JP7110867B2 - 金属粉末製造装置と金属粉末の製造方法 - Google Patents

金属粉末製造装置と金属粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属粉末製造装置と金属粉末の製造方法に関する。
たとえば特許文献1に示すように、いわゆるガスアトマイズ法を用いて金属粉末を製造する金属粉末製造装置とその装置を用いた製造方法が知られている。従来の装置は、溶融金属を吐出する溶融金属供給容器と、この溶融金属供給容器の下方に設置される筒体と、溶融金属供給部から吐出された溶融金属を冷却する冷却液の流れを、筒体の内面に形成する冷却液導出部と、を有する。
冷却液導出部は、冷却用筒体の内面の接線方向に向けて冷却液を噴射し、冷却液を冷却容器の内面に旋回させながら流下させることにより、冷却液層を形成している。冷却液層を用いることで、溶滴を急冷し、高機能性の金属粉末を製造することができることが期待されている。
しかしながら、従来の装置では、冷却用筒体の内面に形成される旋回流の冷却液層に向けて溶融金属の溶滴を供給して急冷する構成であるために、溶滴が冷却液層に接触するまでの飛行時間が長いという課題を有している。また、冷却液層が筒体の内面に形成されると、冷却された金属粒子が筒体の内面に接触するおそれもある。高品質な金属粉末を得るためには、溶滴が冷却液層に接触するまでの飛行時間が短く、しかも冷却された金属粉末が筒体の内面などに接触しないことが好ましい。
特開平11-80812号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、高品質な金属粉末を製造することができる金属粉末製造装置と、それを用いる金属粉末の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る金属粉末製造装置は、
溶融金属を吐出する溶融金属供給部と、
前記溶融金属供給部の下方に設置される筒体と、
前記溶融金属供給部から吐出された前記溶融金属を冷却する冷却液の流れを、前記筒体の内部に形成する冷却液導出部と、を有する金属粉末製造装置であって、
前記冷却液導出部が、前記筒体の軸芯方向の上部に具備してあり、内部に、外側空間部と、内側空間部と、これらの外側空間部と内側空間部とを連絡する通路部と、を有し、
前記冷却液導出部は、前記内側空間の内周面形状を規定する枠体を持ち、
前記外側空間部には、ノズルが連結してあり、
前記通路部は、前記外側空間部の上下幅よりも狭い上下幅を持ち、前記ノズルからの前記冷却液を前記外側空間部から前記内側空間部に向けて通過させるように構成してあり、
前記通路部から前記内側空間部に吐出された前記冷却液が、前記枠体の流路内周面に沿って流れ、前記内側空間部の冷却液吐出部から前記筒体の中心部に向けて逆円錐状に流れるように、前記筒体の内周面には流路偏向面が形成してあることを特徴とする。
好ましくは、前記通路部は、前記外側空間部の前記軸芯方向の上部に具備してある。
好ましくは、前記通路部の上下幅(W1)が、前記外側空間部の上下幅(W2)より狭く、1/2以下である。
好ましくは、前記通路部の上下幅(W1)が、前記冷却液吐出部の径方向幅(D1)よりも狭く、1/2以下である。
好ましくは、前記冷却液吐出部の径方向幅(D1)が前記内側空間部の主要部の径方向幅(D2)よりも狭く、2/3以下である。
好ましくは、前記内側空間部の径方向幅は、前記内側空間部の主要部から前記冷却液吐出部に向けて徐々に狭くなるように、前記筒体の内周面には、前記流路偏向面として、凹状の第1曲率面が形成してある。
好ましくは、前記内側空間部の径方向幅は、前記内側空間部の主要部から前記通路部に向けて徐々に狭くなるように、前記枠体の基端側流路内周面には、凹状の第2曲率面が形成してある。
好ましくは、前記溶融金属供給部と前記筒体との間には、前記溶融金属供給部から吐出された溶融金属にガスを吹き付けて前記溶融金属を多数の溶滴にするガス吹付部材が配置してあり、
前記ガス吹付部材で溶滴にされた前記溶融金属が前記筒体の内部に入り込むように構成してある。
上記目的を達成するために、本発明に係る金属粉末の製造方法は、
溶融金属供給部の下方に設置される筒体の内面に冷却液の流れを形成する工程と、
前記溶融金属供給部から溶融金属を前記冷却液の流れに向けて吐出する工程と、を有する金属粉末の製造方法であって、
上記のいずれかに記載の金属粉末製造装置を用いて、
前記外側空間部の前記冷却液を、前記外側空間部の幅よりも狭い上下幅の通路部を通過させ、
前記通路部を通過した前記冷却液を、前記内側空間を規定する前記枠体の流路内周面と、前記筒体の内周面に具備してある流路偏向面とに沿って、前記筒体の中心部に向けて逆円錐状に流すことを特徴とする。
図1Aは本発明の一実施形態に係る金属粉末製造装置の軸芯を含む概略断面図である。 図1Bは図1Aに示す金属粉末製造装置の要部拡大断面図である。 図2Aは本発明の他の実施形態に係る金属粉末製造装置の軸芯を含む概略断面図である。 図2Bは図2Aに示す金属粉末製造装置の要部拡大断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
図1Aに示すように、本発明の一実施形態に係る金属粉末製造装置10は、溶融金属21をアトマイズ法(ガスアトマイズ法)により粉末化して、多数の金属粒子で構成された金属粉末を得るための装置である。この装置10は、溶融金属供給部20と、金属供給部20の鉛直方向の下方に配置してある冷却部30とを有する。図面において、鉛直方向は、Z軸に沿う方向である。
溶融金属供給部20は、溶融金属21を収容する耐熱性容器22を有する。耐熱性容器22の外周には、加熱用コイル24が配置してあり、容器22の内部に収容してある溶融金属21を加熱して溶融状態に維持するようになっている。容器22の底部には、吐出口23が形成してあり、そこから、冷却部30を構成する筒体32の内面33に向けて、溶融金属21が滴下溶融金属21aとして吐出されるようになっている。
容器22の外底壁の外側部には、吐出口23を囲むように、ガス噴射ノズル26が配置してある。ガス噴射ノズル26には、ガス噴射口27が具備してある。ガス噴射口27からは、吐出口23から吐出された滴下溶融金属21aに向けて高圧ガスが噴射される。高圧ガスは、吐出口23から吐出された溶融金属の周囲全周から斜め下方向に向けて噴射され、滴下溶融金属21aは、多数の溶滴となり、ガスの流れに沿って筒体32の内面に向けて運ばれる。
溶融金属21は、いかなる元素を含んでいてもよく、たとえば、Ti、Fe、Si、B、Cr、P、Cu、Nb、Zrの少なくともいずれかを含んでいるものも用いることができる。これらの元素は活性が高く、これらの元素を含む溶融金属21は、短時間の空気との接触により、容易に酸化して酸化膜を形成してしまい、微細化することが困難とされている。金属粉末製造装置10は、上述したようにガス噴射ノズル26のガス噴射口27から噴射するガスとして不活性ガスを用いることで、酸化しやすい溶融金属21であっても容易に粉末化することができる。
ガス噴射口27から噴射されるガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス、あるいはアンモニア分解ガス等の還元性ガスが好ましいが、溶融金属21が酸化しにくい金属であれば空気であってもよい。
本実施形態では、筒体32の軸心Oは、鉛直線Zに対して所定角度θ1で傾斜してある。所定角度θ1としては、特に限定されないが、好ましくは、0~45度である。このような角度範囲とすることで、吐出口23からの滴下溶融金属21aを、筒体32の内部で逆円錐状に形成してある冷却液流れ50に向けて吐出させ易くなる。
逆円錐状の冷却液流れ50に吐出された滴下溶融金属51は、冷却液流れ50に衝突し、さらに分断され微細化されるとともに冷却固化され、固体状の金属粉末となる。筒体32の軸心Oに沿って下方には、排出部34が設けられ、冷却液流れ50に含まれる金属粉末を冷却液と共に、外部に排出可能になっている。冷却液と共に排出された金属粉末は、外部の貯留槽などで、冷却液と分離されて取り出される。なお、冷却液としては、特に限定されないが、冷却水が用いられる。
本実施形態では、筒体32の軸芯O方向の上部には、冷却液を筒体32の内部に導入するための冷却液導入部(冷却液導出部)36が具備してある。なお、冷却液導入部36は、筒体32の上部から筒体32の内部に向けて冷却液を吐出するという観点からは、冷却液導出部とも定義できる。
図1Bにも示すように、冷却液導入部36は、少なくとも枠体38を有し、冷却液導入部36の内部に、筒体32の径方向の外側に位置する外側部(外側空間部)44と、筒体32の径方向の内側に位置する内側部(内側空間部)46とを有する。外側部44と内側部46とは、仕切部40で仕切られ、仕切部40の軸芯O方向の上部に形成してある通路部42で、外側部44と内側部46とは、連絡しており、冷却液が流通可能になっている。なお、図1Aに示すように、外側部44では、仕切部40は、軸芯Oに対してθ2の角度で傾斜している。角度θ2は、0~90度の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、0~45度である。内側部46では、仕切部46の壁面は、筒体32の内面33と面一であることが好ましいが、必ずしも面一である必要は無く、多少傾斜していても段差が形成されていても良い。
外側部44には、単一または複数のノズル37が接続してあり、ノズル37から冷却液が外側部44に入り込むようになっている。また、内側部46の軸芯O方向の下方には、冷却液吐出部52が形成してあり、そこから内側部46内の冷却液が筒体32の内部に吐出(導出)されるようになっている。
本実施形態では、冷却液導入部36の枠体38は、筒体32の軸芯O方向の上部に配置され、筒体32の内径より小さな外径を有する円筒形状を持つ。枠体38の外周面が、内側部46内の冷却液の流れを案内する流路内周面38bとなる。枠体38の軸芯O方向の上部は、軸芯Oに略垂直な平面を持つリング状の上板部39の内周端に連結しており、上板部39の外周端は、筒状の側板部44aの上端に連結している。側板部44aの内径は、筒体32の外径よりも大きいことが好ましい。上板部39の外周端の近傍には、単一または複数のノズル37が接続してある。
側板部44aの軸芯O方向の下端は、軸芯Oに略垂直な内面を持つリング状の底板部44bの外周端に連結してある。底板部44bの内周端は、筒体32の上端部に連結してある。筒体32の上端には、仕切部40が取り付けてあり、仕切部40が、外側部44の空間と内側部46の空間とを仕切っている。なお、筒体32の上端自体が仕切部40を構成していてもよい。仕切部40と底板部44bと側板部44aと上板部39で囲まれる空間が外側部44を規定している。
また、仕切部40と上板部39と枠体38と筒体32とで囲まれる空間が内側部46を規定しており、枠体38は、内側部46の内周面形状を規定するようになっている。また、上板部39は、内側部46の天井面形状を規定するようにっている。また、上板部39は、内側部46から通路部42を跨いで外側部44にまで伸びて、外側部44の天井面形状も規定するようになっている。
これらの外側部44と内側部46との間は、仕切部40の軸芯O方向の上部に設けられた通路部42により連通している。通路部42は、冷却液導入部36の上板部39と仕切部40の上端との間の隙間であり、その軸芯O方向の上下幅W1(図1A参照)は、外側部44の軸芯O方向の上下幅W2よりも狭い。W1/W2は、好ましくは1/2以下、さらに好ましくは、1/3以下である。
本実施形態では、冷却液導入部36の外側部36には、ノズル37が接続してある。ノズルを、冷却液導入部36の外側部44に接続することで、ノズル37から冷却液導入部36の内部にある外側部44の内部に冷却液が入り込む。外側部44の内部に入り込んだ冷却液は、通路部42を通り、内側部46の内部に入り込む。
枠体38は、筒体32の内面33よりも小さな内径を有し、筒体32の軸芯O方向の上部内面33には、枠体38の下端38aに向けて突出する流路偏向部材60が取り付けてある。流路偏向部材60は、全体としてはリング形状であり、流路偏向部材60の内周面には、流路偏向面62が形成してある。流路偏向面62は、凹状の第1曲率面を構成し、流路偏向面62と枠体38の流路内周面38bとの間に形成してある内側部46の径方向幅は、内側部46の主要部から冷却液吐出部52に向けて徐々に狭くなるようになっている。流路偏向部材60の外径は、筒体32の内面33の内径と略一致する。
なお、本実施形態では、冷却液吐出部52は、枠体38の下端38aと流路偏向部材60との間の隙間に形成され、その径方向幅D1は、内側部46の主要部における径方向幅D2よりも狭くなっている。D1/D2は、好ましくは2/3以下であり、さらに好ましくは1/2以下であり、好ましくは1/10以上である。冷却液吐出部の径方向幅D1は、通路部の上下幅W1よりも広く、W1/D1は、好ましくは1/2以下であり、さらに好ましくは1/3以下であり、好ましくは1/20以上である。
冷却液吐出部52の外径が流路偏向面62の最小内径に一致し、冷却液吐出部52の内径が枠体38の下端38aの内径に一致する。なお、冷却液吐出部52の外径は、流路偏向面62の最小内径ではなく、図2Bに示すように、流路偏向面62の途中位置の内径でもよく、あるいは、筒体32の内面33にも一致させてもよい。なお、筒体32の内面33の内径は、特に限定されないが、好ましくは50~500mmである。
図1Bに示すように、本実施形態では、枠体38の上端と上板部39の内周端との角部の内面(内側部46の流路内周面38bの側)には、凹状の第2曲率面64が形成してある。凹状の第2曲率面64は、内側空間部46の径方向幅が、軸芯Oに沿って内側空間部46の主要部から通路部42に向けて徐々に狭くなるように、枠体38の基端側流路内周面38bから上板部39の内面に向けて形成してある。
凹状の第2曲率面64の第2曲率半径R2は、凹状の第1曲率面となる流路偏向面62の曲率半径R1と同じでも異なっていてもよいが、図1Aに示す通路部42の上下幅W1よりも大きいことが好ましい。通路部42と第2曲率面64とは、軸芯Oに沿って同じ高さ位置にあり、外側部46から通路部42を通して内側部46の内部に流入する冷却液は、第2曲率面64の一部または全面に最初に衝突することが好ましい。
本実施形態では、ノズル37から外側部44に一次貯留され、そこから通路部42を通り、内側部46の内部に入り込む冷却液は、第2曲率面64の一部または全面に最初に衝突し、そこから軸芯Oに沿って下方に向かう流れとなる。内側部46の内部を軸芯Oに沿って下方に下る冷却液は、次に、流路偏向面62と枠体38との間を、流路偏向面62に沿って案内されて流れ、冷却液吐出部52から筒体32の内部に、図1Aに示すように、逆円錐状に吐出され、冷却液流れ50を形成する。なお、冷却液吐出部52から流出する冷却液流れ50は、冷却液吐出部52から軸芯Oに向けて直進する逆円錐流れであるが、渦巻き状の逆円錐流れであってもよい。図1Bに示すように、軸芯Oに対する冷却液流れ50の逆円錐流れ方向Fの角度θ3は、流路偏向面62の最小内径部分における凹状の第1曲率面の曲率半径と接線角度などに応じて決定され、好ましくは20~80度である。
図1Aに示すように、枠体38の軸方向長さL1は、通路部42の軸芯O方向の幅W1を覆う程度の長さであればよく、図1Bに示すように、枠体38の下端38aが、流路偏向面62の最小内径部分近くに位置する程度の長さであることが好ましい。ただし、図2Aに示すように、枠体38の軸方向長さL1は、枠体38の下端38aが、流路偏向面62の途中位置、またはその手前位置に届く程度の長さでもよく、通路部42の軸芯O方向の幅W1を覆う程度の長さであればよい。
本実施形態では、図1Bに示すように、ノズル37から外側部44に入り込んだ冷却液は、外側部44で一次貯留され、そこから通路42を通過することで、流速が速まり、内側部46に入り込む。内側部46では、通路42を通過した冷却液は、枠体38の流路内周面38bに形成してある第2曲率面64に衝突し、その流れの向きが変えられ、軸芯Oに沿って下向きの流れに変えられる。
内側部46の内部を軸芯Oに沿って下方に下る冷却液は、次に、流路偏向面62と枠体38との間を、流路偏向面62に沿って案内されて流れ、流路断面が狭められることから流速が増す。そして、冷却液は、流速が増大した状態で、冷却液吐出部52から筒体32の内部に、図1Aに示すように、逆円錐状に吐出され、冷却液流れ50を形成する。このようにして形成された逆円錐状の冷却液流れ50の上側液面に、図1Aに示す滴下溶融金属21aの溶滴が入射し、滴下溶融金属21aの溶滴は、冷却液流れ50の内部で冷却液と共に流れて冷却される。
本実施形態に係る金属粉末製造装置10および金属粉末の製造方法では、筒体32の上開口部に、滴下溶融金属21aの溶滴の入り口が形成され、その筒体32の上部開口部に逆円錐状の冷却水流れ50が形成される。筒体32の上部開口部に逆円錐状の冷却水流れ50が形成され、筒体32の排出部34から冷却液が排出されることで、筒体32の上部開口部には、筒体32の内部への吸引圧が得られる。たとえば筒体32の外部との差圧が30kPa以上の吸引圧が得られる。
そのため、滴下溶融金属21aの溶滴は、筒体32の上部開口部から筒体32の内部に自己整合的に吸い込まれ(多少位置ずれしても自動的に吸い込まれ)、逆円錐状の冷却水流れ50の中に取り込まれる。そのため、溶融金属供給部20の吐出口23から冷却水流れ50に至るまでの滴下溶融金属21aの溶滴の飛行時間が短縮される。飛行時間が短縮されると、滴下溶融金属21aの溶滴が酸化されにくく、金属粉末の微細化が促進されると共に金属粉末の品質が向上する。また、急冷効果が促進され、金属粉末の非晶質化が向上する。
また本実施形態では、筒体32の内面33に沿う冷却液の流れではなく、逆円錐状の冷却液の流れに滴下溶融金属21aの溶滴を取り込むようにしてあることから、筒体32の内部で、冷却された金属粒子の滞留時間を短くすることができると共に、筒体32の内面33へのダメージも少ない。また、冷却された金属粒子自体に対するダメージも少ない。
第2実施形態
図2Aおよび図2Bに示すように、本発明の第2実施形態に係る金属粉末製造装置110と金属粉末の製造方法は、以下に示す以外は、第1実施形態と同様であり、共通する部材には共通する部材名称と符号を付し、共通する部分の説明は一部省略する。
本実施形態では、金属粉末製造装置110は、冷却部130において、枠体38の下端38aに、筒体32の内面33に向けて径方向の外側に突出する外方凸部38a1が形成してある。また、枠体38の流路内周面38bには、外方凸部38a1の最大外径部分に向けて徐々に外径が大きくなる凹状の第3曲率面66が形成してある。第3曲率面66の曲率半径は、第2曲率面64の曲率半径と同一または異なっていてもよい。
内側部46では、通路42を通過した冷却液は、枠体38の流路内周面38bに形成してある第2曲率面64に衝突し、その流れの向きが変えられ、軸芯Oに沿って下向きの流れに変えられる。内側部46の内部を軸芯Oに沿って下方に下る冷却液は、次に、枠体32の内面33と第3曲率面66との間を、第3曲率面66に沿って流れ、冷却液吐出部52から第1曲率面の流路偏向面62に案内されて、筒体32の内部に、図2Aに示すように、逆円錐状に吐出され、第1実施形態と同様な冷却液流れ50を形成することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば上述した実施形態では、ノズル37は、上板部39に連結してあるが、側板部44aまたは底板部44bに連結し、ノズル37からの冷却液が外側部44に入り込むように構成してもよい。
また、流路偏向部材60は枠体38と一体化して形成されてもよく、筒体32の上部開口に枠体38を取り付ける際に、流路偏向部材60も筒体32の内面33に取り付けられるように構成してもよい。その場合には、枠体38と流路偏向部材60は、円周方向に沿って所定間隔で配置される板状の流路形成ブレードなどで連結されていてもよい。流路形成ブレードの向きを調節することで、逆円錐状の冷却液流れ50に渦巻き流れを加えることも可能である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
図1Aおよび図1Bに示す金属粉末製造装置10を用いて、Fe-Si-B(実験番号6)、Fe-Si-Nb-B-Cu(実験番号7)、Fe-Si-B-P-Cu(実験番号8)、Fe-Nb-B(実験番号9)、Fe-Zr-B(実験番号10)から成る金属粉末を製造した。図1Aおよび図1Bに示す装置10において、筒体32の内面の内径は、300mm、W1/W2は1/3、D1/D2は1/2、角度θ1は20度、角度θ2は0度、角度θ3は50度であった。
各実験において溶解温度1500℃、噴射ガス圧5MPa、使用ガス種アルコ゛ンと一定とし、ノズル37からの水流条件はポンプ圧7.5kPaであった。実施例においては平均粒径が約24μmの金属粉末を製造することができた。平均粒径は、乾式粒度分布測定装置(HELLOS)を用いて測定し求めた。また実験番号6~10で作製した金属粉末の結晶分析を、粉末X線回折法により評価した。金属粉末の磁気特性についてはHcメータにて保磁力(Oe)を測定することで行った。結果を表1に示す。また、冷却液流れ50は逆円錐状であることが確認され、吸引圧力は、40kPaであった。
参考例1
流路偏向面62を持つ流路偏向部材60を具備させず、D1=D2(実施例1と同じD1寸法)とした以外は、実施例と同じ金属粉末製造装置を用いて、実施例1と同じようにして、金属粉末(実験番号1~5)を製造し、同様な評価を行った。結果を表1に示す。冷却液流れ50は、筒体32の内周面に沿う流れとなった。
評価
表1の実施例と参考例を比べると、粒子径が小さくなり、磁気特性が向上している。これは実施例では、参考例に比較して、冷却液流れが、逆円錐流れとなり、滴下溶融金属21aの溶滴の飛行距離が短縮されたことに起因すると考えられる。
Figure 0007110867000001
10,110… 金属粉末製造装置
20… 溶融金属供給部
21… 溶融金属
22… 容器
23… 吐出口
24… 加熱用コイル
26… ガス噴射ノズル
27… ガス噴射口
30,130… 冷却部
32… 筒体
33… 内面(内周面)
34… 排出部
36… 冷却液導入部(冷却液導出部)
37… ノズル
38… 枠体
38a… 下端
38a1… 外方凸部
38b… 流路内周面
39… 上板部
40… 仕切部
42… 通路部
44… 外側部(外側空間部)
44a… 側板部
44b… 底板部
46… 内側部(内側空間部)
50… 冷却液流れ
52… 冷却液吐出部
60… 流路偏向部材
62… 流路偏向面(第1曲率面)
64… 第2曲率面
66… 第3曲率面

Claims (9)

  1. 溶融金属を吐出する溶融金属供給部と、
    前記溶融金属供給部の下方に設置される筒体と、
    前記溶融金属供給部から吐出された前記溶融金属を冷却する冷却液の流れを、前記筒体の内部に形成する冷却液導出部と、を有する金属粉末製造装置であって、
    前記冷却液導出部が、前記筒体の軸芯方向の上部に具備してあり、内部に、外側空間部と、内側空間部と、これらの外側空間部と内側空間部とを連絡する通路部と、を有し、
    前記冷却液導出部は、前記内側空間の内周面形状を規定する枠体を持ち、
    前記外側空間部には、ノズルが連結してあり、
    前記通路部は、前記外側空間部の上下幅よりも狭い上下幅を持ち、前記ノズルからの前記冷却液を前記外側空間部から前記内側空間部に向けて通過させるように構成してあり、
    前記通路部から前記内側空間部に吐出された前記冷却液が、前記枠体の流路内周面に沿って流れ、前記内側空間部の冷却液吐出部から前記筒体の中心部に向けて逆円錐状に流れるように、前記筒体の内周面には流路偏向面が形成してあることを特徴とする金属粉末製造装置。
  2. 前記通路部は、前記外側空間部の前記軸芯方向の上部に具備してある請求項1に記載の金属粉末製造装置。
  3. 前記通路部の上下幅(W1)が、前記外側空間部の上下幅(W2)より狭く、1/2以下である請求項1または2に記載の金属粉末製造装置。
  4. 前記通路部の上下幅(W1)が、前記冷却液吐出部の径方向幅(D1)よりも狭く、1/2以下である請求項1~3のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  5. 前記冷却液吐出部の径方向幅(D1)が前記内側空間部の主要部の径方向幅(D2)よりも狭く、2/3以下である請求項1~4のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  6. 前記内側空間部の径方向幅は、前記内側空間部の主要部から前記冷却液吐出部に向けて徐々に狭くなるように、前記筒体の内周面には、前記流路偏向面として、凹状の第1曲率面が形成してある請求項5に記載の金属粉末製造装置。
  7. 前記内側空間部の径方向幅は、前記内側空間部の主要部から前記通路部に向けて徐々に狭くなるように、前記枠体の基端側流路内周面には、凹状の第2曲率面が形成してある請求項1~6のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  8. 前記溶融金属供給部と前記筒体との間には、前記溶融金属供給部から吐出された溶融金属にガスを吹き付けて前記溶融金属を多数の溶滴にするガス吹付部材が配置してあり、
    前記ガス吹付部材で溶滴にされた前記溶融金属が前記筒体の内部に入り込むように構成してある請求項1~7のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
  9. 溶融金属供給部の下方に設置される筒体の内面に冷却液の流れを形成する工程と、
    前記溶融金属供給部から溶融金属を前記冷却液の流れに向けて吐出する工程と、を有する金属粉末の製造方法であって、
    請求項1~8のいずれかに記載の金属粉末製造装置を用いて、
    前記外側空間部の前記冷却液を、前記外側空間部の幅よりも狭い上下幅の通路部を通過させ、
    前記通路部を通過した前記冷却液を、前記内側空間を規定する前記枠体の流路内周面と、前記筒体の内周面に具備してある流路偏向面とに沿って、前記筒体の中心部に向けて逆円錐状に流すことを特徴とする金属粉末の製造方法。
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