JP5969765B2 - 内視鏡用部品の製造方法 - Google Patents
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Description
このような内視鏡用部品の製造方法として、例えば、特許文献1には、先端湾曲管の内面に設置されている先端ワイヤーガイドに内視鏡操作ワイヤーが挿入されており、内視鏡操作ワイヤーの先端は膨らんだ球状に形成されており、先端ワイヤーガイドから脱落を防止している構成が記載されている。この球状部を形成する方法としては、内視鏡操作ワイヤーを第1電極に接続し、対向する位置に第2電極を配置し、アルゴンガス雰囲気中にて、電極に所定の電力を供給することによって内視鏡操作ワイヤーの先端を溶融させて、その表面張力により球形状を形成して、固化させる方法が記載されている。
また、特許文献2には、湾曲操作ワイヤーの先端に膨大部を溶融成形し、挿入部の先端部に対してこの膨大部を接合した内視鏡が記載されている。
また、特許文献3には、内視鏡の先端部または後端部の節輪に切欠き孔を形成し、これに操作ワイヤーの先端部を嵌め込んでレーザ光により溶着して固定した内視鏡が記載されている。
特許文献1に記載の技術では、先端ワイヤーガイドに球状を引っ掛けるための先端ワイヤーガイドが必須部品となり、先端湾曲管の内容積スペースが小さくなる。このため、処置具やライトガイドファイバーやイメージガイドファイバー等の機能部品を配置したり、挿通したりするスペースを確保しようとすると、内視鏡の外径が増大してしまうという問題がある。先端湾曲管の板厚を薄くすることも考えられるが、薄くしすぎると強度が低下するため、高強度の材料を用いる必要があり、部品コストが増大するという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術では、湾曲操作ワイヤーの先端に膨大部を形成してこの膨大部を先端部に対して接合するため、接合部分には膨大部に起因する凸部が形成される。このため、接合部の高さが操作ワイヤーの外径よりも大きくなり、特許文献1と同様に湾曲管内の有効スペースが減少するため、内視鏡の外径が増大してしまうという問題がある。
また、特許文献3に記載の技術では、操作ワイヤーに直接レーザ光を照射して、溶着して固定しているため、接合部に要するスペースは低減しやすい。しかし、近年、内視鏡の小型化によって操作ワイヤーが小径化しているため、操作ワイヤーの熱容量が小さくなっており、接合の際に操作ワイヤーを溶断したり、操作ワイヤーがくびれたりしやすくなるという問題がある。また、細径の操作ワイヤー端部を節輪上に設けられたワイヤー外径と同等の大きさの溝に配置するため作業性がよくないという問題がある。
特許文献3には、切起し片によって操作ワイヤーの挿通孔を形成する実施形態も記載されているが、この実施形態では、切起し片のスペースが余計に必要となるという問題がある。
本発明の実施形態の内視鏡用部品について説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態の内視鏡用部品の概略構成を示す模式的な断面図である。図1(b)は、図1(a)におけるA視図である。図1(c)は、図1(b)におけるB−B断面図である。図2(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の実施形態の内視鏡用部品の溶融固化部の模式的な断面図である。
湾曲管1は、全体として管状に形成されており、内周部には、例えば、処置具、ライトガイドファイバー、イメージガイドファイバー等の機能部品を配置するための空間が軸方向にわたって形成されている。
湾曲管1の概略構成は、先端節輪2(部品基材)、撚り線ワイヤー3(線状部材)、中間節輪4、および回動ピン5を備える。
なお、湾曲管1の湾曲方向は、1軸方向でも2軸方向でもよいが、以下では、一例として、1軸方向に湾曲する場合の例で説明する。2軸方向に湾曲する湾曲管に本実施形態の構成を適用するには、撚り線ワイヤー3の本数増やすとともに、中間節輪4を湾曲方向に応じて2種類のものを交互に連結する周知構成に置き換えればよい。
本実施形態では、管状部2aは、一定の厚さtを有する円筒状であり、外周面2eおよび内周面2dはいずれも円筒面からなる。
各突片部2bは、管状部2aの中心軸線Oを挟んで互いに対向されており、後述する回動ピン5を挿通して回動支点を構成するための挿通孔がそれぞれ設けられている。この対向する挿通孔の中心同士を結ぶ軸線R(図1(b)参照)は、中心軸線Oと直交する位置関係にある。
先端節輪2の材質は、金属材料、例えば、ステンレス鋼、超弾性合金、鉄系合金等を採用することができる。本実施形態では、ステンレス鋼であるSUS304を採用している。
撚り線ワイヤー3の線径およびワイヤー構成は、強度、耐久性等を考慮して、適宜の設定することができるが、本実施形態では、図1(c)に示すように、素線径d0の7本の金属素線3aを、1本は芯線として中心に配置し、他の6本をこの芯線の回りに撚り合わせた1×7のワイヤー構成を採用している。なお、撚り方向は特に限定されない。
金属素線3aとして好適となる材質としては、例えば、ステンレス鋼、鉄系合金、銅系合金、アルミ系合金、ニッケル・チタン系合金、チタン系合金、コバルト系合金等を挙げることができる。このため、これらのうちから、先端節輪2の材料と融合した場合の強度、耐久性等を考慮して選択すればよい。
金属素線3aの材料が、先端節輪2と同じ材料であれば、融合体を形成しても、一般には、強度や耐久性は変化しないため、先端節輪2と同じ材料は好適に用いることができる。
本実施形態では、一例として、先端節輪2の材質と同じ材料であるSUS304を採用している。
溶融固化部2cは、撚り線ワイヤー3の金属材料が溶融、固化して、管状部2aと一体化された部位である。本実施形態では、溶融固化部2cは、突片部2bの対向方向(軸線Rに沿う方向)と90°ずれた方向において中心軸線Oを挟んで互いに対向する2箇所の位置に形成されている。
溶融固化部2cの側面視の形状は、撚り線ワイヤー3のワイヤー外径d1よりも大径の略円形状(円形の場合も含む)である。本実施形態では、溶融固化部2cは、管状部2aの厚さ方向に貫通して形成されている。また、外周面2eにおける側面視の外形と、内周面2dにおける外形とは同一である。
ただし、図2(a)は模式的に描いており、実際の断面では、溶融時の流動状態や溶融固化部2cの大きさによっては、それぞれの占める体積や分布状態は変化する。例えば、溶融固化部2cの径が小さいほど、溶融時に融合が進行する領域が相対的に大きくなるため、融合部M1の占める体積が増大する。溶融固化部2cの径が充分小さい場合には、線状部材溶融固化部M0が消失し、溶融固化部2cが融合部M1のみで形成されることになる。このように溶融固化部2cは、融合部M1のみで構成されていてもよい。
さらに充分な接合強度が確保されていれば、例えば、図2(b)に示すように、管状部2aの厚さよりも薄くてもよく、表面が外周面2eや内周面2dから凹んだ形状でもよい。
これらの場合、溶融固化部2cが管状部2aの外部に突出しないため、湾曲管1の最大外径を抑制することができる。また溶融固化部2cが管状部2aの内部にも突出しないため、管状部2aの内部の有効スペースを広くとることができるため好ましい。
特に管状部2aの内部側には、内周面2dに沿って撚り線ワイヤー3が配されているため、溶融固化部2cが撚り線ワイヤー3の外径以下の範囲で突出していても、管状部2a内の有効スペースは実質的に変化しないため充分に許容できる。
したがって、溶融固化部2cは、図2(d)に示すように、外周面2eから突出することなく、内周面2dからの撚り線ワイヤー3の配置高さ以下の範囲で突出する断面形状も、溶融固化部2cの好ましい断面形状の一つである。
このような場合には、溶融固化部2cは、例えば、固化部M2のように、内周面2dに沿って配置された撚り線ワイヤー3と内周面2dの間の隙間に表面張力で浸透して固化した形態も可能である。また、特に図示しないが、例えば、固化部M2の厚さがさらに厚くなって、溶融固化部2cの近傍の撚り線ワイヤー3を埋めるような固化部が形成されていてもよい。
これら場合、固化部M2等は、撚り線ワイヤー3を内周面2dに接合する作用があるため、撚り線ワイヤー3の接合強度をより向上することができる。
本実施形態の湾曲管1は、1軸方向に湾曲するため、一対の突片部4aの対向方向と、一対の突片部4bの対向方向とは、互いに平行である。
湾曲管1においては、複数の中間節輪4が、隣接して配置され、隣接する中間節輪4の間で、突片部4a、4bが回動ピン5によって回動可能に連結されている。
また、このような中間節輪4の連結体の一端側の中間節輪4は、突片部4aと先端節輪2の突片部2bとが回動ピン5によって回動可能に連結されている。
図3は、本発明の実施形態の内視鏡用部品の製造方法の工程フローを示すフローチャートである。図4(a)は、本発明の実施形態の内視鏡用部品の貫通孔形成工程で形成された部品基材の模式的な平面図である。図4(b)は、図4(a)におけるC−C断面図である。図5(a)、(b)は、本発明の実施形態の内視鏡用部品の製造方法における溶融部形成工程を説明する模式的な工程説明図である。図6(a)、(b)は、本発明の実施形態の内視鏡用部品の製造方法における線状部材配置工程を説明する模式的な工程説明図である。図7(a)、(b)は、本発明の実施形態の内視鏡用部品の製造方法の溶融充填工程を説明する模式的な工程説明図である。図8(a)、(b)は、本発明の実施形態の内視鏡用部品の製造方法で製造された内視鏡用部品の溶融固化部の一例を示す写真画像である。
以下では、具体例に基づいて説明する場合、特に断らない限りは一例として、先端節輪2の厚さtが、t=0.13(mm)、1×7構成の撚り線ワイヤー3の金属素線3aの素線径d0が、d0=0.09(mm)、撚り線ワイヤー3のワイヤー外径d1が、d1=0.27(mm)の場合の例で説明する。
貫通孔部12は、溶融固化部2cを形成する位置に設けられた直径D0の円形の貫通孔であり、円筒面状の孔内周面12aと、孔内周面12aが外周面2eに交差して形成される円形の稜線からなる外周側開口12b(一方の開口)と、孔内周面12aが内周面2dに交差して形成される円形の稜線からなる内周側開口12c(他方の開口)とから構成される。
貫通孔部12の内径D0は、少なくとも撚り線ワイヤー3のワイヤー外径d1よりも大径であって、後述する溶融部3Bの外径d2(図5(b)参照)よりも小径とする。
貫通孔部12の形成位置は、貫通孔部12の中心が、先端節輪2に形成すべき溶融固化部2cの中心位置に合う位置とする。
例えば、貫通孔部12以外の形状を形成した後に、先端節輪2の側面に後加工して形成してもよいし、先端節輪2の成形と同時に形成してもよい。
貫通孔部12を後加工によって形成する場合には、例えば、プレス加工、切削加工、レーザ加工などの適宜の孔加工方法を採用することができる。
貫通孔部12がすべて形成されたら貫通孔形成工程S1が終了する。
本工程で形成される溶融部3Bは、後述する溶融充填工程S4によって、再溶融された後、管状部2aに形成された貫通孔部12に充填され、貫通孔部12の近傍から溶融する管状部2aの一部の金属材料とともに、溶融固化部2cを形成するものである。
直径d2は、貫通孔部12の内径D0より大きく、かつ、溶融部3Bの体積が、所望の溶融固化部2cの形状を形成するために必要な体積となるように決める。
溶融固化部2cが形成される場合に、材料の融合によって体積がほとんど変化しないと仮定すれば、所望の溶融固化部2cの形状の体積から、欠損部である貫通孔部12の容積を引いた量が、溶融部3Bに必要な体積となる。
ここで、所望の溶融固化部2cとは、図2(a)、(b)、(c)、(d)などを参照して上述した種々形状から必要に応じて選択した形状であり、例えば数値シミュレーションや実験などによって求めることができる。
また、加熱条件によっては、溶融固化部2cと重なる範囲に配置された撚り線ワイヤー3の一部も溶融するおそれがあり、この分が無視できない場合には、このような増量分も考慮する必要がある。
また、図2(b)、(c)、(d)に示す形状を形成する場合も同様にして、溶融固化部2cの形状と貫通孔部12の容積とに基づいて、溶融部3Bの体積を設定することができる。
ワイヤー端部3Aの長さh1は、長さh1のワイヤー端部3Aを溶融させて固化させたときに、直径d2の球状の塊が形成される長さとする。
次に、ワイヤー端部3Aの上方に、レーザ照射装置6を配置する。レーザ照射装置6は、ワイヤー端部3Aを加熱溶融できる出力を有する適宜のレーザ光源を採用することができる。本実施形態では、波長1070nm、最大出力60W〜110W、スポット径20μm〜40μmのレーザ光源を採用することができる。
ワイヤー固定治具7は、撚り線ワイヤー3に比べて熱容量が大きいため、撚り線ワイヤー3から伝導した熱は迅速に放熱され、これによりワイヤー固定治具7に保持された撚り線ワイヤー3は、レーザ光8の照射される間、固体状態を維持することができる。
これにより、ワイヤー固定治具7で保持された撚り線ワイヤー3の上端部に塊状の溶融部3Bが形成される。
すなわち、溶融部3Bは、液体状態において表面張力によって略球状となり、その形状のまま、放冷によって固化する。ここで、略球状の範囲は、表面張力および重力のつりあいや固化時の収縮などによる形状誤差を含む近似球面を意味する。
このようにして形成される溶融部3Bは、ワイヤー端部3Aの長さを調整することで、体積管理が容易であるため、溶融固化部2cの形状の再現性が良好となる。
以上で、溶融部形成工程S2が終了する。
上記、貫通孔形成工程S1および溶融部形成工程S2の実行順序はどちらを先に行ってもよく、それぞれを並行して行ってもよい。
ここで、先端節輪2の外部側は、貫通孔部12の一方の開口である外周側開口12bに臨む側になっており、先端節輪2の内部側は、貫通孔部12の他方の開口である内周側開口12cに臨む側になっている。
これにより、図6(a)に示すように、溶融部3Bが貫通孔部12に外部側から当接する。本実施形態では、溶融部3Bが略球状であり、貫通孔部12が円筒孔であるため、溶融部3Bは、貫通孔部12の外周側開口12bに当接する。
また、本実施形態では、図示略の保持手段によって、撚り線ワイヤー3の線状部分が、先端節輪2の内周面2dに沿うとともに中心軸線Oに平行となるように位置決めして、撚り線ワイヤー3の線状部分を保持している。
このようにして、溶融部3Bは、先端節輪2の外部から見えるとともに貫通孔部12の内部に、一部が配置された状態になっている。また、撚り線ワイヤー3の線状部分は、外部側に露出することなく、先端節輪2の内部に配置されている。
特に図示しないが、同様にして、他方の貫通孔部12にも他の撚り線ワイヤー3を配置する。
以上で、線状部材配置工程S3が終了する。
これらの工程は、本実施形態では、貫通孔部12に配置された溶融部3Bに向けて、レーザ光を照射することにより、全体としてこの順序に沿って進行する工程であるが、微視的に見ると、部位によっては異なる工程が進行している場合がある。
また、線状部材配置工程S3、溶融充填工程S4は、レーザ光照射による加熱温度が、溶融部3B、管状部2aの融点を超えている間、続くが、固化工程S6は、本実施形態では、放熱冷却によって行うため、レーザ光の照射が終了した時点から実質的に開始されている。
ここで、充填とは、溶融された溶融部3Bが貫通孔部12に完全に充填される場合も含むが、部分的に充填される場合も含まれる。貫通孔部12の容積に対する充填率は、接合強度が得られれば、特に限定されないが、少なくとも貫通孔部12の中心を通って横断するように孔内周面12a内に充填されることが好ましく、厚さ方向に貫通する孔部が形成されないように充填されることがより好ましい。また、一部が充填され、一部が、貫通孔部12の外部に移動する状態に充填されてもよい。
なお、図7(a)におけるレーザ光8は模式化して記載しているが、レーザ光8の照射範囲は、外周面2eの高さでは、貫通孔部12を覆うことができる程度の照射範囲とすることが好ましい。これにより、溶融部3Bが溶融する過程で、溶融部3Bとともに、貫通孔部12の外周における管状部2a上にもレーザ光8照射されるようになる。
レーザ光8のレーザ出力およびパルス幅は、溶融部3Bの熱容量を考慮して、溶融部3Bと貫通孔部12の近傍の管状部2aを溶融できる程度に設定する。
例えば、上記具体例の溶融部3Bの場合、レーザ光8のスポット径が0.4mm程度、となるようにして溶融部3Bの頂部近傍に照射する。このとき、レーザ出力は、100W、パルス幅は、100ms、パルス数は1が好適であった。
このとき、撚り線ワイヤー3の線状部分は、先端節輪2の内部側にあって、外部側に露出していないため、レーザ光8が照射されても溶融部3Bや管状部2aに遮られる。このように、溶融部3Bの溶融時に、レーザ光8が直接照射されないため、熱容量の小さい細径の撚り線ワイヤー3であっても、レーザ光8が照射されて溶断される不具合を防止できる。
特に、撚り線ワイヤー3と溶融部3Bとの接続部は、レーザ光8の照射方向に対して、熱容量が格段に大きい溶融部3Bの裏面側に位置している。また、溶融部3Bが貫通孔部12に当接していることにより、溶融部3Bの熱が貫通孔部12を通して管状部2aに熱伝導する。これらが相俟って、溶融部3Bとの接続部における撚り線ワイヤー3の熱的な負荷が軽減されており、溶融部3Bとの接続部でも撚り線ワイヤー3の溶断を防止することができる。
溶融部3Bが、貫通孔部12内に充填されると溶融充填工程S4が終了する。
本工程は、溶融充填工程S4において形成された溶融体3Cと、溶融体3Cからの熱伝導やレーザ光8の加熱によって溶融した管状部2aの一部の材料が接触して、液体状態で融合することで行われる。このため、本工程は、溶融体3Cが管状部2aと接触した部位では、他の部位で溶融充填工程S4が進行中であっても開始されることになる。
本実施形態では、溶融体3Cは、貫通孔部12内に充填され、まず、貫通孔部12と貫通孔部12の近傍の部位から管状部2aに接触していくため、融合部M1は、貫通孔部12と貫通孔部12の近傍の部位から形成されていく。
上記の具体例の場合、融合部M1は、貫通孔部12の外周側に同心円状に広がって、貫通孔部12よりも大径の直径0.7mm程度となった。このように広がる融合部M1は、最外周では、溶融していない管状部2aと接続しているため、表面張力によって、溶融前の板状の形状が保たれている。
融合工程S5は、レーザ光8によるエネルギー供給が終了することで、温度が低下し、融合部M1の流動性が失われると終了する。
レーザ光8の照射が終了すると、溶融体3Cおよび液体状の融合部M1の放熱冷却が開始される。このため、溶融体3Cおよび液体状の融合部M1は、徐々に流動性が減少し、固化が始まる。溶融体3Cおよび液体状の融合部M1がすべて固化すると、溶融固化部2cが形成され、固化工程S6が終了する。
図8(a)によれば、溶融固化部2cは、外周面2eの表面に比べても滑らかな湾曲面となっており、外周面2eと略整列していることが分かる。
また、図8(b)によれば、溶融固化部2cは、内部泡にわずかに突出しているものの、撚り線ワイヤー3のワイヤー外径を越えない程度の突出量であることが分かる。また、撚り線ワイヤー3は、溶断されておらず、略同じワイヤー外径を維持した状態で、溶融固化部2cと接続していることが分かる。
なお、湾曲管1の製造においては、各中間節輪4を先端節輪2から順次連結したのち、撚り線ワイヤー3を中間節輪4の内部に挿通した状態で、上述のようにして撚り線ワイヤー3を先端節輪2に接合する。
また、管状部2aに対しては、線状部材溶融固化部M0の外周に形成された融合部M1を介して接合することができるため、管状部2aと撚り線ワイヤー3との材料組成が異なる場合でも、双方の組成が融合した中間層が形成され、材質の異なる明確な界面が生じないため、接合強度を向上することができる。
次に、本実施形態の第1変形例の内視鏡用部品の製造方法について説明する。
図9(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態の第1〜第3変形例の内視鏡用部品の製造方法に用いる貫通孔部の模式的な断面図である。
第1〜第3変形例は、いずれも、外周面2eに形成される開口が内周面2dに形成される開口よりも大径である点は共通しており、外周面2eの肉厚が厚い場合に特に好適となる変形例である。
貫通孔部13は、外周面2e側の開口が、溶融部3Bの外径d2より大径の円形の開口13cであり、内周面2d側の開口が、溶融部3Bの外径d 2 より小径の円形の開口13dである。
貫通孔部13の内周部は、開口13cから開口13dに向かって開口13dと同径となるまで漸次縮径するテーパ面13aと、テーパ面13aの端部と開口13dと接続する円筒面13bとからなる。
小径の円筒面13bで溶融部3Bの抜け防止を行うことができるため、開口13cの径およびテーパ面13aの深さの変更自由度が大きい。このため、貫通孔部13の容積を適宜の容積に調整しやすくなる。
貫通孔部14は、外周面2e側の開口が、溶融部3Bの外径d2より大径の円形の開口14dであり、内周面2d側の開口が、溶融部3Bの外径d 2 より小径の円形の開口14eである。
貫通孔部14の内周部は、開口14dと同径の円筒面14aと、開口14eと同径の円筒面14bと、円筒面14a、14bの境界に形成されて外周面2e、2dと平行な段部14cとからなる。
小径の円筒面14bで溶融部3Bの抜け防止を行うことができるため、円筒面14aの内径およびその深さの変更自由度が大きい。このため、貫通孔部14の容積を適宜の容積に調整しやすくなる。
貫通孔部15は、外周面2e側の開口が、溶融部3Bの外径d2より大径の円形の開口15bであり、内周面2d側の開口が、溶融部3Bの外径d 2 より小径の円形の開口15cである。
貫通孔部13の内周部は、開口15bから開口15cに向かって漸次縮径するテーパ面15aからなる。
本変形例によれば、小径の開口15cで溶融部3Bの抜け防止を行うことができるため、開口15bの径を変えてテーパ角を変化させることにより、貫通孔部13の容積を適宜の容積に調整しやすくなる。また、内周面がテーパ面15aのみからなるため、管状部2aの肉厚が薄い場合でも容易に加工することが可能である。
次に、本実施形態の第4変形例の内視鏡用部品の製造方法について説明する。
図10は、本発明の実施形態の第4変形例の内視鏡用部品の製造方法における線状部材配置工程を説明する模式的な工程説明図である。
本変形例では、線状部材配置工程S3において、図10に示すように、撚り線ワイヤー3を貫通孔部12に挿通させることなく、内周面2dに沿って配置し、溶融部3Bを内周面2d側から貫通孔部12の内部に挿入して配置する。これにより、溶融部3Bは、開口12cにおいて、貫通孔部12と当接されている。
このような配置によれば、上記実施形態と同様に、先端節輪2の外部側から溶融部3Bが見えるとともに、撚り線ワイヤー3の線状部分が露出しない配置が実現される。
例えば、線状部材の軸方向に偏平な板状に形成されてもよい。
2 先端節輪(部品基材)
2a 管状部
2c 溶融固化部
2d 内周面
2e 外周面
3 撚り線ワイヤー(線状部材)
3B 溶融部
3C 溶融体
3a 金属素線
4 中間節輪
8 レーザ光
12、13、14、15 貫通孔部
12b 外周側開口(一方の開口)
12c 内周側開口(他方の開口)
13c、14d、15b 開口(一方の開口)
13d、14e、15c 開口(他方の開口)
M0 線状部材溶融固化部
M1 融合部
S1 貫通孔形成工程
S2 溶融部形成工程
S3 線状部材配置工程
S4 溶融充填工程
S5 融合工程
S6 固化工程
Claims (5)
- 部品基材と、該部品基材に接合された線状部材とを有する内視鏡用部品の製造方法であって、
前記部品基材に貫通孔部を形成する貫通孔形成工程と、
前記線状部材の一部を溶融、固化させることにより、該線状部材に塊状の溶融部を形成する溶融部形成工程と、
前記部品基材を境として、前記貫通孔部の一方の開口に臨む側を表面側、前記貫通孔部の他方の開口に臨む側を裏面側と称するとき、前記溶融部が前記表面側から見える状態で前記溶融部の少なくとも一部を前記貫通孔部内に配置するとともに前記溶融部を前記貫通孔部に当接させ、かつ前記線状部材の線状部分を前記表面側に露出させることなく前記裏面側に配置する線状部材配置工程と、
該線状部材配置工程で配置された前記溶融部に向けて、前記表面側からレーザ光を照射して、前記溶融部を溶融させて、前記貫通孔部内に溶融した材料を充填する溶融充填工程と、
少なくとも前記貫通孔部における前記部品基材を溶融させて、前記貫通孔部内に充填された前記溶融部の材料と前記部品基材の材料とが融合した融合部を形成する融合工程と、
前記溶融充填工程および前記融合工程で溶融された部位を固化させて溶融固化部を形成し、前記部品基材と前記線状部材とを接合する固化工程と、
を備えることを特徴とする内視鏡用部品の製造方法。 - 前記線状部材配置工程では、
前記線状部材の線状部分を前記表面側から前記裏面側に向かって、前記貫通孔部内に挿通させることにより、前記溶融部および前記線状部分を配置する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用部品の製造方法。 - 前記溶融部形成工程では、
前記溶融部の体積が、前記貫通孔部の容積と略等しくなるように前記溶融部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡用部品の製造方法。 - 前記線状部材配置工程では、
前記線状部分を、前記裏面側における前記部品基材の表面に沿わせて前記線状部材を配置する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内視鏡用部品の製造方法。 - 前記部品基材は、管状部材であり、
前記貫通孔形成工程では、
前記貫通孔部が、前記管状部材の外周面と内周面との間に貫通して形成され、
前記線状部材配置工程および前記溶融充填工程では、
前記表面側が前記管状部材の外部側、前記裏面側が前記管状部材の内部側である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内視鏡用部品の製造方法。
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