JP7111673B2 - マルチ電子ビーム装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、マルチ電子ビーム装置に関する。
電子ビームを用いた描画装置や加工装置が産業用に用いられており、単一電子ビームを用いた装置に加えて、高スループット化のためマルチ電子ビームを用いた描画装置などが開発されている。
国際公開第2006/123447号 特許第5339584号公報 特開平5-166707号公報 特開平11-176719号公報 特表2009-502033号公報 特開2015-95539号公報
電子ビーム描画装置などにおいて、マルチ電子ビーム装置を実現する方式が幾つか提案されているが、加速された電子ビームを複数分割してマルチ電子ビームとし、各分割電子ビームを個々に偏向制御して描画パターン生成する方式のみが実用化されている。しかしながら、マルチ電子ビームを個々に偏向制御して描画パターン生成する方式は、分割電子ビームを個々に偏向制御するブランカーが、加速電子の分割時に発生する蛍光X線や加速電子自体の散乱成分に暴露されて劣化するという大きな課題を持っている。一方、マルチ電子ビームを個々に偏向制御することなく描画パターンを生成可能な装置として、マルチ電子源を用いた装置があるが、マルチ電子ビーム間のビーム干渉やマルチ電子源の安定性などの課題により実用化には至っていない。
本発明の実施形態は、マルチ電子ビームを個々に偏向制御することなく描画パターンを生成可能な装置において、マルチ電子ビーム間のビーム干渉やマルチ電子源の安定性等の課題の克服が可能なマルチ電子ビーム装置の提供を目的とする。
実施形態によれば、発光素子アレイと、前記発光素子アレイを所望の発光パターンに制御する駆動回路と、前記発光素子の発する光により電子を放出する光電膜と、前記電子を増倍するマイクロチャネルを前記発光素子アレイの各発光素子に対応する位置に配列したマイクロチャネルプレートと、前記マイクロチャネルプレートから放出される電子ビームサイズを制限する前記マイクロチャネルの出力開口より狭い開口を前記マイクロチャネルに対応する位置に配列したアパーチャーアレイと、を少なくとも有し、少なくとも、前記光電膜、前記マイクロチャネルプレート、および前記アパーチャーアレイが真空鏡筒中に配置されてなるマルチ電子ビーム装置が提供される。
第1の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第1の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第1の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第2の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第2の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第2の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第2の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第3の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第4の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第5の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第5の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第5の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第5の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。 第5の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図。
以下、適宜図面を参照しながら実施形態の説明を行っていく。説明の便宜のため、各図面の縮尺は必ずしも正確ではなく、相対的な位置関係などで示す場合がある。また、同一または同様の要素には、同じ符号を付している。
電子ビーム装置は、微細加工、分析評価などに幅広く活用されており、特に電子ビーム描画装置は半導体デバイスを量産するためのマスク製造などに欠かせない、巨大な半導体産業を支える重要インフラ装置となっている。近年の半導体技術は、更なる微細化、又は実効的な微細化を進めることで進展し続けており、電子ビーム描画装置の微細化とスループット向上の要求が益々高まってきている。
一方、電子ビーム描画の微細化は描画データの肥大化を伴うことになり、マスク製造のスループット低下が深刻化する。このため電子ビームマスク描画装置の高スループット化のための描画速度向上が必要となっており、レジスト露光時間に制限され易い描画速度を電子ビームのマルチビーム化で大幅に向上する開発が進められている。マルチ電子ビーム描画装置では、同時に複数の電子ビームでパターン描画を行うため単一電子ビーム描画に比し大幅なスループット向上が可能になる。
一般に、マルチ電子ビーム描画を行うためには、電子ビームの分割と、分割された電子ビームの個別ブランキング(ON/OFF)制御が必要になり、各分割電子ビームに対応するブランカーアレイが必要になる。マルチ電子ビーム描画装置のブランカーとして機械的なシャッターも考えられるが、電子ビーム描画装置では10~50keVの加速電子が用いられており、シャッターの耐久性や動作速度の観点で好ましくない。このためマルチ電子ビーム描画装置ではブランカーとしてビーム偏向器を用いており、電子ビーム偏向により結像面から外して実質的なビーム消去を行う方法が用いられている。
実際のマルチ電子ビーム描画装置は、分割電子ビームを等間隔配置し、ビームピッチ間を全ビーム一括移動しながら一斉描画していくことで隙間無く描画している。このため、分割電子ビームおよびブランカーアレイは高精度に2次元配列を維持していく必要があり、それぞれ一枚の基板に形成した2次元配列の開口アレイを用いて、分割ビーム生成、個別ビーム偏向を行っている。以後、前者をSAA(Shaping Aperture Array)基板(または単にSAA)、後者をBAA(Blanking Aperture Array)基板(または単にBAA)と記すこととする。
しかしながら、BAAを用いたマルチ電子ビーム装置においては、加速電子(例えば加速電圧5~50kV)の一部が散乱してBAAに照射され、また、加速電子がSAAで整形される際にSAAで遮断された電子が発生する蛍光X線がBAAに照射される。このため、BAAが散乱電子や蛍光X線に曝されて内蔵する回路要素(トランジスタ、抵抗、配線金属)等が一時的な特性変動や不可逆的な劣化を起こし、BAAの機能劣化が起こり易いという問題がある。即ち、BAAを用いたマルチ電子ビーム装置においては、BAA(ビーム偏向デバイス)に高い放射線耐性が要求され、装置の維持管理とともに定期的なBAAの交換とそれに伴う複雑なマルチ電子ビームの調整が必要になり、装置の信頼性やランニングコストに大きな課題があった。
実施形態においては、分割したマルチ電子ビームを複数のブランカーで制御するのではなく、複数の電子ビーム発生源を用いて電子ビーム照射パターンを電子ビーム発生時点で生成する。即ち、実施形態においては照射パターン通りのマルチ電子ビームを発生させ、そのマルチ電子ビームを照射経路でON/OFF制御しないため、BAAを用いたマルチ電子ビーム装置のような装置運用上の課題が大幅に軽減され、また、BAAの放射線耐性確保のため内部構成や適用部材が制限されてBAAの動作速度が制限されることが無く、マルチ電子ビーム装置のスループットを大幅に向上可能になる。
また、実施形態によれば、例えば特許文献1などに示される従来技術で問題となる、電子ビーム分散によるビーム間クロストークや電子源劣化による経時変動などを抑制することができ、実用性の高いマルチ電子ビーム装置が構築可能となる。
以下、実施形態の具体的構成を説明していく。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態を示す概略構成図であり、マルチ電子ビーム装置の電子ビーム発生部分を抜き出して記述している。マルチ電子ビーム装置の全体構成については、描画装置を例として後述する。
図1には、マルチ電子ビーム照射パターンを決定する励起光源部100と、マルチ電子ビーム発生部200と、マルチ電子ビーム増倍部300と、マルチ電子ビーム整形部400が示される。
励起光源部100は、発光素子2と、マルチ電子ビームの照射パターンに応じて発光素子2を駆動する駆動回路1を有する。発光素子2は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、半導体レーザ、EL(Electro Luminescence)素子などのアレイ素子である。
マルチ電子ビーム発生部200は、発光素子2の放出光3に対し透明な基板4と、発光素子2の放出光3を受けて電子6を放出する光電膜5を有する。
マルチ電子ビーム増倍部300は、二次電子放出により電子を増倍するマイクロチャネル10をアレイ化したマイクロチャネルプレート(Micro Channel Plate、以下MCPと記す)支持体7と、MCP入力電極8と、MCP出力電極9と、MCP301のバイアス電源11とを有する。MCP301は、マイクロチャネル10と、マイクロチャネル10をアレイ化したマイクロチャネルプレート支持体7と、MCP入力電極8と、MCP出力電極9とから構成される。
マルチ電子ビーム整形部400は、SAA13を有する。SAA13は、MCP301により増倍された電子12を、電子ビーム14に整形する。
後述する図14に示すように、図1に示す要素は真空鏡筒38中に配置される。
発光素子2は、例えばAlGaAs/GaAs系材料からなるLEDであり、例えば波長780~850nmの範囲にピーク波長を持つ光を放出する。発光素子2は、例えば垂直共振面型半導体レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser diode、以下VCSELと記す)であっても良い。この場合、シングル横モードで発振可能なVCSELを用いることで、放射光の指向性が高く、細いビーム径の発光源を構成することができる。
また、発光素子2は発光波長により他の材料系を用いるものであっても構わず、例えば、GaInAsP/InP系、AlInGaAs/InP系、AlGaInN/GaN系、AlGaN/AlN系、GaInN/GaN系などであっても良く、使用する光電膜5の材料との組み合せや駆動回路1との組み合せで決定することができる。
駆動回路1、発光素子2は、光電膜5より負電位で動作することが望ましい。即ち、光電膜5を例えば接地電位とし、駆動回路1、発光素子2はマイナス電源で駆動するよう構成する。この場合、光電膜5で発生した電子が、駆動回路1、発光素子2の電源電位に押されてマイクロチャネル10側に向かい易いという効果がある。一方で、駆動回路1、発光素子2が正電位で駆動される場合、光電膜5から放出された電子が駆動回路1側の電源電位に引き戻される効果が発生し、光電子変換効率が低下する現象や、駆動回路1の動作に応じた雑音が放出電子6に重畳する現象が発生することがある。
更に、発光素子2を図1のように配置する代りに、光ファイバーアレイの一端を図1の発光素子2の位置に配置し、光電膜5から離れた位置で光ファイバーアレイの他端に発光素子2及び駆動回路1を配置して、図1と同様に発光素子2の放出光3を光電膜5に照射することでも構わない。この場合、駆動回路1や発光素子2を光電膜5から離れた位置で動作させることが可能となり、駆動回路1や発光素子2の発熱によって光電膜5の温度が上昇することを防止できる。更に、この場合、駆動回路1や発光素子2を真空鏡筒の外に配置して光ファイバーのみ真空鏡筒中に導入することも可能となり、真空鏡筒中の電場や磁場の擾乱源を隔離してマルチ電子ビームの品質を向上することが可能になる。
尚、上記の発光素子2(発光素子アレイ)または光ファイバーアレイから放出される光源アレイパターンは、レンズにより全体を縮小されて光電膜5に投影されることでも構わない。また、光ファイバーアレイの発光素子2側のピッチよりも光ファイバーアレイの光出力側のピッチを狭くして光源アレイパターンを縮小投影することでも構わない。この場合、広いピッチの発光パターンを用いて挟ピッチの電子源アレイを構成することが可能となり、例えば、発光素子2の発光ピッチを96μmとし、レンズ倍率を1/6、または光ファイバーアレイのピッチ縮小を1/6として光源アレイのサイズを1/6に縮小すると、光電膜5の光照射領域ピッチが16μmとなるため、電子源として16μmピッチの挟ピッチアレイが実現できる。
一般に、発光素子は電流消費による発熱が大きく、素子間ピッチの狭いアレイ素子はアレイ端部よりアレイ中央部で高温化し易く、動作温度の面内不均一性から発光強度分布を均一に保つことが難しくなる。このため、上記のような光源アレイサイズ変換は発光素子アレイの放熱を有利にするため、発光素子光出力の均一化、即ち、電子源アレイの電子ビーム強度の均一化に寄与することができる。
また、上述の光ファイバーアレイを用いて光源アレイパターンを光電膜5に照射する場合、駆動回路1と発光素子2をいくつかのユニットに分離して分散実装することで描画データなどの大容量データを駆動回路に導入し易くすることができる。例えばマルチ電子ビームの配列を1024×1024(約105万ビーム)とし、ビーム配列ピッチを16μmとした場合、データの入出力回路を含めた駆動回路1のチップ面積は16mm×16mm以上となり、入出力回路などの周辺回路を含めて考えると微細LSI製造に使われるレチクルサイズ一杯に回路形成する必要がある。
一方、駆動回路1の入出力パッドを一般的な50μmピッチで設けた場合、駆動回路1の1辺あたりの入出力パッド数が400程となり、データ端子、電源端子、制御端子等を全て含めるには端子数が不足してしまう。そこで描画データを複数端子分シリアル化して入力する必要があり、駆動回路1に非常に高速の入出力回路を備える必要がある。
これに対し、駆動回路1と発光素子2を幾つかのユニットに分離して実装することが可能であれば、例えば4分割された駆動回路を例えば22mm×22mmのチップに形成することが可能になり、チップの入出力パッド数はそのままで搭載するビーム数を少なくできるため、入出力回路の動作速度(データ端子速度)を1/4に低速化することが可能となる。即ち、光ファイバーアレイを用いて光源アレイおよび駆動回路を分散実装することで描画データなどの大容量データを駆動回路1に導入し易くすることができる。これは逆を言えば、駆動回路1と発光素子2を分割しない場合の入出力回路動作速度のまま駆動回路1と発光素子2をいくつかのユニットに分離して分散実装し、例えば4分割実装して総入出力パッド数を4倍にすることで4倍の高速データ伝送を行うことも可能にする。
透明基板4は、発光素子2の放出光3が透過可能な材料からなり、例えば、石英ガラスや硼珪酸ガラスなどの光学ガラス、SiC、AlNなどの広バンドギャップ半導体を用いることができる。
光電膜5は、例えば3~10μmに薄膜化したGaAsなどを用いることができる。特にp型ドープしたGaAsにCsOをコーティングすると電子の放出効率を高くすることができる。光電膜5は、他の半導体材料やアルカリ金属を用いることができ、例えば、InP、GaAsP、GaInAs、GaN、AlN、SiCなどの半導体材料、SbCs、SbRbCs、SbKCs、SbNaK、SbNaKCs、AgOCsなどのアルカリ金属を用いても良い。但し、それぞれ感度ピーク波長が異なるため発光素子2の発光波長との組合せを考慮する必要がある。
また、透明基板4は、図2に示すように発光素子2や上述した光ファイバーアレイの光路中にマイクロレンズ401を設け、発光素子2や上述した光ファイバーアレイの放出する光3を効果的に光電膜5に集光照射できるようにすることでも構わない。
マイクロチャネル10は、筒状の電子増倍チャネルから成る電子の増倍素子であり、高電界印加することで内壁への電子の加速衝突とそれによる二次電子放出を繰り返すことで入射電子を増倍して出力する。入射電子が無い時は、マイクロチャネル10は基本的に電子を出力しない。
MCP301は、マイクロチャネル10を所定ピッチで配列したものであり、例えば内径10μmで長さ600μmのマイクロチャネル10を例えば16μmピッチで配列する。また、マイクロチャネル10に入射された電子がそのまま突き抜けないよう、MCP301の厚さ方向に対してマイクロチャネル10を例えば5°傾けてアレイ化する。この傾き角度は、5~15°程度の範囲にすることが望ましい。
マイクロチャネル10は、例えば鉛含有ガラスやAlなどを用いることができ、例えば、MgO、LiF、NaF、NaCl、KCl、KBr、BaO、DLC(Diamond Like Carbon)などを内壁にコーティングしてあっても良い。
また、MCP301は上述したようにマイクロチャネル10が傾斜していることが望ましいため、マイクロチャネル10の入口と出口の位置関係がシフトしており、これを補正するため、図3に示すようにマイクロチャネル10の傾きが逆向きのMCP302を重ねて入口と出口の位置を元に戻すことでも良い。この構成は、マイクロチャネル10の傾斜による増倍電子12の放出角度の偏りを補正する方向にもあるため、MCP301、302をマイクロチャネル10の傾きを補正する方向に偶数段を重ねることが望ましい。例えば、180°回転した関係にあるMCP301とMCP302をセットで用いることが望ましい。但し、MCPを120°回転させて3段積層することや、MCPを90°回転させて4段積層することでも構わない。以下の説明では、図の簡略化のためMCP301が1段の例で記述していくが、マイクロチャネルプレート支持体7、MCP入力電極8、MCP出力電極9、およびマイクロチャネル10で構成するMCP301をマイクロチャネル10の傾きを補正する方向に偶数段重ねるなど、マイクロチャネル10の傾きによる位置のシフトを元に戻す積層配置とすることが望ましいことは同様である。
尚、マイクロチャネル10は、連続増倍動作で先に発生した電子が電界遮蔽して電子増倍率を飽和させる現象が発生することがある。これは特に高い電子増倍率状態で起こり易く、入力電子のない状態から立ち上がった直後の電子増倍率と連続増倍している状態の電子増倍率に差が生じることがある。これは、マイクロチャネル10の出力電子ビームの強度変動に繋がるため、発光素子2の動作をマルチ電子ビーム装置の最小電子ビーム照射時間より短い時間でパルス動作させることでも構わない。例えば、電子ビームの最小照射時間を1μsとし、発光素子2を発光100ns、非発光400nsで繰り返し間欠動作させ、その2サイクルを電子ビームの最小照射時間に対応させるようにする。勿論、これらの時間設定などは任意であり、例えば、電子ビームの最小照射時間を500nsとし、発光素子2を発光10ns、非発光90nsの間欠動作で5サイクル動作させて最小照射時間に対応させるようにするなど、種々の変更が可能である。
SAA13は、上記したマルチ電子ビーム増倍部300から出力されるマルチ電子ビーム12を整形し、マルチ電子ビーム14を出力する開口アレイである。SAA13の開口はマイクロチャネル10の内径より小さくし、開口中心はそれぞれ対応するマイクロチャネルのほぼ中心に位置するよう配列する。例えばマイクロチャネル10を垂直開口が直径10μmの円形として16μmピッチで配列し、SAA13の開口を例えば2μm□として16μmピッチで配列し、マイクロチャネル10とSAA13のそれぞれ開口中心がほぼ一致するようにする。また、SAA13は、マイクロチャネル10の放出する電子の強度が最大となる位置および角度に開口が位置することでも構わない。SAA13は、帯電防止するため接地される。この結果、マルチ電子ビーム14は、それぞれの電子ビームが2μm□で16μmピッチの配列となる。
SAA13の開口サイズは、マイクロチャネル10のチャネルサイズより小さくするが、これはマイクロチャネル10で増倍された電子のうち、マイクロチャネル10の出口からSAA13の開口に向かう方向に対し、比較的大きな放出角度を持つ電子を遮断するためである。即ち、電子ビーム出力方向(マイクロチャネル10からSAA13に向かう方向)に対し比較的大きな角度で放出された電子は、電界加速により進行方向を揃えようとしてもその後の経路で徐々に電子ビームをぼかす要因となり、場合によっては隣接電子ビーム経路へ混入して電子ビームのクロストークを引き起こしてしまう問題がある。このため、電子ビームの解像度低下要因やマルチ電子ビーム間のクロストーク要因となる比較的大きな放出角度の電子をSAA13により遮断する必要がある。
このようにして生成されたマルチ電子ビーム14は、ビームサイズ、ピッチが揃えられており、しかも各電子ビームが入力データに応じて制御され所定の電子ビーム照射パターンとなっていることから、そのまま、もしくは加速や縮小投影されて試料に照射可能になる。
マルチ電子ビームのビーム間(2μm□ビーム、16μmピッチの場合、スペースとなる14μm)は、全てのマルチ電子ビームをビームサイズ単位で一括移動しながら補間描画していくことで隙間無く描画可能になる。例えば、2μm□の電子ビームが16μmピッチ配列されている場合、XY平面上で例えばX方向に2μmシフトしながら8回描画し、Y方向に2μmシフトしてX方向に-2μmシフトしながら8回描画、といった描画を繰り返し、X方向シフト8回とY方向シフト8回の組み合せで、マルチ電子ビーム間を埋め尽くすことができる。この補間描画について、上記した手順以外のシフト描画方法も実施可能なこと、マルチ電子ビームが縮小投影される場合のビームサイズ単位が縮小率に依存すること、などは述べるまでもないことである。
また、上述したマルチ電子ビーム14は、マイクロチャネル10で増倍された電子のうち、比較的放出角度の小さい電子を選択的に抽出して用いるため、マルチ電子ビームの各電子ビームのボケが少なく、また、各電子ビーム間のクロストークの少ないマルチ電子ビーム装置が構築可能になる。
更に、例えば50kVに加速した電子ビームをBAAなどで偏向制御する必要がなく、BAAが劣化して装置のランニングタイムが短くなるといった問題が解消され、装置メンテナンスの頻度と難度が劇的に低減でき、トータルの装置運用コストを大幅に低減可能になるという効果を奏する。
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図であり、光電膜5の光入射面側または光出射面側に、光電膜5の放出する電子を押出すための押出し電極15を設けた実施形態である。
押出し電極15は、光電膜5から放出された電子が光電膜5から離れる方向に押出されるよう電界印加するための電極であり、例えばTi、Ni、Cr、Cu、Pt、Auなどの金属薄膜、またはこれらを含む金属多層膜を例えば300nmの厚さで形成し、発光素子2の放出光を受光する位置に例えば直径8μmの円形開口を設けて構成する。そして、光電膜バイアス電源16により電圧印加することにより、光電膜5が放出した電子を光電膜5に再付着(消滅)させないように機能し、光電変換効率の向上に寄与することできる。
また、光電膜5は基本的に導電性材料から成るが、図1に示すように光を受けた面の反対面に電子を放出する所謂透過型光電膜の場合、光電子放出率を高めるため膜厚をある程度薄く形成しており、光電膜のシート抵抗が高い場合が多い。このため、照射光量が大きくなると、光電膜5の膜全体への電子供給が追いつかなくなって光電子放出率に面内ムラを生じることがある。押出し電極15が設けられている場合、上述のような状況においても押出し電極15が光電膜5への電子供給配線として機能し、光電膜5の光電子放出を均一且つ安定に行わせることが可能になる。
また、押出し電極15で光電膜5の所定光照射部(電子発生部)以外を遮光することで、隣接光照射部との境界が明確になり、電子源としてのコントラストを高めることが可能になる。また、隣接光照射部(電子発生部)から光電膜5の膜内を拡散してくる電子に対し、押出し電極15が途中の電子拡散を抑制するため、隣接光照射部とのクロストーク低減に寄与することができる。
図5(a)~(d)は、第2の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の光電膜5と押出し電極15との構成関係を示す例であり、幾つかの材料および製法を加味した構成図である。
図5(a)は、光電膜5にマルチアルカリ金属(例えばSbNaKCs等)を用いた例である。この実施形態は、透明基板4として例えば石英(SiO)、押出し15電極として例えばTi/Cu/Ti(例えば50/200/50nm)を用い、光照射させる部分に例えば直径8μmの円形開口を設けておき、その後、光電膜5として例えばSbNaKCs膜を例えば総厚が100nmとなるように形成して作製できる。
また、各光照射部(光電子放出部)で発生した電子が光電膜5を通じて隣接する光照射部に拡散到達しないよう、図5(b)に示すよう光電膜5を分離しても構わない。この場合、光照射部(押出し電極15の開口部)を例えば直径8μmの円形開口とし、光照射部の配列ピッチを例えば16μmとする。光電膜5は、光照射部を中心とした例えば直径12μmの円形に加工して個々に分離する。
図5(c)は、光電膜5に半導体膜(例えばGaAs等)を用いた例である。この実施形態は、例えばp型のGaAs基板(5に相当)に押出し15電極(例えばTi/Cu/Ti、50/200/50nm)を形成し、光照射させる部分の押出し電極15に例えば直径8μmの円形開口を設けておく。
次に、押出し電極15および露出したGaAs基板(5)上に例えばSiO402をCVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて例えば800nm形成し、例えば押出し電極15上の膜厚で例えば100nmとなるようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)による平坦化研磨を行う。その後、例えば石英からなる透明基板4にCMPしたSiO402を貼合して熱処理(例えば150℃)を行って直接接合し、GaAs基板(5)を例えば残厚5μmとなるまで研磨する。最終的に、GaAs基板(5)の研磨面にCsOまたはCsTeを例えば1nm形成して光電膜5とする。
また、各光照射部(光電子放出部)で発生した電子が光電膜5内を拡散して隣接する光照射部に到達しないよう、図5(d)に示すように、光電膜5を分離しても構わない。この場合、光照射部(押出し電極15の開口部)を例えば直径8μmの円形開口とし、光照射部の配列ピッチを例えば16μmとする。光電膜5は、光照射部を中心とした例えば直径12μmの円形に加工して個々に分離する。光電膜5表面に形成するCsOまたはCsTeは、清浄表面を保つため、図5(d)のように光電膜5を分離してから全面形成することでも構わない。
図6は、第2の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成であり、光電膜5とMCP301との間に、更に、引出し電極17を設けた実施形態である。
引出し電極17は、光電膜5から放出された電子が光電膜5から離れる方向に引出すよう電界印加するための電極であり、例えば光電膜5に絶縁膜(例えばSiOを250nm、図示せず)を設けTi、Ni、Cr、Cu、Pt、Auなどの金属薄膜、またはこれらを含む金属多層膜を例えば300nmの厚さで形成し、発光素子2の光により電子を放出する位置に、例えば直径10μmで光電膜5の表面(電子放出面)に達する円形開口を設けて構成する。また、引出し電極17は、光電膜5に接している必要はなく、光電膜5とマイクロチャネル10との間に設けられ、光電膜5の光照射部(電子放出部)に対応する開口を有する電極板、またはメッシュ電極であっても構わない。これにより、光電膜5から放出された電子が、引出しバイアス電源18が押出し電極15と引出し電極17に電圧印加して形成する電界により加速され、マイクロチャネル10に向かって指向性良く引出される。
即ち、図6の実施形態によれば、光電膜5の電子放出効率が向上可能なだけでなく、光電膜5からマイクロチャネル10への電子輸送効率が高められる効果を奏する。また、引出し電極17が、光電膜5の各光照射部(光電子放出部)で発生した電子の隣接光照射部への混入を防ぐ領域規定マスク(遮蔽マスク)として機能するため、電子発生源同士のクロストーク防止マスクにもなる。尚、光電膜バイアス電源16の電圧は、引出しバイアス電源18の電圧より大きくなるよう設定しておく。
図7は、MCP301の入力電極8が図6で示した引出し電極17を兼ねるように構成した実施形態であり、MCP入力電極8の表面に図示しない絶縁膜(例えばSiO、500nm)を設けて光電膜5とMCP入力電極8が短絡しないようにする。この例では、光電膜5の光照射部(光電子放出部)が隣接する光照射部とMCP入力電極8で隔絶されており、光電膜5で発生した電子が散乱などで損失することなくマイクロチャネル10に誘導でき、また、電子源同士のクロストークが完全抑制され、更に、光電膜5とMCP301が一体化された集積プレート(電子源アレイ)として扱うことができる。このため、電子源としての効率が高く、装置メンテナンスの調整が容易となる利点がある。
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図であり、スイッチ19、20の切替えにより、押出し電極15を光電膜5に光照射して発生した電子の加速電極として機能させていた状態から、電子の引付け電極として機能させる状態に切替えることができ、光電膜5への光照射遮断時などにダーク電子を遮断する機能を持たせた実施形態である。
光電膜5やマイクロチャネル10は基本的に発光素子2からの光入力がない状態で電子を発生、増倍しないが、前の動作時の残留電荷や材料中の電子トラップの影響などでダーク電子を発生することがある。このため光入力のない状態で電子ビームを誤発生する場合があり、光電膜5への光照射遮断時などに、遮断電源21により逆バイアスを加えてダーク電子を遮断するものである。
遮断電源21の電圧は、例えば光電膜バイアス電源16の電圧より大きく設定する。これにより光電膜5のダーク電子が遮断できる。また、MCP301のダーク電子も遮断するにはMCPバイアス電源11より大きい電圧とする。これによりMCP301が瞬時に動作開始可能な状態のままMCP301内電界を中和することができる。これらの設定は使用する構成材料、バイアス電圧、ダーク電子発生要因などに応じて適宜選定することができる。
また、MCP出力電極9とSAA13の間に図示しない別の電極(マイクロチャネル10の電子出力部に対応する開口を有する電極板、またはメッシュ電極)を設け、MCP301からの電子出力を直接遮断するようにしても良い。
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図であり、MCP301とSAA13の間に、電子加速チャネル37をアレイ配置したサプレッサプレート22およびサプレッサ電源24を設けた実施形態である。
サプレッサ電源24は電子を加速するための加速電源でもある。サプレッサプレート22の電子加速チャネル37は、サプレッサ電極23に向かう例えば円筒状の孔であり、電子増倍しないで電子加速させるため、電子ビームの進行方向に対する傾きは必要ない。むしろ、電子ビームの進行方向に対する傾きを極力排除しておく。また、その内面には2次電子放出係数が比較的小さく、散乱電子の付着による帯電を防止可能な程度の導電性材料をコーティングしておくことが望ましい。例えば、サプレッサプレート22の母材を石英とし、Bi、Mn、NiCrといった高抵抗金属やCaO、SrO、CaFなどを、電子加速チャネル37の内面に例えば1nmコーティングし、電子加速電界に大きな影響のない程度の導電性を付与する。勿論、Cr、Ni、Ti、Mo、Wといった一般的な金属で膜厚を0.2nmといった極薄膜とすることでも構わない。
サプレッサプレート22の電子加速チャネル37は、チャネル長がチャネル開口より長いことが望ましく、チャネル長/チャネル開口の比率が大きいほど、散逸電子を抑制または除去することができる。即ち、上記電子加速チャネル37は、電子ビーム中の比較的低角度成分の電子は電界加速により進行方向に軌道を矯正し、比較的広角度成分の電子は電子加速チャネル37の内壁に吸収させて除去することで散逸電子のサプレッサとして機能する。
図9においては、マルチ電子ビームパターン決定部(励起光源部)100、マルチ電子ビーム発生部200、マルチ電子ビーム増倍部300、マルチ電子ビーム整形部400に加え、サプレッサプレート22およびサプレッサ電源24を含むマルチ電子ビーム加速精製部500を加えることにより、電子ビーム品質の向上を可能にしている。
この結果、MCP301で増倍された電子に含まれ、増倍時に生成された比較的角度分散の大きい電子をサプレッサプレート22により抑制可能になり、後段のSAA13の開口制限により非常に指向性品質の高い電子ビームを得ることが可能になる。これにより、公知技術などで実用化が難しかった電子ビーム品質向上の課題を克服可能になる。
(第5の実施形態)
図10は、第5の実施形態に係るマルチ電子ビーム装置の概略構成図であり、光電子発生部(光電膜5)の安定性および長寿命化を実現するための実施形態である。
図10に示すマルチ電子ビーム装置は、上記実施形態の構成に加えて、内部電極25、電子透過膜26、サポート基板27、および電子透過電源28をさらに有する。
電子透過膜26は例えばTi、SiO、SiN、DLCなどの薄膜(例えば、200nm膜厚)を用いることができ、例えばサポート基板27としてSiを用い、Si基板上に電子透過膜26を形成して、Si基板裏面からSiエッチングを行って電子透過膜をメンブレン状に残す方法で作成可能である。この時、電子透過膜26の材料に合せてSiエッチング選択比の大きなエッチング方法を適宜選択することが可能である。詳細な例としては、特許文献2などにも開示されている。
この電子透過膜26を形成したサポート基板27を透明基板4に側壁を設けた容器の蓋として、例えば低融点ガラスなどで溶着、または金属シールの半田封じなどによりハーメチックシールし、光電膜5をその内部に真空封止する。電子透過膜26としてDLCを用いた場合、膜質や膜厚の制御により例えば7~8kVの加速で電子を透過させることが可能になる。このため、電子透過電源28を例えば10kVとし、電子引出し電源16と独立に電子透過電圧を設定することで、光電子発生電界と電子透過電界をそれぞれ最適化することができる。また、電子透過窓および透明基板4による真空封止は、十分な脱ガス処理を行った後、可能な限りの高真空とすることが望ましい。これは残存ガス成分の付着による光電膜5表面の電子放出効率低下を防止する。
このように構成することで、電子発生源としての光電膜5がマルチ電子ビーム装置(例えば電子描画装置)の試料出し入れによる大気暴露や、電子露光レジストの反応生成ガス暴露により汚染されて劣化することを抑制可能になる。即ち、電子源としての寿命の長寿命化や安定化が実現できる。
また、真空封止する領域は光電膜5のみに限らず、図11に示すように、光電膜5とMCP301を一緒に封止することでも構わない。図11において電子透過電極29は、電子が電子透過膜26を透過する電圧を独立制御するために設ける電極である。この場合は、電子源としての光電膜5の安定化とともに、MCP301の電子増倍特性の安定化も実現できる。一般に電子透過膜26はアモルファス材料であり、少なからずとも透過する電子は原子散乱を受けるため、マルチ電子ビーム加速精製部となるサプレッサプレート22は電子透過窓の外に配置することが望ましい。
また、光電膜5からサプレッサプレート22までの構成要素は、マルチ電子ビームの各電子ビーム経路(通過チャネル)を位置調整した状態で、図12に示すように積層して一体型モジュール化しておくことが望ましい。これは勿論、マルチ電子ビーム装置の組立調整およびメンテナンス調整を容易にして、装置コストおよび運用コストの低減に効果を発揮する。
更に、図13に示すように、SAA13を通過したマルチ電子ビームを加速する加速電極30を設けても良い。前述したように、サプレッサプレート22は、散逸電子を吸収して電子ビームを精製するため、電子加速チャネル37の内面に導電性を付与しており、最終加速電圧まで電圧印加可能とは限らない。また、SAA13通過後の最終整形電子ビームにおいて電子加速を行うほうがビーム分散を小さく抑えやすい。このため、加速電源31および加速電極30による最終加速を行うほうがマルチ電子ビームの品質を向上できる。
図14は、上述のマルチ電子ビーム発生構成によるマルチ電子ビームを縮小投影し、微細パターン描画を行うマルチ電子ビーム描画装置としての全体構成を示している。
このマルチ電子ビーム描画装置は、図1~図13に示すマルチ電子ビーム装置600に加えて、投影レンズ32、対物レンズ33、副偏向器34、主偏向器35、およびマルチ電子ビーム描画する試料を乗せる可動ステージ36をさらに有する。可動ステージ36は、帯電防止するため接地される。また、マルチ電子ビーム装置600、投影レンズ32、対物レンズ33、副偏向器34、主偏向器35、および可動ステージ36は、真空鏡筒38中に配置されている。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…駆動回路、2…発光素子、3…放出光、4…透明基板、5…光電膜、6…放出電子、7…マイクロチャネルプレート支持体、8…入力電極、9…出力電極、10…マイクロチャネル、11…MCPバイアス電源、12…増倍電子、13…SAA、14…電子ビーム、15…押出し電極、16…光電膜バイアス電源、17…引出し電極、18…引出しバイアス電源、19,20…スイッチ、21…遮断電源、22…サプレッサプレート、23…サプレッサ電極、24…サプレッサ電源、25…内部電極、26…電子透過膜、27…サポート基板、28…電子透過電源、29…電子透過電極、30…加速電極、31…加速電源、32…投影レンズ、33…対物レンズ、34…副偏向器、35…主偏向器、36…可動ステージ、37…電子加速チャネル、38…真空鏡筒、301,302…マイクロチャネルプレート(MCP)

Claims (11)

  1. 発光素子アレイと、
    前記発光素子アレイを所望の発光パターンに制御する駆動回路と、
    前記発光素子の発する光により電子を放出する光電膜と、
    前記電子を増倍するマイクロチャネルを前記発光素子アレイの各発光素子に対応する位置に配列したマイクロチャネルプレートと、
    前記マイクロチャネルプレートから放出される電子ビームサイズを制限する前記マイクロチャネルの出力開口より狭い開口を前記マイクロチャネルに対応する位置に配列したアパーチャーアレイと、
    を少なくとも有し、
    少なくとも、前記光電膜、前記マイクロチャネルプレート、および前記アパーチャーアレイが真空鏡筒中に配置されてなるマルチ電子ビーム装置。
  2. 前記発光素子アレイの駆動電位を前記光電膜より負の電位とする請求項1記載のマルチ電子ビーム装置。
  3. 前記発光素子アレイの前記各発光素子の発光動作が、装置の単位電子ビーム照射時間に同期して単発もしくは複数回のパルス動作を行う請求項1または2に記載のマルチ電子ビーム装置。
  4. 前記発光素子アレイと前記光電膜との間に、前記各発光素子の発する光を集光するマイクロレンズを前記各発光素子に対応する位置に配列してなるマイクロレンズアレイを更に有する請求項1~3のいずれか1つに記載のマルチ電子ビーム装置。
  5. 前記発光素子アレイの前記各発光素子に対応する開口部を有する押出し電極を更に有し、
    前記押出し電極の少なくとも前記開口部に前記光電膜が設けられている請求項1~4のいずれか1つに記載のマルチ電子ビーム装置。
  6. 前記光電膜と前記マイクロチャネルプレートの間に、前記各発光素子に対応する開口部を有する引出し電極を更に有する請求項1~5のいずれか1つに記載のマルチ電子ビーム装置。
  7. 前記引出し電極に前記光電膜より負の電位を与えて前記引出し電極を通過する電子を遮断する機構を更に有する請求項6記載のマルチ電子ビーム装置。
  8. 前記マイクロチャネルプレートの出力側に前記光電膜より負の電位を与えて電子流を一斉に遮断する機構を更に有する請求項1~7のいずれか1つに記載のマルチ電子ビーム装置。
  9. 前記マイクロチャネルプレートと前記アパーチャーアレイの間に、チャネル開口より長いチャネル長を有する加速チャネルを前記マイクロチャネルに対応する位置に配列したサプレッサプレートを更に有する請求項1~8のいずれか1つに記載のマルチ電子ビーム装置。
  10. 前記アパーチャーアレイを通過したマルチ電子ビームを加速する加速電極を更に有する請求項1~9のいずれか1つに記載のマルチ電子ビーム装置。
  11. 前記発光素子と前記光電膜の間に透明窓を有し、且つ前記光電膜から前記アパーチャーアレイまでの間に電子透過窓を有する真空容器を更に有し、
    少なくとも前記光電膜が前記真空容器中に配置されてなる請求項1~10のいずれか1つに記載のマルチ電子ビーム装置。
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