以下、本発明に係る建設機械の異常管理システムの実施形態を、建設機械を代表する油圧ショベルの異常管理システムに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図12は、本発明の第1実施形態を示している。図1において、林業グループ1には、主に森林伐採等の作業現場で稼働している複数の油圧ショベル1A~油圧ショベル1Cが所属している。これら油圧ショベル1A~1Cは、前端に木材等を把持することができるグラップル2を備えている。この場合、油圧ショベル1Aはショベル1号機、油圧ショベル1Bはショベル2号機、および油圧ショベル1Cはショベル3号機として後述のサーバコントローラ24に登録されている。
鉱山グループ3には、主に鉱石等を採掘する作業現場で稼働している複数の油圧ショベル3A~油圧ショベル3Cが所属している。これら油圧ショベル3A~3Cは、前端に土砂等を掘削することができるバケット4を備えている。この場合、油圧ショベル3Aはショベル4号機、油圧ショベル3Bはショベル5号機、および油圧ショベル3Cはショベル6号機として後述のサーバコントローラ24に登録されている。
解体グループ5には、主に建造物等を解体する作業現場で稼働している複数の油圧ショベル5A~油圧ショベル5Cが所属している。これら油圧ショベル5A~5Cは、前端にコンクリート等を破砕することができるブレーカ6を備えている。この場合、油圧ショベル5Aはショベル7号機、油圧ショベル5Bはショベル8号機、および油圧ショベル5Cはショベル9号機として後述のサーバコントローラ24に登録されている。
なお、図1では、3つのグループ1,3,5を示しているが、グループは1つ以上あればよい。また、各グループ1,3,5には、それぞれ3台の油圧ショベルが所属しているが、各グループ1,3,5に2台以上の油圧ショベルが所属していればよい。
次に、各油圧ショベル1A~1C,3A~3C、5A~5Cの制御システムについて、図2を参照して説明する。なお、各油圧ショベル1A~1C,3A~3C、5A~5Cの制御システムは、同様の構成となっているので、以下林業グループ1(油圧ショベル1A~1C)の制御システムについて説明し、他のグループ3,5についてはその説明を省略する。
車体構成部品7は、油圧ショベル1Aに搭載された搭載機器(部品)および消耗品等で、例えば排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置内のガス温度を検出する温度センサ、排気ガス浄化装置内の圧力を検出する圧力センサ、および油圧制御用の電磁比例弁等により構成されている。各車体構成部品7は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク8により後述の判定コントローラ9および情報コントローラ12等に接続されている。
判定コントローラ9は、例えばマイクロコンピュータにより構成され、車体構成部品7から出力された出力信号から各車体構成部品7の故障および不具合を判定する。判定コントローラ9により判定された判定信号は、車載ネットワーク8を介して後述の情報コントローラ12に出力される。
報知装置10は、油圧ショベル1Aの運転席(図示せず)の前方に設けられている。報知装置10は、表示器としてのモニタ10Aと、モニタ10Aに表示される画像を制御する報知コントローラ10Bと、報知コントローラ10Bに接続されモニタ10Aの表示内容を変更可能なモニタ操作装置10Cと、報知コントローラ10Bに接続されブザーを鳴動する警報器10Dとにより構成されている。
報知コントローラ10Bは、後述の情報コントローラ12からの出力信号に基づき、例えば燃料の残量、エンジン冷却水の水温、稼動時間、車内温度等の油圧ショベル1Aに関する各種の情報をモニタ10Aに表示させる。この場合、報知コントローラ10Bは、オペレータによるモニタ操作装置10Cの操作に基づき、モニタ10Aに表示される各種の情報を切換える。
また、モニタ操作装置10Cには、油圧ショベル1Aに取付けることができるオプション機能(車載機能)の取付状態または非取付状態を設定するための機能スイッチ10C1が設けられている。この機能スイッチ10C1は、ON操作することにより油圧ショベル1Aにオプション機能が取付けられていることになり、OFF操作することによりオプション機能が取外されていることになる。
また、報知コントローラ10Bは、判定コントローラ9により異常状態であると判定された車体構成部品7の情報をモニタ10Aに表示させる。この場合、報知コントローラ10Bは、情報コントローラ12から出力される報知態様の出力信号に基づき、モニタ10Aに異常箇所のアイコンをカラーで点灯または点滅させる。さらに、報知コントローラ10Bは、異常箇所の表示と共に、警報器10Dから連続音または単音等のブザーを鳴動させる。なお、モニタ10Aには、必要に応じて「α故障が発生です。」等の文字情報を表示させてもよい。ここで、本実施形態では、異常箇所が同一でも林業グループの他の油圧ショベル1B,1Cの異常状況により、異常表示およびブザーの報知態様が異なるようになっている。油圧ショベル1Aの報知態様の変化については、後述で詳しく説明する。
通信端末11は、後述する情報コントローラ12に接続され、後述の管理装置23との間で油圧ショベル1Aの情報を送信および受信する。具体的には、通信端末11は、情報コントローラ12から出力された油圧ショベル1Aを識別する固有の識別情報(例えば、1号機)、油圧ショベル1Aの位置情報、稼働情報(機器情報、運転情報、稼働時間)等を含む建設機械用の各種情報(建設機械用データ)を、通信中継局を介して管理センタ22の管理装置23に送信する。また、通信端末11は、管理センタ22から出力される報知装置10の報知態様を変化させるための指令を受信し、情報コントローラ12に出力する。
情報コントローラ12は、各車体構成部品7、判定コントローラ9、報知コントローラ10B、および通信端末11に接続されている。この情報コントローラ12は、判定コントローラ9により異常(故障)であると判定された車体構成部品7の情報を収集し、その異常情報を油圧ショベル1Aの機体情報(例えば、機種、型式、号機番号、識別番号等)と共に、通信端末11を介して管理装置23に送信(出力)する。
また、情報コントローラ12は、通信端末11が受信した異常情報の報知態様に基づく制御信号を報知コントローラ10Bに出力する。図3に示すように、情報コントローラ12の通知判定部13は、判定コントローラ9により判定された各車体構成部品7の異常情報から報知装置10への通知指令および後述の管理装置23への送信指令を判定する。そして、通知部14は、通知判定部13により判定された通知指令および送信指令に従って報知装置10および管理装置23に通知(出力)する。通知部14の送信指令は、例えば異常のある車体構成部品7のアラームとして送信部15から通信端末11を介して管理装置23に向けて出力される。
メモリ16には、機能設定テーブル16Aと通知設定テーブル16Bとが格納(記憶)されている。図6に示すように、機能設定テーブル16Aには、油圧ショベル1Aのオプション機能が取付けられているか否かのON/OFF状態が格納されている。機能設定テーブル16Aは、モニタ操作装置10Cの機能スイッチ10C1のON操作またはOFF操作に基づきテーブル読書き部17で書換え(変更)される。なお、情報コントローラ12の受信部18にコンピュータ等のサービスツール19を接続して機能設定テーブル16AのON/OFF情報を書換えてもよい。機能設定テーブル16Aの情報は、テーブル読書き部17で読込まれて送信部15から通信端末11を介して管理装置23に向けて出力される。
また、図7に示すように、通知設定テーブル16Bには、故障名、故障名に対応する点灯アイコン、点灯アイコンの色、点き方、ブザーの有無、ブザーの鳴らし方等の報知態様、および管理装置23(サーバ)への通知頻度等が格納されている。この報知態様は、早期に対応が必要な重要度(レベル)が高い異常(故障)については、オペレータに目立つように報知している。
例えば、点灯アイコンが赤色でブザーの鳴らし方が連続となっている報知態様は、点灯アイコンが黄色でブザーの鳴らし方が単音となっている報知態様よりも重要度が高いことを示している。また、重要度が高い異常については、例えば異常を検出する毎および所定の時間毎に管理装置23に送信している。また、メンテナンスを行う作業者が対応するまでもなくオペレータが対応可能な軽微な異常については、管理装置23に送信しない構成となっている。
ここで、通知設定テーブル16Bの報知態様および通知頻度は、受信部18が受信した管理装置23からの報知態様の制御信号(変更指令)に基づきテーブル読書き部17で書換え(変更)される。即ち、通知設定テーブル16Bは、油圧ショベル1Aが所属する林業グループ1の他の油圧ショベル1B,1Cの異常情報(アラーム)に基づいて書換えられる構成となっている。そして、通知部14は、判定コントローラ9により異常であると判定された故障名(車体構成部品7)に対応する報知態様をテーブル読書き部17を介して通知設定テーブル16Bから読出して報知コントローラ10Bに出力する。
次に、専用回線、公衆回線、インターネット回線、光回線、および電話回線等の通信回線20を介して各油圧ショベル1A~1Cおよびメンテナンス作業を行う作業者用のコンピュータ21等と接続されている管理センタ22について説明する。
図1に示す管理センタ22は、例えば各油圧ショベル1A~1Cから離れた位置にある基地局とも呼ばれ、各油圧ショベル1A~1Cの異常管理システムを構成する管理装置23を備えている。管理センタ22は、例えは油圧ショベル1A~1Cの製造業者の本社、支社、および工場等に設置することができる。なお、管理センタ22は、製造業者の施設に限らず、例えばサーバの運営を専門的に行うデータセンタ等に設置してもよい。さらに、管理センタ22は、例えば複数の油圧ショベルを所有する油圧ショベルのレンタル会社に設置してもよい。
管理装置23は、各油圧ショベル1A~1Cから送信されたアラーム(異常情報)に基づき各油圧ショベル1A~1Cの状態を管理している。この管理装置23は、管理サーバとも呼ばれ、例えばサーバコンピュータ、ホストコンピュータ、メインフレーム、汎用コンピュータ等の大型コンピュータにより構成されている。管理装置23には、各油圧ショベル1A~1Cのアラームに基づいて各油圧ショベル1A~1Cのアラームの重要度を算出するための制御プログラムが格納されたサーバコントローラ24が設けられている。そして、図4に示すように、サーバコントローラ24は、受信部25、送信部26、分析部27、通知変更部28、テーブル読書き部29、およびメモリ30を含んで構成されている。
サーバコントローラ24の受信部25は、各油圧ショベル1A~1Cから送信された異常情報(アラーム)を受信する。一方、送信部26は、分析部27の分析結果により異常情報の報知態様の変更が決定された場合に、その報知態様の変更指令を対応する油圧ショベル1A~1Cの通信端末11およびメンテナンス作業を行う作業者の受信端末であるコンピュータ21に送信する。
サーバコントローラ24の分析部27は、例えば油圧ショベル1Aから出力されているアラームの重要度が増加したか否かを分析する。具体的には、分析部27は、所定期間内(例えば、3日間~10日間)における油圧ショベル1Aの異常情報(例えば、アラームA)の発生率Paが各油圧ショベル1A~1Cから送信された異常情報(アラームA)の合計から算出される平均発生率Pbよりも高い値になっているか否かを分析する。
この場合、分析部27は、予め設定された時刻(例えば、午前0:00)に異常情報の重要度を分析する。また、それぞれの油圧ショベル1A~1C単位で1日に同じアラームが複数回送信されたとしてもそれぞれ1回としてカウントする。即ち、例えば油圧ショベル1AからアラームAが1日に4回送信されたとしても、アラームAの回数は1回としてカウントする。
ここで、例えば所定期間を3日と設定した場合には、油圧ショベル1Aから3日間で送信されたアラームAの合計(この場合、最大3となる)を3日間で割ったものが発生率Paとなる。一方、平均発生率Pbは、油圧ショベル1A~1Cから出力されているアラームAの合計(この場合、最大9となる)を林業グループ1の台数(この場合、油圧ショベル1A~1Cの3台)で割り、その値を3日間で割ったものである。
また、分析部27は、アラームの重要度が増加したと判定した後には、前記所定期間(Ta日)以下の日数に設定された監視期間(Tb日)内(例えば、3日間)で重要度を増加させたアラームの発生があるか否かを監視する。即ち、分析部27は、重要度が増加したアラームを発生させている油圧ショベルの異常が解消されたか否かを分析する。
また、分析部27には、機能スイッチ判定部27Aと異常増加判定部27Bとが設けられている。機能スイッチ判定部27Aは、油圧ショベル1A~1Cに設けられたモニタ操作装置10Cの機能スイッチ10C1が操作されたか否かを判定する。異常増加判定部27Bは、機能スイッチ10C1がOFF操作された後に、特定のアラームの発生が増加しているか否かを判定する。
サーバコントローラ24の通知変更部28は、分析部27により分析された結果に基づき異常情報の報知態様の変更を行う。即ち、通知変更部28は、平均発生率Pbよりも高い発生率Paとなっている油圧ショベル1A~1Cの異常情報の報知態様のレベルを引上げる。また、通知変更部28は、油圧ショベル1A~1Cの異常が解消された場合に引上げた報知態様のレベルを標準に戻す。これら報知態様の変更は、送信部26から通信回線20を介して対応する油圧ショベル1A~1Cおよびコンピュータ21に送信される。
サーバコントローラ24のテーブル読書き部29は、受信部25が受信した異常情報をメモリ30に書込む。また、テーブル読書き部29は、分析部27が異常情報の分析を行うときにメモリ30に格納された異常情報を読込む。
メモリ30には、各油圧ショベル1A~1C,3A~3C,5A~5Cの情報および各油圧ショベル1A~1C,3A~3C,5A~5Cから送信される故障情報が管理されている。そのために、メモリ30には、機体グループテーブル30A、機体情報テーブル30B、通知設定テーブル30C、顧客情報テーブル30D、およびアラームテーブル30Eが格納されている。
図8に示すように、機体グループテーブル30Aには、例えば各油圧ショベル1A~1Cが林業グループ1に所属し、各油圧ショベル3A~3Cが鉱山グループ3に所属し、各油圧ショベル5A~5Cが解体グループ5に所属するものとして作業用途毎にグループに区分けして対象機が格納されている。機体グループテーブル30Aへの書込みは、例えば林業機、鉱山機等の稼働現場の位置情報を基にして、サーバコントローラ24に接続可能な他のコンピュータ31で行うことができる。
図9に示すように、機体情報テーブル30Bには、各機能とその機能に関連するアラーム情報が格納されている。例えば、X機能に関連するアラーム情報は、アラームA、アラームB、およびアラームCに設定されている。一例を挙げると、アラームA~Cの異常情報は、例えば油圧ショベル1Aに取付けたオプション機能(アタッチメント機能)に関連する異常として設定されている。
図10に示すように、通知設定テーブル30Cには、例えば油圧ショベル1Aに対して通知変更部28が異常情報の報知態様を変更したことおよびその内容が格納されている。通知設定テーブル30Cは、テーブル読書き部29により書換えられる。具体的には、油圧ショベル1Aが発生しているアラーム(異常情報)の重要度が増加したと分析部27により分析された場合には、通知設定テーブル30Cに通知変更部28が油圧ショベル1Aおよびコンピュータ21に報知態様のレベルを引上げることを指令した日付とその内容が書込まれる。また、報知態様のレベルを引上げた後の監視期間(Tb日間)において、分析部27により異常が解消したと分析された場合には、通知設定テーブル30Cに通知変更部28が油圧ショベル1Aおよびコンピュータ21に報知態様のレベルを通常に戻したことを指令した日付とその内容が書込まれる。
図11に示すように、顧客情報テーブル30Dには、例えば顧客名、業種、住所、電話番号、顧客が所有している機体の機体ナンバー、および対象機等の顧客情報が格納されている。この顧客情報テーブル30Dは、機体の出荷時に他のコンピュータ31からその情報が書込まれる。
図12に示すように、アラームテーブル30Eには、各油圧ショベル1A~1Cから管理装置23に出力されたアラームが日付ごとに格納されている。テーブル読書き部29は、サーバコントローラ24の受信部25が受信したアラームをアラームテーブル30Eに書込む。また、テーブル読書き部29は、分析部27が異常情報の重要度の分析を行うときに、アラームテーブル30Eからその情報を読込み分析部27に出力する。
なお、図12に示すアラームテーブル30Eには、アラームの発生日のみが記憶されているが、時間を記憶してもよい。即ち、例えば同じ日付に油圧ショベル1AからアラームAが複数回送信された場合には、アラームテーブル30Eにその都度アラーム情報が記憶される。この場合、分析部27は、同じ日付で同じ油圧ショベルから出力されたアラームを1回としてカウントし、異常情報の重要度を分析する。
本実施形態による油圧ショベルの異常管理システムは上述の如き構成を有するもので、次にその動作について説明する。
林業グループ1に所属する油圧ショベル1A~1Cのオペレータは、グラップル2を操作することにより、木材を把持して木材の移動および積込作業等を行うことができる。また、鉱山グループ3に所属する油圧ショベル3A~3Cのオペレータは、バケット4を操作することにより、鉱石の掘削および積込作業を行うことができる。一方、解体グループ5に所属する油圧ショベル5A~5Cのオペレータは、ブレーカ6を操作することにより、建造物等の破砕作業を行うことができる。
ここで、各油圧ショベル1A~1C,3A~3C,5A~5Cの搭載機器に異常(不具合)が発生した場合には、その異常箇所と異常内容が報知装置10のモニタ10Aに表示されると共に、必要に応じて警報器10Dからブザー(警報音)が鳴動する。また、この異常情報は、各油圧ショベル1A~1C,3A~3C,5A~5Cを管理する管理装置23に送信される。これにより、管理者は、遠隔地で各油圧ショベル1A~1C,3A~3C,5A~5Cの状態を認識することができる。
ところで、上述した従来技術に記載された管理装置は、異常判定基準を建設機械の稼働情報および保守、点検情報から分析している。そして、管理装置は、異常判定基準を満たしている異常情報のアラーム通知を行っている。また、管理装置は、異常判定基準の見直し、変更を行い異常判定精度およびアラーム精度を向上させている。
しかし、オペレータおよびメンテナンス作業を行う作業者は、異常判定精度およびアラーム精度が向上しても、通知される多くのアラームのうちいずれのアラームが緊急性を要する重要なアラームであるかを認識するのが困難になる虞がある。
そこで、本実施形態では、管理装置23は、送信されてくる複数のアラーム(異常情報)からどのアラームの重要度が高いかを分析する。そして、管理装置23は、重要度が高いと分析されたアラームの報知態様のレベルを引上げることでオペレータおよび作業者にアラームの優先度を認識させている。
次に、管理装置23のサーバコントローラ24で行われる処理について、図5の流れ図を用いて説明する。ここで、図5の制御処理は、例えばサーバコントローラ24に通電している間、所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、サーバコントローラ24では、林業グループ1、鉱山グループ3、および解体グループ5毎で同じアラーム重要度分析処理が行われる。従って、以下林業グループ1についてのアラーム重要度分析処理について説明を行い、鉱山グループ3と解体グループ5とについてはその説明を省略する。
サーバコントローラ24に通電がされることにより、図5の制御処理が開始されると、ステップ1では、Ta日間でアラーム発生を監視する。即ち、サーバコントローラ24は、Ta日間(例えば、3日間)で受信部25が受信した各油圧ショベル1A~1Cのアラーム(異常情報)をメモリ30のアラームテーブル30Eに記憶する。
次のステップ2では、アラーム発生回数の発生率Paと、アラームの合計から平均発生率Pbとを算出する。即ち、サーバコントローラ24の分析部27は、アラームテーブル30Eに記憶されたアラーム情報に基づきTa日間でのアラーム発生回数の発生率Paを算出する。この発生率Paは、各油圧ショベル1A~1C毎に算出され、例えば油圧ショベル1Aから3日間でアラームAの発生回数が2回の場合には、発生率Pa=2回/3日(発生率Pa:66%)として算出される。
また、サーバコントローラ24の分析部27は、アラームテーブル30Eに記憶されたアラーム情報に基づき、Ta日間での各油圧ショベル1A~1Cから出力されたアラームの合計から平均発生率Pbを算出する。この平均発生率Pbは、各油圧ショベル1A~1Cから発生される各アラーム毎に算出され、例えば3日間でアラームAが各油圧ショベル1A~1Cからそれぞれ2回発生している場合には、アラームAの合計回数が6回となる。そして、アラームAの合計回数6回を油圧ショベル1A~1Cの台数(3台)で割ると1台当りの平均値が6回/3台=2回となり、3日間での平均発生率Pb=2回/3日(平均発生率Pb:66%)として算出される。
次のステップ3では、発生率Paが平均発生率Pbよりも高いか否かを判定する(Pa>Pb)。即ち、サーバコントローラ24の分析部27は、例えば各油圧ショベル1A~1C毎にアラームAについての発生率Paと平均発生率Pbとを比較する。具体的には、分析部27は、ステップ2で算出された油圧ショベル1AのアラームAの発生率Paが66%で、林業グループ1のアラームAの平均発生率Pbが66%と同じ値であるので、油圧ショベル1AのアラームAの発生率Paは平均発生率Pb以下であると分析(判定)する。
そして、ステップ3で「YES」、即ち発生率Paが平均発生率Pbよりも高いと判定された場合には、ステップ4に進む。一方、ステップ3で「NO」、即ち発生率Paが平均発生率Pb以下であると判定された場合には、ステップ5に進み、異常情報(例えば、アラームA)の報知態様の通知設定の変更を行わずに、リターンとなる。
ステップ4では、報知装置10への通知レベル引上げと、作業者への通知レベル引上げが行われる。即ち、サーバコントローラ24の通知変更部28は、発生率Paが平均発生率Pbよりも高いことにより、重要度(優先度)が増加したと分析されたアラームの報知態様を引上げる指令信号を生成する。報知装置10への指令信号は、アラームの報知態様のレベルを標準から引上げるものであり、例えば報知装置10のモニタ10Aに表示される点灯アイコンを黄色点滅から赤色点灯に変更させたり、警報器10Dから発生させるブザーを単音ブザーから連続ブザーに変更させたりして、感覚的にオペレータへの注意喚起を増加させるもので、送信部26から通信回線20を介して対応する油圧ショベルに出力される。
そして、油圧ショベル1A~1Cの情報コントローラ12は、受信部18が受信した指令信号を基に、テーブル読書き部17が通知設定テーブル16Bを報知態様のレベルを引上げたものに書換える。報知装置10は、書換えられた通知設定テーブル16Bを基にして、モニタ10Aおよび警報器10Dから異常情報の報知を行う。
一方、サーバコントローラ24の通知変更部28は、異常情報の報知態様のレベルを引上げる指令信号を生成して、送信部26からメンテナンス作業を行う作業者のコンピュータ21に向けて送信する。コンピュータ21への指令信号は、作業者がどの油圧ショベルの異常を早期に対応しなければならないかを認識することができるものである。一例を挙げると、通知変更部28は、標準の指令信号が「1号機にα故障が発生です。」というメール文章を生成するのに対し、報知態様のレベルを増加させた指令信号では「1号機にα故障が発生です。早期に対応して下さい。」というメール文章に変更する。
次のステップ6では、通知設定変更対象機の登録と通知設定変更内容の登録とを行う。即ち、サーバコントローラ24のテーブル読書き部29は、メモリ30の通知設定テーブル30Cに異常情報の報知態様のレベルを引上げた対象機、日付、変更理由、および変更内容を書込み、ステップ7に進む。
ステップ7では、レベルを引上げたアラームの未発生がTb日間連続か否かを判定する。即ち、サーバコントローラ24の分析部27は、報知態様のレベルを引上げたアラームの発生状態を監視することにより、重要度が増加した異常が解消されたか否かを分析している。そして、ステップ7で「YES」、即ちレベルを引上げたアラームの未発生がTb日間連続したと判定された場合には、ステップ8に進む。一方、ステップ7で「NO」、即ちレベルを引上げたアラームが発生していると判定された場合には、ステップ5に進み、対応するアラームの報知態様のレベルを引上げた状態を維持して、リターンする。
ステップ8では、報知装置10への通知レベルを標準に戻す。また、作業者への通知レベルを標準に戻す。即ち、サーバコントローラ24の通知変更部28は、重要度(優先度)が増加した異常が解消したものとして、通知レベルを標準(初期設定)の報知態様に戻す指令信号を生成する。油圧ショベル1A~1Cの情報コントローラ12は、受信部18が受信した指令信号を基に、テーブル読書き部17が通知設定テーブル16Bを標準に書換える(戻す)。一方、サーバコントローラ24の通知変更部28は、コンピュータ21に出力されるメール文章の通知レベルを標準(初期設定)に戻す。
次のステップ9では、通知設定変更対象機の登録解除と通知設定変更内容の登録とを行う。即ち、サーバコントローラ24のテーブル読書き部29は、メモリ30の通知設定テーブル30Cに異常情報の報知態様のレベルを引上げた対象機の登録を解除すると共に、報知態様を標準に戻した日付、変更理由、および変更内容を書込み、リターンとなる。
次に、林業グループ1の各油圧ショベル1A~1Cから出力されるアラームの重要度分析の所定期間Taを3日間とした場合に、サーバコントローラ24で行われるアラームBの重要度分析処理について、図12を参照して説明する。
まず、各油圧ショベル1A~1Cのアラームの発生率Paの算出について説明する。油圧ショベル1A(1号機)は、11月8日~11月10日までの3日間全ての日付でアラームBが出力されているので、発生率Pa=3回/3日(発生率:100%)として算出される。一方、油圧ショベル1B(2号機)は、11月10日にアラームBが出力されているので、発生率Pa=1回/3日(発生率:33%)として算出される。また、油圧ショベル1C(3号機)は、11月10日にアラームBが出力されているので、発生率Pa=1回/3日(発生率:33%)として算出される。
次に、林業グループ1のアラームBの平均発生率Pbの算出について説明する。11月8日~11月10日において、アラームBは、油圧ショベル1A~1C(1号機~3号機)から合計5回カウントされている。従って、アラームBの1台当りの平均値が5回/3台=1.6回となり、3日間でのアラームBの平均発生率Pb=1.6回/3日(平均発生率Pb:53%)として算出される。
サーバコントローラ24の分析部27は、このようにして算出された発生率Paと平均発生率Pbとを比較することにより、アラームBの重要度を分析する。まず、油圧ショベル1Aは、アラームBの発生率Paが100%であるので、平均発生率Pb=53%よりも大きくなっている。従って、油圧ショベル1AのアラームBは、林業グループ1での作業用途上発生する不具合ではなく重要度が高いものとして分析され、アラームBの報知態様のレベルが引上げられる。
一方、油圧ショベル1B,1Cは、アラームBの発生率Paが33%で平均発生率Pb=53%以下となっている。従って、油圧ショベル1B,1CのアラームBは、重要度が低いものとして分析され、アラームBの報知態様のレベルは通常を維持する。
次に、サーバコントローラ24は、異常が解消したか否かの監視期間Tbを3日間とした場合に、油圧ショベル1Aから出力されるアラームBを監視する。この場合、11月10日に油圧ショベル1AのアラームBの報知態様のレベルが引上げられているので、11月11日には、報知態様のレベルが引上げられた状態で報知装置10から異常情報が報知される。また、11月11日には、サーバコントローラ24からコンピュータ21に向けて報知態様のレベルが引上げられた内容のメールが送信される。
そして、11月12日~11月14日の連続した3日間では、油圧ショベル1AからアラームBが出力されていない。従って、サーバコントローラ24の分析部27は、油圧ショベル1AのアラームBに基づく異常が解消したものと分析して、アラームBの報知態様のレベルを標準に戻す。
かくして、本発明の第1実施形態による建設機械の異常管理システムは、異常情報を送信する通信端末11と前記異常情報を報知する報知装置10とを搭載した複数の建設機械(例えば、油圧ショベル1A~1C)から離れた位置に管理装置23を備え、前記管理装置23は、前記通信端末11からの信号を受信して前記複数の建設機械の状態を管理する構成としてなる。
そして、前記管理装置23は、前記複数の建設機械から送信された前記異常情報を受信する受信部25と、所定期間Ta内におけるそれぞれの前記建設機械の前記異常情報の発生率Paが前記複数の建設機械から送信された前記異常情報の合計から算出される平均発生率Pbよりも高い値になっているか否かを分析する分析部27と、前記平均発生率Pbよりも高い発生率Paとなっている前記建設機械の前記異常情報の報知態様のレベルを引上げる変更を行う通知変更部28と、前記通知変更部28により変更された前記報知態様を送信する送信部26とが備えられている。これにより、管理装置23は、各油圧ショベル1A~1Cから出力される複数の異常情報から重要度が高いものを分析して、複数の異常情報から対応すべき異常の優先度をつけることができる。
また、前記送信部26は、前記報知態様を前記建設機械のメンテナンスを行う作業者の受信端末(コンピュータ21)に送信する構成となっており、前記作業者の前記受信端末は、前記送信部26から送信された前記報知態様に基づき前記建設機械の前記異常情報を報知する。これにより、各油圧ショベル1A~1Cのメンテナンス作業を行う作業者は、複数の異常情報のうちどの異常を早期に対応しなければならないかを認識することができる。
また、前記送信部26は、前記報知態様を前記建設機械の前記通信端末11に送信する構成となっており、前記建設機械の前記報知装置10は、前記送信部26から送信された前記報知態様に基づき前記建設機械の前記異常情報を報知する。これにより、各油圧ショベル1A~1Cのオペレータは、複数の異常情報のうちどの異常を早期に対応しなければならないかを認識することができる。
次に、図13ないし図16は、本発明の第2実施形態を示している。第2実施形態の特徴は、油圧ショベル1A~1C,3A~3C,5A~5Cに改造を施してオプション機能を取外した場合に、管理装置23のサーバコントローラ24がそのオプション機能に関連する異常情報の報知態様のレベルを引下げることにある。なお、第2実施形態では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図13は、サーバコントローラ24が油圧ショベル1A~1Cから機能OFFの操作信号を受信したときになされる制御処理を示している。図13の制御処理は、例えばサーバコントローラ24に通電している間、所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、サーバコントローラ24では、林業グループ1、鉱山グループ3、および解体グループ5毎で同じ制御処理が行われる。従って、以下林業グループ1の油圧ショベル1Bに改造を行った場合の制御処理について説明を行い、他の油圧ショベルについてはその説明を省略する。
サーバコントローラ24に通電がされることにより、図13の制御処理が開始されると、ステップ11では、機能OFFか否かを判定する。即ち、サーバコントローラ24の分析部27の機能スイッチ判定部27Aは、油圧ショベル1Bのオプション機能であるX機能を取外す改造を行って、油圧ショベル1Bの機能スイッチ10C1が非取付状態に操作(OFF操作)されたか否かを判定する。ステップ11で「YES」、即ち機能OFFとなっていると判定された場合には、ステップ12に進む。一方、ステップ11で「NO」、即ち機能OFFとなっていないと判定された場合には、ステップ14に進む。
ステップ12では、報知装置10および作業者への通知レベルの引下げを行う。即ち、サーバコントローラ24の通知変更部28は、機能スイッチ判定部27Aにより機能スイッチ10C1が非取付状態操作されたと判定された場合に、オプション機能に関連する異常情報の報知態様のレベルを引下げる。この場合、図9に示すように、サーバコントローラ24のメモリ30に格納された機体情報テーブル30Bには、各オプション機能とそのオプション機能に関連するアラームが対応して格納されている。
通知変更部28は、油圧ショベル1Bの改造等によりX機能が取外されてX機能のOFF操作がなされた場合に、そのX機能に対応するアラームA,アラームB,アラームCの報知態様のレベルを引下げる。そして、サーバコントローラ24の通知変更部28は、送信部26から油圧ショベル1Bに向けてアラームA~Cの報知態様のレベルを引下げる指令信号を出力する。
アラームA~Cの報知態様のレベルを引下げる指令信号を受信した油圧ショベル1Bは、報知装置10によるアラームA~Cの報知態様のレベルを標準から引下げる。報知態様のレベルの引下げは、アラームA~CがX機能を取外したことが原因で発生しているので、例えばアラームA~Cの点灯アイコンを非点灯としたり、警報器10Dからのブザーの発生をなくしたりすることができる。
また、通知変更部28は、コンピュータ21に送信するアラームのうち油圧ショベル1BのアラームA~Cの報知態様を引下げる。一例を挙げると、油圧ショベル1BのアラームA~Cについては、アラームA~CがX機能を取外したことが原因で発生しているのでコンピュータ21にアラームA~Cを非送信とすることができる。
次のステップ13では、通知設定変更対象機の登録と通知設定変更内容の登録を行う。即ち、サーバコントローラ24のテーブル読書き部29は、メモリ30の通知設定テーブル30C1に異常情報の報知態様のレベルを引下げた対象機、日付、変更理由、および変更内容を書込む。具体的には、例えば12月20日に油圧ショベル1B(2号機)のX機能の機能スイッチ10C1がOFF操作された場合には、12月20日にアラームA~Cの報知態様が機能OFFによりレベルダウンしたことおよび変更内容として点灯アイコンを非点灯とし、かつブザーなしに変更したことが登録され、リターンとなる。
ステップ14では、通知設定変更対象機か否かを判定する。即ち、サーバコントローラ24の分析部27は、テーブル読書き部29により通知設定テーブル30C1を読込んで、過去に通知レベルが引下げられた機種か否かを判定する。ステップ14で「YES」、即ち通知設定変更対象機であると判定された場合には、ステップ15に進む。一方、ステップ14で「NO」、即ち通知設定変更対象機でないと判定された場合には、ステップ16に進み、報知装置10および作業者への通知レベルを標準に維持して、リターンとなる。
ステップ17では、通知設定変更対象機登録解除と通知設定変更内容登録とを行う。即ち、サーバコントローラ24のテーブル読書き部29は、メモリ30の通知設定テーブル30C1に異常情報の報知態様のレベルを引下げた対象機の登録を解除すると共に、報知態様を標準に戻した日付、変更理由、および変更内容を書込み、リターンとなる。
次に、オプション機能が機能OFFになったと判定されて、図13のステップ13により通知設定変更が登録された後に、サーバコントローラ24が監視する異常情報について、図14を参照して説明する。
まず、図14中のステップ21では、Tc日間でアラームの発生を監視する。即ち、サーバコントローラ24の分析部27は、機能スイッチ10C1が機能OFFに操作された油圧ショベル1A~1Cから出力されるアラームをTc日間(例えば、3日~10日)で監視する。
次のステップ22では、アラーム発生回数を集計して、機能ON/OFF前,後でのアラームの発生率Pcを演算する。即ち、サーバコントローラ24の分析部27は、機能OFFとなったオプション機能に関連するアラーム以外のアラームを集計して、アラーム発生率Pcを演算する。例えば、X機能が機能OFFとなっている場合には、X機能に関連するアラームA~C以外のアラームの発生率Pcを演算して、ステップ23に進む。
ステップ23では、機能OFF後に発生率Pcが上がったアラームがあるか否かを判定する。即ち、分析部27の異常増加判定部27Bは、機能スイッチ10C1が非取付状態に操作された場合に、機能スイッチ10C1操作後の所定期間Tc内でオプション機能に関連する異常情報以外の異常情報の発生率Pcが増加しているか否かを判定する。この異常増加判定は、機能スイッチ10C1の操作前の所定期間(所定日数)と機能スイッチ10C1操作後の所定期間Tcとで比較することができる。
そして、ステップ23で「YES」、即ち機能OFF後に発生率Pcが上がったアラームが発生していると判定された場合には、ステップ24に進む。一方、ステップ23で「NO」、即ち機能OFF後に発生率Pcが上がったアラームが発生していないと判定された場合には、リターンとなる。
ステップ24では、対応するアラームを作業者に通知する。即ち、サーバコントローラ24の送信部26は、異常増加判定部27Bにより発生率Pcが増加していると判定された異常情報をコンピュータ21に向けて送信して、リターンとなる。そして、作業者は、コンピュータ21を確認することにより、油圧ショベル1BからX機能を取外す改造を行ったことが原因で、油圧ショベル1Bに異常が発生していることを認識することができる。
次に、林業グループ1の油圧ショベル1B(2号機)からオプション機能であるX機能を取外した場合に監視する所定期間Tcを3日間とした場合に、サーバコントローラ24で行われるアラームの異常増加判定処理について、図16に示すアラームテーブル30E1を参照して説明する。
まず、12月20に油圧ショベル1BからX機能を取外す改造が行われて、機能スイッチ10C1のX機能がOFF操作された場合には、油圧ショベル1Bから管理装置23のサーバコントローラ24にX機能がOFFとなった制御信号が出力される。この場合、X機能は、例えば油圧ショベル1Bに取付可能なアタッチメント等であり、作業現場においてこのアタッチメントを使用しない場合にはアタッチメントの駆動弁等を取外す改造が行われる。
X機能がOFFとなった制御信号を受信したサーバコントローラ24は、X機能に関連する異常情報(アラームA,アラームB,アラームC)の報知態様のレベルを引下げる。これにより、サーバコントローラ24は、12月20日以降において油圧ショベル1Bから出力されるアラームA~CはX機能を取外した改造に起因するものであると分析する。
従って、図16に示すように、サーバコントローラ24は、12月20日に油圧ショベル1Bから出力されたアラームB、12月21日に油圧ショベル1Bから出力されたアラームA、および12月22日に油圧ショベル1Bから出力されたアラームCの集計は行わない。
一方、サーバコントローラ24は、12月20日~12月22日の3日間(Tc=3日間)において、油圧ショベル1Bから出力されるアラームA~C以外のアラームの発生を監視する。即ち、図16に示すように、サーバコントローラ24の分析部27は、12月22日に油圧ショベル1Bの改造後の3日間でアラームA~C以外のアラームDが3回発生していることを集計する。分析部27の異常増加判定部27Bは、改造前である12月19日以前よりもアラームDの発生率Pcが増加していると判定する。
そして、サーバコントローラ24の送信部26は、コンピュータ21に向けて、例えば「X機能OFFとなった油圧ショベル2号機からアラームDが発生しています。」等のメール文章を送信する。作業者は、コンピュータ21でこのメール文章を確認することにより、油圧ショベル1Bの改造により、他の部品に不具合が発生しているかもしれないことを認識することができる。
その後、油圧ショベル1BにX機能が取付けられて、X機能の機能スイッチ10C1がON操作された場合には、X機能ONの制御信号が油圧ショベル1Bからサーバコントローラ24に出力される。サーバコントローラ24は、X機能ONの制御信号を受信すると、通知変更部28が引下げられたアラームA~Cを標準に戻す指令信号を生成して、テーブル読書き部29が通知設定テーブル30C1に標準に戻したことを書込む。
また、サーバコントローラ24の通知変更部28は、送信部26から油圧ショベル1Bに向けてアラームA~Cを標準に戻す指令信号を出力する。油圧ショベル1Bは、標準に戻す指令信号を受信すると、テーブル読書き部17により通知設定テーブル16Bを標準に書換える。これにより、油圧ショベル1BにアラームA~Cの異常が発生したときには、報知装置10から標準の報知態様で異常情報の報知がなされる。
かくして、第2実施形態では、複数の建設機械には、オプション機能の取付状態または非取付状態を設定する機能スイッチ10C1がそれぞれ設けられており、前記管理装置23の前記分析部27には、前記機能スイッチ10C1が前記非取付状態に操作されたか否かを判定する機能スイッチ判定部27Aが備えられ、前記管理装置23の前記通知変更部28は、前記機能スイッチ判定部27Aにより前記機能スイッチ10C1が前記非取付状態に操作されたと判定された場合に、前記オプション機能に関連する前記異常情報の前記報知態様のレベルを引下げる。これにより、管理装置23は、オプション機能に関連する異常情報のレベルを引下げて、複数の異常情報から対応すべき異常の優先度をつけることができる。
また、前記管理装置23の前記分析部27には、前記機能スイッチ10C1が前記非取付状態に操作された場合に、前記機能スイッチ10C1操作後の所定期間Tc内で前記オプション機能に関連する前記異常情報以外の異常情報の発生率Pcが増加しているか否かを判定する異常増加判定部27Bが備えられ、前記送信部26は、前記異常増加判定部27Bにより前記発生率Pcが増加していると判定された前記異常情報を送信する。これにより、管理装置23は、油圧ショベル1A~1C,3A~3C,5A~5Cのオプション機能を取外したことによる他の部品の不具合を分析して、メンテナンス作業を行う作業者等に出力することができる。
なお、上述した第1実施形態では、管理装置23からコンピュータ21にメール文章を送信した場合について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばコンピュータ21に各油圧ショベルの対象機を表示して、報知装置10と同様の報知態様としてもよい。このことは、第2実施形態についても同様である。
また、上述した第1実施形態では、メンテナンス作業を行う作業者の受信端末をコンピュータ21とした場合について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば受信端末として作業者が用いる携帯端末としてもよい。このことは、第2実施形態についても同様である。
また、上述した第2実施形態では、異常情報の報知態様のレベルの引下げた場合に、報知装置10は、点灯アイコンの非点灯、ブザーの非発生とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば報知装置10は、目立たたない態様で点灯アイコンの点灯、点滅、およびブザーの発生をさせ、かつオプション機能が取外されたことによりこれらの報知がなされていることが分かるようにしてもよい。
上述した各実施形態では、建設機械として、油圧ショベル1A~1C,3A~3C,5A~5Cを例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイールローダ、油圧クレーン、ダンプトラック等、各種の建設機械に広く適用することができる。