JP7116021B2 - へら竿、及び、へら竿用グリップ - Google Patents

へら竿、及び、へら竿用グリップ Download PDF

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Description

本発明は、へら竿、及び、へら竿に装着されるへら竿用グリップに関する。
へら鮒釣りには、例えば、特許文献1に開示されているような専用の釣竿(へら竿と称する)が使用される。実釣時には、釣人は、へら竿を、例えば特許文献2に開示されているような専用の支持台に設置し、ウキの動作を視認しながらへら竿を操作する。へら竿は複数本の竿杆を継合することで構成されており、元竿杆の基端部に装着されたグリップを握持しながら操作が成される。前記グリップは、発泡ウレタンやコルク(天然・圧縮)のような軽量部材(比重が1.0未満)で構成されており、へら竿が水面に落下しても水中に沈まないようにしている。
特開2002-058393号 実用新案登録第03002664号
へら鮒釣りを行なうに際しては、上記したへら竿は、専用の支持台(竿受け)に設置されるが、釣人は、その設置状態(置き竿状態)で常時グリップを握持しているわけではない。例えば、ポイントに餌を投入した後は、へら竿を支持台に設置し、ウキの動作を注視し、変化があったときにグリップを握持し、あたりがあったときに竿を振り上げてフッキング操作を行なうこともあれば、ポイントに餌を投入した後、へら竿を支持台に設置して別作業(仕掛けの組付け、餌の作成など)を行なうこともある。
この場合、上記したように、グリップが軽量部材で構成されていると、支持台の竿掛け部(へら竿の支持位置)を支点にしてグリップ側が浮き易くなり、へら竿から目を離していると、設置状態で水面に落下してしまう可能性がある。この場合、グリップそのものを重い材料にしてグリップ側が浮くことを抑制してへら竿の設置状態を安定化することが可能となるが、誤ってへら竿が水面に落下すると沈んでしまい、回収できなくなる可能性がある。例えば、へら竿を支持台に設置したまま、目を浮きからそらして別作業を行なっている状況下において、へら鮒がヒットすると、そのままへら竿を水中に引き込んでしまうことがあり、へら竿を回収できなくなることが生じている。
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、支持台に設置した状態でグリップ側が浮くことがなく、かつ、水面に落下しても回収することが可能なへら竿、及び、そのような作用効果が得られるへら竿用グリップを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明に係るへら竿は、複数本の竿杆を継合し、元竿杆にグリップが装着された構成において、前記へら竿を支持台の竿掛け部に設置した状態で、重心が竿掛け部からグリップ側に位置すると共に、水面に落下した際、グリップが浮くことを特徴とする。
上記した構成のへら竿は、支持台の竿掛け部に設置すると、その竿掛け部の位置よりも後方側に重心が存在しているため、そのまま置き竿状態にしてもグリップ側が浮き上がることはなく、したがって、水面に落下することが防止される。また、置き竿にした状態でへら鮒がヒットして、へら竿を水面に引きずり込んでも、グリップが浮くことから、回収することが可能となる。
また、上記した目的を達成するために、本発明に係るへら竿用グリップは、へら竿の元竿杆の基端側に固定され、比重が1.0以上の樹脂材と、比重が1.0未満の軽量材とを含み、全体の比重が1.0未満となる複合材で構成されていることを特徴とする。
上記した構成のグリップがへら竿の元竿杆に装着、固定されることによって、そのへら竿は、支持台の竿掛け部に設置した際、重心を竿掛け部の位置よりも後方側に位置させることができ、へら竿を置き竿状態にしてもグリップ側が浮き上がることはなく、したがって、水面に落下することが防止される。また、置き竿にした状態でへら鮒がヒットして、へら竿を水面に引きずり込んでも、グリップが浮くことから、へら竿を回収することが可能となる。
本発明によれば、支持台に設置した状態でグリップ側が浮くことがなく、かつ、水面に落下しても回収することが可能なへら竿、及び、そのような作用効果が得られるへら竿用グリップが得られる。
本発明に係るへら竿の一実施形態を示す図。 元竿杆に固定されるグリップの拡大図。 図1に示すへら竿を支持台に設置した状態を示す図。
以下、図1から図3を参照して、本発明に係るへら竿、及び、そのグリップの一実施形態について説明する。
これらの図において、図1は、へら竿の構成を示す図、図2は、元竿杆に固定されるグリップの拡大図、そして、図3は、図1に示すへら竿を支持台に設置した状態を示す図である。
本実施形態のへら竿1は、穂先竿杆2A、中竿杆2B,2C及び元竿杆2Dが継合される4本継ぎ構造となっている。各竿杆は、合成樹脂に強化繊維を含浸したプリプレグシートを巻回することで管状に構成されており、公知の継合構造(図1では並継式を示しているが、インロー式や振出式等であっても良い)によって継合される。なお、竿杆については、超弾性合金や超弾性樹脂等によって形成される中実構造であっても良く、各竿杆の構造や継本数等については限定されることはない。
前記元竿杆2Dの基端側には、へら竿用グリップ(以下、グリップと称する)5が固定されている。グリップ5は、後端側に移行するに連れて、軸心に対して次第に径方向に膨出して握り易い形状となっており、全体で比重が1.0未満で、それ単体で水に浮くように構成されている。具体的に、本実施形態のグリップ5は、比重が1.0以上の樹脂材5Aと、比重が1.0未満の軽量材5Bとを含んだ複合材で構成されている。
本実施形態のグリップ5は、外側(表面側)に段差がないように、樹脂材5Aで一体形成されており、その内部に軽量材5Bが充填された構造となっている。樹脂材5Aは、比重が1.0以上の材料、例えば、ABS、ナイロン等によって一体形成されており、表面に段差を有しない構造(面一構造)となっている。すなわち、上記した樹脂材で外側(握持側)を形成することで、グリップそのものの硬度が高くなり、表面のクラックや割れ等による破損を効果的に防止することが可能になる。
また、上記したように、樹脂材5Aで外側を一体形成することにより、従来のような下栓(尻栓)が設けられる部分と握持される部分との間で段差を生じさせることなく一体形成できるので、グリップ5の組み立て工程及び部品点数の削減が図れ、コストを低減することが可能となる。また、従来のような、握持される部分と下栓との間に生じる段差がなくなるため、握持した際の手当たりが良くなってグリップ性の向上が図れるようになる。さらに、樹脂材5Aの先端側を極力、薄肉厚化できるため、元竿杆2Dの表面との境界部分の段差をなくして、段差による違和感を生じさせなくすることが可能となる。
また、従来のような、下栓部分に生じる隙間が形成されないことから、グリップ内部へ水が浸入することが防止され、耐久性の向上が図れるようになる。さらに、外側の表面が滑らかであるため、グリップ塗装を施すことが容易となり、グリップのデザインバリエーションを増やすことが可能となる。特に、グリップの後端面5bは、掌が当たる部分であることから、その表面を滑らかにすることで当たりが緩和され、グリップ性の向上が図れる。この場合、樹脂材を成型することによって表面を滑らかに仕上げることが容易となりコストを低減することが可能となる(表面が発泡ウレタンやコルクで構成されていると、その表面を滑らかに仕上げることが困難となり、コストが高くなる)。
前記樹脂材5Aには、軸心方向に延出する穴5aが形成されており、この部分に元竿杆2Dが圧入されて接着剤で固定される。この穴5aの底領域には、前記軽量材5Bが充填されている。軽量材5Bは、比重が1.0未満で、水に対して十分に浮くことが可能な材料、例えば、発泡ウレタン、コルクなどで構成されており、樹脂材5Aの内部に充填されていることから、外部に露出することはない。
このような構成では、成型された樹脂材5Aの穴5aに軽量材5Bを充填しておき、そのようなグリップを元竿杆2Dに装着、固定することで、容易に組み立てることが可能となる。
なお、元竿杆2Dをグリップ5に圧入した際、軽量材5Bと元竿杆2Dの基端との間に隙間Gが形成されるようにしておくことが好ましい。このような隙間Gが形成されることで、グリップの軽量化が図れると共に、グリップを接着固定する際の接着剤溜まりとすることが可能となる。
前記グリップ5は、全体で比重が1.0未満で水に浮く構造になっていれば良く、軽量材5Bの配設位置、形状、大きさ等、適宜変形することが可能である。例えば、軽量材5Bの一部又は全部が外側に露出していても良い。また、グリップ5の構成材料は、上記したような複合材ではなく、ある程度の重量があり、水に浮くような単一材料(例えば、比重が1.0未満のゴム系の材料等)で構成したり、このような材料を含んだ複合材で構成しても良い。
上記したグリップ5が固定されたへら竿1は、図3に示すような支持台(竿受け)10に設置して使用される。
前記支持台10は、設置されるへら竿に沿って延出し、管状に形成された第1管体11と、第1管体11に継合される管状に形成された第2管体12とを備えており、両者は、公知の継構造(インロー継構造)14によって着脱可能に連結される。前記第1管体11の先端側には、上記した構成のへら竿1の中間よりも基端側を支持する竿掛け部11aが取り付けられており(第1管体11に着脱可能であっても良い)、第2管体12の基端側は、支持台の本体50に装着されている。この本体50には、へら竿1の基端部を支持する竿掛け部51と、本体50を他物に固定可能にする万力52が設けられており、実釣時の設置状態では、へら竿1は、2か所の竿掛け部11a,51で支持される。
前記管体11,12は、使用されるへら竿1の長さによって、適した長さのものが使用されるが、先側の管体11の竿掛け部11aは、一般的に、使用されるへら竿1の全長に対して基端位置から略1/3の位置でへら竿1を受けるように設定される。すなわち、支持台10の管体は、図3に示すように、複数本(図では2本)が継合されているが、へら竿1の長さが長くなれば、それに応じて管体の継本数、或いは、長さも増加して、へら竿1の基端位置から略1/3の位置で先側を受けるように設定される。
上記した構成のグリップ5は、へら竿1を竿掛け部11a,51に設置した際、へら竿1の重心が竿掛け部11aの位置よりも後方側となるように構成されている。すなわち、グリップ5は、へら竿1を支持台10の竿掛け部11a,51にそのまま置き竿状態にしても、グリップ側が浮き上がることがないような重量を備えている。このため、へら竿1を支持台10に置き竿状態にしても、竿掛け部11aを中心として反時計回り方向に回転し難くなって(浮き上がり難い)、へら竿が水面に落下することが防止される。
また、置き竿にした状態で、へら鮒がヒットして、へら竿1を水面に引きずり込んだとしても、グリップ5は全体として比重が1.0未満に構成されているため、グリップ部分が浮くことができ、へら竿を容易に回収することが可能となる。特に、本実施形態のグリップ5の構造によれば、元竿杆2Dに固定することで、そのへら竿1の重心位置を、竿掛け部11aの位置よりも後方側に容易に位置させることが可能となる。この場合、使用されるへら竿1の長さや材質に応じて、グリップ5の構成(上記した実施形態では、グリップ5を構成する樹脂材5A及び軽量材5Bの配分など)を適宜調整すれば良い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
例えば、へら竿(元竿杆)に、グリップ5とは別の材料(樹脂材、軽量材)を装着して上記した作用が得られるように構成しても良い。また、グリップ5の構成については種々変形することが可能であり、例えば、グリップ5に付される各種の装飾部材に上記したような作用が得られる機能を付与したものであっても良い。
1 へら竿
2A 穂先竿杆
2B,2C 中竿杆
2D 元竿杆
5 グリップ
5A 樹脂材
5B 軽量材
10 支持台
11a,51 竿掛け部

Claims (2)

  1. 複数本の竿杆を継合し、元竿杆にグリップが装着されたへら竿において、
    へら竿の全長に対して基端位置から略1/3の位置よりもグリップ側に重心が位置するように構成されており、
    前記グリップは、比重が1.0以上の樹脂材と、比重が1.0未満の軽量材とを含んだ複合材で形成されてグリップ全体で比重が1.0未満であり、
    前記グリップは、前記樹脂材で一体形成されるとともに、軸心方向に沿って元竿杆が圧入、固定される穴が形成されており、
    前記穴の底部に前記軽量材が充填され、前記軽量材と元竿杆との間に隙間が形成されて、前記元竿杆は前記穴に圧入、固定されており、
    前記グリップは、水面に落下した際、浮くことを特徴とするへら竿。
  2. 前記グリップは、前記樹脂材で表面側が段差のないように一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載のへら竿。
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