JP7367746B2 - 遅れ破壊評価用の治具、せん断端面の遅れ破壊評価方法、及び試験片 - Google Patents

遅れ破壊評価用の治具、せん断端面の遅れ破壊評価方法、及び試験片 Download PDF

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Description

本発明は、プレス成形における金属板のせん断端面での遅れ破壊を評価するための技術に関する。本発明は、引張強度980MPa以上の高強度鋼板のせん断端面での遅れ破壊評価に好適な技術である。また、本発明は、特に自動車部品に好適な技術である。
現在、自動車には軽量化による燃費向上と衝突安全性の向上が求められている。車体の軽量化と衝突時の搭乗者保護を両立する目的で、引張強度980MPa以上の高強度鋼板が使用されており、近年では特に、引張強度1470MPa以上の超高強度鋼板が車体に適用されてきている。高強度鋼板の車体適用時における課題の一つに遅れ破壊があり、特に超高強度鋼板では、せん断加工後の端面(以下せん断端面と呼ぶ)から発生する遅れ破壊が重要な課題となっている。
せん断端面には、大きな引張応力が残留することが知られている。このため、プレス成形後における、せん断端面での遅れ破壊の発生が懸念される。
ここで、せん断端面の遅れ破壊は外部的な応力を負荷することでさらに促進されることが知られている。そして、せん断端面の遅れ破壊の評価のために、例えば、曲げ変形による定変位拘束により応力負荷をする試験方法(特許文献1、特許文献2)や、単軸変形による定荷重負荷よって応力負荷をする試験(特許文献3)が提案されている。
特許第6380423号公報 特許第5971058号公報 特許第6354476号公報
Cheng Liu、 Ping Liu、 Zhenbo Zhao and Derek O. Northwood: Room temperature creep of a high strength steel、 Materials and Design、 22(2001) 325-328. K.Harihara、 O.Majidi、 C.Kim、 M.G. Lee and F.Barlet: Stress relaxation and its effect on tensile deformation of steels、 Materials and Design、 52(2013) 284-288.
発明者らが鋭意検討の結果、同じ応力負荷であっても、単軸変形(図2(a)参照)と曲げ変形(図1(a)参照)とを比較すると、せん断端面において遅れ破壊が生じない限界応力が、単軸変形の方が低い場合があることが分かった。その理由は、曲げ変形では、単軸変形に比べて板厚方向に応力の勾配が存在する。このため、曲げ変形では、遅れ破壊の亀裂進展が抑制されるためであると推測される。ここで、図1(b)は、曲げ変形による板厚方向の応力分布を示す。図1(b)は、単軸変形による板厚方向の応力分布を示す。
また、図3は、定変位拘束と定荷重負荷との場合における、十分に長い時間保持した場合の応力-ひずみ関係の模式した図を示す図である。
発明者らが検討したところによると、高強度鋼板について、荷重を負荷して、拘束状態を定変位拘束にした場合と定荷重負荷にした場合とを比較すると、拘束開始時の負荷応力が同一でも、定変位拘束の場合には、図3のように応力が緩和する。このため、定変位拘束の場合は、定荷重負荷に比べて、見かけの遅れ破壊限界応力が高いことが分かった。これは、非特許文献1に示されるように、高強度鋼を一定応力下で保持すると室温でも徐々にクリープ変形する効果や、非特許文献2に示されるように、定変位拘束した場合では応力緩和が生じる効果によるものと推測される。
また、自動車部品として用いられるプレス成形品におけるせん断端面の遅れ破壊の評価を考えた場合、自動車実部品が実際に受ける応力負荷は、主にプレス成形による残留応力である。このため、自動車部品としてのプレス成形品は、ある一定の形状に変形されて、その状態で保持されて使用される。したがって、荷重負荷後に定荷重負荷で拘束する場合に比べて、定変位拘束の方が、実際の自動車実部品が受ける応力負荷の状況に近いといえる。
その点において、曲げによる荷重については、特許文献1や特許文献2の方法は優れた方法であるといえる。すなわち、特許文献1や特許文献2の方法では、定変位拘束によって平切りの直線部であるせん断端面に曲げによる荷重を負荷することで、所定領域のせん断端面に均一に近い荷重を負荷した遅れ破壊評価が可能である。
一方で、単軸変形による変位拘束における、平切りの直線部の評価については、これまでの方法では困難な点があることが分かった。例えば特許文献3では、ピンを用いた定荷重による試験片100への負荷を採用している。但し、試験片100における、ピン穴間の領域について、幅を狭くして応力が最も高くなるようしているが、その箇所は、板幅が小さくなければならないため、切り欠きを入れるなどしている。
また、自動車部品のせん断端面の多くの部分は、湾曲部ではなく、直線的なせん断により作製された平切りの直線部である。したがって、平切りの直線部であるせん断端面に応力を負荷する遅れ破壊評価方法が、最も重要である。
また、平切りを採用する場合、シャー角をつけられることや、クリアランスを調整可能なことを意味し、より実用的な検討に好ましい。
図4は、定荷重試験に適用可能な、左右にピン穴100Aを有し且つ一般的な平行部を持つ引張試験片100の形状を示す模式図である。しかし、図4に示すような試験片100は、長手方向に沿ってせん断端面の一部が直線であっても、平切りで加工されないため、平切りの直線部のような評価は困難である。例えば、直線状の平切りでせん断端面が形成出来ず、切欠きに応じた湾曲を有するせん断刃でせん断を行う必要がある。この結果、試験片作製の際のシャー角やクリアランスの調整が困難である。
図5は、平切りのせん断端面を有する長方形形状をした試験片100を示す図である。この図5の試験片100では、左右に形成したピン穴にそれぞれピンを貫通し、そのピン間を変位させることで単軸応力を負荷し、引張変形させた状態で拘束することができる。また、試験片100の左右両端部をチャックで挟んで単軸応力を負荷することが出来る。このように単軸応力を負荷すれば、一見、単軸変形による変位拘束によって、平切りの直線部からなるせん断端面の評価が可能であるように思われる。
しかし、高強度鋼板を想定すると、実際には、ピンを用いた場合は、図5のような長方形形状の試験片100では、ピン穴100A周辺のごく一部しか引張応力が付与されず(図5中の矢印部分)、長手方向に沿って均一な応力分布にならない。また、高強度鋼板からなる試験片100の左右両端部をチャックで挟んで単軸応力を負荷した場合、チャックの端の部分(図5中の矢印部分)に応力が集中したり、チャックが滑ったりすることで正しい評価が困難である。
本発明は、上記のような点に着目してなされたものであり、より精度良く且つ簡易に、せん断端面での遅れ破壊評価が可能な治具や試験片、及びそれを用いた遅れ破壊評価方法を提供することを目的とする。
上述の通り、高強度鋼板のせん断端面から発生する遅れ破壊が懸念されている。
発明者らは、種々の検討により、次の知見を得た。
試験片に形成するせん断端面が、平切りで形成される直線形状となっていることが好ましい。直線状のせん断端面の作製であれば、直線状のせん断刃を用いれば良いので、せん断の条件であるシャー角やクリアランスの調整が容易となる。
また、高強度鋼板の場合、チャックで引張荷重を負荷するよりも左右のピン穴を介して引張荷重を負荷することが好ましい。
更に、試験片に対し、単軸変形による変位拘束で、且つ、平切りの直線部になるべく均一な引張応力を負荷して行う遅れ破壊評価が、自動車部品などとなる金属板に対して有効である。しかし、少なくともピン穴間の領域で直線状のせん断端面を有する試験片の場合に、単純に左右のピン穴を介して引張荷重を負荷した場合、高強度鋼板の場合に、ピン穴近傍の狭い範囲に応力が集中してしまう。
また、試験片に対し、単軸変形による変位拘束を実現する治具は、簡易に単軸変形を行うことができ、且つ水素侵入環境にも設置可能な治具であることが好ましい。
このとき、試験片に応力を負荷しその状態で拘束する治具が、例えばステンレスやアルミニウムの材料で構成され、その材料が試験片に対する異種金属の場合、腐食環境下では試験片に対して腐食電流を生じて、水素侵入環境に変化が生じてしまう。このため、試験片と治具とは、電気的に絶縁されていることが望ましい。
本開示は、このような知見を前提として、それを実現するための簡易な治具、試験片形状、及びそれを用いた評価方法を考えた。
なお、平切りで切断される断面は、直線上に断面が延在する。このため、せん断端面を形成するためのせん断刃のクリアランスなどを調整しやすいという有利な点がある。図4のような平行でない部分を有する形状の場合には、そのせん断端面を平切りで形成しがたい。
そして、課題解決のために、本発明の一態様は、長手方向両側にそれぞれピン穴が開口した短冊状の金属板からなる試験片に対し長手方向に沿った引張荷重を負荷し、その負荷状態で試験片を拘束する治具であって、上記試験片と共に水素侵入環境に設置される遅れ破壊評価用の治具であって、上記試験片に形成された2つのピン穴のうち、一方のピン穴を貫通する第1のピンと、他方のピン穴を貫通する第2のピンと、上記一方のピン穴を貫通した上記第1のピンの両端部をそれぞれ挿入する第1の挿入穴が設けられた枠部品と、上記他方のピン穴を貫通する第2のピンの両端部をそれぞれ挿入する第2の挿入穴が設けられたスライド部品と、上記枠部品に対し、上記スライド部品を、上記試験片の長手方向に沿って進退可能に連結する引張力調整機構と、を備え、上記引張力調整機構は、ねじの回転に伴い直線移動する送りねじ機構によって、上記スライド部品を進退する機構となっていることを要旨とする。
また、本発明の態様は、本発明の一態様に記載した治具に試験片を取り付けて、上記スライド部品を進退させることで試験片のせん断端面に引張荷重を負荷した状態で、試験片を上記治具と共に水素侵入環境に設置することを要旨とする、せん断端面の遅れ破壊評価方法である。
また、本発明の態様は、長手方向に沿った引張荷重が負荷された状態で水素侵入環境に設置される、せん断端面の遅れ破壊評価用の試験片であって、高強度鋼板からなり、且つ長手方向両側にそれぞれ荷重を負荷するためのピン穴が開口した短冊形状となっており、少なくとも2つのピン穴間において、長手方向に延びる端面の一方が直線上に延びたせん断端面であり、上記2つのピン穴の間の領域に、1又は2以上の肉抜き部を有し、各肉抜き部は、試験片に形成された開口若しくは肉厚を薄くした領域からなり、その領域は、せん断端面から離れている、ことを要旨とするせん断端面の遅れ破壊評価用の試験片である。
本発明の態様の治具は、簡易に、試験片に引張荷重を負荷出来ると共に、水素侵入環境下に設置して、遅れ破壊評価のための試験を可能となる。
また、本発明の態様の試験片は、高強度鋼板製であっても、左右のピン穴を介した引張荷重によって、せん断端面に対し、従来よりも長い領域に均一に近い引張応力を負荷することが可能となり、より精度よく遅れ破壊評価のための試験を実現可能となる。
そして、本発明の態様によれば、例えば、自動車のパネル部品、構造・骨格部品等の各種部品に高強度鋼板を適用する際における、遅れ破壊の発生の予測が容易となり、高強度鋼板の適用による自動車車体の軽量化を可能とする。
曲げ変形の例と、その曲げ変形による試験片端面での応力分布の例を示す図である。 単軸変形の負荷の例と、その単軸変形による試験片端面での応力分布の例を示す図である。 定変位拘束と定荷重負荷の場合の応力-ひずみ関係を比較した図である。 一般的な平行部を持つ引張試験片を示す模式図である。 平切りのせん断端面を有する長方形形状の試験片に対し、ピン穴をあけた場合とチャックの掴み部を設けた場合の模式図である。 試験片に単軸引張を負荷して固定(拘束)する治具の斜視図である。 治具の側面断面図である。 本開示の治具で評価することが可能な試験片形状の一例を示す図である。 試験片Cの形状におけるピン引張時の応力分布の一例を示す図である。 実施例における試験片の形状を説明する図である。 実施例における、降伏応力程度の荷重負荷時における試験片での応力分布を示す図である。 ねじの締込量(引張荷重)を変化させた際の、平切りからなるせん断端面部の応力分布を示す図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(遅れ破壊評価用の治具1)
本実施形態の遅れ破壊評価用の治具1は、図6及び図7に示すように、試験片10に対し、長手方向に沿った引張荷重を負荷し、その負荷状態でつまり定変位状態で試験片10を拘束する治具1である。更に、本実施形態の治具1は、拘束した試験片10と共に水素侵入環境に設置されることを前提としている。
また、本実施形態では、試験片10として、短冊状の金属板からなり、長手方向両側にそれぞれピン穴10A、10Bが開口した金属板を想定する。試験片10の好適な形状については、後述する。
本実施形態の治具1は、図6及び図7に示すように、2本のピン2、3と、枠部品5と、スライド部品6と、引張力調整機構と、を備える。
<ピン2、3>
2本のピン2、3は、対象とする試験片10に形成された2つのピン穴10A、10Bのうち、一方のピン穴10Aを貫通する第1のピン2と、他方のピン穴10Bを貫通する第2のピン3と、からなる。
ピン2、3は、円柱棒に限定されない。ピン2、3は、ピン穴10A、10Bを貫通して試験片10を固定できれば良く、角柱棒などであってもよい。なお、ピン2、3は、評価する試験片10との接触面が絶縁されていることが好ましい。
<枠部品5>
枠部品5は、試験片10の一方のピン穴10Aを貫通した第1のピン2の両端部をそれぞれ挿入する第1の挿入穴が形成されている。
本実施形態の枠部品5は、一対の長手部材5A、5Bと一対の短手部材5C、5Dとで、対象とする試験片10を配置可能な空間を囲む枠状の構造を備える。具体的には、一対の長手部材5A、5Bは、対象とする試験片10を間に挟んで、試験片10の板厚方向で対向している。また、一対の短手部材5C、5Dは、試験片10を間に挟んで、試験片10の長手方向で対向し、一対の長手部材5A、5Bの端部をそれぞれ連結する。これによって矩形の枠を構成する。
また、一対の長手部材5A、5Bにそれぞれ、第1の挿入穴5Aa、5Baが形成されている。2つの第1の挿入穴5Aa、5Baは、一対の長手部材5A、5Bの対向方向に対し同軸に形成されている。図6及び図7では、2つの第1の挿入穴5Aa、5Baがともに貫通穴で形成される場合が例示されているが、一方の第1の挿入穴5Aa、5Baを有底の穴としてもよい。
また、一対の長手部材5A、5Bの一部の幅が、試験片10の幅よりも小さくなっている。これによって治具1の上方から、試験片10のせん断端面の状態を認識可能となる。
<スライド部品6>
スライド部品6は、試験片10の他方のピン穴10Bを貫通する第2のピン3の両端部をそれぞれ挿入する第2の挿入穴が形成されている。
本実施形態のスライド部品6は、一対の足部6A、6Bと、その足部6A、6Bの端部同士を連結する根元部6Cとを備えた、断面コ字状の部品である。一対の足部6A、6Bは、対象とする試験片10の第2のピン穴10A、10Bを挟んで、試験片10の板厚方向で対向している。
このスライド部品6は、使用時には、枠部品5の一対の長手部材5A、5Bの間の空間に配置される。このとき、一対の足部6A、6Bの長手方向と一対の長手部材5A、5Bの長手方向とが同方向を向くように配置する。ここで、一対の足部6A、6Bの外面間の距離は、一対の長手部材5A、5Bの対向距離以下である。
なお、使用時において、一対の足部6A、6Bの外面は、一対の長手部材5A、5Bの内面と接触していても良いし、非接触状態となっていてもよい。例えば、下側の足部6A、6Bの外面(下面)が下側の長手方向部材の上面と接触する場合には、下側の長手方向部材の上面は、長手方向に沿って平坦な面とする。この場合、下側の長手方向部材の上面は、スライド部品6を長手方向に案内する案内面となる。
このように、スライド部品6は、一対の長手部材5A、5Bの間に配置されて一対の長手部材5A、5Bの長手方向に進退可能な構成となっている。
また、スライド部品6は、枠部品5が囲む空間に設置された場合、つまり使用時には、根元部6Cは、対象とする試験片10の長手方向において、一方の短手部材5D(図6中右側の短手部材5D)と対向配置される。
また、一対の足部6A、6Bにそれぞれ第2の挿入穴6Aa、6Baが形成されている。本実施形態では、一対の足部6A、6Bにそれぞれ形成した第2の挿入穴6Aa、6Baが共に貫通穴からなる場合を例示している。2つの第2の挿入穴6Aa、6Baの一方が有底穴となっていてもよい。
また本実施形態では、一対の長手部材5A、5Bに第2のピン3が貫通可能な長穴が開口している。この長穴は無くても良い。
<引張力調整機構>
引張力調整機構は、枠部品5に対し、スライド部品6を、試験片10の長手方向に沿って進退可能に連結する機構である。引張力調整機構は、ねじ7の回転に伴い直線移動する送りねじ機構によって、スライド部品6が枠部品5に対し進退する機構となっている。
引張力調整機構は、送りねじ機構を構成する、内面に雌ねじが形成されたねじ穴6Caと、そのねじ穴6Caに螺合するねじ7(ボルト)とを備える。ねじ穴6Caは貫通穴からなる。
ねじ穴6Caは、スライド部品6の根元部6Cに形成され、試験片10の長手方向に軸を向けて根元部6Cを貫通している。
また、根元部6Cに近位の短手部材5C、5Dには、ねじ穴6Caと同軸の貫通穴5Daが開口している。貫通穴5Daの開口面積は、ねじ7の軸7Bが通過可能で、かつ、ねじ7の頭部より小さい。
ねじ7は、近位の短手部材5C、5Dの外側から、ねじ軸7Bが貫通穴5Daを貫通し且つねじ穴6Caに螺合する。近位の短手部材5Dの外面とねじ7の頭部7Aとの間には、ワッシャ8が介在している。
このねじ穴6Ca、貫通穴5Da、及びねじ7は、引張力調整機構を構成する。
そして、ねじ7を軸回転されることで、ねじ軸7Bに対するねじ穴6Caの位置が変位することで、枠部品5に対しスライド部品6が進退し、その進退によって、対象とする試験片10に長手方向の引張力を付与可能な構成となる。
ここで、治具1の少なくとも一部が金属製である場合、治具1における、試験片10と接触可能な接触面は、試験片10と電気的に絶縁させた構成が好ましい。
例えば、第1のピン2及び第2のピン3を、絶縁性の材料とする。又は、第1のピン2及び上記第2のピン3は金属製の場合、第1のピン2及び第2のピン3の表面のうち、試験片10と接触する面に、絶縁性の被膜を形成する。
次に、試験片10とピン2、3、並びに治具1との電気的な絶縁の方法について具体的な例を述べる。
第一の方法は、ピン2、3に絶縁性の材料、例えばセラミックスやポリマーなどを用いる方法である。しかし、ピン2、3は試験片10から強いせん断の荷重を受けることから、セラミックスでは破壊の危険が高く、ポリマーでは強度が不足する可能性が高い。
したがって、ピン2、3の材質としては、金属で十分な強度を有することが好ましい。更に、治具1は水素侵入環境下に置かれるため、ピン2、3の材質としては、十分な耐腐食性を有するステンレス鋼が最も妥当である。そこで、試験片10とステンレス製のピン2、3との接触部に、絶縁性の被膜を配置することで、電気的に絶縁することが効果的である。
その方法としては、第一に、テフロン(登録商標)などの耐薬品性の高いテープ状のポリマー樹脂を、ピン2、3の被覆材として用いる方法が挙げられる。
第二に、ピン2、3の表面に絶縁性のセラミックスを溶射して絶縁被膜を形成する方法などが挙げられる。
以上に述べた本開示の治具1によって、試験片10に引張荷重を負荷される。そして、変位拘束されたせん断端面を有する試験片10は、任意の水素環境下に任意の時間設置され、負荷された応力に応じて遅れ破壊が発生するかどうかを判定される。
そして、本実施形態の治具1は、簡易な構成にも関わらず、試験片10に対し、単軸引張を負荷し、その負荷状態で試験片10を拘束可能となる。
また、治具1は、水素侵入環境下に置かれるため、十分な耐腐食性を有することが必要であり、また引張応力を与えるため十分な強度が必要である。このため、治具1の材料は、例えばステンレス鋼などが好ましい。
(試験片10)
本実施形態の試験片10は、高強度鋼板からなり、かつ長手方向に沿って延びるせん断端面を有することが好ましい。
本開示で用いることの可能な、短冊状の試験片形状の例を図8に示す。
図8(a)に示す試験片Aは、一般的な試験片形状であり、2つのピン穴10A、10B間に幅の狭いゲージ部を有する。
図8(b)に示す試験片Bは、長手方向に延びる端部が直線状のせん断端面となった、長方形形状の試験片10である。なお、長手方向に延びる2つの端部のうち、一方の端部のみをせん断面とすればよい。他方の端部を切削などの処理を行った、試験片10の幅などの寸法を調整する辺とすればよい。
試験片Bは、試験片Aに比べ、せん断条件の調整が容易である。
図8(c)に示す試験片Cは、高強度鋼板からなる場合、一番好適な試験片10を例示したものである。
試験片Cの外形形状は、試験片Bと同じで長方形形状である。すなわち、試験片Cは、2つのピン穴10A、10B間に、長手方向に沿って直線上に延びるせん断端面を有する長方形形状(短冊状)の試験片10である。
但し、試験片Cは、2つのピン穴10A、10B間の領域に、応力分布調整用の肉抜き部10Cを1又は2以上有する。
ここで、ピン穴10A、10Bや肉抜き部10Cは、機械加工や放電加工によって形成される。このピン穴10A、10Bや肉抜き部10Cは、端面における加工によるダメージが小さく遅れ破壊を生じないため、遅れ破壊を生じるのはせん断端面部分のみである。したがって、遅れ破壊評価で重要なのは、引っ張りによってせん断端面に負荷される応力分布のみである。
本開示で好ましい引張試験片10は、直線状のせん断端面に対して均一な引っ張り応力を与えることの可能な引張試験片Cである。図9に、試験片Cに対し、2つのピン2、3によって引張を与えた場合のせん断端面の応力分布の一例を示す。
ここで、試験片Aにおいては、細幅部分(ゲージ部)において、せん断端面に均一な引っ張り応力を与えることが可能である。しかし、せん断端面の応力均一部は湾曲した凹状の領域の内側の領域であるから、直線状のせん断端面のようには、せん断条件の調整が容易でない。
すなわち、試験片Aにおいては、引張試験片10を作製する専用のせん断型が必要であり、一般に用いられるせん断機を用いてせん断端面を形成することができない。このため、評価のために、せん断機の刃のクリアランスやシャー角の調整などが困難であるという難点がある。
試験片Bにおいては、直線状のせん断端面を評価可能であるが、ピン穴10A、10Bの直下のわずかな領域(図8中、矢印の部分)にしか引張応力が付与されない。このため、遅れ破壊評価は可能であるが、評価結果が応力の集中する箇所の局所的なせん断の状態に左右されて、ばらつきが懸念されるという問題がある。
一方で、試験片Cにおいては、肉抜き部10Cによって、2つのピン穴10A、10B間における両側の端面よりも内側領域における長手方向の強度分布が調整されて、試験片10の中央部周辺で応力が分散される。この結果、試験片Cにおいては、平切りの直線状に延びるせん断端面において、長手方向に沿った所定以上の距離に対し、均一に引張応力を与えることが可能となる。
このように、試験片Cは、せん断端面に均一に引張応力を与えることが可能にも関わらず、試験片Cの外周輪郭形状が、試験片Bと同様な長方形形状という簡単な形状であって、試験片10の製造も用意である。更に、上述の通り、せん断面が、平切りの直線形状とすることで、せん断のクリアランスなどのせん断条件の調整も容易である。すなわち、実際の現場に応じたせん断条件でのせん断端面を簡易に形成できる試験片形状となっている。
ここで、試験片Cにおいては、肉抜き部10Cを開口(貫通穴)で構成する場合を例示したが、肉抜き部10Cは開口以外の方法で構成しても良い。例えば、開口を形成する領域の肉厚を切削などによって薄肉化して肉抜き部10Cとしても良い。
また、ピン穴10A、10B間に長手方向に延びる一個の開口を形成した場合、引張力によって、幅方向両側の辺が近づくような変形が起きるおそれがある。このため、肉抜き部10Cを構成する開口は、長手方向に沿って複数個並列して設けることが好ましい。なお、試験片Cでは、2個の開口を長手方向に並列させた場合を例示しているが、幅方向に2以上並ぶ開口を長手方向に並列されたり、開口を千鳥状に形成したりして、肉抜き部10Cを構成しても良い。
ここで、肉抜き部10Cを設けることで、せん断端面を直線状にしたまま、試験片10における、左右のピン穴10A、10B間の領域の長手方向に沿った強度を低下させる。これによって、せん断端面に対し、試験片10を破断することなく、肉抜部を設けない場合に比べて、均一な単軸引張応力を付与することが可能な状態になる。肉抜き部10Cは、その設けた部分の強度が低下するので、長手方向に沿って均一に低下させるには、上述のように長手方向に沿って複数の肉抜き部10Cを設けることが好ましい。
肉抜き部10Cは、試験片10に引張荷重が負荷された際に、せん断端面の全領域に負荷された応力の最大応力の7割以上の応力の領域が、せん断端面の長手方向に沿って3mm以上連続して形成するように調整して形成することが好ましい。
なお、肉抜き部10Cはせん断端面から離して形成する。例えば、肉抜き部10Cのせん断端面に一番近い位置が、せん断端面から1mm以上離隔していることが好ましい。また、各肉抜き部10Cの領域(外周の輪郭)は円形に限定されず、楕円形や矩形などの多角形形状であってもよい。但し、応力集中部となる角がない、円形や楕円形の形状が好ましい。
ここで、試験片Cについて2つのピン穴10A、10Bを介して引張力を付与する条件で、CAE解析をした場合における、試験片10に発生する引張変形での応力分布の一例を図9に示す。
図9から分かるように、試験片Cを用いれば、直線状のせん断端面を評価可能で、しかもせん断端面の幅広い範囲に比較的均一に引張応力を付与することができる。
ここで、2つのピン穴10A、10Bを介した引張力の付与により、試験片10に負荷される応力は、例えば、せん断端面の近傍にひずみゲージを貼り付けして測定すればよい。この場合、試験片10のせん断端面が受ける引張ひずみを測定することで、評価材料の応力-ひずみ曲線と比較することで容易に求めることができる。
但し十分な精度が保証できるのであれば、治具1の相対的な位置関係や、ボルトの締め込みトルクなどを試験片10に付与される応力の指標として用いてもよい。
(せん断端面の遅れ破壊評価方法)
短冊状の試験片10であって、左右にピン穴10A、10Bが開口した試験片10を用いる。
その試験片10を、本開示の治具1に取り付ける。すなわち、枠部品5に囲まれた空間に評価する試験片10を配置して、第1のピン2及び第2のピン3を各ピン穴10A、10Bに挿入して、試験片10を治具1に取り付ける。その後、ナットの頭部を回転させることで、スライド部品6を進退させて、試験片10のせん断端面に引張荷重を負荷する。ナットの頭部の回転を止めることで、試験片10は、引張変形が付与された定変位状態で治具1に拘束される。
このとき、上述のように、試験片10のせん断端面近傍にひずみゲージを貼り付けて、せん断端面のひずみを測定すると良い。すなわち、治具1による負荷した引張力と共にひずみ量も測定する。なお、水素侵入環境に設定する際には、ひずみゲージを外しておく。
そして、試験片10を治具1と共に、予め設定した水素侵入環境に対し予め設定した時間設置し、その状態での当該試験片10で、亀裂の発生状況を評価する。
このとき、水素侵入環境と設置時間は、評価の対象となる材料が実際に使用される環境下で侵入すると推定される水素量と同等の、水素侵入量が得られる条件にすることが好ましい。
試験片10の水素侵入環境下への設置は、例えば、塩酸やNHSCN水溶液などの酸液を収容した浴槽内に試験片10を浸漬することで行う。酸液の濃度や浸漬時間は、許容上限として予め設定した水素量が試験片10に侵入する条件となるように設定する。
上記試験を、治具1で付与する引張力の条件を変えて実行する。
この試験結果から、ひずみ量を関数とした負荷応力の限界を求めることができる。
また、試験片10は、図8に示すような試験片A、B、Cのいずれであっても本開示の治具1に使用可能であるが、より精度良く測定するには、本開示の肉抜き部10Cを形成した試験片Cのような形状の試験片10が好ましい。
ここで、せん断端面の遅れ破壊評価方法の基本的な方法については、公知の方法を適用することができる。
(その他)
本開示は、次の構成を取りうる。
(1)長手方向両側にそれぞれピン穴が開口した短冊状の金属板からなる試験片に対し長手方向に沿った引張荷重を負荷し、その負荷状態で試験片を拘束する治具であって、上記試験片と共に水素侵入環境に設置される遅れ破壊評価用の治具1であって、
上記試験片に形成された2つのピン穴のうち、一方のピン穴を貫通する第1のピンと、他方のピン穴を貫通する第2のピンと、
上記一方のピン穴を貫通した上記第1のピンの両端部をそれぞれ挿入する第1の挿入穴が設けられた枠部品と、
上記他方のピン穴を貫通する第2のピンの両端部をそれぞれ挿入する第2の挿入穴が設けられたスライド部品と、
上記枠部品に対し、上記スライド部品を、上記試験片の長手方向に沿って進退可能に連結する引張力調整機構と、を備え、
上記引張力調整機構は、ねじの回転に伴い直線移動する送りねじ機構によって、上記スライド部品を進退する機構となっている。
(2)上記枠部品は、上記試験片を間に挟んで、上記試験片の板厚方向で対向する一対の長手部材と、上記試験片を間に挟んで、上記試験片の長手方向で対向し、上記一対の長手部材の端部をそれぞれ連結する一対の短手部材とを備えて、上記一対の長手部材に上記第1の挿入穴が形成され、
上記スライド部品は、上記試験片の第2のピン穴を挟んで、上記試験片の板厚方向で対向する一対の足部と、その足部の端部同士を連結する根元部とを備えて、上記一対の足部に上記第2の挿入穴が形成され、
上記スライド部品は、上記一対の長手部材の間に配置されて上記一対の長手部材の長手方向に移動可能となっており、
上記根元部には、試験片の長手方向に軸を向けて貫通したねじ穴が形成され、上記根元部に近位の上記短手部材には、上記ねじ穴と同軸の貫通穴が開口し、上記ねじ穴に、上記貫通穴を介して、ねじの軸部が螺合し、上記ねじ穴、貫通穴、及びねじが、上記引張力調整機構を構成する。
(3)治具の少なくとも一部が金属製であり、上記試験片と接触可能な接触面は、試験片10と電気的に絶縁している。
(4)上記第1のピン及び上記第2のピンは、絶縁性の材料からなる。
(5)上記第1のピン及び上記第2のピンは金属製であり、上記第1のピン及び上記第2のピンの表面のうち、試験片と接触する面に、絶縁性の膜が形成されている。
(6)高強度鋼板からなり、かつ長手方向に沿って直線状に延びるせん断端面を有する試験片のせん断端面の遅れ破壊を評価するための、遅れ破壊評価用の治具である。
(7)本開示の治具に試験片を取り付けて、上記スライド部品を進退させることで試験片のせん断端面に引張荷重を負荷し、その負荷状態で、試験片を上記治具と共に水素侵入環境に設置する、せん断端面の遅れ破壊評価方法である。
(8)上記引張荷重は、試験片を変位拘束することによって負荷する。
(9)上記試験片は、2つのピン穴間に位置するせん断断面が、試験片10の長手方向にそって直線状になっており、上記2つのピン穴の間の領域に、せん断端面の応力分布の調整を目的とした、1又は2以上の肉抜き部を有する。
(10)上記肉抜き部は、試験片の長手方向に沿って並ぶ複数の開口を有する。
(11)試験片に引張荷重が負荷された際に、せん断端面の全領域に負荷された応力の最大応力の7割以上の応力の領域が、せん断端面の長手方向に沿って3mm以上連続するように、上記肉抜き部を形成する。
(12)試験片のせん断端面に近傍にひずみゲージを貼り付けて、せん断端面のひずみを測定する。
(13)長手方向に沿った引張荷重が負荷された状態で水素侵入環境に設置される、せん断端面の遅れ破壊評価用の試験片であって、
高強度鋼板からなり、且つ長手方向両側にそれぞれ荷重を負荷するためのピン穴が開口した短冊形状となっており、
少なくとも2つのピン穴間において、長手方向に延びる端面の一方が直線上に延びたせん断端面であり、
上記2つのピン穴の間の領域に、1又は2以上の肉抜き部を有し、
各肉抜き部は、試験片に形成された開口若しくは肉厚を薄くした領域からなり、その領域は、せん断端面から離れている。
(14)上記肉抜き部は、試験片に引張荷重が負荷された際に、せん断端面の全領域に負荷された応力の最大応力の7割以上の応力の領域が、せん断端面の長手方向に沿って3mm以上連続するように形成する。
(15)上記肉抜き部は、試験片の長手方向に沿って並ぶ複数の開口からなり、
上記複数の開口はそれぞれ、ピン穴よりも開口面積が大きい。
次に、本実施形態に基づく実施例について説明する。
本例では、試験片10を構成する材料として、板厚1.4mmの強度1470MPa級鋼である供試材Aを対象に説明する。本開示は、この供試材Aに限るものではなく、せん断端面に遅れ破壊が発生するような、引張強度が980MPa以上の高強度鋼板をはじめとした金属材料に対して適用が可能である。
まず、供試材Aにせん断加工を施して、評価の対象とする、長さ80mm×30mmの直線状のせん断端面を有する短冊状(長方形形状)の試験片10を作製した。せん断加工時のせん断のクリアランスは板厚に対して12%とした。
次に、図10の寸法の形状になるように、作製した試験片10に対し、片側のせん断端面を残して、評価に供しない部分の端面を切削加工した。例えば、図10中、下側の端面をせん断端面のままとし、上側の端面側に切削加工を施して、試験片10の幅を目的の幅に調整した。
また、図10のように、試験片10に対し、ピン穴10A、10Bと、端面の応力分布調整用の穴(肉抜き部10C)とを、切削加工によって開けて作製した。
更に、試験片10に対し、せん断端面の引っ張り応力が最大となると推定される箇所の近傍にひずみゲージを貼り付けした。
以上のような試験片10を複数用意した。
(実施例1)
次に、本実施形態の治具1(図6及び図7参照)に、各試験片10を取付け、ナットを締め込むことで、試験片10に引張荷重を負荷し、試験片10を変位拘束した。
ここで、図10の形状の試験片10について、せん断端面が単軸引張の降伏応力(YS)程度の引張応力を受けるという条件にてCAE解析を行い、試験片10に発生した、引張方向への応力分布を示したのが図11である。更に、ナットの締込量(引張荷重)を変化させて様々な負荷応力での平切りせん断端面の応力分布を示したのが図12である。この図10では、長手方向の22mmの端面から73mmの端面位置までの平切りせん断端面の引張方向への応力分布を示している。
なお、図12中、応力がピークとなる間辺りに肉抜き部10Cが配置されている。
図12から分かるように、図10に示すような肉抜き部10Cを設けることで、せん断端面の延在方向に沿って、広い領域に、最大到達応力の7割以上の応力の単軸引張応力となっている領域を、少なくとも3mm以上の領域に亘って付与できることを確認した。
また、本実施形態の治具1を使用することで、試験片10に対し、簡易に引張力を付与し且つ水素環境下に浸漬させることができることを確認した。
(実施例2、実施例3)
実施例2では、実施例1と同様に、本実施形態の治具1で、上記形状の試験片10にねじ7の締め込みによって応力を負荷した。このとき、試験片10における、平切りせん断端面部の応力負荷が最大となる箇所にひずみゲージを張り付け、ひずみゲージが測定するひずみ値を見ながらナットの締め込みを実行してひずみ量を調整した。そして、供試材Aの応力ひずみ曲線を参考に、平切りせん断端面の最大到達応力が狙いの応力となるようなひずみ量となったところで、締め込みを停止した。
治具1としては、ピン2、3をステンレス製とした。但し、実施例2では、ピン2、3表面にテフロンテープを巻きつけて被覆することで、ピン2、3と試験片10の接触部を絶縁した。このとき、ピン2、3と試験片10の間をテスターで導通確認したところ、テフロンテープで被覆しなかった場合は電気が導通したが、テフロンテープで被覆した場合は引張負荷を与えた場合でも絶縁されていた。
また、実施例3として、ピン2、3をテフロンテープで被覆しなかった場合、つまりピン2、3と試験片10との間を絶縁しなかった場合で評価した。実施例3は、ピン2、3にテフロンテープでの被覆をしない以外は実施例2と同じ条件で評価した。
すなわち、ピン2、3に対し、テフロンテープを用いた場合と用いない場合の評価をそれぞれ実施した。
そして、実施例2及び3について、実施例1と同様にねじ7の締め込みにより引張力(負荷応力)を負荷した試験片10を、治具1とともにpH2の塩酸に96h浸漬し、負荷応力の大きさに対する遅れ破壊を評価した。
ここで、遅れ破壊の発生の評価は、「亀裂の板厚貫通」が無しのときOK、有りのときNGとして判定した。また、割れの判断は、試験片10を拘束する治具1に対して鉛直上方に設けたカメラにより遅れ破壊試験中に亀裂が発生し進展することを確認して行った。なお、遅れ破壊が発生した場合、全て、せん断端面のうちの応力の高い部分で発生したため、治具1の枠部品5の凹んだ部分からの撮影が可能であった。
表1に、実施例2での評価結果を示す。また、表2に、実施例3での評価結果を示す。
Figure 0007367746000001
Figure 0007367746000002
表1及び表2では、テフロンテープで絶縁した場合のこの試験片10の当該水素侵入環境下での遅れ破壊限界応力は600MPaで、テフロンテープで絶縁しない場合の遅れ破壊限界応力は1000MPaであることが確認された。
このように、絶縁の有無によって評価が異なり、試験片10とピン2、3を絶縁することによって、異種金属間での接触による遅れ破壊限界応力の変化の影響を排除することができることが分かった。
ここで、本試験片の場合、上記条件下では、遅れ破壊限界応力が600MPa前後であることを予め確認している。
また、絶縁していない実施例3で、遅れ破壊限界応力が高めに評価されたのは、次の理由と考えられる。すなわち、絶縁していない状態では、電気的に卑な低炭素鋼であるブランク(試験片10)が、電気的に貴なステンレス鋼(治具1)と接触することで、ブランク側はアノード分極の状態となり水素の発生と侵入が抑制されることで、遅れ破壊が抑制されたためと推定される。ただし、応力腐食割れが優位な状況にあったら、逆に破壊が促進される可能性もあった。
以上のように、本発明によると特に直線状のせん断端面に対し、引張による荷重を負荷して変位拘束し、せん断端面に均一な引張応力を負荷した状態で、遅れ破壊特性を評価することが可能となることが分かった。
1 治具
2 第1のピン
3 第2のピン
5 枠部品
5A、5B 長手部材
5Aa、5Ba第1の挿入穴
5C、5D 短手部材
5Da 貫通穴
6 スライド部品
6A、6B 足部
6Aa、6Ba第2の挿入穴
6C 根元部
6Ca ねじ穴
7 ねじ
7A 頭部
7B 軸
10 試験片
10A、10Bピン穴
10C 肉抜き部

Claims (15)

  1. 長手方向両側にそれぞれピン穴が開口した短冊状の金属板からなる試験片に対し長手方向に沿った引張荷重を負荷し、その負荷状態で試験片を拘束する治具であって、上記試験片と共に水素侵入環境に設置される遅れ破壊評価用の治具であって、
    上記試験片に形成された2つのピン穴のうち、一方のピン穴を貫通する第1のピンと、他方のピン穴を貫通する第2のピンと、
    上記一方のピン穴を貫通した上記第1のピンの両端部をそれぞれ挿入する第1の挿入穴が設けられた枠部品と、
    上記他方のピン穴を貫通する第2のピンの両端部をそれぞれ挿入する第2の挿入穴が設けられたスライド部品と、
    上記枠部品に対し、上記スライド部品を、上記試験片の長手方向に沿って進退可能に連結する引張力調整機構と、を備え、
    上記引張力調整機構は、ねじの回転に伴い直線移動する送りねじ機構によって、上記スライド部品を進退する機構となっている、
    ことを特徴とする遅れ破壊評価用の治具。
  2. 上記枠部品は、上記試験片を間に挟んで、上記試験片の板厚方向で対向する一対の長手部材と、上記試験片を間に挟んで、上記試験片の長手方向で対向し、上記一対の長手部材の端部をそれぞれ連結する一対の短手部材とを備えて、上記一対の長手部材に上記第1の挿入穴が形成され、
    上記スライド部品は、上記試験片の第2のピン穴を挟んで、上記試験片の板厚方向で対向する一対の足部と、その足部の端部同士を連結する根元部とを備えて、上記一対の足部に上記第2の挿入穴が形成され、
    上記スライド部品は、上記一対の長手部材の間に配置されて上記一対の長手部材の長手方向に移動可能となっており、
    上記根元部には、試験片の長手方向に軸を向けて貫通したねじ穴が形成され、上記根元部に近位の上記短手部材には、上記ねじ穴と同軸の貫通穴が開口し、上記ねじ穴に、上記貫通穴を介して、ねじの軸部が螺合し、上記ねじ穴、貫通穴、及びねじが、上記引張力調整機構を構成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載した遅れ破壊評価用の治具。
  3. 治具の少なくとも一部が金属製であり、上記試験片と接触可能な接触面は、試験片と電気的に絶縁していることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載した遅れ破壊評価用の治具。
  4. 上記第1のピン及び上記第2のピンは、絶縁性の材料からなる、
    ことを特徴とする請求項3に記載した遅れ破壊評価用の治具。
  5. 上記第1のピン及び上記第2のピンは金属製であり、上記第1のピン及び上記第2のピンの表面のうち、試験片と接触する面に、絶縁性の膜が形成されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載した遅れ破壊評価用の治具。
  6. 高強度鋼板からなり、かつ長手方向に沿って直線状に延びるせん断端面を有する上記試験片のせん断端面の遅れ破壊を評価するための、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載した遅れ破壊評価用の治具。
  7. 請求項6に記載した治具に試験片を取り付けて、上記スライド部品を進退させることで試験片のせん断端面に引張荷重を負荷し、その負荷状態で、試験片を上記治具と共に水素侵入環境に設置することを特徴とする、せん断端面の遅れ破壊評価方法。
  8. 上記引張荷重は、試験片を変位拘束することによって負荷することを特徴とする請求項7に記載したせん断端面の遅れ破壊評価方法。
  9. 上記試験片は、2つのピン穴間に位置するせん断断面が、試験片の長手方向にそって直線状になっており、上記2つのピン穴の間の領域に、せん断端面の応力分布の調整を目的とした、1又は2以上の肉抜き部を有する、
    ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載したせん断端面の遅れ破壊評価方法。
  10. 上記肉抜き部は、試験片の長手方向に沿って並ぶ複数の開口を有する、
    ことを特徴とする請求項9に記載したせん断端面の遅れ破壊評価方法。
  11. 試験片に引張荷重が負荷された際に、せん断端面の全領域に負荷された応力の最大応力の7割以上の応力の領域が、せん断端面の長手方向に沿って3mm以上連続するように、上記肉抜き部を形成する、
    ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載したせん断端面の遅れ破壊評価方法。
  12. 試験片のせん断端面に近傍にひずみゲージを貼り付けて、せん断端面のひずみを測定することを特徴とする請求項7~請求項11のいずれか1項に記載したせん断端面の遅れ破壊評価方法。
  13. 長手方向に沿った引張荷重が負荷された状態で水素侵入環境に設置される、せん断端面の遅れ破壊評価用の試験片であって、
    高強度鋼板からなり、且つ長手方向両側にそれぞれ荷重を負荷するためのピン穴が開口した短冊形状となっており、
    少なくとも2つのピン穴間において、長手方向に延びる端面の一方が直線上に延びたせん断端面であり、
    上記2つのピン穴の間の領域に、1又は2以上の肉抜き部を有し、
    各肉抜き部は、試験片に形成された開口若しくは肉厚を薄くした領域からなり、その領域は、せん断端面から離れている、
    ことを特徴とするせん断端面の遅れ破壊評価用の試験片。
  14. 上記肉抜き部は、試験片に引張荷重が負荷された際に、せん断端面の全領域に負荷された応力の最大応力の7割以上の応力の領域が、せん断端面の長手方向に沿って3mm以上連続するように形成する、
    請求項13に記載するせん断端面の遅れ破壊評価用の試験片。
  15. 上記肉抜き部は、試験片の長手方向に沿って並ぶ複数の開口からなり、
    上記複数の開口はそれぞれ、ピン穴よりも開口面積が大きい、
    ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載したせん断端面の遅れ破壊評価用の試験片。
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