JP7119091B2 - たばこ材料の製造方法、たばこ材料、たばこ香味液の製造方法、たばこ香味液、および加熱型香味吸引器 - Google Patents
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Description
30[nkat/g]以上のβ-D-グルコシダーゼ活性を有する第1の葉たばこ粉砕物と、配糖体を含有し、かつ25[nkat/g]以下のβ-D-グルコシダーゼ活性を有する第2の葉たばこ粉砕物とを混合して、葉たばこ混合物を調製すること、および
前記葉たばこ混合物を加湿条件下で蔵置して、たばこ香味が増加したたばこ材料を得ること
を含む、たばこ材料の製造方法が提供される。
第3の側面によれば、前記たばこ材料からたばこ香味成分を抽出して、たばこ香味液を得ることを含む、たばこ香味液の製造方法が提供される。
第5の側面によれば、前記たばこ材料または前記たばこ香味液を含む加熱型香味吸引器が提供される。
たばこ材料の製造方法は、
30[nkat/g]以上のβ-D-グルコシダーゼ活性を有する第1の葉たばこ粉砕物と、配糖体を含有し、かつ25[nkat/g]以下のβ-D-グルコシダーゼ活性を有する第2の葉たばこ粉砕物とを混合して、葉たばこ混合物を調製すること、および
前記葉たばこ混合物を加湿条件下で蔵置して、たばこ香味が増加したたばこ材料を得ること
を含む。たばこ材料の製造方法をフローチャートで図1に示す。
第1の葉たばこ粉砕物と第2の葉たばこ粉砕物について、まず説明する。以下の説明において、「葉たばこ粉砕物」の用語は、第1の葉たばこ粉砕物および第2の葉たばこ粉砕物の両方を指すために使用される。
葉たばこ原料に、配糖体分解酵素を活性化させる処理を施し、その後、
前記葉たばこ原料を粉砕する
ことにより得られる粉砕物であってもよい。ここで使用される葉たばこ原料は、配糖体分解酵素活性を有している葉たばこ原料であれば、配糖体の含有量は任意である。葉たばこ原料として、例えば、バーレー種、在来種、暗色火干種、暗色気干種、暗色日干種、黄色種、オリエント種、日干種、および明色日干種から選択される少なくとも1つの品種を使用することができる。活性化処理は、例えば、葉たばこ原料のpHを当該酵素の至適pHに調節するように緩衝剤を用いて葉たばこ原料を処理すること、または葉たばこ原料を当該酵素の至適温度の下に置くことにより行うことができる。
葉たばこ原料を加熱して、前記葉たばこ原料に含まれる酵素を失活させ、その後、
前記葉たばこ原料を粉砕する
ことにより得られる粉砕物であってもよい。ここで使用される葉たばこ原料は、配糖体を含有している葉たばこ原料であれば、配糖体分解酵素活性の値は任意である。葉たばこ原料として、例えば、バーレー種、在来種、暗色火干種、暗色気干種、暗色日干種、黄色種、オリエント種、日干種、および明色日干種から選択される少なくとも1つの品種を使用することができる。好ましくは、葉たばこ原料として、黄色種、オリエント種、日干種、および明色日干種から選択される少なくとも1つの品種を使用することができる。失活処理は、例えば、葉たばこを、220~250℃の気流温度を有する流動層に投入し、1~5秒間処理することにより行うことができる。
上述の第1の葉たばこ粉砕物と上述の第2の葉たばこ粉砕物とを混合して、葉たばこ混合物を調製する。第1の葉たばこ粉砕物と第2の葉たばこ粉砕物との混合比は、任意であるが、好ましくは、質量比で1:20~20:1、例えば、質量比で1:1とすることができる。
上述の葉たばこ混合物を加湿条件下で蔵置して、たばこ香味が増加したたばこ材料を製造する。
葉たばこ試料を、食品の水分の分析方法(加熱乾燥法)に準拠し、常圧下、100℃で1時間加熱し、40分間デシケータにて放冷し、加熱前後の重量差から水分を求める。具体的な手順は以下の通りである。
(2)必要量の葉たばこ試料を秤り取り、試料容器に入れ蓋をする。ここで、秤り取った試料の質量および試料容器の質量(WO)の合計質量をW1とする。
(3)試料容器の蓋を開け、ロータリー式乾燥器の中に並べ、100℃で1時間加熱する。
(4)1時間後、試料容器の蓋を閉めて取り出し、デシケータ内で放冷する。
(5)40分後、試料を含む試料容器の質量(W2)を測定する。水分量(Mw)は下記の式により求める。
Mw:水分量(質量%)
W1:乾燥前試料および試料容器の合計質量(g)
W2:乾燥後試料および試料容器の合計質量(g)
W0:試料容器の質量(g)
上述のとおり、葉たばこには、農家での乾燥の仕方の違いによって、「配糖体分解酵素の活性が高く、配糖体含有量が少ない品種」と、「配糖体分解酵素の活性が低く、配糖体含有量が多い品種」とが存在する。これは、配糖体分解酵素の活性および配糖体の両方が同一の葉たばこに存在すると、配糖体の分解が起こり、配糖体分解酵素の活性と配糖体含有量とが両立しないためと考えられる。本発明者らは、この点に新たに着目して、配糖体分解酵素の活性が高い葉たばこに含まれる配糖体分解酵素と、配糖体分解酵素の活性が低い葉たばこに多量に含まれる配糖体とを反応させて、葉たばこのたばこ香味を増加させることに成功した。
別の側面によれば、上記方法により製造されるたばこ材料が提供される。上述のとおり、本発明のたばこ材料は、増加したたばこ香味を有する。
炭素熱源の燃焼熱でたばこ材料(例えば、たばこ刻またはたばこ成形体)を加熱して、香喫味成分を含むエアロゾルを発生させる炭素熱源型吸引器(例えば国際公開2006/073065号を参照);または
たばこ材料をエアロゾル源(例えば、プロピレングリコールまたはグリセリン)とともに収容した詰め替えタイプのたばこポッドと、たばこポッドを電気加熱により加熱してエアロゾルを発生させる吸引器本体とを備えた電気加熱型吸引器(例えばWO2013/025921を参照);または
電池から供給される電力によってエアロゾル源を霧化する霧化部を有する第1カートリッジと、たばこ材料を収容した第2カートリッジとを備え、第1カートリッジにおいて発生するエアロゾルを第2カートリッジに通すことでエアロゾルにたばこ香味を付与する電気加熱型吸引器(例えばWO2016/075747を参照)
が挙げられる。
別の側面によれば、本発明のたばこ材料からたばこ香味成分を抽出して、たばこ香味液を得ることを含む、たばこ香味液の製造方法が提供される。すなわち、たばこ香味液の製造方法は、
30[nkat/g]以上のβ-D-グルコシダーゼ活性を有する第1の葉たばこ粉砕物と、配糖体を含有し、かつ25[nkat/g]以下のβ-D-グルコシダーゼ活性を有する第2の葉たばこ粉砕物とを混合して、葉たばこ混合物を調製すること、
前記葉たばこ混合物を加湿条件下で蔵置して、たばこ香味が増加したたばこ材料を得ること、および
前記たばこ材料からたばこ香味成分を抽出して、たばこ香味液を得ること
を含む。たばこ香味液の製造方法をフローチャートで図1に示す。
別の側面によれば、上記方法により製造されるたばこ香味液が提供される。本発明のたばこ香味液は、たばこ香味が増加したたばこ材料を原料として用いて製造されるため、増加したたばこ香味を有する。
例えば、本発明のたばこ香味液は、「加熱型香味吸引器」において、単独で液体収容部に組み込まれてもよいし、たばこ刻やたばこ顆粒などの固体のたばこ香味源と混合してポッド(pod)内に組み込まれてもよいし、エアロゾル源の液体(例えば、プロピレングリコールまたはグリセリン)と混合して液体収容部に組み込まれてもよい。本発明のたばこ香味液は、「非加熱型香味吸引器」において、単独で液体収容部に組み込まれてもよいし、たばこ刻やたばこ顆粒などの固体のたばこ香味源と混合してポッド(pod)内に組み込まれてもよい。
別の側面によれば、本発明のたばこ材料を含む加熱型香味吸引器が提供される。
一つの実施形態によれば、本発明のたばこ材料と、前記たばこ材料と混合されたエアロゾル源とを含むたばこ香味源を備えた加熱型香味吸引器が提供される。かかる加熱型香味吸引器の一例を、図2に示す。
たばこポッド130は、本体110内に、ヒータ114に取り囲まれるように設置される。たばこポッド130は、所定回数の吸引後、ユーザにより交換される。
容器131は、例えば、金属(例えばアルミニウム)製の容器である。
たばこ香味源132は、容器131に収容されている。たばこ香味源132は、本発明のたばこ材料およびエアロゾル発生液を含んでいる。エアロゾル発生液は、加熱によりエアロゾルを発生させるための液体であり、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの混合物などである。たばこ香味源132は、たばこ充填材として、本発明のたばこ材料以外のたばこ材料を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
別の側面によれば、本発明のたばこ香味液を含む加熱型香味吸引器が提供される。
一つの実施形態によれば、本発明のたばこ香味液と、前記たばこ香味液と混合されたエアロゾル源とを含むたばこ香味源を備えた加熱型香味吸引器が提供される。かかる加熱型香味吸引器の一例を、図3に示す。
以下に、本発明の好ましい実施形態をまとめて示す。
[1]30[nkat/g]以上のβ-D-グルコシダーゼ活性を有する第1の葉たばこ粉砕物と、配糖体を含有し、かつ25[nkat/g]以下のβ-D-グルコシダーゼ活性を有する第2の葉たばこ粉砕物とを混合して、葉たばこ混合物を調製すること、および
前記葉たばこ混合物を加湿条件下で蔵置して、たばこ香味が増加したたばこ材料を得ること
を含む、たばこ材料の製造方法。
[3]前記第1の葉たばこ粉砕物が、30~1000[nkat/g]のβ-D-グルコシダーゼ活性、好ましくは100~1000[nkat/g]のβ-D-グルコシダーゼ活性を有する[1]または[2]に記載の方法。
[5]前記第1の葉たばこ粉砕物が、たばこ植物の葉の農家での乾燥が空気乾燥(air-curing)により行われる品種の葉たばこ粉砕物である[1]~[4]の何れか1に記載の方法。
[7]前記第2の葉たばこ粉砕物が、たばこ植物の葉の農家での乾燥が、加熱工程を伴う鉄管乾燥(flue-curing)または加熱空気を循環させる循環乾燥(air-circulating curing)または日干乾燥(sun-curing)により行われる品種の葉たばこ粉砕物である[1]~[6]の何れか1に記載の方法。
[9]前記混合が、前記第1の葉たばこ粉砕物と前記第2の葉たばこ粉砕物とを1:20~20:1の質量比で混合することにより行われる[1]~[8]の何れか1に記載の方法。
[11]前記加湿条件が、前記葉たばこ混合物の水分量が12~80質量%になるように前記葉たばこ混合物に水分を加えた条件である[1]~[10]の何れか1に記載の方法。
[13]前記蔵置が、0~60℃、好ましくは0~50℃、より好ましくは20~50℃の温度で行われる[1]~[12]の何れか1に記載の方法。
[15]前記蔵置が、密閉条件下で行われる[1]~[14]の何れか1に記載の方法。
[17]前記第1の葉たばこ粉砕物が、前記第2の葉たばこ粉砕物と比べて、単位質量あたり少ない含有量で配糖体を含有する[1]~[16]の何れか1に記載の方法。
[19]前記第2の葉たばこ粉砕物が、
葉たばこ原料を加熱して、前記葉たばこ原料に含まれる酵素を失活させ、その後、
前記葉たばこ原料を粉砕する
ことにより得られる粉砕物である[1]~[18]の何れか1に記載の方法。
[21]前記方法が、前記蔵置の後に、前記たばこ材料を、前記たばこ材料の水分量が12~14質量%になるように乾燥させることを更に含む[1]~[20]の何れか1に記載の方法。
[23]上記[22]に記載のたばこ材料からたばこ香味成分を抽出して、たばこ香味液を得ることを含む、たばこ香味液の製造方法。
[25]上記[23]または[24]に記載の方法により製造されるたばこ香味液。
[27]上記[25]に記載のたばこ香味液を含む加熱型香味吸引器。
前記たばこ材料と混合されたエアロゾル源と
を含むたばこ香味源を備えた加熱型香味吸引器。
[29]前記たばこ材料と前記エアロゾル源との混合物を加熱してエアロゾルを発生させる加熱デバイスを更に含む[28]に記載の加熱型香味吸引器。
前記たばこ香味液と混合されたエアロゾル源と
を含むたばこ香味源を備えた加熱型香味吸引器。
[31]前記たばこ材料と前記エアロゾル源との混合物を加熱してエアロゾルを発生させる加熱デバイスを更に含む[30]に記載の加熱型香味吸引器。
[33]前記加熱型香味吸引器が、上記[22]に記載のたばこ材料とエアロゾル源との混合物を収容した詰め替えタイプのたばこポッドと、前記たばこポッドを電気加熱により加熱してエアロゾルを発生させる吸引器本体とを備えた電気加熱型吸引器である[26]に記載の加熱型香味吸引器。
[35]前記エアロゾル源が、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの混合物である[28]~[34]の何れか1に記載の加熱型香味吸引器。
[37]上記[22]に記載のたばこ材料を含む非加熱型香味吸引器。
[38]上記[25]に記載のたばこ香味液を含む非加熱型香味吸引器。
実施例1では、葉たばこのβ-D-グルコシダーゼ活性を測定した。葉たばことして、バーレー種、黄色種、オリエント種を使用した。
葉たばこを1.0mmメッシュ以下に粉砕して葉たばこ粉砕物を得た。葉たばこ粉砕物(2.0±0.005g)をガラスバイアルに秤量し、4℃に冷却しておいた100mLの15mM McIlvaine緩衝液(4.8mMクエン酸-10.2mMリン酸水素二ナトリウム緩衝液、pH5.4)に懸濁した。懸濁液をホモジナイズし、さらに超音波を掛けて30分間酵素タンパク質を抽出した。抽出液をWhatmann♯60を用いて濾過し、濾液を12,000×g、10分間遠心した。上清を孔径0.2μmのセルロースアセテートメンブレン(Whatmann)を用いて濾過した。濾液を60mL分取し、30kDa限外濾過膜(Amicon Ultra、遠心式限外濾過チューブ×4)を用いて低分子成分を除去して高分子成分の分離液を得た。高分子成分の分離液に対して、5mM酢酸緩衝液(pH5.5)を加えて希釈し、再び限外濾過を行うことにより高分子画分を洗浄(低分子を除去)した。さらに高分子画分の洗浄操作を2回繰り返した。洗浄した分離液は、5mM、pH5.5に調整した酢酸緩衝液を用いて12mLにメスアップした。このメスアップした溶液を、「粗酵素液」と定義する。粗酵素液の調製操作は全て4℃で実施した。
調製した粗酵素液100μLと10mM酢酸緩衝液(pH5.5)1000μLとをエッペンドルフチューブ内で混合した溶液を5つ調製し、それぞれヒートブロック内で45℃、2分間加温した。加温した5つの混合溶液のうち、4つに対して、20mM 4-ニトロフェニルβ-D-グルコピラノシド(Glc-β-pNP)基質溶液をそれぞれ500μL加えて、一つは5分後、もう一つは15分後、さらにもう一つは30分後、最後の一つは60分後に50mM炭酸ナトリウム溶液を400μL加えて反応を停止した。残りの1つの混合溶液はインキュベート後、50mM炭酸ナトリウム溶液を400μL加えた後にGlc-β-pNP基質溶液を500μL加えた。
バーレー種、黄色種およびオリエント種において測定されたβ-D-グルコシダーゼ活性を以下の表に示す。
実施例2では、葉たばこに含まれる配糖体を分析した。分析は、WO2018/038245に記載される方法に従って行った。葉たばことして、表1のロット番号D、H、IおよびJを使用した。
ミル(メリタジャパン株式会社)を用いて粉砕した乾燥葉たばこ試料を3日間凍結乾燥した。凍結乾燥後の原料(0.5g)をそれぞれスクリュー管(体積20mL、マルエム)に秤量し、20mLのメタノール(和光純薬工業株式会社、日本)を加えて超音波(AS ONE、US CLEANER US-1R)処理をしながら90分間抽出した。続いて、内部標準物質としてn-ドデシル-β-D-グルコピラノシド(シグマ・アルドリッチジャパン)溶液100μL(1mg/mLメタノール)をそれぞれのスクリュー管に加え振とうした。孔径0.45μmのPTFEメンブレン(Whatman、25mm GD/X Disposable Filter Device)を用いてろ過し、配糖体を含むろ液を調製した。
分析用試料D、H、IおよびJを、以下の条件でLC-MS/MSによりそれぞれ分析した。
Agilent 6410 トリプル四重極LC/MS
クロマトグラフィー条件
カラム:YMC-Pack Pro C18(株式会社ワイエムシィ(YMC Co.,Ltd.))、内径2.0mm×長さ150mm、粒子径3μm
注入量(injection volume):5μL
流速(flow rate):0.15mL/分
分析時間(run time):60分
溶離方法:グラジエント溶離(gradient elution)
溶離液A:1%ギ酸、溶離液B:アセトニトリル
グラジエント条件:15%B(0~5分)、15~45%B(5~15分)、45~90%B(15~45分)、90%B(45~60分)
再平衡化(re-equilibrium)時間:20分
カラム温度:40℃
イオン源パラメーター
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化(ESI)
ネブライザーガス:窒素
ネブライザーガス温度:350℃
ネブライザーガス流量:11L/分
ネブライザー圧力:35psi
キャピラリー電圧:4000V
質量分析計パラメーター
イオン極性:正
フラグメンター電圧:100V
衝突ガス(collision gas):窒素
衝突エネルギー(collision energy):20V
測定モード:スキャン
MSスキャン範囲:m/z250~500
スキャン時間:500ms
スキャン方法:コンスタントニュートラルロススキャン
ニュートラルロス質量設定値(neutral loss off-set):162u
図4の結果から、黄色種(分析用試料D)の葉たばこ粉砕物に含まれる配糖体含有量は多く、バーレー種(分析用試料H、IおよびJ)の葉たばこ粉砕物に含まれる配糖体含有量は少ないことがわかった。図4の結果は、バーレー種の葉たばこ粉砕物が、黄色種の葉たばこ粉砕物と比べて、単位質量あたり少ない含有量で配糖体を含有することを示す。また、図4の結果は、バーレー種の葉たばこ粉砕物に含有される配糖体成分のいずれの成分の含有量も、黄色種の葉たばこ粉砕物に含有される配糖体成分のものよりも少ないことを示す。
3-1.たばこ材料の製造方法
バーレー種の葉たばこ15gを1mm以下の最大径を有するように粉砕し、バーレー種の葉たばこ粉砕物を調製した。同様に、黄色種の葉たばこ15gを1mm以下の最大径を有するように粉砕し、黄色種の葉たばこ粉砕物を調製した。
バーレー種の葉たばこ粉砕物1.5gと、黄色種の葉たばこ粉砕物1.5gを混合して、葉たばこ混合物Aを調製した。葉たばこ混合物の水分量が40質量%になるように葉たばこ混合物に水を加え、葉たばこ混合物をかき混ぜた。これにより、葉たばこ粉砕物は、その表面が少し湿っている程度に加湿された。加湿された葉たばこ混合物を20mL容器に入れて蓋をし、37℃で3日間にわたって蔵置してたばこ材料Aを製造した。
黄色種の葉たばこ粉砕物の酵素を以下のとおり失活させた。気流温度220℃以上、絶対湿度69~78vol%、線速30~34m/sに設定した流動層に、黄色種の葉たばこ粉砕物を投入し、流動層内の滞留時間は2秒以下になるように加熱処理をし、酵素を失活させた。
葉たばこ混合物Aの代わりにバーレー種の葉たばこ粉砕物3.0gを用いたこと以外は、たばこ材料Aと同様の手法に従ってたばこ材料Cを製造した。
葉たばこ混合物Aの代わりに黄色種の葉たばこ粉砕物3.0gを用いたこと以外は、たばこ材料Aと同様の手法に従ってたばこ材料Dを製造した。
バーレー種の葉たばこ粉砕物の酵素を以下のとおり失活させた。気流温度220℃以上、絶対湿度69~78vol%、線速30~34m/sに設定した流動層に、バーレー種の葉たばこ粉砕物を投入し、流動層内の滞留時間は2秒以下になるように加熱処理をし、酵素を失活させた。
たばこ材料A、B、C、DおよびEに含まれる配糖体を、実施例2に記載したとおりのLC-MS/MSにより分析した。
4-1.たばこ材料の製造方法
黄色種の葉たばこ粉砕物を、実施例3の「たばこ材料B」の製造で使用した加熱処理条件と同一の条件で加熱処理し、酵素を失活させた。加熱処理された黄色種の葉たばこ粉砕物3.0gを葉たばこ混合物Aの代わりに用いたこと以外は、実施例3の「たばこ材料A」の製造と同様の手法に従ってたばこ材料Fを製造した。
(1)水蒸気蒸留
水を入れて1時間程度内部をクリーニングした水蒸気蒸留装置(東京製作所製ハーブオイルメーカー(スタンダードタイプ))に1Lの水を入れてヒーターで加熱(250℃)した。沸騰後、実施例3で調製されたたばこ材料B、C及び実施例4で調製されたたばこ材料Fの何れか(60g)を入れて蒸留を開始した。蒸留を続け、2時間の蒸留で、500mLの留分を採取した。得られた留分は、三角フラスコに捕集し、氷浴(5℃)で2時間放置した。
有機溶媒として、ジエチルエーテルを用いた。
留分が入った三角フラスコに塩化ナトリウムを15g添加して振とうした。次に、1L容の分液ロートに留分500mL(留分に浮いていたオイルも含む)を入れ、有機溶媒150mLを添加して振とうした。水相を除去した後、有機相を新たな三角フラスコに入れた。水相に新たに有機溶媒を150mL加え、有機相を回収する操作を繰り返し2回行った。有機相を回収した三角フラスコに無水硫酸ナトリウム20gを添加し、室温で30分放置することにより脱水した。
脱水後の有機相を、ろ紙(ADVANTEC,No.2,150mm)でろ過し、ロータリーエバポレーターにより、ろ液を35℃の湯浴中で減圧下において蒸発乾固させて、乾固物としてのたばこ抽出物を得た。該抽出物の重量に対して50倍の重量のプロピレングリコールを添加し、「たばこ香味液」とした。たばこ材料B、CおよびFから製造したたばこ香味液を、それぞれたばこ香味液B、CおよびFと称する。
上記たばこ香味液B、CおよびFをGC/MSにて分析した。
GC/MSの条件については、以下の条件を用いることができる。
カラム:アジレント社製HP-1MS(30m×0.25mm(膜厚0.25μm))
注入量(injection volume):1μL
流速(Septum Purge Flow):1.3mL/分
分析時間(run time):52分
昇温条件:40℃(4分)→10℃/分、150℃→15℃/分、190℃
→15℃/分、240℃→15℃/分、250℃(30分)
[MS条件]
装置:Agilent 5975C Inert XL MSD
検出モード:SCAN
イオン源温度:230℃
四重極温度:150℃
図7は、たばこ香味液CとFを混合した(1:1で混合)場合のGC-MSクロマトグラムである。また、図8は、たばこ香味液BのGC-MSクロマトグラムである。図7および図8の結果から、たばこ香味液Bは、たばこ香味液CおよびFの混合液と比べても、香味成分のピークが多く、豊かな香味を有することが分かる。したがって、図7および図8の結果から、本発明の方法を実施することにより、香味が増加したたばこ香味液を提供することができるといえる。
5-1.たばこ材料の製造方法
バーレー種の葉たばこ粉砕物1.5gと、黄色種の葉たばこ粉砕物1.5gを混合して、葉たばこ混合物を調製した。葉たばこ混合物の水分量が40質量%になるように葉たばこ混合物に水を加え、葉たばこ混合物をかき混ぜた。これにより、葉たばこ粉砕物は、その表面が少し湿っている程度に加湿された。加湿された葉たばこ混合物を、20mL容器に入れて密閉し、27℃、37℃、47℃、または57℃の温度で3日間保存してたばこ材料を調製した。
蔵置中の温度が異なる各たばこ材料に含まれる配糖体を、実施例2に記載したとおりのLC-MS/MSにより分析した。図9は、各蔵置温度における配糖体含有量を表している。図9では、基準値として、実施例3のたばこ材料Cの配糖体含有量と実施例3のたばこ材料Dの配糖体含有量の合算値を示す。
6-1.たばこ材料の製造方法
バーレー種の葉たばこ粉砕物1.5gと、黄色種の葉たばこ粉砕物1.5gを混合して、葉たばこ混合物を調製した。葉たばこ混合物の水分量が40質量%になるように葉たばこ混合物に水を加え、葉たばこ混合物をかき混ぜた。これにより、葉たばこ粉砕物は、その表面が少し湿っている程度に加湿された。加湿された葉たばこ混合物を、20mL容器に入れて密閉し、37℃で1日、2日、または3日間にわたって蔵置してたばこ材料を製造した。
蔵置期間が異なる各たばこ材料に含まれる配糖体を、実施例2に記載したとおりのLC-MS/MSにより分析した。図10は、蔵置期間を変えた際の配糖体含有量を表している。図10では、基準値として、実施例3のたばこ材料Cの配糖体含有量と実施例3のたばこ材料Dの配糖体含有量の合算値を示す。
7-1.たばこ材料の製造方法
バーレー種の葉たばこ粉砕物1.5gと、黄色種の葉たばこ粉砕物1.5gを混合して、葉たばこ混合物を調製した。葉たばこ混合物の水分量が、12質量%、22質量%、26質量%、30質量%、40質量%、45質量%、50質量%、または55質量%になるように葉たばこ混合物に水を加え、葉たばこ混合物をかき混ぜた。加湿された葉たばこ混合物を、20mL容器に入れて蓋をし、37℃で3日間にわたって蔵置してたばこ材料を製造した。
蔵置中の水分量が異なる各たばこ材料に含まれる配糖体を、実施例2に記載したとおりのLC-MS/MSにより分析した。図11および図12は、蔵置中の水分量を変えた際の配糖体含有量を表している。図11および図12では、基準値として、実施例3のたばこ材料Cの配糖体含有量と実施例3のたばこ材料Dの配糖体含有量の合算値を示す。
Claims (14)
- たばこ製品に組み込むためのたばこ材料の製造方法であって、
30[nkat/g]以上のβ-D-グルコシダーゼ活性を有する第1の葉たばこ粉砕物と、配糖体を含有し、かつ25[nkat/g]以下のβ-D-グルコシダーゼ活性を有する第2の葉たばこ粉砕物とを混合して、葉たばこ混合物を調製すること、および
前記葉たばこ混合物を加湿条件下で蔵置して、たばこ香味が増加したたばこ材料を得ること
を含み、
前記第1の葉たばこ粉砕物は、前記第2の葉たばこ粉砕物と混合される前も後も、80℃以上の温度に晒されず、前記葉たばこ混合物は、80℃以上の高温に晒されず、たばこ香味が増加した前記たばこ材料は、たばこ製品に組み込まれる前も後も、80℃以上の高温に晒されない、方法。 - 前記第1の葉たばこ粉砕物および前記第2の葉たばこ粉砕物が、1mm以下の最大径を有する請求項1に記載の方法。
- 前記加湿条件が、前記葉たばこ混合物の水分量が12~80質量%になるように前記葉たばこ混合物に水分を加えた条件である請求項1または2に記載の方法。
- 前記蔵置が、0~60℃の温度で行われる請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
- 前記蔵置が、24~72時間の期間にわたって行われる請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
- 前記蔵置が、密閉条件下で行われる請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
- 前記第1の葉たばこ粉砕物が、前記第2の葉たばこ粉砕物と比べて、単位質量あたり少ない含有量で配糖体を含有する請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
- 前記第1の葉たばこ粉砕物に含有される配糖体成分のいずれの成分の含有量も、前記第2の葉たばこ粉砕物に含有される配糖体成分のものよりも少ない請求項7に記載の方法。
- 前記第2の葉たばこ粉砕物が、
葉たばこ原料を加熱して、前記葉たばこ原料に含まれる酵素を失活させ、その後、
前記葉たばこ原料を粉砕する
ことにより得られる粉砕物である請求項1~8の何れか1項に記載の方法。 - 請求項1~9の何れか1項に記載の方法により製造されるたばこ材料。
- 請求項10に記載のたばこ材料からたばこ香味成分を抽出して、たばこ香味液を得ることを含む、たばこ香味液の製造方法。
- 請求項11に記載の方法により製造されるたばこ香味液。
- 請求項10に記載のたばこ材料または請求項12に記載のたばこ香味液を含む加熱型香味吸引器。
- 請求項10に記載のたばこ材料と、
前記たばこ材料と混合されたエアロゾル源と
を含むたばこ香味源を備えた加熱型香味吸引器。
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永井敦,たばこ乾燥葉の保存過程における糖質成分の変化および反応機構,博士論文,日本,九州大学,2013年09月24日,P.11-14, P.98-102 |
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