以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面は模式的なものであり、各部の寸法の関係や比率は、現実と異なる。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡の構成を示す模式図である。同図に示す内視鏡1は、細長形状をなし、被検体内に挿入される挿入部2と、挿入部2の基端側に接続され、各種の操作信号の入力を受け付ける操作部3と、を備える。操作部3には、該操作部3から挿入部2が延びる方向と異なる方向に延び、処理装置に接続する各種ケーブルを内蔵するユニバーサルコードが設けられる。内視鏡1が取得した画像信号は、ユニバーサルコードを介して処理装置に送信され、処理装置において表示用の画像が生成される。
挿入部2は、光を受光して光電変換を行うことにより画像信号を生成する撮像部を内蔵した先端部21と、複数の節輪によって湾曲管を構成している湾曲自在な湾曲部22と、湾曲部22の基端側に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓管部23と、を有する。
操作部3には、例えば、湾曲部22を上下方向および左右方向に湾曲させる湾曲ノブ、被検体内に生検鉗子、電気メスおよび検査プローブ等の処置具を挿入する処置具挿入部、送気手段、送水手段、ならびに画面表示制御等の周辺機器の操作指示信号を入力する操作入力部である複数のスイッチが設けられている。
図2は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡の要部の構成を示す部分断面図である。図3は、節輪25とワイヤ受け27との接合部分を示す部分断面図である。図4は、図2に示す矢視A方向に対応する内視鏡の節輪を示す図である。図2は、節輪25の中心軸N1を通過し、かつ中心軸N1と平行な平面を切断面とする部分断面図である。図3は、中心軸N1と直交し、かつ溶接部4を通過する平面を切断面とする部分断面図である。以下、図3等の接合を説明する図では、溶接した部分のみを断面にした図としている。
湾曲部22において、複数の節輪25は、挿入部2の長手方向に沿って並んでいる。複数の節輪25は、金属を用いて形成され、それぞれが同じ形状をなしている。
節輪25には、節輪25の中心軸N1方向の一端側に設けられる二つの連結孔25aと、中心軸N1方向の他端側に設けられる二つの連結孔25b(図4では一方のみ図示)とが形成されている。連結孔25a、25bは、各々が、中心軸N1と直交する方向に貫通している。二つの連結孔25aは、中心軸N1に対向する位置に形成されている。二つの連結孔25bは、連結孔25aと同様に、中心軸N1に対向する位置に形成されている。連結孔25a、25bは、中心軸のまわりに90°ずれた位置にそれぞれ形成されている。また、連結孔25aは、連結孔25bよりも節輪25の内周側に位置している。
長手方向に沿って隣り合う二つの節輪25は、一方の節輪25の連結孔25aと、他方の節輪25の節輪25の連結孔25bとを合わせて形成される孔にリベット28を挿通することによって、この隣り合う節輪25同士をリベット28の中心軸のまわりに回転自在に連結する(図2参照)。この際、中心軸N1方向で隣り合う二つの節輪25のうちの一方の節輪25は、他方の節輪25に対して中心軸N1のまわりに90°回転させて、一方の節輪25の連結孔25aと他方の節輪25の連結孔25bとを重ねている。
挿入部2には、操作部3と湾曲部22とを接続し、湾曲部22を操作する操作ワイヤ26が挿通されている。操作ワイヤ26は、線状をなしている。操作ワイヤ26は、ワイヤ受け27を挿通するとともに、一端が湾曲部22の先端側の節輪に固定され、他端が操作部3に固定されている。操作ワイヤ26は、複数の素線を束ねてなる撚り線や、一つの素線を用いて構成される。ユーザが操作部3(例えば上述した湾曲ノブ)を操作すると、操作ワイヤ26が進退動作し、この進退動作に連動して湾曲部22が湾曲する(図1の破線参照)。
湾曲部22では、ワイヤ受け27によって操作ワイヤ26が案内されている。ワイヤ受け27は、複数の節輪25のうちいずれかの節輪25に固定される(図2参照)。ワイヤ受け27は、挿入部2を挿通する各操作ワイヤ26に対し、少なくとも一つ設けられる。換言すれば、各操作ワイヤ26は、湾曲部22において、少なくとも一つのワイヤ受け27に挿通している。
ワイヤ受け27は、金属を用いて形成され、外径が、節輪25の内径よりも小さい筒状をなしている。ワイヤ受け27は、操作ワイヤ26を挿通可能な内径を有している。ワイヤ受け27は、中心軸N2方向の長さが、節輪25の中心軸N1方向の長さよりも小さい。なお、本実施の形態1において、中心軸N1と中心軸N2とは、平行である。
ワイヤ受け27は、溶接によって、節輪25の内周側に固定される。節輪25とワイヤ受け27とには、各々の一部が溶融固化してなる溶接部4、5が形成されている。溶接部4、5は、中心軸N1方向に並んでいる。
溶接部4は、例えばレーザ光によるスポット溶接によって形成され、節輪25の外表面において点状(スポット状)をなす複数の溶接ビード(溶接ビード41~44)からなる。各溶接ビードは、節輪25の周方向に沿って設けられている。溶接ビード41、42は、溶接部4において、節輪25の周方向の内側に形成される。また、溶接ビード43、44は、溶接部4において、節輪25の周方向の外側に形成される。
溶接ビード41と溶接ビード43とは、溶接ビード同士の一部が互いに重なり合っている。また、溶接ビード42と溶接ビード44とは、溶接ビード同士の一部が互いに重なり合っている。
溶接部5は、例えばレーザ光によるスポット溶接によって形成され、節輪25の外表面において点状(スポット状)をなす複数の溶接ビード(溶接ビード51~54)からなる。各溶接ビードは、節輪25の周方向に沿って設けられている。溶接ビード51、52は、溶接部5において、節輪25の周方向の内側に形成される。また、溶接ビード53、54は、溶接部5において、節輪25の周方向の外側に形成される。
溶接ビード51と溶接ビード53とは、溶接ビード同士の一部が互いに重なり合っている。また、溶接ビード52と溶接ビード54とは、溶接ビード同士の一部が互いに重なり合っている。
各溶接ビードは、節輪25において外周側から内周にかけて形成されるとともに、ワイヤ受け27の外周側から内周側にかけて形成され、かつワイヤ受け27の内周面には達していない。溶接ビードは、溶融部に相当する。
また、各溶接部の内側に位置する溶接ビード41、42、51、52は、凸状をなす凸状溶融部が形成されている。各溶接部の外側に位置する溶接ビード43、44、53、54は、上述した凸状溶融部を覆っている。溶接ビード43、44、53、54には、凹状をなす凹状溶融部が形成されている。
次に、上述したワイヤ受け27の節輪25への接合方法について、図5~図23を参照して説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明するフローチャートである。
まず、ワイヤ受け27を節輪25の内周に配置して位置決めする(ステップS101)。図6は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その1)である。図7は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その2)である。図8は、図7に示す矢視B方向からみた節輪およびワイヤ受けを示す図である。図9は、図8に示すC-C線断面図である。
節輪25の内周における所定の位置に、ワイヤ受け27を配置する(図6、7参照)。本実施の形態1では、一つの節輪25に、二つのワイヤ受け27が配置される。このワイヤ受け27は、各々の中心軸N2が互いに平行、かつ中心軸N1と平行に配置される(図9参照)。
この際、治具を用いることによって、ワイヤ受け27を節輪25の内周面に密接させることによって、節輪25に対してワイヤ受け27の位置を固定できる。ワイヤ受け27を節輪25に固定することによって、接触位置以外の部分を溶接した際に、節輪25とワイヤ受け27との位置関係のずれを防止する。
図10は、図8に示す領域R1の拡大図である。図11は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図であって、接合位置について説明する図である。節輪25の内周面と、ワイヤ受け27の外周面との間には、隙間S1が形成される。この隙間S1では、節輪25とワイヤ受け27との接触位置から離れるほど、節輪25とワイヤ受け27との間の隙間S1の幅が大きくなる。ここで、中心軸N2と直交し、かつ節輪25とワイヤ受け27との接触位置を通過する直線(仮想線)をQ1、中心軸N2および仮想線Q1と直交する直線(仮想線)をQ2とし、仮想線Q1から仮想線Q2方向の距離をXとする。また、距離Xにおける節輪25とワイヤ受け27との間の隙間S1の幅であって、仮想線Q1方向の幅をGとする。本実施の形態において、仮想線Q1と、レーザ光の光軸(後述する光軸NL)とは、一致する。
続いて、上述した隙間が形成される部材をレーザ光Lによって溶融させた場合を考える。図12、図13Aおよび図13Bは、部材間の隙間の大きさに応じた溶接部の形状の差異を説明するための図である。例えば、図12に示す二つの部材(部材601、602)の隙間の幅を変えてレーザ光Lを照射した場合を考える。部材601、602の間の隙間の幅が小さいと、部材601にレーザ光Lを照射して溶融させた場合、部材601にキーホールが形成され、部材601の溶融物が部材602側に垂れる。垂れた溶融物が部材602の一部を溶融させ、その硬化してなる溶接部610が形成される。この際、部材間の隙間が小さいと、溶融物が部材601、602の間の隙間S100に垂れ広がって、溶接部610には、凸状をなして膨出する凸状溶融部611が形成される。ここで、凸状溶融部611が最も大きくなる隙間の幅をHmaxとする。
部材601、602の間の隙間を大きくしていくと、部材601にレーザ光Lを照射して溶融させた場合、図12と同様に、部材601の溶融物が部材602側に垂れる。この際、溶融物は部材601、602の間の隙間S101に垂れ広がることなく部材602に接触して、溶接部620を形成する(図13A参照)。この溶接部620には、凹状をなす凹状溶融部621が形成される。この際の溶接のメカニズムは熱伝導型になり、部材601の部材602と対向する側には、溶融領域が広がった熱伝導溶融部622が形成される。
部材601、602の間の隙間をさらに大きくしていくと、部材601にレーザ光Lを照射して溶融させた場合、部材601の溶融物が部材602側に垂れなくなる。この際、溶融物は隙間S102に垂れずに部材601のみに留まって溶接部630を形成する(図13B参照)。この際の溶接のメカニズムも図13Aと同様に熱伝導型になり、部材601の部材602と対向する側には、溶融領域が広がった熱伝導溶融部631が形成されるが、溶融物が部材602側に垂れず、接合には至らない。
上述した部材601、602を、節輪25とワイヤ受け27とに置き換える。図14および図15は、レーザの照射位置に応じた溶接ビードの形状の差異を説明するための図である。凸状溶融部が形成される位置であっても、節輪25とワイヤ受け27との隙間の幅、すなわち、レーザ光Lの照射位置によって凸状溶融部の大きさが異なる。例えば、図14は、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離、すなわち節輪25とワイヤ受け27との接触位置と光軸NLとの間の距離が距離Xaとなる位置にレーザ光Lを照射して、凸状溶融部401を有する溶接ビード400を形成した場合を示している。これに対し、図15は、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離が距離Xb(>Xa)となる位置においてレーザ光Lを照射して、凸状溶融部411を有する溶接ビード410を形成した場合を示している。図14、15に示す通り、レーザ光Lの照射位置が、仮想線Q1から周方向に離れ、上述した幅Gが大きいほど、凸状溶融部が大きくなる。この幅Gは、節輪25の内周とワイヤ受け27の外周との接触位置(ここでは、仮想線Q1が通過する位置)から節輪25の周方向に離れるにつれて漸次増大する、節輪25の内周とワイヤ受け27の外周とをレーザ光Lの照射方向(光軸NL方向)で結ぶ距離が、溶接時に溶融物が凸形状に膨出される距離である。この距離の最大値が、最大隙間許容幅に相当する。この際、凸状溶融部(ここでは凸状溶融部411とする)が最も大きくなる隙間の幅(最大隙間許容幅)をGmaxとする。この最大隙間許容幅Gmaxは、上述した幅Hmaxに相当する。幅Gが最大隙間許容幅Gmax以下の場合は凸状溶融部が形成され、幅Gが最大隙間許容幅Gmaxより大きい場合は凹状溶融部が形成される。
上述した距離Xにおいてレーザ光Lを照射すると、形成される溶接ビードには、凸状溶融部が形成される。距離Xを調整することによって、凸状溶融部の大きさを調整することができる。凸状溶融部は、節輪25とワイヤ受け27との間の隙間において、溶融物の体積が、この隙間に滞留可能な体積よりも過剰である場合に形成される。ここでいう滞留可能な体積は、例えば、図11に示す体積V1や部材(ここでは節輪25)の溶融量をもとに算出される体積である。
図16および図17は、レーザの照射位置に応じた溶接ビードの形状の差異を説明するための図である。仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離が、幅Gmaxを超える幅に応じた距離Xcになると、溶接ビードには、凹状溶融部が形成される。例えば、図16に示す凹状溶融部421を有する溶接ビード420が形成される。凹状溶融部は、節輪25とワイヤ受け27との間の隙間において、溶融物の体積が、この隙間に滞留可能な体積よりも過少である場合に形成される。距離Xcは、節輪25とワイヤ受け27との接触位置からの距離が、最大隙間許容幅Gmaxとなる距離Xよりも遠い距離である。換言すれば、節輪25における距離Xcに対応する位置は、最大隙間許容幅Gmaxとなる距離Xに対応する位置(後述する境界位置)に対して接触位置側と反対側に位置する。
また、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離が、凹状溶融部421が形成される幅をさらに超える幅に応じた距離Xdになると、溶接ビードがワイヤ受け27側に垂れず、節輪25とワイヤ受け27とが溶接できない。例えば、節輪25に留まって固化してなる溶接ビード430が形成される(図17参照)。この際、距離Xc、Xdのいずれの場合にも、溶接ビードには上述した熱伝導溶融部が形成される。
以上説明した溶接ビードの形状は、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離Xと、照射エネルギEとの関係で管理することができる。図18は、レーザの照射位置と溶接部の形状との関係の一例を示す図である。図18中、「凸」は凸状溶融部が形成される距離Xと照射エネルギEとの組み合わせ、「凹」は凹状溶融部が形成される距離Xと照射エネルギEとの組み合わせ、「-」は節輪25とワイヤ受け27とが接合されない距離Xと照射エネルギEとの組み合わせを示している。図18において、例えば照射エネルギE1では、距離Xm-1が凸状溶融部を形成できる最も長い距離である。照射エネルギE1では、距離Xm-1が凸状形成距離となる。これに対し、例えば照射エネルギEnでは、距離Xm+1が凸状溶融部を形成できる最も長い距離である。照射エネルギEnでは、距離Xm+1が最大の凸状形成距離となる。本明細書では、この凸状形成距離に対応するX位置を、凸状溶融部と凹状溶融部との形成態様が変わる境界をなす境界位置とする。例えば、照射エネルギE1において、節輪25の周方向のうち、距離Xm-1以下の領域が第一領域であり、距離Xm-1よりも大きい領域が第二領域となる。
図19は、レーザの照射位置に応じた溶接ビードの形成について説明するための図である。例えば、距離Xm+2と照射エネルギE2との組み合わせでは、形成される溶接ビード430、440はワイヤ受け27に達しないため、節輪25とワイヤ受け27とは接合されない。この際、この溶接ビード430、440の内側に凸状溶融部を有する溶接ビードを形成しておくことによって、この凸状溶融部が橋渡し役となって溶接ビード430、440をワイヤ受け27側に垂れ落とすことができる。
図5に戻り、ワイヤ受け27を節輪25の内周面に対して位置決めした後、レーザ光を照射して凸状溶融部を形成する(ステップS102)。すなわち、凸状溶融部を有する溶接ビード41、42、51、52を形成する。
図20は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その3)である。例えば、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XAを距離X2、照射エネルギをE4に設定して(図18参照)、レーザ光Lを照射する。このレーザ光Lの照射によって、凸状溶融部41aを有する溶接ビード41、および凸状溶融部42aを有する溶接ビード42が形成される。同様にして、溶接ビード51、52(図4参照)を形成する。
ここで、溶接部4(溶接ビード)の形成に用いるレーザ光は、発振周期をナノ秒から数秒単位で制御可能である。レーザ光は、溶接位置および溶接領域を制御するという観点で、ファイバレーザなど、照射領域を制御可能な装置を用いて生成されることが好ましい。
凸状溶融部を有する溶接ビードを形成後、レーザ光を照射して、該凸状溶融部をブリッジして凹状溶融部を形成する(ステップS103)。すなわち、凹状溶融部を有する溶接ビード43、44、53、54を形成する。
図21は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その4)である。例えば、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XBを距離Xm+1、照射エネルギをE2に設定して(図18参照)、レーザ光Lを照射する。このレーザ光Lの照射によって、凹状溶融部43aを有する溶接ビード43、および凹状溶融部44aを有する溶接ビード44が形成される。溶接ビード43は、溶接ビード41に橋渡しされて、ワイヤ受け27側に垂れ落ちる。なお、溶接ビード41、42によって溶融物の橋渡しが可能であれば、図18に示す「-」の距離Xと照射エネルギをEとの組み合わせに設定してもよい。
同様にして、溶接ビード53、54(図4参照)を形成する。
以上説明した処理によって、図3、4に示す溶接部4、5が形成され、節輪25とワイヤ受け27とが接合される。
続いて、溶接ビードの形状に起因する溶接構造の強度について、溶接ビード41、43を用いて説明する。図22は、図20に示す領域R2の拡大図である。図23は、図21に示す領域R3の拡大図である。凸状溶融部41aが露出した状態(図22参照)では、節輪25およびワイヤ受け27と、溶接ビードとのそれぞれの間に、微小な切欠きが形成される。溶接ビード41(凸状溶融部41a)と節輪25との境界には切欠き41bが形成され、溶接ビード41(凸状溶融部41a)とワイヤ受け27との境界には切欠き41cが形成される。この微小な切欠きは、応力集中の原因となり、溶接構造の破壊の起点となる。このため、溶接構造において微小な切欠きが形成されないことが好ましい。
一方、凹状溶融部43aが露出した状態(図23参照)では、溶接ビード43(凹状溶融部43a)と節輪25との境界、および、溶接ビード41(凸状溶融部41a)とワイヤ受け27との境界において、微小な切欠きは形成されない。このため、溶接構造において応力集中に起因する破壊が起こりにくい。
ここで、内視鏡1の湾曲部22は、最大曲り角度が大きいほど好ましい。この理由としては、曲り角度が大きいと、先端部21が首振り運動する範囲が大きくなり、その結果、被検体内の広い範囲を観察することができる。湾曲部22の湾曲によって広い範囲を観察することができれば、挿入部2の挿入位置を変える回数が減り、検査時間を短縮することができる。この際、曲り角度が大きくなると、操作ワイヤ26にかかる負荷が大きくなり、操作ワイヤ26がワイヤ受け27に接触した際にワイヤ受け27に加わる荷重も大きくなる。この荷重は、ワイヤ受け27の径方向(中心軸N2と直交する方向)への引張り荷重以外に、節輪25とワイヤ受け27との間の接合部位を捻る捻り荷重も加わる。このため、曲り角度を大きくする場合は、上述した引張り荷重と捻り荷重とに対する耐性が要求される。特に、内視鏡1を再使用する場合は、繰り返しの使用に耐え得る強度も必要とされる。
以上説明した本発明の実施の形態1では、凸状溶融部を有する溶接ビードを形成後、この凸状溶融部を橋渡し役として、節輪25の溶融物をワイヤ受け27に伝えることによって凹状溶融部を有する溶接ビードを形成して、節輪25とワイヤ受け27とを接合する。本実施の形態1に係る溶接構造は、溶接ビードの溶融箇所が、凸状溶融部を橋渡しとしない場合の溶接構造と比して広くなり、さらに、凹状溶融部が外部に露出するため破壊に対する強度が高い。本実施の形態1によれば、湾曲部22(湾曲管)に対してワイヤ受け27を高強度に接合することができる。
また、上述した実施の形態1によれば、各溶接ビードがワイヤ受け27の内周面に達しない条件に設定しているため、ワイヤ受け27の内周面が荒れることを抑制して、面粗さの増大を抑制し、かつ硬度低下が抑制される。本実施の形態1において、面粗さの増大、および硬度低下を抑制することも、湾曲部22(湾曲管)に対するワイヤ受け27の高強度な接合に寄与する。また、本実施の形態1では、ワイヤ受け27の内周面に荒れを発生させないため、操作ワイヤ26の摺動によって溶接部4が破壊されることはなく、操作ワイヤ26が破断されることも抑制できる。
なお、上述した実施の形態1では、二つのワイヤ受け27が、中心軸N1に対して、互いに反対側、かつ、中心軸N1を通過する直線上に中心軸N2が配置される例を説明したが、ワイヤ受け27の配置や数は、これに限らない。以下、変形例1、2では、実施の形態1の変形例の一例を説明する。
(実施の形態1の変形例1)
図24は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図である。変形例1は、一方のワイヤ受け27の中心軸N2と、中心軸N1とを通過する直線と、他方のワイヤ受け27の中心軸N2と、中心軸N1とを通過する直線とが、交差する。
本変形例1においても、図24に示す位置に二つのワイヤ受け27をそれぞれ配置した後、レーザ光を照射して溶接ビードを形成する。溶接ビードの形成位置等は、実施の形態1と同様である。
(実施の形態1の変形例2)
図25は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図である。変形例2は、一つの節輪25に、四つのワイヤ受け27が配置される。
本変形例2においても、図25に示す位置に四つのワイヤ受け27をそれぞれ配置した後、レーザ光を照射して溶接ビードを形成する。溶接ビードの形成位置等は、実施の形態1と同様である。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る溶接構造について、図26~図29を参照して説明する。実施の形態2に係る内視鏡の構成は、溶接部の形成方法が異なる以外は実施の形態1と同様であるため、内視鏡の構成についての説明は省略する。以下、本実施の形態2に係る溶接部の形成方法について説明する。本実施の形態2に係る溶接部は、上述した溶接部4の溶接ビード41~44に加え、溶接ビード45を有する。
図26は、本発明の実施の形態2に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明するフローチャートである。まず、ワイヤ受け27を節輪25の内周に配置する(ステップS201)。
ワイヤ受け27を節輪25の内周面に配置した後、レーザ光を照射して溶接ビードを形成して、節輪25に対してワイヤ受け27を位置決めする(ステップS202)。図27は、本発明の実施の形態2に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その1)である。ステップS202では、レーザ光Lの光軸NLを、例えば上述した仮想線Q1に一致させて溶接ビード45を形成する。溶接ビード45は、節輪25とワイヤ受け27との接触部分を溶解し、その後固化してなる。溶接ビード45は、ワイヤ受け27の内周面には達していない。溶接ビード45によって、節輪25とワイヤ受け27との位置が固定される。
上述した溶接部5においても同様に、溶接ビードを形成してもよい。
溶接ビード45によってワイヤ受け27を節輪25に対して位置決めした後、レーザ光を照射して凸状溶融部を形成する(ステップS203)。すなわち、凸状溶融部を有する溶接ビード41、42を形成する。図28は、本発明の実施の形態2に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その2)である。ステップS203では、例えば、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XAを距離X2、照射エネルギをE4に設定して(図18参照)、レーザ光Lを照射する。このレーザ光Lの照射によって、凸状溶融部41aを有する溶接ビード41、および凸状溶融部42aを有する溶接ビード42が形成される。
ステップS203では、溶接ビード51、52も同様に形成する。
凸状溶融部を有する溶接ビードを形成後、レーザ光を照射して凹状溶融部を形成する(ステップS204)。すなわち、凹状溶融部を有する溶接ビード43、44を形成する。図29は、本発明の実施の形態2に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その3)である。ステップS204では、例えば、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XBを距離Xm+1、照射エネルギをE2に設定して(図18参照)、レーザ光Lを照射する。このレーザ光Lの照射によって、凹状溶融部43aを有する溶接ビード43、および凹状溶融部44aを有する溶接ビード44が形成される。
ステップS204では、溶接ビード53、54も同様に形成する。
以上説明した本発明の実施の形態2では、凸状溶融部を有する溶接ビードを形成する前に、溶接ビードによってワイヤ受け27を節輪25に位置決めし、その後、上述した溶接ビード41~44を形成する。本実施の形態2によれば、湾曲部22(湾曲管)に対してワイヤ受け27を高強度に接合することができるとともに、節輪25とワイヤ受け27との位置ずれを確実に防ぐことができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る溶接構造について、図30~図32を参照して説明する。実施の形態3に係る内視鏡の構成は、溶接部の形成方法が異なる以外は実施の形態1と同様であるため、内視鏡の構成についての説明は省略する。以下、本実施の形態3に係る溶接部の形成方法について説明する。本実施の形態3に係る溶接部は、上述した溶接部4の溶接ビード41~44に加え、溶接ビード46、47を有する。
本実施の形態3に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合手順については、上述した実施の形態1のフローチャート(図5)準じる。まず、ワイヤ受け27を節輪25の内周に配置する(ステップS101)。
ステップS102では、凸状溶融部を有する溶接ビード41、42、46、47を形成する。図30は、本発明の実施の形態3に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その1)である。図31は、本発明の実施の形態3に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その2)である。
まず、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XC(<XA)を距離X1、照射エネルギをE4に設定して、レーザ光Lを照射する。このレーザ光Lの照射によって、凸状溶融部46aを有する溶接ビード46、および凸状溶融部47aを有する溶接ビード47が形成される(図30参照)。この凸状溶融部46a、47aは、凸状溶融部41a、42aよりも膨突出している体積が小さい。
その後、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XAを距離X2、照射エネルギをE4に設定して(図18参照)、レーザ光Lを照射する。このレーザ光Lの照射によって、凸状溶融部41aを有する溶接ビード41、および凸状溶融部42aを有する溶接ビード42が形成される(図31参照)。
ステップS203では、溶接ビード51、52も同様に形成する。なお、溶接ビード46、47と同様の溶接ビードを形成してもよい。
凸状溶融部を有する溶接ビードを形成後、レーザ光を照射して凹状溶融部を形成する(ステップS103)。すなわち、凹状溶融部を有する溶接ビード43、44を形成する。図32は、本発明の実施の形態3に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その3)である。ステップS103では、例えば、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XBを距離Xm+1、照射エネルギをE2に設定して(図18参照)、レーザ光Lを照射する。このレーザ光Lの照射によって、凹状溶融部43aを有する溶接ビード43、および凹状溶融部44aを有する溶接ビード44が形成される。
ステップS103では、溶接ビード53、54も同様に形成する。
以上説明した本発明の実施の形態3では、凸状溶融部を有する溶接ビード(溶接ビード41、42、46、47)を節輪25の周方向に重ねて複数形成後、この凸状溶融部を橋渡し役として、節輪25の溶融物をワイヤ受け27に伝えることによって凹状溶融部を有する溶接ビード(溶接ビード43、44)を形成して、節輪25とワイヤ受け27とを接合する。本実施の形態3によれば、湾曲部22(湾曲管)に対してワイヤ受け27を高強度に接合することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る溶接構造について、図33~図35を参照して説明する。実施の形態4に係る内視鏡の構成は、溶接部の形成方法が異なる以外は実施の形態1と同様であるため、内視鏡の構成についての説明は省略する。以下、本実施の形態4に係る溶接部の形成方法について説明する。本実施の形態4に係る溶接部は、上述した溶接部4の溶接ビード41~44に加え、溶接ビード48、49を有する。
本実施の形態4に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合手順については、上述した実施の形態1のフローチャート(図5)に準じる。まず、ワイヤ受け27を節輪25の内周に配置する(ステップS101)。
ステップS102では、凸状溶融部を有する溶接ビード41、42、46、47を形成する。図33は、本発明の実施の形態4に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その1)である。ステップS102では、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XAを距離X2、照射エネルギをE4に設定して(図18参照)、レーザ光Lを照射する。このレーザ光Lの照射によって、凸状溶融部41aを有する溶接ビード41、および凸状溶融部42aを有する溶接ビード42が形成される。
ステップS102では、溶接ビード51、52も同様に形成する。
凸状溶融部を有する溶接ビードを形成後、レーザ光を照射して凹状溶融部を形成する(ステップS103)。すなわち、凹状溶融部を有する溶接ビード43、44、48、49を形成する。図34は、本発明の実施の形態4に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その2)である。図35は、本発明の実施の形態4に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その3)である。
ステップS103では、例えば、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XBを距離Xm+1、照射エネルギをE2に設定して(図18参照)、レーザ光Lを照射する。このレーザ光Lの照射によって、凹状溶融部43aを有する溶接ビード43、および凹状溶融部44aを有する溶接ビード44が形成される(図34参照)。
さらに、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XD(>XB)を距離Xm+2、照射エネルギをE2に設定して(図18参照)、レーザ光Lを照射する。このレーザ光Lの照射によって、凹状溶融部48aを有する溶接ビード48、および凹状溶融部49aを有する溶接ビード49が形成される。
ステップS103では、溶接ビード53、54も同様に形成する。なお、溶接ビード48、49と同様の溶接ビードを形成してもよい。
以上説明した本発明の実施の形態4では、凸状溶融部を有する溶接ビード(溶接ビード41、42)を形成後、この凸状溶融部を橋渡し役として、節輪25の溶融物をワイヤ受け27に伝えることによって凹状溶融部を有する溶接ビード(溶接ビード43、44)を形成し、さらに節輪25の周方向に重ねて凹状溶融部を有する溶接ビード(溶接ビード48、49)を形成して、節輪25とワイヤ受け27とを接合する。本実施の形態4によれば、湾曲部22(湾曲管)に対してワイヤ受け27を高強度に接合することができる。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5に係る溶接構造について、図36、図37を参照して説明する。実施の形態5に係る内視鏡の構成は、溶接部の形成方法が異なる以外は実施の形態1と同様であるため、内視鏡の構成についての説明は省略する。以下、本実施の形態5に係る溶接部の形成方法について説明する。
本実施の形態5に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合手順については、上述した実施の形態1のフローチャート(図5)に準じる。まず、ワイヤ受け27を節輪25の内周に配置する(ステップS101)。
ステップS102では、凸状溶融部を有する溶接ビード61を形成する。図36は、本発明の実施の形態5に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その1)である。ステップS102では、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XAを距離X2、照射エネルギをE4に設定して、レーザ光Lを照射する。この際、レーザ光Lの光軸NLは、仮想線Q1に対して、ワイヤ受け27の中心(中心軸N2)から離れる方向に傾斜している。このレーザ光Lの照射によって、凸状溶融部61aを有する溶接ビード61が形成される。本実施の形態5において、距離XAは、光軸NLと、レーザ光Lを照射する前の節輪25の外周との交点PAとの間の距離である。
ステップS102では、仮想線Q1を通過し、かつ仮想線Q2と直交する平面に対して対称な溶接ビードを形成する。さらに、溶接ビード61と、この溶接ビード61に対称な溶接ビードとの組からなる溶接ビードを、中心軸N1方向に並べて複数組形成してもよい。これらの溶接ビードは、上述した溶接ビード41、42、51、52に相当する。
凸状溶融部を有する溶接ビードを形成後、レーザ光を照射して凹状溶融部を形成する(ステップS103)。図37は、本発明の実施の形態5に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その2)である。
ステップS103では、例えば、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XBを距離Xm+1、照射エネルギをE2に設定して、レーザ光Lを照射する。この際、レーザ光Lの光軸NLは、仮想線Q1に対して、ワイヤ受け27の中心(中心軸N2)から離れる方向に傾斜している。このレーザ光Lの照射によって、凹状溶融部62aを有する溶接ビード62が形成される。本実施の形態5において、距離XBは、光軸NLと、レーザ光Lを照射する前の節輪25の外周との交点PBとの間の距離である。
ステップS103では、仮想線Q1を通過し、かつ仮想線Q2と直交する平面に対して溶接ビード62と対称な溶接ビードを形成する。さらに、溶接ビード62と、この溶接ビード62に対称な溶接ビードとの組からなる溶接ビードを、中心軸N1方向に並べて複数組形成してもよい。これらの溶接ビードは、上述した溶接ビード43、44、53、54に相当する。
以上説明した本発明の実施の形態5では、光軸NLが仮想線Q1に対して傾斜したレーザ光Lを用いて、凸状溶融部を有する溶接ビード(溶接ビード61)を形成後、この凸状溶融部を橋渡し役として、節輪25の溶融物をワイヤ受け27に伝えることによって凹状溶融部を有する溶接ビード(溶接ビード62)を形成して、節輪25とワイヤ受け27とを接合する。本実施の形態5によれば、湾曲部22(湾曲管)に対してワイヤ受け27を高強度に接合することができる。
(実施の形態5の変形例1)
次に、本発明の実施の形態5の変形例1に係る溶接構造について、図38、図39を参照して説明する。本変形例1に係る内視鏡の構成は、溶接部の形成方法が異なる以外は実施の形態1と同様であるため、内視鏡の構成についての説明は省略する。以下、本変形例1に係る溶接部の形成方法について説明する。
本変形例1に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合手順については、上述した実施の形態1のフローチャート(図5)準じる。まず、ワイヤ受け27を節輪25の内周に配置する(ステップS101)。
ステップS102では、凸状溶融部を有する溶接ビード63を形成する。図38は、本発明の実施の形態5の変形例1に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その1)である。ステップS102では、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XAを距離X2、照射エネルギをE4に設定して、レーザ光Lを照射する。この際、レーザ光Lの光軸NLは、仮想線Q1に対して、ワイヤ受け27の中心(中心軸N2)に向かう方向に傾斜している。このレーザ光Lの照射によって、凸状溶融部63aを有する溶接ビード63が形成される。本変形例1において、距離XAは、光軸NLと、レーザ光Lを照射する前の節輪25の外周との交点PCとの間の距離である。
ステップS102では、仮想線Q1を通過し、かつ仮想線Q2と直交する平面に対して対称な溶接ビードを形成する。さらに、溶接ビード63と、この溶接ビード63に対称な溶接ビードとの組からなる溶接ビードを、中心軸N1方向に並べて複数組形成してもよい。これらの溶接ビードは、上述した溶接ビード41、42、51、52に相当する。
凸状溶融部を有する溶接ビードを形成後、レーザ光を照射して凹状溶融部を形成する(ステップS103)。図39は、本発明の実施の形態5の変形例1に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図(その2)である。
ステップS103では、例えば、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XBを距離Xm+1、照射エネルギをE2に設定して、レーザ光Lを照射する。この際、レーザ光Lの光軸NLは、仮想線Q1に対して、ワイヤ受け27の中心(中心軸N2)に向かう方向に傾斜している。このレーザ光Lの照射によって、凹状溶融部64aを有する溶接ビード64が形成される。本変形例1において、距離XBは、光軸NLと、レーザ光Lを照射する前の節輪25の外周との交点PDとの間の距離である。
ステップS103では、仮想線Q1を通過し、かつ仮想線Q2と直交する平面に対して溶接ビード64と対称な溶接ビードを形成する。さらに、溶接ビード64と、この溶接ビード64に対称な溶接ビードとの組からなる溶接ビードを、中心軸N1方向に並べて複数組形成してもよい。これらの溶接ビードは、上述した溶接ビード43、44、53、54に相当する。
以上説明した本変形例1では、光軸NLが仮想線Q1に対して傾斜したレーザ光Lを用いて、凸状溶融部を有する溶接ビード(溶接ビード63)を形成後、この凸状溶融部を橋渡し役として、節輪25の溶融物をワイヤ受け27に伝えることによって凹状溶融部を有する溶接ビード(溶接ビード64)を形成して、節輪25とワイヤ受け27とを接合する。本変形例1によれば、湾曲部22(湾曲管)に対してワイヤ受け27を高強度に接合することができる。
(実施の形態5の変形例2)
次に、本発明の実施の形態5の変形例2に係る溶接構造について、図40を参照して説明する。本変形例2に係る内視鏡の構成は、溶接部の形成方法が異なる以外は実施の形態1と同様であるため、内視鏡の構成についての説明は省略する。以下、本変形例2に係る溶接部の形成方法について説明する。
本変形例2に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合手順については、上述した実施の形態1のフローチャート(図5)に準じる。まず、ワイヤ受け27を節輪25の内周に配置する(ステップS101)。ステップS101に続くステップS102では、凸状溶融部を有する溶接ビード61を形成する(図36参照)。
凸状溶融部を有する溶接ビードを形成後、レーザ光を照射して凹状溶融部を形成する(ステップS103)。図40は、本発明の実施の形態5の変形例2に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図である。
ステップS103では、例えば、仮想線Q1とレーザ光Lの光軸NLとの間の距離XBを距離Xm+1、照射エネルギをE2に設定して、レーザ光Lを照射する。この際、レーザ光Lの光軸NLは、仮想線Q1に対して、ワイヤ受け27の中心(中心軸N2)に向かう方向に傾斜している。ステップS103における光軸NLと、溶接ビード61を形成した際の光軸NLとは、互いに交差する方向に延びている。このレーザ光Lの照射によって、凹状溶融部65aを有する溶接ビード65が形成される。
以上説明した本変形例2では、光軸NLが仮想線Q1に対して傾斜したレーザ光Lを用いて、凸状溶融部を有する溶接ビード(溶接ビード61)を形成後、レーザ光Lの光軸NLの向きを変え、この凸状溶融部を橋渡し役として、節輪25の溶融物をワイヤ受け27に伝えることによって凹状溶融部を有する溶接ビード(溶接ビード65)を形成して、節輪25とワイヤ受け27とを接合する。本変形例2によれば、湾曲部22(湾曲管)に対してワイヤ受け27を高強度に接合することができる。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、上述した実施の形態では、内視鏡の構成を例に説明したが、マニピュレータ等、節輪とワイヤ受けとを有する湾曲構造(湾曲管)を先端に備えた湾曲装置であれば適用可能である。
また、上述した実施の形態および変形例にかかる溶接部の各溶接ビードは、形状や大きさがすべてにおいて、または一部において互いに異なっていてもよい。また、溶接ビードの個数や配置は、要求される捻り強度に応じて適宜変更することができる。
また、上述した実施の形態および変形例では、レーザ光によるレーザ溶接を行うものとして説明したが、接合方法はこれに限らない。例えば、電子ビーム溶接等の公知の溶接技術を用いることも可能である。
このように、本発明は、特許請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な実施の形態を含みうるものである。