JP7119673B2 - 化粧シート - Google Patents
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図1に示すように、本発明のある実施形態に係る化粧シート10は、複層構成の化粧シートであって、基材フィルム層1と、基材フィルム層1の一方の面に設けられた絵柄印刷層2と、絵柄印刷層2上に設けられた表面保護層3と、を備えている。具体的には、絵柄印刷層2は、基材フィルム層1の表面11aに設けられており、表面保護層3は、絵柄印刷層2の表面12aに設けられている。
また、基材フィルム層1において、絵柄印刷層2が設けられている面である表面11aとは反対側の面(裏面11b)には、接着剤層4を介して透明フィルム層5が貼り合わされている。また、透明フィルム層5において、接着剤層4で接着された面である表面15aとは反対側の面(裏面15b)には、プライマー層6が設けられている。なお、図1は、理解を容易にするため化粧シート10を構成する複層間に間隙を設けて図示しているが、実際は、化粧シート10の複層間において図1に示すような間隙は設けられていない。
本実施形態における基材フィルム層1は、厚みが20μm以上150μm以下のポリエステル系樹脂を含むフィルムである。基材フィルム層1の厚みが150μmを超過した場合、例えばVカット等の加工の際において、化粧シート10を貼り合わせた基材が割れるおそれがある。例えば基材フィルム層1の材料としては、絵柄印刷層2を設けるのに適したものであれば、特に限定されるものではない。
上記顔料としては、無機顔料と有機顔料とに分類することができ、上記無機顔料としては、酸化チタン白、亜鉛華、鉛白、カーボンブラック、弁柄、朱、黄鉛、群青、コバルト青、コバルト紫、ジンククロメートなどが挙げられる。また、上記有機顔料としては、フタロシアニン系、ジオキサジン系、アントラキノン系などの顔料が挙げられ、代表的なものとして、キナクリドン、ウォッチアングレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
また、上記染料としては、天然染料と合成染料に分類することができ、上記天然染料としては、インジゴ(藍)等が代表される。また、上記合成染料としては、アゾ染料、インジゴイド染料、硫化染料、ニトロ染料、ニトロソ染料等が挙げられる。これらの顔料及び染料は、1種又は2種以上併用して使用することができ、耐光性に優れ、ポリエステル系基材フィルムに隠蔽性を持たすようにするためには、無機顔料が好ましい。
絵柄印刷層2は、化粧シート10に絵柄による意匠性を付与するために、必要に応じて設けられるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。上記模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
本実施形態における表面保護層3としては、化粧シートとしての各種表面耐性が得られるものであれば、その材料は特に限定しないが、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂等を用いることができる。表面保護層3は、表面保護層3を通して、絵柄印刷層2の絵柄を透視できる程度に透明または半透明な材料で形成されている。
本実施形態における接着剤層4には、樹脂特性が25℃条件下での伸び率が400%以上800%以下の範囲であり、かつ最大点応力が5MPa/mm2以上20MPa/mm2以下の範囲である接着剤が用いられる。
また、接着剤層4に用いる接着剤としては、例えばポリエステルポリオール樹脂又はアクリルポリオール樹脂と、イソシア硬化剤との反応によるウレタン樹脂等が好適に用いられる。なお、接着剤にはこれらの成分以外にも、所定の添加物が含有され得る。
上述の接着剤を接着剤層4に用いることにより、本実施形態による化粧シート10は、加工適性を有し、合板、MDF、パーティクルボード等の平板へのラミネート時、切削時、穴明け時に複層フィルム間が剥がれたり欠けたりしてしまうといった不具合を防止することができる。
また、接着剤層4における接着剤の厚みは、3g/m2以上10g/m2以下の範囲が好適である。
本実施形態における透明フィルム層5は、基材フィルム層1の絵柄印刷層2を設けた表面11a側とは反対側の面(裏面11b)側に接着剤層4を介して設けられている。具体的には、透明フィルム層5は、接着剤層4により、基材フィルム層1の裏面11bに接着されている。
透明フィルム層5は、厚みが10μm以上100μm以下の範囲であることが好ましい。
また、透明フィルム層5は、(メタ)アクリル酸系重合体とエチレン・ビニルアルコール共重合体との組成物により形成されたガスバリア層を積層したポリプロピレン系防湿フィルムである。例えば透明フィルム層5は、ポリプロピレンと変性ポリプロピレン重合体を共押し出しした積層シートに、(メタ)アクリル酸系重合体とエチレン・ビニルアルコール共重合体とにより形成されたガスバリア層をコーティングして、横方向へ延伸した透明ポリプロピレンフィルムである。
透明フィルム層5は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムであることが好ましい。二軸延伸ポリプロピレンフィルムを透明フィルム層5として用いることで、加工時等において化粧シート10が伸長された場合に、ガスバリア層におけるクラックの発生を防止することができる。また、透明フィルム層5の透湿度は、3g/m2・day以下であることが好ましい。
本実施形態による化粧シート10は、基材フィルム層1の裏面11b側に上述の構成による透明フィルム層5を備えることにより、加工等の際に伸長された場合に防湿性能を維持可能である。さらに、透明フィルム層5に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いることで、加工の際に伸長された場合も、積層された各フィルム間においてフィルムが剥がれたり欠けたりしてしまうといった不具合を防止することができる。したがって、本実施形態による化粧シート10は、伸長時における防湿性能の維持と加工適性とを両立させることができる。
本実施形態において、プライマー層6としては、例えば化粧シート10を貼り合わせる基材が木質系基材の場合には、例えば、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は単独ないし混合して接着組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて形成することができる。この場合、プライマー層6を構成する樹脂としては、ウレタン-アクリレート系樹脂が好ましい、すなわち、アクリル系樹脂とウレタン系樹脂との共重合体とイソシアネートとからなる樹脂で形成するのが特に好ましい。
プライマー層6は、例えば、化粧シート10を基材に貼り合わせて化粧板を形成する際に、当該基材と化粧シート10との密着性を向上させるために形成される層である。このため、化粧シート10において、プライマー層6の形成を省略してもよい。
これにより、化粧シート10は、加工等の際において伸長された場合にも、防湿性能を維持することができる。
本実施例において、基材フィルム層1としてPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂(大倉工業株式会社製)を使用した。また、基材フィルム層1の厚みは60μmとした。また、基材フィルム層1の表面上に、絵柄印刷層2を形成した。絵柄印刷層2において、印刷のインキとしては、ウレタン・塩酢ビ系樹脂(東洋インキ株式会社製)を使用した。
次に、絵柄印刷層2の表面上に表面保護層3を形成した。表面保護層3の材料としては、アクリル系樹脂(DICグラフィックス株式会社製)を用いた。
次に、基材フィルム層1の絵柄印刷層2を設けた表面11aとは反対側の裏面11bに接着剤(東洋モートン株式会社製、「TMX」)を、5g/m2となる厚みで設けて接着剤層4を形成した。この接着剤の樹脂特性は、25℃条件下での伸び率が500%であり、最大点応力が8MPa/mm2であった。
ここで、上記(塗膜)伸び率は、以下のようにして測定した。すなわち、サンプルサイズの幅10mm×長さ40mm×厚み0.15mmを基準とし、測定時の温度は25℃で測定速度は100mm/min、破断時の状態(塗膜が伸びきった時点の破断)での伸び率(%)を測定した。
また、上記最大点応力は、以下のようにして測定した。すなわち、サンプルサイズと測定条件は伸び率測定時と同条件にて、引っ張り試験にて最大点応力を塗膜の断面積(mm2)で割った値で算出した。
次に、接着剤層4を介して、ポリプロピレン系防湿フィルムであるWH-OP HE-1(三井化学東セロ株式会社製 厚み25μm)を貼り合せて透明フィルム層5を形成して、実施例1の化粧シートを作製した。
プライマー層6は、主剤としたウレタン樹脂及び塩酢ビ系樹脂に硬化剤としてイソシアネートを添加した2液硬化型樹脂を、グラビア印刷法にて固形分としての塗布量が1g/m2になるように設けた。
接着剤層4として、樹脂特性が25℃条件下での伸び率が300%であり、かつ最大点応力が20MPa/mm2の接着剤を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2の化粧シートを作製した。
接着剤層4として、樹脂特性が25℃条件下での伸び率が480%であり、かつ最大点応力が30MPa/mm2の接着剤を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3の化粧シートを作製した。
接着剤層4として、樹脂特性が25℃条件下での伸び率が200%であり、かつ最大点応力が40MPa/mm2の接着剤を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2の化粧シートを作製した。
接着剤層4として、樹脂特性が25℃条件下での伸び率が520%であり、かつ最大点応力が7MPa/mm2の接着剤を用いた。また、透明フィルム層5として、ポリプロピレン系防湿フィルムの替わりに、ポリエステル系防湿フィルム(三菱ケミカル株式会社製「テックバリア」)をシリカ蒸着で厚み12μmで用いた。接着剤層4と透明フィルム層5以外は、実施例1と同様にして比較例1の化粧シートを作製した。
実施例1~4、および比較例1の化粧シートに対して、以下の防湿性能評価および加工適性評価を行った。
<化粧シートを伸長前の透湿度>
JIS Z0208のカップ法にて40℃90%条件下で化粧シートの透湿度を測定した。透湿度が3g/m2・day以下であれば合格「〇」、3g/m2・dayを超過していれば不合格「×」と評価した。
化粧シートを25℃条件下で2mm/minのスピードで10秒間伸ばした後、JIS Z0208のカップ法にて40℃90%条件下で化粧シートの透湿度を測定した。透湿度が3g/m2・day以下であれば合格「〇」、3g/m2・dayを超過していれば不合格「×」と評価した。
<切削性>
木質基材に化粧シートを接着剤により貼り合せて化粧板を作製した。その後にパネルソーやランニングソーにより上記化粧板をカットした際のカット面の状態がフィルム、木質基材の欠け、バリ等がなく切削できた場合を合格「○」、そうでない場合を不合格「△」で評価した。
木質基材に化粧シートを接着剤により貼り合せて化粧板を作製した。その後にNCルーター等により上記化粧板に穴開け加工した際の加工面の状態がフィルム、木質基材の欠け、バリ等がなく加工できた場合を合格「○」、そうでない場合を不合格「△」で評価した。
木質基材に化粧シートを接着剤により貼り合せて化粧板を作製した。その後に上記化粧板の裏面にV溝カットを施して、90度に曲げた時にシートにクラックによる白化が出た場合を不合格「△」、白化していない場合を合格「〇」として評価した。
性能評価結果(防湿性能評価および加工適性評価の結果)を表1に示す。
2 絵柄印刷層
3 表面保護層
4 接着剤層
5 透明フィルム層
6 プライマー層
10 化粧シート
11a、12a、15a、 表面
11b、15b 裏面
Claims (9)
- 厚みが20μm以上150μm以下の範囲であり、ポリエステル系材料を含む基材フィルム層と、
前記基材フィルム層の一方の面に設けられた絵柄印刷層と、
前記絵柄印刷層上に設けられた表面保護層と、
前記基材フィルム層の前記絵柄印刷層が設けられた面とは反対側の面に接着剤層を介して貼り合わされ、ポリプロピレン系材料を含む透明フィルム層と、
を備え、
前記透明フィルム層は、ガスバリア層を積層したポリプロピレン系防湿フィルムである
ことを特徴とする化粧シート。 - 前記接着剤層に用いられる接着剤は、樹脂特性が25℃条件下での伸び率が400%以上800%以下の範囲であり、かつ最大点応力が5MPa/mm2以上20MPa/mm2以下の範囲であること
を特徴とする請求項1に記載の化粧シート。 - 前記接着剤層に用いられる接着剤は、ポリエステルポリオール樹脂又はアクリルポリオール樹脂と、イソシア硬化剤との反応によるウレタン樹脂を含むこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。 - 前記接着剤層に用いる接着剤の厚みは、3g/m2以上10g/m2下の範囲であること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。 - 前記基材フィルム層は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルム、又は結晶化度が70%以上のポリブチレンテレフタレートフィルムであること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化粧シート。 - 前記透明フィルム層は、(メタ)アクリル酸系重合体とエチレン・ビニルアルコール共重合体との組成物により形成された前記ガスバリア層を積層した前記ポリプロピレン系防湿フィルムであること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の化粧シート。 - 前記透明フィルム層の透湿度は、3g/m2・day以下であること
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の化粧シート。 - 前記透明フィルム層は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムであること
を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化粧シート。 - 前記透明フィルム層の厚みは、10μm以上100μm以下の範囲であること
を特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の化粧シート。
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