JP4711321B2 - 双方向通信を用いた作業機械のメンテナンスシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、双方向通信を用いた作業機械のメンテナンスシステムに関し、特に、油圧ショベル等の建設用作業機械にメンテナンス(維持・管理・保守)に適した双方向通信を用いた作業機械のメンテナンスシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
建設機械の代表例である油圧ショベルでは、故障を未然に防ぐため、サービス員によって定期的に消耗品やオイルの交換等の定期点検を行っている。サービス員は、油圧ショベルの配備された作業現場に出向き、エンジンの排気温度、排気圧、冷却水温、エンジン回転数、作動油温、油圧等の複数項目にわたり、データを測定し、故障の前兆を読み取り、定期点検の交換項目にない部品についても交換メンテナンスを行い、故障の発生を予防している。しかし、故障の前兆をデータから読み取るには経験とノウハウが必要となり、各サービス員の熟練度により偏りが出るおそれがある。
【0003】
そこで、このような問題に対応すべく、特開2000−259729号公報に開示される作業機械の管理システムが提案されている。この管理システムは、多数の作業機械の各々において、稼働状態を稼働データとして検出して稼働データ通信装置から定期的にサポートセンタへ稼働データを送信し、またサービス員が定期点検あるいは故障修理の後に携帯端末を用いてあるいは所属事務所に戻りそこの端末装置(コンピュータ)を経由して定期点検あるいは故障修理の情報に係るデータをサポートセンタへ送信し、他方、サポートセンタでは送信されてきたデータを整理してメインデータベースに格納するように構成されている。上記の稼働データのサポートセンタへの送信は、サービス員が、上記稼働データ通信装置と携帯端末および有線通信手段を利用して、または、上記稼働データ通信装置と事務所のコンピュータおよび無線通信手段を利用して行われるか、あるいは上記稼働データ通信装置から衛星通信を利用して直接的に行われる。さらにサポートセンタでは、コンピュータ(演算処理部)が、多数の作業機械に関してメインデータベースに格納された稼働データ、定期点検データ、および故障修理データを用いて因果関係を統計的に演算処理し、故障予測レポートを自動的に作成し、メインデータベースに格納する。当該故障予測レポートは、インターネットを経由して、関連する各部署との間で送受できるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開2000−259729号公報に開示される前述の作業機械の管理システムによれば、メインデータベースに格納された稼働データと、定期点検および故障修理の作業に係るデータとに基づいて、故障予測の精度を向上したメンテナンスサービスを提供することができる。サービス員が送信する定期点検データおよび故障修理データは、サービス員または所属事務所の事務員によるコンピュータへの手入力に基づいてメインデータベースに与えられる。
【0005】
ここで問題となるのは、通常、サービス員は故障修理の作業後に現場であるいは事務所に戻って故障修理データをコンピュータへ入力するが、修理作業後に他の作業現場に出かけたりして入力をうっかり忘れたり、作業現場で携帯端末を利用して入力する場合にも機種・号機等の入力ミスが発生する可能性がある。
【0006】
上記のごとき入力ミスが人為的に発生すると、サポートセンタにおけるメインデータベースに記憶されるデータが不正確になる。その結果、上記のごとく作成される故障予測レポートの内容の精度が低下すると共に、メンテナンスが行われていない作業機械に対してメンテナンス完了というデータが生じ、メンテナンスが実際には適切に行われない事態が発生し、さらに作業機械において予測しない故障が発生する可能性が生じる。
【0007】
また各作業機械に関して前記故障予測レポートに基づいてメンテナンスの必要な時期が到来すると、サポートセンタの担当者が作業機械側の管理者等のメンテナンスの必要性を電話等で知らせるようにしているが、この場合にも、人手によるため、通知の遅延や未通知の発生等の問題が生じた。
【0008】
本発明の目的は、上記の問題点を解決することにあり、管理を行うセンタサーバ(サポートセンタ)と作業現場にある作業機械との間で双方向通信に基づき、作業機械側からセンタサーバ側へメンテナンス管理用のデータを送信するときに自動化を図り、サービス員等の手入力をできるだけ少なくし、入力ミスを低減し、サービス員等の作業工数を少なくし、さらにセンタサーバから作業機械側へのメンテナンス時期の通知等も自動化して人手による通知の遅延や未通知の発生を防止するようにした双方向通信を用いた作業機械のメンテナンスシステムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る双方向通信を用いた作業機械のメンテナンスシステムは、上記目的を達成するため、次のように構成される。
【0010】
本発明に係るメンテナンスシステム(請求項1に対応)は次の構成を有する。
このメンテナンスシステムは、作業機械は、稼働データとメンテナンスデータ(メンテナンス作業項目に係るデータ)を格納する稼働データ記憶手段と、稼働データとメンテナンスデータをセンタサーバ(管理サーバ)に送信するデータ送信手段(通信装置)と、センタサーバから送信されてくるメンテナンス情報に係るデータ(メンテナンス作業指令に係るデータ)を受信するデータ受信手段(通信装置)と、メンテナンス作業指令を表示する表示装置を備え、
センタサーバは、送信された稼働データとメンテナンスデータを受信するデータ受信手段(通信受信部)と、稼働データを格納する稼働データベースと、メンテナンスデータを格納するメンテナンスデータベースと、メンテナンス情報に係るデータを作業機械へ送信するデータ送信手段(通信送信部)とを備え、
複数の作業機械の各々との間で通信回線を経由して双方向通信でデータの送受を行い、複数の作業機械をセンタサーバで管理し、複数の作業機械の個々の保守を行うメンテナンスシステムであり、
センタサーバは、さらに、稼働データベースにおいて機種および号機毎に分けて設けられたファイルに整理して格納される稼働データとメンテナンスデータベースにおいて機種および号機毎に分けて設けられたファイルに整理して格納されるメンテナンスデータとを統計的に処理することにより得られるメンテナンス基準に基づいて、各機種・号機毎にメンテナンス必要部位とメンテナンス必要部位毎のメンテナンス時期を算出する算出手段を備え、作業機械へ送信されるメンテナンス情報はメンテナンス必要部位とメンテナンス時期を含み、
作業機械は、メンテナンス作業指令に係るデータを受信すると、メンテナンス作業指令の内容を表示装置に表示し、
作業機械はさらにメンテナンス作業完了を入力するオン・オフ式のスイッチを備え、作業機械側で表示装置に表示されたメンテナンス作業指令の内容に含まれるメンテナンス必要部位とメンテナンス時期に基づきメンテナンス作業を完了し、その後にスイッチがオン操作されるとき、データ送信手段は、自動的に、スイッチから与えられるメンテナンス作業完了データと共に、稼働データとメンテナンスデータをセンタサーバに送信する。
【0011】
上記のメンテナンスシステムによれば、作業機械側にメンテナンス完了のためのオン・オフ式のスイッチを備えており、部品等の交換や故障修理等のメンテナンス作業を終了し、その後でこのメンテナンス完了スイッチをオン操作すると、メンテンナンスデータ(メンテナンス作業項目に係るデータ)等が自動的に作業機械から電気通信回線を経由してセンタサーバ側へ送信される。メンテナンスデータは、センタサーバにおいて、メンテナンスデータベースに格納され、保存される。他方、センタサーバにはメンテナンス時期算出部が設けられ、作業機械側から送られてくる稼働データと上記のメンテナンスデータを利用してメンテナンス必要部位とメンテナンス時期が算出される。この際には、稼働データベースにおいて機種および号機毎に分けて設けられたファイルに整理して格納される稼働データと、メンテナンスデータベースにおいて機種および号機毎に分けて設けられたファイルに整理して格納されるメンテナンスデータとを、統計的に処理することにより得られるメンテナンス基準に基づいて、各機種・号機毎にメンテナンス必要部位とメンテナンス必要部位毎のメンテナンス時期が算出される。このメンテナンス必要部位とメンテナンス時期を含むメンテナンス情報に係るデータ(メンテナンス作業指令に係るデータ)は、メンテナンス情報として作業機械側に送信され、作業機械に設けられた表示装置の画面にメンテナンス作業指令として表示され、メンテナンス作業を行うことをオペレータに促す。作業機械側からセンタサーバへのメンテナンスデータの送信を自動化することにより、正確なメンテナンスデータがセンタサーバへ送信される。またセンタサーバ側から作業機械へのメンテナンス情報(メンテナンス必要部位およびメンテナンス時期を含む)への送信を自動化することにより、作業機械側で確実にメンテナンス作業を実行させることができる。
【0012】
本発明に係るメンテナンスシステム(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、操作手段により完了情報が入力されるメンテナンス作業は故障修理作業を含み、メンテナンスデータには作業機械における故障箇所データが含まれることを特徴とする。センタサーバ側からのメンテナンス作業の指示とは別に、作業機械側で故障が生じ、修理の必要が生じたときにも、メンテナンス完了スイッチである操作手段を利用して故障修理の情報をセンタサーバ側へ送信し、当該情報の正確な内容をメンテナンスデータとしてデータベースとして記録しておくことが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
実施形態で説明される構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値については例示にすぎない。従って本発明は、以下に説明される実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0015】
図1は本発明に係る作業機械のメンテナンスシステムの全体構成を示す。メンテナンスの対象となる作業機械の一例として3台の油圧ショベル11A,11B,11Cが示されている。作業機械は油圧ショベルに限定されない。実際にこのメンテナンスシステムでは多数の油圧ショベルが管理され、メンテナンス(維持・管理・保守)されているが、説明の便宜上、1号機、2号機、3号機の3台の油圧ショベル11A〜11Cのみが示されている。各油圧ショベルはそれぞれの作業現場に配置されている。油圧ショベル11A〜11Cの各々は、後述するごとく本実施形態によるメンテナンスシステムで管理される観点から同じ構成のメンテナンスモニタ装置を備えている。油圧ショベル11A〜11Cのそれぞれは、コンピュータで構成される制御装置を搭載し、当該制御装置は、通信装置、稼働制御部、演算処理部、記憶部等を備える。油圧ショベル11A〜11Cは、その制御装置に基づき、電気通信回線を経由して外部と情報の送受を行えるように構成されている。上記構成を有する制御装置に基づいて前述のメンテナンスモニタ装置が実現される。
【0016】
上記の複数台の油圧ショベル11A〜11Cに対してこれらの油圧ショベルのメンテナンスを管理するための管理サーバ(またはセンタサーバ)12が設けられる。遠隔地である作業現場に配備される油圧ショベル11A〜11Cに対して、管理サーバ12は基地局に配備される。管理サーバ12は、メーカ、レンタル会社、販売会社、メンテナンス管理会社などによって運営される。管理サーバ12では、コンピュータ13、各種の入力装置14、表示装置(ディスプレイ)15、稼働データを記憶する稼働データベース16、メンテナンスデータ(定期点検によるデータ、故障修理データ、部品や消耗品の交換等)を記憶するメンテナンスデータベース17を備えている。管理サーバ12のコンピュータ13は、機能部分として、通信装置、演算処理部を有し、電気通信回線を経由して遠隔の地にある油圧ショベル11A〜11Cのそれぞれと情報(指令、データ等)の送受を行う。
【0017】
油圧ショベル11A〜11Cと管理サーバ12の間には電気通信回線(データ通信経路)が設けられている。電気通信回線は、通信衛星18、地上局19、公衆回線またはインターネット20から構成される。油圧ショベル11A〜11Cと管理サーバ12は、各々の通信装置を介し、かつ上記構成の電気通信回路を経由して双方向にて通信を行えるように構成されている。
【0018】
図1において、矢印21,22,23,24は通信が行われている状態が示されている。これらは一例である。
【0019】
矢印21は油圧ショベル11Aから管理サーバ12に対して通信衛星18と地上局19等を経由して稼働データ25を送信している状態を示す。ブロックで示された稼働データ25は、油圧ショベル11Aのエンジン回転数、作動油温、ラジエータ水温、ポンプ圧等の頻度分布に係るデータである。稼働データ25は、油圧ショベル11Aにおいて、作業を行うための稼働状態を各種の稼働センサを通して制御装置において得たもので、稼働データはその記憶部に格納されている。稼働データは上記メンテナンスモニタ装置で収集され保存されている。稼働データは、油圧ショベル11Aの制御装置および通信装置により定期的にまたは必要に応じて随時に管理サーバ12側へ送信され、稼働データベース16に記録される。
【0020】
矢印22は、油圧ショベル11Bに対して管理サーバ12からメンテナンスに関する指令が送信されている状態を示す。このメンテナンスに関する指令の内容は、油圧ショベル11Bの運転室内に設けられた車載表示装置26に例えば「オイル交換してください」というメッセージが表示される。図1では車載表示装置26は誇張して拡大して示されている。
【0021】
さらに矢印23は、油圧ショベル11Cに設けられたメンテナンス完了スイッチ27がサービス員またはオペレータ28によってオン操作されたときにメンテナンス完了信号を管理サーバ12側へ送信する状態29を示している。サービス員は、例えば車載表示装置26に表示された項目についてメンテナンス作業を行い、作業が完了した時点でメンテナンス完了スイッチ27を押す。その結果、そのときの稼働時間とメンテナンス作業項目が管理サーバ12に自動的に送信され、管理サーバ12のメンテナンスデータベース17にその内容が記録される。
【0022】
上記のごとく各作業現場に配置された油圧ショベル11A〜11Cの各々と管理サーバ12との間では、双方向通信に基づいて必要なデータや指令が送受される。
【0023】
また管理サーバ12に対してはインターネット30を介してユーザ31はインターネット端末装置32を利用してアクセスできる。ユーザ31は油圧ショベル11A〜11Cのいずれかに関連する者達である。ユーザ31は管理サーバ12で用意されるメンテナンス情報提供用のホームページにアクセスし、IDおよびパスワードを入力して情報アクセスの認証を受け、自身に関連する油圧ショベル等のメンテナンス情報を入手することができる。
【0024】
図2に従って油圧ショベル11A〜11Cに設けられるメンテナンスモニタ装置の具体的構成を説明する。
【0025】
メンテナンスモニタ装置41は、コンピュータから成る制御装置42で実現される。制御装置42は、CPU43、記憶部(メモリ)44、センサ入力インターフェース(I/F)45、表示インターフェース(I/F)46,および通信インターフェース(I/F)47から構成される。油圧ショベルのエンジン、油圧系統、燃料供給系統等の機械各部に稼働センサ48が配置され、これらの稼働センサ48が検出した稼働に関する信号はセンサ入力インターフェース45を介してCPU43に入力される。CPU43は入力された各種の稼働信号に基づく稼働データを記憶部44に格納する。記憶部44には各種処理のためのプログラムとデータが記憶されている。記憶されるデータには、上記稼働データの他に機種・号機のデータ、メンテナンスデータおよびメンテナンス情報が含まれる。油圧ショベルの運転室には前述のメンテナンス完了スイッチ27が設けられる。メンテナンス完了スイッチ27におけるオン操作信号はCPU43に入力される。制御装置42は、表示装置49を備える。この表示装置49は図1に示した車載表示装置に対応するものである。CPU43から表示インターフェース46を経由して表示されるべきデータが送られ、表示装置49の画面にメンテナンスに係る情報の表示が行われる。メンテナンスモニタ装置41は通信装置50を備える。通信装置50はデータ通信端末を形成する。通信装置50を介して制御装置42と管理サーバ12との間で各種のデータの送受が行われる。通信装置50は通信インターフェース47を介してCPU43と接続されている。
【0026】
上記構成を有するメンテナンスモニタ装置42によって実行される処理の詳細は、管理サーバ12との通信関係に基づき後述される。
【0027】
次に図3に従って管理サーバ12の構成および内部で実行される要部処理を詳述する。図3において、管理サーバ12は、データ記憶部として前述のごとく稼働データベース(稼働DB)16とメンテナンスデータベース(メンテナンスDB)17を備えている。油圧ショベル11A〜11Cから電気通信回線を経由して管理サーバ12に対して送信されてくる各種のデータは、管理サーバ12の通信受信部51によって受信される。通信受信部51を通過した後、稼働データは稼働データベース16に格納(記録)される。稼働データベース16において、稼働データは、機種および号機ごとに分けて設けられたファイル16aに整理されて記録される。またメンテナンスデータも、メンテナンスデータベース17において、機種および号機ごとに分けて設けられたファイル17aに整理されて記録される。管理サーバ12の前述のコンピュータ13では、メンテナンス時期算出部52が機能手段として設けられている。メンテナンス時期算出部52は、多数の油圧ショベルの稼働データおよびメンテナンスデータを統計的に処理することにより得られたメンテナンス基準に基づいて、適時のタイミングで、各機種・号機ごとに機械各部(メンテナンス必要部位)のメンテナンス(修理、部品等の交換)の時期を算出する。メンテナンス時期算出部52で算出された各機種・号機ごとのメンテナンス時期に関するデータは、通信送信部53を経由し、前述の電気通信回路を介して対応する機種・号機の油圧ショベルへ送信される。
【0028】
次に油圧ショベル11A〜11Cの各々に設けられたメンテナンスモニタ装置41と管理サーバ12との間の双方向通信に基づくデータの送受に関する処理の内容を説明する。
【0029】
各油圧ショベルでは、そのメンテナンスモニタ装置41によって、日々稼働している機械部分の稼働状態を、稼働データとして、所定の時間タイミングで格納処理されている(ステップS11)。この稼働データの記録処理では、CPU43が、前述した各種の稼働センサ48を経由して稼働信号を取り込み、稼働データとして記憶部44に格納する。記憶部44に格納された稼働データは、機種・号機の情報が付加された状態で格納されている。記憶部44において一定期間の稼働データが格納された状態で、定期的に(例えばエンジン稼働時間で100時間ごと)、CPU43は記憶部44に格納された稼働データを管理サーバ12に対して送信する処理を行う(ステップS12)。稼働データの送信は、CPU43の処理に基づき通信インターフェース47と通信装置50、前述の通信衛星18等の電気通信回線を経由して行われる(送信手順P11)。送信される稼働データには、対応する油圧ショベルに関する機種・号機のデータが付加されている。
【0030】
管理サーバ12側では、油圧ショベルのメンテンナンスモニタ装置41から稼働データの送信(送信手順P11)を通信受信部51で受けると、受信した稼働データを機種・号機別にして稼働データベース16に格納する(ステップS21)。次に前述のごとくメンテナンス時期算出部52にて予め決められた基準による算出式に基づいてメンテナンス必要部位ごとにメンテナンス時期が算出される(ステップS22)。メンテナンス時期の算出処理では、メンテナンスデータベース17に記録された処理内容が参考にされ、前述の算出処理に使用される。算出されたメンテナンス時期のデータにはメンテナンス必要部位が関連付けられている。メンテナンス時期算出処理(ステップS22)で得られたメンテナンス時期に関するデータは、関連する指令(メッセージ)と共に、メンテナンス情報として通信送信部53を経て、対応する油圧ショベルのメンテナンスモニタ装置41へ送信される(ステップS23)。メンテナンス情報は、管理サーバ12からメンテナンスモニタ装置41へ前述した電気通信回線を経て送信される(送信手順P12)。
【0031】
メンテナンスモニタ装置41では、管理サーバ12から送られてくるメンテナンス情報を通信装置50および通信インターフェース47を経由してCPU43に取り込み、CPU43はメンテナンス情報を表示インターフェース46を介して表示装置49に表示させる(ステップS13)。表示装置49における表示態様の一例が、図1示した油圧ショベル11Bに設けられた車載表示装置26に示されている。
【0032】
次の段階では、油圧ショベルでは、管理サーバ12から送られてくるメンテナンス情報に従ってメンテナンス作業がサービス員によって行われる。通常、油圧ショベルのオペレータが、車体の表示装置49に表示された内容を見て、メンテナンス項目と時期を確認し、サービス員(あるいは整備担当者)にメンテナンス作業を依頼する。サービス員は表示装置49によって表示されたメンテナンス作業を行い、メンテナンス作業が完了すると(ステップS14)、サービス員によって作業完了を知らせるためのメンテナンス完了スイッチ27がオン操作される。メンテナンス完了スイッチ27がオン操作されると、CPU43にはオン信号が入力されるので、CPU43では作業完了スイッチ検出処理が行われる(ステップS15)。作業完了スイッチ検出処理が行われると、CPU43は、メンテナンスデータを管理サーバ12に対して送信する処理を行う(ステップS16)。このメンテナンスデータ送信処理では、機種・号機、メンテナンス項目、稼働時間等のデータが記憶部44から読み出され、通信インターフェース47と通信装置50、電気通信回線を経由して管理サーバ12へ送信される(送信手順P13)。管理サーバ12は、受信したメンテナンスデータをメンテナンスデータベース17に記録する。記録されたメンテナンスデータは、次回のメンテナンス時期算出処理S22の基本データに付加され、次のメンテナンス予測算出に反映される。
【0033】
上記の構成において、メンテナンスモニタ装置41の表示装置46に複数のメンテナンス情報を表示させるように構成することもできる。提示された複数のメンテナンス情報の各々に関してメンテナンス作業が行われる。メンテナンス作業完了のスイッチ27による作業完了を知らせるオン操作は、メンテナンス作業ごとに行ってもよいし、一連のメンテナンス作業がすべて完了した状態で行ってもよい。
【0034】
さらに上記の構成において、メンテナンス完了スイッチ27により完了情報が入力されるメンテナンス作業は故障修理作業を含ませることができ、メンテナンスデータには油圧ショベルにおける故障箇所データが含ませることができる。管理サーバ12側から指示されたメンテナンス作業とは別に、油圧ショベル側で故障が生じ、修理の必要が生じたときにも、メンテナンス完了スイッチ27を利用して故障修理の情報を管理サーバ12側へ送信し、メンテナンスデータベースとして記録しておくことができる。
【0035】
前述したメンテナンスモニタ装置41と管理サーバ12との間の双方向通信に基づくデータの送受は、油圧ショベル11A〜11Cの各々と管理サーバ12との間において個別に行われる。
【0036】
上記の実施形態では油圧ショベルの例で説明したが、作業機械は油圧ショベルには限定されない。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、センタサーバと複数の作業機械の各々との間で通信衛星やインターネット等の電気通信回線を経由して双方向の通信を行えるように構成され、作業機械にメンテナンス管理に必要なメンテナンスデータを収集し記憶部に格納するメンテナンスモニタ装置を備え、メンテナンス作業が完了したと同時に完了を知らせる操作手段を操作したときにメンテナンスデータを自動的にセンタサーバ側に送信するようにしたため、従来サービス員等が行っていた手入力作業をなくし、自動化することにより確実にメンテナンスデータを送信することができる。
【0038】
またセンタサーバ側では、データベースに格納された稼働データとメンテナンスデータを利用して各作業機械ごとにメンテナンス必要部位とメンテナンス時期をメンテナンス情報として作成し、対応する作業機械に送信し、オペレータに提示するようにしたため、確実にメンテナンス作業を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る作業機械のメンテナンスシステムの全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】油圧ショベルに搭載されたメンテナンスモニタ装置のブロック構成図である。
【図3】管理サーバ内の要部の構成と処理を示すブロック構成図である。
【図4】油圧ショベルのメンテナンスモニタ装置と管理サーバとの間の双方向のデータ送受を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11A,11B,11C 油圧ショベル
12 管理サーバ
16 稼働データベース
17 メンテナンスデータベース
18 通信衛星
27 メンテナンス完了スイッチ
41 メンテナンスモニタ装置
42 制御装置
43 CPU
44 記憶部
48 稼働センサ
49 表示装置
52 メンテナンス時期算出部
Claims (2)
- 作業機械は、稼働データとメンテナンス作業項目に係るデータを格納する稼働データ記憶手段と、前記稼働データと前記メンテナンス作業項目に係るデータを前記センタサーバに送信するデータ送信手段と、前記センタサーバから送信されてくるメンテナンス作業指令に係るデータを受信するデータ受信手段と、前記メンテナンス作業指令を表示する表示装置を備え、
前記センタサーバは、送信された前記稼働データと前記メンテナンス作業項目に係るデータを受信するデータ受信手段と、前記稼働データを格納する稼働データベースと、前記メンテナンス作業項目に係るデータを格納するメンテナンスデータベースと、前記メンテナンス作業指令に係るデータを前記作業機械へ送信するデータ送信手段とを備え、
複数の前記作業機械の各々との間で通信回線を経由して双方向通信でデータの送受を行い、前記複数の作業機械を前記センタサーバで管理し、前記複数の作業機械の個々の保守を行うメンテナンスシステムにおいて、
前記センタサーバは、さらに、前記稼働データベースにおいて機種および号機毎に分けて設けられたファイルに整理して格納される前記稼働データと前記メンテナンスデータベースにおいて機種および号機毎に分けて設けられたファイルに整理して格納される前記メンテナンス作業項目に係るデータとを統計的に処理することにより得られるメンテナンス基準に基づいて、各機種・号機毎にメンテナンス必要部位と前記メンテナンス必要部位毎のメンテナンス時期を算出する算出手段を備え、前記作業機械へ送信される前記メンテナンス作業指令に係るデータは前記メンテナンス必要部位と前記メンテナンス時期を含み、
前記作業機械は、メンテナンス作業指令に係るデータを受信すると、前記メンテナンス作業指令の内容を前記表示装置に表示し、
前記作業機械はさらにメンテナンス作業完了を入力するオン・オフ式のスイッチを備え、前記作業機械側で前記表示装置に表示された前記メンテナンス作業指令の内容に含まれる前記メンテナンス必要部位と前記メンテナンス時期に従ってメンテナンス作業を完了し、その後に前記スイッチがオン操作されるとき、前記データ送信手段は、自動的に、前記スイッチから与えられるメンテナンス作業完了データと共に、前記稼働データと前記メンテナンス作業項目に係るデータを前記センタサーバに送信する、
ことを特徴とする双方向通信を用いた作業機械のメンテナンスシステム。 - 前記スイッチにより完了情報が入力されるメンテナンス作業は故障修理作業を含み、前記メンテナンス作業項目に係るデータには前記作業機械における故障箇所データが含まれることを特徴とする請求項1記載の双方向通信を用いた作業機械のメンテナンスシステム。
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