JP6672216B2 - 熱可塑性樹脂組成物、成形品、成形品の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、成形品、成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物、成形品および成形品の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂として用いられる耐衝撃性スチレン系樹脂は、安価で流動性、機械物性に優れており、更に低吸湿であることから、OA機器などの電子機器の多くの部品に用いられている。この耐衝撃性スチレン系樹脂に、熱伝導性、難燃性、耐衝撃性等の機能を付与するため、無機の充填剤を添加剤として配合することが広く行われている。一般に、熱可塑性樹脂に配合する充填剤の量を増加すればするほど熱伝導性を向上させることができる。
一方、充填剤の添加が少量であれば耐衝撃性は改善されることが知られているが、所定の量を超えると逆に低下する傾向がみられ、特に非繊維状の充填剤で顕著な傾向がみられる。充填剤の添加量を上げつつも、耐衝撃性等の諸物性を総合的に向上することが求められている。
耐衝撃性スチレン系樹脂に高濃度の充填剤を充填した場合の耐衝撃性を強化したものとして、特許文献1に、同樹脂中のゴム成分の体積分率等を規定した組成物が提案されている。また、特許文献2には、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる共重合体の変性エラストマーを無機充填剤と予め溶融混練しておき、続いてオレフィン系樹脂と混練することで得られる耐衝撃性の高い組成物が提案されている。
特許第3373310号公報 特許第4748965号公報
しかしながら、特許文献1では、耐衝撃性スチレン系樹脂のゴム成分の量をある値以上に保てば耐衝撃性は満たされるものの、ゴム成分はポリスチレンと比べて線膨張係数が高いことから、ゴム成分の量が多いと成形収縮率が大きくなる問題があった。耐衝撃性の観点から、充填剤の量を増加させるほどゴム成分の量を多くする必要があり、耐衝撃性の向上と成形収縮率の増加はトレードオフの関係になり、耐衝撃性の向上と成形収縮率の低減の両方を満たすことはできなかった。
一方、特許文献2では、充填剤を変性エラストマーで包接して耐衝撃性を向上させるものであるが、オレフィン系樹脂についてなされたものであって、耐衝撃性スチレン系樹脂についてなされたものではない。したがって、特許文献2に記載の構成では、耐衝撃性スチレン系樹脂を用いた場合に、耐衝撃性の向上と成形収縮率の低減の両方を満たすことはできなかった。
そこで、本発明は、耐衝撃性を向上させ、成形収縮率を低減させることを目的とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、主成分であるポリスチレンと、分散ゴム相とを含み、前記分散ゴム相の体積分率が30%未満である耐衝撃性スチレン系樹脂と、エラストマーと、充填剤と、を含有し、前記エラストマーは、ブタジエンブロックと、前記ブタジエンブロックの両端に連結されたスチレンブロックとのトリブロックで構成された直鎖状の共重合物であるスチレン−ブタジエン共重合物を主成分とし、前記スチレン−ブタジエン共重合物の水添率が5%未満であることを特徴とする。
また、本発明の成形品は、主成分であるポリスチレンと、分散ゴム相とを含み、前記分散ゴム相の体積分率が30%未満である耐衝撃性スチレン系樹脂と、エラストマーと、充填剤と、を含有、前記エラストマーは、ブタジエンブロックと、前記ブタジエンブロックの両端に連結されたスチレンブロックとのトリブロックで構成された直鎖状の共重合物であるスチレン−ブタジエン共重合物を主成分とした成形品であって、前記成形品は、シャルピー衝撃値が5.0kJ/m 以上であり、成形収縮率が0.45%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、耐衝撃性を向上させ、成形収縮率を低減させることができる。
実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物の概略構成を示す断面模式図である。 実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物の断面を電子顕微鏡で観察した画像を示す図である。 図2の画像を画像処理した図である。 実施形態に係る成形品を製造する射出成形機及び金型の模式図である。 比較例の熱可塑性樹脂組成物の断面を電子顕微鏡で観察した画像を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
<熱可塑性樹脂組成物の構造>
熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)と、エラストマー(B)と、充填剤としての無機充填剤(C)と、を含有してなる。
図1は、実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物の概略構成を示す断面模式図である。耐衝撃性スチレン系樹脂(A)は、主成分として樹脂相を形成するポリスチレン11と、分散ゴム相(粒子)12とを含み、分散ゴム相12の体積分率が30%未満である耐衝撃性スチレン系樹脂である。エラストマー(B)は、ブタジエンブロックと、ブタジエンブロックの両端に連結されたスチレンブロックとからなるトリブロックで構成された、直鎖状の共重合物であるスチレン−ブタジエン共重合物を主成分とする。エラストマー(B)は、分散相21,22で形成されている。無機充填剤(C)は、複数の粒子31からなる。エラストマー(B)の分散相21のうち一部又は全部が、無機充填剤(C)の粒子31に接触している。図1の例では、エラストマー(B)の分散相21が無機充填剤(C)の粒子31に接触している。エラストマー(B)の分散相22は、無機充填剤(C)の粒子31に接触していない。
熱可塑性樹脂組成物において、エラストマー(B)の分散相が無機充填剤(C)に接触しているか否かは、熱可塑性樹脂組成物の成形品の断面を透過型電子顕微鏡で観察することで判定できる。
図2は、実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物の断面を電子顕微鏡で観察した画像を示す図である。図3は、図2の画像を画像処理した図である。
観察法の例を以下に示す。熱可塑性樹脂組成物の成形体から100nm程度の超薄切片を作成し、四酸化ルテニウムで脂肪族系C−H構造を含有する部分を化学染色する。続いて四酸化オスミウムにより、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)に含まれる分散ゴム相12とエラストマー(B)の分散相21,22を二次染色する。続いてその切片をカーボン等で蒸着を施した上で透過型電子顕微鏡により測定することで、樹脂相を含む熱可塑性樹脂組成物の構造を観察することができる。また、超薄切片化の工程と化学染色の二回の工程の順番は、樹脂の脆性や染色剤の浸透速度に応じて入れ変えてもよい。
熱可塑性樹脂組成物で形成された成形品に衝撃を付与した際に、有機成分と無機充填剤(C)との界面で発生する応力を緩和するためには、エラストマー(B)の分散相21と無機充填剤(C)の粒子31との接触面積を広くする必要がある。したがって、エラストマー(B)の分散相21が無機充填剤(C)の粒子31と偶発的に接触するのではなく、エラストマー(B)の分散相21が無機充填剤(C)の粒子31とより多くの接触点又は接触面を有する構造を誘起させることが重要である。
この接触面積の広さを評価するためには、以下の手法が用いることができる。まず、熱可塑性樹脂組成物の構造を、上記の方法により透過型電子顕微鏡で観察(撮像)する(図2参照)。続いて画像処理により化学染色されていない無機充填剤(C)の部分、二次染色された分散ゴム相12の部分とスチレン−ブタジエン共重合物の分散相21,22とを抽出し(図3参照)、その面積を算出する。画像処理による面積の算出には、市販の画像解析・画像計測・画像処理ソフトを用いることができる。
なお、一般に無機充填剤は硬度が高いため、観察対象となる超薄切片の断面作成時に無機充填剤が脱落し蒸着したカーボン等の破片ノイズが形成されることがある。その脱落痕には未染色の輪郭が観察されることから、この輪郭線の範囲内も無機充填剤の面積に含めてよい。この無機充填剤の脱落現象は、液体窒素等の凍結条件下で超薄切片薄に加工することにより低減できる。
また、エラストマー(B)の分散相に耐衝撃性スチレン系樹脂(A)中に含まれる分散ゴム相が包接され、両相の面積の切り分けが困難な場合もある。その場合、衝撃付与時にエラストマー(B)の分散相にかかる応力は分散ゴム相まで伝播して緩和されるものと考え、包接された分散ゴム相の面積をスチレン−ブタジエン共重合物の分散相の面積に含めてよい。
上記の手法により熱可塑性樹脂組成物の相構造を観察して無機充填剤(C)の粒子31の総面積を1としたとき、無機充填剤(C)の粒子31に接触したエラストマー(B)の分散相21の相対的な総面積の値を算出する。この熱可塑性樹脂組成物の断面を見たときの無機充填剤(C)の総面積に対する無機充填剤(C)に接触したエラストマー(B)の相対的な総面積の算出値が0.2以上0.4以下であるのが好ましい。
この算出値が0.2よりも小さいと、エラストマー(B)と無機充填剤(C)との総接触面積が小さいため、樹脂相11と無機充填剤(C)の粒子31との界面で発生する応力を十分に緩和できず、熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の衝撃値が低い。また、この算出値が0.4を超過すると、無機充填剤(C)の粒子31の周囲をエラストマー(B)の分散相21が厚く覆う状態となる。この場合、無機充填剤(C)の線膨張係数が低くても、熱可塑性樹脂組成物に対する影響が低く、熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率が増加するおそれがある。
耐衝撃性の観点から、特に無機充填剤(C)が炭酸カルシウムである場合は算出値が0.27以上0.37以下であることがより好ましい。この条件において、衝撃付与時に樹脂と無機充填剤との界面で発生する応力を効果的に緩和できるため、耐衝撃性の向上した(衝撃値の高い)熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
また、上記の手法により熱可塑性樹脂組成物の相構造を観察し、エラストマー(B)の分散相全体の総面積を1としたとき、無機充填剤(C)に接触したエラストマー(B)の分散相21の総面積の値を算出する。この熱可塑性樹脂組成物の断面を見たときのエラストマー(B)全体の面積に対する無機充填剤(C)に接触したエラストマー(B)の相対的な総面積の算出値が、0.18以上1以下であることが好ましい。
この算出値が0.18に満たない場合、無機充填剤(C)に接していないエラストマー(B)の分散相22の存在比率が多く、耐衝撃性の向上について効率的な配置を形成していないことを意味する。この場合、高い耐衝撃性を得るためには、エラストマー(B)の割合を増やすか、無機充填剤(C)の割合を減らす必要があり、熱可塑性樹脂組成物の成型品の加重たわみ温度低下や成形収縮率の増加などを引き起こすおそれがある。特に、耐衝撃性の観点から、エラストマー(B)の分散相中、無機充填剤(C)の粒子に接触している割合が大きいほどよい。したがって、この算出値が0.20以上1以下であることがより好ましい。
特に注目すべきは、エラストマー(B)が、ブタジエンブロックと、ブタジエンブロックの両端に連結されたスチレンブロックとのトリブロックで構成された直鎖状の共重合物であるスチレン−ブタジエン共重合物を主成分とする点にある。このスチレン−ブタジエン共重合物を主成分とすることで、エラストマー(B)と無機充填剤(C)とが接触した構造が誘起され、耐衝撃性と成形収縮率の物性バランスを達成することができる。
以下、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)、エラストマー(B)及び無機充填剤(C)の各構成成分について詳細に説明する。
<耐衝撃性スチレン系樹脂(A)>
耐衝撃性スチレン系樹脂(A)は、ポリスチレンを主成分とし、樹脂中にゴム状弾性体を重合または分散させることにより形成される分散ゴム相を含み、かつその体積分率が30%未満である。
ここで、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)中には、ポリスチレンとゴム状弾性体以外の高分子重合体成分が含まれても構わないが、高分子重合体の量は耐衝撃性スチレン系樹脂(A)全体に対して30重量%未満であることが好ましい。ポリスチレンおよびゴム状弾性体以外の高分子重合体の成分としては、代表的にはアクリロニトリル等とのスチレン共重合体や、ポリフェニレンエーテル(PPE)が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物の成形品の荷重たわみ温度の制御のため、これらの化合物は樹脂全体に対して0重量%以上30重量%未満の濃度の範囲で含まれているのが好ましく、20重量%以下の濃度であることがより好ましい。この濃度が30重量%以上になると、ポリスチレンが本来有する成形流動性が損なわれるおそれがある。
ゴム状弾性体は特に限定されないが、例えばブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、天然ゴム等が挙げられる。スチレン樹脂との親和性から、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムが特に好適に用いられる。
耐衝撃性スチレン系樹脂(A)中の分散ゴム相は、ゴム状弾性体の中に未反応のポリスチレン又はゴム状弾性体と反応したポリスチレンが微分散するサラミ状構造をとることがあり、サラミ状構造の体積には微分散されたポリスチレンも含まれる。そのため、樹脂中の分散ゴム相の分率は樹脂中のゴム状弾性体の重量濃度とは必ずしも一致しない。
この分散ゴム相の体積分率は、耐衝撃性スチレン系樹脂を透過型電子顕微鏡で観察したとき、相構造の面積比により求めることができる。一例としては、耐衝撃性スチレン系樹脂の成形体から50〜100nm程度の超薄切片を作成し、四酸化オスミウム等によりゴム状弾性体成分を化学染色する。続いてその切片を透過型電子顕微鏡で観察して相構造を撮像し、画像処理により分散ゴム相の部分を切り出し、その面積を算出する。画像の全面積に対する分散ゴム相の面積の割合を百分率として求めることで、分散ゴム相の体積分率とすることができる。
分散ゴム相の体積分率は、0%を超え30%未満である。分散ゴム相の分率が30%以上である場合、熱可塑性樹脂組成物を成形したときの成形収縮率が大きくなり、所望の成形精度が得られない。より好適には、分散ゴム相の体積分率が25%以下であることが望ましい。
耐衝撃性スチレン系樹脂は市販品およびそれらの混合物を用いることもできる。例えば、PSジャパン社製PSJ−ポリスチレン(製品名)、東洋スチレン社製トーヨースチロール(製品名)、DIC社製ディックスチレン(製品名)、SABIC社製NORYL(登録商標)樹脂(製品名)などがある。
耐衝撃性スチレン系樹脂には、必要に応じて予め各種添加剤が配合されていてもよい。各種添加剤とは、ブロム系、塩素系、リン系、無機系などの難燃剤やワックス、各種脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸の金属塩等の滑剤・離型剤等が挙げられる。また、各種添加剤とは、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物、サリチル酸フェニル化合物等の紫外線吸収剤やヒンダートアミン系安定剤、フェノール系やリン系の酸化防止剤等が挙げられる。また、各種添加剤とは、スズ系の熱安定剤、各種帯電防止剤、ポリシロキサン等の摺動性向上剤、酸化チタンやカーボンブラック等に代表される各種顔料や染料の着色剤等が挙げられる。
<エラストマー(B)>
エラストマー(B)は、ブタジエンブロックと、ブタジエンブロックの両端に連結されたスチレンブロックとのトリブロックで構成された直鎖状の共重合物であるスチレン−ブタジエンブロック共重合物を主成分とする。
スチレン−ブタジエンブロック共重合物とは、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)に含まれるゴム状弾性体以外の重合体を示す。具体的には、スチレン系化合物の重合体ブロック(以下、「S」と表記する)とブタジエン系化合物の重合体ブロック(以下、「B」と表記する)とのブロック共重合体である。
二成分系からなるブロック共重合体の配列構造は、一般に直鎖状(リニア)構造をとるものと分岐(ブランチ、ラジアル)構造をとるものが知られているが、ブロック共重合体は直鎖状構造を主成分とするものである。ここで、ブロック共重合体の主成分とは、エラストマー(B)の全重量に対して50重量%より高い含有率をとることを意味する。
また、直鎖状構造の共重合体に、スチレン系化合物とブタジエン系化合物のランダム共重合体を含んでいても構わないが、トリブロックからなるブロック共重合体の占める割合はランダム共重合体の占める割合よりも大きいものとする。
直鎖状構造のブロック共重合体としては、S−Bのジブロック共重合体、S−B−SやB−S−Bのトリブロック共重合体、中間鎖が複数のブロックからなり、中間鎖の両端にSが連結された高次のブロック共重合体など多様な構造をとりうる。これらのブロック共重合体のなかで、本実施形態では、S−B−Sのトリブロック共重合体をエラストマー(B)の全重量に対して3分の1より大きい含有率である成分とする。
ここで、S−B−Sのトリブロック共重合体を主成分とすることが、熱可塑性樹脂組成物でエラストマー(B)と無機充填剤(C)が接触した構造を発現するうえで重要である。この機構については解明されていないものの、そのミクロ相分離構造に依るところが大きいものと考えられる。
S−B−Sのトリブロック共重合体は、複数の分子のB部が絡み合って形成されるブタジエンマトリックス相に、複数の分子のS部が形成するポリスチレンドメインが存在するミクロ相分離構造を形成することが知られている。ここで、S−B−Sの構造は両端がS部で立体的制約を受けるのでB部の絡み合いは制限され、また中間鎖が単一ブロックで形成されているため、比較的柔軟でありかつドメインサイズが微細かつ均一なエラストマーとなる。このようなエラストマーは、形態を自由に変形しまた他成分との界面の凹凸も少なくなることから、より効率的に接触面を形成することが期待できる。
よって、製造過程で予め無機充填剤をエラストマーで包接させるマスターバッチ処理を行わなくても、エラストマー(B)としてS−B−Sのトリブロック共重合体を用いることで、エラストマー(B)と無機充填剤(C)との接触面積を確保することができる。
スチレン系化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等の芳香族ビニル化合物を示し、より好ましくはスチレンである。ブタジエン系化合物は、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)等の共役ジエン系化合物を示し、より好ましくは1,3−ブタジエンである。
スチレン−ブタジエン共重合物において、全繰り返し単位中、ブタジエン系化合物に由来する繰り返し単位の占める割合は、30重量%以上90重量%以下の範囲が好ましく、50重量%以上80重量%以下の範囲がより好ましい。90重量%よりも大きい場合、スチレン系化合物に由来する構造の含有率が少ないため、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)との親和性が低くなり、分散性が低下して衝撃値が低下しやすい。一方、30重量%よりも小さい場合は、スチレン−ブタジエン共重合物自体の弾性が小さくなるため、補強効果が弱くなり、衝撃値が低下しやすい。特に50重量%以上80重量%以下の範囲において、熱可塑性樹脂組成物は高い耐衝撃性(衝撃値)を発現できる。
また、ブロック共重合体のブタジエン系化合物に由来する脂肪鎖には不飽和結合が存在しているが、この不飽和結合の一部が水添により還元、あるいは他の反応性化合物と反応していてもよい。ただし、熱可塑性樹脂組成物に特有の構造を発現するためには、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)に含まれる分散ゴム相および無機充填剤(C)との親和性の観点から不飽和結合が残存していることが好ましい。不飽和結合の残存率は95%より大きい(例えば水添率であれば5%未満、変性化率であれば5%未満である)ことがより好ましい。特に他の反応性化合物と反応して変性されている場合、ブロック共重合体本来の物性が変化するため、熱可塑性樹脂組成物の吸水率が増加する等のおそれがある。よって、非水添、未変性のブロック共重合体を用いることがより好ましい。
エラストマー(B)は、単体の引張破断伸びが600%以上であることが好ましく、890%以上であることがより好ましい。引張破断伸びが890%以上を有するエラストマー(B)を用いた場合、熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体に衝撃を付与した際に、エラストマー(B)の分散相がクレーズ状に引き延ばされた構造を形成し、より効率的に衝撃を緩和できる。共重合物単体の引張破断伸びは、そのフィルムを公知の試験法(ASTM試験法D412等)に従い引張試験機で測定することで求めることができる。
エラストマー(B)は、市販品、およびそれらの混合物を用いることができる。例えばJSR社製熱可塑性エラストマーTR(製品名)シリーズ、Kraton社製Dポリマー(製品名)、旭化成ケミカルズ社製アサプレン(登録商標)・タフプレン(登録商標)のうち各グレードの中からS−B−Sを主成分とするものを選ぶことができる。
<無機充填剤(C)>
無機充填剤(C)として示す無機充填剤は特に限定されず、板状、繊維状、粒状等形状に関係なく公知の無機充填剤を用いることができる。無機充填剤(C)の具体例としては、金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩化合物、ガラス系充填剤、ケイ酸化合物、フェライト類および黒鉛類などが挙げられる。金属酸化物としては、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン等が挙げられる。金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。炭酸塩としては、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト等が挙げられる。硫酸塩としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、石膏繊維等が挙げられる。ケイ酸塩化合物としては珪酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト等)、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、カオリン、バーミキュライト、スメクタイト等が挙げられる。ガラス系充填剤としては、ガラス繊維、ミルドガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスバルーン等が挙げられる。ケイ酸化合物としては、シリカ(ホワイトカーボンなど)、ケイ砂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物中に含まれる無機充填剤(C)は、1種類であってもよいし2種類以上であってもよい。また無機充填剤(C)は、予めその表面がシランカップリング剤やチタンカップリング剤、有機脂肪酸、アルコール、アミン等の各種表面処理剤、ワックスやシリコーン樹脂等で処理されているものであってもよい。無機充填剤(C)としては、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、黒鉛類を用いるのが好ましい。
特に、炭酸カルシウムを用いた場合には、粒子の硬度が高いため耐衝撃性の高い熱可塑性を得ることができる。また、炭酸カルシウムは充填剤の形状異方性が少ないため、成形収縮の異方性が少ない熱可塑性樹脂を得ることができる。ウォラストナイトを用いた場合にはその繊維形状が配向することで耐衝撃性をより一層高めることができ、特定方向の成形収縮をより効果的に低減することができる。熱伝導率の高い黒鉛類を用いた場合には射出成形時の冷却時間を短縮し成形サイクルタイムの短縮を図ることができる。より好適には、これらの複数を組合せて用いることができる。
炭酸カルシウムは、その製造法や構造、不純物として含まれる成分等、特に限定されるものではなく、合成炭酸カルシウム(沈降性炭酸カルシウム)、天然由来の重質炭酸カルシウムを用いることができる。炭酸カルシウムは市販品を用いてもよく、例えば日東粉化工業社製NS(製品名)シリーズや白石工業社製Vigot(登録商標)・白艶華(登録商標)・ホワイトン(登録商標)などが例示できる。
炭酸カルシウムの平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。炭酸カルシウムの平均粒子径は特に限定はされるものではないが、0.01μm以上30μm以下の範囲内であることが好ましく、0.3μm以上10μm以下の範囲にあることがより好ましい。平均粒子径をこの所定の範囲内とすることで、成形体表面に接触摩擦が生じたときの無機充填剤の脱落を防ぎ、かつ射出成形に適した溶融粘度をもった熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。この熱可塑性樹脂組成物は、使用者の手に触れる頻度の多い成形品の材料として特に好適に用いることができる。
ウォラストナイトは天然由来の珪酸塩鉱物(珪灰石)を微粉砕し、針状または塊状の形状で市販化されており、繊維径および繊維長、アスペクト比の異なる様々な製品がある。市販品としては、例えば啓和炉材社製ウォラストナイト短繊維グレードK(製品名)シリーズや長繊維グレードH(製品名)シリーズ、微細繊維グレードKF(製品名)シリーズなどが例示できる。また、丸東社製ウォラストナイトファイングレードKAP(製品名)シリーズやファイングレードKGP(製品名)シリーズ、NYCO Minerals社製ウォラストナイト(製品名)などが例示できる。
ウォラストナイトの平均繊維長は特に限定されるものではないが、0.02μm以上100μm以下の範囲内にあることが好ましく、1μm以上50μm以下の範囲にあることがより好ましい。平均粒子径をこの所定の範囲内とすることで、成形体表面に接触摩擦が生じたときの無機充填剤の脱落を防ぎ、かつ射出成形に適した溶融粘度をもった熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。この熱可塑性樹脂組成物は、使用者の手に触れる頻度の多い成形品の材料として特に好適に用いることができる。
<(A)〜(C)の成分の比率>
熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂組成物の全成分に占める重量分率について、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)が40重量%以上80重量%未満の範囲にあることが好ましい。また、エラストマー(B)が(0重量%を超え)10重量%以下の範囲にあることが好ましい。また、無機充填剤(C)が20重量%を超え50重量%以下の範囲にあることが好ましい。
耐衝撃性スチレン系樹脂(A)の割合が40重量%よりも小さい場合、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)の耐衝撃性スチレン系が本来有する流動性や機械物性が損なわれるおそれがある。耐衝撃性スチレン系樹脂(A)の割合が80重量%よりも大きい場合、無機充填剤(C)の添加量が少なくなるため、無機充填剤(C)の無機添加剤を加えたことによる機能の改善効果、例えば成形収縮率の低減効果が損なわれるおそれがある。
エラストマー(B)は耐衝撃性スチレン系に比べ熱変形温度が低いため、その含有率が10重量%を超過すると、熱可塑性樹脂組成物の成形体の加重たわみ温度が低下するおそれがある。
無機充填剤(C)の割合が20重量%以下の場合、無機充填剤(C)を加えたことによる機能の改善効果、とりわけ成形収縮率の低減効果が損なわれる。30重量%以上であることがより好ましい。無機充填剤(C)の割合が50重量%を超過すると、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)の耐衝撃性スチレン系が本来有する流動性、機械物性が損なわれる。40重量%以下であることがより好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物の構成比率については、公知の分離技術および分析技術を組み合わせて知ることができる。その方法や手順は特に制限されないが、一例として、熱可塑性樹脂組成物から有機成分を抽出した溶液を各種クロマトグラフ法等で成分を分離したのちに成分分析を進めることができる。
熱可塑性樹脂組成物から有機成分を抽出するには、有機成分を溶解可能な溶媒に熱可塑性樹脂組成物を浸して溶解させればよい。予め熱可塑性樹脂組成物を細かく破砕したり溶媒を加熱撹拌したりすることで、抽出に必要とする時間を短縮することができる。使用する溶媒は熱可塑性樹脂組成物を構成する有機成分の極性に応じて任意に選択できるが、トルエンやキシレン等の芳香族溶媒、テトラヒドロフランやジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、N−メチルピロリドン等の溶媒が好適に用いられる。また、これらの溶媒を任意の比率で混合して用いてもよい。
ここで有機成分を分離した後に残る残渣を乾燥して秤量することで、熱可塑性樹脂組成物中に含まれる無機成分の含有量を知ることができる。熱可塑性樹脂組成物の無機成分の含有量を知る方法としては、他に熱重量分析(TGA)等で樹脂の分解温度以上まで温度を上げて灰分を定量する方法もある。
また、有機成分を抽出した後に残る残渣を乾燥したサンプルの蛍光X線分析を行うことで、無機成分に含まれる元素やその構成比率を知ることができる。
熱可塑性樹脂組成物から有機成分を抽出した溶液は、各種クロマトグラフ等の方法により成分を分離できる。低分子量の添加物の類はガスクロマトグラフ(GC)や高速液相カラムクロマトグラフ(HPLC)法、高分子量の重合体はゲル浸透クロマトグラフ法(GPC)等で分離を行える。特に分子量の大きな架橋重合物やゲルが含まれる場合、液中にミセルが形成されている場合は、遠心分離や半透膜による分離を選択することもできる。
分離された有機成分は、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定や赤外吸収(IR)スペクトル測定、ラマンスペクトル測定、マススペクトル測定、元素分析などの公知の分析手法により分析できる。
高分子量の重合体は低分子量の有機物に比べて一般に構造分析は複雑になるが、適切な分析手法の選択と適切な分析前処理を行うことで、構造情報を得ることができる。
例えばスチレン‐ブタジエン共重合体の場合は、炭素同位体の核磁気共鳴(13C−NMR)スペクトルとIRスペクトルにより、スチレンの芳香環とブタジエンの二重結合に由来する吸収、メチレン連鎖の化学環境の差による化学シフトが観測される。そのため、共重合比率等の構造情報を得ることができる。
また、オゾン付加反応とそれに続く還元剤処理によりブタジエンの二重結合を切断し、高分子鎖を低分子枝へと分解(オゾノリシス)することができる。この処理物を前述の各種クロマトグラフ法により分離して前述の重合体の分析手法により分析することで、直鎖と枝分かれの比率等の構造情報を得ることができる。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
熱可塑性樹脂組成物の製造方法は特定の方法に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に採用されている混合方法を用いることができる。例えば、タンブラー、V型ブレンダー、バンバリーミキサー、混練ロール、ニーダー、単軸押出機、二軸以上の多軸押出機等の混合機により混合、混練して製造することができる。特に二軸押出機による溶融混錬が生産性に優れている。
熱可塑性樹脂組成物の製造においては、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)、エラストマー(B)、無機充填剤(C)、および必要に応じて用いられるその他の添加剤のうち複数の成分を予め予備混合または予備混練してもよいし、同時に混合または混錬してもよい。特に押出機による製造においては、成分ごとに個別のフィーダーを設け押出過程において逐次添加を行った混練を行うこともできる。ただし、熱可塑性樹脂組成物では無機充填剤(C)の周囲をエラストマー(B)が接触する構造が誘起される構成となっているため、同時に混錬した場合にも高い耐衝撃性(衝撃値)を発現することができる。
その他の添加剤としては、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸の金属塩等の滑剤・離型剤、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物、サリチル酸フェニル化合物等の紫外線吸収剤やヒンダートアミン系安定剤等が挙げられる。また、その他の添加剤としては、フェノール系やリン系の酸化防止剤、スズ系の熱安定剤、各種帯電防止剤、ポリシロキサン等の摺動性向上剤、酸化チタンやカーボンブラック等に代表される各種顔料や染料の着色剤等が挙げられる。また、その他の添加剤としては、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、有機脂肪酸、アルコール、アミン等の各種表面処理剤、ワックスやシリコーン樹脂等が挙げられる。
このうち、脂肪酸アミドや脂肪酸エステル、脂肪酸の金属塩等の滑剤・離型剤、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、有機脂肪酸、アルコール、アミン等の各種表面処理剤、ワックス、シリコーン樹脂は、加工助剤として有効に用いることができる。これらの加工助剤を添加した場合、溶融混錬時の温度を低下させて熱可塑性樹脂組成物の熱分解を抑止することができるだけでなく、無機充填剤(C)の分散を促進することができる。このうち、分子の一部にアミン基、カルボン酸基または水酸基が残存したポリ脂肪酸アミドやポリ脂肪酸エステル類は加工助剤として特に好適に用いることができる。これらのポリ脂肪酸アミドやポリ脂肪酸エステル類はアミン基、カルボン酸基または水酸基が無機充填剤(C)と相互作用し無機充填剤(C)の表面を効果的に被覆する。同時に脂肪酸構造がエラストマー(B)とも親和性を示すため、無機充填剤(C)とエラストマー(B)の接触を促進することが期待できる。
これらの加工助剤の添加量は得られる熱可塑性樹脂組成物に対し10重量%以下であることが好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの加工助剤の添加量が多い場合、得られる成形品から加工助剤の溶出が起こる場合がある。
以上の添加剤を耐衝撃性スチレン系樹脂(A)、エラストマー(B)、無機充填剤(C)のうちのいずれか1つまたは複数と予備混合する場合、乾式法又は湿式法で処理すればよい。乾式法では、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の攪拌機を用いて攪拌する。湿式法では、溶剤に熱可塑性樹脂を加えて攪拌し、混合後に溶剤を除去する。特に好ましくは、湿式法が用いられる。
溶融混練による製造において、混練温度、混練時間及び送出速度は、混練装置の種類や性能、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)、エラストマー(B)、無機充填剤(C)、および必要に応じて用いられるその他の添加剤の成分の性状に応じて任意に設定できる。混練温度については通常150〜300℃、好ましくは170〜270℃、より好ましくは190〜250℃である。この温度が低すぎると無機充填剤(C)の分散が阻害され、温度が高すぎると耐衝撃性スチレン系樹脂(A)、エラストマー(B)の熱分解が問題となり、諸物性の低下や成形品の外観不良が発生するおそれがある。
以上の製造過程で得られた熱可塑性樹脂組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形等の一般に用いられている成形方法で容易に成形が可能であり、ブロー成形、真空成形、二色成形等にも適用可能である。例えば射出成形の場合について説明する。図4は、実施形態に係る成形品を製造する射出成形機及び金型の模式図である。図4に示す射出成形機51から金型52に溶融樹脂を注入することで成形品Wが製造される。成形品Wは、OA機器その他の電気電子機器の部品、又は電気電子機器の付属品の部品として適用される。また、成形品Wは、自動車や航空機等の構造部材、建築部材、食品容器等にも適用可能である。即ち、型を用いて熱可塑性樹脂組成物を成形して成形品を製造する種々の製造方法に適用可能である。
そして、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物で形成された成形品は、高い耐衝撃性(衝撃値)を発現できる。具体的には、シャルピー衝撃値(求め方については後述する)を、5.0kJ/平方メートル以上とすることができる。本実施形態の熱可塑性樹脂組成物で形成された成形品を用いて部品の組み立て等を行ない、例えばOA機器を製造する場合がある。これらの部品の組み立ては、年々、組み立て時間の短縮等、より厳しい条件を求められるようになってきている。組み立て時間の短縮を実現するために成形品の搬送速度等も高速にせざるを得なくなっており、組立時に成形品に加わる衝撃も大きく、5.0kJ/平方メートルより小さいと衝撃により割れや欠けが生じる場合がある。
[実施例]
本実施例(比較例も含む)において共通で用いた原材料は以下のとおりである。
(A) 耐衝撃性スチレン系樹脂 SABIC社製NORYL(登録商標) N802(製品名)
分散ゴム相:ブタジエンゴム
分散ゴム相の分率:22%(透過型電子顕微鏡で相分離構造を観察した場合の面積分率)
PPE含有量:16
(B) スチレン−ブタジエン共重合物を含むエラストマー
以下に示すエラストマーはいずれも非水添体のエラストマーである。
・S−B−Sトリブロック共重合体を主成分に含むもの(実施例)
<B−1> JSR社製熱可塑性エラストマー TR2827(製品名)
<B−2> JSR社製熱可塑性エラストマー TR2003(製品名)
<B−3> JSR社製熱可塑性エラストマー TR2250(製品名)
<B−4> Kraton社製熱可塑性エラストマー D1101JO(製品名)
<B−5> Kraton社製熱可塑性エラストマー D1102JSZ(製品名)
<B−6> Kraton社製熱可塑性エラストマー DX405JOP(製品名)
<B−7> Kraton社製熱可塑性エラストマー MD157JOP(製品名)
<B−8> Kraton社製熱可塑性エラストマー DX408JOP(製品名)
<B−9> 旭化成ケミカルズ社製熱可塑性エラストマー アサプレン(登録商標)T−437L(製品名)
<B−10> 旭化成ケミカルズ社製熱可塑性エラストマー タフプレン(登録商標)126S(製品名)
・S−Bジブロック共重合体を主成分に含むもの(比較例)
<B−11> Kraton社製熱可塑性エラストマー D1118ET(製品名)
<B−12> Kraton社製熱可塑性エラストマー D0243ET(製品名)
・ブランチ、ラジアル構造を主成分に含むもの(比較例)
<B−13> JSR社製熱可塑性エラストマー TR2500(製品名)
<B−14> Kraton社製熱可塑性エラストマー DX410JS(製品名)
(C) 無機充填剤
<C−1> 日東粉化工業社製 炭酸カルシウムNS#100(製品名)平均粒子径:2.1μm
<C−2> 啓和炉材社製 ウォラストナイトK−330(製品名)
<C−3> 日本滑石製錬社製 1号タルク(製品名)
<C−4> レプコ社製 マイカS−325(製品名)平均粒子径:27μm
<C−5> 啓和炉材社製 珪石H微粉(製品名)平均粒子径:3.5μm
<C−6> 竹原化学工業社製 ろう石クレーカタルポ(製品名)
(D) 添加剤 太陽化学社製 チラバゾール(登録商標)H−818(製品名)(主成分:ポリグリセリン縮合脂肪酸エステル)の50重量%エタノール希釈品
また、実施例及び比較例では混練装置として以下のものを用いた。
(E) 混錬装置
<E−1> 日本製鋼所社製二軸押出機 TEX44(製品名)、シリンダ温度200℃
<E−2> 池貝社製二軸押出機 PCM30(製品名)、シリンダ温度200℃
<E−3> テクノベル社製コンパウンディングテスターULTnano(製品名)、シリンダ温度200
(熱可塑性樹脂組成物の製造)
表1の各実施例及び各比較例に示す配合で無機充填剤(C)と添加剤(D)とを混合し、更に耐衝撃性スチレン系樹脂(A)とエラストマー(B)を加え、予め均一な原材料のブレンド物を作製した。当該ブレンド物を混練装置(E)で溶融混練してストランドを作成して、ペレタイザーにより切断加工することで熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
(成形試験片の作製)
得られたペレットを住友重機械工業社製射出成形機SE−180D(製品名)によりシリンダ温度200℃、金型温度50℃で射出成形し、JIS K7152−1で規定される短冊形試験片タイプB1(長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)を作製した。この試験片について、下記の測定方法によって(耐衝撃性試験)と(成形収縮率評価)を行った。
(耐衝撃性試験)
成形品から、JIS K7111に準拠して安田精機社製No.189−PN ノッチ加工機(製品名)を用いノッチ(形状A)加工を施しエッジワイズ試験片を作成した。その試験片に対し、JIS K7111−1に準拠して安田精機社製No.258−D デジタル衝撃試験機(製品名)を用いて、23℃におけるシャルピー衝撃試験を行った。用いたハンマーの重量は0.5Jで、5回の試験の平均値をシャルピー衝撃値(衝撃値)とした。
(成形収縮率評価)
試験片形状の樹脂流動方向長さに相当する部位の射出成形機金型の内寸を、試験片成形直後の長さとみなした。成形から1週間後の試験片の長さをノギスで測定した。成形直後の長さと1週間後の長さの差分を、成形直後の長さで除して百分率表記したものを成形収縮率とした。
実施例1〜5として、無機充填剤(C)が炭酸カルシウムでその濃度が同一条件(40重量%)の場合についてエラストマー(B)がS−B−Sのトリブロック重合体を主成分に含む場合について(耐衝撃性試験)と(成形収縮率評価)の結果を表2にまとめた。また、比較例1〜5として、ジブロック重合体、ブランチ重合体、ラジアル重合体を主成分に含む場合、および耐衝撃性スチレン系樹脂(A)単独の場合について、(耐衝撃性試験)と(成形収縮率評価)の結果を表2にまとめた。
表2に示す結果から、エラストマー(B)がS−B−Sのトリブロック重合体を主成分に含む実施例1〜5の場合は、それ以外の比較例1〜5の場合と比較して高い衝撃値が得られていることが確認できる。また、いずれの実施例1〜5においても、耐衝撃性スチレン系樹脂(A)単独の場合(比較例5)と比べて成形収縮率も低減され、耐衝撃性と成形収縮率の物性バランスが優れた熱可塑性樹脂組成物が得られていることが確認できる。
また、エラストマー(B)がS−B−Sのトリブロック重合体をもつ実施例6〜12の場合について、エラストマー(B)単体の引張破断伸びに注目して(耐衝撃性試験)の関係を表3にまとめた。なお、引張破断伸びは、公知の試験法(ASTM試験法D412、引張速度10インチ/分、23℃条件)で測定でき、各エラストマー(B)製品のカタログに公開された数値からも知ることができる。
表3に示した実施例6〜12の結果から、引張破断伸びが600%以上を有する場合、表2に示す比較例1〜5と比較して高い衝撃値が得られていることが確認できる。また、実施例6及び実施例11から、引張破断伸びが890%以上を有する場合、他の実施例と比較して特に高い衝撃値が得られていることが確認できる。
また、無機充填剤(C)の種類を変えた場合について(耐衝撃性試験)と(成形収縮率評価)の結果を表4にまとめた。
表4の実施例のうち無機充填剤(C)の種類以外が同一の条件である実施例13〜18を比較すると、無機充填剤(C)が炭酸カルシウム(C−1)、又はウォラストナイト(C−2)である場合に特に優れた耐衝撃性を有することが確認できる。また、表4に示した実施例14、19〜21の結果から、無機充填剤(C)がウォラストナイト(C−2)である場合に特に優れた成形収縮率を示すことが確認できる。
(熱可塑性樹脂組成物の相構造観察)
液四酸化ルテニウムと四酸化オスミウムによる二段染色工程、および液体窒素凍結条件下での100nmの超薄切片作成を施した超薄切片をカーボン等で蒸着を施した。この超薄切片を日立ハイテク社製透過型電子顕微鏡 H−8100(製品名)により100kVの加速電圧条件のもと10000倍の倍率で撮像した。更に撮像画像中の10μm四方の画角を切り出すことで、樹脂相構造を含めた熱可塑性樹脂組成物の構造を観察した。なお、上記実施形態で説明した図2は、実施例1の熱可塑性樹脂組成物の断面を電子顕微鏡で観察した画像を示す図である。図5は、比較例2の熱可塑性樹脂組成物の断面を電子顕微鏡で観察した画像を示す図である。
エラストマー(B)と無機充填剤(C)との接触面積を評価するために、画像処理により化学染色されていない無機充填剤の部分と、二次染色された分散ゴム相の部分と、スチレン−ブタジエン共重合物の部分とを切り出し、各面積を算出した。実施例1の画像である図2を画像処理した結果を図3として例示している。画像処理による面積の算出には、Media Cybernetics社製Image−Pro plus(製品名)を用いた。
なお、観察対象となる超薄切片の断面作成時に無機充填剤が脱落し、脱落痕内にノイズが確認されたが、その脱落痕には未染色の輪郭が観察されたことから、この輪郭線の範囲内も無機充填剤(C)の面積に含めた。また、エラストマー(B)の分散相に耐衝撃性スチレン系樹脂(A)中に含まれる分散ゴム相が包接された場合には、包接された分散ゴム相の面積をスチレン−ブタジエン共重合物の分散相の面積に含めた。
撮像画像中、熱可塑性樹脂組成物の断面の10μm四方において、無機充填剤(C)の面積を1としたときの、無機充填剤(C)に接触したエラストマー(B)の分散相の面積を求め、Xとした。また、同様に10μm四方において、エラストマー(B)の分散相(無機充填剤に接触した分散相及び無機充填剤に接触していない分散相)の面積を1としたときの、無機充填剤(C)に接触したエラストマー(B)の分散相の面積を求め、Yとした。なお、各X,Yは、撮像画像中、熱可塑性樹脂組成物の断面の10μm四方を三点サンプリングして、三点の平均値とした。実施例1〜21、比較例1〜5の中で代表的なもの、具体的には、実施例1,3,5,11,19,20及び比較例2,4について、結果を表5に示す。
表5に示す実施例1,3,5,11,19,20では、Xが0.20以上0.40以下の範囲内にある。これら実施例1,3,5,11,19,20の構造ではより効率的に樹脂と無機充填剤の界面で発生する応力を緩和でき、衝撃値の高い(耐衝撃性の向上した)熱可塑性樹脂組成物を得られていることが確認できる。
また、表5に示す実施例1,3,5,11,19,20では、Yが0.18以上1以下の範囲内にある。実施例1,3,5,11,19,20では、より多くのエラストマー(B)成分が無機充填剤(C)に隣接した効率的な配置を形成しているため、衝撃値が高くかつ成形収縮率の小さい熱可塑性樹脂組成物を得られていることが確認できる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、本発明の実施形態及び実施例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態及び実施例に記載されたものに限定されない。
11…耐衝撃性スチレン系樹脂のポリスチレン、12…耐衝撃性スチレン系樹脂の分散ゴム相、21…無機充填剤に接触するエラストマーの分散相、22…無機充填剤に接触しないエラストマーの分散相、31…無機充填剤の粒子

Claims (11)

  1. 主成分であるポリスチレンと、分散ゴム相とを含み、前記分散ゴム相の体積分率が30%未満である耐衝撃性スチレン系樹脂と、
    エラストマーと、
    充填剤と、を含有し、
    前記エラストマーは、ブタジエンブロックと、前記ブタジエンブロックの両端に連結されたスチレンブロックとのトリブロックで構成された直鎖状の共重合物であるスチレン−ブタジエン共重合物を主成分とし、
    前記スチレン−ブタジエン共重合物の水添率が5%未満であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記スチレン−ブタジエン共重合物が非水添体であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記スチレン−ブタジエン共重合物は、全繰り返し単位中、ブタジエン系化合物に由来する繰り返し単位の占める割合が30重量%以上90重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂組成物の全成分に占める重量分率について、前記耐衝撃性スチレン系樹脂が40重量%以上80重量%未満、前記エラストマーが10重量%以下、前記充填剤が20重量%を超え50重量%以下の範囲であり、
    前記耐衝撃性スチレン系樹脂、前記エラストマー及び前記充填剤の重量分率の和が100重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記エラストマーの引張破断伸びが600%以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記エラストマーの引張破断伸びが890%以上であることを特徴とする請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記充填剤が炭酸カルシウムを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
  9. 主成分であるポリスチレンと、分散ゴム相とを含み、前記分散ゴム相の体積分率が30%未満である耐衝撃性スチレン系樹脂と、
    エラストマーと、
    充填剤と、を含有し、
    前記エラストマーは、ブタジエンブロックと、前記ブタジエンブロックの両端に連結されたスチレンブロックとのトリブロックで構成された直鎖状の共重合物であるスチレン−ブタジエン共重合物を主成分とした成形品であって、
    前記成形品は、シャルピー衝撃値が5.0kJ/m以上であり、成形収縮率が0.45%以下であることを特徴とする成形品。
  10. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を、型を用いて成形する成形品の製造方法。
  11. 筐体を有する電子機器であって、前記筐体が請求項8又は9に記載の成形品よりなることを特徴とする電子機器。
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