JP7111342B2 - ガラス繊維紡糸用ノズルプレート、当該ガラス繊維紡糸用ノズルプレートを有するガラス溶融炉、及び当該ガラス溶融炉を用いたガラス繊維紡糸方法 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、約1.0μm以上約6.0μm未満のガラス繊維を、毛羽の発生を低減させ、かつ、生産性良く製造可能なガラス繊維紡糸用ノズルプレート、当該ガラス繊維紡糸用ノズルプレートを有するガラス溶融炉、及び当該ガラス溶融炉を用いたガラス繊維紡糸方法を提供することを目的とする。
溶融ガラスを受ける板状部と、
前記板状部を貫通する貫通孔を内部に有して前記板状部から突出し、前記板状部が受けた溶融ガラスを吐出させるノズルと、
を備え、
前記ノズルのノズル内径d1が0.9mm以上1.0mm以下であり、
前記ノズル内径d1に対する、前記ノズルのノズル外径d2の比(ノズル外径d2/ノズル内径d1)が1.85以上2.20以下である点にある。
一方、ノズル内径d1が0.9mm未満の場合には、ノズル内径d1が相対的に小さく、ノズルからの溶融ガラスの吐出量が少ない。そのため、所望の繊維径のガラス繊維を得るためには、ノズルからの溶融ガラスの吐出量を確保するためにノズルに供給する溶融ガラスの溶融温度(ノズル温度)を高くする必要がある。これにより、溶融ガラスの粘性を小さくし、ノズルからの溶融ガラスの吐出量を増加させる。しかし、ガラスの溶融温度が高いため、ガラス原料を過剰に高温で溶融することにより発生するリボイル泡が発生しやすくなる。よって、溶融ガラス内にリボイル泡が入り込んで吐出されたガラス繊維が破断等しやすくなり、ガラス繊維として、毛羽の発生を低減させて、かつ、生産性良く製造することが困難となる。
(ノズル外径d2/ノズル内径d1)が大きいことは、ノズル外径d2とノズル内径d1との差であるノズル肉厚が大きいことを意味する。
(ノズル外径d2/ノズル内径d1)を1.85以上2.20以下とすることにより、ノズルからノズルプレート面への溶融ガラス濡れの発生をより抑制し、ノズル自体の強度を高めてノズルプレートの寿命を延ばしつつ、ノズルの発熱性をより向上させることにより溶融ガラスの溶融温度とノズル温度との差をより小さくすることができる。これによりガラス原料を過剰に高温で溶融することにより発生するリボイル泡の発生をより低減させ、約1.0μm以上約6.0μm未満の繊維径のガラス繊維をより生産性よく得ることができ、より品質の良い所望の繊維径のガラス繊維を得ることができる。
前記ノズル内径d1が0.9mm以上0.95mm以下である点にある。
前記ノズル内径d1に対する前記ノズル外径d2の比(ノズル外径d2/ノズル内径d1)が1.9以上2.1以下である点にある。
前記貫通孔の少なくとも一部には、上下方向に沿って直線状に延びる直線部が形成されている点にある。
前記貫通孔は、前記板状部に連通する上端に、前記直線部に向かって幅が狭まるテーパが形成されたテーパ部を有する点にある。
前記上下方向において、前記直線部の長さI5に対する前記テーパ部の長さI4の比(テーパ部の長さI4/直線部の長さI5)が0.035~0.060である点にある。
ノズル外径d2とノズル内径d1との差に対する、前記板状部からのノズル突出長さとの比(ノズル突出長さI1/(ノズル外径d2-ノズル内径d1))が、4.5以上5.5以下であり、
前記板状部の厚みI3に対する、前記板状部の上面から前記ノズルの先端までの長さI2との比(板状部の上面からノズルの先端までの長さI2/板状部の厚みI3)が、4.0以上5.5以下である点にある。
前記ノズルは、繊維径が3.0μm以上5.0μm以下のガラス繊維を吐出させる点にある。
ガラス材料が投入される投入口と、
前記投入口に連続し、投入されたガラス材料を溶融して溶融ガラスを生成する溶融部と、
前記溶融部の下部に設けられ、前記溶融ガラスを吐出する上記ノズルプレートと、
前記溶融部及び前記ノズルプレートを加熱する加熱手段と、
を備える点にある。
上記に記載のガラス溶融炉を用い、繊維径が1.0μm以上6.0μm未満のガラス繊維を紡糸するガラス繊維紡糸方法であって、
前記ノズルプレートに設けられた前記ノズルからのガラス繊維の紡糸速度が、2500m/min以上3200m/min以下である紡糸速度条件と、
前記加熱手段により加熱された前記ノズルのノズル温度が、1260℃以上1300℃以下であるノズル温度条件と、
前記加熱手段により加熱された前記ガラス溶融炉におけるガラスの溶融温度が、1530℃以上1580℃以下である溶融温度条件と、
の少なくとも一の条件に基づいた点にある。
本発明に係るガラス繊維紡糸用ノズルプレートを有するガラス繊維束製造装置の実施形態について、図面を参照して説明する。まずはガラス繊維束製造装置の全体構成について図1~図3を用いて説明する。
図1、図2に示すように、ガラス繊維束製造装置300は、ガラス材料を溶融するガラス溶融炉100と、溶融ガラスを紡糸してガラス繊維を製造する紡糸装置200とを備えている。なお、図1、図2では、ガラス溶融炉100内を視認可能なように、側壁の一部を省略している。
図1、図2に示すように、ガラス溶融炉100は、ガラス材料が投入される投入口10と、投入されたガラス材料を溶融する領域である溶融部20と、溶融された溶融ガラスを吐出する複数のノズル40が形成されたノズルプレート30とを備えている。
ガラス溶融炉100の上部には、ガラス材料を投入するための投入口10が設けられている。投入口10は、上下方向に貫通する筒体により形成されており、溶融部20の上端部に連結されている。また、投入口10は、上面視において例えば溶融部20よりも小さく形成されており、これによって、投入口10による溶融部20の開口を小さくすることができ、溶融部20内の温度の低下を抑制できる。
溶融部20は、投入口10から投入されたガラス材料を溶融する筐体を備えている。この筐体は、図3に示すように、左右方向に対向する1組の側壁101a、101bと、前後方向に対向する101c、101dと、上部壁102とが組み合わされ、下部にノズルプレート30が配置されることで、内部空間を有する概ね直方体状に形成されている。そして、この溶融部20は、後述する耐火材料で形成されている。また、図1、図2に示すように溶融部20の内部空間には、上から下方に並ぶ、後述の第1部材50及び第2部材60が配置されており、内部空間は、これら第1及び第2部材50、60により、上から順に第1領域21、第2領域23及び第3領域25に仕切られている。また、この溶融部20には、ガラス材料を溶融するための加熱手段70が設けられている。以下、溶融部20を構成する部材について、詳細に説明する。
図1~図3に示すように、溶融部20の右側及び左側の側壁101a、101bそれぞれには、加熱手段70a、70bが設けられている。加熱手段70a、70bそれぞれは電極の端子を含み、図示しない電源から電圧が印加される。これにより、ガラス溶融炉100には、加熱手段70a、70b間の方向、つまり左右方向に沿った電流が流れ、溶融部20が加熱される。加熱手段70は、溶融部20に電圧を印加して溶融部20内のガラス材料の溶融温度を調整し、例えばガラス材料の粘度が400ポイズ以下となるように加熱する。また、加熱手段70は、筐体の内部に加え、ノズルプレート30を加熱することで、ノズル40のノズル温度を調整し、ノズル40から吐出されるガラス繊維の紡糸速度及び繊維の太さ等を調整するように構成されている。
図1、図2に示すように、第1部材50は、第1領域21と第2領域23との間に配置されている。図4に示すように、第1部材50は、直方体状の溶融部20の形状に対応して、長方形状の板状に形成されている。より詳細に説明すると、第1部材50は、板状面が左右方向に沿うように、溶融部20の側壁101a~101dに、例えば溶接等により取り付けられている。この第1部材50は、図1、図2、図4に示すように、側面視において、V字状に形成されている。すなわち、左右方向の中央部51から右端部52a及び左端部52bにいくにしたがって上方に向かうように傾斜しており、右端部52a及び左端部52bは、左右の側壁101a、101bに連結されている。そして、右端部52aには、前後方向に並ぶ開口53a(開口53a1及び開口53a2)が形成され、左端部52bにも、前後方向に並ぶ開口53b(開口53b1及び開口53b2)が形成されている。
図1、図2に示すように、第2部材60は、第2領域23と第3領域25との間に配置されている。図5に示すように、第2部材60は、直方体状の溶融部20の形状に対応して、長方形状の板状に形成されている。第2部材60は、板状面が左右方向に沿うように、例えば溶接等により溶融部20の側壁101a~101dに取り付けられている。この第2部材60は、図1、図2、図5に示すように、側面視において、左右方向の中央部61から右端部62a及び左端部62bに向かうほど、上方に傾斜している。言い換えれば、第2部材60の中央部61は、右端部62a及び左端部62bよりも下部のノズルプレート30に近い。
図1、図2に示すように、溶融部20の第3領域25の底部には、ノズルプレート30が設けられている。図6、図7に示すように、ノズルプレート30は、直方体状の溶融部20の形状に対応して、長方形状の板状に形成され所定の厚みI3を有する板状部31と、板状部31から下方に突出する複数のノズル40とを有している。板状部31は、板状面が左右方向に沿うように、例えば溶接等により溶融部20の側壁101a~101dに取り付けられており、溶融部20の底壁を構成している。
本実施形態では、ノズル40から所望の約1.0μm以上約6.0μm未満の繊維径のガラス繊維、特に、相対的に細い約3.0μm~約5.0μmの繊維径のガラス繊維を製造するために、ノズル40のノズル内径d1等を調整した。
そして、紡糸速度が速くなるように調整し、ノズルから吐出するガラス繊維を速く引っ張り、繊維径を細くする実験を試みた。紡糸速度を調整する方法としては、後述の紡糸装置200の巻取りローラ211の回転速度を速くする方法等がある。しかし、紡糸速度を速くするほど、例えば、ガラス繊維には大きな引張張力(紡糸張力)が加わり、ガラス繊維と紡糸装置200等との接触抵抗も大きくなり、ガラス繊維が破断してしまった。結果として、所望の繊維径のガラス繊維を所望の長さで得ることができなかった。また、紡糸速度を速くした上で、ノズル40に供給する溶融ガラスの温度を高くして粘性を低下させて紡糸を試みた。しかし、所望の繊維径のガラス繊維を所望の長さで得ることができなかった。
そこで、発明者らはノズル内径d1を調整して所望のガラス繊維を得ることを試みた。その結果、所望の繊維径のガラス繊維を所望の長さで得ることができた。
発明者らは、鋭意工夫の上で、紡糸速度等の調整ではなくノズル内径d1を調整することで、所望の約1.0μm以上約6.0μm未満の繊維径のガラス繊維、特に、相対的に細い約3.0μm~約5.0μmの繊維径のガラス繊維を得ることができることを見出した。さらに、発明者らは、特に、ノズル内径d1を約0.9mm以上約1.0mm以下とすることで、所望の繊維径のガラス繊維を毛羽の発生を低減させて、かつ、生産性良く所望の長さで得ることができることを見出した。
ノズル40において、(ノズル外径d2/ノズル内径d1)を約1.85以上約2.20以下とすることで、所望の約1.0μm以上約6.0μm未満の繊維径のガラス繊維、特に、相対的に細い約3.0μm~約5.0μmの繊維径のガラス繊維をより生産性よく得ることができる。
(ノズル外径d2/ノズル内径d1)が大きいことは、ノズル外径d2とノズル内径d1との差であるノズル肉厚が大きいことを意味する。
なお、(ノズル外径d2/ノズル内径d1)は、ノズル40の先端での比であるのが好ましい。
ノズル40において、(テーパ部41aの長さI4/直線部41bの長さI5)が約0.035~約0.060であると好ましい。この場合、テーパ部41aの長さI4が直線部41bの長さI5に比べて短い。よって、板状部31に受けられた溶融ガラスは、テーパ部41aを経ることで直線部41bに効率よく導入されつつ、相対的に長い直線部41bを通流することで、通流の際の溶融ガラスとノズル40の内表面との接触抵抗を小さくできる。よって、溶融ガラスが下方に向かって冷却される際に破断するなどのダメージをより一層小さくできる。また、溶融ガラスが受ける接触抵抗が小さく負担が小さいため、品質において優れるガラス繊維が製造されるため、引張強度の向上及びタフネスの向上の少なくともいずれかを達しやすくなる。
一方、(テーパ部41aの長さ/直線部41bの長さ)が0.035未満の場合にはテーパ部41aの長さが相対的に短くなり、板状部31の溶融ガラスを直線部41bに効率よく導入しにくくなる。
(ノズル突出長さI1/(ノズル外径d2-ノズル内径d1))を約4.5以上約5.5以下とし、及び、(板状部31の上面からノズル40の先端までの長さI2/板状部31の厚みI3)を約4.0以上約5.5以下に設定することで、所望の約1.0μm以上約6.0μm未満のガラス繊維を安定して得ることができる。
ノズル40から吐出されるガラス繊維の紡糸速度条件が、約2500m/min以上約3200m/min以下であるのが好ましい。紡糸速度を調整する方法としては、紡糸装置200の巻取りローラ211の回転速度を速くしたり遅くしたりする方法等がある。
また、ノズル40のノズル温度条件が、約1260℃以上約1300℃以下であるのが好ましい。
また、溶融部20におけるガラスの溶融温度条件が、約1530℃以上約1580℃以下であるのが好ましい。
次にノズル40から溶融ガラスを吐出させてガラス繊維を紡糸する紡糸装置200について説明する。紡糸装置200は、ノズル40から吐出したガラス繊維に集束剤を塗布する集束剤トレイ201と、ガラス繊維を所定数のガラス繊維束に束ねる集束機構202と、ガラス繊維を綾振りする綾振り機構206と、ガラス繊維束を巻き取る巻取りローラ211とを備えている。
巻取りローラ211は、所定の回転軸を中心として回転しており、回転速さ及び回転駆動力等が調整される。これにより、ノズル40から吐出する溶融ガラスの紡糸張力(引張張力)及び紡糸速度が調整されて繊維束が巻き取られる。
次に、ガラス溶融炉100にガラス材料が投入されてから、ノズル40からガラス繊維が吐出され、紡糸装置200で巻き取られるまでの流れについて説明する。
まず、ガラス溶融炉100の溶融部20の第1領域21には、投入口10から次々とガラス材料が投入され、ガラス材料が溶融される。そのため、第1領域21は、ガラス材料、溶融途中のガラス材料及び溶融ガラスにより満たされている。溶融部20には、加熱手段70(70a、70b)により電圧が印加されており、溶融部20の第1領域21は、ガラス材料を溶融するために、ガラス材料の軟化点以上の温度、好ましくはノズル温度以上の温度、より好ましくはノズル温度以上の温度であって、かつ、ガラス材料の粘性を400ポイズ以下とする温度、さらに好ましくはノズル温度以上の温度であって、ガラス材料の粘性を100ポイズ以下とする温度が挙げられ、例えば、1500℃以上1650℃以下、好ましくは1530℃以上1580℃以下に加熱されている。なお、本発明において、溶融温度とは、ガラス溶融炉20内における溶融ガラスが最も高くなる温度である。
ガラス材料を溶融するため、少なくともガラス溶融炉100のうち溶融部20は、耐火材料で形成されている。耐火材料としては、例えば、白金元素単体からなる金属;ロジウム元素単体からなる金属;パラジウム元素単体からなる金属;金元素単体からなる金属;白金元素を含む金属化合物;ロジウム元素を含む金属化合物;パラジウム元素を含む金属化合物;金元素を含む金属化合物;白金元素、ロジウム元素、パラジウム元素及び金元素からなる群より選ばれる2種以上からなる合金;並びに耐火煉瓦からなる群から選択される少なくとも1つが含まれる。また、耐火材料としては、その他、モリブデン、黒鉛、酸化スズ、セラミック、アルミナ、酸化クロム、マグネシア、ジルコン、ジルコニア、酸化イットリウムからなる群から選択される少なくとも1つが含まれる。また、耐火材料としては、上記に記載した材料の組み合わせも含まれ、例えば、複数の材料による合金を耐火材料として用いてもよい。また、複数の耐火材料を各層として組み合わせてもよく、例えば、耐火煉瓦を外壁とする炉において、その内壁に白金又は白金-ロジウム合金等の板材や被膜が形成されてもよい。
ガラス溶融炉100に投入されるガラス材料には、粉末等のガラス原料(ガラス材料を構成するガラス組成物の成分、例えばSiO2、Al2O3、MgO等の各酸化物等、を含む。)、及び固形ガラス等が含まれる。また、固形ガラスは、粉末等のガラス原料を溶融して、例えば棒状、球状、フレーク状、鱗片状等の所定の形状に成形したガラスである。また、ガラス製品がガラス繊維であって、所謂ダイレクトメルト方式により生産され、ガラス溶融炉100をブッシングに適用する場合は、ガラス溶融炉100に投入されるガラス材料として、流動可能な溶融状態の溶融ガラスとすることもできる。
本発明のガラスヤーンは、Eガラス組成物から構成されるガラス繊維からなるガラスヤーンであって、
前記ガラス繊維の繊維径が3.0μm以上5.0μm以下であり、
前記ガラスヤーンの引張強度(N/tex)が0.80N/tex以上であり、
前記ガラスヤーンのタフネス(MJ/m3)が33MJ/m3以上である。
(6-1)実施例
実施例1
ガラス材料としてはEガラスを用いた。ノズル突出長さI1=5mm、ノズル内径d1=0.95mmであり、ノズル外径d2/ノズル内径d1=2.00、ノズル数=200個のノズルプレート(35mm×400mm)を用いた。紡糸速度3000m/minにて約4.0μmの50本のフィラメント(各ノズル40から吐出される1本のガラス繊維)を集束しガラスストランドを巻き取り、該ガラスストランドを巻き返して撚糸し、撚り数を0.5Zとしたガラスヤーンを製造した。製造されたガラスヤーンについて、毛羽、引張強度、タフネスを測定した。
引張強度(N/tex)の測定方法は次の通りである。JIS R 3420:2013 7.4.3に準じ、測定には島津製作所社製のオートグラフ(AGS-100S)を用い、半径13mmの円形クランプを用い、試験速度を250mm/分、つかみ間隔を250mmとして測定される引張強さ(N)を、得られたガラスヤーンの番手(tex)で除することにより求めた。
タフネス(MJ/m3)は、前記ガラスヤーンの引張強度の測定により得られたS-Sカーブの面積から求めた。具体的に、100ms間隔にてプロットしたS-Sカーブの立ち上がり点及び破断点(最大引張強さの点)の範囲において、隣り合う2点のプロットの引張強さの値(N)をそれぞれ上底及び下底、伸び(mm)を高さとし台形の面積を求め、範囲内全ての面積を加算しタフネス((MJ/m3)とした。
生産性は、連続して1週間紡糸運転し、当該期間の1時間あたりの紡糸糸切れ回数で評価した。1時間あたりの紡糸糸切れ回数が0.2回/hr以下を合格とした。
リボイル泡の発生の評価は、紡糸の際にガラス原料投入口から目視により評価した。
ノズル内径d1=0.90mm、ノズル外径d2/ノズル内径d1=2.11とした以外は、実施例1と同様にガラス繊維を製造し、毛羽、引張強度、タフネスを測定した。
ノズル内径d1=0.90mm、ノズル外径d2/ノズル内径d1=2.11とし、紡糸速度2500m/minとした以外は、実施例1と同様にガラス繊維を製造し、毛羽、引張強度、タフネスを測定した。
比較例1
ノズル内径d1=1.05mm、ノズル外径d2/ノズル内径d1=1.81とした以外は、実施例1と同様にガラス繊維を製造し、毛羽、引張強度、タフネスを測定した。
ノズル内径d1=0.85mm、ノズル外径d2/ノズル内径d1=2.23とした以外は、実施例1と同様にガラス繊維を製造し、毛羽、引張強度、タフネスを測定した。
比較例2では、ノズル内径d1が約0.9mm未満であったことから、リボイル泡発生が強く認められ、当該リボイル泡に起因して、所望の約1.0μm以上約6.0μm未満のガラス繊維を毛羽の発生を低減させ、かつ、生産性良く製造することが困難であった。
なお、上述の実施形態(他の実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
また、上記実施形態では、貫通孔41は上下方向に延びる直線部41bを有している。しかし、貫通孔41から所望の繊維径のガラス繊維を吐出できればよく、直線部41bは上下方向に対して傾斜を有していてもよい。例えば、直線部41bは、下方から上方に向かう傾斜方向が上下方向に対して、例えば約5~10°程度であってもよい。
31 :板状部
40 :ノズル
41 :貫通孔
70 :加熱手段
100 :ガラス溶融炉
200 :紡糸装置
300 :ガラス繊維束製造装置
Claims (10)
- ガラス繊維紡糸用ノズルプレートであって、
溶融ガラスを受ける板状部と、
前記板状部を貫通する貫通孔を内部に有して前記板状部から突出し、前記板状部が受けた溶融ガラスを吐出させるノズルと、
を備え、
前記ノズルのノズル内径d1が0.9mm以上1.0mm以下であり、
前記ノズル内径d1に対する、前記ノズルのノズル外径d2の比(ノズル外径d2/ノズル内径d1)が1.85以上2.20以下である、ガラス繊維紡糸用ノズルプレート。 - 前記ノズル内径d1が0.9mm以上0.95mm以下である、請求項1に記載のガラス繊維紡糸用ノズルプレート。
- 前記ノズル内径d1に対する前記ノズル外径d2の比(ノズル外径d2/ノズル内径d1)が1.9以上2.1以下である、請求項1又は2に記載のガラス繊維紡糸用ノズルプレート。
- 前記貫通孔の少なくとも一部には、上下方向に沿って直線状に延びる直線部が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス繊維紡糸用ノズルプレート。
- 前記貫通孔は、前記板状部に連通する上端に、前記直線部に向かって幅が狭まるテーパが形成されたテーパ部を有する、請求項4に記載のガラス繊維紡糸用ノズルプレート。
- 前記上下方向において、前記直線部の長さI5に対する前記テーパ部の長さI4の比(テーパ部の長さI4/直線部の長さI5)が0.035~0.060である、請求項5に記載のガラス繊維紡糸用ノズルプレート。
- ノズル外径d2とノズル内径d1との差に対する、前記板状部からのノズル突出長さI1との比(ノズル突出長さI1/(ノズル外径d2-ノズル内径d1))が、4.5以上5.5以下であり、
前記板状部の厚みI3に対する、前記板状部の上面から前記ノズルの先端までの長さI2との比(板状部の上面からノズルの先端までの長さI2/板状部の厚みI3)が、4.0以上5.5以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のガラス繊維紡糸用ノズルプレート。 - 前記ノズルは、繊維径が3.0μm以上5.0μm以下のガラス繊維を吐出させる、請求項1~7のいずれか1項に記載のガラス繊維紡糸用ノズルプレート。
- ガラス材料が投入される投入口と、
前記投入口に連続し、投入されたガラス材料を溶融して溶融ガラスを生成する溶融部と、
前記溶融部の下部に設けられ、前記溶融ガラスを吐出する請求項1~8のいずれか1項に記載のノズルプレートと、
前記溶融部及び前記ノズルプレートを加熱する加熱手段と、
を備える、ガラス溶融炉。 - 請求項9に記載のガラス溶融炉を用い、繊維径が1.0μm以上6.0μm未満のガラス繊維を紡糸するガラス繊維紡糸方法であって、
前記ノズルプレートに設けられた前記ノズルからのガラス繊維の紡糸速度が、2500m/min以上3200m/min以下である紡糸速度条件と、
前記加熱手段により加熱された前記ノズルのノズル温度が、1260℃以上1300℃以下であるノズル温度条件と、
前記加熱手段により加熱された前記ガラス溶融炉におけるガラスの溶融温度が、1530℃以上1580℃以下である溶融温度条件と、
の少なくとも一の条件に基づいたガラス繊維紡糸方法。
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