本明細書において、本発明者らは、実質的に印刷工程(又は、その一部分)が終了した段階で、3DP部品の内部に伝導(又は、絶縁)トラックを追加する単純な手法を提案する。電気的コンポーネント(例えば、表面実装デバイス(SMD:surface mount device)、有機発光デバイス(OLED:organic light emitting device)、(小型)プリント基板(PCB:printed circuit board)、センサ、薄膜トランジスタ(TFT:thin film transistor)回路(例えば、これは、可撓性の箔上に印刷される))などの機能的コンポーネントは、印刷工程中、例えば、採取及び配置ツールを使用することにより、又は、ロールツーロール工程を使用して可撓性の回路を挿入することにより、様々な層内に埋設される。次の表は、使用され得るいくつかの3DP工程と、最適であり得る挿入方法とを示す。最後に、伝導トラックは、3DP部品内部に形成された中空トンネル内に液体(伝導性又は絶縁性)を注入することにより追加される(これは、代替的又は追加的に、液浴内にコンポーネントを浸すことによっても実行される)。液体は、例えば、チャネルの内部で硬化され、又は、チャネルが、内部に液体を維持するために封止される。
したがって、第1の態様において、本発明は、3D印刷された物体(「物体」又は「3D物体」)の製造のための方法を提供し、本方法は、(i)3D印刷段階を含み、3D印刷段階が、3D印刷可能材料を3D印刷して、(少なくともこの印刷可能材料から)3D印刷された物体を提供することを含み、3D印刷段階が、3D印刷中に、(構築中の)3D印刷された物体内にチャネルを形成すること(すなわち、実際に3Dチャネルを印刷すること)をさらに含む、本方法は、(ii)流動性材料によりチャネルを充填することであって、流動性材料が、機能材料を含み、機能材料が、導電性の性質と、熱伝導性の性質と、放射線透過性の性質と、磁気的な性質とのうちの1つ又は複数を含む、充填することと、機能材料を固定することと、を含む充填段階をさらに含む。本明細書において、「放射線透過性の性質」という用語は、特に、UV放射線、可視放射線、及びIR放射線に対して透過性の材料を表し、本明細書において、さらに、「光透過性の性質」とも呼ばれる。
このような方法により、例えば、(高)電気伝導トラックが形成される。さらに、このような方法により、3D印刷された物体内に完全に埋設された機能的コンポーネント(ただし、部分的に埋設されたものも選択肢となり得る)を含む3D印刷された物体を提供することが可能である。さらに、頑丈な電気伝導トラックが、比較的簡単な方法で提供される。例えば、電気めっきなどを含む従来技術の解決策を使用すると、流動性材料が漏れ、及び/又は、電気的なトラックが比較的弱くなることがある。さらに、本発明により提供される電気伝導トラックは、例えば、特定の導電ポリマーを使用したものなどの代替的な選択肢を使用して提供される電気伝導トラックよりはるかに高い導電性をもち得る。さらに、本発明によると、この時点で、3D構造物の内部の「厳密に」正しい場所に、より高い精度で相互接続構造物を(例えば、電気的に)配置することが可能である。例えば、外部トラックを付加するとき、これは、はるかに複雑であり、損傷を受けやすいものとなり得る。
「3D印刷された物体」又は「3D物体」という用語は、高さと幅と長さとをもつ物体などの(付加製造工程である)3D印刷により得られる三次元物体を表す。3D(又は、3DP)物体は、原則として、3D印刷可能な任意の物体である。これは、使用上の機能をもつ物品であるか、又は、純粋に装飾的な物品である。これは、例えば、車、家、建物などの物品の拡縮モデルであってもよい。さらに、3D物体は、例えば、レンズ、鏡、反射体、窓、コリメータ、導波路、色変換素子(すなわち、発光材料を含む)、冷却要素、固定要素、導電要素、筐体、機械的支持要素、感知要素などの、別のデバイス又は装置において使用するための部品又は要素であってもよい。3D印刷された物体は、3D印刷された材料を含む。
付加製造(AM)は、主に、付加工程を通して、3Dモデル又は他の電子データ源から三次元物体を製造する工程のグループである。したがって、「3D印刷」という用語は、「付加製造」又は「付加製造方法」と実質的に同じである。付加工程は、(焼結、融解、又は接着による)粒子の結合、又は、(層の連続的な堆積又は製造、例えば、重合による)材料の層の結合などを伴う。広く使用される付加製造技術は、熱溶融積層法(FDM)として知られている工程である。熱溶融積層法(FDM)は、モデリング、試作品形成、及び製造用途のために一般的に使用される付加製造技術である。FDMは、材料を層に拡げることにより「付加」原理上で働き、プラスチックフィラメント又は金属線がコイルからほどかれて材料を供給し、部品を形成する。場合によっては(例えば、熱可塑性樹脂の場合には)、フィラメントが融解され、押し出されてから配置される。FDMは、迅速な試作品形成技術である。FDMに対する別の用語は、「熱溶融フィラメント製法」(FFF:fused filament fabrication)である。本明細書において、FDM又はFFFと同じと考えられる「フィラメント3D印刷」(FDP:filament 3D printing)という用語が使用される。概して、FDM印刷機は、熱可塑性フィラメントを使用し、熱可塑性フィラメントは、その融点まで加熱されてから、層単位で(又は、実際にはフィラメント単位で)押し出し成型されて三次元物体を形成する。FDM印刷機は、複雑な物体を印刷するために使用される。したがって、一実施形態において本方法は、FDM 3D印刷により3D印刷された物体の製造を含む。
3D印刷された物体は、特に、(少なくとも部分的に)、3D印刷可能材料(すなわち、3D印刷のために使用される材料)により形成される。
概して、これらの(ポリマー)材料は、ガラス転移温度Tg及び/又は融解温度Tmをもつ。3D印刷可能材料は、(例えば、FDMを想定した場合)ノズルを離れる前に3Dプリンタにより、少なくともガラス転移温度まで、及び、概して、少なくとも融解温度の温度まで加熱される。したがって、一実施形態において、3D印刷可能材料は、例えば、ガラス転移温度(Tg)及び/又は融点(Tm)をもつ熱可塑性ポリマーを含み、印刷機ヘッドの動作は、レシーバアイテムとレシーバアイテム上に堆積された3D印刷可能材料とのうちの1つ又は複数を、少なくともガラス転移温度の温度まで、特に、少なくとも融点の温度まで加熱することを含む。さらなる別の実施形態において、3D印刷可能材料は、融点(Tm)をもつ(熱可塑性)ポリマーを含み、印刷機ヘッドの動作は、レシーバアイテムとレシーバアイテム上に堆積された3D印刷可能材料とのうちの1つ又は複数を少なくとも融点の温度まで加熱することを含む。(本明細書において)使用され得る材料の特定の例は、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリスチレン(PS)、リグニン、ゴムなどからなる群から選択される。
上に示したように、例えば、インクジェット印刷、ステレオリソグラフィ、噴霧印刷、粉末床印刷などのFDM以外の技法も適用され得る。上に示したように、どのような印刷可能材料が使用されても、印刷可能材料は、特に、導電化学種又はその前駆体を含む。「印刷可能材料」という用語は、複数の異なる3D印刷可能材料をさらに表す。「印刷可能材料」という用語は、特に、印刷され得る材料を表す。例えば、FDMの場合、印刷可能材料は、流動性のある加熱されたポリマーを含み得る。印刷可能材料は、室温で固体であり得るが、加熱により、印刷可能になり(すなわち特に、流動性をもち)得る。この加熱は、特に、流動性又は印刷可能材料を提供することが意図される。ステレオリソグラフィの場合、印刷可能材料は、(レーザー放射などの光による)硬化性の液体材料などを含む。インクジェット印刷の場合、印刷可能材料は、(堆積後に気化し(され)得る)液体内に粒子を含む。粉末の結合の場合、印刷可能材料は、結合材(接着剤)により一体的に保持された粒子を含む。粉末の焼結又は融解の場合、印刷可能材料は、熱を印加することにより一体的に焼結又は融解される粒子を含む。
上に示したように、本方法は3D印刷段階を含み、3D印刷段階は、3D印刷可能材料を3D印刷して、少なくとも印刷可能材料から3D印刷された物体を提供(すなわち、3D印刷された物体を製造)することを含む。「印刷された材料」という用語は、特に本明細書において、堆積又は印刷された印刷可能材料を表す。したがって、「印刷可能材料」という用語は、本明細書において特に、(まだ)堆積又は印刷されていない材料を表す。印刷段階は、とりわけ、硬化をさらに含む。例えば、印刷された材料は、印刷後に硬化され得、その後、さらに硬化され印刷された材料上にさらに印刷される。
さらに、印刷段階は、印刷可能材料の3D印刷前、印刷可能材料の印刷中、及び印刷可能材料の印刷後に、機能的コンポーネントを提供することをさらに含む。印刷可能材料の印刷は、特に、段階的な工程(層単位の形成)であるので、例えば、印刷中、機能的コンポーネントは、構築中の3D印刷された物体に追加され得、その後さらに、印刷可能材料の印刷が続く。「構築中」という用語は、特に、3D印刷物体の最初の部分の印刷(t=0)から3D印刷された物体の最後の部分の印刷までの間の時間枠を示す。特に、t=0と最後の印刷動作との間に得られる製品も、本明細書において、3D物体として示される。しかし、この物体は、製造中である場合、「構築中の3D物体」又は同様の用語で表現される場合もある。例えば、この用語は、3D印刷工程中、特定の動作が実行されることを強調するために使用され得る。
印刷段階は、3D印刷中に、(構築中の)3D印刷された物体内にチャネルを形成することをさらに含む。これは、一部分すなわちチャネルに、印刷された材料が存在しない状態を保つことにより、3D印刷された物体内に意図的にチャネルが形成されることを意味する。チャネルは、3D印刷中に提供される。3D印刷は、3D物体をもたらす。したがって、3D印刷段階は、3D印刷中に、構築中の3D印刷された物体内にチャネルを形成することを(さらに)含む。したがって、実際にチャネルが印刷されるのであり、すなわち、3D印刷中にチャネルが形成されるような手法で3D物体が印刷される。3D印刷中、一部分が、機能的に3D印刷可能材料が存在しない状態に残される(それにより、チャネルを形成する)。
もちろん、3D物体は、複数のチャネルを含み得る。「チャネル」という用語は、複数のチャネルをさらに表し得る。例えば、電気的な用途の観点では、チャネルは、電気回路を提供するため、通常、2つのチャネルのセットとして提供される。チャネルは、任意の(機能的な)長さをもち得る。さらに、チャネルの断面は、円形、正方形、長方形などであってもよい。さらに、例えば、実施形態において、チャネルは、層様形状をもち得る。概して、等価直径(2×sqrt(面積/π)、式中、sqrtは、平方根の略語である)は、0.05~100mm、例えば、0.2~50mmの範囲内であり、3D物体の寸法に応じて決まる。上に示したように、この等価直径に適合する場合でも、断面の形状は、チャネル長にわたって変動し得る(しかし、依然として、実質的にチャネルの全長にわたって、示される範囲に実質的に適合する)。異なる種類のチャネルも形成され得る。
チャネルの充填は、印刷中に行われる。例えば、チャネルの一部分が形成されるか、又は、チャネルの準備が整うと、次に、チャネルが流動性材料により充填された後、任意選択的な硬化が続き、さらなる3D印刷が続き、このさらなる3D印刷は、任意選択的に、チャネルの生成と流動性材料によるチャネルの充填とをさらに含んでもよい。しかし、さらなる別の一実施形態において、まず、物体が実質的に完全に3D印刷された後、チャネルの充填が続く。したがって、本方法は、(ii)流動性材料によりチャネルを充填することを含む充填段階をさらに含み得る。
「印刷段階」及び「充填段階」という用語は、(実際に、本明細書において説明される方法の一実施形態である)3D印刷された物体の完全な印刷と、その後の充填することとを必ずしも含むとは限らないが、逐次的に適用される複数のこのような段階をさらに含み得る。しかし、一実施形態において、3D物体は、まず(完全に印刷された後)、流動性材料によるチャネルの充填が続く。
上に示したように、流動性材料は、機能材料を含む。したがって、機能材料は、例えば、低融点はんだなどの流動性機能材料として(構築中の)3D印刷された物体内に導入される(後述の詳細を参照されたい)。代替的又は追加的に、機能材料は、(流動性及び硬化性)ポリマーを含む銀などの流動性担体により導入される(後述の詳細を参照されたい)。任意選択的に、流動性材料により充填する前、チャネルのチャネル壁が、例えば、流動性材料の導入をしやすくする被膜を使用して機能的にされ得る。例えば、水性の流動性材料が使用される場合など、疎水チャネル壁がより親水性にされ得る。このような機能化は、チャネルボリュームとチャネル等価直径とを(わずかに)小さくすることにつながり得る。
概して、機能材料により充填されたチャネルを含む、印刷された材料の総ボリュームに対する(機能材料により充填された)チャネルの総チャネルボリューム(以下を参照されたい)は、0.05~20vol%、例えば、0.5~10vol%の範囲内である。さらに、概して、チャネルは、チャネルボリュームの少なくとも70vol%、例えば、少なくとも80vol%の範囲内、さらには特に、少なくとも90vol%を機能材料により充填され、例えば、実質的に完全に機能材料により充填される。したがって、一実施形態においてチャネルは、機能材料により少なくとも90vol%充填される。
チャネルは、注射器を使用するなどして、例えば、流動性液体を注入することにより、液体(流動性材料)により充填される。しかし、3D印刷された物体は、例えば、さらに、流動性材料内に浸される(沈められる)。
特に、流動性材料は、例えば、20℃において2mPa・s以上、例えば、5mPa・s以上、一例において、10mPa・s以上、例えば、50mPa・s以上、特に、100mPa・s以上、一例において、20℃において0.5Pa・s以上といった水より大きな粘性をもつ。しかし、特に、20℃における流動性材料の粘性は、100mPa・s以下、例えば、50mPa・s以下である。水より大きな比較的高い粘性をもつ、例えば、少なくとも2倍の粘性の流動性材料を使用することは、特に、粉末印刷又はフィラメント印刷された3D物体の観点で、有益と考えられる。本例において、機能材料を固定する前に粘性が現れる。追加的又は代替的に、真空が充填を補助し得る。したがって、さらなる一実施形態において、充填段階は、3D印刷された物体を大気圧未満の圧力にさらすことを含む、続いて、流動性材料によりチャネルを充填する。代替的又は追加的に、(構築中の)3D印刷された物体内の充填されるチャネルに接続された開口は、真空吸入口として使用される。したがって、実施形態において、流動性の観点から高温で流動性材料を提供することが必要とされる。これは、本分野で知られている。したがって、流動性という用語は、50~150℃の範囲内の温度まで加熱されたときに流動性又は液体であるなど、使用温度において流動性又は液体であることも表し得る。「チャネルを充填する」という語句は、特に、(流動性又は液体材料の使用温度における、すなわち、流動性材料又は液体材料により充填するときの)流動性材料又は液体材料の使用を意味する。「流動性材料」という用語は、複数の流動性材料又は液体材料も表し得る。それらは、同時に、又は逐次的にチャネル内に導入され得る。
さらに、分岐の使用は、流動性材料によりチャネルを充填することを補助する。分岐構造を含むことで、チャネルは、2つ又は3つ(「交差する」)又はそれ以上のチャネルに分割(「純粋に分岐」)し得る。したがって、一実施形態において、チャネルは、分岐構造を備える。特に、分岐は、2つ以上の出口(又は、入口)を提供する。
チャネルを充填した後、機能材料が固定される。一実施形態において、(a)チャネルを閉鎖することと、(b)流動性材料を含む機能材料を硬化することとのうちの1つ又は複数により、機能材料が固定される。上述の実施形態において、流動性材料は、その流動性の性質を維持し得るが、チャネルの閉鎖により流れが実質的に抑制される。したがって、特に、このような実施形態において、流動性材料により充填されたチャネルは、少なくとも90vol%、さらには特に、少なくとも95vol%、例えば特に、少なくとも98vol%である。これは、後者の実施形態についても当てはまり得るが、硬化することにより、流動性材料は、もはや流れることが不可能であり得る材料に変換される。しかし、さらに、本実施形態において、チャネルは、少なくとも90vol%、さらには特に、少なくとも95vol%、例えば特に、少なくとも98vol%、流動性材料により充填される。さらに、本実施形態においても、充填後、例えば、美観上及び/又は安全上の理由から、チャネルが閉鎖され得る。したがって、固定化は、とりわけ、例えば、少なくとも90vol%ぶん(実質的に完全に)チャネルを充填することと、チャネルを閉鎖することとにより達成される。代替的又は追加的に、固定化は、とりわけ、流動性材料によりチャネルを充填することと、流動性材料を硬化することとにより達成される。したがって、流動性材料は、硬化性材料を含み得る。任意選択的に、機能材料は、硬化性の材料群を含むが、代替的又は追加的に、流動性材料は、(機能材料に加えて)硬化性材料を含む。
流動性材料は、特に、(硬化時)低収縮(典型的には、数ボリューム%未満)であり得、熱膨張係数は、特に、工程によりもたらされる残留応力を小さくするため、印刷されたデバイスのとり得る動作温度の範囲内で、3D印刷された材料(の熱膨張)に近くなければならない。したがって、特に印刷された材料の熱膨張と(硬化された)流動性材料の熱膨張との比は、特に、0.6~1.4、一例において、0.7~1.3、例えば、0.8~1.2、一例において、0.9~1.1の範囲内である。
上に示したように、流動性材料は、一実施形態において、硬化性材料を含む。本分野で知られるように、硬化は、例えば、1つ又は複数の光及び熱により実行される。3D物体がUV放射線と可視放射線とIR放射線とのうちの1つ又は複数に対して透過性である材料などの放射線透過性材料を含む場合、さらに光/放射により硬化することも適用される。代替的又は追加的に、熱が適用され得る。したがって、特に、硬化性材料は、熱硬化性材料である。したがって、一実施形態において、硬化性材料が熱硬化性材料を含み、本方法は、3D印刷された物体の少なくとも一部分を熱にさらすこと(硬化性材料を硬化すること)をさらに含む。したがって、3D物体は、例えば、熱により、構築中及び/又は終了後に硬化される。したがって、本方法の一実施形態において、流動性材料は、硬化性材料を含み、本方法は、流動性材料を硬化させて、硬化された流動性(機能)材料を提供することをさらに含む。さらなる特定の実施形態において、流動性材料が熱硬化性材料を含み、本方法は、(構築中の)3D印刷された物体の少なくとも一部分を熱にさらす(ことにより熱硬化性材料を硬化する)ことをさらに含む。代替的又は追加的に、本方法の一実施形態において、流動性材料が重合可能材料を含み、本方法は、流動性材料を重合して、重合した流動性(機能)材料を提供することをさらに含む。したがって、これも、機能材料を固定するための選択肢となり得る。異なる固定化方法が組み合わされ得る。
流動性材料がチャネル内に導入されて、機能材料を含む3D物体が提供される。この機能材料は、機能要素に機能的に接続される(後述の詳細を参照されたい)。
特に、機能材料は、導電性の性質と、熱伝導性の性質と、放射線透過性の性質と、磁気的な性質とのうちの1つ又は複数をもつ。上に示したように、(3D印刷された物体内に)このような機能材料が固定される。「導電性の性質」という用語及び同様の用語は、材料が導電性であることを意味し、これは、本明細書において示される機能材料の他の機能的な性質にも同様に適用される。
特定の実施形態において、機能材料は、導電性の性質をもち、チャネルは、電気伝導トラック又はワイヤとして使用される。したがって、一実施形態において、流動性材料は、ポリマーを含む銀粒子などの、ポリマーを含む金属粒子を含む。このようなポリマーは、例えば、WO2013191760において説明され、同文献は、参照により本明細書に組み込まれる。したがって、一実施形態において、流動性材料は、銀含有ポリマー複合材料を含む。銀充填シリコーン粒子を含む銀の凝固に対する安定性をもち、特に、銀の充填量を銀充填シリコーン粒子の総量の約0.1から約70wt%の範囲内とし、銀充填シリコーン粒子は、特に、ポリマーの調合物の約0.01から約50wt%の範囲内でポリマー、ポリマー混合物、又はポリマー複合材料のうちの1つ又は複数を含むポリマーの調合物内に充填される。さらに、特に、銀充填シリコーン粒子は、銀の充填量を銀充填シリコーン粒子の総量の約0.1から約50wt%の範囲内とする。特に、ポリマーを含む銀粒子などのポリマーを含む金属粒子は、硬化性である。このように、導電チャネルが提供される。別の一実施形態において、流動性材料は、50~400℃の範囲から選択される温度で融解する低融点はんだを含む。例えば、流動性材料は、例えば、SnBi、SnBiAg、SnBiCu、SnInなどの低温Snベースのはんだ合金などの、任意の伝導性液体又は溶融合金を含む。さらに別の一実施形態において、流動性材料は、プリント基板産業において広く使用される導電インク(例えば、ICA(isotropically conductive adhesive)(等方性導電接着剤))を含む。安価なイオン伝導性液体、例えば、水道水を使用してコスト削減を実現することも可能である。したがって、(このような実施形態における)印刷可能材料、又は、少なくとも結果的に得られる印刷された材料は、電気絶縁性の性質をもつ。
3D印刷された物体が実質的に印刷され(さらに、任意選択的な硬化が実行され)たとき、最後の(3D印刷)動作が実行され得、例えば、閉鎖層を提供してチャネルの開口を閉鎖する。したがって、一実施形態において、本方法は、(iii)充填段階の後に仕上げ段階をさらに含み、仕上げ段階は、さらに任意選択的な3D印刷により、チャネル開口を閉鎖することを含む。この仕上げ段階、又は、より正確には、チャネルの閉鎖は、常に必要というわけではないことに留意されたい。例えば、硬化された材料は、3D物体の外面におけるチャネルの端部において視認可能であるという事実が認められる。仕上げ段階が、任意選択的に、(a)3D物体の外側の層の少なくとも一部分において(レーザー及び/又は炎などにより)加熱することと、(b)3D物体の外側の層の少なくとも一部分を溶剤で溶解することと、(c)3D物体の外側の層の少なくとも一部分を被覆することとのうちの1つ又は複数をさらに含み得ることに留意されたい。代替的に、仕上げ段階は、充填の後であるが硬化の前であってもよい。したがって、任意選択的に、硬化は、3D印刷された物体が完全に印刷された後にのみ実行される。したがって、任意選択的に、充填段階と仕上げ段階とは、少なくとも部分的に重なり得る。
上に示したように、機能材料の包含は、特に、3D物体に関係した機能的コンポーネントの観点から実行される。この関係は、印刷前(機能的コンポーネントはレシーバアイテム上に提供され得、レシーバアイテム上に3D印刷された物体が印刷される)、印刷段階中、及び印刷段階後に実行され得る。したがって、一実施形態において、印刷段階は、構築中の3D印刷された物体内に機能的コンポーネントを少なくとも部分的に組み込むことをさらに含み、充填段階は、流動性材料によりチャネルを充填することにより、機能材料に機能的コンポーネントを機能的に接続することをさらに含む。したがって、チャネルと機能的コンポーネントとは、機能的な構成で構成される。例えば、電気的コンポーネントを想定した場合、部品は、電源により(後で)給電するための、2つの異なるチャネル内に延びた2つのコネクタを含む。流動性材料によりチャネルを充填することにより、この例では特に導電材料でもある機能材料が、それぞれ、2つのコネクタに接触する。したがって、任意選択的に、本方法は、硬化することなど、流動性材料をさらに処理することを含み得る。その結果としてチャネル内に得られる機能材料は、電気的コンポーネントに給電する電気的ワイヤとして使用される。1つを上回るチャネルが存在する場合、チャネルが同時に又は逐次的に充填され得ることに留意されたい。
したがって、一実施形態において、機能的コンポーネントは、電気的コンポーネントと、ソレノイドと、アンテナと、容量結合構造物と、電磁石とのうちの1つ又は複数を備える。特定の実施形態において、機能的コンポーネントは、(電気的コンポーネントとして)光源を備える。したがって、実施形態において、機能材料は、特に、導電材料を含む。機能的コンポーネントの他の例が、さらに上述される。機能的コンポーネントのさらなる例は、例えば、(電気)コネクタ、光検出器、抵抗器、スイッチ、変換器、半導体(ダイオード、トランジスタ、集積回路(IC:integrated circuit)、オプトエレクトロニクスコンポーネント、表示装置など)、センサ、検出器、RFIDチップ、アンテナ、共振器、圧電デバイス、保護デバイス(サージ又はヒューズなど)などのうちの1つ又は複数を含み得る。
したがって、特に、機能的コンポーネント及び機能材料は、機能的な関係により構成される。したがって、機能的コンポーネントは、特に、導電性の性質と、熱伝導性の性質と、放射線透過性の性質と、磁気的な性質とのうちの1つ又は複数をさらに含み得る。容量結合構造物又はコンデンサは、電気絶縁性材料(又は、電気絶縁性ガス)により絶縁された2つの導電要素を含み得る。例えば、このようなコンデンサは、3D印刷された物体が備える機能的コンポーネントを電気的に充電又は給電するために使用される。
機能的コンポーネントは、3D印刷された物体により部分的に囲まれ得る。したがって、任意選択的に、機能的コンポーネントの一部分が、3D物体のユーザーにより視認可能である。しかし、別の一実施形態において機能的コンポーネントは、3D印刷された物体内に完全に組み込まれる。したがって、機能的コンポーネントは、3D印刷された物体により完全に封入され得る。光透過性の母材、又は、母材の少なくとも一部分が光透過性であることを想定した場合、さらに、光源が3D印刷された物体内に完全に組み込まれ得る。「機能的コンポーネント」という用語は、複数の機能的コンポーネントにも関係し得る。
さらなる一態様において、本発明は、本明細書において説明される方法により入手可能な3D物体をさらに提供する。特に、本発明は、(i)3D印刷された物体内に少なくとも部分的に組み込まれた機能的コンポーネントを任意選択的に備える(特に、本明細書において説明される方法により入手可能な)3D印刷された物体を提供し、3D印刷された物体が、少なくとも(ii)3D印刷された物体内に一体化されたチャネルを備え、チャネルが、固定された機能材料を含み、機能材料が、導電性の性質、熱伝導性の性質、放射線透過性(可視光に対する透過性など)の性質、及び磁気的な性質のうちの1つ又は複数を含む。上に示したように、このような3D印刷された物体は、特に、機能的コンポーネントを含み、機能的コンポーネントは、実施形態において、電気的コンポーネント、ソレノイド、アンテナ、容量結合構造物、及び電磁石のうちの1つ又は複数を備え得、機能的コンポーネントと機能材料とが機能的に結合される。
一実施形態において、機能材料は、導電材料である。したがって、特に、このような機能材料の導電性は、周辺にある3D印刷された材料の導電性より大きく、例えば、少なくとも1000倍大きい。特に、導電材料は、少なくとも0.01S/cm、特に、少なくとも0.1S/cm、例えば、少なくとも1S/cm、一例において、1~1000S/cmの範囲内などの導電率をもつ。特に、(周辺にある)印刷された材料は、最大1.10-5S/cm、さらには特に、最大1.10-6S/cmの導電率をもつ。したがって、「非導電性」又は「電気絶縁性」という用語は、特に、最大1.10-5S/cmの導電率を示し、「導電性」という用語は、特に、少なくとも0.01S/cmの導電率を示す。導電チャネルは、例えば、光源などの電気的コンポーネントに電力を提供するために使用される。したがって、機能的コンポーネントは、一実施形態において、LEDなど(OLEDなどの)の光源を備える。したがって、印刷可能材料、又は、特に、(結果的に得られる)印刷された材料は、実施形態において電気絶縁性であり、機能材料は導電性である。
機能材料は、温度管理のためにも使用される。したがって、機能材料は、熱伝導性の性質をもち得る。したがって、特に、このような機能材料の熱伝導率は、周辺にある3D印刷された材料の熱伝導率より大きく、例えば、少なくとも5倍大きい。特に、熱伝導性材料は、少なくとも0.5W/(m・K)、例えば、少なくとも0.5W/(m・K)の熱伝導率をもつ。特に、(周辺にある)印刷された材料は、少なくとも5分の1倍以下、例えば、最大0.1W/(m・K)の熱伝導率をもつ。温度管理は、昇温する機能的コンポーネントを含む3D印刷された物体に関連し得る。PCB回路などの電気的インターフェースは、多くの場合、電気的な機能と熱的な機能とを組み合わせる。非常に多くの場合、コンポーネントの近くの金属領域は、熱の拡散を可能にするように延びる。さらに、さらなる熱の拡散、隣の熱界面へのより良好な熱伝達、又は、さらには、直接的な放熱のため、コンポーネントの下方及び周囲に金属が付加される。これらの態様のすべてが、特別な取り扱いと追加的なコストとを必要とする。さらに、典型的には2Dの性質をもつそれらの層が、システムに追加されるので、コンポーネントの周囲における占有領域が増える。それらの3D形状が実際に制御されるわけではない。コンポーネントの近く又は周囲に熱的構造物を注入することにより、必要な温度管理、さらには一体化の他の態様との関係において、例えば、製品の寸法/形状との関係において、所望の形状の最善の3D妥協案をもたらす形態学的構造が作成される。コンポーネントからヒートシンクに複雑な構造物を通して熱を伝達する熱(熱伝導)チャネルも使用可能であり、その結果、それらを互いに遠く離すことが可能であり、さらには位置合わせを不要にする。間に広がる構造物は、コンポーネントを結合又は分離して、互いに遠く離し、又は互いに近づけることをさらに可能にする。この問題の一例が、複数色LEDデバイスに見られる。異なる色のLEDは、異なる量の熱を生成し、異なる温度感覚をもつ。これらの差及び不完全さを、正確に均衡させ/補償する。
またさらなる実施形態において、機能材料は、磁性材料を含み得る。例えば、チャネル構造物は、導電材料を含むチャネルと、磁性材料を含むチャネルとからソレノイドを生成するためにも使用され得る。このように、例えば、変圧器を3D印刷された物体内に一体化することが可能である。例えば、機能材料は、強磁性流体及び/又は強磁性ペースト(いずれもナノ強磁性又はフェリ磁性粒子を含有し得る)、磁気粘性(rheonetic)材料、金属ベースの磁性ペースト(例えば、Fe、Co、Ni及びCrO2のうちの1つ又は複数を含む)、分子ベースの磁性ペースト(一般に、極低温度においてのみ作用する)、及び磁気抵抗材料を含み得る。
特定の実施形態において、機能材料は、導電材料を含み、機能材料は、(i)ポリマーを含む銀粒子などの、ポリマーを含む金属粒子と、(ii)50~400℃の範囲から選択される温度で融解する低融点はんだとからなる群から選択された1つ又は複数を含む。また別の一実施形態において、機能材料は、グラフェンとグラファイトとのうちの1つ又は複数を含み得る。このような例において、流動性材料は、特に、パーコレーション限界を上回る機能材料を含み得る(すなわち、流動性材料は(さらに)導電性である(及び、固定された流動性材料も導電性である))。
またさらなる実施形態において、機能材料は、放射線透過性の性質をもつ、すなわち、特に、機能材料は、特に、UV放射とVIS放射とIR放射とのうちの1つ又は複数、特に、UV(特に、180~380nm)とVIS(380~780nm)とのうちの1つ又は複数の放射に対して透過性である。「透過性」という用語は、本明細書において特に、放射の一部分が放射線透過性材料内にカップリングされたとき、さらに、インカップリングされた光の一部分、例えば、示される波長範囲内のうちの1つ又は複数の波長において少なくとも10%が、再度、カップルアウトすることを示す。
またさらなる実施形態において、機能は、摩擦の改善を提供することなどの機械的性質を含み得る。また別の一実施形態において、機能材料は、例えば、3D印刷された物体(又は、その一部)の共振を調整する音響的な性質をもち得る。また、機能材料は、例えば、特定の条件において、及び/又は、活性物質の放出のため溶解し得るチャネルを提供する化学的な性質をさらにもち得る。
またさらなる一態様において、本発明は、3D印刷された物体を提供するための3Dプリンタ装置をさらに提供し、3Dプリンタ装置が、(i)印刷可能材料を提供して3D印刷された物体を提供するように構成された3Dプリンタを備え、3Dプリンタ装置が、(ii)3D印刷された物体のチャネルに機能材料を含む流動性材料を提供するように構成された機能材料提供デバイス(3Dプリンタなど)と、(iii)3D印刷された物体内への機能的コンポーネントの少なくとも部分的な一体化のため貯蔵位置から構築中の3D印刷された物体に機能的コンポーネントを輸送するように構成された輸送ユニットとをさらに備える。このような印刷機を使用して、例えば、本明細書において説明されるような方法が適用され得る。特定の実施形態において、印刷機は、FDM印刷機,ステレオリソグラフィ印刷機、又はインクジェット印刷機を備える。したがって、さらなる特定の実施形態において、本発明は、3D印刷された物体を提供するための3Dプリンタを提供し、3Dプリンタは、レシーバアイテムに3D印刷可能材料を印刷するための第1のノズルを備える印刷機ヘッドを備え、3Dプリンタは、機能材料を含む流動性材料を提供するための第2の印刷機ノズルをさらに備え、3Dプリンタは、3D印刷された物体内への機能的コンポーネントの少なくとも部分的な一体化のため貯蔵位置から構築中の3D印刷された物体に機能的コンポーネントを輸送するように構成された輸送ユニットをさらに備える。
本発明の実施形態が、添付の概略図を参照しながら例示としてのみ以下で説明され、図中、対応する参照符号は対応する部分を示す。