JP7472546B2 - 圧電性酸化物単結晶基板の製造方法 - Google Patents

圧電性酸化物単結晶基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧電性酸化物単結晶基板の製造方法に関する。
強誘電体であり圧電性を有するタンタル酸リチウム(LiTaO:以下、LTと略称する)やニオブ酸リチウム(LiNbO:以下、LNと略称する)単結晶を用いて製造された圧電性酸化物単結晶基板(単に基板と呼ぶこともある)は、主に携帯電話等の通信機器の送受信用デバイスに用いられる表面弾性波(SAW;弾性表面波ともいう)フィルタの材料として使用されている。
上記SAWフィルタは、LT、LN等の圧電材料で構築された基板上に、Al、Cu等の金属薄膜で一対の櫛型電極が形成された構造となっており、この櫛型電極がデバイスの特性に左右する重要な役割を担っている。上記櫛型電極は、例えば、圧電材料上にスパッタリングにより金属薄膜を成膜した後、一対の櫛型パターンを残し、フォトリソグラフ技術により不要な部分をエッチングにより除去することで形成される。
また、上記LT単結晶又はLN単結晶は、産業的には、主にチョクラルスキー法によって、育成される。例えば、LT単結晶は、酸素濃度が数%~20%の窒素―酸素混合ガス雰囲気の電気炉中で育成されており、通常、高融点のイリジウム坩堝が用いられ、育成されたLT単結晶は電気炉内で所定の冷却速度で冷却された後、電気炉から取り出して得られている。
育成されたLT単結晶は、無色透明若しくは透明度の高い淡黄色を呈している。育成後の単結晶は、結晶の熱応力による残留歪を取り除くため、融点に近い均熱下で熱処理を行い、更に単一分極とするためのポーリング処理、すなわち、LT結晶を室温からキュリー温度以上の所定温度まで昇温し、結晶に電圧を印加し、電圧を印加したままキュリー温度以下の所定温度まで降温した後、電圧印加を停止して室温まで冷却する一連の処理を行う。ポーリング処理後、結晶の外径を整えるために外周研削されたLT単結晶(インゴットと称する)は、スライス加工、ラッピング加工、ポリッシュ加工などの機械加工を経て基板となる。また、基板の製造工程においては、基板表面の洗浄や基板反りの低減を目的にエッチング処理が施される。一般的に数秒から数分、長い場合でも数時間が処理時間である。
特開2017-226026公報
LT,LN等の圧電性酸化物単結晶の基板の製造プロセスでは、一般的にスライス加工後にラッピング加工し、その後にポリッシュ加工して基板の加工が進められる。ラッピング加工は、例えば上記特許文献1に記載があるように、ラッピング装置を用い、上定盤と下定盤との間に挟まれたキャリアに基板を装着し、上定盤及び下定盤の回転及び加圧により、上定盤と下定盤との間において遊離砥粒により研磨する加工である。但し、ラッピング加工は基板へ加圧して加工を行うため基板への負荷が大きく、ラッピング加工時に基板が割れてしまう問題があった。基板の割れが発生する結果、歩留まりが低下し、製造コストが上昇する。特許文献1では、ラッピング加工時に用いるスラリーの温度を管理することで、基板の割れ率が改善するものの、安定してスラリー温度を管理するには高度な設備及び技術が必要である。
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、単結晶のスライス加工後に行われるラッピング加工による基板割れを防止するため、ラッピング加工を行わない新たな加工プロセスを用いた圧電性酸化物単結晶基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様によれば、圧電性酸化物単結晶基板の製造方法であって、圧電性酸化物単結晶をスライス加工して得られた薄板状の単結晶薄板に、エッチング処理を施すエッチング工程と、エッチング処理を施した単結晶薄板の表裏面を平面研削加工する平面研削工程と、を含む、圧電性酸化物単結晶基板の製造方法が提供される。
また、エッチング処理は、フッ化水素酸と硝酸とを含む混酸を用いた酸処理であることを含んでもよい。また、エッチング処理は、単結晶薄板の表裏面の各面を3μm以上除去することを含んでもよい。また、上記圧電性酸化物単結晶は、タンタル酸リチウム単結晶又はニオブ酸リチウム単結晶であることを含んでもよい。
本発明の態様によれば、圧電性酸化物単結晶をラッピング加工を行わずに、平面研削加工にて基板の加工を進めるので、ラッピング加工工程を省略することができるとともに、ラッピング加工による基板割れを防止することができ、且つ、基板の研削量を低減できるため、高度の設備を必要せず低コストで、基板の生産性を向上させることができる。
本実施形態に係る圧電性酸化物単結晶基板の製造方法の一例を示すフローチャートである。 圧電性酸化物単結晶のインゴット、スライス加工後の圧電性酸化物単結晶のインゴット、及び単結晶薄板の一例を示す図である。 スライス加工により製造された単結晶薄板の一例を示す図である。 エッチング工程前後の単結晶薄板の一例を示す図である。 エッチング処理による単結晶薄板の除去量とエッチング処理時間との関係を示すグラフである。 エッチング処理による単結晶薄板の除去量と平面研削工程における単結晶薄板の割れ率との関係を示すグラフである。 平面研削装置の一例を示す図である。 平面研削工程前後の単結晶薄板の一例を示す図である。
以下の説明において、適宜、図2等の図面に示すXYZ直交座標系を参照する。このXYZ直交座標系は、X方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が、X方向及びY方向に垂直な鉛直方向である。また、各方向において、適宜、矢印の先端と同じ側(方向)を+側(方向)(例、+Z側)、矢印の先端と反対側(方向)を-側(方向)(例、-Z側)と称す。例えば、鉛直方向(Z方向)において、上方が+Z側であり、下方が-Z側である。なお、各図面においては、適宜、一部又は全部が模式的に記載され、縮尺が変更されて記載される。
[実施形態]
以下、本実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る圧電性酸化物単結晶基板の製造方法(以下「製造方法」と略記する場合もある)の一例を示すフローチャートである。図2は、圧電性酸化物単結晶(以下「単結晶」と略記する場合もある)のインゴット(以下「単結晶インゴット」と略記する場合もある)、スライス加工後の単結晶のインゴット、及び単結晶薄板の一例を示す図である。
本実施形態の製造方法は、圧電性酸化物単結晶基板の製造方法であって、圧電性酸化物単結晶をスライス加工して得られた薄板状の単結晶薄板に、エッチング処理を施すエッチング工程S2と、エッチング処理を施した単結晶薄板の表裏面を平面研削加工する平面研削工程S3と、を含む(図1参照)。
本実施形態の製造方法では、圧電性酸化物単結晶を加工して、圧電性酸化物単結晶基板CX(以下「単結晶基板」と略記する場合もある;図1)を作製している。圧電性酸化物単結晶は、タンタル酸リチウム(LT)単結晶(LT単結晶)、ニオブ酸リチウム(LN)単結晶(LN単結晶)、四ホウ酸リチウム単結晶から得られる四ホウ酸リチウム単結晶等で、圧電性を有する。圧電性酸化物単結晶基板CXは、例えば携帯電話の信号ノイズ除去用の表面弾性波(以後、SAWと略記する。)フィルタや光学素子などのデバイス材料として用いられている。なお、本実施形態の単結晶基板CXの材料となる単結晶は、圧電性酸化物の単結晶であれば、上記の単結晶に限定されない。本実施形態では、LT単結晶の例を中心に説明する。
上記単結晶は、チョクラルスキー法(Cz法)などの単結晶育成方法により、育成される。育成された単結晶は、インゴットの状態で、径の不足する結晶の端部をカットした後、単結晶には、単一分極化処理(ポーリング)が施される。なお、本実施形態の製造方法に用いる単結晶の製造方法(育成方法)は、Cz法に限定されず、他の公知の方法を用いてもよい。
ポーリング処理は、LT単結晶の場合、<001>軸方向に、キュリー点以上の温度で電圧を印加することで、結晶を分極化させる処理である。ポーリング処理が施された単結晶インゴットCIは、一般的にスライス加工により薄板状の単結晶薄板へと加工された後にラッピング加工が施され、その後にポリッシュ加工が施されて単結晶基板が製造される。上記プロセスの内、ラッピング加工は、ラッピング装置を用い、上定盤と下定盤との間に挟まれたキャリアに基板を装着し、上定盤及び下定盤の回転及び加圧により、上定盤と下定盤との間において遊離砥粒により研磨する加工である。但し、ラッピング加工は、単結晶薄板に加圧して加工を行うため単結晶薄板への負荷が大きく、ラッピング加工時に、単結晶薄板が割れてしまう問題があった。
本発明者は、上記の問題点を解決するために、ラッピング加工を行わない単結晶基板の加工方法を検討した。ラッピング工程の機能は、スライス加工後の単結晶薄板の平坦度向上である。そこで、ラッピング加工の代わりに平面研削加工の実施を検討した。
上記検討等により、スライス加工後によって得られた単結晶薄板を平面研削加工すると、ラッピング工程を行わずとも平坦度を向上させることができることがわかった。また、平面研削加工は、ラッピング加工に比べ加工中の加圧が小さいため、単結晶薄板の割れの防止には効果があることがわかった。しかしながら、この方法では、商業的に必要な生産収率を得られるような、単結晶薄板の割れ率(歩留まり)には至らなかった。
そこで、本発明者がスライス加工後の単結晶薄板を確認した所、単結晶薄板の表面(加工面)に微細なクラック(微細クラック)が発生していることが確認された。この微細クラックが、後工程における単結晶薄板の割れに起因していると推測された。
そこで、本実施形態の製造方法では、スライス加工後、平面研削加工前に、エッチング工程を追加することで微細クラックを除去し、後工程での単結晶薄板(基板)の割れを防止するものである。以下、工程毎に詳細に説明する。
(スライス工程S1)
図1に示すスライス工程S1では、図2に示すように、単結晶インゴットCIを所望の結晶方位に沿って所定の厚さの円盤状の単結晶薄板CP1にスライス加工(スライス、切断)する。スライス工程S1は、例えばワイヤソー装置により、圧電性酸化物単結晶をスライス加工し、単結晶薄板CP1を得る工程である。スライス加工は、例えば、一定ピッチで並行する複数の極細ワイヤー列に被加工物を押し当て、ワイヤーを線方向に送りながら、被加工物とワイヤーとの間に砥粒を含む加工液(スラリーともいう)を供給することによって研磨切断する方式(以下「遊離砥粒方式」と称す場合もある)を用いたワイヤーソー(マルチワイヤーソーともいう)等により行われる。スライス工程S1は、加工の効率の観点から、マルチワイヤーソー装置を用いて行うことが好ましい。なお、スライス工程S1によって得られた単結晶薄板CP1の大きさ、及び厚さTは、特に限定されない。
図3は、スライス加工(スライス工程S1)により製造された単結晶薄板CP1の一例を示す図である。図3には、円盤状の単結晶薄板CP1の断面図、及び、図中に丸で示した部分の部分拡大図を示す。図3に示す単結晶薄板CP1の例では、単結晶薄板CP1の+Z側の面及び-Z側の面(表裏面)が、スライス加工による加工面である例を示す。
図3に示すように、砥粒によりスライスされる際、単結晶薄板CP1の表裏面(「各面」と称す場合もある。)に微細クラックCRが生じる。微細クラックCRは、単結晶薄板CP1の各面の表層の部分L1に生じる。表層の部分L1の厚みT1は、スライス加工の条件にもよるが、上記したようにスライス工程S1の条件を変更することにより、例えば3μm未満とすることができる。微細クラックCRは、例えば透過電子顕微鏡(TEM)による観察(TEM観察)により検出することができる。
(エッチング工程S2)
本実施形態の製造方法では、エッチング工程S2は、スライス工程S1後、平面研削工程S3前に実施される。エッチング工程S2は、スライス加工して得られた単結晶薄板CP1に、エッチング処理を施す工程である。図4は、エッチング工程S2前後の単結晶薄板CP2の一例を示す図である。エッチング工程S2では、図4に示すように、単結晶薄板CP1にエッチング処理を施すことにより、単結晶薄板CP1の各面の表面が除去された単結晶薄板CP2が得られる。
なお、本明細書において、エッチング処理により除去される単結晶薄板CP1の表面(1面当たり)の厚さを「エッチング除去量」と称す。このエッチング除去量は、図4に示す符号「T2」の厚さ(寸法)である。
エッチング処理は、単結晶薄板CP1をエッチングすることが可能なエッチング液を用いて、単結晶薄板CP1の表面(表裏面)をエッチングする。本実施形態の製造方法では、スライス加工後に単結晶薄板CP1の表面(表裏面)エッチングすることで、スライス工程S1で発生した微細クラックCRを除去することが重要である。
エッチング工程S2におけるエッチング処理の液(処理液)は、単結晶薄板CP1を溶解することが可能なものであれば特に限定はないが、例えば、エッチング効果等の点で、フッ化水素水溶液と硝酸水溶液とを含む混酸を用いることが好ましく、フッ化水素水溶液と硝酸水溶液とからなる混酸であるフッ硝酸であるのがより好ましい。すなわち、エッチング処理は、酸処理であるのが好ましい。フッ化水素水溶液及び硝酸水溶液は、いずれも50%~60%程度の濃度の水溶液として市販されており、これらの水溶液を、フッ化水素酸水溶液と硝酸水溶液の体積比で1.5:1~1:1.5、通常は1:1となるように混合して混酸とし、エッチング工程S2の処理液とすることができる。酸処理は、例えば、上記処理液に、単結晶薄板CP1を浸漬することにより実施することができる。
エッチング処理の時間は、目的とするエッチング除去量T2により適宜設定することができる。図5は、エッチング処理時間とエッチング除去量T2との関係の一例を示すグラフである。図5には、実施例及び比較例の結果を一例として示す。図5に示すように、エッチング処理時間は、処理時間が長いほど、エッチング除去量T2を増加させる。図5に示すように、エッチング処理時間とエッチング除去量T2とは相関関係がある。すなわち、エッチング処理の条件を適宜変更することにより、エッチング除去量T2を所定の範囲とすることができる。なお、エッチング処理の条件、エッチング除去量T2等は、予備実験により求めることができる。
例えば、常温(15℃~35℃)でフッ化水素水溶液と硝酸水溶液の混酸であるフッ硝酸を用い1:1となるように混合してエッチング処理した場合、約60時間程度のエッチング処理時間で、2μm以上のエッチング除去量T2とすることができる。また、エッチング処理液の温度が高温であればあるほど、単位時間当たりのエッチング除去量を多くすることができ、エッチング処理時間を短くすることができる。なお、エッチング処理液が高温になると、単結晶薄板(基板)が急激に温度変化することによって割れが生じる原因となるため、エッチング処理におけるエッチング処理液の温度は、50℃以下に抑えることが好ましく、作業の容易性等の観点から、エッチング処理液の温度は、常温(15℃~35℃)であるのがより好ましい。
図6は、エッチング除去量T2と、後工程である平面研削工程S3時における単結晶薄板(基板)の割れ率との関係の一例を示すグラフである。図6には、実施例及び比較例の結果を一例として示す。図6から、エッチング除去量T2が多いほど、平面研削工程S3の際における単結晶薄板(基板)の割れ率が低下することがわかる。図6に示すように、エッチング除去量T2と平面研削工程S3の際における単結晶薄板(基板)の割れ率には相関関係がある。図6に示す結果から、エッチング処理の条件、エッチング除去量T2を適宜変更することにより、平面研削工程S3の際における単結晶薄板CP2(単結晶基板CX、図8参照)の割れ率を所定の範囲以下、例えば10%以下、5%以下、2%以下、概ね0%とすることができる。これにより、本実施形態の製造方法では、ラッピング加工を行わずに、ラッピング加工の代わりに平面研削工程S3を行うことにより、単結晶基板CXを製造することができる。なお、エッチング除去量T2(エッチング処理条件)と平面研削工程S3の際における単結晶薄板(基板)の割れ率との関係は、予備実験により求めることができる。
上記の結果から、本実施形態の製造方法では、エッチング工程S2において、微細クラックCRをできる限り多く除去するのが好ましく、単結晶薄板CP1の微細クラックCRが発生した部分L1の厚みT1以上のエッチング除去量T2とするエッチング処理の条件とすることが好ましい。このエッチング処理の条件は、上述のように予備実験により求めることができる。なお、エッチング処理において微細クラックCRを除去できれば、すべての微細クラックCRを除去しなくてもよい。
例えば、エッチング処理により上記微細クラックCRを除去するには、スライス加工時の微細クラックCRの大きさ、量、L1の厚みT1にもよるが、エッチング除去量T2が少なくとも3μm以上が好ましく、4μm以上がより好ましい。上記エッチング除去量T2の範囲で単結晶薄板CP1の各面の表面を除去することで、図4に示すような単結晶薄板CP1における微細クラックCRも除去することが可能である。なお、エッチングの除去量の測定は、エッチング前後で単結晶薄板の重量を測定し、測定した重量の変化量から単結晶薄板の厚さの変化量を算出している。
エッチング処理の終了後、エッチング処理を施した単結晶薄板CP2をエッチング処理液から取り出し、水洗し、乾燥する。乾燥方法としては、真空乾燥、スピン乾燥、温風乾燥など公知の手段を用いることができるが、コストや操作の容易性の観点からスピン乾燥が好ましい。
(平面研削工程S3)
平面研削工程S3は、エッチング工程S2後に行う。平面研削工程S3は、エッチング工程S2においてエッチング処理を施した単結晶薄板CP2の表裏面を平面研削加工する。本実施形態の製造方法では、平面研削工程S3は、従来のラッピング工程に変えて行うため、単結晶薄板CP2の厚みを揃えるとともに表面状態及び反り等の除去を含めて行う。図8は、平面研削工程S3前後の単結晶薄板の一例を示す図である。平面研削工程S3により、本実施形態の単結晶基板CXが得られる。
平面研削とは、支持テーブルに支持された被加工物(単結晶薄板CP2)の表面に、回転する砥石を押し付けて被加工物(単結晶薄板CP2)の表面を研削する加工方法である。平面研削は、高速に回転している砥石が、砥石を切刃として被加工物(単結晶薄板CP2)の表面を僅かずつ削り取り、精密に仕上げることができる加工であり、切削速度が非常に速いという利点がある。また、平面研削は、被加工物(単結晶薄板CP2)に加える圧力(加圧)が、ラッピング加工(ラッピング装置)に比べて小さいため、ラッピング加工を行う場合よりも、被加工物(単結晶薄板CP2)の割れを抑制することができる。
平面研削は公知の平面研削装置を用いて行うことができる。平面研削装置は、例えば、片面研削装置を用いることができる。図7は平面研削装置の一例を示す図である。本実施形態の製造方法では、例えば図7に示す平面研削装置10を用いて平面研削を行うことができる。この平面研削装置10は、吸着固定部12と、ホイール13と、砥石14と、搬送装置15と、を備える。吸着固定部12は、真空吸着により、平面研削加工の対象である被加工物(単結晶薄板CP2)を固定する。吸着固定部12は、被加工物を固定した状態でZ軸周りに回転する。ホイール13は、砥石14を固定し、Z軸周りに砥石14を回転させる。ホイール13は、Z方向に移動可能に形成されており、Z方向に移動することにより、砥石14を被加工物に押し付ける圧力を調整することができる。平面研削装置10は、被加工物(単結晶薄板CP2)を固定した吸着固定部12がZ軸周りに回転し、ホイール13がZ軸周りに回転しつつ砥石14を、被加工物(単結晶薄板CP2)に接触させることにより、砥石14と被加工物(単結晶薄板CP2)とがそれぞれ回転しながら接触し、被加工物(単結晶薄板CP2)の上面(+Z側の面)をXY方向に移動することで研削加工する。搬送装置15は、平面研削前の被加工物(単結晶薄板CP2)を吸着固定部12に搬入する。また、搬送装置15は、平面研削後の加工物(単結晶基板CX)を吸着固定部12の外部に自動的に搬出する。
図7に示すような自動研削装置の場合、従来の基板の製造方法においては、単結晶基板の搬入又は搬出時においても基板の割れが発生することがある。本実施形態の製造方法の場合、上記したように平面研削工程S3の前に、エッチング工程S2を行うことで微細クラックCRを除去しているので、上記した自動研削装置による単結晶基板の搬入又は搬出時における基板の割れも抑制することができる。
平面研削工程S3では、例えば、#2000~#10000などのダイヤモンド砥粒を含む砥石14を用い、研削液を使用して被加工物(単結晶薄板CP2)を平面研削する。なお、平面研削では、例えば研削量が多い場合等、小さい番手、例えば#600~#800の砥石14を用いて粗加工を行ってから、大きい番手の砥石14を用いて仕上げ加工を行ってもよい。なお、平面研削工程S3において、上記した平面研削の条件は一例であって、平面研削の条件は特に限定されない。例えば、平面研削におけるCP2の研削量T3は、特に限定されず任意である。
以上のように、本実施形態の圧電性酸化物単結晶基板の製造方法は、圧電性酸化物単結晶基板の製造方法であって、圧電性酸化物単結晶をスライス加工して得られた薄板状の単結晶薄板に、エッチング処理を施すエッチング工程と、エッチング処理を施した単結晶薄板の表裏面を平面研削加工する平面研削工程と、を含む。上記以外の構成は任意の構成である。
本実施形態の製造方法では、上述の通り、平面研削工程S3の前にエッチング工程S2を行うことにより、ラッピング加工を行わず、ラッピング加工の代わりに平面研削加工を行うことにより単結晶基板CXを製造することができる。本実施形態の製造方法では、被加工物(単結晶薄板、単結晶基板)に大きな圧力をかけて行うラッピング加工を行わないため、ラッピング加工を行う従来の単結晶基板の製造方法と比べて、製造工程における基板の割れを顕著に防止することができる。また、本実施形態の製造方法では、ラッピング加工を行わずに平面研削加工にて基板の加工を進めるので、高度の設備を必要せず低コストで、基板の生産性を向上させることができる。
さらに、本実施形態の製造方法では、上記のように後工程における研削又は研磨工程である平面研削工程S3の前にエッチング工程S2により単結晶薄板CP1の表裏面が除去されるため、後工程における研削又は研磨工程である研削量(研磨量)を減少させることができ、その結果、加工コスト(製造コスト)を減少させることができる。従来の単結晶基板の製造方法では、研削又は研磨工程の後の単結晶基板に対してエッチング処理を施す単結晶基板の製造方法も知られている。このような単結晶基板の製造方法では、上記した本実施形態の製造方法のように研削又は研磨工程である研削量(研磨量)を減少させることができず、その結果、加工コスト(製造コスト)が本実施形態の製造方法よりも増加する。
なお、本実施形態の製造方法では、上記スライス工程S1、エッチング工程S2、平面研削工程S3の各工程間にその他工程を追加してもよい。例えば、単結晶基板(単結晶薄板)の外周部を面取りするベベル工程を平面研削工程S3前に追加してもよい。また、上記の追加する工程は、エッチング工程S2後、平面研削工程S3前に追加する(実施する)のが好ましい。上記の追加する工程は、エッチング工程S2において微細クラックCRを除去しないまま加工を行うと基板の割れが発生しやすいため、エッチング工程S2により微細クラックCRを除去後に追加する(実施する)のが好ましい。
以下、本発明の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(単結晶育成工程~スライス工程)
コングルエント組成の原料を用いて、チョクラルスキー法で、LT単結晶の育成を行った。育成雰囲気は、酸素濃度約3%の窒素‐酸素混合ガスである。得られたLT単結晶のインゴットは透明な淡黄色であった。このLT単結晶のインゴットに対して、熱歪除去のための熱処理と単一分極とするためのポーリング処理を行った後、外周研削、スライス加工を行い、φ4インチ厚み0.3mm、42°RY(Rotated Y axis)のLT単結晶薄板を得た。このスライス加工された単結晶薄板の表面(表裏面)を、透過電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、深さ3μm微小クラックが発生していた。
(エッチング工程)
フッ化水素水溶液(濃度50%)と硝酸水溶液(濃度60%)を体積比で1:1となるように混合した混酸を酸処理液とし、前記スライス加工により得た単結晶薄板を浸漬し酸処理を施した。酸処理の時間は100時間とした。酸処理は常温(20℃)で行った。酸処理前後では、単結晶薄板の表面(1面当たり)が4.4μm程度除去されていた。なお、エッチング除去量は、エッチング前後でLT単結晶薄板の重量を測定し、LTの密度(7.46g/cm)より単結晶薄板の厚さの変化量より算出した。
(平面研削工程)
エッチング工程後の単結晶薄板を自動平面研削装置に投入し、自動搬送させながら平面研削加工を進めた。平面研削加工における基板の割れ率は0%であった。実施例1に関する各評価結果(測定結果)を表1、図5、及び図6に示す。
[実施例2]
実施例1の酸処理時間を100時間から24時間に変更した以外は、実施例1と同様の条件により圧電性酸化物単結晶基板を製造した。酸処理前後では単結晶薄板の表面(1面当たり)が1μm程度除去されていた。平面研削加工における基板の割れ率は8%であった。実施例2に関する各評価結果(測定結果)を表1、図5、及び図6に示す。
[実施例3]
実施例1の酸処理時間を100時間から12時間に変更した以外は、実施例1と同様の条件により圧電性酸化物単結晶基板を製造した。酸処理前後では単結晶薄板の表面(1面当たり)が0.5μm程度除去されていた。平面研削加工における基板の割れ率は12%であった。実施例3に関する各評価結果(測定結果)を表1、図5、及び図6に示す。
[比較例1]
酸処理を実施しない以外は、実施例1と同様の条件により圧電性酸化物単結晶基板を製造した。平面研削加工における基板の割れ率は14%であった。比較例1に関する各評価結果(測定結果)を表1、図5、及び図6に示す。
Figure 0007472546000001
(まとめ)
実施例及び比較例より、本実施形態の方法を用いれば、圧電性酸化物単結晶をラッピング加工を行わずに、平面研削加工にて基板の加工を進めるので、ラッピング加工工程を省略することができるとともに、ラッピング加工による基板の割れを防止できることが確認された。
なお、本発明の技術範囲は上述の実施形態等で説明した態様に限定されない。上述の実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態等で引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
また、実施例および比較例で示したエッチング処理による基板の除去量と平面研削加工における基板の割れ率は、実施例および比較例で使用した酸処理液の組成、酸処理槽等の条件の影響を受けるため、上記実施形態や請求項に記載される方法は、実施例及び比較例で示した条件の範囲外であったとしても、原理的に実施可能であるため、実施例および比較例に示した条件に限定されない。
CI・・・単結晶インゴット
CP1、CP2・・・単結晶薄板
CX・・・圧電性酸化物単結晶基板(単結晶基板)
CR・・・微細クラック
10・・・平面研削装置

Claims (4)

  1. 圧電性酸化物単結晶基板の製造方法であって、
    圧電性酸化物単結晶をスライス加工して得られた薄板状の単結晶薄板に、エッチング処理を施すエッチング工程と、
    前記エッチング処理を施した前記単結晶薄板の表裏面を平面研削加工する平面研削工程と、を含み、
    ラッピング工程を含まない、
    圧電性酸化物単結晶基板の製造方法。
  2. 前記エッチング処理は、フッ化水素酸と硝酸とを含む混酸を用いた酸処理であることを含む、請求項1に記載の圧電性酸化物単結晶基板の製造方法。
  3. 前記エッチング処理は、前記単結晶薄板の表裏面の各面を3μm以上除去することを含む、請求項1又は請求項2に記載の圧電性酸化物単結晶基板の製造方法。
  4. 上記圧電性酸化物単結晶は、タンタル酸リチウム単結晶又はニオブ酸リチウム単結晶であることを含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電性酸化物単結晶基板の製造方法。
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