JP7114330B2 - 電力供給装置、画像形成装置、電子機器 - Google Patents

電力供給装置、画像形成装置、電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP7114330B2
JP7114330B2 JP2018094135A JP2018094135A JP7114330B2 JP 7114330 B2 JP7114330 B2 JP 7114330B2 JP 2018094135 A JP2018094135 A JP 2018094135A JP 2018094135 A JP2018094135 A JP 2018094135A JP 7114330 B2 JP7114330 B2 JP 7114330B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power supply
circuit
supply device
switching circuit
bypass circuit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018094135A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019030212A (ja
Inventor
仁 宮坂
正則 菊池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to US16/038,707 priority Critical patent/US10477686B2/en
Priority to CN201810808625.9A priority patent/CN109309472B/zh
Publication of JP2019030212A publication Critical patent/JP2019030212A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7114330B2 publication Critical patent/JP7114330B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、電子機器等に搭載される電力供給用のプリント回路板に関する。典型的には、多相モータに各相の電力を供給するためのプリント回路板に関する。
電子機器に搭載されるモータドライバなどの大電流駆動回路は、半導体素子などの駆動素子をスイッチング動作させて電力制御を行っているが、スイッチング動作に伴って電源電圧が変動を起こすことがある。電源電圧変動が起きると、電源の正ラインないしはプリント回路板上の配線やケーブルなどがアンテナとなってノイズ放射が発生し、電子機器自身、あるいは他の電子機器に誤動作を引き起こす原因となり得る。
特に、近年はモータの駆動に対して高速応答の期待が大きく、スイッチング速度の速いパワーMOSFET等の駆動素子が用いられ始めている。こうした駆動素子を高速に動作させると、電源電圧には高い周波数の変動が生じ、従来よりも高い周波領域で放射ノイズが発生することが問題になりはじめている。
そこで、こうした放射ノイズの問題を解決するための提案がなされている。
例えば、特許文献1に開示された装置では、電源と電力変換部(半導体スイッチング素子)を接続する正ラインと負ラインの間に複数のコンデンサを並列接続しているが、電力変換部に近いほど小さな容量のコンデンサを配置するようにしている。これにより、電力変換部近傍の電源インピーダンスを低くして、高周波領域の電源電圧変動の抑制を図っている。
国際公開第2013/132528号
しかし、例えば多相モータ用に多相の駆動信号を供給する回路のように、電源に対して複数の電力変換部が接続された回路では、複数の電力変換部に対して特許文献1の一組の複数のコンデンサを設けると、コンデンサまでの距離が長い電力変換部がある。このため、配線インピーダンスが高くなりすぎて、十分なノイズ低減効果が発揮できない場合がある。また、複数のコンデンサから電力変換部までの距離が長くなってしまうため、高速のスイッチング動作に対して電力供給に遅れが生じ、負荷であるモータに効率的に電力を供給できない問題が起き得る。
そこで、本発明は、スイッチングによって負荷への電力供給を制御する電力変換部を複数備えた電力変換装置において、放射ノイズの発生を効果的に抑制するとともに、負荷に対する電力供給を高速に行うことができる装置を提供するためになされた。
本発明の一態様は、負荷へ複数相の電力を供給する電力供給装置であって、電源入力端子と、前記電源入力端子の正極に接続された正幹線と、前記電源入力端子の負極に接続された負幹線と、第一のスイッチング回路と、第二のスイッチング回路と、前記正幹線と前記第一のスイッチング回路を、前記第二のスイッチング回路を経由せずに接続する第一の正配線と、前記正幹線と前記第二のスイッチング回路を、前記第一のスイッチング回路を経由せずに接続する第二の正配線と、前記第一の正配線と前記負幹線の間に設けられた第一のコンデンサと、前記第二の正配線と前記負幹線の間に設けられた第二のコンデンサと、前記第一の正配線と前記第二の正配線とを接続するバイパス回路と、を備え、前記第一のスイッチング回路は、前記第一の正配線を介して前記第一のスイッチング回路へ供給された電圧を用いて前記複数相の電力のうちの第一の相の電力を出力し、前記第二のスイッチング回路は、前記第二の正配線を介して前記第二のスイッチング回路へ供給された電圧を用いて前記複数相の電力のうちの第二の相の電力を出力する、ことを特徴とする電力供給装置である。
本発明によれば、駆動素子のスイッチングによって負荷への電力供給を制御する電力変
換部を複数備えた電力変換装置のプリント回路板において、放射ノイズの発生を効果的に抑制するとともに、負荷に対する電力供給を高速に行うことができる。
第1実施形態の回路図。 第1実施形態のプリント回路板の表側のレイアウト図。 第1実施形態のプリント回路板の裏側のレイアウト図。 電源電圧変動抑制の原理を説明するための簡易的な回路図。 バイパス回路の有無によるインピーダンスの周波数特性の違いを示す図。 モータ駆動電圧の波形図。 第2実施形態のプリント回路板の表側のレイアウト図。 第2実施形態のプリント回路板の裏側のレイアウト図。 第3実施形態の回路図。 第4実施形態の回路図。 第5実施形態の回路図。 (a)実施例1の電源電圧変動を示すグラフ。(b)実施例2の電源電圧変動を示すグラフ。(c)比較例1の電源電圧変動を示すグラフ。 第6実施形態のプリント回路板の表側のレイアウト図。 第6実施形態のプリント回路板の裏側のレイアウト図。 第6実施形態のプリント回路板の図13のD-D’における断面図。 第6実施形態の変形例のプリント回路板の断面図。 第6実施形態の駆動用ICの放熱板とプリント配線板の導体プレーンとが接合される部分を示す模式図。 放熱板とプリント配線板との半田接合率とIC昇温との関係を示すグラフ。 第7実施形態のプリント回路板における断面図。 第7実施形態の変形例1のプリント回路板の断面図。 第7実施形態の変形例2のプリント回路板の断面図。 第7実施形態における駆動用IC搭載前のプリント配線板における放熱板が接合されるランド部およびバイパス回路の上面図。 第7実施形態における駆動用IC搭載後のプリント配線板における放熱板が接合されるランド部およびバイパス回路の上面図。 実施例4のプリント回路板の断面図。 実施例5のプリント回路板の断面図。 (a)実施例3の電源電圧変動を示すグラフ。(b)実施例4の電源電圧変動を示すグラフ。(c)実施例5の電源電圧変動を示すグラフ。(d)比較例1の電源電圧変動を示すグラフ。 実施例3におけるIC温度のシミュレーション結果を示すグラフ。 実施例4および実施例5におけるIC温度のシミュレーション結果を示すグラフ。 本発明の画像形成装置の概略構成を示す縦断面図。 本発明のモータ駆動部の概略構成を示す図。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るプリント回路板の回路図である。本実施形態は、A相/B相の2相で動作するモータ150を駆動するためのプリント回路板であり、130は電源、101は駆動用ICである。駆動用IC101は、負荷への電力供給の断続を制御可能なA相用のスイッチング回路111と、B相用のスイッチング回路112とを含む。
スイッチング回路111とスイッチング回路112は、図示のように半導体素子であるMOSFETやダイオードで構成したプッシュプル回路を用いるが、他の素子を用いたり別の回路形式を採用してもよい。尚、図示の便宜から、駆動用IC101の内部には2つのプッシュプル形式のスイッチング回路のみを示したが、駆動用ICにはより多くのスイッチング回路や制御回路を内蔵しても差し支えない。
電源130の出力端子のうち、正極は正幹線である正ライン120と接続され、負極は負幹線である負ライン124に接続されている。正ライン120は、A相用のスイッチング回路111に接続する第一の正配線121と、B相用のスイッチング回路112に接続する第二の正配線122に分岐する。言い方を変えれば、第一の正配線121は、B相用のスイッチング回路112を経由せずに正ライン120とA相用のスイッチング回路111を接続している。同様に、第二の正配線122は、A相用のスイッチング回路111を経由せずに正ライン120とB相用のスイッチング回路112を接続している。また、負幹線である負ライン124は、電気的に接地されている。
第一の正配線121と第二の正配線122は、駆動用IC101の各相に別々の電源入力端子を介して、第一のスイッチング回路としてのスイッチング回路111と、第二のスイッチング回路としてのスイッチング回路112にそれぞれ電源電圧を供給する。
スイッチング回路111は、電流検出抵抗151を介して接地されることで、負ライン124と電気的に接続されている。同様に、スイッチング回路112は、電流検出抵抗152を介して接地されることで、負ライン124と電気的に接続されている。尚、電流検出抵抗を流れる電流からモータ電流を推定して、モータへ流す電流量を調整するための電流フィードバック回路は図示を省略している。また、各スイッチング回路は、電流検出抵抗あるいは電流制限抵抗を介さずに負ライン124と接続することも可能である。
スイッチング回路111は、内蔵するPMOS、NMOSのゲートに適宜の制御信号を入力することにより、第一の正配線121を介して供給される電源電圧を適宜断続して出力し、A相出力線161を介してモータ150にA相信号を供給する。
同様に、スイッチング回路112は、内蔵するPMOS、NMOSのゲートに適宜の制御信号を入力することにより、第二の正配線122を介して供給される電源電圧を適宜断続して出力し、B相出力線162を介してモータ150にB相信号を供給する。
正幹線である正ライン120と負幹線である負ライン124の間には、低周波の電力を駆動用IC101に供給するための容量が大きなコンデンサとして、電解コンデンサ133が接続されている。
また、第一の正配線121と負ライン124の間には、高周波の電力を駆動用IC101に供給するための高速コンデンサとして、コンデンサ131が電気的に接続されている。同様に、第二の正配線122と負ライン124の間には、高周波の電力を駆動用IC101に供給するための高速コンデンサとして、コンデンサ132が電気的に接続されている。コンデンサ131とコンデンサ132は、駆動用IC101の電源入力端子に近い位置に設けられ、例えば積層セラミックチップコンデンサが用いられる。尚、第三のコンデンサとしての電解コンデンサ133は、第一のコンデンサとしてのコンデンサ131および第二のコンデンサとしてのコンデンサ132のいずれよりも大きな容量を有する。
本実施形態では更に、第一の正配線121と第二の正配線122を、駆動用IC101の電源入力端子に近い位置で接続するバイパス回路141が設けられている。バイパス回路141の作用については、後に詳述する。
次に、本実施形態のプリント回路板の回路配置を具体的に説明する。
図2及び図3は、本実施形態に係る電力供給回路が搭載されたプリント回路板を模式的に示した図である。図2はプリント回路板200の表側(表面)を示しており、図3はプリント回路板200の裏側(裏面)を表している。図1の回路図に示した要素に対応する要素については、図1と同一の番号を付して示している。尚、プリント回路板とは、プリント配線板に電子部品が実装された状態を指す。
プリント配線板202は2層の配線構造を有し、絶縁層を挟んでその表面と裏面には配線等の導電パターンが形成されている。プリント配線板202には、駆動用IC101、コンデンサ131、コンデンサ132、電解コンデンサ133、電流検出抵抗151、電流検出抵抗152の各部品が実装され、全体としてプリント回路板200を構成している。尚、プリント配線板は配線構造が2層の基板に限られるものではなく、より多数の導電層を含む多層構造であってもよい。
プリント配線板の絶縁層は、硬質な基板や柔軟性のある基板が用いられ得る。硬質な基板としては、例えば紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板、テフロン基板、セラミクス基板などが用いられるが、これに限らない。柔軟性のある基板としては、例えばポリイミドやポリエステルのフィルムが用いられるが、これに限らない。
プリント配線板には、配線だけではなく、例えば抵抗、容量、インダクタなどの回路素子が一体に形成されていてもよい。
図2と図3において、プリント配線板202中の同一の箇所に配置された円形図形が複数存在するが、これらは銅などの金属導体でメッキされたスルーホールを示しており、表側の導電パターンと裏側の導電パターンを電気的に接続している。
プリント回路板200は、外部の電源130と不図示の端子を介して電気的に接続している。
電源130の正極は、プリント配線板202の表側に設けられた幅広の導電パターンである正ライン120と接続されている。正ライン120は、電解コンデンサ133の一端に接続するとともに、スルーホール220を介して裏面側の導電パターンと接続している。裏面側の導電パターンは、正ライン120の部分と、第一の正配線121の部分と、第二の正配線122の部分が一体化している。裏側の第一の正配線121の部分はスルーホール221を介して表側の第一の正配線121に接続し、裏側の第二の正配線122の部分はスルーホール222を介して表側の第二の正配線122に接続している。
表側の第一の正配線121は、駆動用IC101のスイッチング回路111の電源入力端子に接続しており、電源入力端子近傍に配置されたコンデンサ131の一端とも電気的に接続している。表側の第二の正配線122は、駆動用IC101のスイッチング回路112の電源入力端子に接続しており、電源入力端子近傍に配置されたコンデンサ132の一端とも電気的に接続している。
電源130の負極は、プリント配線板202の裏側に設けられた広い導電パターンである負ライン124と電気的に接続されている。負ライン124は、スルーホールを介して、電解コンデンサ133の他端、コンデンサ131の他端、コンデンサ132の他端、電流検出抵抗151の一端、電流検出抵抗152の一端と電気的に接続している。プリント配線板202の裏側に設けられた広い面積の導電パターンである負ライン124は、放熱用の導体プレーンとしても機能する。
また、プリント配線板の表側には、駆動用IC101のスイッチング回路111の出力端子と接続した2本のA相出力線161と、スイッチング回路112の出力端子と接続した2本のB相出力線162が配置され、外部のモータ150と電気的に接続している。
本実施形態の電力供給装置であるプリント回路板は、図1の回路図で説明したように、第一の正配線121と第二の正配線122を接続するバイパス回路141を備えている。バイパス回路141は、具体的には、図2に示すように、スイッチング回路111の電源入力端子とスイッチング回路112の電源入力端子とを接続する導電パターンとして、プリント配線板202の表側導電層に形成されている。バイパス回路141は、蛇行した導電パターンであるミアンダ形状部241を含んでおり、例えば10nHのインダクタンスを有している。
次に、本実施形態のプリント回路板によって電源電圧変動が抑制される原理について説明する。図4は第1実施形態に係る電源電圧変動抑制の原理を説明するための簡易的な回路図である。
本発明の原理を表す要部として、複数の駆動素子IA、IBと、高周波用の電力供給コンデンサCA、CBと、電力供給配線LA+Bと、バイパス回路Zと、モータMと、電流検出抵抗RA、RBを図示している。駆動素子IAはA相用のスイッチング回路111、駆動素子IBはB相用のスイッチング回路112、電力供給コンデンサCAはコンデンサ131、電力供給コンデンサCBはコンデンサ132、と対応付けられる。また、電力供給配線LA+Bは第一の正配線121と第二の正配線122、バイパス回路Zはバイパス回路141、モータMはモータ150、電流検出抵抗RAは電流検出抵抗151、電流検出抵抗RBは電流検出抵抗152、と対応付けられる。
モータMに電力を供給するために、A相の駆動素子IAに電流Iを流すと、この電流によって、電力供給配線LA+Bのインダクタンスに誘導エネルギー(L×I×I/2)が生じる。駆動素子が電流を停止すると、電力供給配線LA+Bのインダクタンスに蓄積されたエネルギーは電力供給コンデンサCAに流れて蓄積される。
バイパス回路Zが設けられていなかった場合には、蓄積されたエネルギーはCA⇒LA+B⇒CBというようにCAからCB移動し、さらにCB⇒LA+B⇒CAというようにCBからCAに還流する。その後もエネルギーのやり取りが繰り返されるため共振が生じ、これが一定の周波数の電源電圧変動となり、放射ノイズが発生する原因となる。
一方、本実施形態では、CAとCBを電力供給配線LA+Bとは別途接続するバイパス回路Zを設けている。この場合には、LA+Bで生じる誘導エネルギーは、CAとCBの両方に分配され易くなるため、CAとCBの間のエネルギーの不均衡が抑制され得る。このため、LA+Bを介してCAとCBの間でエネルギーが往復することが抑制され、上述の共振による電源電圧変動が低減される。つまり、一つの電力供給コンデンサに偏ってエネルギーが蓄えられる事を防ぐことで共振による電源電圧変動を抑制し、電源共振による放射ノイズの発生を防ぐ事ができる。
また、電力供給コンデンサを駆動素子の近くに配置するほど、上述の共振が発生し易くなるが、本発明によればバイパス回路を設けたことにより共振による放射ノイズの発生を抑制できる為、電力供給コンデンサを駆動素子の近傍に配置できる。そのため、駆動素子を高速に駆動する際にも、その動作に追従した電力供給が可能になり、負荷への効率的な電力供給が実現できる。すなわち、モータを所望の回転速度でスムーズに回転させることができる。
また、本実施形態では、バイパス回路をプリント配線板の導電パターンのみで構成することで、プリント回路板のコストを上げずに電源電圧変動による放射ノイズの発生を抑制できる。
また、本実施形態では、図2と図3に示したように、スイッチング回路111の電源入力端子に接続する第一の正配線121と、スイッチング回路112の電源入力端子に接続する第二の正配線122とは、駆動用IC101に対して略対称に配置されている。すなわち、プリント配線板202の表側の導電パターン形状、裏側の導電パターン形状、スルーホール221とスルーホール222の配置は、駆動用IC101に対して略対称である。つまり、第一の正配線121と第二の正配線122の導電パターンの断面構造および長さが、製造誤差は別として同等になるよう形成されている。
さらに、本実施形態では、電力供給用のコンデンサ131とコンデンサ132は、製造誤差は別として、設計上は同一の容量を配置している。
このように対称性をもって構成要素を形成配置することにより、各電源端子に接続される電源の正配線の電気特性の差を実質的に無くすことができる。このため、周波数に依存して供給電力の不均衡が各相に生じたりすることはなく、各相に均等に電力を供給できるので、モータ150を安定的に動作させることが可能である。
ここで、本実施形態が奏する効果について、LC回路の共振特性の面から更に説明する。バイパス回路が無い場合には、電力供給用のコンデンサ131は、第一の正配線121と第二の正配線122を通じて電力供給用のコンデンサ132に接続されており、高周波領域では両方の正配線をインダクタンスとするLC回路を構成している。
一方、電力供給用のコンデンサ131から第一の正配線121をインダクタンスとして電解コンデンサ133に繋がる回路もLC回路を構成している。
前者のLC回路は、二つの電力供給用のコンデンサ131、132と二つの正配線121、122で決まる共振周波数を有しているが、コンデンサ131と132の容量が同じで、且つ二つの正配線のインダクタンスが同じに構成されている。
一方、後者のLC回路は、電解コンデンサ133の静電容量が電力供給用のコンデンサ131に対して通常は十分大きく設定されるため、その共振周波数は電力供給用のコンデンサ131の容量Cと第一の正配線121のLとで決まる共振周波数を有する。
したがって、前者と後者のLC回路はいずれも、f=1/2π√LCの共振周波数を有することになる。更にまた、コンデンサ132とそれに繋がる第二の正配線122と電解コンデンサ133で構成されるLC回路も同じ共振周波数となる為、駆動回路内の全ての共振回路が一致する事となり、大きな電源電圧変動(電源共振)が発生する構成となる。つまり、モータ150への高速な電力供給ができるため安定動作は可能であるが、放射ノイズが発生し易い回路となっている。
本実施形態では、上述のように安定動作は可能だが放射ノイズが発生し易い回路に対し、バイパス回路141を設けることで、電源共振を効果的に抑制している。
図5はバイパス回路の有無によるインピーダンスの周波数特性の差異を示す図で、縦軸はインピーダンス、横軸は周波数を示している。
バイパス回路が無い場合には、電源の正配線のインダクタンスLと電力供給用のコンデンサの容量Cで構成されるLC回路のf=1/2π√LCの単一の共振周波数を有し、1点鎖線グラフで示すような急峻なインピーダンスの共振ピークが現れる。
一方で、バイパス回路によるインダクタンス(図5では10nH)を有する場合には、上述のLC回路に加えて、バイパス回路のインダクタンスLzと電力供給用のコンデンサの容量CによるLC回路も形成される。そのため、共振周波数を複数有することとなり、バイパス回路が無い単一の共振周波数のみを有する場合に比較して、共振ピークの大きさが低減されていることがわかる。
ところで、バイパス回路141のインピーダンスは、上述した共振を抑制するためには低い方が望ましいが、一方でインピーダンスが低いと、A相とB相の電力供給が互いに干渉しやすくなる。
そこで、図6に示すモータ駆動電圧の波形図を参照して、バイパス回路141のインピーダンスの設計指針を説明する。A相に対してB相が位相差tdだけ遅れて出力される場合に、B相側の電力供給用のコンデンサは、まずA相に電力を供給するために電力を供給する。そして、td後にB相に電力を供給する必要があるが、バイパス回路141のインピーダンスが低いと、A相に電力を供給したためB相側のコンデンサの電荷の蓄積が不十分になる。すると、B相への電力供給が十分行えなくなり、図6の実線グラフのようにB相の電流波形が鈍り、A相とB相の波形の違いによってモータの動作が不安定になる問題が生じる。
そこで、バイパス回路のインピーダンスは以下のように設定する。
まず、B相の電力供給コンデンサからバイパス回路を通ってA相の駆動素子に電力を供給する場合を考える。その場合に、バイパス回路のインピーダンスをZ、B相側の電力供給用のコンデンサの容量をC、B相側の電力供給用のコンデンサにかかる電圧をVとすると、ZC直列回路の放電現象とみなすと以下の式が成り立つ。
Figure 0007114330000001
数式1を変形すると、以下の数式2になる。
Figure 0007114330000002
ここで、A相の駆動素子のスイッチング回路の遷移時間Tswを、A相出力線161の電圧が最大振幅の10%から90%まで遷移するのに要する時間と定義する。そうすると、遷移時間Tswの間に、B相側のコンデンサから電力を供給しすぎてB相側のコンデンサの電荷が放電されすぎないようにする必要がある。そこで、A相側に電力供給する際に、B相側のコンデンサから放電される割合を50%以下となるようにして、B相側のコンデンサの電荷が放電されすぎないようにして、B相の立上がり波形が鈍りすぎないようにする。つまり、バイパス回路のインピーダンスをZとすると、次式で表される関係を満たすように設定する。
Figure 0007114330000003
なお、A相とB相の位相差tdがTsw以上ある場合は、電源電圧変動の低減を優先して、バイパス回路のインピーダンスを数式3で表される数値範囲よりも小さな数値を設定すればよい。
また、A相の電力供給用のコンデンサからバイパス回路Zを通ってB相の駆動素子に電力が供給される場合に関しても、同様の考え方を適用すればよい。
尚、バイパス回路は、2つの電力供給用のコンデンサを接続するものであるが、抵抗あるいはインダクタあるいはその両方であるのが望ましく、回路中に直列容量は設けないようにする。
以上説明したように、本実施形態によれば、駆動素子のスイッチングによって負荷への電力供給を制御する電力変換部を複数備えた電力変換装置において、放射ノイズの発生を効果的に抑制するとともに、負荷に対する電力供給を高速に行うことができる。
尚、好ましい態様として、本実施形態では、正幹線である正ライン120から対称に分岐する第一の正配線121と第二の正配線122により駆動用IC101の各電源端子に電圧を供給したが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば、非対称に分岐する場合においても、バイパス回路を付加することにより放射ノイズの発生を抑制する効果を得ることが可能である。
[第2実施形態]
第1実施形態のバイパス回路はプリント配線板の導電層パターンのみで形成したが、第2実施形態では、バイパス回路がチップ型素子を含んで構成される点と、プリント配線板の表側表面に駆動用IC101の負ライン124が広く配置される点が異なる。図7及び図8は、本実施形態に係る電力供給装置のプリント回路板を模式的に示した図である。図7はプリント回路板700の表側(表面)を示しており、図8はプリント回路板700の裏側(裏面)を表している。尚、以下の説明では第1実施形態と同様に、プリント回路板700とは、電子部品が実装されたプリント配線板702を指すものとする。図7及び図8では、第1実施形態で説明した要素と同様の要素については同一の番号を付しているが、これらの要素についての説明は省略する。
第2実施形態では、プリント回路板700において、駆動用IC101の電源端子間を接続するバイパス回路の一部にチップ型素子713を実装している。図7及び図8に示すように、駆動用IC101の各電源入力端子の近傍にスルーホール711とスルーホール712を設けて裏面側に導通させ、裏面側に設けた導電パターン(導電路)によりチップ型素子713の両端とスルーホールとを接続している。バイパス回路が前述の数式3を満たすように、導電パターンとチップ型素子713の特性を適宜選択する。
本実施形態においても、駆動素子のスイッチングによって負荷への電力供給を制御する電力変換部を複数備えた電力変換装置において、放射ノイズの発生を効果的に抑制するとともに、負荷に対する電力供給を高速に行うことができる。
第1実施形態のように、プリント配線板上の導電パターンのみでバイパス回路を形成する場合には、製造が容易ではあるものの、ミアンダ形状等では大きな面積を占有するうえ、導電パターンで実現し得るインピーダンスの範囲には制約があった。
これに対して、本実施形態によれば、駆動用ICの周辺に大きな導電パターンを形成する余地がない場合でも電源端子間にバイパス回路を形成可能で、チップ型素子を用いるためインピーダンスの選択可能範囲が広く、プリント回路板の小型化が出来る。
[第3実施形態]
図9は、本発明の第3実施形態に係る電力供給装置の回路図である。第1実施形態で説明した要素と同様の部分については同一の番号を付しているが、これらの要素についての説明は省略する。本実施形態の回路も、プリント配線板およびそれに実装された電子部品により、プリント回路板として構成される。
第1実施形態では、単一の駆動用IC101に、A相用のスイッチング回路111とB相用のスイッチング回路112を内蔵したが、本実施形態ではA相用スイッチング回路911とB相用スイッチング回路912を別のICチップに分けた点が異なる。つまり、本実施形態では、A相/B相の2相で動作するモータ150へ電力を断続的に供給するために、A相用の駆動用IC901と、B相用の駆動用IC902を個別に備えている。
本実施形態では、A相用の駆動用IC901の電源端子と、B相用の駆動用IC902の電源端子の間を、バイパス回路941で電気的に接続している。
本実施形態の構成では、発熱の分散化などの観点で相毎に別々の駆動用ICを用いる場合に、一つの電力供給用コンデンサに偏ってエネルギーが蓄えられる事を防ぎ、それによって生じる電源電圧変動を抑制し、放射ノイズの発生を防ぐ事ができる。
また、本実施形態によれば放射ノイズが防止できる為、電力供給用コンデンサを各駆動用ICの電源入力端子の近傍に配置できるので、高速に駆動する際にも、その動作に追従した電力供給が可能になり、負荷への高速な電力供給が実現できる。すなわち、モータを所望の回転速度でスムーズに回転させることができる。
尚、バイパス回路941は、第1実施形態のようにプリント配線板上の導電層パターンのみで形成してもよいし、第2実施形態のようにチップ型素子を含んで構成してもよい。
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係る電力供給装置の回路図である。本実施形態の回路も、プリント配線板およびそれに実装された電子部品により、プリント回路板として構成される。
本実施形態では、駆動用IC1001は、モータ駆動ライン1052を通してU相/V相/W相の3相で動作するモータ1050へ電力を断続的に供給するための駆動素子1011、1012、1013を有している。駆動素子の一端は電源に、他端は電流検出抵抗1051を介してグラウンドへ接続される。駆動素子の電源入力端子はモータに十分な電力を供給するために、3相でそれぞれ別々に端子を有しており、電源の正配線1021を通じて電源1053へ電気的に接続される。正配線1021には、低周波の電力を供給するための電解コンデンサ1054と、高周波の電力を供給するためのコンデンサ1031、1032、1033とが配置されている。本実施形態では、U相とV相の電源入力端子間にバイパス回路1041が配置され、さらに、V相とW相の電源入力端子間にバイパス回路1042が配置される。
本実施形態によれば、バイパス回路1041とバイパス回路1042を設けることで、U相とV相およびV相とW相の間で電力供給コンデンサに偏ってエネルギーが蓄えられる事を防ぎ、共振による電源電圧変動と放射ノイズの発生を抑制する事ができる。
また、本実施形態によれば放射ノイズが防止できる為、電力供給用コンデンサを駆動用ICの各電源入力端子の近傍に配置できるので、高速に駆動する際にも、その動作に追従した電力供給が可能になり、負荷への高速な電力供給が実現できる。すなわち、モータを所望の回転速度でスムーズに回転させることができる。
尚、バイパス回路1041とバイパス回路1042は、第1実施形態のようにプリント配線板上の導電層パターンのみで形成してもよいし、第2実施形態のようにチップ型素子を含んで構成してもよい。
[第5実施形態]
図11は、本発明の第5実施形態に係る電力供給装置の回路図である。本実施形態の回路も、プリント配線板およびそれに実装された電子部品により、プリント回路板として構成される。本実施形態は、図10に示した第4実施形態と回路構成は類似しているが、U相とV相およびV相とW相の間のバイパス回路1041、1042に加えて、U相とW相との間にもバイパス回路1143を設けている点が異なる。
本実施形態では、バイパス回路1041、1042、1143を設けることで、U相とV相、V相とW相、U相とW相の間で電力供給用コンデンサに偏ってエネルギーが蓄えられる事を防ぎ、共振による電源電圧変動と放射ノイズの発生を抑制する事ができる。
また、本実施形態によれば放射ノイズが防止できる為、電力供給用コンデンサを駆動用ICの各電源入力端子の近傍に配置できるので、高速に駆動する際にも、その動作に追従した電力供給が可能になり、負荷への高速な電力供給が実現できる。すなわち、モータを所望の回転速度でスムーズに回転させることができる。
尚、バイパス回路1041、1042、1143は、第1実施形態のようにプリント配線板上の導電層パターンのみで形成してもよいし、第2実施形態のようにチップ型素子を含んで構成してもよい。
[第6実施形態]
第1実施形態では、図2のバイパス回路141の配置がプリント配線板202の表側(表面)の駆動用IC101が接続されるモータと反対側(左側)に配置されている。駆動用IC101の発熱量が大きい場合、図2のようなプリント配線板202に放熱用としての導体プレーンとして機能する負ライン124をプリント配線板202の裏面だけでなく表面にも広く配置することが望ましい(例えば図7)。しかし、図2のようなバイパス回路141の配置において、IC101の左側にまで負ラインを延長しようとしても、バイパス回路141によって延長部分の負ライン124が分断されたり、あるいは延長が妨げられたりする。そのため、駆動用IC101の放熱性をより高めることが出来ない場合があり得る。以下に、放熱性を高めるための構成例について説明する。尚、以下の説明では、負ラインを導体プレーンと記述する場合がある。
図13及び図14は第6実施形態のプリント回路板の表側(表面)および裏側(裏面)のレイアウト図である。図15は図13のD-D’部におけるプリント回路板の断面図である。駆動用IC101は、中央部に配置されたICチップ1301と、放熱板1321と、を有している。放熱板1321は、ICチップ1301で生じた熱をプリント配線板1302へと伝えて放熱を促すための部材である。プリント配線板1302は2層のプリント配線板を例に示している。プリント配線板1302には、駆動用IC101で生じる熱の放熱性を高めるため、駆動用IC101が実装される側の面(表面)には、放熱板1321と対向する領域を含み、対向する領域より広い領域に導体プレーン1503が設けられている。さらに、プリント配線板1302の駆動用IC101が実装される面とは反対側の面(裏面)側に、導体プレーン1504が絶縁体1505を挟んで配置される。導体プレーン1503と導体プレーン1504は、スルーホール1506~1517に設けられた導体で接続されている。これにより、ICチップ1301の熱をプリント配線板1302の表面の導体プレーン1503だけでなく、裏面の導体プレーン1504にも伝熱させ、効率よく放熱することができる。駆動用IC101の放熱板1321の直下には、プリント配線板1302の表側に導電パターンで構成されるバイパス回路1341が配置される。プリント配線板1302の最外層は回路の保護や絶縁を目的として、ソルダーレジスト1518、1519が設けられている。駆動用IC101とプリント配線板1302とは、はんだなどの導電性材料(熱伝導材料)1520を介して接続される。
本実施形態によれば、図15に示すように、放熱板1321がバイパス回路1341を跨ぎ、導体プレーン1503を領域aと領域bとに分断して配置される。これにより、放射ノイズの発生を効果的に抑制するとともに、負荷に対する電力供給を高速に行うことが可能となっている。また、駆動用IC101を迂回することなく配線が配置されるので、プリント回路板の小型化が可能となる。さらに、導体プレーン1503が領域aと領域bとに分断されていても、ICチップ1301で生じる熱を、放熱板1321および導電性材料1520を介して導体プレーン1503領域a、領域bそれぞれに伝える放熱経路が確保されている。このため、駆動用IC101の放熱性が向上する。
図16は第6実施形態の変形例のプリント回路板の断面図である。図15とはバイパス回路の配置が異なる。具体的には、図15ではバイパス回路1341をICチップ1301の真下に配置する場合において説明したが、図16ではバイパス回路1641がICチップ1301よりも紙面に向かって右側(ICチップ1301の真下ではない位置)に配置されている。ただし、ICチップ1301で生じる熱を、放熱板1321と導電性材料1620とを介して、導体プレーン1603の領域aと領域bそれぞれに伝えて放熱する経路が確保されている。この場合、ICチップ1301で生じる熱がバイパス回路部分を伝わる放熱経路は、放熱板1321のみが伝熱経路となり、熱抵抗が上がり放熱性がやや劣ることとなる。しかし、一般的に放熱板1321は熱伝導率が300W/mKを超える材質で形成されるため熱抵抗が低く、本構成でも充分な放熱効果を得ることができる。
図17に放熱板1321の両端を導電性材料1520で導体プレーン1503に接続して放熱する場合の、導体プレーン1503との接続面積を変えた様子を示している。放熱板1321の面積に対し全てが理想的にプリント配線板の導体プレーン1503と接合されている場合を接合率100%とし、1か所も接合されていない場合を接合率0%として、面積比で表している。図17の斜線部は、駆動用IC101の放熱板1321とプリント配線板1302の導体プレーン1502との接合箇所を表す。また、図17の白塗り部は、バイパス回路1341を通すための、駆動用IC101の放熱板1321とプリント配線板1302の導体プレーン1502との未接合箇所となる。
更に図18は、ICチップに所定の消費電力を与えた時の半田接合率(ICチップの放熱板の面積に対する放熱板とプリント配線板との接合面積の割合)とICの温度上昇との関係を示したグラフである。本グラフに見られるように、半田接合率が10%以上の領域でICチップが放熱され、温度上昇が低温に保たれることが分かる。このことから、バイパス回路1341を通す際に、放熱板の面積の10%以上の面積でプリント配線板の導体プレーンに接続する必要がある。
[第7実施形態]
第6実施形態においては、図15に示すバイパス回路1341が駆動用IC101とプリント配線板1302の同じ側の表面に配置されているため、バイパス回路1341と放熱板1321との間隔が狭い構成となっている。そのため、はんだ等の導電性材料1520の量や、部品実装工程での設置位置、あるいはプリント配線板1302の表面のレジストの厚みなどがばらつくことによって、バイパス回路1341と放熱板1321が電気的なショートを起こす可能性があり得た。第7実施形態は、上記のショートの可能性を回避または軽減する構成を提供するものである。
図19は、図13の構成に第7実施形態を適用した場合のE-E’断面の断面図である。この場合、駆動用IC101は、SOPやQFPなどのように、スタンドオフ高さHを有するICであり、外周ピン1924によって駆動用IC101の高さを保つことが可能となる。すなわち、ICチップを含むICパッケージは、少なくとも2辺以上にリード端子群を備え、スタンドオフ高さを有する。これにより、放熱板1321とバイパス回路1941との距離Hを一定以上確保して絶縁性を保てるため、電気ショートを防ぐことが可能である。
更に、図20は第7実施形態の変形例1のプリント回路板を、図13のD-D’に対応する方向で切った断面図である。プリント配線板2002において、バイパス回路2041の導体の厚みが、導体プレーン2003の導体の厚みよりも薄くなっている。バイパス回路と放熱板との距離を確保して絶縁性を保つことが可能となり、電気ショートを防ぐことが可能である。
更にまた、図21は、第7実施形態の変形例2のプリント回路板を、図13のE-E’に対応する方向で切った断面図である。駆動用IC2151は、QFNなど、スタンドオフ高さが無いICを用いている。駆動用IC2151の放熱板2121とバイパス回路2141との距離dを確保するために、バイパス回路2141が絶縁材料で覆われる構成を取っている。具体的には、バイパス回路2141と放熱板2121との間の距離を保つために、通常のソルダーレジスト2118に加えて、更にソルダーレジスト2128が上乗せされている。このようにダブルレジスト法などにより、ソルダーレジストを部分的に厚くしたり、ソルダーレジストの上にシルクなどの絶縁材を上乗せしたりすることで絶縁性を増すことができる。すなわち、放熱板2121とバイパス回路2141との電気ショートを防ぐことが可能となる。プリント回路板のICパッケージが実装される面の、バイパス回路の上面およびICパッケージの外側にはソルダーレジストが設けられている。バイパス回路の上面に設けられたソルダーレジストの厚さは、ICパッケージの外側に設けられたソルダーレジストよりも厚い。
また、図20に示す駆動用IC101とプリント配線板2002の接合の為の導電性材料2020の量が多い場合は、部品実装時に駆動用IC101の荷重によって導電性材料2020を押し潰すことになる。そのため、バイパス回路2041と放熱板1321との間に導電性材料2020が入りこみ、放熱板1321とバイパス回路2041との絶縁性を低下させる可能性がある。
図22は、図20に示す第7実施形態における駆動用IC101搭載前のプリント配線板2002における放熱板1321が接合されるランド2052、2053部およびバイパス回路2041の上面図である。図中に斜線で示す導電性材料2020は、駆動用IC101搭載前段階では放熱板1321と接合するためのプリント配線板2002のランド2052、2053の形状に沿って配置される。図23は図20に示す第7実施形態における駆動用IC1301搭載後のプリント配線板2002における放熱板1321が接合されるランド2052、2053部およびバイパス回路2041の上面図である。導電性材料2020は駆動用IC101の荷重によって広がり、バイパス回路2041との距離が縮まる。そのため、駆動用IC101を搭載するためのプリント配線板2002において、導電性材料2020とバイパス回路との距離を少なくとも0より大きく取らなければならない。
上記に関して、数式を用いて説明する。放熱板1321のためのランド2052における縦の長さをL、横の長さをバイパス回路の左側のランドをW1、右側のランド2053をW2とする。バイパス回路2041の左側のランド2052とバイパス回路2041との間隙をsp1、バイパス回路2041の右側のランド2053とバイパス回路2041との間隙をsp2とする。駆動用IC101搭載後の導電性材料2020の広がりが、縦横比を保つと仮定して、バイパス回路2041の左側のランド2052の中央部を基準として、横方向の導電性材料の広がりをR1とする。バイパス回路2041の右側のランド2053の中央部を基準として、横方向の導電性材料2020の広がりをR2とする。導電性材料2020とバイパス回路2041との間隙をバイパス回路2041の左側をf1、バイパス回路2041の右側をf2とすると以下の式が成立する。
Figure 0007114330000004
導電性材料2020の体積をバイパス回路2041の左右でそれぞれV1,V2とする。プリント配線板2002の放熱板用のランド2052、2053と放熱板1321との距離(高さ)をhとすると、R1,R2は以下の式が成立する。
Figure 0007114330000005
数式4、数式5より以下の式が成り立つ。
Figure 0007114330000006
ゆえに、数式6でf1、f2>0となるように、導電性材料2020の体積やプリント配線板2002の放熱板用のランド2052、2053と放熱板1321との距離、放熱板のランドとバイパス回路2041を設計する。それにより、バイパス回路2041と放熱板1321との間に導電性材料2020が入りこみにくくなる。
[第8実施形態]
以上説明した各実施形態をはじめとする本発明にかかるプリント回路板は、例えばレーザービームプリンタや複写機などの電子写真方式の画像形成装置の各種ローラを駆動するモータに電力を供給する回路として好適に用いることができる。また、電子写真方式に限らず、インクジェット方式の画像形成装置が備える各種ローラを駆動するモータに電力を供給する回路としても好適に用いることができる。
図29は、本発明のプリント回路が適用される画像形成装置の一例である電子写真方式の画像形成装置の概略構成例を示す縦断面図である。同図に示す画像形成装置1は、電子写真方式の画像形成装置であり、上部にリーダ部(光学系)1Rを有し、下部にプリンタ部(画像出力部)1Pを備えている。リーダ部1Rにおいて、原稿の画像を読み取り、プリンタ部1Pにおいて、リーダ部1Rからの画像情報に基づいて画像(トナー像)を転写材Pに形成する。さらに同図に示す画像形成装置1は、プリンタ部1Pの画像形成部10に並列に配設された複数(4個)の画像形成部10a,10b,10c,10dを有し、また中間転写体方式を採用している。
プリンタ部1Pは大別すると、画像形成部10、給紙部20、中間転写部30、定着部40、及び制御部80(不図示)から構成されている。
画像形成部10は、ほぼ同様の構成の4個の画像形成部10a,10b,10c,10dを備えている。この順に、イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),ブラック(K)のトナー像を形成するものである。各画像形成部10a,10b,10c,10dにおいては、像担持体としてのドラム形の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)11a,11b,11c,11dがその中心で軸支され、矢印方向(図29中の反時計周り)に回転駆動される。感光ドラム11a~11dの外周面に対向して、その回転方向に一次帯電器(帯電手段)12a,12b,12c,12d、露光装置である光学系の露光装置(照射手段)13a,13b,13c,13dが配置される。さらに、折り返しミラー16a,16b,16c,16d、現像装置(バイアス部材)14a,14b,14c,14dもまた配置されている。上述の感光ドラム11a~11dは、ベース層として、アースされた導電性のドラム基体(不図示)と、その外周面を覆うように設けられた感光層(不図示)とを有している。
一次帯電器12a~12dにおいて、感光ドラム11a~11dの感光層の表面に均一な帯電量の電荷を与える。次いで、露光装置13a~13dにより、記録画像信号に応じて変調した、例えばレーザービームなどの光線(露光光)を折り返しミラー16a~16dにより感光ドラム11a~11d上に露光させることによって、そこに静電潜像を形成する。さらに、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックといった4色の現像剤(以下、「トナー」という。)をそれぞれ収納した現像装置14a~14dによって上述の静電潜像をトナー像(現像像)として顕像化する。顕像化されたトナー像を、中間転写体である中間転写ベルト31の一次転写領域Ta,Tb,Tc,Tdにおいて転写(一次転写)する。感光ドラム11a~11dが回転して、一次転写領域Ta~Tdを通過した下流で、クリーニング装置15a,15b,15c,15dにより、中間転写ベルト31に転写されずに感光ドラム11a~11d上に残ったトナーを掻き落としてドラム表面を清掃する。以上に示したプロセスにより、各トナーによる画像形成が順次行われる。
記録媒体として紙を供給する給紙部20は、紙(記録媒体)Pを収納するためのカセット21a,21b内又は手差しトレイ27から記録媒体を1枚ずつ送り出すためのピックアップローラ22a,22b,26を備えている。そして、各ピックアップローラ22a,22b,26から送り出された記録媒体をレジストローラ25a,25bまで搬送するための複数の搬送ローラ対23などからなる搬送機構を備えている。さらに、給紙ガイド24、画像形成部10の画像形成タイミングに合わせて転写材Pを二次転写領域Teへ送り出すためのレジストローラ25a,25bを備えている。
中間転写部30には、無端状の中間転写ベルト31が配設されている。中間転写ベルト31は、3本のローラに巻架されている。すなわち、中間転写ベルト31に駆動力を伝達する駆動ローラ、中間転写ベルト31の回動に従動回転する従動ローラ33、中間転写ベルト31を挟んで二次転写領域Teに対向する二次転写対向ローラ34に巻架されている。これらのうち駆動ローラと従動ローラ33との間に一次転写面Aが形成される。駆動ローラは、金属ローラの表面に数mm厚のゴム(ウレタン又はクロロプレン)をコーティングして中間転写ベルト31とのスリップを防いでいる。駆動ローラはパルスモータ(不図示)によって矢印方向へ回転駆動され、これにより中間転写ベルト31は矢印B方向に回転される。
一次転写面Aは各画像形成部10a~10dに対向し、各感光ドラム11a~11dが中間転写ベルト31の一次転写面Aに対向するように構成されている。したがって一次転写面Aに一次転写領域Ta~Tdが位置することになる。各感光ドラム11a~11dと中間転写ベルト31が対向する一次転写領域Ta~Tdには、中間転写ベルト31の裏面側に一次転写用帯電器35a,35b,35c,35dが配置されている。二次転写対向ローラ34に対向して二次転写ローラ36が配置され、中間転写ベルト31との間に形成されるニップによって二次転写領域(転写部)Teを形成する。二次転写ローラ36は中間転写ベルト31に対して適度な圧力で加圧されている。また中間転写ベルト31上の二次転写領域Teの下流には、従動ローラ33に対応する位置に、ベルトクリーナ50が配設されている。ベルトクリーナ50は、中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのクリーニングブレード51とこのクリーニングブレード51によって払拭された廃トナーを収納する廃トナーボックス52とを有している。
定着部40には、内部にハロゲンヒーターなどの熱源を備えた定着ローラ41aとこの定着ローラ41aに加圧される加圧ローラ41bを有する定着装置41が設けられている。また、これらのローラ対のニップ部へ転写材Pを導くためのガイド43、ローラ対から排出されてきた転写材Pをさらに画像形成装置外部の排紙トレイ48上に排出するための内排紙ローラ44、外排紙ローラ45、等が設けられている。
以上、記録媒体が紙である場合について説明したが、記録媒体は紙である必要はなく、トナー画像の転写や定着が可能なシート状のものであればプリントすることが可能である。
図30は本発明のモータ駆動部の概略構成を示す図である。モータドライバ3001は、モータ3002に流す電流量や方向、タイミングなどを制御している。減速機3003は、モータ3002と、例えばベルトなどを駆動するためのローラ3004(図29の駆動ローラ32に相当)とを接続し、モータ3002の回転数を所定の回転数へと減速変換するための変換機構である。このようにして、ローラの回転速度はモータドライバの駆動信号によってモータ、減速機を介して制御される。
本発明のプリント回路板は、前述した画像形成装置の中で、感光ドラム用、現像用、給紙用、紙搬送用、レジスト用、定着用、ベルト搬送用などの駆動用ローラに接続されるモータのモータドライバ回路として好適である。これらのモータには駆動するために数アンペアの大電流を供給されるため、発生する放射ノイズが大きく、周囲に与える影響が大きい。モータドライバ回路として本発明にかかるプリント回路板を用いれば、高速、かつ、低い放射ノイズで、モータに電力供給することが可能となる。
また、大電流を供給するICは、消費電力が大きいため発生する熱量も大きくなる。そこで、画像形成装置の駆動用ローラに電力を共有するドライバ回路として、第6実施形態で説明した放熱経路が確保されたプリント回路板を採用すれば、ICの温度上昇を抑制し、より安定した駆動を実現することができる。
本実施形態では、電子写真方式の画像形成装置について具体的に示したが、本発明にかかるプリント回路板は、画像形成部においてインクジェット方式で画像を形成する画像形成装置にも適用することができる。インクジェット方式の画像形成装置は、インクジェットヘッドで記録媒体に直接画像を形成する構成であるため、電子写真方式の画像形成装置のような転写部や定着部は有していない。しかし、記録媒体を搬送する搬送機構が備えるローラへの電力供給には、電子写真方式の画像形成装置と同様の課題を有しているため、本願発明のプリント回路板は、搬送機構が備えるローラに電力を供給するドライバ回路に好適である。また、本発明は、画像形成装置が備える各種ローラに電力を供給する回路に限定されるものではなく、高速、かつ、低い放射ノイズで電力を供給する必要のある部材を備える電子機器において、電力を供給する回路に広く用いることができる。
[他の実施形態]
本発明の実施は、上述した第1実施形態~第8実施形態に限られるものではなく、適宜変更したり、組み合わせたりすることが可能である。
例えば、プリント配線板の導電層パターンでバイパス回路を形成するのに、第1実施形態ではミアンダ形状部を設けたが、導電パターンの形状はこれに限るものではなく、所望のインダクタンスあるいは抵抗を実現できればよい。また、バイパス回路は、ミアンダ形状部のような導電パターンとチップ型素子の両方を含んで構成してもよい。
また、上記実施形態では、2相モータや3相モータの駆動回路について説明したが、4相以上で駆動するモータの駆動回路にバイパス回路を設けてもよい。要は、複数相(別相)の電力が供給される多相モータを備えた画像形成装置において、バイパス回路を備えた本発明の電力供給装置を好適に用いることができる。
(実施例1)
本発明の実施例1について説明する。図2、図3に示すプリント回路板200の構成において、プリント配線板202を以下のように設計した。
板厚が1.6mmで、導電層が表裏に設けられた2層のプリント配線板を用い、銅厚は37μmとした。電源130の電圧は24Vとし、電源130用のプリント回路板から電源ケーブルで供給する構成とした。電源ケーブルのワイヤーの直径は0.4mmとし、長さを420mmとした。これにより、電源ケーブルのインダクタンスは、正ラインと負ラインで各々620nHと算出した。
電源ケーブルからプリント回路板200に引き込む端子の近傍には、電源電圧を安定化するために容量が100uFのアルミ電解コンデンサを配置した。そして、配線幅2.0mmで配線の長さ98mmの正ライン120の一端に、駆動用IC101の低周波の動作を安定化するため容量が47μFの電解コンデンサ133を配置した。二つのアルミ電解コンデンサの間の配線のインダクタンスは100nHと算出した。尚、アルミ電解コンデンサの等価直列抵抗(ESR)は0.2Ωとした。
第一の正配線121の配線幅は1mmで配線の長さは30mmとした。第二の正配線122の配線幅は1mmで配線の長さは30mmとした。これにより、各正配線の抵抗分は14mΩ、インダクタンス成分は27nHと算出した。
各正配線の一端は、電解コンデンサ133に接続した。各正配線の他端は、駆動用IC101の電源入力端子に接続すると共に、容量が0.1μFの電力供給用のコンデンサ131、132に接続した。チップコンデンサの等価直列抵抗は0.2Ωとした。
バイパス回路141の配線幅は0.1mmで配線の長さは45mmとした。これにより、バイパス回路の抵抗分は209mΩ、インダクタンス成分は63nHと算出した。
駆動用IC101のA相用のスイッチング回路111は、立ち上がり/立ち下りの遷移時間が100nsであるとして、周波数40kHzで電流を1A流すとした。B相用のスイッチング回路112は、A相用のスイッチング回路111と同時には電流を流さない、すなわちA相とは異なるタイミングで動作すると想定とした。
以上の実施例1について、A相の電源入力端子における電圧波形をシミュレーションした。結果を図12(a)に示す。
(実施例2)
本発明の実施例2について説明する。実施例2の構成は、バイパス回路の態様を除いて実施例1と同様である。実施例2では、図7、図8に示すプリント回路板のように、バイパス回路はチップ型素子を用いて構成した。バイパス回路の導電パターンの配線幅は、0.1mmで配線の長さは10mmとした。これにより、バイパス回路の抵抗分は46mΩ、インダクタンス成分は11nHと算出した。チップ型素子713として、数式3を満たすように、抵抗値が5.6Ωの抵抗素子を用いた。
以上の実施例2について、A相の電源入力端子における電圧波形をシミュレーションした。結果を図12(b)に示す。
(比較例1)
本発明の比較例1について説明する。比較例1の構成は、バイパス回路を設けていない以外は実施例1と同様のプリント回路板である。
比較例1について、A相の電源入力端子における電圧波形をシミュレーションした。結果を図12(c)に示す。
図12(a)、(b)、(c)に示される各グラフの横軸は時間、縦軸は電圧であり、本発明の実施例1、実施例2、比較例1の電源電圧変動を比較することができる。
比較例1では、スイッチングにより電流変化が生じた場合に、電圧がオーバーシュートして24.9Vに到達して、その後は電圧変動のリンギングが継続する。リンギングは、実施例1および実施例2に比べて長時間続いている。電圧変動の振動(面積)を波形図から計算すると、1遷移あたり0.48μV・sとなる。
一方で、実施例1、実施例2では、スイッチングにより電流変化が生じた場合に、電圧はそれぞれ24.8Vと24.9Vに到達するが、その後の電圧変動のリンギングは比較例1と比べると早く収束している。この電圧変動の振動(面積)を波形図から計算すると、1遷移あたりそれぞれ0.17μV・sと0.18μV・sとなる。
つまり、比較例1に比べて本発明の実施例1、実施例2の方が、振動が9dB程度小さい結果となっている。
また、波形図からも明らかなように、電圧変動の周波数が変わっている。これはバイパス回路のインピーダンスの与え方によって周波数と振幅レベルを制御できることを表している。
一般的に、高周波の電源電圧の振動が大きい方が放射ノイズは大きくなる。本発明の実施例のように、電源電圧の振動が小さい方が、放射ノイズが発生しにくいと言える。
(実施例3)
本発明の実施例3について説明する。実施例3の構成は、バイパス回路の態様を除いて実施例1と同様である。実施例3では、図13乃至図15に示すプリント回路板のように、バイパス回路は導電パターンを用いて駆動用IC101の放熱板1321がバイパス回路を跨ぐような配置関係で構成した。バイパス回路の導電パターンの配線幅は、0.1mmで配線の長さは7mmとした。これにより、バイパス回路の抵抗分は33mΩ、インダクタンス成分は8nHと算出した。
(実施例4)
本発明の実施例4について説明する。実施例4の構成は、プリント配線板の層構成を除いて実施例3と同様である。実施例4では、図24に示すプリント配線板2402のように、片面基板であり、スルーホールや裏面の導体プレーンを具備しない点が実施例3とは異なる。バイパス回路の導電パターンの配線幅は、0.1mmで配線の長さは7mmとした。これにより、バイパス回路の抵抗分は33mΩ、インダクタンス成分は8nHと算出した。
(実施例5)
本発明の実施例5について説明する。実施例5の構成は、バイパス回路の態様を除いて実施例4と同様である。具体的には、実施例4ではバイパス回路2441をICチップ1301の真下に配置したが、実施例5では、図25に示すようにバイパス回路2541がICチップ1301よりも右側(ICチップ1301の真下ではない位置)に配置される。バイパス回路の導電パターンの配線幅は、0.1mmで配線の長さは11mmとした。これにより、バイパス回路の抵抗分は51mΩ、インダクタンス成分は12nHと算出した。
以上の実施例3~5について、A相の電源入力端子における電圧波形をシミュレーションした。結果を図26(a)~(c)に示す。
比較例としては、前述の比較例1を用いた。結果を図26(d)に示す。
実施例3、実施例4では、バイパス回路の構造や長さが同じで同様の結果となり、スイッチングにより電流変化が生じた場合に、電圧はそれぞれ24.6V、24.6Vに到達し、その後の電圧変動のリンギングは比較例1と比べると早く収束している。この電圧変動の振動(面積)を波形図から計算すると、1遷移あたりそれぞれ0.11μV・s、0.11μV・sとなる。実施例5では、スイッチングにより電流変化が生じた場合に、電圧は24.5Vに到達し、その後の電圧変動のリンギングは比較例1と比べると早く収束している。この電圧変動の振動(面積)を波形図から計算すると、1遷移あたりそれぞれ0.12μV・sとなる。
つまり、比較例1の電圧変動の振動(面積)である0.48μV・sに比べて、本発明の実施例3、実施例4、および実施例5の方が、振動がそれぞれ12dB、12dB、11dB程度小さい結果となっている。
次に、実施例3における駆動用IC101の昇温への影響をシミュレーションにより見積もった。図15のスルーホール1506~1512に対してバイパス回路の位置を変えて評価した。
検証条件としては、JEDEC規格(JESD51)に基本的に準拠して自然対流の環境下で評価した。放熱板付き駆動用ICは、9.7mm×6.4mm×1.0mmの大きさで、0.65mmピッチの28ピンSOPパッケージを用いた。チップサイズは1.0mm×2.2mm×0.38mmとして、消費電力を1.0Wとした。
プリント配線板は、70mm×70mm×1.6mmの2層基板として、駆動用ICの直下および周囲には、ランド0.6mm、ドリル径0.3mmのスルーホールを1.2mm間隔で12×3個配置した。バイパス回路による導体プレーンを分断するスリット幅は0.6mmとした。周囲温度は50℃に設定した。
図27は実施例3におけるIC温度のシミュレーション結果を示すグラフである。バイパス回路の位置によってICチップ温度の変化する様子を棒グラフで表現した。
図27によると、バイパス回路を配置したことによる放熱用の導体プレーンが分断される位置によってICチップの昇温値が変化していることを示している。具体的には、バイパス回路をスルーホール1506とスルーホール1507の間に配置した場合に最もICチップ温度が低く、61.8℃となった。スルーホール1507とスルーホール1508の間にした場合も同じ61.8℃となった。一方で、スルーホール1508とスルーホール1509の間に配置した場合に、64.9℃と温度が急激に変化した。これは、図15のICチップ1501で発生した熱がプリント配線板1302を介して放熱される際に、プリント配線板の表側の右方向への放熱経路がバイパス回路を設けるための領域によって途切れたためである。また、バイパス回路位置をスルーホール1509とスルーホール1510の間、スルーホール1510とスルーホール1511の間、スルーホール1511とスルーホール1512の間にすると、ICチップ温度が63.8℃、63.2℃、63.4℃となった。以上のICチップ温度のシミュレーション結果から、バイパス回路を放熱板が跨ぐように導体プレーンを分断して配置される場合に放熱特性の面で優位性があることがわかった。つまり、放熱板1321が導電性材料1520を介して導体プレーン1503の領域aと領域bそれぞれに接続された熱伝導経路が確保されている場合に優位である。
さらに、実施例4、実施例5における駆動用IC101の昇温への影響をシミュレーションにより見積もった。実施例4は実施例3とは前述したプリント配線板の層構成が異なり、それ以外は実施例3と同様の解析条件とした。実施例5は実施例4とは前述したプリント配線板のバイパス回路の位置が異なり、それ以外は実施例4と同様の解析条件とした。
図28は実施例4および実施例5におけるIC温度のシミュレーション結果を示すグラフである。実施例3と比較してプリント配線板の層数が2層から1層(片面基板)となり、放熱用の導体プレーンの面積が減ったため、昇温値は上がり、ICチップ温度がそれぞれ80.0℃、80.2℃となった。実施例4、実施例5の昇温値の差は小さいが、ICチップの真下を通る実施例4の方が、放熱特性の面で若干優位性があることがわかった。
101・・・駆動用IC/111・・・A相用のスイッチング回路/112・・・B相用のスイッチング回路/120・・・正ライン/121・・・第一の正配線/122・・・第二の正配線/124・・・負ライン/130・・・電源/131・・・コンデンサ/132・・・コンデンサ/133・・・電解コンデンサ/141・・・バイパス回路/150・・・モータ/151・・・電流検出抵抗/152・・・電流検出抵抗/161・・・A相出力線/162・・・B相出力線/200・・・プリント回路板/202・・・プリント配線板/220、221、222・・・スルーホール/241・・・ミアンダ形状部/700・・・プリント回路板/711、712・・・スルーホール/713・・・チップ型素子/901・・・A相用の駆動用IC/902・・・B相用の駆動用IC/911・・・A相用スイッチング回路/912・・・B相用スイッチング回路/941・・・バイパス回路/1041、1042・・・バイパス回路/1143・・・バイパス回路

Claims (18)

  1. 負荷へ複数相の電力を供給する電力供給装置であって、
    電源入力端子と、
    前記電源入力端子の正極に接続された正幹線と、
    前記電源入力端子の負極に接続された負幹線と、
    一のスイッチング回路と、
    二のスイッチング回路と、
    前記正幹線と前記第一のスイッチング回路を、前記第二のスイッチング回路を経由せずに接続する第一の正配線と、
    前記正幹線と前記第二のスイッチング回路を、前記第一のスイッチング回路を経由せずに接続する第二の正配線と、
    前記第一の正配線と前記負幹線の間に設けられた第一のコンデンサと、
    前記第二の正配線と前記負幹線の間に設けられた第二のコンデンサと、
    前記第一の正配線と前記第二の正配線とを接続するバイパス回路と、を備え、
    前記第一のスイッチング回路は、前記第一の正配線を介して前記第一のスイッチング回路へ供給された電圧を用いて前記複数相の電力のうちの第一の相の電力を出力し、
    前記第二のスイッチング回路は、前記第二の正配線を介して前記第二のスイッチング回路へ供給された電圧を用いて前記複数相の電力のうちの第二の相の電力を出力する、
    ことを特徴とする電力供給装置
  2. 前記正幹線と前記負幹線の間には、前記第一のコンデンサおよび前記第二のコンデンサのいずれよりも容量が大きな第三のコンデンサが設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置
  3. 前記バイパス回路のインピーダンスをZ、前記第一のスイッチング回路の遷移時間をTsw、前記第二のコンデンサの容量をCとしたとき、次式の関係を満たす、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電力供給装置
    Figure 0007114330000007
  4. 前記第一のスイッチング回路及び前記第二のスイッチング回路はプリント配線板に実装されており、前記バイパス回路は前記プリント配線板に形成された導電路を含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の電力供給装置
  5. 前記第一のスイッチング回路及び前記第二のスイッチング回路はプリント配線板に実装されており、前記バイパス回路は、前記プリント配線板に形成されたミアンダ形状の導電パターンを含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の電力供給装置
  6. 前記第一のスイッチング回路及び前記第二のスイッチング回路はプリント配線板に実装されており、前記バイパス回路は、前記プリント配線板に実装されたチップ型素子を含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の電力供給装置
  7. 前記第一の正配線と前記第二の正配線は、前記プリント配線板に対称に配置されている、
    ことを特徴とする請求項4乃至6のうちのいずれか1項に記載の電力供給装置
  8. 前記第一のスイッチング回路と前記第二のスイッチング回路は同一のICチップに設けられており、前記第一の正配線と前記第二の正配線は、前記ICチップに対して対称に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の電力供給装置
  9. 前記第一のスイッチング回路と前記第二のスイッチング回路は同一のICチップに設けられ、
    前記ICチップは、放熱板および導電性材料を介してプリント配線板に接合されており、
    前記負幹線は、前記プリント配線板の前記ICチップが実装される面の、前記放熱板と対向する領域を含み、かつ、前記対向する領域より広い領域に設けられており、
    前記バイパス回路は、前記プリント配線板の前記ICチップが実装される面の、前記放熱板と対向する領域に、前記負幹線を2つの領域に分断するように設けられ、
    前記放熱板は、前記負幹線の分断された前記2つの領域と、前記導電性材料を介して接続されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載の電力供給装置
  10. 前記ICチップの直下に前記バイパス回路が配置される、
    ことを特徴とする請求項9に記載の電力供給装置
  11. 前記放熱板が前記導電性材料を介して前記負幹線に接続される面積は、前記放熱板の前記電力供給装置に対向する面の面積の10%以上である、
    ことを特徴とする請求項9に記載の電力供給装置
  12. 前記ICチップを含むICパッケージは少なくとも2辺以上にリード端子群を備え、スタンドオフ高さを有する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の電力供給装置
  13. 前記バイパス回路の配線の導体の厚さは前記負幹線の導体の厚さよりも薄い、
    ことを特徴とする請求項9に記載の電力供給装置
  14. 前記電力供給装置の前記ICパッケージが実装される面の、前記バイパス回路の上面および前記ICパッケージの外側にはソルダーレジストが設けられており、前記バイパス回路の上面に設けられた前記ソルダーレジストの厚さは、前記ICパッケージの外側に設けられたソルダーレジストよりも厚い、
    ことを特徴とする請求項12に記載の電力供給装置
  15. 画像を形成する画像形成部と、
    記録媒体を搬送する搬送機構と、
    を備える画像形成装置であって、
    前記搬送機構は、モータによって駆動されるローラを備えており、
    前記モータに電力を供給するドライバ回路は、
    請求項1から14のいずれか1項に記載の電力供給装置を有する、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  16. トナー像を形成する画像形成部と、
    記録媒体を搬送する搬送機構と、
    前記搬送機構によって搬送された前記記録媒体に、前記トナー像を転写する転写部と、
    前記転写部で転写された前記トナー像を、前記記録媒体に定着させる定着部と、
    を備える画像形成装置であって、
    前記画像形成部、前記搬送機構、前記転写部、前記定着部のそれぞれは、モータによって駆動されるローラを備えており、
    前記モータに電力を供給するドライバ回路のうち少なくとも1つは、請求項1から14のいずれか1項に記載の電力供給装置を有する、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  17. 請求項1から14のいずれか1項に記載の電力供給装置がプリント回路板である、
    ことを特徴とする電力供給装置。
  18. 請求項1から14のいずれか1項または請求項17に記載の電力供給装置と、
    前記負荷としてのモータと、を備える、
    ことを特徴とする電子機器。
JP2018094135A 2017-07-26 2018-05-15 電力供給装置、画像形成装置、電子機器 Active JP7114330B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US16/038,707 US10477686B2 (en) 2017-07-26 2018-07-18 Printed circuit board
CN201810808625.9A CN109309472B (zh) 2017-07-26 2018-07-23 印刷电路板

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017144925 2017-07-26
JP2017144925 2017-07-26

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019030212A JP2019030212A (ja) 2019-02-21
JP7114330B2 true JP7114330B2 (ja) 2022-08-08

Family

ID=65478977

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018094135A Active JP7114330B2 (ja) 2017-07-26 2018-05-15 電力供給装置、画像形成装置、電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7114330B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014518056A (ja) 2011-03-16 2014-07-24 ディーア・アンド・カンパニー 回転電気機械を制御して直流バス上の電流リプルを小さくするためのシステム
WO2014171023A1 (ja) 2013-04-16 2014-10-23 三菱電機株式会社 インバータ装置及びインバータ一体化型電動機
JP2017220961A (ja) 2016-06-02 2017-12-14 株式会社ジェイテクト パワーモジュール

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6595269B2 (ja) * 2015-09-07 2019-10-23 日立オートモティブシステムズ株式会社 電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014518056A (ja) 2011-03-16 2014-07-24 ディーア・アンド・カンパニー 回転電気機械を制御して直流バス上の電流リプルを小さくするためのシステム
WO2014171023A1 (ja) 2013-04-16 2014-10-23 三菱電機株式会社 インバータ装置及びインバータ一体化型電動機
JP2017220961A (ja) 2016-06-02 2017-12-14 株式会社ジェイテクト パワーモジュール

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019030212A (ja) 2019-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11942260B2 (en) Power module
JP4953034B2 (ja) 電圧変換器
JP5686887B2 (ja) 電力変換装置
JP4998900B2 (ja) 電子装置搭載機器とそのノイズ抑制方法
JP6426548B2 (ja) 温度制御を有する回路基板及びその設計方法
US11824429B2 (en) Multi-phase step-down DC/DC power source device
JP5402737B2 (ja) プリント配線基板
US9274491B2 (en) Power supply apparatus and image forming apparatus
JP2008147573A (ja) 多層基板装置
JP7114330B2 (ja) 電力供給装置、画像形成装置、電子機器
US10477686B2 (en) Printed circuit board
WO2001005201A1 (fr) Carte a circuit imprime, substrat auxiliaire de montage hierarchique et dispositif electronique
JP7107810B2 (ja) 半導体装置の製造方法およびスクリーン
JP3864938B2 (ja) 金属化フィルムコンデンサ、およびそれを用いた車載駆動用インバータ回路、ならびにその車載駆動用インバータ回路を搭載した自動車。
JP7301600B2 (ja) 電源装置及び画像形成装置
JP2021069254A (ja) 電源装置及び画像形成装置
JP2006302944A (ja) 多層プリント配線基板
JP2015154544A (ja) 電力変換器用のコントローラ
JP2008211100A (ja) 多層プリント基板装置
JP2008010469A (ja) 電子装置
JP7303646B2 (ja) 電源装置および画像形成装置
JP2007250645A (ja) 基板及び装置
JP6717128B2 (ja) 信号伝送装置及び画像形成装置
JP7247503B2 (ja) 画像形成装置および基板
JP6882906B2 (ja) プリント基板、電源装置および画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20200206

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20200207

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210426

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220324

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220603

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220628

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220727

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7114330

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151