JP4961154B2 - 沸騰水型原子炉用制御棒の製造方法 - Google Patents

沸騰水型原子炉用制御棒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、沸騰水型原子炉用制御棒及びその製造方法に係り、特にタイロッドとシースと間の健全な溶接構造を有する原子炉用制御棒及びその製造方法に関するものである。
沸騰水型原子炉用制御棒は、核分裂の連鎖反応量を制御するため、中性子吸収材を内部に収納した構造である。沸騰水型原子炉で通常使用される制御棒は、十字型横断面をしており、鉛直方向に立設した4つの筒状の燃料チャンネルボックス間に形成される十字型の隙間に挿入される。
この燃料チャンネルボックス間に形成される十字型の隙間に制御棒が滑らかに挿入される挿入性を確保するために、制御棒の十字断面を形成する4枚の中性子吸収材を内部に収納したブレードの厚み寸法や幅寸法,角度の位置関係及び制御棒の真直性に厳しい品質が必要である。
沸騰水型原子炉用制御棒として、最もよく使用されているのは、十字形横断面形状のタイロッドにU字形横断面形状のシースを取り付け、シース内部に中性子吸収材を収納し、タイロッドとシースを溶接したものである。
このタイロッドとシースとの溶接には、スポット溶接,TIG溶接及び特許文献1や特許文献2のようにレーザ溶接が適用されている。タイロッドとシースとのスポット溶接部では、タイロッドとシースとの隙間に炉水が循環しにくくなり、よどみやすい。よどんだ炉水が長時間炉内の照射を受けるとすきま腐食を発生させる可能性がある。
タイロッドとシースとのTIG溶接部では、完全溶着させているため、すきま腐食が発生しないが、溶接の熱影響によりタイロッド収縮及びシースの変形や強度の低下が見られ、制御棒の真直性などの品質に影響を与え、修正作業に時間を費やす原因となっている。
タイロッドとシースとのレーザ溶接では、TIG溶接と同様に完全溶着させているため、すきま腐食が発生しない。またTIG溶接より熱影響が少ないため、タイロッド収縮及びシースの変形も少なく、制御棒の真直性などの品質が向上する。しかし、TIG溶接に比べ、レーザ溶接は冷却速度が速いため、特に、オーステナイトステンレス鋼のレーザ溶接部では、フェライトの生成量が少なくなり、低い残留応力でも高温割れが発生しやすくなる。
特開2003−185777号公報 特開2002−257968号公報
本発明の目的は、溶接性に優れ、高温割れを抑制し、溶接時の変形,残留応力を極力抑えたレーザ溶接法の提供と、高精度,高品質,高信頼の沸騰水型原子炉用制御棒の製造方法を提供することにある。
本発明の沸騰水型原子炉用制御棒の製造方法は、十字形横断面形状のオーステナイトステンレス鋼製タイロッドのフィン段差部と、U字形横断面形状のオーステナイトステンレス鋼製シースの凸型先端部を一定箇所重ね合わせた後、タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部をレーザ溶接してなり、タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接では、レーザ照射位置をシース側より斜め60〜80°からレーザ照射することとし、タイロッドのフィン段差部から、溶接ワイヤを加えながらレーザ溶接を開始し、タイロッドのフィン段差部と前記シースの凸型先端部のレーザ溶接始端部を通過し、所定位置に達するまでレーザ出力をアップスロープ制御し、タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部の重ね中央部分のレーザ出力を一定制御し、タイロッドのフィン段差部と前記シース凸型先端部のレーザ溶接終端部手前の所定位置からレーザ出力をダウンスロープ制御し、前記タイロッドのフィン段差部でレーザ溶接を終了することを特徴とするものである。
た、タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接部へのタイロッドの溶け込み比率を30〜50%とすることが好ましい。
さらに、タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接時に添加する溶接ワイヤは、C:0.03wt%以下,Si:0.65wt%以下,Mn:1.0〜2.5wt%,Ni:11.0〜14.0wt%,Cr:18.0〜20.0wt%,Mo:2.0〜3.0wt%,P:0.03wt%以下,S:0.03wt%以下,N:0.03wt%以下を含有し、残部不可避的不純物及びFeからなるオーステナイトステンレス鋼であり、Cr/Ni比(Cr当量:Cr+Mo+1.5Si+0.5Nb,Ni当量:Ni+0.5Mn+30C+30N)が1.6〜1.9 で、かつフェライト量を12%〜16%とするレーザ溶接用ワイヤが良い。
本発明によれば、溶接性に優れ、高温割れを抑制し、溶接時の変形,残留応力を極力抑えたレーザ溶接法により、高精度,高品質,高信頼の沸騰水型原子炉用制御棒の製造が容易にできる。
本実施形態の沸騰水型原子炉用制御棒及びその製造方法によれば、タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接では、レーザ照射位置を前記シース側より斜め60〜80°からレーザ照射するため、タイロッドのフィン段差部及びシースの凸型先端部への入熱が均一になり、シースの溶け落ちや熱変形を防止するとともにタイロッドのフィン段差部への完全溶け込みが得られ、すきま腐食が予防され、溶接品質が安定する。
本実施形態の沸騰水型原子炉用制御棒及びその製造方法によれば、オーステナイトステンレス鋼製のタイロッドの段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接する際に、レーザ出力をアップスロープ及びダウンスロープ制御すること及び本発明の溶接ワイヤを用いることにより、レーザ溶接部へのタイロッドの溶け込み比率の制御が可能になるとともに、レーザ溶接部のフェライト量の制御も可能になり、レーザ溶接部に発生しやすい高温割れを防止でき、低入熱溶接のためタイロッドの溶接時のそり,歪などによる変形,残留応力が極力抑えられ、シースの波打ち現象も抑えられ、高品質,高信頼の溶接部が得られ、製造作業性に優れた高精度な沸騰水型原子炉用制御棒の製造が可能になる。
オーステナイトステンレス鋼のレーザ溶接では、TIG溶接に比べ低入熱,高速溶接のため、溶接金属の凝固速度が速いので、溶接時のそり,歪などによる変形が抑えられる反面、レーザ溶接部のフェライト量の生成が少なく、高温割れの発生しやすくなる。特に、オーステナイトステンレス鋼製のタイロッドの材質にもよるが、Cr/Ni比(Cr当量:Cr+Mo+1.5Si+0.5Nb,Ni当量:Ni+0.5Mn+30C+30N)が1.5 以下と低い場合、タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接を同一のレーザ出力条件で行うと、タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接始端部及びタイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接終端部のタイロッドの溶け込み比率が増大し、レーザ溶接部のフェライト量が減少し、高温割れが発生しやすくなる。
そこで、本実施形態のオーステナイトステンレス鋼製タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接する際に、レーザ出力をアップスロープ及びダウンスロープ制御すること及び本発明の溶接ワイヤを用いることにより、レーザ溶接部へのタイロッドの溶け込み比率の制御が可能になるとともに、レーザ溶接部のフェライト量の制御も可能になり、レーザ溶接部に発生しやすい高温割れを防止できる。
本実施形態では、オーステナイトステンレス鋼製タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接始端部及びオーステナイトステンレス鋼製タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接終端部へのタイロッドの溶け込み比率を30〜50%に制御すると、レーザ溶接部に発生しやすい高温割れを防止できる。特にタイロッドの溶け込み比率が50%を越すと、高温割れが発生しやすくなると同時にタイロッドへの熱影響も大きくなり、収縮,変形も大きくなり、溶接品質に影響を与える。またタイロッドの溶け込み比率が30%未満だと、タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接部の完全溶け込みが不安定になり、溶接不良の発生やすきま腐食発生の懸念が生じる。
オーステナイトステンレス鋼製のタイロッドとシースとのレーザ溶接では、TIG溶接に比べ低入熱,高速溶接のため、溶接部の凝固速度が速いので、レーザ溶接部のフェライト量の生成が少なく、高温割れの発生がしやすくなる。このため本実施形態発明では、オーステナイトステンレス鋼製のタイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接部のフェライト量を0.5%以上とすることが良い。レーザ溶接部のフェライト量を0.5 %未満の場合、高温割れが発生しやすくなる。
本実施形態では、オーステナイトステンレス鋼製の溶接ワイヤを加えながらレーザ溶接を開始し、オーステナイトステンレス鋼製のタイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接を行い、レーザ溶接部へのタイロッドの溶け込み比率の制御及びレーザ溶接部のフェライト量の制御を行うため、オーステナイトステンレス鋼製の溶接ワイヤが重要である。
そこで本実施形態では、タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接時に添加する溶接ワイヤは、C:0.03wt%以下,Si:0.65wt%以下,Mn:1.0〜2.5wt%,Ni:11.0〜14.0wt%,Cr:18.0〜20.0wt%,Mo:2.0〜3.0wt%,P:0.03wt%以下,S:0.03wt%以下,N:
0.03 wt%以下を含有し、残部不可避的不純物及びFeからなるオーステナイトステンレス鋼であり、Cr/Ni比(Cr当量:Cr+Mo+1.5Si+0.5Nb,Ni当量:Ni+0.5Mn+30C+30N)が1.6〜1.9 で、かつフェライト量を12%〜16%とすると良い。
本実施形態のオーステナイトステンレス鋼製の溶接ワイヤは、その材料組成が以下に示す範囲にあることが必要である。
「C:0.03wt%以下」
Cはオーステナイト安定化元素であり、強度向上に寄与するためC含有量0.03wt%以下が望ましい。好ましくは、オーステナイトステンレス鋼の沸騰水型原子炉用制御棒のC量を極力低く抑え、耐応力腐食割れ性を維持するため、C含有量0.03 wt%以下が望ましい。
「Si:0.65wt%以下」
Siは脱酸剤として用いられるほか、Cr当量にも影響する。オーステナイトステンレス鋼の沸騰水型原子炉用制御棒のSi含有量は、0.65 wt%望ましい。Si含有量が0.65wt%以上多く含有すると耐食性及び靭性が劣化する。
「Mn:1.0〜2.5wt%」
Mnは溶接時に脱酸作用及び脱硫作用があり、オーステナイト安定化元素である。また高温割れに有害なSを固定し、耐高温割れ性を抑制する効果がある。この効果を高めるには、1.0wt%以上必要であり、Mn量が2.5wt%以上になると、溶接時の湯流れが悪くなり、作業性に問題が生じる。
「Ni:11.0〜14.0wt%」
Niはオーステナイトステンレス鋼の必須成分であり、オーステナイト相を安定化させる。そのため、オーステナイトステンレス鋼製の溶接ワイヤのNi含有量を11.0 〜
14.0 wt%とする必要がある。溶加材のNi含有量が11.0wt%未満では、溶接部のフェライト相が増えて靭性が低下する。溶加材のNi含有量を14.0 wt%以上になるとオーステナイト相が増えて高温割れが発生しやすくなる。
「Cr:18.0〜20.0wt%」
Crはオーステナイトステンレス鋼の必須成分であり、フェライト相を安定化させる効果がある。またオーステナイトステンレス鋼の耐食性の向上に寄与する元素である。オーステナイトステンレス鋼の沸騰水型原子炉用制御棒に用いる溶接ワイヤのCr含有量を
18.0〜20.0wt%とする必要がある。溶加材のCr含有量が18.0 wt%未満では、Crがフェライト相を安定化させる効果が低下し、高温割れが発生しやすくなる。溶加材のCr含有量が20.0 wt%以上含有するとフェライト量が増加しすぎるため、延性が低下する。
「Mo:2.0〜3.0wt%」
MoもCr同様、耐食性の向上に寄与する元素であるが、オーステナイトステンレス鋼製の沸騰水型原子炉用制御棒に用いる溶接ワイヤのMo含有量を2.0〜3.0wt%とさせることが好ましい。溶接ワイヤのMo含有量を2.0 wt%未満では、Moがフェライト相を安定化させる効果が低下し、高温割れが発生しやすくなる。溶接ワイヤのCr含有量が3.0wt%以上含有するとフェライト量が増加しすぎるため、延性が低下する。
「P:0.03wt%以下」
Pは低融点化合物を生成する元素であり、極力抑える必要があり、溶加材のP含有量を0.03%以下とさせることが好ましい。
「S:0.03wt%以下」
Sは低融点化合物を生成する元素であり、極力抑える必要があり、溶加材のS含有量を0.03%以下とさせることが好ましい。より好ましいのは0.005%以下である。
「N:0.03wt%以下」
Nはオーステナイト安定化元素であり、強度向上に寄与するためC含有量0.03wt%以下が望ましい。
本実施形態のオーステナイトステンレス鋼製の溶接ワイヤは、上記した材料組成に示す範囲にあることが必要であり、Cr/Ni比(Cr当量:Cr+Mo+1.5Si+0.5Nb,Ni当量:Ni+0.5Mn+30C+30N)が1.6〜1.9 で、かつフェライト量を12%〜16%であることにより、オーステナイトステンレス鋼製タイロッドのフィン段差部とシース先端部とのレーザ溶接部のフェライト量の制御ができ、高温割れの抑制に有効である。
本実施形態のオーステナイトステンレス鋼製の溶接ワイヤは、オーステナイトステンレス鋼製の沸騰水型原子炉用制御棒のレーザ溶接のみならず、オーステナイトステンレス鋼製の各種製品のレーザ溶接に最適な溶接ワイヤである。
以下、本実施例のオーステナイトステンレス鋼製の沸騰水型原子炉用制御棒の製造法について説明する。特に、タイロッドとシースのレーザ溶接構造体の製造について精細に説明する。
表1は、タイロッド,シース及び本発明の溶接ワイヤの化学組成を示す。シース材の
Cr/Ni比(Cr当量:Cr+Mo+1.5Si+0.5Nb ,Ni当量:Ni+0.5Mn+30C+30N)は、タイロッド材:1.37,シース材:1.60である。これらに対し、本発明の溶接ワイヤのCr/Ni比(Cr当量:Cr+Mo+1.5Si+0.5Nb,Ni当量:Ni+0.5Mn+30C+30N)は1.88である。
Figure 0004961154
図1は、本実施例によるタイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接部の一例を示す斜視図である。タイロッド1は4つのフィン2を有する十字形横断面形状であり、フィン2にはレーザ溶接しやすいようにフィン段差部3が設けられており、板厚:10mmt ,全長:3850mm,幅:50mmである。シース4はU字形横断面形状であり、シース4のプレートには冷却孔8及びレーザ溶接用の凸型先端部5が設けられており、板厚:1.4mmt,全長:3800mm,幅:105mmである。タイロッド1のフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接長さは、30mmであり、タイロッドとシースの一面に溶接箇所7が21箇所あり、全体で168箇所となる。なお、符号6は制御棒である。
図2は、本実施例によるレーザ溶接プロセスの一例を示す説明図である。
表2は、レーザ溶接条件を示す。
Figure 0004961154
本実施例によるタイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接は、図1,図2及び表2に示すように、まず始めに、レーザ溶接スタート位置(タイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接始端部7aより5mm手前)に、シース4側より斜め70°に設置されたYAGレーザヘッド10を搬送し、YAGレーザヘッド10よりN2 アシストガス:30l/min が流し、本実施例のレーザ溶接ワイヤ
11(φ1.2)がワイヤ送給装置12より送給され(ワイヤ送給量:1.5m/min )、タイロッドのフィン段差部3とレーザ溶接ワイヤ11が接触したら、シース側より斜め
70°に設置されたYAGレーザヘッド10より、レーザビーム9(焦点位置:JUST)されるのと同時にYAGレーザヘッド10が走行(溶接速度:0.5m/min)し、レーザ熔接を開始する。
なお、図2で使用した符号も図1で使用したものと同様の意味で使用する。
タイロッドのフィン段差部3上をビードオンし、タイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接始端部7aを通過し、所定箇所(タイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接始端部7aより2mm位置)までレーザ出力をアップスロープ制御し、1.0kWから1.7kWまで徐々に大きくし、所定箇所(タイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接始端部7aより2mm位置)に達したら、レーザ出力を1.7 kW一定に保持し、タイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接終端部7c手前の所定箇所(タイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接終端部7cより2mm手前)に達したら、レーザ出力をダウンスロープ制御し、1.7kWから1.0kW徐々に低下させ、所定位置(タイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接終端部7cより5mm)でレーザ溶接を終了した。
本実施例の方法によるタイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接部は、レーザ照射位置をシース側より斜め70°からレーザ照射しているので、タイロッドのフィン段差部及びシース先端部への入熱が均一になり、薄板のシースの溶け落ちもなく、溶接不良の発生がない完全裏波溶接部ができ、すきま腐食の発生を防止できることがわかった。
Figure 0004961154
表3は、本実施例の方法によるタイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接部のタイロッドの溶け込み比率及びフェライト量を示す。本実施例の方法によるタイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接部を調査した結果、タイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接始端部7a及びレーザ溶接終端部7cへのタイロッドの溶け込み比率は42〜47%であり、タイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接中央部7bは36〜41%である。
また、フェライトスコープで溶接部のフェライト量を調査した結果、タイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接始端部7a及びレーザ溶接終端部7cのフェライト量は、1.5〜2.0%であり、タイロッドのフィン段差部3とシースの凸型先端部5とのレーザ溶接中央部7は2.0〜2.5%であり、レーザ溶接部に発生しやすい高温割れを防止できることがわかった。
図3は、本実施例の方法によって製作されたタイロッドとシースのレーザ溶接構造体の図を示す。本実施例の方法によって製作された十字形横断面形状のオーステナイトステンレス鋼製タイロッド1とU字形横断面形状のオーステナイトステンレス鋼製シース4のレーザ溶接構造体(全長:3850mm,幅:250mm)は、タイロッド1とシース4の一面に溶接箇所7が21箇所あり、全体で168箇所である。タイロッド1とシース4のレーザ溶接構造体を溶接による収縮量を計測した結果、全体長さの収縮量:0.7mm ,幅の収縮量:0.5mm であり、低入熱レーザ溶接のため、タイロッド1の縮みや熱負荷の不揃いが原因となる曲がり、反りや捩れが減少し、シース4の波打ち現象も抑えられ、溶接時のそり,歪などによる変形,残留応力が極力抑えられ、高品質,高精度なタイロッド1とシース2のレーザ溶接構造体が得られた。
なお、図3で使用した符号も図1で使用したものと同様の意味で使用する。
図4は、本実施例のタイロッドとシースのレーザ溶接法を用いた沸騰水型原子炉用制御棒の全体構造体の示す一部破断斜視図を示す。本実施例の方法によって製作されたタイロッド1とシース4のレーザ溶接構造体を用い、制御棒支持構造体13,ハンドル14,落下速度リミッタ15、その他部品を組み立て、レーザ溶接を行い、沸騰水型原子炉用制御棒を製作した。
なお、図4で使用した符号も図1で使用したものと同様の意味で使用する。
以上のように、溶接性に優れ、高温割れを抑制し、溶接時の変形,残留応力を極力抑えたレーザ溶接法により、高精度,高品質,高信頼の沸騰水型原子炉用制御棒の製造ができた。
本発明は、タイロッドとシースと間の健全な溶接構造を有するものであり、特に、沸騰水型原子炉用制御棒に利用可能である。
タイロッドのフィン段差部とシースの凸型先端部とのレーザ溶接部の一例を示す斜視図である。 レーザ溶接プロセスの一例を示す説明図である。 製作されたタイロッドとシースのレーザ溶接構造体の示す正面図である。 タイロッドとシースのレーザ溶接法を用いた沸騰水型原子炉用制御棒の全体構造体の示す一部破断斜視図である。
符号の説明
1…タイロッド、2…フィン、3…段差部、4…シース、5…凸型先端部、6…制御棒、7…溶接箇所、8…冷却孔、9…レーザビーム、10…YAGレーザヘッド、11…レーザ溶接ワイヤ、12…ワイヤ送給装置、13…制御棒支持構造体、14…ハンドル、
15…落下速度リミッタ。

Claims (3)

  1. 十字形横断面形状のオーステナイトステンレス鋼製タイロッドのフィン段差部と、U字形横断面形状のオーステナイトステンレス鋼製シースの凸型先端部とを一定箇所重ね合わせた後、前記タイロッドのフィン段差部と前記シースの凸型先端部とをレーザ溶接してなる沸騰水型原子炉用制御棒の製造方法において、
    前記タイロッドのフィン段差部と前記シースの凸型先端部とのレーザ溶接では、レーザ照射位置をシース側より斜め60〜80°からレーザ照射し、前記タイロッドのフィン段差部から溶接ワイヤを加えながらレーザ溶接を開始し、前記タイロッドのフィン段差部と前記シースの凸型先端部との始端部分を通過し、所定位置までレーザ出力をアップスロープ制御し、前記タイロッドのフィン段差部と前記シースの凸型先端部の重ね中央部分のレーザ出力を一定制御し、前記タイロッドのフィン段差部と前記シースの凸型先端部との終端部手前の所定位置からレーザ出力をダウンスロープ制御し、前記タイロッドのフィン段差部でレーザ溶接を終了することを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒の製造方法。
  2. 請求項1において、前記タイロッドのフィン段差部と前記シースの凸型先端部とのレーザ溶接部へのタイロッドの溶け込み比率を30%〜50%としたことを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒の製造方法
  3. 請求項1または2において、前記溶接ワイヤは、C:0.03wt%以下,Si:0.65wt%以下,Mn:1.0〜2.5wt%,Ni:11.0〜14.0wt%,Cr:18.0〜20.0wt%,Mo:2.0〜3.0wt%,P:0.03wt%以下,S:0.03wt%以下,N:0.03wt% 以下を含有し、残部不可避的不純物及びFeからなるオーステナイトステンレス鋼であり、Cr/Ni比(Cr当量:Cr+Mo+1.5Si+0.5Nb ,Ni当量:Ni+0.5Mn+30C+30N)が1.6〜1.9で、かつフェライト量を12%〜16%としたことを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒の製造方法
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