JP2007035280A - 銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法 - Google Patents

銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】銅リード線と低融点ヒューズエレメントとのレーザ溶接において、溶融ヒューズエレメント部分の冷却固化時間を短くして溶接時間全体の短縮化を図る。
【解決手段】銅リード線の扁平部表面に錫を被覆しておく。レーザ照射時、錫被覆層が溶融され、この溶融被覆層と溶融ヒューズエレメントとの接触界面の合金化が促されて接合強度が高められ、溶融ヒューズエレメント部分の濡れ拡がりが少なくても、すなわち、加熱時間が短くても、充分な強度を接合界面に付与できる。従って、加熱時間を短くできる結果、加熱温度をそれだけ低くでき、ヒューズエレメントの溶融部分が冷却固化するまでの時間がそれだけ短くなる。その結果、レーザ溶接時間全体を短くできる。
【選択図】なし

Description

本発明は銅リード線と低融点ヒューズエレメントとをレーザ溶接により接合する方法に関するものである。
温度ヒューズは、リード線間への低融点ヒューズエレメントの溶接、ヒューズエレメントへのフラックスの塗布、ケース封止等の工程を経て製造される。
この製造工程でのリード線間への低融点ヒューズエレメントの溶接方法には、抵抗溶接法(例えば、特許文献1の図3を参照)、レーザ溶接方法(例えば、特許文献2を参照)、ヒータブロック加熱法(例えば、特許文献2の図6を参照)等が知られている。
図3は抵抗溶接法を示し、リード線3’,3’間上にヒューズエレメント2’を配置し、各リード線端部21’,21’に対の溶接用電極4a’,4b’を当接し、通電により各リード線端部21’,21’を加熱し、各ヒューズエレメント端部21’と各リード線端部31’との接触界面をその界面近傍のヒューズエレメント部分の溶融により溶着している。
図4はレーザ溶接方法を示し、ヒューズエレメント2’の両端面に各リード線3’,3’を突合せ接触させ、各リード線3’,3’を軸方向に押圧しつつ各リード線端部21’,21’をレーザ照射により加熱し、各ヒューズエレメント端と各リード線端との突合せ接触界面をその界面近傍のヒューズエレメント部分の溶融により溶着している。
ヒータブロック加熱法では、このレーザ照射に代えヒータブロックを接触、脱離している。
図5は前記とは別のレーザ溶接方法を示し、ヒューズエレメント2’の両端部21’,21’上に扁平リード線3’,3’の端部31’,31’を重ね、ヒューズエレメント各端部21’,31’に接する各リード線端部面fとは反対側の面Fにレーザを照射して各リード線端部31’,31’を加熱し、各ヒューズエレメント端部と各リード線端部との接触界面をその界面近傍のヒューズエレメント部分の溶融により溶着している(特許文献3)。
通常、レーザ溶接方法は抵抗溶接法やヒータブロック加熱法に較べて溶接時間を短くできる。
特開平05−205587号公報 特開昭63−218114号公報 特開平10−208607号公報
しかしながら、本発明者等の銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接についての鋭意検討結果によれば、ヒューズエレメントの加熱溶融部分の冷却固化に時間がかかり過ぎ、レーザ溶接後、次工程に移るのに相当に長い冷却固化時間を置く必要がある。
例えば、液相線温度124℃、固相線温度152℃、線径1000μmφ、長さ4mmのヒューズエレメントの両端部上に帯状の銅リード線端部を接触させ、各帯状銅リード線端部の上面に変換率3.5%のYAGレーザによりキセノンフラッシュランプ入力パルス28A、10kHzにてビーム径0.2mmφでレーザを2秒照射することにより溶接を行い得たが、溶融ヒューズエレメントの冷却固化に1.5秒もの時間を必要とした。
本発明の目的は、銅リード線と低融点ヒューズエレメントとのレーザ溶接において、溶融ヒューズエレメント部分の冷却固化時間を短くして溶接時間全体の短縮化を図ることにある。
請求項1に係る銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法は、銅リード線の扁平部の片面に低融点ヒューズエレメントをレーザ照射により溶接する方法であり、銅リード線の扁平部表面と低融点ヒューズエレメントとの間に錫材を介在させてレーザを照射することを特徴とする銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法。
請求項2に係る銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法は、銅リード線の扁平部の片面に低融点ヒューズエレメントをレーザ照射により溶接する方法であり、銅リード線の扁平部表面と低融点ヒューズエレメントとの間にSn−Cu合金材またはSn−Bi合金材を介在させてレーザを照射することを特徴とする。
請求項3に係る銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法は、銅リード線の扁平部の片面に低融点ヒューズエレメントをレーザ照射により溶接する方法であり、銅リード線の扁平部表面と低融点ヒューズエレメントとの間に、融点がヒューズエレメントの融点以上であり、その融点の差が180℃以下の金属材を介在させてレーザを照射することを特徴とする。
請求項4に係る銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法は、請求項1〜3何れか記載の銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法において、銅リード線の扁平部の片面の裏側にレーザを照射することを特徴とする。
請求項5に係る銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法は、請求項1〜3何れか記載の銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法において、銅リード線の扁平部の片面のヒューズエレメント横側の近傍にレーザを照射することを特徴とする。
請求項6に係る銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法は、請求項1〜5何れか記載の銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法において、銅リード線に代え銅被覆の鉄リード線を使用することを特徴とする。
請求項7に係る銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法は、請求項1〜6何れか記載の銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法において、ヒューズエレメントに外径100 〜2000μmφの丸線または巾が200〜3000μmで厚みが30〜1200μmの扁平線を使用することを特徴とする。
銅リード線の扁平部の被溶接面に錫材を設けているから、この錫材が溶融され、この溶融錫と溶融ヒューズエレメントとの接触界面の合金化が促されて接合強度が高められ、溶融ヒューズエレメント部分の濡れ拡がりが少なくても、すなわち、加熱時間が短くても、充分な強度を接合界面に付与できる。
従って、加熱時間を短くできる結果、加熱温度をそれだけ低くでき、ヒューズエレメントの溶融部分が冷却固化するまでの時間がそれだけ短くなる。その結果、レーザ溶接時間全体を短くできる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1の(イ)は本発明において使用するレーザ溶接装置を示す図面、図1の(ロ)は図1の(イ)におけるロ−ロ断面図である。
図1において、1は作業台である。2は温度ヒューズ用のヒューズエレメントであり、液相線温度は100℃〜170℃である。ヒューズエレメントが断面円形の場合、その線径は100μmφ〜3000μmφとされる。丸線ヒューズエレメントをロール圧延等で扁平化したものも使用でき、その断面寸法は巾200μm〜3000μm、厚み30μm〜1200μmとされる。
3,3は錫被覆銅リード線であり、線径100μm〜3000μmの錫メッキ丸線の先端部31を扁平化したもの、全体が帯状のもの等を使用できる。
錫被覆銅リード線に代え、銅被覆鉄線や銅被覆鋼線の銅被覆層表面に錫をメッキしたリード線を使用することもできる。
前記の錫被覆に代え、ヒューズエレメントと同組成の合金やヒューズエレメントよりも融点(液相線温度または共晶温度)が0〜180℃高く、かつヒューズエレメントと相溶して合金化する合金、例えばSn−Cu合金、Sn−Bi合金の被覆を使用することも可能である。
錫やSn−Cu合金、Sn−Bi合金等の被覆に代え、銅リード線または銅被覆鉄リード線の扁平部とヒューズエレメントとの間に錫やSn−Cu合金、Sn−Bi合金のフォイル片を介在させてもよい。
図1において、4はレーザ照射装置であり、ビーム径、出力、照射時間等により入熱を調整可能としてあり、例えばYAGレーザを使用できる。
本発明により銅リード線とヒューズエレメントとをレーザ溶接するには、図1に示すように作業台1上にヒューズエレメント2を配置し、一対の錫メッキ銅リード線3,3をその扁平先端部31をヒューズエレメント2の両端部に重ねるように配置し、各リード線3,3の後端部をピン11で押え固定したうえで、各リード線先端扁平部31,31に重ねられた各ヒューズエレメント端部21,21の中央点にレーザ焦点sを位置させてレーザを照射する。
このレーザ照射により熱が発生され、この熱がリード線先端扁平部31に照射スポットSを中心として放射状に伝播され、リード線の銅が加熱されると共に錫被覆層及びヒューズエレメント端部が溶融され、錫被覆層とヒューズエレメント端部との接触界面が融合されて合金化される。
この接合界面の合金化のために溶融ヒューズエレメント端部の濡れ拡がりに頼ることなく接合界面に充分な強度を付与できる。
従って、レーザ照射時間を短くでき、入熱量を小さくできる結果、リード線の温度上昇をそれだけ低く抑えることができ、溶融ヒューズエレメント端部の冷却固化をそれだけ早く終結させ得、冷却固化時間を短く設定できる。
而して、レーザ溶接時間を全体として短くでき、次工程への移行をそれだけ早く行うことができる。
前記実施例において、ヒューズエレメント端部に接触させたリード線扁平部面の裏側にレーザを照射した理由は、ヒューズエレメント端部が直接にレーザを浴びると、ヒューズエレメント端部の溶融飛沫化及びこの飛沫化による溶接形状の不揃い化が避け難く、その結果、ヒューズエレメントの動作温度に狂いが生じ易くなるからである。
本発明においては、図2に示すように、一対の錫メッキ銅リード線3,3の扁平部31,31間に跨ってヒューズエレメント2を載置し、各ヒューズエレメント端部21,21の横側に近接する位置Sを狙って各錫メッキ銅リード線扁平部31,31の表面にレーザをヒューズエレメント2に当てることのないように照射することもできる。この場合、レーザ照射点Sとヒューズエレメント側面との間隔Δdを1mm以下とすることが望ましい。
この場合でも、レーザ照射スポットがヒューズエレメント端の極く手前にある場合に較べてレーザ照射スポットからヒューズエレメント側に伝播される熱流を充分に多くできるので、ヒューズエレメント端部への入熱効率をよく確保できる。
上記各リード線扁平部へのレーザの照射は、一方のリード線扁平部への照射を行ったのち他方のリード線扁平部へのレーザ焦点の調整を行いそのレーザ焦点のもとでレーザ照射する方法、一つのレーザ光源から出射されるレーザビームをハーフミラーやプリズム等により分割し、この分割レーザのそれぞれを両リード線扁平部に同時に照射する方法の何れでも行うことができる。
周知の通り、プリント配線板においては、その製作中でのエッチング液等から銅導体パターンの表面を保護するために、その表面をAu、Ag、Ni等の安定な金属でメッキすることがある。
このAu、Ag等のメニスコグラフ法による濡れ性の評価〔溶融はんだ(溶融ヒューズエレメント)に線状試料の一端を浸漬し、浸漬直後から接触角が0となるまでの時間t、接触角が最大となるまでの時間tを測定し、t、tで濡れ性を評価する〕は、母材Cuに対するメッキ厚み1μmのSn層でt=4.9秒,t>12.0秒であるのに対し、母材Cuに対するメッキ厚み1μmのAg層でt=4.2秒,t=5.8秒であり、母材Cuに対するメッキ厚み1μmのAu層でt=3.1秒,t=5.5秒であって、Ag被覆層やAu被覆層の方がSn被覆層よりも溶融ヒューズエレメントに対する濡れ性に優れている。
しかしながら、後述の比較例により確認できる通り、Sn被覆に代えAu、Ag、Ni等を被覆してもレーザ照射時間を満足に短縮できない。
これは、前記レーザ照射時間の短縮化が溶融ヒューズエレメントの銅表面の被覆層の濡れ性に依存するのではなく、同被覆層の溶融に依存することによるものと推定される。
なお、Snの融点232℃、Cuの融点1084℃に対し、Auの融点は1064℃であり、Agの融点は962℃であり、Niの融点は1455℃である。
銅母材(メニスコグラフ法による濡れ性の評価:時間t=3.08秒、t=4.8秒)に対し、融点が低く、かつ濡れ性が銅と同程度の金属の被覆層であっても、その融点の差が小さい金属(例えば、Ag、Au等)では、前記した通り、レーザ溶接時間を満足に短縮できない。
しかしながら、ヒューズエレメントに対し、融点が0〜180℃程度高く、かつヒューズエレメントとの相溶性に優れた合金をSnに代えて使用することは有効である。
以下の実施例及び比較例において、レーザ溶接装置には、変換率3.5%のパルスYAGレーザを使用し、そのレーザ装置のキセノンフラッシュランプを28A、10kHzのパルスで励起し、レーザビーム径を0.2mmφにコントロールした。
ヒューズエレメントには、組成がBi:52%,Sn:46%、In:2%で、液相線温度が124℃、固相線温度が152℃、線径が1000μmφ、長さ4mmのものを使用した。
図1に示すようにヒューズエレメントを配置し、線径1000μmφのSnメッキ銅リード線の先端部を圧延により扁平としたその一対のリード線の扁平先端部を前記ヒューズエレメントの各端部上に重ね、ヒューズエレメントの各端部の中央点上のリード線扁平先端部面位置にレーザ焦点を合わせてレーザを 1秒間照射した。
レーザ照射終了時から溶融ヒューズエレメントが冷却固化するまでの時間は0.1秒であった。
溶接後ヒューズエレメントを引張って溶接強度を測定したところ(試料数20箇)、全てヒューズエレメントが破断した。
線径1000μmφのSnメッキ銅リード線の先端部を圧延により扁平としたその一対のリード線の扁平先端部を前記ヒューズエレメントの各端部上に厚み10μm、液相線温度300℃のSn−Cu合金フォイルを介して重ね、実施例1と同様にヒューズエレメントの各端部の中央点上のリード線扁平先端部面位置にレーザ焦点を合わせてレーザを1秒間照射した。
レーザ照射終了時から溶融ヒューズエレメントが冷却固化するまでの時間は0.1秒であった。
溶接後ヒューズエレメントを引張って溶接強度を測定したところ(試料数20箇)、全てヒューズエレメントが破断した。
〔比較例1〕
実施例1に対しSnメッキを施さずに銅が裸のままの先端部扁平化のリード線を使用した以外、実施例1と同じとした。
実施例1の1秒レーザ照射では溶接不可であった。溶接には2秒のレーザ照射が必要であった。
〔比較例2〕
実施例1のSnメッキ銅リード線に代えNiメッキ銅リード線を使用した以外、実施例1と同じとした。
実施例1の1秒レーザ照射では溶接不可であった。溶接には2秒のレーザ照射が必要であった。
〔比較例3〕
実施例1のSnメッキ銅リード線に代えAgメッキ銅リード線を使用した以外、実施例1と同じとした。
実施例1の1秒レーザ照射では溶接不可であった。溶接には2秒のレーザ照射が必要であった。
〔比較例4〕
実施例1のSnメッキ銅リード線に代えAuメッキ銅リード線を使用した以外、実施例1と同じとした。
実施例1の1秒レーザ照射では溶接不可であった。溶接には2秒のレーザ照射が必要であった。
実施例1は比較例1〜4に較べてレーザ照射時間が短い。これは溶融ヒューズエレメントの銅表面の被覆層の濡れ性に依存するのではなく、同被覆層の溶融に依存しているものと推察できる。
本発明において使用するレーザ溶接装置を示す図面である。 請求項4に係る実施例を示す図面である。 従来例を示す図面である。 前記とは別の従来例を示す図面である。 前記とは別の従来例を示す図面である。
符号の説明
2 低融点ヒューズエレメント
21 ヒューズエレメント端部
3 錫メッキ銅リード線
31 リード線扁平部
4 レーザ照射装置
s レーザビーム焦点

Claims (7)

  1. 銅リード線の扁平部の片面に低融点ヒューズエレメントをレーザ照射により溶接する方法であり、銅リード線の扁平部表面と低融点ヒューズエレメントとの間に錫材を介在させてレーザを照射することを特徴とする銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法。
  2. 銅リード線の扁平部の片面に低融点ヒューズエレメントをレーザ照射により溶接する方法であり、銅リード線の扁平部表面と低融点ヒューズエレメントとの間にSn−Cu合金材またはSn−Bi合金材を介在させてレーザを照射することを特徴とする銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法。
  3. 銅リード線の扁平部の片面に低融点ヒューズエレメントをレーザ照射により溶接する方法であり、銅リード線の扁平部表面と低融点ヒューズエレメントとの間に、融点がヒューズエレメントの融点以上であり、その融点の差が180℃以下の金属材を介在させてレーザを照射することを特徴とする銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法。
  4. 銅リード線の扁平部の片面の裏側にレーザを照射することを特徴とする請求項1〜3何れか記載の銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法。
  5. 銅リード線の扁平部の片面のヒューズエレメント横側の近傍にレーザを照射することを特徴とする請求項1〜3何れか記載の銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法。
  6. 銅リード線に代え銅被覆の鉄リード線を使用することを特徴とする請求項1〜5何れか記載の銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法。
  7. ヒューズエレメントに外径100 〜2000μmφの丸線または巾が200〜3000μmで厚みが30〜1200μmの扁平線を使用することを特徴とする請求項1〜6何れか記載の銅リード線とヒューズエレメントとのレーザ溶接方法。
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