JP7116946B2 - 銅錫合金の製造方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 開催日 2017年7月12日から2017年7月13日 集会名、開催場所 一般社団法人エレクトロニクス実装学会 関西支部 関西ワークショップ2017 パナソニックリゾート大阪(大阪府吹田市青葉丘南10-1)
本発明は、銅錫合金の製造方法に関する。
従来より、銅や錫はその加工性の高さや入手のしやすさ等から、種々の金属加工の場において重宝されてきた。特に近年では、銅や錫と共に文明の発達を支えてきた金属の一つである鉛に関して、その人体や環境への毒性が指摘され、使用を控える向きがある。今後、銅や錫をより効果的に使用していく方法を見出すことは、非常に有用なことであると考えられる。
純粋な銅は、高い電気伝導性と展延性を有する一方で、融点が1000℃以上と高く、またその入手における費用も比較的高く、材料として使用するに際して種々のデメリットも存在する。錫も、高い展延性を有し加工性が高いといったメリットがある一方で、錫単体として使用した場合には、融点が約232℃と、金属としては耐熱性が低く、また表面にウィスカが発生しやすいというデメリットも抱えている。
そこで銅及び錫の短所を消しつつ、それらの長所を効果的に生かすべく、銅及び錫を単体で使用するのではなく、銅錫合金として使用する試みがなされてきた。特に合金に含まれる銅や錫の割合や結晶構造に応じて、銅錫合金の性質に多様性を持たせることが可能であり、めっき等の被覆用の材料や、接合用の材料など、多様な分野への応用が可能であると考えられる。
ところで、銅錫合金を製造するに際して、ボイドの形成を極力抑えたうえで、いかに安価かつ簡便に製造するかということは、いくつかの重要なポイントの中の一つである。
銅錫系合金の中でも、CuSnやCuSn合金は、銅の利点と錫の利点の双方を併せ持ち、高い有用性を有することから、長年にわたり研究されてきた。例えば、非特許文献1においては、錫と銅の層をそれぞれ交互に積層した構造を介し、高温・高圧下で銅材を接合する技術が開示されている。確かにCuSnやCuSn合金は優れた耐熱性及び耐食性を有しており、かかるCuSnやCuSn合金を接合部材等に使用することは有効であると考えられる。
一方で、銅と錫のそれぞれを積層した後、CuSnやCuSn合金を形成する場合、積層界面の合金中にボイドが形成される可能性があり、CuSnやCuSn合金を、接合材料等の各目的に使用するに際しては、そのボイドの発生を低減する必要がある。しかしながら、非特許文献1に記載された方法では、ボイドの発生を充分に抑えられているとは言い難かった。そこで、よりボイドの発生を抑制することのできるCuSnやCuSn合金等の銅錫合金の製造方法を見出すことが求められている。
第18回エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術シンポジウム論文集第39-42頁
上記のような事情に鑑み、本発明の目的とするところは、ボイドの発生を低減することのできる、銅錫合金の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記目的を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、銅層又は銅錫層である第1の金属層、及び該第1の金属層より錫を多量に含有する銅錫層である第2の金属層が積層された、銅及び錫を元素構成比で銅:錫=50:50~95:5で含む銅錫含有層、並びに錫により実質的に構成される錫供給層を接触させて積層体とし、前記積層体を加熱することにより、銅錫合金中のボイドの発生を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の銅錫合金の製造方法を提供する。
項1.
銅錫合金の製造方法であって、
銅層又は銅錫層である第1の金属層、及び該第1の金属層より錫を多量に含有する銅錫層である第2の金属層が積層された、銅及び錫を元素構成比で銅:錫=50:50~95:5で含む銅錫含有層、並びに
錫により実質的に構成される錫供給層を接触させて積層体とし、
前記積層体を加熱することを特徴とする、
銅錫合金の製造方法。
項2.
前記銅錫含有層の厚みは0.1~50μmである、項1に記載の銅錫合金の製造方法。
項3.
前記第1の金属層及び前記第2の金属層の厚みは、それぞれ5~500nmである、項1又は2に記載の銅錫合金の製造方法。
項4.
第1の金属部材と第2の金属部材とを接合する方法であって、
前記第1の金属部材と前記第2の金属部材との間に、
銅層又は銅錫層である第1の金属層、及び該第1の金属層より錫を多量に含有する銅錫層である第2の金属層が積層された、銅及び錫を元素構成比で銅:錫=50:50~95:5で含む銅錫含有層、並びに
1層以上の錫供給層を配置し、
それら全体を加熱することを特徴とする、接合方法。
本発明に係る銅錫合金の製造方法によれば、銅錫合金中のボイドの発生を低減することができる。
実施例1における第1の金属層及び第2の金属層による積層の断面電子顕微鏡写真。 実施例1の銅錫合金の概略図。 実施例1の銅錫合金断面の電子顕微鏡写真。 実施例3の接合方法の説明図。 実施例2~4及び比較例1の銅錫合金断面の電子顕微鏡写真。
本発明の銅錫合金の製造方法は、銅層又は銅錫層である第1の金属層、及び該第1の金属層より錫を多量に含有する銅錫層である第2の金属層が積層された、銅及び錫を元素構成比で銅:錫=50:50~95:5で含む銅錫含有層、並びに錫により実質的に構成される錫供給層を接触させて積層体とし、前記積層体を加熱することを特徴とする。
銅錫合金
銅錫合金としては、銅及び錫を含有する合金を主たる成分として含有する合金であれば特に限定はない。具体的には、CuSn、CuSnから選択される一種以上を含有することが好ましく、CuSnを含有することがより好ましい。CuSnは融点が415℃、CuSnは676℃と、共に錫合金としては耐熱性に優れている。その他、銅錫合金には、CuSn、CuSn、Cu10Sn、Cu40Sn11、Cu41Sn11、及びCu81Sn22から選択される一種以上が不可避不純物として含まれていてよい。
銅錫含有層
銅錫含有層は、銅層又は銅錫層である第1の金属層、及び該第1の金属層より錫を多量に含有する銅錫層である第2の金属層を積層することにより得られる。積層を形成するための方法としては、上記第1の金属層と上記第2の金属層とを積層可能な、公知の方法を広く採用することができるが、例えば蒸着等の方法は、純粋な銅の積層や錫の積層しか形成することができないため、採用不可能である。銅錫含有層を形成する方法としては、具体的には、めっき法、スパッタリング法、等を挙げることができる。
第1の金属層に含まれる銅及び錫の配合比率は、元素構成比で、銅:錫=70:30~100:0とするのが好ましい。また、第2の金属層は、第1の金属層よりも、錫を多量に含有する銅錫層である。第2の金属層に含まれる銅及び錫の配合比率は、元素構成比で銅:錫=70:30~5:95とするのが好ましい。かかる構成を有することにより、最終的に得られる銅錫合金中にボイドが形成されることを抑制することができる。
純粋な銅や錫の層を積層することによって、銅錫含有層を構成することも可能であるが、上述した第1の金属層及び第2の金属層を積層することによって銅錫含有層を構成することにより、銅錫含有層を構成する各層間の、銅と錫との濃度勾配差を少なくすることができる。これにより、銅錫含有層を加熱した際に各層間で銅及び錫の異常拡散が抑制され、各層間の界面におけるボイドの発生を抑制することができると考えられる。
銅錫含有層における第1の金属層及び第2の金属層の積層数、各積層の一層当たりの厚み、及び銅錫含有層全体の厚み、及び錫供給層の厚みを勘案し、最終的に得られる銅錫合金中の銅及び錫は、元素構成比で銅:錫=45:55~90:10となることが好ましく、銅:錫=55:45~90:10とすることがより好ましい。かかる構成を有することにより、銅錫合金中のCuSn及びCuSnの含有率を高めることが可能となる。
上記を勘案の上、銅錫含有層に含まれる銅及び錫は、元素構成比で銅:錫=50:50~95:5となるように構成される。ここで、耐熱性等に優れたCuSn、CuSnの含有比率を高めるという面から、銅錫含有層中の銅及び錫の含有量は、元素構成比で銅:錫=55:45~95:5とするのがより好ましい。
銅錫含有層を構成する各積層の一層当たりの厚みとしては、第1の金属層及び第2の金属層共に、それぞれ独立して5~500nmが好ましく、10~100nmがより好ましく、40~80nmがさらに好ましい。各積層の一層当たりの厚みをかかる数値範囲内とすることにより、拡散が速やかに進み、短時間でボイドの少ない銅錫合金が得られるという効果を得ることができる。
また、銅錫含有層を構成する第1の金属層及び第2の金属層の積層数としては、積層が過多とならないようにして不純物混入の可能性を低減し、また、生産性を向上させるために、合計で10~1000とするのが好ましく、20~650とすることが、さらに好ましい。
銅錫含有層全体の厚みとしては、錫供給層との速やかな拡散という点を考慮し、0.1~50μmとするのが好ましく、0.5~20μmとするのがさらに好ましい。また、銅錫含有層の厚みをかかる数値範囲内となるように、各積層の一層当たりの厚み及び積層数を上記の如く設定するのが好適である。かかる構成に加えて、後述する錫供給層も併せて加熱することにより、得られる銅錫合金中のCuSn、CuSnの含有率を高めることができる。
錫供給層
錫供給層は、錫により実質的に構成される。ここでいう「実質的に」とは、錫供給層がほぼ純粋な錫により構成され、わずかに他の金属元素等や、不純物が含まれることも許容されるということを意味する。
錫供給層はほぼ純粋な錫により構成されるため、第1の金属層及び第2の金属層よりも低融点である。錫供給層を備えることにより、後述する加熱工程を低温で実施することが可能になる。より具体的には、加熱工程において、240℃付近で、錫供給層中の錫が、第1の金属層及び第2の金属層に先んじて溶融して第1の金属層及び第2の金属層に含まれる銅中に拡散することにより、銅錫含有層に錫が供給される。これにより銅錫含有層を含めた全体を、約300℃付近という低温で銅錫合金を製造することが可能となる。
本発明の製造方法により得られる銅錫合金を、例えば銅などの金属同士の接合に利用する場合には、錫供給層を備えることにより、低温、短時間で、高融点のCuSn、CuSnが生成可能となるだけでなく、ボイドの少ない、強固な接着が可能となる。
錫供給層の厚みは、0.1~20μmとするのが好ましく、0.5~5μmとするのがさらに好ましい。
錫供給層を形成するための方法としては、公知の方法を広く採用することができ、特に限定はない。具体的には、めっき法、蒸着法、スパッタリングなどの各種の方法を使用することが可能である。
加熱
以上の通り、銅錫含有層及び錫供給層を設けて積層体を形成した後、該積層体を加熱することにより銅錫合金を形成する。加熱は、200~350℃で行うことが好ましく、240~320℃で行うことがより好ましい。
加熱に際して、同時に加圧を行うことも好ましい実施態様である。0.1~20MPa、より好ましくは0.5~10MPa程度の圧力を加えるとよい。
以上のようにして得られた銅錫合金は、種々の目的に使用することが可能である。例えば、本発明の製造方法により製造された銅錫合金を、金属部材の接合に利用するのも好ましい。金属部材としては、公知の金属部材を広く採用することができ特に限定はなく、例えば銅などを挙げることができる。また本明細書における金属部材には、非金属部材を公知の金属で被覆したものも包含される。
本発明の製造方法により得られた銅錫合金を、第1の金属部材と第2の金属部材の接合に使用する場合、第1の金属部材と第2の金属部材との間に、銅層又は銅錫層である第1の金属層、及び該第1の金属層より錫を多量に含有する第2の金属層とが積層された、銅及び錫を元素構成比で銅:錫=50:50~95:5で含む銅錫含有層及び1層以上の錫供給層を配置し、それら全体を加熱することにより、接合することが可能である。
第1の金属部材と第2の金属部材との接合における具体的な実施態様としては、一方の金属部材の被接合面上に銅錫含有層を設け、該銅錫含有層における金属部材と接触していないもう片方の面上に錫供給層を設け、該錫供給層を更にもう一方の金属部材に接触させた後に全体を加熱する方法が挙げられる。
さらに、第1の金属部材と第2の金属部材との接合における具体的な別の実施態様としては、ぞれぞれの金属部材の被接合面上に銅錫含有層を設け、それぞれの金属部材に形成された2つの銅錫含有層の何れか又は双方における金属部材と接触していないもう一方の面上に錫供給層を設ける。そしてそれぞれの金属部材に設けられた錫供給層同士、又は、一方のみの金属部材に設けられた錫供給層ともう一方の金属部材に設けられた銅錫含有層とを、接触させた後に全体を加熱する方法も挙げることができる。
上記何れの実施態様においても、加熱に加えて同時に加圧を行うことが好ましい。
また、金属部材の接合に際しては、錫供給層の表面にフラックスを塗布などの公知の方法により、付着させるのも好ましい。
使用するフラックスとしては、低残渣タイプが好ましい。
本発明の製造方法により得られる銅錫合金は、該銅錫合金内のボイドの形成が少ない。また、これを金属部材同士の接合に用いた場合、接合される金属部材の素材くわれも少ないため、接合材料として非常に優れた特性を有する。また、本発明の製造方法により得られる銅錫合金は耐熱性に優れているため、特に金属部材同士が接合されて形成された物品が200℃以上の高温下での使用に供されるような場合の使用に好適である。
これまで上記のような、高温下での使用が想定される物品に使用される金属接合用の材料としては、鉛及び錫の合金が広く使用されてきた。しかし近年では人体や環境への毒性の観点から、鉛の使用を控える向きがある。本発明の製造方法によれば、400℃以上の高融点の銅錫合金を得ることが可能であり、高温下での使用が想定される物品に使用される金属接合用の材料として好適である。
また、本発明の製造方法によれば、かかる高融点の銅錫合金を、例えば300℃付近の低温で製造することができる。
それ以外の本発明の製造方法により得られる銅錫合金の使用用途としては、各種の部材を被覆する被覆材として使用するのも好ましい。本発明の銅錫合金による被覆材は、被覆材自体のボイドの発生が低減され、また、被覆される母材の素材くわれも低減される。さらには銅や錫単体でめっきした場合と比較して、耐腐蝕性の面で優れているだけでなく、ウィスカの発生も低減することができる。
その他、本発明の製造方法により得られる銅錫合金を、リチウムイオン電池の負極材として使用するのも好ましい。本発明の製造方法により得られる銅錫合金は現在広く利用されている黒鉛に対して、理論的には約3倍の容量を有するため、リチウムイオン電池の負極材として使用するのに好適である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
銅材上に、銅:錫の含有される割合が元素構成比で銅:錫=95:5の第1の金属層と、銅:錫の含有される割合が元素構成比で銅:錫=60:40の第2の金属層とを、湿式めっき手法を用い交互に積層して、銅錫含有層を形成した。形成された第1の金属層、第2の金属層の各層の厚みは図1に示すように、約25~50nmとした。積層数は、第1の金属層を100層、第2の金属層を100層の合計200層とした。さらに図2に示すように、銅錫含有層の上に、湿式めっき手法により錫めっきすることで、厚さ2μmの錫供給層を形成した。その後、300℃条件下で加熱した。銅錫含有層に含まれる銅及び錫の含有比率は、元素構成比で、銅:錫=83.7:16.3であった。また、銅錫含有層の厚みは、10μmであった。
図3には実施例1の加熱後の断面の電子顕微鏡写真(反射電子像)を示した。錫供給層を形成し、加熱することで、均一な構造を有する銅錫合金が得られ、かつ銅材との境界でのボイドの形成が抑制されることが確認された。また、加熱後の銅錫合金の元素構成比は銅:錫=76.6:23.4となっており、CuSnが生成していると考えられる。また、ボイドに関しても、直径1μmにも満たない極微小なものしか確認されず、実質的に無視できるレベルであった。
(実施例2)
図4に示したように、銅材(20mm×20mm、厚み1mm)上に、実施例1と同様の方法で銅錫含有層を作成した。その後、銅錫含有層の上に、湿式めっき手法により錫めっきすることで、厚さ1μmの錫供給層を形成した。接合する銅材(10mm×10mm、厚み1mm)上にも同様に銅錫合金層および厚さ1μmの錫供給層を形成した。これら錫供給層側同士を重ね合わせ、300℃条件下、0.5MPaの圧力をかけることにより銅錫合金を製造し、銅材の接合を行った。
(実施例3)
銅材(20mm×20mm、厚み1mm)及び銅材(10mm×10mm、厚み1mm)の接合を行った。第1の金属層及び第2の金属層の各層の厚みを約8~15nmとし、第1の金属層と第2の金属層の積層数を、それぞれ300層ずつの合計600層とした以外は、実施例2と同様にして、銅錫合金を形成し、銅材の接合を行った。
(実施例4)
銅材(20mm×20mm、厚み1mm)及び銅材(10mm×10mm、厚み1mm)の接合を行った。第1の金属層及び第2の金属層の各層の厚みを約200~400nmとし、第1の金属層と第2の金属層の積層数を、それぞれ15層ずつの合計30層とした以外は、実施例2と同様にして、銅錫合金を形成し、銅材の接合を行った。
(比較例1)
銅材(20mm×20mm、厚み1mm)及び銅材(10mm×10mm、厚み1mm)の接合を行った。銅錫含有層は形成せず、両方の銅材に錫供給層を厚さ5μmで形成した。これらを重ね合わせ、300℃条件下、0.5MPaの圧力をかけることにより銅錫合金を製造し、接合した。
図5に、実施例2~4及び比較例1の銅材の接合を行った接合断面の電子顕微鏡写真(反射電子像)を示した。図中、写真の上下に存在する黒色の部分は、共に銅材である。図から解るように、実施例2~4の構成を用いて接合を行った場合には、形成された銅錫合金中のボイドの形成が比較例1よりも抑制されることが、確認された。
実施例2~4において接合部分に形成された銅錫合金の厚みは,銅錫含有層の各層の厚みに依存する傾向があった。これらの接合部の元素組成比からは、実施例2~4では、ともにCuSn、CuSnなどの銅錫合金が形成されていると考えられる。また、加熱後においても銅錫含有層が残存していることが観察された。また、残存した銅錫合金層は加熱前の銅錫含有層と同等の元素組成比を有しているため、高融点の銅錫合金又は銅と考えられる。比較例1においては,銅材との接合界面部の平滑性が損なわれ粗雑となる銅材の浸食、いわゆる銅食われが生じている様子が確認された。一方,銅材に銅錫含有層を形成した実施例2~4においては、銅材との接合界面部は加熱前と同等の平滑性を保持しており,銅材の浸食(食われ)等はほとんど認められなかった。
1 錫供給層
2 銅錫含有層
3 銅材

Claims (4)

  1. 銅錫合金の製造方法であって、
    銅層又は銅錫層である第1の金属層、及び該第1の金属層より錫を多量に含有する銅錫層である第2の金属層が積層された、銅及び錫を元素構成比で銅:錫=70:30~95:5(但し、このうち70:30は除く。)で含む銅錫含有層、並びに
    錫により実質的に構成される錫供給層を接触させて積層体とし、
    前記積層体を加熱することを特徴とする、
    銅錫合金の製造方法。
  2. 前記銅錫含有層の厚みは0.1~50μmである、請求項1に記載の銅錫合金の製造方法。
  3. 前記第1の金属層及び前記第2の金属層の厚みは、それぞれ5~500nmである、請求項1又は2に記載の銅錫合金の製造方法。
  4. 第1の金属部材と第2の金属部材とを接合する方法であって、
    前記第1の金属部材と前記第2の金属部材との間に、
    銅層又は銅錫層である第1の金属層、及び該第1の金属層より錫を多量に含有する銅錫層である第2の金属層が積層された、銅及び錫を元素構成比で銅:錫=70:30~95:5(但し、このうち70:30は除く。)で含む銅錫含有層、並びに
    1層以上の錫供給層を配置し、 それら全体を加熱することを特徴とする、接合方法。
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