ベベル残り)の有無及び単結晶ウエハWの表裏面の先端部の透明化不良の有無を確認した。単結晶ウエハ端面にベベル加工痕のある単結晶ウエハはなく、端部の直径方向に向かって透明化不良もなかった。結果を表1に示す。
(実施例3)
アスカーC硬度30のポリウレタンの弾性ロールを用いた以外は実施例1と同様にして単結晶ウエハのエッジポリッシュを行った。
直径6インチ(152.4mm)、厚さ0.42mmのLT単結晶ウエハを作製し、ベベリング加工により、外周、オリフラの面取りを施した後、厚さが0.38mmになるまで両面ラッピングを施した。その後、アスカーC硬度が30のポリウレタンの弾性ロールで、100枚の単結晶ウエハに、エッジポリッシュを施した。
エッジポリッシュ加工を行った後、前記の要領でベベル加工痕(ベベル残り)の有無及び単結晶ウエハWの表裏面の先端部の透明化不良の有無を確認した。単結晶ウエハ端面にベベル加工痕のある単結晶ウエハはなく、端部の直径方向に向かって透明化不良もなかった。結果を表1に示す。
(比較例1)
アスカーC硬度10のポリウレタンの弾性ロールを用いた以外は実施例1と同様にして単結晶ウエハのエッジポリッシュを行った。
直径6インチ、厚さ0.42mm、外周およびオリフラに面取りを施したLT単結晶ウエハに両面ラッピングを行い、厚さ0.38mmとした後、アスカーC硬度が10のポリウレタンの弾性ロールで、100枚の単結晶ウエハに、エッジポリッシュを施した。
エッジポリッシュ加工を行った後、前記の要領でベベル加工痕(ベベル残り)の有無及び単結晶ウエハWの表裏面の先端部の透明化不良の有無を確認した。ベベル加工痕はないものの、ポリウレタンの弾性ロールが入り込み過ぎて研磨されたことにより、外周およびオリフラ部に透明化不良が起きた。
(比較例2)
アスカーC硬度40のポリウレタンの弾性ロールを用いた以外は実施例1と同様にして単結晶ウエハのエッジポリッシュを行った。
直径6インチ、厚さ0.42mm、外周およびオリフラに面取りを施したLT単結晶ウエハに両面ラッピングを行い、厚さ0.38mmとした後、アスカーC硬度が40のポリウレタンの弾性ロールで、100枚の単結晶ウエハに、エッジポリッシュを施した。
エッジポリッシュ加工を行った後、前記の要領でベベル加工痕(ベベル残り)の有無及び単結晶ウエハWの表裏面の先端部の透明化不良の有無を確認した。すべての単結晶ウエハにベベル加工痕が見られた。ポリウレタンが硬すぎてエッジ先端部しか研磨されないためと推測する。
Figure 0007119706000001
「評価」
以上の結果を示す表1から、実施例1~3では、アスカーC硬度が本発明の範囲にあるポリウレタンを弾性ロールとして用いたため、ベベル加工痕及び単結晶ウエハ表裏面の研磨不具合は生じていないことが分かる。これに対して、比較例1では、ポリウレタンのアスカーC硬度が小さすぎたため、弾性ロールが入り込み過ぎて、外周およびオリフラ部に透明化不良が起きており、また、比較例2では、ポリウレタンのアスカーC硬度が大きすぎたので、エッジ先端部しか研磨されず、すべての単結晶ウエハにベベル加工痕が生じたと推測される。
Ci 圧電性酸化物単結晶(インゴット)
W 単結晶ウエハ(圧電性酸化物単結晶ウエハ)
R 有機樹脂弾性体
B1 連続気泡
S シリカ粒子
1 エッジポリッシュ装置
2 ウエハクランプ治具
3 研磨液供給部
4 ステージ部
10 ウエハ積載体
11 スペーサ
20 研磨体
21 弾性ロール(外周部)
22 接触部
23 円筒体
24 連結穴
30 ベベリング装置
31 ウエハ保持台
32 面取り用砥石
33 角部
34 傾斜部

Claims (5)

  1. 圧電性酸化物単結晶のインゴットをワイヤーソーによりスライスして単結晶ウエハとするスライス工程と、前記単結晶ウエハの端面を面取りするベベリング工程と、前記単結晶ウエハの両面を粗研磨するラッピング工程と、前記単結晶ウエハの端面を鏡面研磨するエッジポリッシュ工程と、前記単結晶ウエハの表裏いずれか一方の面を鏡面研磨するポリッシング工程とを有する圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法において、
    前記圧電性酸化物単結晶は、タンタル酸リチウム単結晶、またはニオブ酸リチウム単結晶であり、
    前記エッジポリッシュ工程の際に、研磨液を供給しながら、前記単結晶ウエハの端面をアスカーC硬度が15~30の有機樹脂弾性体を研磨材として接触させ、前記研磨材を前記単結晶ウエハの中心軸と平行な方向にスライドさせて研磨することを特徴とする圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法。
  2. 前記エッジポリッシュ工程では、前記単結晶ウエハの間にスペーサを挿入し複数枚積層してウエハ積載体を形成し、ウエハクランプ治具で挟持するように固定した後、前記有機樹脂弾性体を外周側に設けた弾性ロールの外周部を前記ウエハ積載体の外周部と接触させ、前記弾性ロールと前記ウエハ積載体に研磨液を供給しながら、前記単結晶ウエハの端面を研磨することを特徴とする、請求項1に記載の圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法。
  3. 前記スペーサは、厚さが前記単結晶ウエハと同一又はほぼ同一の弾性体であることを特徴とする、請求項に記載の圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法。
  4. 前記有機樹脂弾性体は、厚さが20mm以上であり、長さが前記ウエハ積載体の高さ以上のポリウレタンであることを特徴とする、請求項又はに記載の圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法。
  5. 前記ウエハ積載体は、前記単結晶ウエハの枚数が20~150枚であることを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の圧電性酸化物単結晶ウエハの製造方法。
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