以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
実施の形態1.
図1から図3を参照して、実施の形態1の冷却装置1を説明する。冷却装置1は、発熱体3を冷却する。発熱体3は、例えば、電子機器または電子素子である。電子機器は、例えば、電力変換装置、自動車用のパワーエレクトロニクス機器、携帯電話もしくは衛星通信用の高速通信機器、または、レーザ発振器である。電子素子は、例えば、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)のようなトランジスタである。
冷却装置1は、容器10と、放熱部材18と、加熱部20と、気泡生成部23とを主に備える。
容器10は、例えば、1.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料で形成されている。容器10は、5.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料で形成されてもよく、10.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料で形成されてもよく、50.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料で形成されてもよく、100.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料で形成されてもよい。容器10は、例えば、銅、アルミニウムもしくはステンレスのような金属、または、樹脂で形成されている。
容器10には、液体17が封入されている。容器10内には、液体17が充填されてもよい。液体17は、水、アルコール、アンモニア、油またはフロン系液体のような冷却液である。
容器10は、第1壁11と、第1壁11に対向する第2壁12と、第1壁11と第2壁12とを互いに接続する第3壁13とを含む。第1壁11は、液体17に接触する第1内壁面11bと、第1内壁面11bとは反対側の第1外壁面11aとを含む。第2壁12は、液体17に接触しかつ第1内壁面11bに対向する第2内壁面12bと、第2内壁面12bとは反対側の第2外壁面12aとを含む。第1壁11と第2壁12と第3壁13とは、容器10の内部空洞を規定する。
容器10を構成する壁(第1壁11、第2壁12、第3壁13)の厚さは、例えば、1000μm未満である。容器10を構成する壁(第1壁11、第2壁12、第3壁13)の厚さは、800μm以下であってもよく、500μm以下であってもよく、300μm以下であってもよい。後述するように、気泡生成部23が加熱されることによって気泡生成部23に形成される気泡25は、気泡生成部23に固定されている微小な気泡であり、かつ、気泡25の周囲の液体17に第1マランゴニ対流を生成させる。気泡25が発生しても、容器10の内圧はほとんと上昇しない。そのため、容器10を構成する壁(第1壁11、第2壁12、第3壁13)の厚さを小さくすることができる。また、容器10を構成する壁(第1壁11、第2壁12、第3壁13)の厚さを小さくすることによって、発熱体3と液体17との間の熱抵抗と、液体17と放熱部材18との間の熱抵抗とが、低減され得る。
容器10を構成する壁(第1壁11、第2壁12、第3壁13)の厚さは、例えば、10μm以上である。容器10を構成する壁(第1壁11、第2壁12、第3壁13)の厚さは、例えば、50μm以上であってもよく、100μm以上であってもよい。そのため、容器10を構成する壁(第1壁11、第2壁12、第3壁13)が破れて、液体17が容器から漏れ出すことを防止することができる。
容器10は、発熱体3が取り付けられる取り付け面11cを含む。一例では、第1外壁面11aは、取り付け面11cを含む。発熱体3は、例えば、接着剤またはねじなどの固定部材(図示せず)を用いて、取り付け面11cに直接取り付けられてもよい。
放熱部材18は、容器10に取り付けられている。一例では、放熱部材18は、第2外壁面12aに取り付けられている。放熱部材18は、例えば、放熱フィンまたはヒートシンクである。放熱部材18の表面には、放熱を促進する表面層が形成されてもよい。表面層は、例えば、放熱を促進する塗装膜(例えば、黒色塗装膜)であってもよいし、アルマイト処理層のような表面処理層であってもよい。放熱部材18は、接着剤またはねじなどの固定部材(図示せず)を用いて、容器10(例えば、第2外壁面12a)に直接取り付けられてもよい。
加熱部20は、容器10に支持されている。一例では、加熱部20は、第1外壁面11a上に設けられている。加熱部20は、例えば、マイクロヒータまたは薄膜ヒータである。電流源(図示せず)から、加熱部20に電流を供給することによって、加熱部20において熱が発生する。この熱は、容器10(第1壁11)を通って、気泡生成部23に伝導する。こうして、加熱部20は、気泡生成部23を加熱する。
加熱部20の面積は、1.0mm2以下の面積を有している。加熱部20の面積は、0.5mm2以下であってもよく、0.2mm2以下であってもよく、0.1mm2以下であってもよい。本実施の形態では、加熱部20の面積は、第1外壁面11aの平面視における加熱部20の面積である。加熱部20の面積は発熱体3の面積より小さく、かつ、加熱部20の厚さは発熱体3の厚さより小さい。加熱部20の面積は、取り付け面11cの面積より小さい。
加熱部20で発生する熱の量は、発熱体3で発生する熱の量に対して無視し得る。加熱部20で発生する熱の量は、例えば、発熱体3で発生する熱の量の二十分の一以下である。加熱部20で発生する熱の量は、発熱体3で発生する熱の量の百分の一以下であってもよい。加熱部20で発生する熱の量は、例えば、50mW以下である。加熱部20で発生する熱の量は、30mW以下であってもよい。発熱体3で発生する熱の量は、例えば、1W以上である。発熱体3で発生する熱の量は、100W以上であってもよい。
気泡生成部23は、容器10に支持されている。一例では、気泡生成部23は、第1内壁面11b上に設けられている。気泡生成部23は、液体17に接触している。気泡生成部23は、例えば、気泡生成膜である。気泡生成部23は、例えば、銅またはアルミニウムで形成されている。気泡生成部23は、容器10と異なる材料で形成されてもよいし、容器10と同じ材料で形成されてもよい。
気泡生成部23の面積(気泡生成部23の気泡固定面の面積)は、1.0mm2以下の面積を有している。気泡生成部23の面積は、0.5mm2以下であってもよく、0.2mm2以下であってもよく、0.1mm2以下であってもよい。本実施の形態では、気泡生成部23の面積は、第1内壁面11bの平面視における気泡生成部23の面積である。気泡生成部23の面積(気泡生成部23の気泡固定面)は発熱体3の面積より小さく、かつ、気泡生成部23の厚さは発熱体3の厚さより小さい。気泡生成部23の面積は、取り付け面11cの面積より小さい。
気泡生成部23は、加熱部20によって加熱されて、気泡25を液体17中に生成する。気泡25は、気泡生成部23に固定されている。気泡25は、微小な気泡である。気泡25の直径は、例えば、100μm以下である。気泡25の直径は、例えば、10μm以上である。後に詳しく説明するように、気泡25の周囲の液体17に、マランゴニ対流26が生成される。
本実施の形態の冷却装置1による発熱体3の冷却作用を説明する。
容器10内に液体17を注入する際に、液体17に接する気泡生成部23の表面に、種気泡(図示せず)が付着する。種気泡は、気泡25に比べて非常に小さい気泡である。加熱部20において熱が発生する。この熱は、容器10(第1壁11)を通って、気泡生成部23に伝導する。気泡生成部23は、加熱部20によって加熱される。気泡生成部23が加熱部20によって加熱されることによって、種気泡が膨張して、気泡生成部23に付着する気泡25が液体17中に生成される。
気泡生成部23に近づくにつれて、気泡25の周りの液体17の温度は上昇する。気泡生成部23から離れるにつれて、気泡25の周りの液体17の温度は下降する。一般に、液体17の温度が上昇するにつれて、液体17の表面張力は低下する。気泡生成部23に近づくにつれて、気泡25の周りの液体17の表面張力は減少する。気泡生成部23から離れるにつれて、気泡25の周りの液体17の表面張力は増加する。気泡25の周りの液体17の表面張力の分布に起因して、気泡25の周囲の液体17に、マランゴニ対流26が生成される。
マランゴニ対流26に起因して、液体17に、大きな流速を有する流れ27が発生する。流れ27の速さは、例えば、1.0m/秒以上である。流れ27によって、液体17は、第2壁12にぶつかる。第2壁12に放熱部材18が取り付けられているため、第2壁12にぶつかった液体17は、第2壁12及び放熱部材18によって冷却される。気泡25の周りの液体17のうち、気泡生成部23から遠位する液体17の温度上昇が抑制される。気泡25の周りの液体17の温度分布が維持される。こうして、気泡25は、気泡生成部23から離れることなく、気泡生成部23に固定される。
流れ27によって、液体17は、容器10内を高速に循環している。第2壁12にぶつかって冷却された液体17の一部は、取り付け面11cが形成されている容器10の部分(例えば、容器10の第1壁11)にぶつかる。発熱体3で発生する熱は、容器10及び液体17に伝達される。液体17は、発熱体3で発生した熱は、短時間で広げることができる。容器10内を高速に循環する液体17は、ヒートスプレッダとして機能する。さらに、容器10のうち発熱体3が取り付けられている部分の温度は、容器10の他の部分の温度より高い。そのため、液体17の流れ27は、容器10のうち発熱体3が取り付けられている部分において乱れて、容器10内で攪拌される。容器10内を高速に循環しかつ容器10内で攪拌される液体17の熱伝達率は、大きい。こうして、発熱体3で発生した熱は、容器10及び液体17によって冷却される。
図3に示されるように、いかなる距離Lに対しても、本実施の形態の実施例1の冷却装置1の熱抵抗R1は、比較例の冷却装置の熱抵抗R1より低い。その理由は、既に記載したとおり、本実施の形態の冷却装置1では、容器10内を高速に循環しかつ容器10内で攪拌される液体17は、発熱体3で発生する熱を拡げる能力が高く、かつ、大きな熱伝達率を有するからである。本実施の形態の実施例1の冷却装置1では、容器10は銅で形成されており、液体17は水である。比較例の冷却装置は、本実施の形態の冷却装置1と同様の構成を備えているが、液体17が銅板に置き換えられており、この銅板は容器10と一体化されており、かつ、加熱部20及び気泡生成部23が取り除かれている。
図1に示されるように、熱抵抗R1は、取り付け面11cを含む第1外壁面11aと発熱体3の中心線3pとの交点11pと放熱部材18が取り付けられる第2外壁面12a上の任意の地点12qとの間の熱抵抗である。距離Lは、発熱体3の中心線3pと第2外壁面12aとの交点12pから第2外壁面12a上の任意の地点12qまでの距離を意味する。発熱体3の中心線3pは、第1外壁面11aの平面視における発熱体3の中心を通り、かつ、第1外壁面11aに垂直な線である。
さらに、距離Lが増加するにつれて、比較例の冷却装置の熱抵抗は大きく増加する。これに対し、距離Lが増加しても、本実施の形態の実施例1の冷却装置1の熱抵抗はほとんど増加しない。その理由は、本実施の形態の冷却装置1では、容器10内を高速に循環しかつ容器10内で攪拌される液体17は、発熱体3で発生する熱を拡げる能力が高く、かつ、大きな熱伝達率を有するからである。
図4を参照して、本実施の形態の第1変形例の冷却装置1bを説明する。冷却装置1bでは、加熱部20は、例えば、金ナノ薄膜のような光吸収膜である。金ナノ薄膜は、例えば、動的斜方蒸着法によって形成され得る。加熱部20は、半導体レーザのような光源21から出射される光(例えば、レーザ光)を吸収して、加熱部20において熱が発生する。この熱は、容器10(第1壁11)を通って、気泡生成部23に伝導する。こうして、加熱部20は、気泡生成部23を加熱する。
図5に示される本実施の形態の第2変形例の冷却装置1cのように、気泡生成部23の気泡固定面は、容器10の内壁面(例えば、第1内壁面11b)に面一であってもよい。
図6に示される本実施の形態の第3変形例の冷却装置1dのように、発熱体3は、熱伝導部材30を介して、容器10の取り付け面11cに取り付けられてもよい。熱伝導部材30は、ヒートパイプ、または、銅板、アルミニウム板もしくはグラファイト板のような伝熱板であってもよいし、熱伝導グリースのような熱伝導接着剤であってもよい。
図7に示される本実施の形態の第4変形例の冷却装置1eのように、放熱部材18は、熱伝達部材30eを介して、容器10(例えば、第2外壁面12a)取り付けられてもよい。熱伝達部材30eは、ヒートパイプ、または、銅板、アルミニウム板もしくはグラファイト板のような伝熱板であってもよいし、熱伝導グリースのような熱伝導接着剤であってもよい。
本実施の形態の冷却装置1,1b,1c,1d,1eの効果を説明する。
本実施の形態の冷却装置1,1b,1c,1d,1eは、容器10と、放熱部材18と、第1気泡生成部(気泡生成部23)と、第1加熱部(加熱部20)とを備える。容器10には、液体17が封入されている。容器10は、発熱体3が直接または熱伝導部材30を介して取り付けられる取り付け面11cを含む。放熱部材18は、容器10に直接または熱伝達部材30eを介して取り付けられている。第1気泡生成部は、容器10に支持されており、かつ、液体17に接触している。第1加熱部は、第1気泡生成部を加熱する。第1気泡生成部は、第1気泡生成部に固定されている第1気泡(気泡25)を液体17中に生成する。第1気泡の周囲の液体17に第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)が生成される。
第1気泡(気泡25)と第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)とを生成するために第1加熱部(加熱部20)に印加するエネルギーは、冷却液を循環させるポンプを駆動するために必要なエネルギーより非常に小さい。そのため、冷却装置1,1b,1c,1d,1eの消費電力を低減させることができる。第1気泡と第1マランゴニ対流とを生成するために必要な第1加熱部(加熱部20)及び第1気泡生成部(気泡生成部23)のサイズは、ポンプのサイズより非常に小さい。そのため、冷却装置1,1b,1c,1d,1eは、よりコンパクトなサイズを有する。第1気泡と第1マランゴニ対流とを生成するために必要な第1加熱部及び第1気泡生成部は、機械的可動部を含まない。そのため、冷却装置1,1b,1c,1d,1eは、より高い信頼性を有する。
本実施の形態の冷却装置1,1b,1c,1d,1eでは、容器10は、第1壁11と、第1壁11に対向する第2壁12とを含む。第1壁11は、液体17に接触する第1内壁面11bと、第1内壁面11bとは反対側の第1外壁面11aとを含む。第2壁12は、液体17に接触しかつ第1内壁面11bに対向する第2内壁面12bと、第2内壁面12bとは反対側の第2外壁面12aとを含む。第1外壁面11aは、取り付け面11cを含む。第1気泡生成部(気泡生成部23)は、第1内壁面11b上に設けられている。第1加熱部(加熱部20)は、第1外壁面11a上に設けられている。放熱部材18は、第2外壁面12aに直接または熱伝達部材30eを介して取り付けられている。
そのため、冷却装置1,1b,1c,1d,1eは、よりコンパクトなサイズとより高い信頼性とを有するとともに、冷却装置1,1b,1c,1d,1eの消費電力は低減され得る。
実施の形態2.
図8を参照して、実施の形態2の冷却装置1fを説明する。本実施の形態の冷却装置1fは、実施の形態1の冷却装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で、実施の形態1の冷却装置1と異なっている。
冷却装置1fでは、気泡生成部23の気泡固定面に、凹部24が形成されている。凹部24は、V溝であってもよい。凹部24の最大サイズは、気泡25の直径よりも小さい。凹部24の最大サイズは、例えば、50μm以下である。凹部24の最大サイズは、30μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。凹部24がV溝である場合、凹部24の最大サイズは、気泡生成部23の気泡固定面におけるV溝のサイズである。
本実施の形態の変形例では、凹部24に代えて、気泡生成部23の気泡固定面に、気泡生成部23を支持する容器10の支持部材(第1壁11)の表面(例えば、第1内壁面11b)より粗い粗面が形成されてもよい。気泡生成部23は多孔質体であり、この多孔質体の表面が、気泡生成部23を支持する容器10の支持部材(第1壁11)の表面(例えば、第1内壁面11b)より粗い粗面であってもよい。
本実施の形態の冷却装置1fの効果は、実施の形態1の冷却装置1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の冷却装置1fでは、第1気泡生成部(気泡生成部23)の気泡固定面に、第1気泡生成部を支持する容器10の支持部材の表面より粗い粗面または凹部24が形成されている。
そのため、液体17を容器10内に注入する際に、第1気泡生成部(気泡生成部23)の気泡固定面に種気泡(図示せず)がより確実に付着する。第1気泡生成部が第1加熱部(加熱部20)によって加熱されることによって、種気泡が膨張して、より確実に第1気泡生成部に第1気泡(気泡25)が生成される。第1気泡の周囲の液体17に、第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)がより確実に生成される。第1マランゴニ対流に起因して、液体17の流れ27がより確実に生ずる。冷却装置1fは、より確実に発熱体3を冷却することができる。
実施の形態3.
図9を参照して、実施の形態3の冷却装置1gを説明する。本実施の形態の冷却装置1gは、実施の形態1の冷却装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で、実施の形態1の冷却装置1と異なっている。
冷却装置1gでは、第1外壁面11aの第1平面視において、気泡生成部23は発熱体3に重なっている。第1外壁面11aの第1平面視において、加熱部20は発熱体3に重なっている。特定的には、第1外壁面11aの第1平面視において、気泡生成部23は、発熱体3の外形に囲まれている。第1外壁面11aの第1平面視において、加熱部20は、発熱体3の外形に囲まれている。
本実施の形態の冷却装置1gの効果は、実施の形態1の冷却装置1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の冷却装置1gでは、第1外壁面11aの第1平面視において、第1気泡生成部(気泡生成部23)は発熱体3に重なっている。そのため、第1気泡生成部は、第1加熱部(加熱部20)に加えて、発熱体3によっても加熱される。第1気泡(気泡25)及び第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)を生成するために第1加熱部に印加するエネルギーが低減され得る。冷却装置1gの消費電力をさらに低減させることができる。
実施の形態4.
図10を参照して、実施の形態4の冷却装置1hを説明する。本実施の形態の冷却装置1hは、実施の形態1の冷却装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で、実施の形態1の冷却装置1と異なっている。
冷却装置1hでは、第1壁11は、第1壁ベース部材11dと、高熱伝導壁部分11eとを含む。高熱伝導壁部分11eは、第1壁ベース部材11dより高い熱伝導率を有する。例えば、第1壁ベース部材11dがアルミニウムで形成されている場合、高熱伝導壁部分11eは銅で形成されている。高熱伝導壁部分11eは、気泡生成部23と加熱部20との間に設けられている。高熱伝導壁部分11eは、気泡生成部23と加熱部20とに接触してもよい。気泡生成部23は、高熱伝導壁部分11e上に設けられてもよい。加熱部20は、高熱伝導壁部分11e上に設けられてもよい。
図11を参照して、本実施の形態の変形例の冷却装置1iを説明する。第1壁11は、第1壁ベース部材11dより低い熱伝導率を有する低熱伝導壁部分11fをさらに含む。例えば、第1壁ベース部材11dがアルミニウムで形成されている場合、高熱伝導壁部分11eは銅で形成されており、低熱伝導部分はステンレス、チタンまたは樹脂で形成されている。低熱伝導壁部分11fは、第1壁ベース部材11dと高熱伝導壁部分11eとの間に設けられている。気泡生成部23は、低熱伝導壁部分11fから離れていてもよい。加熱部20は、低熱伝導壁部分11fから離れていてもよい。
本実施の形態の冷却装置1h,1iの効果は、実施の形態1の冷却装置1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の冷却装置1h,1iでは、第1壁11は、第1壁ベース部材11dと、第1壁ベース部材11dより高い熱伝導率を有する高熱伝導壁部分11eとを含む。高熱伝導壁部分11eは、第1気泡生成部(気泡生成部23)と第1加熱部(加熱部20)との間に設けられている。そのため、第1加熱部で発生した熱は、高熱伝導壁部分11eを通して、第1気泡生成部に伝達される。第1気泡(気泡25)及び第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)を生成するために第1加熱部に印加するエネルギーが低減され得る。冷却装置1h,1iの消費電力をさらに低減させることができる。
本実施の形態の冷却装置1iでは、第1壁11は、第1壁ベース部材11dより低い熱伝導率を有する低熱伝導壁部分11fをさらに含む。低熱伝導壁部分11fは、第1壁ベース部材11dと高熱伝導壁部分11eとの間に設けられている。そのため、低熱伝導壁部分11fは、第1加熱部(加熱部20)から第1壁ベース部材11dに散逸する熱の量を減少させる。第1気泡(気泡25)及び第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)を生成するために第1加熱部に印加するエネルギーが低減され得る。冷却装置1iの消費電力をさらに低減させることができる。
実施の形態5.
図12を参照して、実施の形態5の冷却装置1jを説明する。本実施の形態の冷却装置1jは、実施の形態1の冷却装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で、実施の形態1の冷却装置1と異なっている。
冷却装置1jでは、加熱部20は、第1内壁面11b上に設けられている。気泡生成部23は、加熱部20上に設けられている。
図13を参照して、本実施の形態の変形例の冷却装置1kを説明する。実施の形態3の冷却装置1gと同様に、冷却装置1kでは、第1外壁面11aの第1平面視において、気泡生成部23は発熱体3に重なっている。第1外壁面11aの第1平面視において、加熱部20は発熱体3に重なっている。特定的には、第1外壁面11aの第1平面視において、気泡生成部23は、発熱体3の外形に囲まれている。第1外壁面11aの第1平面視において、加熱部20は、発熱体3の外形に囲まれている。
本実施の形態の冷却装置1j,1kの効果は、実施の形態1の冷却装置1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の冷却装置1j,1kでは、容器10は、第1壁11と、第1壁11に対向する第2壁12とを含む。第1壁11は、液体17に接触する第1内壁面11bと、第1内壁面11bとは反対側の第1外壁面11aとを含む。第2壁12は、液体17に接触しかつ第1内壁面11bに対向する第2内壁面12bと、第2内壁面12bとは反対側の第2外壁面12aとを含む。第1外壁面11aは、取り付け面11cを含む。第1加熱部(加熱部20)は、第1内壁面11b上に設けられている。第1気泡生成部(気泡生成部23)は、第1加熱部上に設けられている。放熱部材18は、第2外壁面12aに直接または熱伝達部材30e(図7を参照)を介して取り付けられている。
そのため、第1加熱部(加熱部20)で発生した熱は、第1壁11を介することなく、第1気泡生成部(気泡生成部23)に伝達される。第1気泡(気泡25)及び第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)を生成するために第1加熱部に印加するエネルギーが低減され得る。冷却装置1j,1kの消費電力をさらに低減させることができる。
本実施の形態の冷却装置1kでは、第1外壁面11aの第1平面視において、第1気泡生成部(気泡生成部23)は発熱体3に重なっている。そのため、第1気泡生成部は、第1加熱部(加熱部20)に加えて、発熱体3によっても加熱される。第1気泡(気泡25)及び第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)を生成するために第1加熱部に印加するエネルギーが低減され得る。冷却装置1kの消費電力をさらに低減させることができる。
実施の形態6.
図14を参照して、実施の形態6の冷却装置1mを説明する。本実施の形態の冷却装置1mは、実施の形態1の冷却装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で、実施の形態1の冷却装置1と異なっている。
本実施の形態の冷却装置1mでは、容器10は、熱伝導フィン13bをさらに含む。熱伝導フィン13bは、例えば、1.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料で形成されている。熱伝導フィン13bは、5.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料で形成されてもよく、10.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料で形成されてもよく、50.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料で形成されてもよく、100.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する高熱伝導材料で形成されてもよい。熱伝導フィン13bは、例えば、銅またはアルミニウムのような金属で形成されている。熱伝導フィン13bは、容器10と同じ材料で形成されてもよいし、容器10と異なる材料で形成されてもよい。
熱伝導フィン13bは、板の形状を有してもよいし、棒の形状を有してもよい。熱伝導フィン13bは、第1内壁面11bに設けられている。熱伝導フィン13bは、第1壁11(第1内壁面11b)に接続されている。熱伝導フィン13bは、第2壁12(第2内壁面12b)から離間されてもよい。第1外壁面11aの第1平面視において、熱伝導フィン13bは発熱体3に重なってもよい。第1外壁面11aの第1平面視において、熱伝導フィン13bは、発熱体3の外形に囲まれてもよい。
加熱部20は、熱伝導フィン13b上に設けられている。気泡生成部23は、加熱部20上に設けられている。放熱部材18は、第2外壁面12aに直接または熱伝達部材30e(図7を参照)を介して取り付けられている。
本実施の形態の冷却装置1mの効果は、実施の形態1の冷却装置1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の冷却装置1mでは、容器10は、第1壁11と、第1壁11に対向する第2壁12と、熱伝導フィン13bとを含む。第1壁11は、液体17に接触する第1内壁面11bと、第1内壁面11bとは反対側の第1外壁面11aとを含む。第2壁12は、液体17に接触しかつ第1内壁面11bに対向する第2内壁面12bと、第2内壁面12bとは反対側の第2外壁面12aとを含む。第1外壁面11aは、取り付け面11cを含む。熱伝導フィン13bは、第1内壁面11bに設けられている。第1加熱部(加熱部20)は、熱伝導フィン13b上に設けられている。第1気泡生成部(気泡生成部23)は、第1加熱部上に設けられている。放熱部材18は、第2外壁面12aに直接または熱伝達部材30e(図7を参照)を介して取り付けられている。
そのため、冷却装置1mは、よりコンパクトなサイズとより高い信頼性とを有するとともに、冷却装置1mの消費電力は低減され得る。
本実施の形態の冷却装置1mでは、第1外壁面11aの第1平面視において、熱伝導フィン13bは発熱体3に重なっている。そのため、第1気泡生成部(気泡生成部23)は、第1加熱部(加熱部20)に加えて、発熱体3によっても加熱される。第1気泡(気泡25)及び第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)を生成するために第1加熱部に印加するエネルギーが低減され得る。冷却装置1mの消費電力をさらに低減させることができる。
実施の形態7.
図15を参照して、実施の形態7の冷却装置1nを説明する。本実施の形態の冷却装置1nは、実施の形態1の冷却装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で、実施の形態1の冷却装置1と異なっている。
冷却装置1nでは、気泡生成部23は、第2内壁面12b上に設けられている。加熱部20は、第2外壁面12a上に設けられている。放熱部材18は、第2外壁面12aに直接または熱伝達部材30e(図7を参照)を介して取り付けられている。
冷却装置1nは、低熱伝導層28をさらに備える。低熱伝導層28は、加熱部20と放熱部材18との間に設けられている。低熱伝導層28は、第2壁12及び放熱部材18より低い熱伝導率を有する。低熱伝導層28は、例えば、空気層または断熱層である。低熱伝導層28は、加熱部20から放熱部材18に散逸する熱の量を減少させる。第2外壁面12aの第2平面視において、加熱部20は放熱部材18に重なっている。第2外壁面12aの第2平面視において、気泡生成部23は放熱部材18に重なっている。特定的には、第2外壁面12aの第2平面視において、気泡生成部23は、放熱部材18の外形に囲まれている。第2外壁面12aの第2平面視において、加熱部20は、放熱部材18の外形に囲まれている。
本実施の形態の冷却装置1nの効果は、実施の形態1の冷却装置1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の冷却装置1nでは、容器10は、第1壁11と、第1壁11に対向する第2壁12とを含む。第1壁11は、液体17に接触する第1内壁面11bと、第1内壁面11bとは反対側の第1外壁面11aとを含む。第2壁12は、液体17に接触しかつ第1内壁面11bに対向する第2内壁面12bと、第2内壁面12bとは反対側の第2外壁面12aとを含む。第1外壁面11aは、取り付け面11cを含む。第1気泡生成部(気泡生成部23)は、第2内壁面12b上に設けられている。第1加熱部(加熱部20)は、第2外壁面12a上に設けられている。放熱部材18は、第2外壁面12aに直接または熱伝達部材30e(図7を参照)を介して取り付けられている。
第1気泡生成部(気泡生成部23)は、放熱部材18が直接または熱伝達部材30e(図7を参照)を介して取り付けられている第2壁12の第2内壁面12b上に設けられている。第1気泡生成部に近位しかつ第1気泡(気泡25)の周囲にある液体17は、第2壁12及び放熱部材18によって、より一層冷却される。第1気泡生成部に近位しかつ第1気泡の周囲にある液体17の温度と第1気泡生成部から遠位しかつ第1気泡の周囲にある液体17の温度との間の差が増加する。液体17に、より強い第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)が発生する。より強い第1マランゴニ対流に起因して、より高速な液体17の流れ27が発生する。液体17は、より激しく攪拌される。容器10内を高速に循環しかつ容器10内で攪拌される液体17は、発熱体3で発生する熱を拡げる能力が高く、かつ、大きな熱伝達率を有する。冷却装置1nは、より高い冷却能力を有し、発熱体3で発生した熱をより一層冷却することができる。
本実施の形態の冷却装置1nは、第1加熱部(加熱部20)と放熱部材18との間に設けられており、かつ、第2壁12及び放熱部材18より低い熱伝導率を有する低熱伝導層28をさらに備える。第2外壁面12aの第2平面視において、第1加熱部は放熱部材18に重なっている。低熱伝導層28は、第1気泡生成部(気泡生成部23)は、第1加熱部に加えて、発熱体3によっても加熱される。
低熱伝導層28は、第1加熱部(加熱部20)から放熱部材18に散逸する熱の量を減少させる。第1気泡(気泡25)及び第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)を生成するために第1加熱部に印加するエネルギーが低減され得る。冷却装置1nの消費電力をさらに低減させることができる。
実施の形態8.
図16を参照して、実施の形態8の冷却装置1pを説明する。本実施の形態の冷却装置1pは、実施の形態1の冷却装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で、実施の形態1の冷却装置1と異なっている。
冷却装置1pでは、加熱部20は、第2内壁面12b上に設けられている。気泡生成部23は、加熱部20上に設けられている。放熱部材18は、第2外壁面12aに直接または熱伝達部材30e(図7を参照)を介して取り付けられている。
第2壁12は、第2壁ベース部材12dと、低熱伝導壁部分12fとを含む。低熱伝導壁部分12fは、第2壁ベース部材12dより低い熱伝導率を有する。例えば、第2壁ベース部材12dがアルミニウムで形成されている場合、低熱伝導壁部分12fはステンレス、チタンまたは樹脂で形成されている。低熱伝導壁部分12fは、加熱部20と放熱部材18との間に設けられている。低熱伝導壁部分12fは、加熱部20と放熱部材18とに接触してもよい。加熱部20は、低熱伝導壁部分12f上に設けられてもよい。第2外壁面12aの第2平面視において、加熱部20は放熱部材18に重なっている。
本実施の形態の冷却装置1pの効果は、実施の形態1の冷却装置1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の冷却装置1pでは、容器10は、第1壁11と、第1壁11に対向する第2壁12とを含む。第1壁11は、液体17に接触する第1内壁面11bと、第1内壁面11bとは反対側の第1外壁面11aとを含む。第2壁12は、液体17に接触しかつ第1内壁面11bに対向する第2内壁面12bと、第2内壁面12bとは反対側の第2外壁面12aとを含む。第1外壁面11aは、取り付け面11cを含む。第1加熱部(加熱部20)は、第2内壁面12b上に設けられている。第1気泡生成部(気泡生成部23)は、第1加熱部上に設けられている。放熱部材18は、第2外壁面12aに直接または熱伝達部材30e(図7を参照)を介して取り付けられている。
そのため、実施の形態7の冷却装置1pと同様に、冷却装置1pは、より高い冷却能力を有し、発熱体3で発生した熱をより一層冷却することができる。
本実施の形態の冷却装置1pでは、第2壁12は、第2壁ベース部材12dと、第2壁ベース部材12dより低い熱伝導率を有する低熱伝導壁部分12fとを含む。低熱伝導壁部分12fは、第1加熱部(加熱部20)と放熱部材18との間に設けられている。第2外壁面12aの第2平面視において、第1加熱部は放熱部材18に重なっている。
低熱伝導壁部分12fは、第1加熱部(加熱部20)から放熱部材18に散逸する熱の量を減少させる。第1気泡(気泡25)及び第1マランゴニ対流(マランゴニ対流26)を生成するために第1加熱部に印加するエネルギーが低減され得る。冷却装置1pの消費電力をさらに低減させることができる。
実施の形態9.
図17及び図18を参照して、実施の形態9の冷却装置1qを説明する。本実施の形態の冷却装置1qは、実施の形態1の冷却装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で、実施の形態1の冷却装置1と異なっている。
冷却装置1qは、温度センサ33と、コントローラ35とをさらに備える。
温度センサ33は、発熱体3に取り付けられており、発熱体3の第1温度を直接測定する。温度センサ33は、例えば、サーミスタである。温度センサ33は、発熱体3から離れて配置されている放射温度計であってもよい。放射温度計を用いて、発熱体3の第1温度を直接測定してもよい。温度センサ33は、コントローラ35に電気的に接続されている。温度センサ33は、発熱体3の第1温度に応じた信号を、コントローラ35に出力する。
コントローラ35は、例えば、半導体プロッサである。コントローラ35は、温度センサ33の出力信号に基づいて、加熱部20の第2温度を調整する。例えば、冷却装置1qは電流源34を備えており、加熱部20はマイクロヒータである。コントローラ35は、電流源34に、電気的に接続されている。電流源34は、加熱部20に電気的に接続されている。コントローラ35は、温度センサ33の出力信号に基づいて、電流源34から加熱部20に供給される電流を制御する。こうして、コントローラ35は、温度センサ33の出力信号に基づいて、加熱部20の第2温度を調整する。
具体的には、発熱体3の温度が発熱体3の適正動作温度範囲を超えて上昇すると、温度センサ33からの出力信号の強度は閾値より大きくなる。温度センサ33からの出力信号の強度は閾値より大きいとコントローラ35が判断すると、コントローラ35は、電流源34から加熱部20に電流を供給する。加熱部20の第2温度が上昇して、気泡生成部23が加熱される。気泡生成部23に、気泡25が生成される。気泡25の周囲の液体17にマランゴニ対流26が生成される。マランゴニ対流26は、液体17の流れ27を生じさせる。発熱体3で発生した熱は、容器10及び液体17を通して、放熱部材18に伝達される。こうして、発熱体3は冷却される。
発熱体3の温度が発熱体3の適正動作温度範囲内になると、温度センサ33からの出力信号の強度は閾値以下になる。温度センサ33からの出力信号の強度は閾値以下であるとコントローラ35が判断すると、コントローラ35は、電流源34から加熱部20への電流の供給を停止する。加熱部20の第2温度が低下して、気泡生成部23の温度も低下する。気泡25が消滅する。マランゴニ対流26が消滅して、液体17の流れ27が減少する。そのため、発熱体3が過度に冷却されることが防止される。こうして、冷却装置1qは、発熱体3の温度を発熱体3の適正動作温度範囲内に保つことができる。
本実施の形態の実施例2の冷却装置1qの熱抵抗R2のシミュレーション結果(図18を参照)に示されるように、気泡生成部23上に気泡25があるときの単位面積当たりの熱抵抗R2は、気泡生成部23上に気泡25が無いときの単位面積当たりの熱抵抗R2より小さい。そのため、温度センサ33の出力信号に基づいて加熱部20の第2温度を調整することによって、冷却装置1qの冷却能力が調整され得る。熱抵抗R2は、取り付け面11cを含む第1壁11の第1内壁面11bと放熱部材18が取り付けられる第2壁12の第2内壁面12bとの間の、冷却装置1qの単位面積当たりの熱抵抗を意味する。
さらに、気泡生成部23上に気泡25があるとき、流路の厚さtが増加しても、単位面積当たりの熱抵抗R2はほとんど増加しない。これに対し、気泡生成部23上に気泡25が無いとき、流路の厚さtが増加すると、単位面積当たりの熱抵抗R2は大きく増加する。その理由は、以下のとおりである。
気泡生成部23上に気泡25があるとき、気泡25の周囲の液体17にマランゴニ対流26が生成される。マランゴニ対流26に起因して、液体17は、容器10内を高速に循環し、かつ、容器10内で攪拌される。容器10内を高速に循環しかつ容器10内で攪拌される液体17は、発熱体3で発生する熱を拡げる能力が高く、かつ、大きな熱伝達率を有する。そのため、気泡生成部23上に気泡25があるとき、流路の厚さtが増加しても、単位面積当たりの熱抵抗R2はほとんど増加しない。流路の厚さtは、第1内壁面11bと第2内壁面12bとの間の距離である。図18に示されるように、流路の厚さtが大きいほど、冷却装置1qの冷却能力はより広い範囲にわたって制御され得る。
図19に示される本実施の形態の第1変形例の冷却装置1rのように、温度センサ33は、発熱体3の第1温度を間接的に測定してもよい。一例では、図19に示されるように、温度センサ33は、放熱部材18に取り付けられており、放熱部材18の温度を測定してもよい。発熱体3の第1温度が高くなるほど、放熱部材18の温度は高くなる。温度センサ33が放熱部材18の温度を測定することによって、温度センサ33は、発熱体3の第1温度を間接的に測定することができる。別の例では、温度センサ33は、容器10に取り付けられており、容器10の温度を測定してもよい。発熱体3の第1温度が高くなるほど、容器10の温度は高くなる。温度センサ33が容器10の温度を測定することによって、温度センサ33は、発熱体3の第1温度を間接的に測定することができる。
図20に示される本実施の形態の第2変形例の冷却装置1sでは、図4に示される実施の形態1の第1変形例の冷却装置1bのように、加熱部20は、半導体レーザのような光源21からの光によって照射される光吸収膜であってもよい。コントローラ35は、光源21に、電気的に接続されている。コントローラ35は、温度センサ33の出力信号に基づいて、光源21から出力される光のパワーを制御する。こうして、コントローラ35は、温度センサ33の出力信号に基づいて、加熱部20の第2温度を調整する。
具体的には、温度センサ33からの出力信号の強度は閾値より大きいとコントローラ35が判断すると、コントローラ35は、光源21から出力される光のパワーを増加させる。光源21からの光が照射される加熱部20の温度が上昇して、気泡生成部23が加熱される。気泡生成部23に、気泡25が生成される。気泡25の周囲の液体17にマランゴニ対流26が生成される。マランゴニ対流26は、液体17の流れ27を生じさせる。発熱体3で発生した熱は、容器10及び液体17を通して、放熱部材18に伝達される。こうして、発熱体3は冷却される。
温度センサ33からの出力信号の強度は閾値以下であるとコントローラ35が判断すると、コントローラ35は、光源21からの光の出力を停止する。加熱部20の温度が低下して、気泡生成部23の温度も低下する。気泡25が消滅する。マランゴニ対流26が消滅して、液体17の流れ27は減少する。そのため、発熱体3が過度に冷却されることが防止される。こうして、冷却装置1sは、発熱体3の温度を発熱体3の適正動作温度範囲内に保つことができる。
本実施の形態の冷却装置1q,1r,1sの効果は、実施の形態1の冷却装置1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の冷却装置1q,1r,1sは、発熱体3の第1温度を直接的または間接的に測定する温度センサ33と、温度センサ33の出力信号に基づいて第1加熱部(加熱部20)の第2温度を調整するコントローラ35とをさらに備える。そのため、発熱体3の発熱量または発熱体3の周囲温度に応じて、冷却装置1q,1r,1sは発熱体3を適切に冷却することができる。冷却装置1q,1r,1sは、発熱体3の温度を発熱体3の適正動作温度範囲内に保つことができる。
実施の形態10.
図21を参照して、実施の形態10の冷却装置1tを説明する。本実施の形態の冷却装置1tは、実施の形態1の冷却装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で、実施の形態1の冷却装置1と異なっている。
本実施の形態の冷却装置1tは、加熱部20tと、気泡生成部23tとをさらに備える。
加熱部20tは、加熱部20と同様に構成されている。例えば、加熱部20tは、容器10に支持されている。一例では、加熱部20tは、第2外壁面12a上に設けられている。加熱部20tは、例えば、マイクロヒータまたは薄膜ヒータである。加熱部20tは、電流源34に電気的に接続されている。電流源34から、加熱部20tに電流を供給することによって、加熱部20tにおいて熱が発生する。この熱は、容器10(第1壁11)を通って、気泡生成部23tに伝導する。こうして、加熱部20tは、気泡生成部23tを加熱する。
加熱部20tの面積は、1.0mm2以下の面積を有している。加熱部20tの面積は、0.5mm2以下であってもよく、0.2mm2以下であってもよく、0.2mm2以下であってもよい。本実施の形態では、加熱部20tの面積は、第1外壁面11aの平面視における加熱部20tの面積である。加熱部20tの面積は発熱体3の面積より小さく、かつ、加熱部20tの厚さは発熱体3の厚さより小さい。加熱部20tの面積は、取り付け面11cの面積より小さい。
加熱部20tで発生する熱の量は、発熱体3で発生する熱の量に対して無視し得る。加熱部20tで発生する熱の量は、例えば、発熱体3で発生する熱の量の二十分の一以下である。加熱部20tで発生する熱の量は、発熱体3で発生する熱の量の百分の一以下であってもよい。加熱部20tで発生する熱の量は、例えば、50mW以下である。加熱部20tで発生する熱の量は、30mW以下であってもよい。発熱体3で発生する熱の量は、例えば、1W以上である。発熱体3で発生する熱の量は、100W以上であってもよい。
加熱部20tは、加熱部20から離間されている。加熱部20と加熱部20tとの間の間隔は、例えば、10mm以下である。加熱部20と加熱部20tとの間の間隔は、5mm以下であってもよく、3mm以下であってもよい。
気泡生成部23tは、気泡生成部23と同様に構成されている。例えば、気泡生成部23tは、容器10に支持されている。一例では、気泡生成部23tは、第1内壁面11b上に設けられている。気泡生成部23tは、液体17に接触している。気泡生成部23tは、例えば、気泡生成膜である。気泡生成部23tは、例えば、銅またはアルミニウムで形成されている。気泡生成部23tは、容器10と異なる材料で形成されてもよいし、容器10と同じ材料で形成されてもよい。
気泡生成部23tの面積(気泡生成部23tの気泡固定面の面積)は、1.0mm2以下の面積を有している。気泡生成部23tの面積は、0.5mm2以下であってもよく、0.2mm2以下であってもよく、0.1mm2以下であってもよい。本実施の形態では、気泡生成部23tの面積は、第1内壁面11bの平面視における気泡生成部23tの面積である。気泡生成部23tの面積(気泡生成部23tの気泡固定面)は発熱体3の面積より小さく、かつ、気泡生成部23tの厚さは発熱体3の厚さより小さい。気泡生成部23tの面積は、取り付け面11cの面積より小さい。
気泡生成部23tは、加熱部20tによって加熱されて、気泡25tを液体17中に生成する。気泡25tは、気泡生成部23tに固定されている。気泡25tは、微小な気泡である。気泡25tの直径は、例えば、100μm以下である。気泡25tの直径は、例えば、10μm以上である。気泡25tの周囲の液体17に、マランゴニ対流26tが生成される。
気泡生成部23tは、気泡生成部23から離間されている。気泡生成部23と気泡生成部23tとの間の間隔は、例えば、10mm以下である。気泡生成部23と気泡生成部23tとの間の間隔は、5mm以下であってもよく、3mm以下であってもよい。そのため、気泡生成部23と気泡生成部23tとが協働して、液体17の流れ27を生成し、かつ、液体17を攪拌することができる。
本実施の形態の冷却装置1tは、実施の形態9の冷却装置1qと同様に、温度センサ33と、コントローラ35とをさらに備える。
温度センサ33は、実施の形態9の温度センサ33と同様に、発熱体3の第1温度を直接的に測定する。温度センサ33は、実施の形態9の第1変形例の温度センサ33と同様に、発熱体3の第1温度を間接的に測定してもよい。電流源34は、加熱部20と加熱部20tとに電気的に接続されている。コントローラ35は、温度センサ33の出力信号に基づいて、加熱部20の第2温度と加熱部20tの第3温度とを調整する。
具体的には、発熱体3の温度が発熱体3の適正動作温度範囲を超えて上昇すると、温度センサ33からの出力信号の強度は閾値より大きくなる。温度センサ33からの出力信号の強度は閾値より大きいとコントローラ35が判断すると、コントローラ35は、電流源34から加熱部20と加熱部20tとに電流を供給する。加熱部20の第2温度が上昇して、気泡生成部23が加熱される。加熱部20tの第3温度が上昇して、気泡生成部23tが加熱される。気泡生成部23に気泡25が生成されるとともに、気泡生成部23tに気泡25tが生成される。気泡25の周囲の液体17にマランゴニ対流26が生成される。気泡25tの周囲の液体17にマランゴニ対流26tが生成される。マランゴニ対流26とマランゴニ対流26tとは、液体17の流れ27を生じさせる。発熱体3で発生した熱は、容器10及び液体17を通して、放熱部材18に伝達される。こうして、発熱体3は冷却される。
発熱体3の温度が発熱体3の適正動作温度範囲内になると、温度センサ33からの出力信号の強度は閾値以下になる。温度センサ33からの出力信号の強度は閾値以下であるとコントローラ35が判断すると、コントローラ35は、電流源34から加熱部20及び加熱部20tへの電流の供給を停止する。加熱部20の第2温度が低下して、気泡生成部23の温度も低下する。加熱部20tの第3温度が低下して、気泡生成部23tの温度も低下する。気泡25と気泡25tとは消滅する。マランゴニ対流26及びマランゴニ対流26tが消滅して、液体17の流れ27が減少する。そのため、発熱体3が過度に冷却されることが防止される。こうして、冷却装置1tは、発熱体3の温度を発熱体3の適正動作温度範囲内に保つことができる。
図22を参照して、本実施の形態の変形例の冷却装置1uを説明する。冷却装置1uでは、加熱部20の第2温度と加熱部20tの第3温度とは互いに独立して調整され得る。
具体的には、冷却装置1uは、電流源34に加えて、電流源34tを備える。コントローラ35は、電流源34と電流源34tとに、電気的に接続されている。電流源34は、加熱部20に電気的に接続されている。電流源34tは、加熱部20tに電気的に接続されている。コントローラ35は、温度センサ33の出力信号に基づいて、電流源34から加熱部20に供給される電流と、電流源34tから加熱部20tに供給される電流とを制御する。こうして、コントローラ35は、温度センサ33の出力信号に基づいて、加熱部20の第2温度と加熱部20tの第3温度とは互いに独立して調整することができる。
そのため、気泡25の生成と気泡25tの生成とを独立して制御することができる。マランゴニ対流26とマランゴニ対流26tとを独立して制御することができる。液体17に多様な流れ27を作り出すことができる。発熱体3の種類または発熱体3の周囲温度に応じて、発熱体3をより効率的にまたはより適切に冷却することができる。
例えば、コントローラ35は、加熱部20と加熱部20tとに交互に電流を供給して、気泡25と気泡25tとが交互に生成されてもよい。マランゴニ対流26とマランゴニ対流26tとが交互に生成されるため、液体17は、より激しく攪拌される。液体17の熱伝達能力が増加する。発熱体3で発生した熱は、容器10(例えば、容器10の第1壁11)及び液体17によって効率的に冷却される。
本実施の形態及びその変形例の冷却装置1t,1uでは、気泡生成部23,23tの数は二つであり、かつ、加熱部20,20tの数は二つであるが、気泡生成部23,23tの数は三つ以上であり、かつ、加熱部20,20tの数は三つ以上であってもよい。
本実施の形態の冷却装置1t,1uの効果は、実施の形態1の冷却装置1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の冷却装置1t,1uは、第2気泡生成部(気泡生成部23t)と、第2加熱部(加熱部20t)とをさらに備える。第2気泡生成部は、容器10に支持されており、かつ、液体17に接触している。第2加熱部は、第2気泡生成部を加熱する。第2気泡生成部は、第2気泡生成部に固定されている第2気泡(気泡25t)を液体17中に生成する。第2気泡の周囲の液体17に第2マランゴニ対流(マランゴニ対流26t)が生成される。そのため、液体17の流れ27をより速くし得る。液体17は、より激しく攪拌され得る。冷却装置1t,1uは、発熱体3をより効率的に冷却することができる。
本実施の形態の冷却装置1t,1uは、発熱体3の第1温度を直接的または間接的に測定する温度センサ33と、温度センサ33の出力信号に基づいて第1加熱部(加熱部20)の第2温度と第2加熱部(加熱部20t)の第3温度とを調整するコントローラ35とをさらに備える。そのため、発熱体3の種類または発熱体3の周囲温度に応じて、発熱体3をより効率的にまたはより適切に冷却することができる。冷却装置1t,1uは、発熱体3の温度を発熱体3の適正動作温度範囲内に保つことができる。
本実施の形態の冷却装置1uでは、第1加熱部(加熱部20)の第2温度と第2加熱部(加熱部20t)の第3温度とは互いに独立して調整され得る。そのため、液体17に多様な流れ27を作り出すことができる。冷却装置1uは、発熱体3の種類または発熱体3の周囲温度に応じて、発熱体3をより効率的にまたはより適切に冷却することができる。冷却装置1uは、発熱体3の温度を発熱体3の適正動作温度範囲内に保つことができる。
今回開示された実施の形態1から実施の形態10及びそれらの変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態1から実施の形態10及びそれらの変形例の少なくとも2つを組み合わせてもよい。例えば、実施の形態1及び実施の形態3から実施の形態10及びこれらの変形例において、実施の形態2のように、第1気泡生成部の気泡固定面に凹部24または粗面が形成されてもよい。本開示の範囲は、上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。