JP2002257968A - 沸騰水型原子炉用制御棒 - Google Patents

沸騰水型原子炉用制御棒

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JP2002257968A JP2001053947A JP2001053947A JP2002257968A JP 2002257968 A JP2002257968 A JP 2002257968A JP 2001053947 A JP2001053947 A JP 2001053947A JP 2001053947 A JP2001053947 A JP 2001053947A JP 2002257968 A JP2002257968 A JP 2002257968A
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紀昭 後藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 沸騰水型原子炉用制御棒において、レーザ溶
接技術を利用するための最適なとタイロッドの溶接部の
配置と開先形状を提供する。 【解決手段】 棒状のタイロッド1の4つのフィン8を、
シース2の溶接用突出部23のU字横断面で挟み込む状態
で溶接される制御棒において、4つのフィン8の先端部
の開先形状に凹凸部を形成したり、また、4つのフィン
の溶接部9の配置を変えるようにした。本発明によれ
ば、フィンの先端面の凹凸形状により、溶接金属がこの
凹凸部に連なり、突出部23と重なり代10の隙間が封をさ
れ、隙間腐食が防止される。また、溶接部の配置を変え
ることにより、溶接の入熱を分散でき、タイロッドおよ
びシースの変形を低減できる。そのため、溶接による変
形が抑制された健全な制御棒が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は沸騰水型原子炉用制
御棒に係り、特に、タイロッドとシース間の健全な溶接
構造を有する原子炉用制御棒に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の沸騰水型原子炉用制御棒の利用環
境とその構造を説明する。原子炉内では、核燃料中のウ
ラン235が核分裂反応をし、このときに発生する熱を
利用し炉水を沸騰させ、同時に発生する中性子が他のウ
ラン235を分裂させる連鎖反応が起きている。
【0003】核分裂の連鎖反応量を制御するため、中性
子吸収材を内部に収納する制御棒が利用される。このう
ち、沸騰水型原子炉で通常使用される制御棒は、十字型
横断面をしており、鉛直方向に立設した4つの筒状の燃
料チャンネルボックス間に形成される十字型の隙間に、
鉛直方向に移動させて挿入される。
【0004】この燃料チャンネルボックス間に形成され
る十字型の隙間に、制御棒が滑らかに挿入される挿入性
を確保するため、制御棒の十字断面を形成する4枚のブ
レードの厚み寸法や、幅寸法、角度の位置関係、および
制御棒の真直性に厳しい品質が要求される。
【0005】沸騰水型原子炉用制御棒として最もよく使
用されるものは、十字断面を持つタイロッドの各辺にU
字断面を持つシースを取り付け、シースの内部に中性子
吸収材を収納し、タイロッドとシースを溶接接合したも
のである。
【0006】このタイロッドとシースの溶接接合には、
シースの一定箇所を溶接部として突出させ、その突出部
をスポット溶接している。スポット溶接を施した溶接部
では、タイロッドとシースの隙間に炉水が循環しにくく
なりよどむ。よどんだ炉水が長期間炉内の照射を受ける
と腐食環境を発生させ、この状態にスポット溶接部が晒
されると隙間腐食発生の可能性がある。
【0007】一方、TIG溶接を採用して完全溶着させ
た溶接部は、その構造から炉水がよどむ隙間は発生しな
い。このため、改良型の沸騰水型原子炉用制御棒のタイ
ロッドとシースの溶接構造は、このTIG溶接を適用
し、完全溶着させる方法が取り入れられている。そこ
で、従前のスポット溶接から完全溶着可能な溶接構造へ
の変更が求められるようになった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来型
沸騰水型原子炉用制御棒に比較して、改良型沸騰水型制
御棒のシースは薄い板材を使用して製作されているの
で、シース溶接部の間の座屈に対する強度は低下する。
【0009】また、シースの突出部をタイロッドのフィ
ンに溶接すると、溶接の熱影響によりタイロッドは長手
方向に収縮し、溶接部の間の距離は縮まる。同様に、タ
イロッドの幅方向にも収縮が生じる。
【0010】このように、シースの座屈強度の低下とタ
イロッドの収縮および溶接部の残留応力により、薄いシ
ースには溶接部である突出部に波打ち現象が発現し、こ
のことが未溶接部のワークの位置関係をずらして溶接品
質に影響を与え、上記各寸法を守るための修正作業に時
間を費やす原因となっている。
【0011】薄いシースをタイロッドフィンにTIG溶
接する際,熱容量の差があるので、アークの入熱で双方
に溶融池が発生するまでに時差があり、溶接電流を大き
くするとシースが先に溶融し、溶接電流を小さくすると
タイロッドフィンが溶融せず、その間にシースに入熱が
掛かり熱変形する原因となり、開先形状が変形し溶接品
質にばらつきを発生することになる。
【0012】そこで、段取り作業と修正作業を減らすた
めに、シースの変形と溶接部の残留応力を抑え、同時に
フィン溶接部の重なり代の面とシース突出部との間で裏
波ビードが得られ、タイロッドとシース間が完全溶着す
る良好な溶接品質を得るため、低入熱で入熱範囲が狭
く、TIG溶接より溶け込みが深いレーザ溶接技術を適
用することが考えられる(例えば、特開2000−32
9885号公報、特開平9−61576号公報参照)。
【0013】本発明の目的は、沸騰水型原子炉用制御棒
のタイロッドと薄いシースとの溶接構造において、レー
ザ溶接技術を適用するにあたり、溶接部の位置や開先形
状を最適化することによって、隙間腐食の発生を予防で
きる健全性を確保し、溶接品質と寸法精度が向上し、安
定した炉心運転が可能な制御棒を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の沸騰水型原子炉用制御棒は、断面十字形状
を形成する4つのフィンを有する棒状のタイロッドと、
フィンの先端部に断面U字形状の開口部を挟んで一定箇
所が溶接される4つのシースとから構成され、立設して
用いられる沸騰水型原子炉用制御棒において、フィンと
シースとの溶接部を検討し、その結果、4つのフィンの
先端部の開先形状に凹凸部を形成したり、また、4つの
フィンの溶接箇所を異なる水平位置で溶接するようにし
た。
【0015】本発明によれば、タイロッドのフィンの先
端面に、テーパー面または曲面などにより凹凸形状を形
成したので、溶接時、完全溶着した重なり代に由来する
溶接金属が、フィン部に設けたテーパー面または曲面と
シースに連なり、シースの突出部とタイロッドの重なり
代の隙間が封をされ、このため、炉水がよどむ隙間が発
生せず、隙間腐食の発生が予防されて溶接品質が向上す
る。
【0016】また、溶接部の位置を4つのフィンで異な
らせることにより、溶接の入熱を分散できるため、溶接
部で発生するタイロッドの収縮とシースの変形を低減す
ることができる。そのため、溶接による変形が抑制され
た健全な制御棒が得られる。
【0017】したがって、タイロッドの縮みや熱負荷の
不揃いが原因となる曲がりや捩れが減少し、また、シー
スでは残留応力を低く抑えられ、シースの波打ち現象の
発生がなくなり、フィンの長さや幅寸法と角度の精度が
向上する。また、修正作業を短縮することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。まず、沸騰水型原子炉用制御
棒において、シースとの溶接部であるタイロッドのフィ
ン先端部の開先形状について説明し、次に、十字形状の
4つのフィンの溶接位置の異なる配置について説明し、
最後に、本制御棒の製造手順と、本発明になる開先形状
にレーザ溶接を適用した施工試験について説明する。
【0019】図1は、タイロッドとシースの溶接部のフ
ィン先端部開先形状が凸状に形成された例の断面および
斜視図である。断面十字形状を形成する4つのフィン8
を有する棒状のタイロッド1と、フィン8の先端部に断
面U字形状の開口部を挟んで一定箇所が溶接されるシー
ス2とから構成され、フィン8とシース2との溶接部9
の開先形状が、フィン8の端面にテーパ面を有する凸部
31が形成された断面形状となっている。
【0020】このような開先形状を採用してレーザ溶接
すると、溶接時、完全溶着したフィンの重なり代7に由
来する溶接金属が、凸部31のテーパ面とシース2とに
連なり、重なり代7の隙間が封をされ、このため、炉水
がよどむ隙間が発生せず、隙間腐食の発生が予防されて
溶接品質が向上する。なお、シース2には突出部23が
形成されて溶接部となっている。また、シース2内には
中性子吸収材3が入っている。
【0021】図2に、開先形状の種々の例を示す。図2
(a)は、図1に使用した例であり、タイロッドのフィ
ン8の先端部が、重なり代10に連なってテーパ面11
となって三角形状に突出している。
【0022】図2(b)は、フィン8の重なり代10か
ら先端側を円弧で繋いだものである。溶接時、重なり代
10に近い位置ほど、シース2の突出部23と円弧面2
4の間にできる隙間は小さくなるので、溶融した金属が
シース突出部23の面と円弧面24との間で連なりやす
く、このため腐食環境となる隙間が塞がれるので、隙間
腐食の発生を予防することができる。
【0023】図2(c)は、フィン8の重なり代10よ
り先端側をテーパ面11と平面を連ねたものである。テ
ーパ面11は対称である必要はなく、テーパ面11とテ
ーパ面11の間はどのような面で連絡させてもよい。テ
ーパ面11は平面であるため、開先加工が容易になり、
使用可能な工具刃の種類が増える利点がある。
【0024】図2(d)および(e)は、フィン8の重
なり代10より先端側を、凸な曲面12aとしたもの、
および凹な曲面12aとしたものである。曲面12aは
対称である必要はなく、また曲面12aと曲面12aの
間は、どのような面で連絡させてもよい。
【0025】図2(d)は凸曲面12aを使用するの
で、溶接部であるシース突出部23の面と凸曲面12a
の間で溶融した金属が連結しやすくなり、また、溶接部
9近傍の母材の量が減少するため溶接の入熱が伝熱で逃
げにくく、重なり代10の温度が上昇し溶融しやすくな
るので溶接速度を上げることができる。
【0026】図2(e)は凹曲面12bを使用するの
で、溶接部9近傍の母材の量が図2(c)の形状に比べ
てさらに減少するため、溶接の入熱が伝熱で逃げにく
く、重なり代10の温度が上昇し溶融しやすくなるの
で、溶接速度を上げることができる。このため溶接部9
の入熱量を低く抑えることができる。
【0027】図3は、タイロッドのフィン8の先端部
を、凹状に形成した例である。図3(a)は、テーパ面
11で三角状のV溝が形成され、図3(b)は、コの字
型の凹溝とした。また、図3(c)では、曲面13によ
って溝の先端部と底部とを形成した。また、図3(d)
は、図3(a)の溝でV溝の先端部に平面14を形成し
てある。
【0028】図3に示した例でも、図2に記載した例と
同様に、溶融した金属が連結しやすくなり、溶接部9近
傍の母材の量が減少するため溶接の入熱が伝熱で逃げに
くく、重なり代の温度が上昇して溶融しやすくなるので
溶接速度を上げることができる。特に、凹溝の両側壁部
が完全溶融して完全溶接接合が可能になる。
【0029】次に、図4および図5を用いて、タイロッ
ドとシースの溶接部9の配置を変えた例について説明す
る。図4は、隣接フィンの溶接位置が異なり、180度
離れたフィン同士は溶接位置を同じにした例を示す斜視
図、図5は、各フィンの溶接位置が異なる例を正面図で
ある。
【0030】図4において、十字断面形状を形成する4
つのフィンを持つ棒状のタイロッドと、このタイロッド
と同程度の長さを持ち、U字断面形状をして縁部に複数
の突出した溶接部を形成したシースとから構成され、シ
ースの突出部でフィンを挟み込んで溶接する構造の沸騰
水型原子炉用制御棒において、フィンとシース突出部と
を溶接する際、180度離れた位置にあるシース同士の
突出部は同一位置で溶接され、90度離れた隣接のシー
ス同士はずれた位置で溶接するようにした。
【0031】4枚のフィンのシースとの溶接部9が同一
位置にある従来方法では、溶接による曲がりなどの変形
の方向は、断面のX−Y方向混合となり、複雑な変形を
発生する。一方、互いに反対側のフィンの溶接部9を同
じ位置に、隣接フィンの溶接部9をずらした溶接位置に
した図4の方法によれば、溶接の入熱を分散できるた
め、各溶接部で発生するタイロッドの収縮と、シースの
変形を低減できることになる。
【0032】また、タイロッドの曲がり方向を、X軸と
Y軸に分解することができるため、曲がり修正が必要な
ときには、その修正方向が明確になり、修正作業がきわ
めて容易となる。その結果、変形のないより健全な制御
棒を提供することができる。
【0033】図5は、十字形状のタイロッドの4つのフ
ィンとシース突出部との溶接部9を、4つのフィンにお
いてそれぞれ異ならせた例である。図において、目視A
によれば、シース(1)と(3)とで溶接部9がずれ、目視
Bによれば、シース(2)と(4)とで溶接部9がずれ、しか
も、図中に一点鎖線で示すように、隣接フィンごとに順
次ずらして螺旋(スパイラル)状に溶接部9を配置し
た。
【0034】このように、タイロッドの長さ方向にスパ
イラル状に溶接部を配置すると、上記図4の例よりもさ
らに溶接による入熱が分散する。そのため、入熱による
変形と他の溶接部からの影響が低減する。しかも、変形
が生じる場合も、螺旋を描くように発生するため、全体
的に変形のバランスが得られ、きわめて容易に修正可能
となる。そして、レーザ溶接等の低入熱の溶接技術を採
用することにより、変形のない健全性の高い溶接棒が得
られる。
【0035】次に、図6〜図8を用いて、タイロッドの
フィン先端部の開先形状の配置について説明する。図6
〜図8はタイロッドの正面図とその側面図をあらわした
もので、タイロッド1の全長にわたり溶接部の開先形状
を加工したものである。
【0036】図6のものは、全長にわたり同様の加工を
するため、製造容易で、タイロッドの重量を最も軽くで
きる利点がある。また、図7および図8のものは、シー
ス2の突出部23との溶接に必要な開先形状を、必要な
箇所にのみ適用した例である。タイロッドの加工量が減
少し製作工程の短縮化が図れる。
【0037】図7では、断面Aは溶接に必要な開先加工
を施した位置での断面であり、断面Bは開先加工を施さ
ない位置での断面である。開先加工を施す位置が4つの
フィン8で同じになるので、使用するシース2の縁部に
ある突出部23の配置状態が1種類で済む利点がある。
【0038】図8では、断面Aは対向する2つのフィン
8に溶接に必要な開先加工を施した位置での断面であ
り、断面Bは、開先加工を施さない位置での断面であ
る。断面Cは、断面Aで開先加工を施したフィン8と直
行方向の位置関係にある2つのフィン8に開先加工を施
した位置での断面である。タイロッド1とシース2の溶
接部が、図7の断面Aのように1断面に4箇所ではなくな
るので、タイロッドに発生する溶接の入熱に起因する曲
がり変形の影響を分散することができる利点がある。
【0039】次に、本発明になる制御棒の製造手順を、
図4を参照して説明する。ステンレス製の板材であるシ
ースは、(1)素材から(2)穴明および凸部の切り出しを行
い、プレス機で曲げ(3)加工を行い、次工程送り(10)と
なる。
【0040】一方、制御棒を構成する部品のハンドルや
落下速度リミッタ、およびその他の部品(6)を組み立て
たもの(7)を、タイロッドの両端部に組み付け溶接(5)を
行い、制御棒の骨格を製作して次工程送り(10)となる。
【0041】また、中性子吸収材は、素材(8)に加工と
組み立ておよび溶接(9)を行い、棒状の部品となる。中
性子吸収材をシースに内包し、制御棒のブレードを組み
立てる(10)。シースの溶接用突出部と、タイロッドの開
先部分を合わせてレーザ溶接(11)を行い、完成(12)とな
る。
【0042】ここで、図10および図11を用いて、図
2(a)に示した断面形状を持つタイロッドに対して行
ったレーザ溶接の施工試験について説明する。図2
(b)〜(e)およびその他のタイロッドの断面形状も
合わせて説明する。本施工試験では、YAGレーザ溶接
機を使用し溶接を行った。施工条件を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】図10に示すように、タイロッド1とシー
ス2を受け台13に載せ、シース2を固定金具14で固
定し、熱引き治具(図に記載せず)を取り付け、タイロ
ッド1とシース2の溶接位置を決める。レール17上に
乗り、移動できるレーザ発振器16から伸びる腕に、レ
ーザトーチ15およびトレーラガスノズル21(図11
中に記載)が取り付けられる。
【0045】図11に示すように、タイロッド1のフィ
ン8先端側にある重なり代10とシース2の溶接用突出
部23を重ね、仮溶接を実施し固定金具13(図10中
に記載)でシース2を固定する。
【0046】シールドガス20を溶接部に向けて流す。
シールドガス20の種類は本施工試験ではN2を使用し
ているが、溶接部の酸化を防ぐのが目的であるので、H
e、Ar、N2など酸化を防ぐ効果をもつガスであれば
いずれでも良い。また、シールドガス20の流量は、目
的の効果が得られる範囲内で使用している。
【0047】次いで、レーザトーチ15を溶接の開始位
置まで移動させ、レーザの焦点を調節する。シース2が
薄い板のときに、レーザ光線19の出力が大きく、溶接
速度が小さいと溶け込みが深く、ビード幅も大きく、裏
波ビードも得られ、溶接部の完全溶着が得られやすい。
このため、フィン8の重なり代10を大きく取ることが
できるが、ボイドなどの溶接欠陥が発生しやすい。
【0048】また、シース2が厚い板のとき、レーザ光
線19の出力が小さく、溶接速度が大きいと溶け込みが
浅くなり、重なり代10を少なくしないと完全溶着が得
られない。また、本施工試験では、溶接棒20を使用す
るので、溶接棒20の供給量が多くなると溶接の入熱が
溶接棒の溶融に使用され、このため溶け込みは浅くな
り、また供給量が少ないと溶け込みは深くなる。
【0049】完全溶着可能な重なり代10の寸法は、使
用するシースの板厚とレーザ光線19の出力と溶接速
度、および溶接棒20の供給速度に依存する。そのた
め、製品仕様の溶接部の強度と溶接品質が得られる範囲
を調べ、入熱による変形を少なくするため、その中でも
レーザの出力の小さいものを選択し、重なり代10の寸
法を決定している。
【0050】溶接ビードは、溶接直後は温度が高い状態
にあり酸化しやすく、これを防ぐ目的から溶接直後の溶
接ビードへ、トレーラガスノズル21からトレーラガス
22を吹き付け、表面の酸化を防いでいる。トレーラガ
ス22の種類の選択方法は、シールドガス20の場合と
同じであり、本施工試験ではN2を使用している。
【0051】本施工試験の結果とTIG溶接で行った結
果を比較したところ、ビード外観と断面金層が良好で優
れた溶接品質であり、溶接部近傍の残留応力の低下が確
認できた。また、シースの波打ち現象およびブレードな
ど全体的に変形量の減少が確認でき、制御棒に求められ
る品質を満たすことが分かった。
【0052】
【発明の効果】上述のとおり、本発明によれば、沸騰水
型原子炉用制御棒のタイロッドと薄いシースとの溶接構
造において、レーザ溶接技術を適用するにあたり、溶接
部の位置や開先形状を最適化することによって、隙間腐
食の発生を予防できる健全性を確保し、溶接品質と寸法
精度が向上し、安定した炉心運転が可能な制御棒が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面および斜視図。
【図2】本発明になる開先形状の凸状の例を示す斜視
図。
【図3】本発明になる開先形状の凹状の例を示す斜視
図。
【図4】本発明になるシースとタイロッドの溶接部の配
置を変えた一例を示す斜視図。
【図5】本発明になるシースとタイロッドの溶接部の配
置を変えた他の例を示す斜視図。
【図6】本発明になるタイロッドの開先加工部の一例を
示す正面図。
【図7】本発明になるタイロッドの開先加工部の他の例
を示す正面図。
【図8】本発明になるタイロッドの開先加工部のさらに
他の例を示す正面図。
【図9】本発明になる制御棒の製作手順を示す工程図。
【図10】本発明におけるタイロッドとシースのレーザ
溶接施工試験の説明図。
【図11】本発明におけるタイロッドとシースのレーザ
溶接施工試験の細部の説明図。
【符号の説明】
1 タイロッド 2 シース 3 中性子吸収材 8 フィン 9 溶接部 10 重なり代 11 テーパ面 12 曲面 23 溶接用突出部 24 円弧面 31 凹凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬戸 武裕 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 中山 道夫 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面十字形状を形成する4つのフィンを
    有する棒状のタイロッドと、前記フィンの先端部に断面
    U字形状の開口部を挟んで一定箇所が溶接される4つの
    シースとから構成され、立設して用いられる沸騰水型原
    子炉用制御棒において、前記フィンと前記シースとの溶
    接部は、前記4つのフィンの端面に凸部または凹部から
    なる開先形状が形成されていることを特徴とする沸騰水
    型原子炉用制御棒。
  2. 【請求項2】 断面十字形状を形成する4つのフィンを
    有する棒状のタイロッドと、前記フィンの先端部に断面
    U字形状の開口部を挟んで一定箇所が溶接される4つの
    シースとから構成され、立設して用いられる沸騰水型原
    子炉用制御棒において、前記フィンと前記シースとの溶
    接部は、前記4つのフィンの溶接箇所が、異なる水平位
    置で溶接されていることを特徴とする沸騰水型原子炉用
    制御棒。
  3. 【請求項3】 断面十字形状を形成する4つのフィンを
    有する棒状のタイロッドと、前記フィンの先端部に断面
    U字形状の開口部を挟んで一定箇所が溶接される4つの
    シースとから構成され、立設して用いられる沸騰水型原
    子炉用制御棒において、前記フィンと前記シースとの溶
    接部は、前記4つのフィンの溶接箇所が異なる水平位置
    で溶接され、かつ、前記4つのフィンの端面に凸部また
    は凹部からなる開先形状が形成されていることを特徴と
    する沸騰水型原子炉用制御棒。
  4. 【請求項4】 前記フィンの先端部の開先形状は、フィ
    ン先端面が凸状または凹状のテーパ面または曲面を有し
    てなる請求項1、2または3に記載の沸騰水型原子炉用
    制御棒。
  5. 【請求項5】 前記溶接部は、断面十字形状の180度
    離れたフィンの溶接部が同一の水平位置にあり、90度
    離れた隣接のフィンの溶接部が異なる水平位置にある請
    求項1〜4のうちいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉
    用制御棒。
  6. 【請求項6】 前記溶接部は、4つのフィンの溶接部が
    全て異なる水平位置にある請求項1〜4のうちいずれか
    1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
  7. 【請求項7】 前記フィンの先端部は、長手方向の全長
    に溶接用の開先形状が形成されている請求項1〜6のう
    ちいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
  8. 【請求項8】 前記フィンの先端部は、前記溶接部のみ
    に溶接用の開先形状が形成されている請求項1〜6のう
    ちいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
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