以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰返さないものとする。
図1は、本発明の実施の形態による二次電池の制御装置が適用される車両5の概略構成を説明するブロック図である。なお、図1に示す車両5はハイブリッド車両であるが、本発明はハイブリッド車両に限定されず電動車両全般に適用可能である。
図1を参照して、車両5は、バッテリ10と、システムメインリレー22,24と、電力制御ユニット(Power Control Unit、以下「PCU」という)30と、モータジェネレータ41,42と、エンジン50と、動力分割機構60と、駆動軸70と、車輪80とを備える。
バッテリ10は、複数のリチウムイオン二次電池セルが直列に接続された組電池である。なお、車両5の外部に設けられた電源によってバッテリ10を充電可能なように車両5を構成してもよい。
エンジン50は、燃料の燃焼エネルギによって運動エネルギを出力する。動力分割機構60は、モータジェネレータ41,42およびエンジン50の出力軸と連結されて、モータジェネレータ42および/またはエンジン50の出力によって駆動軸70を駆動する。そして、駆動軸70によって車輪80が回転される。このように、車両5は、エンジン50および/またはモータジェネレータ42の出力によって走行する。
モータジェネレータ41,42は、発電機としても電動機としても機能し得るが、モータジェネレータ41が、主として発電機として動作し、モータジェネレータ42が、主として電動機として動作する。
詳細には、モータジェネレータ41は、加速時等のエンジン始動要求時において、エンジン50を始動する始動機として用いられる。このとき、モータジェネレータ41は、PCU30を介してバッテリ10からの電力供給を受けて電動機として駆動し、エンジンをクランキングして始動する。さらに、エンジン50の始動後において、モータジェネレータ41は、動力分割機構60を介して伝達されたエンジン出力によって回転されて発電可能である。
モータジェネレータ42は、バッテリ10に蓄えられた電力およびモータジェネレータ41の発電した電力の少なくともいずれか一方によって駆動される。モータジェネレータ42の駆動力は、駆動軸70に伝達される。これにより、モータジェネレータ42は、エンジン50をアシストして車両5を走行させたり、自己の駆動力のみによって車両5を走行させたりする。
また、車両5の回生制動時には、モータジェネレータ42は、車輪の回転力によって駆動されることによって発電機として動作する。このとき、モータジェネレータ42により発電された回生電力は、PCU30を介してバッテリ10に充電される。
PCU30は、バッテリ10およびモータジェネレータ41,42の間で双方向の電力変換を行ない、かつ、モータジェネレータ41,42がそれぞれの動作指令値(代表的にはトルク指令値)に従って動作するようにその電力変換を制御する。たとえば、PCU30は、バッテリ10からの直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ41,42に印加するインバータなどを含む。このインバータは、モータジェネレータ41,42の回生発電電力を直流電力に変換してバッテリ10に充電することもできる。
システムメインリレー22,24は、PCU30とバッテリ10の間に設けられる。システムメインリレー22,24は、リレー制御信号SEに応じてオンオフされる。システムメインリレー22,24のオフ(開放)時には、バッテリ10の充放電経路が機械的に遮断される。
車両5は、さらに、バッテリ10を監視するための監視ユニット20と、制御回路100と、表示装置200とを備える。
監視ユニット20は、バッテリ10に設けられた温度センサ12、電圧センサ14および電流センサ16の出力に基づいて、バッテリ10の状態を示す値を制御回路100に対して出力する。後述のように、監視ユニット20には過電圧検出機構が内蔵されており、過電圧検出機構の出力についても、制御回路100へ出力される。
なお、図1においては、温度センサ12および電圧センサ14をそれぞれ包括的に示している。すなわち、実際には、温度センサ12および電圧センサ14は、複数個設けられる。また、電流センサ16を複数個設けるようにしてもよい。
制御回路100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵した電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成され、当該メモリに記憶された情報に基づいて、所定の演算処理を実行する。
制御回路100は、ユーザのアクセル操作量や車速に基づいて、モータジェネレータ41,42へのトルク要求値を設定する。制御回路100は、このトルク要求値に従ってモータジェネレータ41,42が動作するように、PCU30による電力変換を制御する。この際、制御回路100は、バッテリ10に充電される電力が充電電力上限値Winを超えないように、かつ、バッテリ10から放電される電力が放電電力上限値Woutを超えないように、PCU30を制御する。
なお、エンジン50は、図示しない他のECUによって制御される。また、図1では、制御回路100を単一のユニットとして記載しているが、2つ以上の別個のユニットに分割してもよい。
表示装置200は、制御回路100からの制御信号に従ってさまざまなメッセージをユーザに表示する。表示装置200に表示されるメッセージには、後述する診断装置300によるバッテリ10の劣化状態の診断(以下、「電池診断」という)を受けることをユーザに要求するメッセージ(以下、「診断要求メッセージ」という)や、バッテリ10が使用できない旨をユーザに知らせるメッセージ(以下、「使用不可メッセージ」という)が含まれる。
さらに、車両5は、診断装置300と接続可能に構成される。以下では、診断装置300がディーラなどに設けられた修理工場に設置されているものとして説明する。なお、診断装置300は必ずしも車両5の外部に設けられることに限定されるものではなく、診断装置300を車両5の内部に設けてもよい。診断装置300を車両5の内部に設ける場合には、たとえば、車両停止状態でユーザの指示に従って診断装置300に電池診断を行なわせるようにすればよい。
診断装置300が車両5に接続されると、診断装置300と制御回路100との間の通信が可能な状態となる。
診断装置300は、修理工場に勤務するサービスマンなどによって操作される。診断装置300は、制御回路100との通信を行なって上述した電池診断を行なう。電池診断では、バッテリ10の放電時の電圧低下からバッテリ10のリチウム析出量を計測する。そして、診断装置300は、計測したリチウム析出量に基づいて、バッテリ10が「継続使用可能」であるのか、「継続使用不可」であるのか、「新品状態」(新品に交換された状態または新品と同様の状態)であるのか、を診断する。
診断装置300は、診断結果が「継続使用可能」である場合は信号R1を、診断結果が「継続使用不可」である場合は信号R2を、診断結果が「新品状態」である場合は信号R3を、制御回路100に送信する。
図2は、バッテリ10および監視ユニット20の構成を示す図である。
バッテリ10は、複数の電池ブロック11から構成されている。そして各電池ブロック11は、N個(N:2以上の整数)の電池セル10♯が直列に接続されて構成される。なお、図2には、N=7の場合の構成が例示されている。
電圧センサ14は、各電池ブロック11ごとに複数設けられ、各電池ブロック11の出力電圧を検出する。
監視ユニット20は、電池ブロック11の内部の各電池セル10♯に対応して設けられた複数の電圧比較回路20aと、各電圧比較回路20aに接続された過電圧検出回路20bと、IGオフカウンタ20cとを有する。図2に図示した電圧比較回路20aおよび過電圧検出回路20bは、各電池ブロック11ごとに設けられる。なお、過電圧検出回路20bは、制御回路100の内部に設けるようにしてもよい。
各電圧比較回路20aは、それぞれ対応する電池セル10♯の両端電圧(セル電圧)と過電圧を判定するための判定電圧V1(たとえば4.05ボルト)とを比較し、セル電圧が判定電圧V1を超える場合に信号S1を過電圧検出回路20bに出力する。同様に、各電圧比較回路20aは、それぞれ対応するセル電圧と判定電圧V2(たとえば4.25ボルト)とを比較し、セル電圧が判定電圧V2を超える場合に信号S2を過電圧検出回路20bに出力する。
過電圧検出回路20bは、各電圧比較回路20aのうちの少なくとも1つから信号S1を受信した場合、過電圧検出信号F1を制御回路100に出力する。同様に、過電圧検出回路20bは、各電圧比較回路20aのうちの少なくとも1つから信号S2を受信した場合、過電圧検出信号F2を制御回路100に出力する。
IGオフカウンタ20cは、車両5の駆動システムの起動/停止を指示するためのスイッチ(以下、「IGスイッチ」という)がオフされてからの経過時間(以下、「IGオフ時間Tigoff」という)をカウントし記憶する。そして、IGオフカウンタ20cは、IGスイッチがオンされた時に、記憶していたIGオフ時間Tigoffを制御回路100に出力するとともに、記憶していたIGオフ時間Tigoffを初期化する(ゼロにする)。
ところで、バッテリ10は、その使用に応じて徐々に劣化していく。バッテリ10の劣化は、概ね、磨耗劣化と析出劣化とに区別することができる。磨耗劣化とは、通常の電池使用に伴う劣化であり、その原因は、活物質の微粉化、電極界面での皮膜生成などである。磨耗劣化は、主に、使用年数や放電量に応じて進行する。一方、析出劣化とは、リチウムイオン電池の負極表面上に金属リチウムが析出する現象によって起こる劣化である。
図3は、析出劣化が生じるロジックを示す図である。図3に示すように、バッテリ10の連続充電、アクセルのオン/オフ、車輪80のスリップ/グリップなどが生じると、バッテリ10の各セル電圧が判定電圧を超えたり、許容値を超える電流がバッテリ10に充電されたりする。これらの過電圧や過電流が要因となってバッテリ10の内部に金属リチウムが析出することによって、析出劣化が生じる。
図4は、リチウム析出量とバッテリ10の故障開始温度との関係を示す図である。図4に示すように、リチウム析出量が増加するほど、バッテリ10の故障開始温度が低下する。つまり、リチウム析出量が増加するほどバッテリ10が故障する可能性が高くなる。バッテリ10が故障すると、モータジェネレータ41,42に電力を供給できなくなり、実質的に走行不能となってしまう。
このような状況を回避するためには、上述した診断装置300による電池診断を定期的に受けてバッテリ10の劣化(磨耗劣化および析出劣化)の程度を正確に把握し、必要に応じてバッテリ10を新品に交換するなどの処置をとることが望ましい。
そこで、本実施の形態に従う制御回路100は、バッテリ10の使用状況の履歴に基づいてバッテリ10の劣化の程度を推定し、推定した劣化の程度が上限に達した場合に、電池診断が必要である旨をユーザに警告して電池診断をユーザに促す。
図5は、制御回路100の、電池診断に関連する部分の機能ブロック図である。なお、図5に示した各機能ブロックは、ハードウェア(電子回路等)によって実現してもよいし、ソフトウェア処理(プログラムの実行等)によって実現してもよい。
制御回路100は、算出部110、記憶部120、判定部130、表示制御部140、電力制限部150、起動禁止部160を含む。さらに、制御回路100は、受信部170、更新部180を含む。
算出部110は、バッテリ10の使用状況の履歴に基づいて「バッテリ年齢Y」を算出する。このバッテリ年齢Yが、バッテリ10の劣化の程度に対応するものであり、電池診断の要否の判定に用いられる。
算出部110は、4種類のバッテリ年齢Yを算出する。4種類のバッテリ年齢Yは、それぞれ、第1算出部111、第2算出部112、第3算出部113、第4算出部114によって算出される。
まず、第1算出部111について説明する。第1算出部111は、上述したIGオフ時間Tigoff、およびIGオン時からの経過時間(以下、「IGオン時間Tigon」という)からバッテリ10の使用期間(以下、「電池使用期間Pb」という)を算出して記憶部120に記憶するとともに、算出した電池使用期間Pbをバッテリ年齢Yに換算する。以下、電池使用期間Pbをバッテリ年齢Yに換算した値を「バッテリ年齢YP」という。
第1算出部111は、IGオン時に、記憶部120から電池使用期間Pbを読み出し、読み出した電池使用期間Pbに監視ユニット20から受信したIGオフ時間Tigoffを加算する(次式(1)参照)。
Pb=Pb+Tigoff・・・(1)
第1算出部111は、IGオン後は、IGオン時間Tigonをカウントし、所定周期で、記憶部120から電池使用期間Pbを読み出し、読み出した電池使用期間PbにIGオン時間Tigonを加算する(次式(2)参照)。
Pb=Pb+Tigon ・・・(2)
第1算出部111は、電池使用期間Pbを算出するたびに、記憶部120に記憶された電池使用期間Pbを最新の値に更新する。
図6は、電池使用期間Pbとバッテリ年齢YPとの関係を示すマップである。第1算出部111は、図6に示すマップを用いて、電池使用期間Pbをバッテリ年齢YPに換算する。そして、第1算出部111は、バッテリ年齢YPを判定部130に出力する。
次に、図5に戻って、第2算出部112について説明する。第2算出部112は、監視ユニット20からの過電圧検出信号F1の受信が所定時間を越えて継続している時間を累積した値(以下、「セル電圧超過時間Tv」という)を算出して記憶部120に記憶するとともに、算出したセル電圧超過時間Tvをバッテリ年齢Yに換算する。以下、セル電圧超過時間Tvをバッテリ年齢Yに換算した値を「バッテリ年齢YV」という。
図7は、セル電圧超過時間Tvの算出手法を示す図である。時刻t1で電圧違反(過電圧検出信号F1の受信)が発生し、所定時間が経過した時刻t2でも電圧違反が継続していると、第2算出部112は、電圧違反を確定して記憶部120からセル電圧超過時間Tvを読み出し、読み出したセル電圧超過時間Tvを初期値としてセル電圧超過時間Tvのカウントを開始する。その後の時刻t3にて電圧違反が解除される(過電圧検出信号F1を受信しなくなる)と、第2算出部112は、セル電圧超過時間Tvのカウントを停止し、セル電圧超過時間Tvを記憶部120に記憶する。その後、時刻t4にて再び電圧違反が発生し時刻t5にて電圧違反が確定すると、第2算出部112は、記憶部120からセル電圧超過時間Tvを読み出し、その値を初期値としてセル電圧超過時間Tvのカウントを開始する。その後の時刻t6にて電圧違反が解除されると、第2算出部112は、セル電圧超過時間Tvのカウントを停止し、セル電圧超過時間Tvを記憶部120に記憶する。なお、図7に示す例では、電圧違反が確定しているt2〜t3、t5〜t6の期間は、充電電力上限値Winを制限する(0に近づける)ことにより過充電の抑制が図られている。
図8は、セル電圧超過時間Tvとバッテリ年齢YVとの関係を示すマップである。第2算出部112は、図8に示すマップを用いて、セル電圧超過時間Tvをバッテリ年齢YVに換算する。そして、第2算出部112は、バッテリ年齢YVを判定部130に出力する。なお、過電圧検出信号F2に対しても過電圧検出信号F1と同様の処理を行なうようにしてもよい。
次に、図5に戻って、第3算出部113について説明する。第3算出部113は、リチウム析出抑制のための入力制限値Ilimを超えてバッテリ10に充電された電流値を積算した値(以下、「過電流積算値SIin」という)を算出して記憶部120に記憶するとともに、算出した過電流積算値SIinをバッテリ年齢Yに換算する。以下、過電流積算値SIinをバッテリ年齢Yに換算した値を「バッテリ年齢YIin」という。
図9は、過電流積算値SIinの算出手法を示す図である。時刻t13から時刻t14までの間でバッテリ充電電流Iinが入力制限値Ilimを超えている場合、第3算出部113は、時刻t13から時刻t14までの間で入力制限値Ilimを超えてバッテリ10に充電された電流値(=Ilin−Iin)を積算した値ΔSIin(図8の斜線部分の面積に相当)を算出する。そして、第3算出部113は、記憶部120に記憶された過電流積算値SIinを読み出し、読み出した過電流積算値SIinに、算出した積算値ΔSIinを加算した値を、新たな過電流積算値SIinとして算出する(次式(3)参照)。
SIin=SIin+ΔSIin・・・(3)
第3算出部113は、過電流積算値SIinを算出するたびに、記憶部120に記憶された過電流積算値SIinを最新の値に更新する。なお、図9に示す例では、時刻t12にてバッテリ充電電流Iinが入力目標値Itagを超えた時点で、充電電力上限値Winの制限を開始することにより過充電の抑制が図られている。
図10は、過電流積算値SIinとバッテリ年齢YIinとの関係を示すマップである。第3算出部113は、図10に示すマップを用いて、過電流積算値SIinをバッテリ年齢YIinに換算する。
次に、図5に戻って、第4算出部114について説明する。第4算出部114は、バッテリ10の放電電流Ioutを積算した値(以下、「放電電流積算値SIout」という)を算出して記憶部120に記憶するとともに、算出した放電電流積算値SIoutをバッテリ年齢Yに換算する。以下、放電電流積算値SIoutをバッテリ年齢Yに換算した値を「バッテリ年齢YIout」という。
図11は、放電電流積算値SIoutの算出手法を示す図である。図11に示すように、放電電流Ioutがオフセット誤差I0を超えている場合に、オフセット誤差I0を超えてバッテリ10から放電された電流値(=Iout−I0)を積算した値ΔSIout(図11の斜線部分の面積に相当)を算出する。そして、第4算出部114は、記憶部120に記憶された放電電流積算値SIoutを読み出し、読み出した放電電流積算値SIoutに、算出した積算値ΔSIoutを加算した値を、新たな放電電流積算値SIoutとして算出する(次式(4)参照)。
SIout=SIout+ΔSIout・・・(4)
第4算出部114は、放電電流積算値SIoutを算出するたびに、記憶部120に記憶された放電電流積算値SIoutを最新の値に更新する。
図12は、放電電流積算値SIoutとバッテリ年齢YIoutとの関係を示すマップである。第4算出部114は、図12に示すマップを用いて、放電電流積算値SIoutをバッテリ年齢YIoutに換算する。
なお、各バッテリ年齢YP、YV、YIin、YIoutは、後述する更新部180にも出力される。
このように、算出部110は、バッテリ10の使用状況の履歴に基づいて、電池使用期間Pb、セル電圧超過時間Tv、過電流積算値SIin、放電電流積算値SIoutの各パラメータを算出し、各パラメータをそれぞれバッテリ年齢YP、YV、YIin、YIoutに換算する。
図5に戻って、記憶部120には、上述のように、電池使用期間Pb、セル電圧超過時間Tv、過電流積算値SIin、放電電流積算値SIoutの各パラメータが最新の値に更新された状態で記憶される。
判定部130は、バッテリ年齢Yが予め定められた上限年齢に達したか否かを各バッテリ年齢YP、YV、YIin、YIoutごとに個別に判断し、その判断結果に基づいて、電池診断の要否を判定する。この上限年齢は、試験などによって求めた限界使用年数に対し、誤差分を考慮して数年分低い値に設定される。なお、以下では、上限年齢を「20年」として説明する。
判定部130は、バッテリ年齢YP、YV、YIin、YIoutのうちの少なくとも1つが20年(上限年齢)に達している場合、電池診断が必要であると判定し、そうでない場合、電池診断が不要であると判定する。
図13は、電池診断の要否判定の手法を示す図である。図13に示すように、各バッテリ年齢YP、YV、YIin、YIoutのうち、バッテリ年齢YPが20年に達している場合、判定部130は、バッテリ年齢YPが20年に達した時点で電池診断が必要であると判定する。
図5に戻って、判定部130は、判定結果を表示制御部140、電力制限部150、起動禁止部160に出力する。
表示制御部140は、電池診断が必要と判定された場合、上述した診断要求メッセージを表示装置200に表示させる。これにより、ユーザは電池診断時期が来ていることを把握することができる。
電力制限部150は、診断要求メッセージの表示開始(電池診断が必要と判定された時点)から第1の期間が経過しても後述する受信部170から診断結果を受信していない場合、充電電力上限値Winおよび放電電力上限値Woutを制限する(以下、この制限を「Win/Wout制限」という)。これにより、バッテリ10の充電電力および放電電力が制限されるため、バッテリ10の劣化の進行を遅らせることができる。電力制限部150は、時間の経過とともに、Win/Wout制限による制限量を徐々に大きくする。なお、以下では、第1の期間を「1ケ月」として説明する。
起動禁止部160は、診断要求メッセージの表示開始から1ケ月(第1の期間)よりも長い第2の期間が経過しても後述する受信部170から診断結果を受信していない場合、車両5の駆動システムの起動を禁止する。これにより、車両5は走行不能となり、バッテリ10の使用が実質的に禁止される。なお、以下では、第2の期間を「2ケ月」として説明する。
受信部170は、ユーザが車両5を修理工場に持ち込んで電池診断を受けた場合、診断装置300からの診断結果(上述の信号R1〜R3のいずれか)を受信する。受信部170は、受信した診断結果を更新部180、表示制御部140、電力制限部150、起動禁止部160に出力する。
更新部180は、受信部170を経由して受信した電池診断の結果に応じて各バッテリ年齢YP、YV、YIin、YIoutを更新し、更新後の各バッテリ年齢に対応させるように電池使用期間Pb、セル電圧超過時間Tv、過電流積算値SIin、放電電流積算値SIoutを更新する。
以下、バッテリ年齢Yの更新手法を、「継続使用可能」と診断された場合、「使用継続不可」と診断された場合、「新品状態」と診断された場合の3つの場合に分けて説明する。
まず、「継続使用可能」と診断された場合のバッテリ年齢Yの更新手法を説明する。この場合、診断が診断要求メッセージの表示後に行なわれたか否かによってバッテリ年齢Yの更新手法が切替えられる。
診断要求メッセージの表示後に「継続使用可能」と診断された場合、更新部180は、20年に達したバッテリ年齢Yを20年よりも所定の使用許可年数ΔYだけ低い年齢(以下「更新年齢」という)に戻すとともに、20年に達していないバッテリ年齢Yも更新年齢とする。このような更新によって、診断後は、各バッテリ年齢Yの初期値が更新年齢(=20−ΔY)となる。つまり、初回の診断要求メッセージは20年経過時に表示されるが、2回目以降の診断要求メッセージは使用許可年数ΔYが経過するごとに表示される。
ところで、上述したように、バッテリ10の劣化には、通常の電池使用に伴う磨耗劣化と、過電圧や過電流によって金属リチウムが析出したことに伴なう析出劣化とが含まれる。電池使用期間Pbを換算したバッテリ年齢YPが20年未満であるにも関わらずセル電圧超過時間Tvを換算したバッテリ年齢YVや過電流積算値SIinを換算したバッテリ年齢YIinが20年に達している場合、磨耗劣化よりも析出劣化が早く進行するような激しい使い方をユーザがしていることが想定される。
図14は、各バッテリ年齢Yとリチウム析出量との対応関係を示す図である。図14に示すように、バッテリ年齢YP、YIoutが増加してもリチウム析出量はほとんど変化しないが、バッテリ年齢YV、YIinが増加するとその増加に応じてリチウム析出量も増加する。このことは、バッテリ年齢YP、YIoutが磨耗劣化に対応するパラメータであり、バッテリ年齢YV、YIinが析出劣化に対応するパラメータであることを示している。したがって、バッテリ年齢YPが20年未満であるにも関わらずバッテリ年齢YVやバッテリ年齢YIinが20年に達しているような場合には、磨耗劣化よりも析出劣化が早く進行するような激しい使い方をユーザがしていることが想定される。このような激しい使い方をしているユーザに対しては、使用許可年数ΔYを短くして次回の診断を早期に促す(次回の診断要求までの期間を短くする)ことが望ましい。その一方で、使用許可年数ΔYを一律に短くすると、そのような激しい使い方をしていないユーザにとっては、次回の診断要求までの期間が短くなり過ぎてしまう。
そこで、更新部180は、20年に達したバッテリ年齢Yが、磨耗劣化に対応するバッテリ年齢YP、YIoutであるのか、それとも析出劣化に対応するバッテリ年齢YV、YIinであるのかに応じて、使用許可年数ΔYの設定手法を切り替える。この点が本実施の形態の最も特徴的な点である。
図15は、磨耗劣化に対応するバッテリ年齢YPが20年に達している状態で「継続使用可能」と診断された場合のバッテリ年齢Yの更新手法を示す図である。このような場合、更新部180は、使用許可年数ΔYを5年に固定し、バッテリ年齢YPを20年から5年低い更新年齢15年に戻すとともに、他のバッテリ年齢YV,YIin、YIoutも同じ更新年齢15年にする。このような更新によって、2回目以降の診断要求メッセージは5年経過時に表示される。
図16は、析出劣化に対応するバッテリ年齢YVが20年に達している状態で「継続使用可能」と診断された場合のバッテリ年齢Yの更新手法を示す図である。図16に示す例では、バッテリ年齢YPが15年にも満たない低い年齢であるにも関わらず、バッテリ年齢YVは20年に達している。このような場合は、上述したように、磨耗劣化よりも析出劣化が早く進行するような激しい使い方をユーザがしていることが想定される。そこで、更新部180は、使用許可年数ΔYを5年よりも短い可変値とする。そして、更新部180は、20年に達しているバッテリ年齢YVを20年よりも使用許可年数ΔYだけ低い更新年齢に戻すとともに、他のバッテリ年齢YP,YIin、YIoutも同じ更新年齢にする。これにより、次回に診断要求メッセージが表示されるまでの期間を5年(バッテリ年齢YPが20年に達している場合)よりも短くすることができる。
図17は、析出劣化に対応するパラメータ(バッテリ年齢YV、YIin)が20年に達している状態で「継続使用可能」と診断された場合の電池使用期間Pbと使用許可年数ΔYとの対応関係を示す図である。なお、電池使用期間Pbをバッテリ年齢YPに置き換えてもよい。図17に示すように、更新部180は、電池使用期間Pbが20年以下である場合、電池使用期間Pbが短いほど使用許可年数ΔYを短い値に設定する。なお、更新部180は、電池使用期間Pbが20年を超える場合、使用許可年数ΔYを5年に設定する。
図18〜21は、各バッテリ年齢Yの更新に応じて記憶部120に記憶された各パラメータ(Pb、Tv、SIin、SIout)を更新する手法を示す図である。更新部180は、図18〜21に示すように、更新年齢(上限年齢20年よりも使用許可年数ΔYだけ低い年齢)に対応する各パラメータの値をそれぞれ対応するマップ(上述の図6、8、10、12参照)を用いて算出し、算出した各値に各パラメータを更新する。
以上が、診断要求メッセージの表示後に「継続使用可能」と診断された場合の説明である。
一方、診断要求メッセージの表示前(20年に達したバッテリ年齢Yがないとき)に「継続使用可能」と診断された場合、更新部180は、20年に達する直前のバッテリ年齢Yがある場合には各バッテリ年齢Yを15年に戻し、そうでない場合は各バッテリ年齢Yを更新せずそのまま維持する。なお、以下では、20年に達する直前のバッテリ年齢Yを15年以上かつ20年未満の年齢として説明する。
図22、23は、診断要求メッセージの表示前に「継続使用可能」と診断された場合のバッテリ年齢Yの更新手法を示す図である。この場合、更新部180は、まず、15年以上かつ20年未満のバッテリ年齢Yがあるか否かを判断する。15年以上かつ20年未満のバッテリ年齢Yがある場合、更新部180は、図22に示すように15年以上かつ20年未満のバッテリ年齢Yを15年に戻し、他のバッテリ年齢Yも15年に更新する。これにより、次回の診断要求メッセージは、診断後から5年経過した時点で表示されることになる。そのため、診断要求メッセージが診断直後に表示されることを避けることができる。一方、各バッテリ年齢Yがいずれも15年未満である場合、更新部180は、図23に示すように各バッテリ年齢Yを更新せずにそのまま維持する。そのため、バッテリ10の使用期間が20年を経過する前に診断要求メッセージが表示されることが回避される。
以上が、「継続使用可能」と診断された場合のバッテリ年齢Yの更新手法の説明である。
次に、「使用継続不可」と診断された場合のバッテリ年齢Yの更新手法を説明する。この場合、更新部180は、各バッテリ年齢Yをすべて上限年齢の20年に更新する。つまり、更新部180は、各バッテリ年齢Yに換算すると20年に相当する各パラメータの値をそれぞれ上述の図6,8,10,12のマップを用いて算出し、算出した各値で記憶部120に記憶された各パラメータを更新する。このような更新によって、「継続使用不可」と診断された後は、各バッテリ年齢Yが上限年齢の20年となる。そして、後述するように、使用不可メッセージが表示されることになる。
次に、「新品状態」と診断された場合のバッテリ年齢Yの更新手法を説明する。この場合、更新部180は、各バッテリ年齢Yをすべて0年に初期化する。つまり、更新部180は、記憶部120に記憶された各パラメータを0に初期化する。
このように、更新部180は、電池診断の結果に応じて記憶部120に記載されている各パラメータを更新する。
図5に戻って、表示制御部140は、診断結果が「使用継続不可」である場合、診断要求メッセージの表示中であれば診断要求メッセージを非表示するとともに、使用不可メッセージを表示装置200に表示させる。一方、表示制御部140は、診断結果が「使用継続可能」または「新品状態」である場合、診断要求メッセージまたは使用不可メッセージを表示中であればそれらのメッセージを非表示にする。
電力制限部150は、診断結果が「使用継続可能」または「新品状態」である場合、Win/Wout制限中であればWin/Wout制限を解除する。
起動禁止部160は、診断結果が「使用継続不可」である場合、車両5の駆動システムの起動を禁止する。一方、起動禁止部160は、診断結果が「使用継続可能」または「新品状態」である場合、駆動システムの起動禁止中であれば駆動システムの起動禁止を解除する。
図24は、上述した制御回路100の機能のうち、主として電池診断前の処理に関する機能を実現するための処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示すフローチャートの各ステップ(以下、ステップを「S」と略す)は、基本的には制御回路100によるソフトウェア処理によって実現されるが、制御回路100に設けられた電子回路等によるハードウェア処理によって実現されてもよい。
S10にて、制御回路100は、診断装置300から電池診断結果(信号R1〜R3のいずれか)を受信したか否かを判断する。電池診断結果を受信していない場合(S10にてNO)、処理はS11に移される。電池診断結果を受信した場合(S10にてYES)、この処理は終了される。
S11にて、制御回路100は、上述したように、バッテリ10の使用状況の履歴に基づいて、電池使用期間Pb、セル電圧超過時間Tv、過電流積算値SIin、放電電流積算値SIoutの各パラメータを算出し、各パラメータをそれぞれバッテリ年齢YP、YV、YIin、YIoutに換算する。なお、メモリ(記憶部120)に記憶された各パラメータ(Pb、Tv、SIin、SIout)は最新の値に更新される。
S12にて、制御回路100は、各バッテリ年齢YP、YV、YIin、YIoutのうちの少なくとも1つが20年(上限年齢)に達しているか否かを判断する。
いずれのバッテリ年齢Yも20年に達していない場合(S12にてNO)、制御回路100は、S13にて、表示装置200に診断要求メッセージを表示させない。
一方、少なくともいずれかのバッテリ年齢Yが20年に達している場合(S12にてYES)、制御回路100は、S14にて、表示装置200に診断要求メッセージを表示させる。
S15にて、制御回路100は、診断要求メッセージの表示開始から2ケ月(第2の期間)が経過しているか否かを判断する。
診断要求メッセージの表示開始から2ケ月が経過している場合(S15にてYES)、制御回路100は、S18にて、車両5の駆動システムの起動を禁止する。
一方、診断要求メッセージの表示開始から2ケ月が経過していない場合(S15にてNO)、制御回路100は、S16にて、診断要求メッセージの表示開始から1ケ月(第1の期間)が経過しているか否かを判断する。
診断要求メッセージの表示開始から1ケ月が経過している場合(S16にてYES)、制御回路100は、S17にて、Win/Wout制限を行なう。診断要求メッセージの表示開始から1ケ月が経過していない場合(S16にてNO)、この処理は終了する。
図25は、上述した制御回路100の機能のうち、主として電池診断後の処理に関する機能を実現するための処理手順を示すフローチャートである。
S20にて、制御回路100は、診断装置300から電池診断結果(信号R1〜R3のいずれか)を受信したか否かを判断する。電池診断結果を受信していない場合(S20にてNO)、この処理は終了される。電池診断結果を受信した場合(S20にてYES)、処理はS21に移される。
S21にて、制御回路100は、診断結果が「継続使用可能」である(すなわち診断装置300から信号R1を受信した)か否かを判断する。診断結果が「継続使用可能」である場合(S21にてYES)、処理はS22に移される。そうでない場合(S21にてNO)、処理はS28に移される。
S22にて、制御回路100は、診断要求メッセージの表示前であるか否かを判断する。診断要求メッセージの表示前である場合(S22にてYES)、処理はS23に移される。診断要求メッセージの表示後である場合(S22にてNO)、処理はS25aに移される。
S23にて、制御回路100は、各バッテリ年齢Yがいずれも15年未満であるか否かを判断する。各バッテリ年齢Yがいずれも15年未満である場合(S23にてYES)、処理はS24に移される。各バッテリ年齢Yの少なくとも1つが15年以上である場合(S23にてNO)、処理はS25aに移される。
S24にて、制御回路100は、メモリに記憶された各パラメータを更新せずそのまま維持する。
S25aにて、制御回路100は、析出劣化に対応するパラメータであるバッテリ年齢YVまたはバッテリ年齢YIinが20年に達しているか否かを判断する。
バッテリ年齢YVまたはバッテリ年齢YIinが20年に達している場合(S25aにてYES)、制御回路100は、処理をS25bに移し、電池使用期間Pbに応じて使用許可年数ΔYを可変とする(上述の図17参照)。なお、上述したように、バッテリ年齢YPに応じて使用許可年数ΔYを可変とするようにしてもよい。
一方、磨耗劣化に対応するパラメータであるバッテリ年齢YPまたはバッテリ年齢YIoutが20年に達している場合(S25aにてNO)、制御回路100は、処理をS25cに移し、使用許可年数ΔYを5年に固定する。
S25dにて、制御回路100は、各バッテリ年齢Yを(上限年齢20年−使用許可年数ΔY)に更新し、各バッテリ年齢Yの更新に応じて記憶部120に記憶された各パラメータPb、Tv、SIin、SIoutを更新する(上述の図18〜21参照)。
S26にて、制御回路100は、表示装置200に表示されたメッセージ(診断要求メッセージまたは使用不可メッセージ)を非表示にする。
S27にて、制御回路100は、バッテリ10の出力規制(Win/Wout制限または駆動システムの起動禁止)を解除する。
S28にて、制御回路100は、診断結果が「継続使用不可」である(すなわち診断装置300から信号R2を受信した)か否かを判断する。診断結果が「継続使用不可」でなく「新品状態」である場合(S28にてNO)、処理はS29に移される。診断結果が「継続使用不可」である場合(S28にてYES)、処理はS30に移される。
S29にて、制御回路100は、各バッテリ年齢Yが0年となるように、メモリに記憶された各パラメータを初期化する。その後、処理はS26、S27に移され、表示装置200に表示されたメッセージを非表示にするとともに、バッテリ10の出力規制を解除する。
S30にて、制御回路100は、各バッテリ年齢Yが20年(上限年齢)となるように、メモリに記憶された各パラメータを更新する。その後、制御回路100は、S31、S32にて、表示装置200に表示された診断要求メッセージを非表示にするとともに使用不可メッセージを表示させる。さらに、制御回路100は、S33にて車両5の駆動システムの起動を禁止する。
図26は、制御回路100によって制御される車両5の挙動の流れを例示した図である。
まず、電池診断前の車両5の挙動について説明する。電池診断前においては、各バッテリ年齢Yのいずれかが20年に達した時点で、診断要求メッセージの表示が開始される(時刻t21)。これにより、ユーザは電池診断時期が来ていることを把握することができる。
診断要求メッセージの表示開始から1ケ月が経過しても診断が行なわれない場合、Win/Wout制限が開始される(時刻t22)。これにより、バッテリ10の充電電力および放電電力が制限されるため、バッテリ10の劣化の進行を遅らせることができる。
診断要求メッセージの表示開始から2ケ月が経過しても診断が行なわれない場合、車両5の駆動システムの起動を禁止する(時刻t23)。これにより、バッテリ10の使用が実質的に禁止され、バッテリ10が劣化した状態で継続使用されることが抑制される。
次に、診断要求メッセージを見たユーザが車両5を修理工場に持ち込んで電池診断を受けた場合の車両5の挙動について説明する。
診断結果が「継続使用不可」である場合、駆動システムの起動が禁止される。この診断結果を受けて、バッテリ10が新品に交換されると、表示装置200に表示されていたメッセージが非表示となり、駆動システムの起動禁止も解除される。
診断結果が「継続使用可能」である場合、各バッテリ年齢Yが(上限年齢20年−使用許可年数ΔY)に更新される。これにより、次回以降の診断要求メッセージは使用許可年数ΔYの経過後に表示されることになり、初回の20年よりも早期に電池診断をユーザに促すことができる。
特に、磨耗劣化に対応するバッテリ年齢YP、YIoutが20年に達している場合には、ユーザが通常の使い方をしているものとして、使用許可年数ΔYが5年に固定される。一方、析出劣化に対応するバッテリ年齢YV、YIinが20年に達している場合には、磨耗劣化よりも析出劣化が早く進行するような激しい使い方をユーザがしていることが想定されるため、電池使用期間Pbに応じて使用許可年数ΔYを5年よりも短い値とする。これにより、激しい使い方をユーザに対しては、5年経過時よりも早期に次回の診断要求メッセージを表示させることができる。
以上のように、本実施の形態に従う制御回路100は、摩耗劣化の程度に対応するパラメータ(バッテリ年齢YP、YIout)および析出劣化の程度に対応するパラメータ(バッテリ年齢YV、YIin)のいずれか1つが上限年齢に達した場合に診断要求メッセージを表示して電池診断を受けるようにユーザに警告する。このような状態で電池診断が行なわれ、診断結果が「継続使用可能」である場合、制御回路100は、各バッテリ年齢Yを(上限年齢20年−使用許可年数ΔY)となるように更新する。この際、制御回路100は、摩耗劣化の程度に対応するバッテリ年齢YP、YIoutが上限年齢に達している場合には使用許可年数ΔYを5年(固定値)とする一方、析出劣化の程度に対応するバッテリ年齢YV、YIinが上限年齢に達している場合には電池使用期間Pb(バッテリ年齢YPに相当)が短いほど使用許可年数ΔYを5年よりも短い値に設定する。これにより、磨耗劣化よりも析出劣化が早く進行するような激しい使い方をしているユーザに対しては、次回の診断要求メッセージを5年よりも早期に表示させることができる。その結果、ユーザの使い方を考慮した適切なタイミングで電池診断を受けるようにユーザに警告することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。