JP2017110568A - マイクロマシン - Google Patents
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Abstract
【課題】可動部の形状の自由度が高く、大きな駆動力を容易に得ることができるマイクロマシンを提供する。
【解決手段】一面に液体を保持する基板と、一面の液体を保持する領域に設けられた可動部と、領域において可動部の近傍に設けられた発熱部と、を有し、発熱部は、一面において保持される液体に可動部および発熱部が埋没した状態で駆動することにより、発熱部表面の液体中に気泡を生じさせ、可動部は、気泡の周囲の液体に生じるマランゴニ対流を駆動力として駆動するマイクロマシン。
【選択図】図3
【解決手段】一面に液体を保持する基板と、一面の液体を保持する領域に設けられた可動部と、領域において可動部の近傍に設けられた発熱部と、を有し、発熱部は、一面において保持される液体に可動部および発熱部が埋没した状態で駆動することにより、発熱部表面の液体中に気泡を生じさせ、可動部は、気泡の周囲の液体に生じるマランゴニ対流を駆動力として駆動するマイクロマシン。
【選択図】図3
Description
本発明は、マイクロマシンに関するものである。
近年、光硬化性樹脂に光照射して所望の三次元形状を造形する光造形法を用いて成形された、微細な構造を有するマイクロマシンが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されたマイクロマシン(流体制御デバイス)は、レーザー光の照射による遠隔操作が可能となっている。この流体制御デバイスでは、単一のレーザー光を可動部に選択的に照射して光トラッピングし、レーザー光の集光点の移動によって可動部を駆動させる光ピンセットと称される技術が適用されている。
特許文献1に記載のマイクロマシンでは、大きな駆動力を得るためには、光ピンセットのために高出力のレーザーが必要となり、装置が大型化してしまうという課題があった。また、光ピンセット技術を用いて駆動させるマイクロマシンでは、可動部に直接光を照射し光ピンセットを良好に作用させるために、可動部の形状や材料に多くの制約が生じ、設計の自由度が小さくなっていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、可動部の形状の自由度が高く、大きな駆動力を容易に得ることができるマイクロマシンを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、一面に液体を保持する基板と、前記一面の前記液体を保持する領域に設けられた可動部と、前記領域において前記可動部の近傍に設けられた発熱部と、を有し、前記発熱部は、前記一面において保持される前記液体に前記可動部および前記発熱部が埋没した状態で駆動することにより、前記発熱部表面の前記液体中に気泡を生じさせ、前記可動部は、前記気泡の周囲の前記液体に生じるマランゴニ対流を駆動力として駆動するマイクロマシンを提供する。
本発明の一態様においては、前記領域において前記発熱部の周囲に設けられた壁部を有し、前記壁部は、前記マランゴニ対流を前記可動部の駆動方向に応じた方向に整流する構成としてもよい。
本発明の一態様においては、前記可動部は、回転軸と、前記マランゴニ対流を受け前記回転軸の周りを回転自在に設けられた回転体、および前記マランゴニ対流を受け前記回転軸の周りを回動自在に設けられた回動体と、の少なくとも一方を有する構成としてもよい。
また、本発明の別の一態様は、一面に液体を保持する基板と、前記一面の前記液体を保持する領域に設けられた発熱部と、前記領域において前記発熱部の周囲に設けられた壁部と、を有し、前記発熱部は、前記一面において保持される前記液体に前記発熱部および前記壁部が埋没した状態で駆動することにより、前記発熱部の近傍の前記液体にマランゴニ対流を生じさせ、前記壁部は、前記マランゴニ対流により前記液体が流れる力を前記壁部の形状に応じた方向に整流するマイクロマシンを提供する。
本発明の一態様においては、前記発熱部は、前記基板上に設けられた発熱体と、前記発熱体に光を照射する光源と、を有する構成としてもよい。
本発明の一態様においては、前記発熱部は、複数の前記発熱体を有し、前記光源は、複数の前記発熱体に任意に前記光を照射可能に設けられている構成としてもよい。
本発明の一態様においては、前記発熱部は、前記発熱体における前記光の照射位置を走査可能な走査手段を有する構成としてもよい。
本発明によれば、可動部の形状の自由度が高く、大きな駆動力を容易に得ることができるマイクロマシンを提供することができる。
[第1実施形態]
以下、図1〜図3を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るマイクロマシンについて説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
以下、図1〜図3を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るマイクロマシンについて説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
図1は、本実施形態のマイクロマシン100を示す概略斜視図である。図に示すように、本実施形態のマイクロマシン100は、基板10と、可動部20と、発熱部30とを有している。
基板10は、表面(一面)10aに液体Sを保持する。このような基板10は、表面10aの面方向に広がる板状部材であってもよいが、平面形状に限るものではない。また、基板10は、液体Sを貯留する容器の一部であってもよい。
基板10としては、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板の形成材料としては、例えばアルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの樹脂材料などが挙げられる。透明基板としては、例えばガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)、またはこれらの複合材料など光透過性を備えた材料が挙げられる。本実施形態の基板10としては、透明基板を用いることとする。
可動部20は、回転軸21と、回転軸21を支持する支持部22と、回転軸21の周りを回転自在に設けられたプロペラ(回転体)23と、を有している。
回転軸21は、例えば表面10aの面方向に延在する棒状部材である。
支持部22は、回転軸21の両端に接続され、表面10aの上方の位置に回転軸21を支持する部材である。
プロペラ23は、軸方向に貫通孔231を有する円筒部23aと、円筒部23aの外壁面から放射状に延在して設けられた複数枚の回転翼23bと、を有している。図では、プロペラ23は回転翼23bを6枚有することとして示している。また、複数の回転翼23bは、円筒部23aの外周の周方向に等間隔に設けられている。
回転軸21は、プロペラ23の貫通孔231に挿通されている。支持部22は、貫通孔231に挿通された回転軸21を支持している。これにより、プロペラ23は、回転軸21の周りを回転自在となっている。
発熱部30は、表面10aに設けられた発熱体31と、発熱体31の周囲に設けられた壁部32と、発熱体31に光Lを照射する光源33と、を有している。
発熱体31は、表面が金属材料で覆われた板状部材である。発熱体31は、金属板または板状の芯材の表面に金属めっきを施した板材を用いることができる。板材の芯材は、形成材料として、可動部20や壁部32と同じものを用いることができる。発熱体31の表面を覆う金属材料としては、例えば銅を挙げることができる。
壁部32は、表面10aにおいて、発熱体31を取り囲むように設けられた筒状部材である。図では、壁部32は円筒状を呈するものとして記載している。壁部32の一端32aは、表面10aの上方に位置し開口している。
壁部32の他端32bは、表面10aに接している。また、他端32bの一部には、円筒状の壁部32の内側と外側とを接続する切欠き321が設けられている。図では、2箇所の切欠き321が、発熱体31を挟んで対向する位置に設けられている。
光源33は、光Lを射出することができれば種々のものを用いることができる。光源33としては、レーザー光源のように指向性の高い光を射出する光源を用いてもよく、水銀ランプ等のように拡散光を射出する光源を用いてもよい。また、光源33は、必要に応じ、公知の拡大光学系、集光光学系を有することとしてもよい。
上述した可動部20、発熱体31、壁部32はいずれも、公知の光造形技術を用いて形成することができる。例えば、可動部20、発熱体31、壁部32は、国際公開第07/011052号に記載の方法を用いて形成することができる。
光造形技術の分解能によれば、上述した可動部20、発熱体31、壁部32において最も細い部分のサイズが約0.1μm程度の大きさのものまで製造することができる。
本願発明において、マイクロマシンなどのようにマイクロと称する部材については、光造形技術において製造可能なサイズの部材を示す。したがって、0.1μm程度の大きさの部分加工が可能な、1μm〜数百μmサイズの部材による構造体をマイクロマシンと称する。
図2は、発熱部30を説明する概略断面図である。光源33から射出された光Lは、光透過性を有する基板10を介して発熱体31に照射され、発熱体31を加熱する。これにより、発熱体31の表面31aでは、液体Sの一部が気化し、液体Sの気泡Bを生じる。
また、発熱体31が発熱することにより、発熱体31の近傍の液体S1の方が、液体S1よりも相対的に発熱体31から遠い位置の液体S2よりも高温となる。
すると、気泡Bにおいては、「マランゴニ効果」により、発熱体31に近い側の表面の表面張力が、発熱体31から遠い側の表面の表面張力よりも小さくなる。図では、気泡Bにおける「発熱体31に近い側の表面」を符号X1で示し、「発熱体31に遠い側の表面」を符号X2で示す。このように気泡Bにおいて表面張力の差を生じることにより、気泡Bの周囲の液体Sには、「マランゴニ対流」が生じる。
すなわち、基板10の表面10aの面方向における気泡Bの近傍では、表面10aから離間する方向の流れ(上昇流)が生じ、表面10aの面方向において気泡Bから遠ざかった位置では、基板10の表面10aに近づく方向の流れ(下降流)が生じる。これにより液体Sが対流する。
本実施形態のマイクロマシン100においては、発熱体31の周囲に壁部32が設けられている。そのため、壁部32の近傍では、マランゴニ対流は、切欠き321から液体Sを吸い込む流れF1と、一端32aの開口部から液体Sを排出する流れF2と、に整えられる。流れF2は、一端32aの開口部方向にまとめられ、壁部32の一端32aから上方に向かう大きな流れFを形成する。
これにより、壁部32が無い場合と比べて、マランゴニ対流は、壁部32の形状に応じた方向に整えられる。
なお、このようにしてマランゴニ対流を整流する発熱部30は、本発明における「マイクロマシン」の一態様である。
図3は、本実施形態のマイクロマシン100の駆動の様子を示す概略断面図であり、図1における線分III−IIIにおける矢視断面図である。
マイクロマシン100を駆動する際には、まず、発熱部30により気泡Bを形成する。すなわち、光源33から光Lを射出し発熱体31を加熱して、発熱体31の表面31aに気泡Bを形成する。これにより、気泡Bの周囲ではマランゴニ対流(液体Sの流れF)が生じる。
可動部20のプロペラ23は、流れFにより動く液体Sを回転翼23bに受ける。これにより、可動部20では、プロペラ23が流れFの方向に応じて符号Dを付した矢印方向に回転する。
本実施形態のマイクロマシン100では、壁部32が可動部20のプロペラ23の駆動方向に応じてマランゴニ対流を整流し、大きな流れFを形成しているため、プロペラ23を容易に回転させることができる。
なお、発熱体31が発熱することにより、発熱体31の近傍の液体Sと発熱体31から遠い位置の液体Sとでは温度差を生じ、温度勾配に起因する対流を生じる。しかし、このような温度勾配に起因した対流は、液体Sの流速が遅い。そのため、このような温度勾配に起因した対流のみでは、プロペラ23を回転させる駆動力を得にくい。
一方で、本実施形態のマイクロマシン100では、上述したように発熱体31の表面に液体Sの気泡Bを生じさせることにより、液体Sにマランゴニ対流を生じさせ、このマランゴニ対流を、プロペラ23を回転させる駆動力として利用している。マランゴニ対流は、上述した液体Sの温度勾配に起因した対流と比べて流速が速いため、大きな駆動力を得やすい。そのため、良好に可動部20を可動させることが可能となる。
また、本実施形態のマイクロマシン100では、発熱部30を制御することにより、マランゴニ対流の強さを制御し、プロペラ23の回転速度を制御することができる。例えば、発熱部30が有する光源33から射出された光Lの強さを制御することで、発熱体31の発熱量を制御することができる。これにより、発熱体31の表面に生じる気泡Bの大きさや、図2における符号X1の表面張力と、符号X2の表面張力との差が変化する。その結果、マランゴニ対流の強さを制御することができる。
一例として、マイクロマシン100では、光源33から射出する光Lの光量を上げるほど、プロペラ23の回転速度が上がる。
以上のような構成のマイクロマシン100によれば、大きな駆動力を容易に得ることができ、良好に可動部を駆動させることができる。
また、従来のマイクロマシンのように、可動部に直接光をあてて光ピンセットにより可動部を動かす場合には、光ピンセットが良好に機能するように可動部の形状や材質を最適化する必要があった。
対して、本実施形態のマイクロマシン100のように、マランゴニ対流を駆動力とする場合、可動部が対流を受けて駆動可能な形状を有してさえいれば、種々の形状や材質の可動部を動かすことが可能である。したがって、可動部の形状の自由度が高くなる。
すなわち、本実施形態のマイクロマシン100によれば、可動部の形状の自由度が高く、大きな駆動力を容易に得ることができる。
なお、本実施形態においては、発熱部30が壁部32を有することとしたが、壁部32がなくても本発明の効果を奏する。
また、本実施形態においては、発熱部30が発熱体31と、発熱体31に光Lを照射する光源33と、を有する構成としたが、これに限らない。発熱体31の表面に気泡を生じさせ、マランゴニ対流を発生させることができるならば、発熱体31に配線を接続して通電し、発熱体31の抵抗発熱により発熱体31を加熱する構成としてもよい。
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係るマイクロマシン200の説明図であり、図1に対応する図である。本実施形態のマイクロマシン200は、第1実施形態のマイクロマシン100と一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4は、本発明の第2実施形態に係るマイクロマシン200の説明図であり、図1に対応する図である。本実施形態のマイクロマシン200は、第1実施形態のマイクロマシン100と一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
マイクロマシン200が有する発熱部40は、一対の発熱体411,412と、一対の光源421,422とを有している。
発熱体411、412は、基板10の表面10aに設けられている。発熱体411、412は、第1実施形態の発熱体31と同様の構成のものを使用可能である。発熱体411,412は、可動部20の回転軸21の延在方向と交差する方向において、可動部20の両側に配置されている。
光源421は、発熱体411に照射する光L1を射出する。光L1が照射された発熱体411は、光L1を吸収し発熱する。すると、発熱体411の表面に液体Sの気泡B1が生じ、液体Sにマランゴニ対流を生じる。
同様に、光源422は、発熱体412に照射する光L2を射出する。光L2が照射された発熱体412は、光L2を吸収し発熱する。すると、発熱体412の表面に液体Sの気泡B2が生じ、液体Sにマランゴニ対流を生じる。
このようなマイクロマシン200では、光源421から光L1を照射し発熱体411を加熱すると、符号D1を付した矢印方向にプロペラ23を回転させる駆動力が生じる。一方、光源422から光L2を照射し発熱体412を加熱すると、符号D2を付した矢印方向にプロペラ23を回転させる駆動力が生じる。
これにより、マイクロマシン200では、プロペラ23の回転方向をD1,D2の両方向に制御可能である。また、例えば、プロペラ23が符号D1の矢印方向に回転している際に、光源422から光L2を照射し発熱体412を加熱すると、プロペラ23を符号D1の矢印方向に回転させる駆動力が生じる。そのため、プロペラ23の符号D1方向への回転にブレーキを掛けることができる。
以上のようなマイクロマシン200によっても、可動部の形状の自由度が高く、大きな駆動力を容易に得ることができる。また、可動部の駆動を良好に制御可能である。
なお、上記実施形態においては、基板10の表面10aに発熱体411,412の2枚の発熱体を設けることとしたが、さらに多くの発熱体を設けることとしても構わない。この場合、複数の発熱体と同数の光源を設けて発熱体に光Lを照射することとしてもよく、1つの光源が2以上の発熱体に光Lを照射することとして、光源の数を減らすこととしてもよい。
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態に係るマイクロマシン300の説明図であり、図1に対応する図である。
図5は、本発明の第3実施形態に係るマイクロマシン300の説明図であり、図1に対応する図である。
マイクロマシン300が有する可動部50は、回転軸51と、回転軸51の周りを回転自在に設けられたプロペラ(回転体)23と、を有している。
回転軸51は、基板10の表面10aの垂直方向に延在する棒状部材である。回転軸51は、プロペラ23の貫通孔231に挿通されている。また、回転軸51の上端部には貫通孔231よりも径が大きい頭部51aが形成されている。これにより、プロペラ23の抜け止めがなされている。
このような可動部50では、プロペラ23が回転軸51の周りを回転自在となっている。すなわち、マイクロマシン300では、可動部50のプロペラ23は、表面10aに沿って回転可能に設けられている。
マイクロマシン300が有する発熱部60は、第1実施形態の発熱部30から壁部32を除いたものと同じ構成となっている。すなわち、発熱部60は、発熱体61と、発熱体61に光Lを照射する光源63と、を有している。
このようなマイクロマシン300では、発熱部60により発熱体61の表面61aに気泡Bを生じさせ、生じるマランゴニ対流によりプロペラ23を回転させることができる。
以上のようなマイクロマシン300によっても、可動部の形状の自由度が高く、大きな駆動力を容易に得ることができる。
[第4実施形態]
図6は、本発明の第4実施形態に係るマイクロマシン400の説明図であり、図1に対応する図である。
図6は、本発明の第4実施形態に係るマイクロマシン400の説明図であり、図1に対応する図である。
マイクロマシン400が有する発熱部70は、発熱体71と、光Lを射出する光源72と、発熱体71における光Lの照射位置を走査可能な走査手段73と、を有している。
発熱体71は、基板10上で一方向に延在して設けられた帯状の部材である。発熱体71の形成材料としては、上述の発熱体31と同様のものを用いることができる。
走査手段73としては、公知の構成を用いることができる。例えば、走査手段73としてガルバノミラーを用いることができる。
このようなマイクロマシン400では、走査手段73により光Lの照射位置を変更することにより、発熱体71の加熱位置を変更することができる。発熱体71の表面71aにおいては、光Lの照射位置に対応して気泡Bが生じる。そのため、光Lの照射位置を変更することにより、発熱体71の表面に生じる気泡Bの位置を動かすことができる。これにより、気泡Bの周囲で生じるマランゴニ対流の発生位置を変更することができる。
上述のように気泡Bの位置が変化すると、プロペラ23に伝わるマランゴニ対流の強さが変わるため、プロペラ23の駆動力が変化する。したがって、プロペラ23の回転数を変更することができる。
以上のようなマイクロマシン400によっても、可動部の形状の自由度が高く、大きな駆動力を容易に得ることができる。また、可動部の駆動を良好に制御可能である。
なお、本実施形態のマイクロマシン400は、第3実施形態で示した可動部50を備えることとして説明したが、これに限らない。
例えば、図7に示すマイクロマシン500のように、第1実施形態、第2実施形態で示した可動部20を備えるマイクロマシンにおいて、本実施形態の発熱部70を適用することもできる。その場合、図に示すように発熱体71は、プロペラ23の下部、すなわち基板10の法線方向からの視野においてプロペラ23と重なる位置に設けるとよい。また、発熱体71は、回転軸21と交差する方向に延在して設けられているとよい。この場合、発熱体71は、回転軸21と直交する方向に延在していると好ましい。
例えば、図7に示すマイクロマシン500のように、第1実施形態、第2実施形態で示した可動部20を備えるマイクロマシンにおいて、本実施形態の発熱部70を適用することもできる。その場合、図に示すように発熱体71は、プロペラ23の下部、すなわち基板10の法線方向からの視野においてプロペラ23と重なる位置に設けるとよい。また、発熱体71は、回転軸21と交差する方向に延在して設けられているとよい。この場合、発熱体71は、回転軸21と直交する方向に延在していると好ましい。
このようなマイクロマシン500であっても、走査手段73により光Lの照射位置を変更することで気泡Bの位置を動かし、プロペラ23の回転数を変更することができる。例えば、気泡を、回転軸21の下部に発生させると、プロペラ23を停止させることができる。また、気泡を、基板10の法線方向からの視野において回転軸21と重なる位置から発熱体71の両端のいずれかに近づけて発生させると、プロペラの回転方向および回転速度を制御することができる。気泡B1を発生させると、符号D1を付した矢印方向にプロペラ23を回転させる駆動力が生じる。気泡B2を発生させると、符号D2を付した矢印方向にプロペラ23を回転させる駆動力が生じる。
[第5実施形態]
図8は、本発明の第5実施形態に係るマイクロマシン600の説明図であり、図1に対応する図である。
図8は、本発明の第5実施形態に係るマイクロマシン600の説明図であり、図1に対応する図である。
マイクロマシン600が有する発熱部40は、一対の発熱体411,412と、一対の光源421,422とを有している。発熱部40としては、第2実施形態における発熱部40と同じ構成のものを用いることができる。
マイクロマシン600が有する可動部80は、回動軸81と、回動軸81の周りを回動自在に設けられたアーム部(回動体)82と、を有している。
回動軸81は、基板10の表面10aの垂直方向に延在する棒状部材である。
アーム部82は、軸方向に貫通孔821を有する円筒部82aと、円筒部82aの外壁面から突出して設けられたアーム82bと、を有している。アーム部82の形状は適宜変更可能である。
回動軸81は、アーム部82の貫通孔821に挿通されている。また、回動軸81の上端部には貫通孔821よりも径が大きい頭部81aが形成されている。これにより、アーム部82の抜け止めがなされている。
このような可動部80では、アーム部82が回動軸81の周りを回動自在となっている。
このようなマイクロマシン600では、光源421から光L1を照射し発熱体411を加熱すると、発熱体411の表面に生じた気泡B1がマランゴニ対流を形成する。また、光源422から光L2を照射し発熱体412を加熱すると、発熱体412の表面に生じた気泡B2がマランゴニ対流を形成する。可動部80では、これらのマランゴニ対流を駆動力としてアーム部82が回動する。
すなわち、マイクロマシン600では、発熱体411および発熱体412のいずれの表面に気泡を生じさせるかを制御することにより、アーム部82の回動を制御することができる。
以上のようなマイクロマシン600によっても、可動部の形状の自由度が高く、大きな駆動力を容易に得ることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
10…基板、10a…表面(一面)、20,50,80…可動部、21,51…回転軸、23…プロペラ(回転体)、30,40,60,70…発熱部、31,61,71,411,412…発熱体、32…壁部、33,63,72,421,422…光源、73…走査手段、82…アーム部(回動体)、100,200,300,400,500,600…マイクロマシン、B,B1,B2…気泡、L,L1,L2…光、S…液体
Claims (7)
- 一面に液体を保持する基板と、
前記一面の前記液体を保持する領域に設けられた可動部と、
前記領域において前記可動部の近傍に設けられた発熱部と、を有し、
前記発熱部は、前記一面において保持される前記液体に前記可動部および前記発熱部が埋没した状態で駆動することにより、前記発熱部表面の前記液体中に気泡を生じさせ、
前記可動部は、前記気泡の周囲の前記液体に生じるマランゴニ対流を駆動力として駆動するマイクロマシン。 - 前記領域において前記発熱部の周囲に設けられた壁部を有し、
前記壁部は、前記マランゴニ対流を前記可動部の駆動方向に応じた方向に整流する請求項1に記載のマイクロマシン。 - 前記可動部は、回転軸と、
前記マランゴニ対流を受け前記回転軸の周りを回転自在に設けられた回転体、および前記マランゴニ対流を受け前記回転軸の周りを回動自在に設けられた回動体と、の少なくとも一方を有する請求項1または2に記載のマイクロマシン。 - 一面に液体を保持する基板と、
前記一面の前記液体を保持する領域に設けられた発熱部と、
前記領域において前記発熱部の周囲に設けられた壁部と、を有し、
前記発熱部は、前記一面において保持される前記液体に前記発熱部および前記壁部が埋没した状態で駆動することにより、前記発熱部の近傍の前記液体にマランゴニ対流を生じさせ、
前記壁部は、前記マランゴニ対流により前記液体が流れる力を前記壁部の形状に応じた方向に整流するマイクロマシン。 - 前記発熱部は、前記基板上に設けられた発熱体と、
前記発熱体に光を照射する光源と、を有する請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロマシン。 - 前記発熱部は、複数の前記発熱体を有し、
前記光源は、複数の前記発熱体に任意に前記光を照射可能に設けられている請求項5に記載のマイクロマシン。 - 前記発熱部は、前記発熱体における前記光の照射位置を走査可能な走査手段を有する請求項5に記載のマイクロマシン。
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CN108527315A (zh) * | 2018-05-03 | 2018-09-14 | 复旦大学 | 一种点光源驱动的微型机器人及其制备方法 |
CN108527315B (zh) * | 2018-05-03 | 2021-04-30 | 复旦大学 | 一种点光源驱动的微型机器人及其制备方法 |
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