JP7118638B2 - 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法および電子機器 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は樹脂組成物および樹脂組成物の製造方法に関する。また、前記樹脂組成物を用いた電子機器に関する。
ポリカーボネート(PC)樹脂は、エンジニアリングプラスチックとして透明性、耐熱性などに優れる。その優れた特性から、電気・電子・OA機器部品、機械部品、車輌用部品等の幅広い分野で使用されている。また、ポリカーボネート樹脂の衝撃強度と成形性を改善するために、ポリカーボネート樹脂にアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂を混合した樹脂組成物も幅広い分野で使用されている。
一般に、PC樹脂等の熱可塑性樹脂に充填剤を含有させると、その含有量に比例して熱伝導性や成形収縮率(寸法安定性)を向上させることができる。一方で、充填剤の含有量に比例して、衝撃強度は低下する傾向にある。そのため、充填剤の含有量を増やしつつも、衝撃強度を向上させることが求められている。
熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂と充填剤を含有する樹脂組成物の衝撃強度を改善するために、例えば、特許文献1には、耐衝撃性向上剤を含有させることが開示されている。
特許第4737236号公報
特許文献1の樹脂組成物は、耐衝撃性向上剤を含有することにより衝撃強度が改善されている。しかし、耐衝撃性向上剤は、ポリカーボネート樹脂やアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂と比べて線膨張係数が高い。そのため、耐衝撃性向上剤を含有することにより、樹脂組成物の成形収縮率が大きくなってしまうという課題があった。
ここで、充填剤の含有量を増やせば、成形収縮率は小さくなるが、衝撃強度を維持するためには、充填剤の含有量を増やすほどゴム成分(エラストマー)の含有量を増やす必要がある。すなわち、衝撃強度と成形収縮率はトレードオフの関係にあり、特許文献1の樹脂組成物では衝撃強度の向上と成形収縮率の低減を両立させることはできなかった。
そこで、本発明は、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂および充填剤を含有する樹脂組成物において、高い衝撃強度と低い成形収縮率を両立させることを目的とする。
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂と、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂と、エラストマーおよび軽質炭酸カルシウムを含有する樹脂組成物であって、前記エラストマーがアクリル系ブロック共重合体であり、前記軽質炭酸カルシウムのアスペクト比が以上20以下であり、前記ポリカーボネート樹脂と前記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂の含有量との和を100質量部とした時に、前記ポリカーボネート樹脂の含有量が86質量部以上96質量部以下であり、前記軽質炭酸カルシウムの含有量が68質量部以上93質量部以下であることを特徴とする。
本発明によれば、高い衝撃強度と低い成形収縮率を両立した、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂および充填剤を含有する樹脂組成物を提供することができる。
本発明の樹脂組成物の構造の一実施態様を示す断面模式図である。 本発明の樹脂組成物の構造の一実施態様を示す断面模式図である。 充填剤のアスペクト比を示す模式図である。 本発明の電子機器の一実施態様を示す概略図である。 実施例3の樹脂組成物の断面を透過型電子顕微鏡で観察した画像を示す図である。 比較例2の樹脂組成物の断面を透過型電子顕微鏡で観察した画像を示す図である。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂)と、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(以下、ABS樹脂)と、エラストマーおよび充填剤を含有する。ここで、樹脂組成物とは、樹脂組成物を金型等で成形した樹脂や、押し出し成形や射出成形等によって得られるシート状、平板状の樹脂といった、いわゆる樹脂成形物も含む。
<ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)>
本発明の樹脂組成物に含有されるPC樹脂の含有量は、PC樹脂の含有量とABS樹脂の含有量との和を100質量部とした時に、86質量部以上96質量部以下である。
PC樹脂は、以下の一般式(I)で表わされる基本構造の重合体である。式中、Xは、一般に炭化水素基であるが、所望の特性を得るためにヘテロ原子やヘテロ結合を有する基としても良い。
Figure 0007118638000001
PC樹脂は、様々な種類に分類されるが、本発明の樹脂組成物に含有されるPC樹脂の種類は特に限定されない。芳香族PC樹脂や脂肪族PC樹脂でも構わないし、構造中にシロキサン結合を有するシロキサン変性PC樹脂等でも構わない。ただし、耐熱性、機械的強度(衝撃強度)、導電性の観点においては、芳香族PC樹脂が好ましい。また、PC樹脂は1種類の樹脂でも良いし、2種類以上の樹脂を任意の比率で組み合わせても良い。
PC樹脂は、市販品およびこれらの混合物を用いることができる。商業的に入手可能なものとしては、例えば、三菱エンジニアリングプラスチックス社製のユーピロン(製品名)、出光興産社製のタフロン(製品名)などが挙げられる。
<ABS樹脂>
本発明の樹脂組成物に含有されるABS樹脂の含有量は、PC樹脂の含有量とABS樹脂の含有量との和を100質量部とした時に、4質量部以上14質量部以下である。
本発明の樹脂組成物は、成形した際に、PC樹脂とABS樹脂の含有割合が前記範囲を満たす時に、良好な衝撃強度を有する。ABS樹脂が14質量部を超えると、高い衝撃強度を有するPC樹脂の割合が少なくなり、衝撃強度が低くなる。一方、ABS樹脂が4質量部未満であると、ABS樹脂が充填剤充分に接触ないし近接することが困難となる。そのため、樹脂組成物にハンマー等により衝撃を与えた際に、樹脂と充填剤の界面に発生する応力を充分に緩和できず、樹脂成形品の衝撃強度が低くなる。なお、好ましい衝撃強度は10.0kJ/m以上である。
本発明の樹脂組成物中においてABS樹脂は、アクリル系ブロック共重合体とともに充填剤を被覆することが好ましい。樹脂成形物の衝撃強度をさらに、良好にできるためである。
ABS樹脂とは、一般にアクリロニトリルとスチレンとの共重合体であるアクリロニトリル・スチレン樹脂中にポリブタジエンを均一に分散させた、アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンの三成分を主体とした共重合体を主成分とするものをいう。
本発明の樹脂組成物に含有されるABS樹脂の種類は特に限定されない。また、ABS樹脂は1種類の樹脂でも良いし、2種類以上の樹脂を任意の比率で組み合わせても良い。これらの製造方法についても特に制限はなく、公知の懸濁重合法、乳化重合法、バルク重合法などで製造したものを用いることができる。
ABS樹脂は、市販品およびこれらの混合物を用いることもできる。商業的に入手可能なものとしては、例えば、旭化成社製スタイラック(製品名)、ダイセルポリマー社製ゼビアン(製品名)などが挙げられる。
またPC樹脂とABS樹脂との混合品であるポリマーアロイも使用することができる。商業的に入手可能なものとしては、例えば、帝人社製マルチロン(製品名)、ダイセルポリマー社製ノバロイ(製品名)などが挙げられる。
<エラストマー>
本発明の樹脂組成物に含有されるエラストマーは、アクリル系ブロック共重合体である。アクリル系ブロック共重合体とは、メタクリル酸およびこれらの誘導体を含有する単量体成分を重合して得られる重合体ブロックを1種類以上有する共重合体を主成分とするものをいう。アクリル系ブロック共重合体は、PC樹脂やABS樹脂といった熱可塑性樹脂との相溶性に優れる。そのため、本発明の樹脂組成物中において、加熱により軟化して流動性を示し、冷却後は、ゴム状の弾性体としての役割を担う。また、本発明の樹脂組成物において、アクリル系ブロック共重合体は、主にABS樹脂および充填剤に近接して分散する。そのため、本発明の樹脂組成物中において、充填剤とPC樹脂およびABS樹脂との界面で発生する応力を緩和し、ボイドの発生を抑制する役割を担う。
本発明の樹脂組成物に含有されるアクリル系ブロック共重合体の種類は特に限定されない。使用可能なアクリルブロック共重合体としては、例えば、アクリル酸エステル由来の構成単位を含む重合体ブロックと、メタクリル酸エステル由来の構成単位を含む重合体ブロックから構成されるものが挙げられる。
アクリル酸エステル由来の構成単位を含む重合体ブロックにおける、アクリル酸エステル由来の構成単位としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチルが挙げられる。また、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ジメチルアミノエチルなどが挙げられる。これらはモノマーから誘導される構成単位であり、これらのうちの1種または2種以上が用いられる。
メタクリル酸エステル由来の構成単位を含む重合体ブロックにおける、メタクリル酸エステル由来の構成単位としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸へキシルが挙げられる。また、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2-エチルへキシルなどが挙げられる。これらはモノマーから誘導される構成単位であり、これらのうち1種または2種以上が用いられる。
また、アクリル系ブロック共重合体の分子鎖の状態は、特に限定されることなく、例えば、線状、分岐状、放射状等のいずれでも構わない。
アクリル系ブロック共重合体は市販品およびこれらの混合物を用いることもできる。商業的に入手可能なものとしては、例えば、クラレ社製クラリティ(商品名)等が挙げられる。
なお、本発明の樹脂組成物に含有されるアクリル系ブロック共重合体の含有量は、樹脂組成物の衝撃強度及び成形収縮率を損なわない範囲であれば特に限定されない。ただし、衝撃強度および成形収縮率をより良好にするという観点においては、PC樹脂とABS樹脂の含有量との和を100質量部とした時に、2質量部以上30質量部以下であることが好ましい。2質量部未満であると、衝撃強度が十分な値にならないおそれがある。一方、30質量部を超えると成形収縮率が大きくなるおそれがある。
なお、樹脂組成物中におけるアクリル系ブロック共重合体の分散状態は、例えば、高分解能フーリエ変換赤外分光法(nano-IR)等で評価することができる。
<充填剤>
本発明の樹脂組成物に含まれる充填剤の含有量は、PC樹脂とABS樹脂の含有量の和を100質量部とした時に、20質量部以上100質量部以下であることが好ましい。樹脂組成物の衝撃強度と成形収縮率を両立させるためである。より好ましくは72質量部以上93質量部以下である。充填剤の含有量が72質量部未満であると、成形収縮率が大きくなるおそれがある。一方、充填剤の含有量が93質量部を超える場合、衝撃強度が低くなるおそれがある。ここで成形収縮率とは、樹脂組成物の成形直後の長さと、一定期間経過後の差分を、成形直後の長さで除して百分率表記したものであり、樹脂組成物の体積変化の程度を示すパラメータである。ここで、樹脂組成物は体積変化が少ないことが好ましい。本明細書においては、前記一定期間を成形後1週間としており、成形収縮率は0.60%以下が好ましい。また、より好ましくは0.50%以下であり、さらに好ましくは0.35%以下である。
本発明の樹脂組成物に含有される充填剤はアスペクト比が3以上20以下である。アスペクト比が3以上の充填剤を含有することにより、本発明の樹脂組成物は、ハンマー等により衝撃を与えて衝撃破壊が進行する際のクラックの成長を抑制することができる。これは、樹脂に発生するクラックの拡がる方向に対し、充填剤が樹脂と樹脂との間に橋をかけるように位置するためである。このような構造は、橋かけ構造と呼ばれる。
一方、充填材のアスペクト比が3未満であると、充填剤の形状が球状に近くなることから、衝撃破壊が進行する際に橋かけ構造を形成しにくくなり、十分な衝撃強度が得ることが難しくなる。充填剤の好ましいアスペクト比は4~5である。また、アスペクト比が20を超えると、充填剤が折れやすくなるおそれがある。ここで、本明細書におけるアスペクト比とは、充填剤の平均長径/平均短径で定義した平均アスペクト比である。
充填剤の平均長径、平均短径および平均アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)写真を画像処理する方法等で得ることができる。ここで、平均長径および平均短径の「平均」とは、信頼性のある個数(N数)の充填剤を測定して得られた平均値を意味する。その個数(N数)は、少なくとも10個以上、好ましくは100個以上である。なお、充填剤の平均長径とは、充填剤を長方体とみなしたときの長手方向の長さ(長辺の長さ)の平均値である。また、充填剤の平均短径とは、充填剤を長方体と見立てたときの短手方向の長さ(短辺の長さ)の平均値である。図3は充填剤を模した図であり、長径Xと短径Yをそれぞれ示している。図3(a)は紡錘状形状、(b)は円柱形状、(c)は板状形状の充填剤をそれぞれ表わしている。
本発明の樹脂組成物に含有される充填剤の種類は、アスペクト比が3以上20以下であれば、特に限定されず、板状、繊維状、粒状等形状に関係なく公知の無機充填剤を用いることができる。
本発明の樹脂組成物に用いることが可能な充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、アルミナ繊維、金属繊維等、針状物でチタン酸カリウム、PMF(スラグ繊維)、ウォラストナイト、ゾノトライト等が挙げられる。また、ホスフェートファイバー、石膏繊維、MOS、ドーソナイト、針状MgO、アルミニウムボレート、アスベスト、針状水酸化マグネシウム、各種ウィスカー、軽質炭酸カルシウム、タルク、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、各種金属箔等が挙げられる。また、黒鉛、BN(六方晶)、MIO(板状酸化鉄)、板状炭酸カルシウム、板状水酸化アルミニウム、クレー、各種鉱石粉砕品等が挙げられる。
中でも高い衝撃強度を得るという観点においては、ウォラストナイトと軽質炭酸カルシウムが好ましい。より好ましくは軽質炭酸カルシウムである。軽質炭酸カルシウムは、化学的に反応させて製造する紡錘状の炭酸カルシウムであり、その製造法や構造、不純物として含まれる成分等、特に限定されるものではない。
軽質炭酸カルシウムは、例えば水酸化カルシウムを炭酸ガスと反応させることによって製造することができる。水酸化カルシウムは、例えば酸化カルシウムを水と反応させることによって製造することができる。酸化カルシウムは、例えば石灰石原石をコークスなどで混焼することによって製造することができる。この場合、焼成時に炭酸ガスが発生するので、この炭酸ガスを水酸化カルシウムと反応させることによって炭酸カルシウムを製造することができる。商業的に入手可能なものとしては、例えば、ニューライム社製軽質炭酸カルシウム普通品(製品名)や、白石工業社製BrightシリーズPC(製品名)、神島化学工業社製軽質炭酸カルシウム(製品名)などが挙げられる。
なお、樹脂組成物に含有される充填剤は、1種類であってもよいし2種類以上であってもよい。また充填剤の表面は、予め、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、有機脂肪酸、アルコール、アミン等の各種表面処理剤、ワックスやシリコーン樹脂等で処理されていてもよい。
本発明の樹脂組成物において、充填剤表面にはABS樹脂とアクリル系ブロック共重合体が被覆されていることが好ましい。充填剤とアクリル系ブロック共重合体が近接し、樹脂と充填剤との界面で発生する応力を効果的に緩和することができるためである。
(樹脂組成物の構成比率の測定方法)
本発明の樹脂組成物の構成比率は、公知の分離技術および分析技術を組み合わせて測定することができる。その方法や手順は特に制限されないが、例えば、樹脂組成物から有機成分を抽出した溶液を各種クロマトグラフ法等で成分を分離したのちに、成分分析を進めることができる。
樹脂組成物から有機成分を抽出するには、有機成分を溶解可能な溶媒に樹脂組成物を浸して溶解させればよい。予め樹脂組成物を細かく破砕したり溶媒を加熱撹拌したりすることで、抽出に必要とする時間を短縮することができる。
使用する溶媒は樹脂組成物を構成する有機成分の極性に応じて任意に選択できるが、トルエンやキシレン等の芳香族溶媒、テトラヒドロフランやジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、N-メチルピロリドン等の溶媒が好適に用いられる。また、これらの溶媒を任意の比率で混合して用いてもよい。
ここで有機成分を分離した後に残る残渣を乾燥して秤量することで、樹脂組成物中に含まれる無機成分の含有量を知ることができる。樹脂組成物の無機成分の含有量を知る方法としては、他には、熱質量分析(TGA)等で樹脂の分解温度以上まで温度を上げて灰分を定量する方法もある。
また、有機成分を抽出した後に残る残渣を乾燥したサンプル(例えば、直径6mm以上の大きさの円盤形状)に対し、蛍光X線分析(XRF)を行うことで、無機成分に含まれる元素やその構成比率を知ることができる。
樹脂組成物から有機成分を抽出した溶液は、各種クロマトグラフ等の方法により成分を分離できる。低分子量の添加物の類はガスクロマトグラフ(GC)や高速液相カラムクロマトグラフ(HPLC)法、高分子量の重合体はゲル浸透クロマトグラフ法(GPC)等で分離できる。特に分子量の大きな架橋重合物やゲルが含まれる場合、液中にミセルが形成されている場合は、遠心分離や半透膜による分離を選択することもできる。
分離された有機成分は、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定や赤外吸収(IR)スペクトル測定、ラマンスペクトル測定、マススペクトル測定、元素分析などの公知の分析手法により分析できる。
(樹脂組成物の構造)
図1および図2は、本発明の樹脂組成物の構造の一実施態様の概略を示す断面模式図である。
図1においては、樹脂相01はPC樹脂よりなり、主に連続相を形成している。また、樹脂相02はABS樹脂よりなり、連続相より小さい面積(領域)である分散相を主に形成している。このような連続相と分散相の関係は、海島構造と呼ばれ、PC樹脂が海を、ABS樹脂が島を形成しているともいえる。
図2においても、樹脂相02はABS樹脂からなり、連続相と分散相のどちらも形成し、PC樹脂よりなる樹脂相01と共連続構造を形成している。
図1、図2ともに、樹脂相03はアクリル系ブロック共重合体よりなり、主にABS樹脂からなる樹脂相02に分散している。また、充填剤04の一部または全部がABS樹脂よりなる樹脂相02ないしはアクリル系ブロック共重合体よりなる樹脂相03に分散している。
本発明の樹脂組成物の衝撃強度を高めるためには、充填剤04とABS樹脂よりなる樹脂相02ないしはアクリル系ブロック共重合体よりなる樹脂相03を、より多く接触ないしは近接する構造をとることが好ましい。樹脂成分と充填剤との界面で発生する応力を緩和するためである。
本発明の樹脂組成物の成形品に衝撃を加えた際に発生するクラックの成長を抑制するには、充填剤04を含むABS樹脂よりなる樹脂相02ないしはアクリル系ブロック共重合体よりなる樹脂相03が分散相を形成することが好ましい。充填剤04が樹脂相01、02および03と近接し、クラックが発生した際に、樹脂との間に橋かけ構造を形成しやすくなるためである。
また、前記分散相を形成することで、充填剤04をアクリル系ブロック共重合体よりなる樹脂03で被覆しやすくなり、充填剤04と樹脂相01、02との界面で発生する応力を効果的に緩和することができる。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の樹脂組成物の製造方法は特定の方法に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に採用されている混合方法を用いることができる。例えば、タンブラー、V型ブレンダー、バンバリーミキサー、混練ロール、ニーダー、単軸押出機、二軸以上の多軸押出機等の混合機により混合、混練して製造することができる。特に二軸押出機による溶融混錬が生産性に優れている。
樹脂組成物の製造においては、PC樹脂、ABS樹脂、アクリル系ブロック共重合体、充填剤、および必要に応じて用いられるその他の添加剤のうち複数の成分を予め混合または混練(予備混合または予備混練)してもよいし、同時に混合または混錬してもよい。特に押出機による製造においては、成分ごとに個別のフィーダーを設け押出過程において逐次添加を行った混練を行うこともできる。本発明の樹脂組成物は、充填剤の周囲をABS樹脂が接触する構造が誘起される構成となっているため、同時に混錬した場合にも高い衝撃強度(衝撃値)を発現することができる。
その他の添加剤としては、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸の金属塩等の滑剤・離型剤、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物、サリチル酸フェニル化合物等の紫外線吸収剤やヒンダートアミン系安定剤等が挙げられる。また、その他の添加剤としては、フェノール系やリン系の酸化防止剤、スズ系の熱安定剤、各種帯電防止剤、ポリシロキサン等の摺動性向上剤、酸化チタンやカーボンブラック等に代表される各種顔料や染料の着色剤等が挙げられる。また、その他の添加剤としては、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、有機脂肪酸、アルコール、アミン等の各種表面処理剤、ワックスやシリコーン樹脂等が挙げられる。
このうち、脂肪酸アミドや脂肪酸エステル、脂肪酸の金属塩等の滑剤・離型剤、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、有機脂肪酸、アルコール、アミン等の各種表面処理剤、ワックス、シリコーン樹脂は、加工助剤として有効に用いることができる。これらの加工助剤を添加した場合、溶融混錬時の温度を低下させて熱可塑性樹脂組成物の熱分解を抑止することができるだけでなく、充填剤の分散を促進することができる。このうちポリグリセリン脂肪酸エステルは加工助剤として特に好適に用いることができる。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、水酸基が充填剤と相互作用し、充填剤の表面を効果的に被覆することができるためである。また、同時に脂肪酸構造がABS樹脂とも親和性を示すため、充填剤とABS樹脂の接触を促進することができるためである。
以上の添加剤をPC樹脂、ABS樹脂、アクリル系ブロック共重合体のうちのいずれか1つまたは複数と予備混合する場合、乾式法又は湿式法で処理すればよい。乾式法では、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の攪拌機を用いて攪拌する。湿式法では、溶剤に熱可塑性樹脂を加えて攪拌し、混合後に溶剤を除去する。
溶融混練による製造において、混練温度、混練時間及び送出速度は、混練装置の種類や性能、PC樹脂、ABS樹脂、アクリル系ブロック共重合体、充填剤、および必要に応じて用いられるその他の添加剤の成分の特性に応じて任意に設定できる。混練温度については通常160~300℃である。この温度が低すぎると充填剤の分散が阻害され、温度が高すぎるとPC樹脂、ABS樹脂、アクリル系ブロック共重合体の熱分解が問題となり、諸物性の低下や成形品の外観不良が発生するおそれがある。
以上の製造過程で得られた熱可塑性樹脂組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形等の一般に用いられている成形方法で容易に成形が可能であり、ブロー成形、真空成形、二色成形等にも適用可能である。
(樹脂組成物)
本発明の電子機器は、樹脂組成物からなる外装部品を有する電子機器であって、前記樹脂組成物が本発明の樹脂組成物であることを特徴とする。図4は本発明の電子機器(画像形成装置)の一実施態様を示した概略図である。
画像形成装置AはカートリッジBを着脱可能な装置であり、外装部品として筐体11および開閉扉13を有する。ここで、図4は開閉扉13が開放された状態を示している。カートリッジBは、ガイドレール12に沿って画像形成装置Aに装着される。本発明の樹脂組成物は低い成形収縮率であるため、筐体11や開閉扉13のような様々な形状を精度良く製作することができる。また、本発明の樹脂組成物は高い衝撃強度を有するため、外部からの衝撃により変形を生じにくい画像形成装置を提供することができる。
上記においては、電子機器として画像形成装置について説明したが、カメラのボディ部分、スマートフォン等、高い衝撃強度と低い成形収縮率が必要とされる多様な電子機器に適用することができる。
以下、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。本実施例に共通で用いた原材料は以下のとおりである。
<樹脂>
(A)PC樹脂:出光興産社製 タフロンA1900
(B)PC/ABS樹脂:帝人社製 マルチロンTN-7500MC(配合比:PC樹脂80質量部、ABS樹脂20質量部)
<エラストマー>
(C―1)アクリル系ブロック共重合体:クラレ社製 クラリティLA2250
(C―2)ブタジエン系コア-シェル弾性重合体:三菱レイヨン社製 メタブレンE860A
<充填剤>
(D―1)ニューライム社製 軽質炭酸カルシウム普通品(アスペクト比:4)
(D―2)啓和炉材社製 ウォラストナイトK-330(アスペクト比:5)
(D―3)日東粉化工業製 NS#100(アスペクト比:1)
<添加剤>
(E)太陽化学社製 チラバゾールH-818(主成分:ポリグリセリン縮合脂肪酸エステル)の50質量%エタノール希釈品
(樹脂組成物の作製)
表1に示す配合比で樹脂(A)、樹脂(B)、エラストマー(C)及び添加剤(E)の混合を行い、更に充填剤(D)を加え、均一な原材料の混合物を作製した。前記原材料の混合物を2軸混練押出し機(池貝社製 PCM30)にてシリンダ温度230℃で溶融混練して、硬化した後にストランドカッターを用いてペレット形状の樹脂組成物を得た。
なお、表1の(A)質量部および(B)質量部は、樹脂(A)および(B)の混合物の和を100質量部としたときの、それぞれの質量部を示したものである。同様に、PC樹脂質量部およびABS樹脂質量部は、PC樹脂およびABS樹脂の含有量の和を100質量部としたときの、それぞれの質量部を示したものである。また、(C)質量部、(D)質量部および(E)質量部は、PC樹脂およびABS樹脂の含有量の和を100質量部としたときの、それぞれの質量部を示したものである。
Figure 0007118638000002
(樹脂成形物の作製)
得られたペレット形状の樹脂組成物を、射出成形機(住友重機械工業社製 SE-180D)を用いて射出成形した。このとき、シリンダ温度230℃、金型温度80℃とし、JIS K7152-1で規定される短冊形試験片 タイプB1(長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)を作製した。この試験片を用いて、下記の測定方法によって衝撃強度試験と成形収縮率評価を行った。
<衝撃強度試験>
成形した短冊型試験片を、JIS K7111に準拠してNo.189-PN ノッチ加工機(安田精機社製)を用いノッチ(形状A)加工を施し、エッジワイズ試験片を作成した。その試験片に対し、JIS K7111-1に準拠してNo.258-D デジタル衝撃試験機(安田精機社製)を用いて、シャルピー衝撃試験を行った。用いたハンマーの質量は0.5Jで、5回の試験の平均値をシャルピー衝撃値(衝撃強度)とした。なお、測定環境は23℃±3℃、相対湿度55±5%とした。
<成形収縮率評価>
成形直後の長さmと1週間後の長さnとの差を、成形直後の長さmで除して百分率表記したものを成形収縮率とした。
ここで、成形直後の長さmは、射出成形機金型の樹脂流動方向長さに相当する部位の内寸とした。また、成形から1週間後の試験片の長さnは、成形から1週間後にノギスで測定した。なお、測定環境は23℃±3℃、相対湿度55±5%とした。
実施例1~8および比較例1~10のシャルピー衝撃値及び成形収縮率の結果を表2に示す。
Figure 0007118638000003
表2より、PC樹脂とABS樹脂の和を100質量部とした時にPC樹脂の含有量が86質量部以上96質量部以下である実施例1~8は衝撃強度が10.0kJ/m以上であり、比較例1~6に比べて高い衝撃強度が得られたことが確認できる。また、実施例1~8は成形収縮率が0.60%以下と良好な値であり、実施例1~7は0.48%以下と特に良好な値であった。
一方、PC樹脂とABS樹脂の和を100質量部とした時にPC樹脂の含有量が86質量部以上96質量部以下であるが、充填剤を含有しなかった比較例7は成形収縮率が0.84%と実施例に比べて高い値であった。
また、充填剤のアスペクト比が1である比較例8は、充填剤の材料が異なる(アスペクト比が異なる)点以外は同様である実施例3および実施例7と比較して、衝撃強度が低かった。また、成形収縮率も高い値であった。
また、エラストマーを含有しなかった比較例9は、エラストマーを含有しなかった点以外は同様である実施例3と比較して、衝撃強度が低かった。
また、アクリル系ブロック共重合体以外のエラストマーを含有した比較例10は、同量のアクリル系ブロック共重合体を加えた実施例3と比較して、衝撃強度が低かった。
以上より、実施例1~8は、衝撃強度と成形収縮率の物性バランスが優れた樹脂組成物であることが分かった。
<構造評価>
樹脂組成物の構造の評価は以下の方法で行った。
まず、成形した短冊試験片のTD(Transverse Direction)面、中央部を切り出し、厚さ100nmの構造評価用試験片を作成し、四酸化ルテニウムを用いて染色した。染色は脂肪族系C-H構造を有する部分に対して行い、続いて、ABS樹脂とアクリル系ブロック共重合体に対して行った。
そして、染色された切片にカーボンを蒸着し、透過型電子顕微鏡により測定した。
なお、切り出す工程と2回の染色の工程は、樹脂の脆性や染色剤の浸透速度に応じて入れ変えても構わない。
図5は実施例3、図6は比較例2の樹脂組成物の画像である。具体的には、成形した短冊形試験片のTD(Transverse Direction)面、中央部を切り出し、構造評価用試験片を作成し、透過型電子顕微鏡(日立ハイテク社製 H-8100)で観察した画像である。ここで観察条件は、倍率を10000倍、加速電圧を100kVとした。
図5の実施例3では、PC樹脂が連続相、ABS樹脂およびアクリル系ブロック共重合体が分散相を形成し、充填剤の多くがABS樹脂およびアクリル系ブロック共重合体で構成される樹脂相に分散していることが確認できる。このような構造を持つことで、アクリル系ブロック共重合体と充填剤が近接し、樹脂と充填剤の界面で発生する応力を効果的に緩和でき、且つ充填剤が近接しやすくなり、クラックが発生した際に橋かけ構造を形成しやすくなる。ゆえに優れた衝撃強度を有する樹脂組成物であることが分かった。
一方、図6の比較例2では、ABS樹脂およびアクリル系ブロック共重合体が連続相、PC樹脂が分散相を形成し、充填剤の多くがABS樹脂およびアクリル系ブロック共重合体で構成される樹脂相に分散していることが確認できる。実施例3と比較してアクリル系ブロック共重合体と充填剤および複数の充填剤が近接しにくくなり、十分な衝撃強度を得にくい構造であることが分かった。
本発明の樹脂組成物は、OA機器等のその他の電気電子機器の部品、又は電気電子機器の付属品の部品として適用することができる。また、自動車や航空機等の構造部材、建築部材、食品容器等にも適用可能である。
01 樹脂相(PC樹脂)
02 樹脂相(ABS樹脂)
03 樹脂相(アクリル系ブロック共重合体)
04 充填剤
11 筐体
12 ガイドレール
13 開閉扉
A 画像形成装置
B カートリッジ

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂と、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂と、エラストマーおよび軽質炭酸カルシウムを含有する樹脂組成物であって、
    前記エラストマーがアクリル系ブロック共重合体であり、
    前記軽質炭酸カルシウムのアスペクト比が以上20以下であり、
    前記ポリカーボネート樹脂と前記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂の含有量との和を100質量部とした時に、
    前記ポリカーボネート樹脂の含有量が86質量部以上96質量部以下であり、
    前記軽質炭酸カルシウムの含有量が68質量部以上93質量部以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物が連続相と分散相を有し、
    前記分散相には、前記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂と前記アクリル系ブロック共重合体および前記軽質炭酸カルシウムからなる分散相が含まれる請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記軽質炭酸カルシウムの含有量が、前記ポリカーボネート樹脂と前記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂の含有量との和を100質量部とした時に、72質量部以上93質量部以下である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記アクリル系ブロック共重合体の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂と前記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂の含有量との和を100質量部とした時に、2質量部以上30質量部以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. ポリカーボネート樹脂と、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂と、エラストマーおよびアスペクト比が以上20以下の軽質炭酸カルシウムを混合し、前記ポリカーボネート樹脂と前記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂の含有量との和を100質量部とした時に、前記ポリカーボネート樹脂の含有量が86質量部以上96質量部以下であり、前記軽質炭酸カルシウムの含有量が68質量部以上93質量部以下である混合物を得る工程と、
    前記混合物を溶融し、硬化させ、ペレット形状の樹脂組成物を得る工程と
    型を用いて、前記ペレット形状の樹脂組成物を成形する工程と、
    を含む樹脂組成物の製造方法。
  6. 樹脂組成物からなる外装部品を有する機器であって、前記樹脂組成物が請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂組成物であることを特徴とする機器。
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