JP7116713B2 - バッテリ価格設定装置 - Google Patents

Description

本発明は、車両などに搭載されたバッテリの下取り価格を設定するバッテリ価格設定装置に関する。

この種の装置として、従来、バッテリの将来の残存価値を評価するようにした装置が知られている（例えば特許文献１参照）。特許文献１記載の装置では、バッテリ（蓄電池）の充放電回数、抵抗測定値、容量測定値などのバッテリの現在の状態量と、予め蓄積された試験データとに基づいて、所定期間後のバッテリの残存価値を求め、この残存価値からバッテリの格付けを行う。

特開２０１４－６３６１７号公報

ところで、バッテリの品質は、バッテリの状態量だけでなく、バッテリに作用する負荷が通常範囲を超えたことがある等、バッテリの異常な使用実績の有無によって影響を受ける。しかしながら、上記特許文献１記載の装置は、この点を十分に考慮することなく残存価値を求めるため、バッテリの適正な下取り価格を設定することが困難である。

本発明の一態様であるバッテリ価格設定装置は、所定の機器に搭載されたバッテリの使用実績の情報を含むバッテリ情報を取得する情報取得部と、情報取得部により取得されたバッテリ情報に基づいて、バッテリについて異常な使用実績があるか否かを判定する判定部と、判定部によりバッテリの異常な使用実績があると判定されると、異常な使用実績がないと判定されるときよりも、バッテリの下取り価格を低く設定する価格設定部と、を備える。バッテリ情報は、予めバッテリの充放電の動作を制御する制御部のメモリに記録された動作プログラムの書き換えの情報を含み、判定部は、動作プログラムの非正規の書き換えの情報があるとき、バッテリの異常な使用実績があると判定する。

本発明によれば、バッテリの適正な下取り価格を容易に設定することができる。

本発明の実施形態に係るバッテリ価格設定装置が適用される電動車両の走行駆動系の要部構成を概略的に示す図。 本発明の実施形態に係るバッテリ価格設定装置を有するバッテリ価格設定システムの全体構成を概略的に示すブロック図。 図２のサーバ装置のＣＰＵで実行される処理の一例を示すフローチャート。 図２の変形例を示すブロック図。

以下、図１～図４を参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係るバッテリ価格設定装置は、車両に搭載されたバッテリに下取り価格を設定するものである。すなわち、車両に搭載されたバッテリは、一次利用後に二次利用（リユース）またはリサイクルされることがあり、この場合の下取り価格を設定するように構成される。なお、以下では、特に電気自動車やハイブリッド自動車などの走行モータを有する電動車両に一次利用として用いられたバッテリを対象として、バッテリ価格設定装置を構成する例を説明する。

図１は、本実施形態に係るバッテリ価格設定装置が適用される電動車両１０１（単に車両と呼ぶこともある）の走行駆動系の要部構成を概略的に示す図である。図１に示すように、車両１０１は、バッテリ１と、電力制御ユニット（ＰＣＵ）２と、走行モータ３とを有する。

バッテリ１は、単一のバッテリパック１０によりユニット化して構成される。なお、複数のバッテリパック１０によりバッテリ１を構成することもできる。本実施形態のように単一のバッテリパック１０によりバッテリ１を構成する場合、バッテリ１とバッテリパック１０とは同一であり、以下では、バッテリパック１０をバッテリ１と呼ぶ、またはバッテリ１をバッテリパック１０と呼ぶことがある。バッテリ１には固有の識別ＩＤ（バッテリＩＤ）が付与される。

バッテリパック１０は、複数のバッテリモジュール１１と、バッテリＥＣＵ１５とを有する。複数のバッテリモジュール１１は、バスバーなどを介して互いに直列または並列に接続される。これらバッテリモジュール１１は、それぞれ複数のセル１２を有する。それぞれのセル１２は、例えばラミネートフィルムでシールされた平坦形状のリチウムイオンセルであり、電極板を有する。これらセル１２は、密閉されたバッテリモジュール１１の筐体内に、電極板同士を互いに直列または並列に接続した状態で収容され、リチウムイオンバッテリを形成する。

バッテリＥＣＵ１５は、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭおよびその他の周辺回路を含んで構成され、バッテリ１の状態を監視する機能を有する。より詳しくは、バッテリＥＣＵ１５は、複数のバッテリモジュール１１それぞれの状態を検出する複数の検出回路１６と、バッテリパック１０の状態を検出する検出回路１７とを有する。検出回路１６は、例えば各バッテリモジュール１１の電流、電圧、温度などの各種物理量を検出するセンサを含む。検出回路１６は、これら検出された物理量に基づいて、各バッテリモジュール１１の充電率ＳＯＣ（State of Charge）と健全性を表す健全値ＳＯＨ（State of Health）とを演算する。検出回路１７は、検出回路１６からの信号に基づいて、バッテリ全体のＳＯＣとＳＯＨとを演算する。

バッテリＥＣＵ１５は、予めメモリに記録されたプログラムに従いバッテリ１の充放電を制御する制御装置としても機能する。プログラムには、バッテリ１を流れる電流とバッテリ１の電圧とバッテリ１の温度などの制限値、ＳＯＣの制限値等が設定され、バッテリＥＣＵ１５は、検出回路１６，１７の検出値などに基づき、これら制限値を越えないようにバッテリ１の充放電を制御する。なお、バッテリＥＣＵ１５ではなく電力制御ユニット２で、バッテリ１の充放電を制御することもできる。

バッテリ１の電力は、図示しないジャンクボックスを介して電力制御ユニット２に供給される。電力制御ユニット２は、インバータ回路を有し、インバータ回路でバッテリ１からの直流を交流に変換して、走行モータ３に駆動電力を供給する。これにより走行モータ３が駆動され、駆動輪４が回転駆動して車両１０１が走行する。

図２は、本実施形態に係るバッテリ価格設定装置を有するバッテリ価格設定システム１００の全体構成を概略的に示すブロック図である。図２に示すように、バッテリ価格設定システム１００は、車両１０１の車載端末２０と、車両１０１に搭載されたバッテリ１を下取りする処理業者３１の端末（業者端末３０）と、サーバ装置５０とを有する。サーバ装置５０は、主に本実施形態に係るバッテリ価格設定装置を構成する。

図２に示すように、車載端末２０、業者端末３０およびサーバ装置５０は、インターネット網や携帯電話網等に代表される公衆無線通信網を含むネットワーク４０に接続され、ネットワーク４０を介して通信可能である。なお、ネットワーク４０には、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線ＬＡＮ、Ｗｉ－Ｆｉ（登録商標）等も含まれる。

車載端末２０は、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭ、およびその他の周辺回路を有する演算処理装置を含んで構成され、機能的構成として、ネットワーク４０を介して通信を行う通信部を有する。車載端末２０は、バッテリＥＣＵ１５（図１）に接続され、バッテリＥＣＵ１５から送信されたバッテリ情報を、バッテリ１を識別するバッテリＩＤおよび車両１０１を識別する車両ＩＤとともに、通信部を介して所定のタイミングでサーバ装置５０に送信する。

バッテリ情報には、バッテリ１の使用実績の情報が含まれる。使用実績の情報には、バッテリＥＣＵ１５で演算されたバッテリ１のＳＯＣやＳＯＨ、充放電回数等の情報の他、バッテリＥＣＵ１５で検出されたバッテリ１を流れる電流やバッテリ１の電圧、すなわちバッテリ１の入出力電力、温度等の情報が含まれる。バッテリ１の故障および修理履歴の情報、およびバッテリ１の交換情報も、バッテリ情報に含まれる。バッテリ１の仕様変更に係る情報、例えばバッテリＥＣＵ１５に記録された動作プログラムの書き換えや更新の有無の情報、バッテリ１に追加または交換で部品が組み込まれたことを示す情報も、バッテリ情報に含まれる。サーバ装置５０は、これらのバッテリ情報に基づいてバッテリ１の下取り価格を算出する。

車載端末２０は、バッテリ情報に加え車両情報をサーバ装置５０に送信する。車両情報には、車載センサにより得られた車両１０１の走行環境や走行状況を示す情報、すなわち車両１０１の車種、年式、走行距離、走行時間、停止時間、平均加減速度、温度環境等の情報が含まれる。サーバ装置５０は、バッテリ情報だけでなく車両情報をパラメータとして、バッテリ１の下取り価格を算出することもできる。

業者端末３０は、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭ、およびその他の周辺回路を有する演算処理装置を含んで構成されるとともに、機能的構成として、ネットワーク４０を介して通信を行う通信部を有する。業者端末３０は、車両１０１に搭載されたバッテリ１を下取りするとき、下取り価格の設定依頼を、当該バッテリ１のバッテリＩＤとともにサーバ装置５０に送信する。そして、サーバ装置５０で算出された当該バッテリ１の下取り価格を受信する。これにより処理業者３１は、バッテリ１の適正な下取り価格を知ることができる。

サーバ装置５０は、例えば単一のサーバとして、あるいは機能ごとに別々のサーバから構成される分散サーバとして構成される。クラウドサーバと呼ばれるクラウド環境に作られた分散型の仮想サーバとしてサーバ装置５０を構成することもできる。サーバ装置５０は、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭ、およびその他の周辺回路を有する演算処理装置を含んで構成される。

サーバ装置５０は、機能的構成として、通信部５１と、情報取得部５２と、判定部５３と、価格設定部５４と、情報出力部５５と、記憶部５６とを有する。

通信部５１は、ネットワーク４０を介し、車載端末２０および業者端末３０と無線通信可能に構成される。通信部５１は、所定周期であるいは所定のタイミングで車載端末２０および業者端末３０と通信し、各種情報を送受信する。

情報取得部５２は、車載端末２０から送信されたバッテリ情報および車両情報を、バッテリＩＤおよび車両ＩＤとともに取得する。また、情報取得部５２は、業者端末３０から送信されたバッテリ１の下取り価格の設定依頼を取得する。情報取得部５２により取得されたバッテリ情報と車両情報とは、記憶部５６に記憶される。

判定部５３は、業者端末３０から送信された下取り価格の設定依頼を受信すると、記憶部５６に記憶されたバッテリ情報あるいはバッテリ情報と車両情報に基づいて、バッテリ１の異常な使用実績があるか否かを判定する。例えば、バッテリ１を流れる電流、バッテリ１の電圧および温度の少なくともいずれかの物理量が、予め記憶した制限値を超えるとき、判定部５３は、異常な使用実績があると判定する。

判定部５３は、車載端末２０から送信された物理量が制限値を超えた場合だけでなく、バッテリ１の仕様が不所望に変更された場合も異常な使用実績があると判定する。例えば、バッテリＥＣＵ１５における動作プログラムの書き換え、特に製造メーカで認められていない非正規の書き換えがあるとき、判定部５３は、異常な使用実績があると判定する。より具体的には、初期の仕様よりもバッテリ１の出力を増大させるような動作プログラムの書き換えがあると、異常な使用実績があると判定する。一方、例えば製造メーカからのリコールの通知により、動作プログラムの更新が必要であったのにも拘わらず、所定期間以上の長期間にわたって更新がなされていないときも、判定部５３は、異常な使用実績があると判定する。さらに、いわゆるサードパーティによるバッテリ１への非正規品の組み込み情報があるときも、判定部５３は、バッテリ１の仕様が不所望に変更されたものとして、異常な使用実績があると判定する。

価格設定部５４は、バッテリ１の下取り価格を設定する。この場合、判定部５３によりバッテリ１の異常な使用実績があると判定されると、異常な使用実績がないと判定されたときよりも、バッテリ１の下取り価格を低く設定する。より具体的には、まず、バッテリ１の新品時の価格や使用年数および所定の原価償却の式を用いて、異常な使用実績がない場合の正規の下取り価格（第１下取り価格と呼ぶ）を算出する。さらに、判定部５３で異常な使用実績があると判定されると、異常な使用実績の内容に応じて、０以上１未満の範囲で価格係数αを設定する。そして、第１下取り価格に価格係数αを乗算して、下取り価格（第２下取り価格と呼ぶ）を算出する。

価格係数αは、使用実績の異常の程度が大きいほど、小さい値に設定される。例えばバッテリ電流、電圧等の物理量が制限値を超えるときにその制限値との差が大きいほど、あるいは非正規の動作プログラムへの書き換え後のバッテリ１の使用期間が長いほど、あるいは必要な動作プログラムを更新していない期間が長いほど、使用実績の異常の程度が大きいとして、価格係数αは小さい値に設定される。判定部５３で、バッテリ１への非正規品の組み込み情報があると判定されると、価格係数αは例えば０に設定される。価格係数αが０のとき、下取り価格が０になるため、バッテリ１のリユースを禁止することができる。

情報出力部５５は、価格設定部５４で設定されたバッテリ１の下取り価格（第１下取り価格、第２下取り価格）を、下取り価格の設定依頼を送信した業者端末３０に送信する。これにより、処理業者３１は、バッテリ１の適正な下取り価格を認識することができる。

図３は、予め定められたプログラムに従い、サーバ装置５０のＣＰＵで実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば通信部５１を介して車載端末２０との間で通信が確立すると開始され、所定周期で繰り返される。

まず、ステップＳ１で、情報取得部５２での処理により、車載端末２０から送信されたバッテリ情報および車両情報をバッテリＩＤおよび車両ＩＤとともに取得する。次いで、ステップＳ２で、ステップＳ１で取得した各種情報を記憶部５６に記憶する。次いで、ステップＳ３で、業者端末３０からバッテリ１の下取り価格の設定依頼が送信されたか否かを判定する。ステップＳ３で肯定されるとステップＳ４に進み、否定されると処理を終了する。

ステップＳ４では、価格設定部５４での処理により、記憶部５６に記憶されたバッテリ情報のうち、業者端末３０から送信されたバッテリＩＤに対応するバッテリ情報に基づいて、バッテリ１の正規の下取り価格として第１下取り価格を設定する。バッテリ情報だけでなく車両情報に基づいて第１下取り価格を設定してもよい。

次いで、ステップＳ５で、判定部５３での処理により、記憶部５６に記憶されたバッテリ情報に基づいて、下取り価格の設定依頼を受けたバッテリ１に異常な使用実績があるか否かを判定する。ステップＳ５で肯定されるとステップＳ６に進み、否定されるとステップＳ６、ステップＳ７をパスしてステップＳ８に進む。

ステップＳ６では、価格設定部５４での処理により、異常な使用実績の内容に基づいて、０以上１未満の範囲で価格係数αを設定する。次いで、ステップＳ７で、ステップＳ４で算出した第１下取り価格にステップＳ６で設定した価格係数αを乗算し、異常な使用実績があるバッテリ１の下取り価格として、第２下取り価格を設定する。次いで、ステップＳ７で、情報出力部５５での処理により、バッテリ１の下取り価格を業者端末３０に送信する。すなわち、ステップＳ４で設定された第１下取り価格またはステップＳ７で設定された第２下取り価格を業者端末３０に送信する。

本実施形態に係るバッテリ価格設定装置の動作をまとめると以下のようになる。車両１０１に搭載されたバッテリ１の使用実績に関する情報は、車載端末２０を介して随時サーバ装置５０に送信され、記憶部５６に記憶される（ステップＳ１、ステップＳ２）。車両１０１のユーザがバッテリ１の下取りを処理業者３１に依頼すると、処理業者３１は業者端末３０を介して当該バッテリ１の下取り価格の設定依頼をサーバ装置５０に送信する。

サーバ装置５０で、下取り価格の設定依頼が受信されると、正常使用時のバッテリの使用実績（ＳＯＨ等）に基づいてバッテリ１の第１下取り価格が算出される（ステップＳ４）。次いで、記憶部５６に記憶されたバッテリ情報に基づいて、バッテリ１の異常な使用実績があったか否かが判定され、異常な使用実績がないと判定されると、第１下取り価格がそのまま下取り価格として、業者端末３０に送信される（ステップＳ５→ステップＳ８）。

一方、バッテリ１の異常な使用実績があったと判定されると、その使用実績に応じた価格係数αが設定されるとともに、価格係数αが第１下取り価格に乗算され、第２下取り価格が設定される（ステップＳ６、ステップＳ７）。例えば、車両１０１が急勾配の降板走行をしてバッテリ１の回生量が所定値を超えることにより、バッテリ１のリチウム金属が析出するような状況が生じると、異常な使用実績があったと判定される。この場合、１未満の価格係数αを乗算することにより、第１下取り価格よりも低い第２下取り価格が設定され、第２下取り価格が下取り価格として業者端末３０に送信される（ステップＳ７→ステップＳ８）。

これにより下取り業者は、バッテリ１の使用実績に応じたバッテリ１の適正な下取り価格を設定することができる。すなわち、バッテリ１の異常な使用実績があった場合には、バッテリ１の劣化の程度が大きく、リユースされるバッテリ１の耐久性や品質に対する信頼性が低下する。このため、異常な使用実績がないときよりも、バッテリ１の下取り価格が安価に設定される。これにより、バッテリ１の残存価値に見合った適正な価格設定が可能である。

本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
（１）本実施形態に係るバッテリ価格設定装置は、車両１０１に搭載されたバッテリ１の使用実績の情報を含むバッテリ情報を取得する情報取得部５２と、情報取得部５２により取得されたバッテリ情報に基づいて、バッテリ１の異常な使用実績があるか否かを判定する判定部５３と、判定部５３によりバッテリ１の異常な使用実績があると判定されると、異常な使用実績がないと判定されるときよりも、バッテリ１の下取り価格を低く設定する価格設定部５４と、を備える（図２）。このようにバッテリ１の異常な使用実績の有無を考慮して下取り価格を設定することで、バッテリ１の適正な下取り価格を設定することが可能である。

（２）バッテリ情報は、バッテリ１を流れる電流、バッテリ１の電圧、およびバッテリ１の温度等の物理量の情報を含む。判定部５３は、これら物理量のいずれかが正常使用時の所定範囲を超えると、バッテリ１の異常な使用実績があると判定する。これにより、バッテリ１の異常な使用実績の有無を適正に判定できる。

（３）バッテリ１の充放電の動作は、例えばバッテリＥＣＵ１５により制御される。バッテリ情報は、予めバッテリＥＣＵ１５のメモリに記録された動作プログラムの書き換えの情報を含む。判定部５３は、動作プログラムの非正規の書き換えの情報があるとき、バッテリ１の異常な使用実績があると判定する。すなわち、動作プログラムの非正規の書き換えがあると、メーカ側が意図したバッテリ１の使用がなされずにバッテリ１の劣化や耐久性の低下等のおそれがある。この点を考慮し、動作プログラムの非正規の書き換え時に、バッテリ１の異常実績と判定する。これにより、バッテリ１の下取り価格を適正に設定することができる。

（４）バッテリ情報は、さらにバッテリＥＣＵ１５の動作プログラムの更新の情報を含む。判定部５３は、動作プログラムの正規の更新の情報がないとき、バッテリ１の異常な使用実績があると判定する。すなわち、例えばバッテリ１の動作プログラムのリコールの通知があったにも拘わらず、動作プログラムを更新せずに放置していると、バッテリ１が劣化しやすい。この点を考慮して、動作プログラムの正規の更新がないときにバッテリ１の異常実績と判定する。これにより、バッテリ１の下取り価格を適正に設定することができる。

（５）バッテリ情報は、バッテリ１に追加または交換で組み込まれる部品の情報を含む。判定部５３は、非正規部品の組み込み情報があるとき、バッテリ１の異常な使用実績があると判定する。これにより、メーカが保障する部品以外が取り付けられたことにより、バッテリ１の二次利用時の性能が悪化することを考慮し、バッテリ１の適切な下取り価格の設定が可能である。

上記実施形態は、種々の形態に変更することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、車載端末２０と通信接続されたサーバ装置５０により、バッテリ１の下取り価格を設定するようにしたが、車載端末２０や業者端末３０で下取り価格を設定してもよい。すなわち、バッテリ価格設定装置をサーバ装置５０ではなく、車載端末２０や業者端末３０に設けてもよい。

図４は、その一例として、業者端末３０で下取り価格を、設定する例を示すブロック図である。図４において、バッテリ１の正常または異常な使用実績を含むバッテリ情報は、車載端末２０の記憶部２１に記憶される。業者端末３０は、通信部３２と、情報取得部３３と、判定部３４と、価格設定部３５とを有する。

通信部３２は、車載端末２０と有線または無線で通信する。情報取得部３３は、記憶部２１に記憶されたバッテリ情報を、通信部３２を介して取得する。判定部３４は、情報取得部３３が取得したバッテリ情報に基づいてバッテリ１の異常な使用実績があるか否かを判定する。価格設定部３５は、判定部３４によりバッテリ１の異常な使用実績があると判定されると、異常な使用実績がないと判定されたときよりも、バッテリ１の下取り価格を低く設定する。なお、判定部３４と価格設定部３５の構成は、図２の判定部５３と価格設定部５４の構成と同一である。このような構成により、サーバ装置５０を介さずに、処理業者３１はバッテリ１の適正な下取り価格を設定することができる。

上記実施形態では、バッテリ１を流れる電流、電圧および温度等の少なくともいずれかの物理量の情報、予めバッテリ１の充放電の動作を制御する制御部としてのバッテリＥＣＵ１５のメモリに記録された動作プログラムの書き換えの情報、制御部の動作プログラムの正規の更新の情報、およびバッテリ１に追加または交換で組み込まれる非正規品の情報に基づいて、バッテリ１の異常な使用実績の有無を判定するようにした。しかしながら、車両１０１に搭載されたバッテリ１の使用実績の情報を含むバッテリ情報に基づいて、バッテリ１について異常な使用実績があるか否かを判定するのであれば、判定部の構成はいかなるものでもよい。上記実施形態では、情報取得部３３が車両１０１に搭載されたバッテリ１の情報を取得するようにしたが、車両以外の所定の機器に搭載されたバッテリ情報を取得するように、情報取得部を構成してもよい。したがって、本発明のバッテリ価格設定装置は、車両以外に搭載されたバッテリに適用することもできる。

判定部５３によりバッテリ１の異常な使用実績があると判定されると、異常な使用実績がないと判定されたときよりも、バッテリ１の下取り価格を低く設定するであれば、価格設定部の構成もいかなるものでもよい。上記実施形態では、二次電池としてのバッテリ１をリチウムイオンバッテリとして構成したが、バッテリの構成は上述したものに限らない。バッテリが複数のバッテリパックによって構成されてもよい。

以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の１つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。

１ バッテリ、１０ バッテリパック、２０ 車載端末、３０ 業者端末、３３ 情報取得部、３４ 判定部、３５ 価格設定部、５０ サーバ装置、５１ 通信部、５２ 情報取得部、５３ 判定部、５４ 価格設定部、５５ 情報出力部、１００ バッテリ価格設定システム、１０１ 車両

Claims (3)

1. 所定の機器に搭載されたバッテリの使用実績の情報を含むバッテリ情報を取得する情報取得部と、
   前記情報取得部により取得されたバッテリ情報に基づいて、前記バッテリについて異常な使用実績があるか否かを判定する判定部と、
   前記判定部により前記バッテリの異常な使用実績があると判定されると、異常な使用実績がないと判定されるときよりも、前記バッテリの下取り価格を低く設定する価格設定部と、を備え、
   前記バッテリ情報は、予め前記バッテリの充放電の動作を制御する制御部のメモリに記録された動作プログラムの書き換えの情報を含み、
   前記判定部は、前記動作プログラムの非正規の書き換えの情報があるとき、前記バッテリの異常な使用実績があると判定することを特徴とするバッテリ価格設定装置。
2. 請求項１に記載のバッテリ価格設定装置において、
   前記バッテリ情報は、前記バッテリを流れる電流、前記バッテリの電圧、および前記バッテリの温度の少なくともいずれかの物理量の情報を含み、
   前記判定部は、前記物理量が予め記憶した制限値を超えると、前記バッテリの異常な使用実績があると判定することを特徴とするバッテリ価格設定装置。
   。
3. 請求項１または２に記載のバッテリ価格設定装置において、
   前記バッテリ情報は、さらに前記動作プログラムの更新の情報を含み、
   前記判定部は、前記動作プログラムの正規の更新の情報がないとき、前記バッテリの異常な使用実績があると判定することを特徴とするバッテリ価格設定装置。

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