JP2020010963A - 湾曲管のワイヤ受けの溶接方法、および湾曲管のワイヤ受けの溶接構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】湾曲管に対してワイヤ受けを高強度に接合することができる湾曲管のワイヤ受けの溶接方法、および湾曲管のワイヤ受けの溶接構造を提供すること。【解決手段】連結して湾曲管をなす複数の金属製の節輪の少なくとも一つの内周に、節輪の内径よりも小さい外径を有し、ワイヤが挿通される金属製のワイヤ受けを溶接する湾曲管のワイヤ受けの溶接方法において、節輪の内周とワイヤ受けの外周とが接した接触部位に対し、形成される溶融部がワイヤ受けの内周面に未到達となるレーザ光の仕事率および照射時間、かつ、節輪の周方向で隣り合う溶融部同士が、接触部位から節輪の周方向に互いに重なり合う間隔となる条件にて、節輪の外周側からレーザ光を照射して、節輪とワイヤ受けとを接合する。【選択図】図6
Description
本発明は、例えば、湾曲管を構成する筒状の節輪に、筒状のワイヤ受けを溶接する湾曲管のワイヤ受けの溶接方法、および湾曲管のワイヤ受けの溶接構造に関する。
従来、内視鏡の先端部や、マニピュレータの先端部には、湾曲することによって各々の先端の向きを変更可能な湾曲部(湾曲管)が設けられている。湾曲部は、各々が筒状をなす複数の節輪によって構成されている。複数の節輪には、湾曲部を操作する操作ワイヤが挿通されている。複数の節輪のうちの少なくとも一部の節輪の内周面には、操作ワイヤが挿通されるワイヤ受けが固定されている(例えば、特許文献1を参照)。
ワイヤ受けは、溶接によって節輪に固定される。特許文献1では、節輪の外周面にワイヤ受けを投影した投影領域の中央部に溶接部を形成し、さらに、節輪の周方向でこの溶接部と隣り合う位置に余盛部を設けることによって、節輪とワイヤ受けとの固定強度を大きくしている。
図11および図12は、従来の節輪およびワイヤ受けの構成を説明するための図である。節輪101とワイヤ受け102との内接部位200の周囲のみにレーザ光を照射すると、節輪101の溶融部分(溶接部103)から溶融物が出ずに、節輪101の内周面とワイヤ受け102の外周面との接合に至らない(図11参照)。これは、節輪101とワイヤ受け102との間の隙間が内接部位200から外周方向へ広くなっていくためである。また、レーザ光の仕事率を高く設定して接合しようとすると、ワイヤ受け102の内周面付近まで溶接部104が形成される。高仕事率のレーザ光によって生じる熱は、ワイヤ受け102の硬度低下や脆化といった材料劣化を引き起こす。さらに、溶接部104がワイヤ受け102の内周面に達した場合には、スパッタ105の発生や、ワイヤ受け102の内周面荒れ(荒れ領域106)の発生といった問題が生じる(図12参照)。ここで、ワイヤ受け102の内部には、湾曲部を湾曲させる操作ワイヤが存在し、ワイヤ受け102の中心軸N100方向に摺動する。上述した硬度低下や脆化、内周面荒れが生じていると、ワイヤ受け102の内周面と操作ワイヤが摺動した際にワイヤ受け102の内周面が削れ、接合部分が破壊されたり、操作ワイヤが切れたりするおそれがあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、湾曲管に対してワイヤ受けを高強度に接合することができる湾曲管のワイヤ受けの溶接方法、および湾曲管のワイヤ受けの溶接構造を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る湾曲管のワイヤ受けの溶接方法は、連結して湾曲管をなす複数の金属製の節輪の少なくとも一つの内周に、前記節輪の内径よりも小さい外径を有し、操作ワイヤが挿通される金属製のワイヤ受けを溶接する湾曲管のワイヤ受けの溶接方法において、前記節輪の内周と前記ワイヤ受けの外周とが接した接触部位に対し、形成される溶融部が前記ワイヤ受けの内周面に未到達となるレーザ光の仕事率および照射時間、かつ、前記節輪の周方向で隣り合う溶融部同士が、前記接触部位から前記節輪の周方向に互いに重なり合う間隔となる条件にて、前記節輪の外周側から前記レーザ光を照射して、前記節輪と前記ワイヤ受けとを接合することを特徴とする。
本発明に係る湾曲管ワイヤの受けの溶接方法は、上記発明において、前記間隔は、前記接触部位を含む溶融部を中央として前記節輪の周方向の外側に向かって逐次小さくすることを特徴とする。
本発明に係る湾曲管ワイヤの受けの溶接構造は、連結して湾曲管をなす複数の金属製の節輪の少なくとも一つの内周に、前記節輪の内径よりも小さい外径を有し、操作ワイヤが挿通される金属製のワイヤ受けを溶接してなる湾曲管のワイヤ受けの溶接構造において、前記節輪の内周と前記ワイヤ受けの外周とが接した接触部位に、前記ワイヤ受けの内周面に未到達の溶融部であって、前記節輪の周方向で隣り合う溶融部同士が、前記接触部位から前記節輪の周方向に互いに重なり合ってなる溶接部、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、湾曲管に対してワイヤ受けを高強度に接合することができるという効果を奏する。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面は模式的なものであり、各部の寸法の関係や比率は、現実と異なる。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る内視鏡の構成を示す模式図である。同図に示す内視鏡1は、細長形状をなし、被検体内に挿入される挿入部2と、挿入部2の基端側に接続され、各種の操作信号の入力を受け付ける操作部3と、を備える。操作部3には、該操作部3から挿入部2が延びる方向と異なる方向に延び、処理装置に接続する各種ケーブルを内蔵するユニバーサルコードが設けられる。内視鏡1が取得した画像信号は、ユニバーサルコードを介して処理装置に送信され、処理装置において表示用の画像が生成される。
図1は、本発明の一実施の形態に係る内視鏡の構成を示す模式図である。同図に示す内視鏡1は、細長形状をなし、被検体内に挿入される挿入部2と、挿入部2の基端側に接続され、各種の操作信号の入力を受け付ける操作部3と、を備える。操作部3には、該操作部3から挿入部2が延びる方向と異なる方向に延び、処理装置に接続する各種ケーブルを内蔵するユニバーサルコードが設けられる。内視鏡1が取得した画像信号は、ユニバーサルコードを介して処理装置に送信され、処理装置において表示用の画像が生成される。
挿入部2は、光を受光して光電変換を行うことにより画像信号を生成する撮像部を内蔵した先端部21と、複数の節輪によって湾曲管を構成している湾曲自在な湾曲部22と、湾曲部22の基端側に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓管部23と、を有する。
操作部3には、例えば、湾曲部22を上下方向および左右方向に湾曲させる湾曲ノブ、被検体内に生検鉗子、電気メスおよび検査プローブ等の処置具を挿入する処置具挿入部、送気手段、送水手段、ならびに画面表示制御等の周辺機器の操作指示信号を入力する操作入力部である複数のスイッチが設けられている。
図2は、本発明の一実施の形態に係る内視鏡の要部の構成を示す部分断面図である。図3は、図2に示す矢視A方向に対応する内視鏡の節輪およびワイヤ受けの構成を説明するための図である。図4は、本発明の一実施の形態に係る内視鏡の要部の構成を示す平面図であって、図2の矢視B方向からみた節輪を示す平面図である。
湾曲部22において、複数の節輪25は、挿入部21の長手方向に沿って並んでいる。複数の節輪25は、金属を用いて形成され、それぞれが同じ形状をなしている。
節輪25には、節輪25の中心軸N1方向の一端側に設けられる二つの連結孔25aと、中心軸N1方向の他端側に設けられる二つの連結孔25b(図4では一方のみ図示)とが形成されている。連結孔25a、25bは、各々が、中心軸N1と直交する方向に貫通している。二つの連結孔25aは、中心軸N1に対向する位置に形成されている。二つの連結孔25bは、連結孔25aと同様に、中心軸N1に対向する位置に形成されている。連結孔25a、25bは、中心軸のまわりに90°ずれた位置にそれぞれ形成されている。また、連結孔25aは、連結孔25bよりも節輪25の内周側に位置している。
長手方向に沿って隣り合う二つの節輪25は、一方の節輪25の連結孔25aと、他方の節輪25の節輪25の連結孔25bとを合わせて形成される孔にリベット28を挿通することによって、この隣り合う節輪25同士をリベット28の中心軸のまわりに回転自在に連結する(図2参照)。この際、中心軸N1方向で隣り合う二つの節輪25のうちの一方の節輪25は、他方の節輪25に対して中心軸N1のまわりに90°回転させて、一方の節輪25の連結孔25aと他方の節輪25の連結孔25bとを重ねている。
挿入部2には、操作部3と湾曲部22とを接続し、湾曲部22を操作する操作ワイヤ26が挿通されている。操作ワイヤ26は、線状をなしている。操作ワイヤ26は、ワイヤ受け27を挿通するとともに、一端が湾曲部22の先端側の節輪に固定され、他端が操作部3に固定されている。操作ワイヤ26は、複数の素線を束ねてなる撚り線や、一つの素線を用いて構成される。ユーザが操作部3(例えば上述した湾曲ノブ)を操作すると、操作ワイヤ26が進退動作し、この進退動作に連動して湾曲部22が湾曲する(図1の破線参照)。
湾曲部22では、ワイヤ受け27によって操作ワイヤ26が案内されている。ワイヤ受け27は、複数の節輪25のうちいずれかの節輪25に固定される(図2参照)。ワイヤ受け27は、挿入部2を挿通する各操作ワイヤ26に対し、少なくとも一つ設けられる。換言すれば、各操作ワイヤ26は、湾曲部22において、少なくとも一つのワイヤ受け27に挿通している。
ワイヤ受け27は、金属を用いて形成され、外径が、節輪25の内径よりも小さい筒状をなしている。ワイヤ受け27は、操作ワイヤ26を挿通可能な内径を有している。ワイヤ受け27は、中心軸N2方向の長さが、節輪25の中心軸N1方向の長さよりも小さい。なお、本実施の形態において、中心軸N1と中心軸N2とは、平行である。
ワイヤ受け27は、溶接によって、節輪25の内周側に固定される。節輪25とワイヤ受け27とには、各々の一部が溶融固化してなる溶接部29が形成されている。
図5は、図4に示す領域Rを拡大した図である。図6は、図4のC−C断面図である。図6は、節輪25の中心軸N1(図2参照)およびワイヤ受け27の中心軸N2と直交する平面であって、各溶接部29の外表面の溶接中心を通過する平面を切断面とする断面図である。ここでいう溶接中心とは、溶接時のレーザ光の光軸が通過する位置であって、溶融痕の中心位置である。また、溶接部29は、溶融固化した部分全体を指し、溶接痕は、節輪25の表面に現れる溶接の痕跡をさす。
溶接部29は、例えばレーザ光によるスポット溶接によって形成され、節輪25の外表面において点状(スポット状)をなす複数の溶接ビード(溶接ビード29A〜29E)からなる。各溶接ビードは、節輪25の周方向に沿って設けられている。周方向で隣り合う溶接ビードは、溶接中心間の距離(ピッチP1〜P4)が同じである。また、溶接ビードは、節輪25の周方向で隣り合う溶接ビード同士の一部が互いに重なり合っている。溶接ビードは、溶融部に相当する。
なお、節輪25の周方向で隣り合う溶接ビードは、少なくとも溶接前における節輪25とワイヤ受け27との接触部位から節輪の周方向に互いに重なり合っていればよい。すなわち、ワイヤ受け27側において溶接ビード同士が重なっていれば、節輪25の外表面側の溶接ビード同士が互いに離れていてもよい。
なお、節輪25の周方向で隣り合う溶接ビードは、少なくとも溶接前における節輪25とワイヤ受け27との接触部位から節輪の周方向に互いに重なり合っていればよい。すなわち、ワイヤ受け27側において溶接ビード同士が重なっていれば、節輪25の外表面側の溶接ビード同士が互いに離れていてもよい。
各溶接ビードは、節輪25において外周側から内周にかけて形成されるとともに、ワイヤ受け27の外周側から内周側にかけて形成され、かつワイヤ受け27の内周面には達していない。
溶接ビード29A〜29Eは、少なくとも一部において、節輪25の内周側に配置されるワイヤ受け27を節輪25の外表面に投影した際のワイヤ受け27の投影領域E27を含む位置にそれぞれ設けられている。投影領域E27は、節輪25の外表面において、節輪25の中心軸N1と直交し、かつこの中心軸N1とワイヤ受け27の中心軸N2とを通過する軸に沿った方向にワイヤ受け27を投影した際の領域であり、外縁を構成する四つの縁部からなる矩形をなしている。
次に、上述したワイヤ受け27の節輪25への接合方法について、図7を参照して説明する。図7は、本発明の実施の形態に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明するフローチャートである。
まず、ワイヤ受け27を節輪25の内周に配置して位置決めする(ステップS101)。この際、治具を用いることによって、ワイヤ受け27を節輪25の内周面に密接させることによって、節輪25に対してワイヤ受け27の位置を固定できる。
ワイヤ受け27を節輪25の内周面に対して位置決めした後、照射エネルギーを設定する(ステップS102)。図8は、本発明の一実施の形態に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図である。なお、図8において、溶接ビード29A中の破線は、溶融前の節輪25とワイヤ受け27との接触状態を示している。この接触状態において、節輪25とワイヤ受け27とは、中心軸N2方向に線接触(または面接触)しており、図8では、その一部の接触部位Qを示している。
ここで、本実施の形態における溶接工程では、節輪25とワイヤ受け27との接触部位Qを通過する位置から設定された間隔で、節輪25の周方向に光軸をずらしながらレーザ光を照射するによって溶接部29(溶接ビード29A〜29E)を形成する。照射エネルギー設定工程では、溶接部29(溶接ビード29A〜29E)を形成する際に、溶融部分がワイヤ受け27の内周面に到達しない溶接となるレーザ光の仕事率、および照射時間を設定する。例えば、節輪25の厚さをt1、ワイヤ受け27の厚さをt2、レーザ光による溶け込み深さをDとしたときに、t1≦D<t1+t2となるレーザ光の仕事率、および照射時間を設定する。ここでいう仕事率とは、レーザ光の出力(W)である。
その後、レーザ光の光軸間の距離(照射ピッチ)を設定する。照射ピッチは、溶接ビードのピッチ(形成間隔)に相当する。図9は、本発明の一実施の形態に係る内視鏡の節輪とワイヤ受けとの接合について説明する図である。照射ピッチ設定では、溶接ビードの個数、および、周方向で隣り合う溶接ビードが互いに重なり合う位置に形成されるピッチを設定する。例えば、節輪25の周方向で隣り合うレーザ光の光軸(光軸NL1〜NL5)間の距離(照射ピッチ)を、レーザ光のスポット径よりも短く設定する。なお、レーザ光の仕事率によっては、レーザ光のスポット径よりも大きい間隔が設定される場合もある。
また、照射ピッチ設定では、溶接ビードの形成順も設定する。
また、照射ピッチ設定では、溶接ビードの形成順も設定する。
ステップS102およびS103において照射条件を設定した後、節輪25の外表面側からレーザ光Lを照射して、ワイヤ受け27を節輪25に固定する(ステップS104)。この際、レーザ光Lは、節輪25の外周からワイヤ受け27の内周面までの距離(例えば、上述したt1+t2に相当)が最も小さくなる位置から順に照射する。図4、5に示す溶接部29の場合、節輪25およびワイヤ受け27の各中心に最も近い(または一致する)光軸を有するレーザ光の照射位置を中央とし、この中央から周方向に交互にレーザ光を照射して溶接ビードを形成する。具体的に、まず、レーザ光L1(図9参照)を照射して溶接ビード29Aを形成する。溶接ビード29Aは、節輪25の一部と、ワイヤ受け27の一部とが溶融してなる。
溶接部29(溶接ビード)の形成に用いるレーザ光は、発振周期をナノ秒から数秒単位で制御可能である。レーザ光は、溶接位置および溶接領域を制御するという観点で、ファイバレーザなど、照射領域を制御可能な装置を用いて生成されることが好ましい。
その後、レーザ光L2を照射して、溶接ビード29Aに隣接する溶接ビード29Bを形成する。この際、溶融した節輪25の一部は、節輪25とワイヤ受け27との間に形成される隙間に流れ込む。レーザ光L2の照射を停止して溶融部分が冷めると、溶融した節輪25の一部、およびワイヤ受け27の一部が固化し、溶接ビード29Bが形成される。
溶接ビード29Bを形成後、レーザ光L3を照射して、溶接ビード29Aに対して溶接ビード29Bとは反対側で隣接する溶接ビード29Cを形成する。この際、溶融した節輪25の一部は、節輪25とワイヤ受け27との間に形成される隙間に流れ込む。レーザ光L3の照射を停止して溶融部分が冷めると、溶融した節輪25の一部、およびワイヤ受け27の一部が固化し、溶接ビード29Cが形成される。
溶接ビード29Cを形成後、レーザ光L4を照射して、溶接ビード29Bに隣接する溶接ビード29Dを形成する。この際、溶融した節輪25の一部は、節輪25とワイヤ受け27との間に形成される隙間に流れ込む。レーザ光L4の照射を停止して溶融部分が冷めると、溶融した節輪25の一部、およびワイヤ受け27の一部が固化し、溶接ビード29Dが形成される。
溶接ビード29Dを形成後、レーザ光L5を照射して、溶接ビード29Cに隣接する溶接ビード29Eを形成する。この際、溶融した節輪25の一部は、節輪25とワイヤ受け27との間に形成される隙間に流れ込む。レーザ光L5の照射を停止して溶融部分が冷めると、溶融した節輪25の一部、およびワイヤ受け27の一部が固化し、溶接ビード29Eが形成される。
なお、溶接ビード29Cを形成する前に、溶接ビード29Dを形成してもよいし、溶接ビード29C、29Eを形成した後、溶接ビード29B、29Dを形成してもよい。また、ステップS101〜S103は、実施順を入れ替えてもよい。例えば、ステップS102、S103を実施した後、ステップS101を実施してもよいし、ステップS102の後に、ステップS101、S103を実施してもよいし、ステップS103を先に実施してもよい。
以上説明した本発明の実施の形態では、ワイヤ受け27の内周面に到達せず、少なくともワイヤ受け27側の溶接ビード同士が重なり合い、かつ、溶接ビードによって、溶接前に存在した節輪25とワイヤ受け27との隙間を埋めた溶接部29を形成して、節輪25とワイヤ受け27とを接合する。本実施の形態によれば、溶接ビードが連続した溶接部29によって、溶接前に節輪25とワイヤ受け27とが接する領域よりも広い領域で節輪25とワイヤ受け27とを繋げて接合するため、湾曲部22(湾曲管)に対してワイヤ受け27を高強度に接合することができる。
例えば、内径がφ5mm、厚さが0.4mmの節輪25に、内径がφ0.4mm、厚さが0.3mmのワイヤ受け27を、図6に示すように溶接した場合、捻り強度は約20N・mmであった。なお、この溶接では、マルチモードファイバを用いて、レーザ出力を180W、照射時間を12ミリ秒、照射ピッチを0.2mmとして5箇所にレーザ光を照射して溶接ビードを形成した。溶接ビードの形成順は、上述した中央から周方向に交互に形成した。
一方で、同じ節輪25とワイヤ受け27とを用いて、同じ仕事率および照射時間で、互いに重なり合わない溶接ビード(例えば溶接ビード29B、29C)のみを形成して溶接した場合、捻り強度は約7N・mmであった。
また、同じ節輪25とワイヤ受け27とを用いて、同じ仕事率および照射時間で、互いに重なり合わず、かつ節輪25とワイヤ受け27との接触部分を含まない溶接ビード(例えば、溶接ビード29D、29E)のみを形成した場合、節輪25とワイヤ受け27とを接合することはできなかった。
一方で、同じ節輪25とワイヤ受け27とを用いて、同じ仕事率および照射時間で、互いに重なり合わない溶接ビード(例えば溶接ビード29B、29C)のみを形成して溶接した場合、捻り強度は約7N・mmであった。
また、同じ節輪25とワイヤ受け27とを用いて、同じ仕事率および照射時間で、互いに重なり合わず、かつ節輪25とワイヤ受け27との接触部分を含まない溶接ビード(例えば、溶接ビード29D、29E)のみを形成した場合、節輪25とワイヤ受け27とを接合することはできなかった。
また、上述した実施の形態によれば、各溶接ビードがワイヤ受け27の内周面に達しない条件に設定しているため、ワイヤ受け27の内周面が荒れることを抑制して、面粗さの増大を抑制し、かつ硬度低下が抑制される。本実施の形態では、面粗さの増大、および硬度低下を抑制することも、湾曲部22(湾曲管)に対するワイヤ受け27の高強度な接合に寄与する。また、本実施の形態では、ワイヤ受け27の内周面に荒れを発生させないため、操作ワイヤ26の摺動によって溶接部29が破壊されることはなく、操作ワイヤ26が破断されることも抑制できる。
(実施の形態の変形例)
図10は、本発明の実施の形態の変形例に係る内視鏡の要部の構成を示す模式図である。本変形例1では、七つの溶接ビード(溶接ビード29A〜29G)からなる溶接部291を形成する。
図10は、本発明の実施の形態の変形例に係る内視鏡の要部の構成を示す模式図である。本変形例1では、七つの溶接ビード(溶接ビード29A〜29G)からなる溶接部291を形成する。
各溶接ビードは、節輪25の周方向に沿って設けられている。周方向で隣り合う溶接ビードは、溶融前の接触部位(例えば図8に示す接触部位Q)を含む溶接ビード(ここでは溶接ビード29A)を中央として、溶接中心間の距離(ピッチP1〜P4)が、周方向の外側にいくにしたがって小さくなり、かつ互いに重なるように設けられる。本変形例では、中央から周方向に交互にレーザ光を照射して溶接ビードを形成する。なお、ここでいう「中央」は、節輪25およびワイヤ受け27の各中心に最も近い(または一致する)光軸を有するレーザ光の照射位置に相当する。
具体的に、まず、レーザ光L1(図9参照)を照射して溶接ビード29Aを形成する。その後、溶接ビード29B、溶接ビード29C、溶接ビード29D、溶接ビード29E、溶接ビード29F、溶接ビード29Gの順に形成して、溶接部291とする。
具体的に、まず、レーザ光L1(図9参照)を照射して溶接ビード29Aを形成する。その後、溶接ビード29B、溶接ビード29C、溶接ビード29D、溶接ビード29E、溶接ビード29F、溶接ビード29Gの順に形成して、溶接部291とする。
以上説明した本変形例では、照射ピッチを変えて溶接ビードを形成するようにした。本変形例においても、溶接ビードが連続した溶接部291によって、溶接前に節輪25とワイヤ受け27とが接する領域よりも広い領域で節輪25とワイヤ受け27とを繋げて接合するため、湾曲部22(湾曲管)に対してワイヤ受け27を高強度に接合することができる。さらに、本変形例では、周方向の外側の照射ピッチを狭くして、溶接ビードを中央側に寄せているため、最も外周側の溶接ビードも、節輪25とワイヤ受け27との接合に確実に寄与させることができる。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、上述した実施の形態では、内視鏡の構成を例に説明したが、マニピュレータ等、節輪とワイヤ受けとを有する湾曲構造(湾曲管)を先端に備えた湾曲装置であれば適用可能である。
また、上述した実施の形態および変形例にかかる溶接部29、291は、形状や大きさがすべてにおいて、または一部において互いに異なっていてもよい。また、溶接ビードの個数やピッチは、要求される捻り強度に応じて適宜変更することができる。
また、上述した実施の形態および変形例では、レーザ光によるレーザ溶接を行うものとして説明したが、接合方法はこれに限らない。例えば、電子ビーム溶接等の公知の溶接技術を用いることも可能である。
このように、本発明は、特許請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な実施の形態を含みうるものである。
1 内視鏡
2 挿入部
3 操作部
21 先端部
22 湾曲部
23 可撓管部
25 節輪
26 操作ワイヤ
27 ワイヤ受け
28 リベット
29、291 溶接部
29A〜29G 溶接ビード
2 挿入部
3 操作部
21 先端部
22 湾曲部
23 可撓管部
25 節輪
26 操作ワイヤ
27 ワイヤ受け
28 リベット
29、291 溶接部
29A〜29G 溶接ビード
Claims (3)
- 連結して湾曲管をなす複数の金属製の節輪の少なくとも一つの内周に、前記節輪の内径よりも小さい外径を有し、操作ワイヤが挿通される金属製のワイヤ受けを溶接する湾曲管のワイヤ受けの溶接方法において、
前記節輪の内周と前記ワイヤ受けの外周とが接した接触部位に対し、形成される溶融部が前記ワイヤ受けの内周面に未到達となるレーザ光の仕事率および照射時間、かつ、前記節輪の周方向で隣り合う溶融部同士が、前記接触部位から前記節輪の周方向に互いに重なり合う間隔となる条件にて、前記節輪の外周側から前記レーザ光を照射して、前記節輪と前記ワイヤ受けとを接合する
ことを特徴とする湾曲管のワイヤ受けの溶接方法。 - 前記間隔は、前記接触部位を含む溶融部を中央として前記節輪の周方向の外側に向かって逐次小さくする
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲管のワイヤ受けの溶接方法。 - 連結して湾曲管をなす複数の金属製の節輪の少なくとも一つの内周に、前記節輪の内径よりも小さい外径を有し、操作ワイヤが挿通される金属製のワイヤ受けを溶接してなる湾曲管のワイヤ受けの溶接構造において、
前記節輪の内周と前記ワイヤ受けの外周とが接した接触部位に、前記ワイヤ受けの内周面に未到達の溶融部であって、前記節輪の周方向で隣り合う溶融部同士が、前記接触部位から前記節輪の周方向に互いに重なり合ってなる溶接部、
を備えることを特徴とする湾曲管のワイヤ受けの溶接構造。
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JP2018136812A JP2020010963A (ja) | 2018-07-20 | 2018-07-20 | 湾曲管のワイヤ受けの溶接方法、および湾曲管のワイヤ受けの溶接構造 |
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