JP2014167136A - マグネシウム基合金粉末およびマグネシウム基合金成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のマグネシウム基合金粉末は、0.2質量%以上5質量%以下のカルシウムを含むマグネシウム基合金で構成され、粒子表面が酸化カルシウムを含む被覆層で覆われてなる粉末であって、粒子の平均粒径が100μm以上1500μm以下であり、粒子断面の10か所についてマイクロビッカース硬度を測定したとき、その最大値と最小値との差を前記最大値で割った値である硬度ばらつき指標の平均値が0.3以下であることを特徴とする。また、本発明のマグネシウム基合金粉末は、図1に示す粉末製造装置100を用いた高速回転水流アトマイズ法により製造されたものであるのが好ましい。
【選択図】図1
Description
マグネシウム製の構造体を製造する際には、重力鋳造やダイカスト鋳造といった鋳造法、ビレットの熱間押出、冷間押出、圧延、鍛造といった塑性加工法、粉末のホットプレスや熱間押出による成形といった粉末冶金法等が用いられる。このうち、粉末冶金法によれば、局所的な組成変動が抑えられるため、より均質な構造体を製造することができる。
このような課題に鑑み、マグネシウムの難燃性に関する研究が進められている。そして、カルシウムを添加することによってマグネシウムに難燃性が付与されることが見出された。例えば特許文献1には、4〜8質量%のカルシウムを含有するMg合金押出材が開示されている。このような難燃性マグネシウムでは、従来に比べて発火温度が200℃以上高いため、構造体自体の難燃性が向上するのはもちろん、構造体を製造する際の安全性も向上する。このため、この難燃性マグネシウムを用いることにより、今後、マグネシウム製の構造体の普及が進むものと思われる。
ところが、難燃性マグネシウムは機械的強度が低いという課題を抱えている。このため、より機械的特性に優れた難燃性マグネシウム基金属成形体を製造し得る材料を開発する必要性が高まっている。
本発明のマグネシウム基合金粉末は、0.2質量%以上5質量%以下のカルシウムを含むマグネシウム基合金で構成され、
平均粒径が100μm以上1500μm以下であり、
粒子断面の10か所で測定されたマイクロビッカース硬度の最大値と最小値との差を前記最大値で割った値である硬度ばらつき指標の平均値が0.3以下であり、
粒子表面が酸化カルシウムを含む被覆層で覆われていることを特徴とする。
これにより、優れた難燃性を維持しつつ、成形時の圧密性に優れた粉末となるため、機械的特性の高い成形体を製造可能なマグネシウム基合金粉末が得られる。
これにより、難燃性を維持しつつ、成形時の機械的特性をさらに高め得るマグネシウム基合金粉末が得られる。
これにより、酸化カルシウムによる難燃性と成形時の機械的特性との両立という効果のみでなく、酸化マグネシウムによる酸素の遮蔽性という効果が付与されることとなり、マグネシウム基合金粉末の粒子内部では、マグネシウムがより酸化し難くなる。そのため、粒子全体における酸素含有率の上昇を抑えることができ、最終的に得られる成形体の機械的特性の低下を抑制することができる。
これにより、カルシウムとアルミニウムの金属間化合物が析出するため、マグネシウム基合金粉末の難燃性を高めることができ、成形体の耐熱性を高めることができる。
本発明のマグネシウム基合金粉末では、結晶組織のデンドライトアームスペーシング(DAS)が0.05μm以上5μm以下であることが好ましい。
これにより、結晶組織の大きさとマグネシウム基合金が占める体積率とのバランスが最適化されるため、結晶組織内における転位移動を抑えつつ、粒界のすべりによる変形も抑えることができ、マグネシウム基合金本来の機械的特性を得ることができる。
これにより、比較的粒径が大きく、かつ粒径の揃ったマグネシウム基合金粉末が得られる。
本発明のマグネシウム基合金成形体は、本発明のマグネシウム基合金粉末を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、優れた難燃性と優れた機械的特性とを備えたマグネシウム基合金成形体が得られる。
本発明のマグネシウム基合金成形体は、前記マグネシウム基合金粉末を熱間押出に供する工程を経て製造されたものであることが好ましい。
これにより、全体で結晶組織が均一かつ微細なマグネシウム基合金成形体が得られる。
[マグネシウム基合金粉末]
本発明のマグネシウム基合金粉末は、0.2質量%以上5質量%以下のカルシウムを含むマグネシウム基合金で構成され、粒子表面が酸化カルシウムを含む被覆層で覆われてなるものである。また、本発明のマグネシウム基合金粉末は、粒子の平均粒径が100μm以上1500μm以下であり、粒子断面の10か所で測定されたマイクロビッカース硬度の最大値と最小値との差を前記最大値で割った値である硬度ばらつき指標の平均値が0.3以下である、という条件を満足する粉末である。
このようなマグネシウム基合金粉末は、優れた難燃性を有するとともに、金属間化合物の偏析が少なく成形時の圧密性に優れたものとなる。これにより、機械的特性に優れた成形体(マグネシウム基合金成形体)が得られる。
マグネシウム基合金粉末を構成するマグネシウム基合金は、マグネシウムを主成分とし、0.2質量%以上5質量%以下のカルシウムを含むものである。このような割合でカルシウムを含むマグネシウム基合金は、機械的特性を大きく低下させることなく、十分な難燃性を有するものとなる。カルシウムは、いかなる状態で存在していてもよく、例えば単体、酸化物、金属間化合物等の状態で存在し得る。また、これらは合金中に均一に分散(固溶)していたり、結晶粒界に偏析していてもよい。
また、カルシウムの含有率は、好ましくは0.5質量%以上4質量%以下程度とされ、より好ましくは0.8質量%以上3.5質量%以下程度とされる。
その他の成分の含有率は、0.01質量%以上10質量%以下程度であるのが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下程度であるのがより好ましい。
なお、マグネシウムは、基本的に単体の状態で存在するが、一部、酸化物や金属間化合物等の状態で存在していてもよい。
なお、マグネシウム基合金粉末の平均粒径は、光学顕微鏡や電子顕微鏡等を用いて撮像された粒子像について、その面積(粒子の投影面積)と同じ面積を持つ円の直径の平均値であり、平均値の算出には無作為に選択した100個以上の粒子が用いられる。
また、マグネシウム基合金粉末の最大粒径は、4000μm以下であるのが好ましく、3000μm以下であるのがより好ましい。最大粒径を前記範囲内に設定することで、粒度分布の適正化が図られ、成形時の充填性の向上が図られる。すなわち、最大粒径を前記範囲内に設定することにより、加熱時の粒子の温度上昇がより均一になり、その結果、局部的な結晶粒径の肥大化が防止されるとともに、結晶粒径の粒径分布をより狭めることができる。
さらに、平均粒径は、最大粒径の0.1倍以上0.7倍以下であるのが好ましく、0.15倍以上0.6倍以下であるのがより好ましく、0.2倍以上0.5倍以下であるのがさらに好ましい。平均粒径と最大粒径との間でこのような関係を満足させることにより、成形時の圧密性を特に高めることができ、特に機械的特性に優れた成形体が得られる。
なお、マグネシウム基合金粉末の平均円形度は、光学顕微鏡や電子顕微鏡等を用いて撮像された粒子像において、(粒子の投影面積と同一面積を有する円の円周)/(粒子像の輪郭の長さ)により算出される円形度の平均値であり、平均値の算出には無作為に選択した100個以上の粒子が用いられる。
また、マグネシウム基合金粉末の見かけ密度は、0.2g/cm3以上1.2g/cm3以下であるのが好ましく、0.3g/cm3以上0.8g/cm3以下であるのがより好ましい。見かけ密度を前記範囲内に設定することで、成形時の圧密性が特に高いマグネシウム基合金粉末が得られる。
また、見かけ密度が前記下限値を下回った場合、粉末の充填性が低下し、成形時の圧密性が低くなる。一方、見かけ密度が前記上限値を上回った場合、粉末の充填性は高くなる一方、流動性が低下する。このため、成形時にはかえって圧密性が低下する。
また、本発明のマグネシウム基合金粉末は、粒子表面が酸化カルシウムを含む被覆層で覆われている。これにより、各粒子においてマグネシウムの酸化が緩和されることとなり、最終的に得られる成形体の機械的特性が低下するのを避けることができる。すなわち、粒子表面が酸化カルシウムで覆われることにより、機械的特性に優れた成形体が得られる。また、粒子表面が酸化カルシウムで覆われることにより、マグネシウム基合金粉末を成形して成形体としたとき、成形体全体においてカルシウムの分布が比較的均一になり易いため、難燃性の均一化が図られることとなる。その結果、難燃性の底上げが図られる。
なお、粒子表面とは、粒子の表面から100nmの深さまでの領域をいう。
被覆層の平均厚さは、特に限定されないが、マグネシウム基合金粉末の平均粒径の1%以上20%以下程度であるのが好ましく、2%以上15%以下程度であるのがより好ましく、3%以上12%以下程度であるのがさらに好ましい。被覆層の平均厚さが前記範囲内であれば、被覆層によって難燃性と酸素の遮蔽性とを付与しつつ、粒子内部の成形時の圧密性を確保することができ、最終的に得られる成形体の機械的特性を高めることができる。
また、マグネシウム基合金粉末をX線回折による結晶構造解析に供したとき、得られるX線回折スペクトルにおいて、カルシウムとアルミニウムとで構成される金属間化合物に由来する最も強いピークの強度が、マグネシウム単体に由来する最も強いピークの強度の3%以上40%以下であることが好ましく、4%以上35%以下であることがより好ましく、5%以上30%以下であることがさらに好ましい。このように金属間化合物がマグネシウム単体に対して一定量含まれることにより、マグネシウム基合金粉末は、難燃性を維持しつつ、成形時の機械的特性をさらに高めることができる。このような効果が得られる理由は定かではないが、一つには、金属間化合物がピンニング効果(変形によって生じる転位の移動を抑制する効果)をもたらし、それによって機械的特性を向上させていることが挙げられる。
なお、金属間化合物としては、例えば、AlCa、Al2Ca等が挙げられる。
このような本発明のマグネシウム基合金粉末は、いかなる方法で製造されたものであってもよく、製造方法としてはアトマイズ法(例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法、粉砕法等の各種粉末化法が挙げられる。このうち、アトマイズ法により製造されたものが好ましく、高速回転水流アトマイズ法により製造されたものがより好ましい。このようなマグネシウム基合金粉末は、他の粉末化法で製造されたものに比べて、比較的粒径が大きくなり、かつ粒径が揃い易い。このため、粉末の流動性が高くなり、成形時の充填性にも優れたものとなる。さらには、粉末全体における酸化マグネシウムの量を少なく抑えられる。また、溶融状態にある原材料を、非常に短時間で急速に冷却することができるので、各粒子中の結晶組織の微細化が顕著になる。その結果、機械的特性に優れた成形体を製造可能な粉末が得られる。
図1に示す粉末製造装置100は、内周面に冷却液層9を形成するための冷却用筒体1と、冷却液層9の内側の空間部23に溶融金属25を流下供給するための供給容器である坩堝15と、冷却用筒体1に冷却液を供給するための手段であるポンプ7と、流下した細流状の溶融金属25を液滴に分断するとともに冷却液層9に供給するための液体ジェット26を噴出するジェットノズル24と、を備えている。
また、冷却用筒体1の下部には、円筒状の液切り用網体11が連設されており、この液切り用網体11の下側には漏斗状の粉末回収容器12が設けられている。液切り用網体11の周囲には液切り用網体11を覆うように冷却液回収カバー13が設けられ、この冷却液回収カバー13の底部に形成された排液口14は、配管を介してタンク8に接続されている。
このような粉末製造装置100においてマグネシウム基合金粉末を製造するには、まず、ポンプ7を作動させ、冷却用筒体1の内周面に冷却液層9を形成し、次いで、坩堝15内の溶融金属25を空間部23に流下させる。この溶融金属25に液体ジェット26を吹き付けると、溶融金属25が飛散し、微粉化された溶融金属25が冷却液層9に巻き込まれる。その結果、微粉化された溶融金属25が冷却固化され、マグネシウム基合金粉末が得られる。
なお、マグネシウム基合金粉末の粒径、アスペクト比、見かけ密度、結晶組織のDAS、マイクロビッカース硬度、円形度等は、それぞれ製造条件を調整することにより制御することができる。例えば、冷却速度を高めることにより、より大きな粒径であっても、結晶組織のDASを小さくしたりマイクロビッカース硬度を高くしたりすることができ、1つの粒子内におけるDASのばらつきやマイクロビッカース硬度のばらつきもより小さくすることができる。また、冷却液の噴出時の圧力を高めることにより、マグネシウム基合金粉末の粒径をより小さくすることができる。
また、ジェットノズル24から噴出する液体ジェット26の噴出圧力を調整することにより、マグネシウム基合金粉末の粒径を制御することができる。例えば、液体ジェット26の噴出圧力を高めることにより、マグネシウム基合金粉末の粒径をより小さくすることができる。
本発明のマグネシウム基合金成形体は、本発明のマグネシウム基合金粉末をホットプレス焼結法、熱間等方圧焼結法(HIP法)、パルス通電加圧焼結法、電気炉やガス炉等による常圧焼結法等の各種焼結法により成形・焼成したり、熱間押出することにより製造される。
また、ホットプレスにおける成形圧力も、マグネシウム基合金粉末の組成や粒径、成形体の形状等に応じて適宜設定されるが、例えば300MPa以上1500MPa以下に設定されるのが好ましく、400MPa以上1100MPa以下に設定されるのがより好ましい。
また、熱間押出における押出圧力も、マグネシウム基合金粉末の組成や粒径、成形体の形状等に応じて適宜設定されるが、例えば300MPa以上1000MPa以下に設定されるのが好ましく、400MPa以上800MPa以下に設定されるのがより好ましい。
以上、本発明のマグネシウム基合金粉末およびマグネシウム基合金成形体について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態に係る粉末の粒子表面に任意の被膜が形成されていてもよい。
1.マグネシウム基合金成形体の製造
(サンプルNo.1)
[1]まず、原材料を高周波誘導炉で溶融するとともに、高速回転水流アトマイズ法により粉末化してマグネシウム基合金粉末を得た。得られたマグネシウム基合金粉末の合金組成を以下に示す。
Al:5.699質量%、Zn:0.057質量%、Mn:0.271質量%、Fe:0.002質量%、Si:0.025質量%、Cu:0.005質量%、Ni:0.002質量%、Ca:1.880質量%、Mg:残部
また、高速回転水流アトマイズ装置(粉末製造装置)の設定条件を以下に示す。
・冷却液の噴出圧力 :100MPa
・冷却液の温度 :30℃
・溶融金属の温度 :Tm+20℃
[3]次に、得られた圧粉体を用いて熱間押出加工を行い、マグネシウム基合金成形体を得た。この際、押出温度を300℃、押出圧力を700MPaとした。
[6]さらに、得られたマグネシウム基合金粉末についてJIS Z 2504に規定の方法に準じて見かけ密度を測定した。
以上により測定および算出された平均粒径、平均アスペクト比、見かけ密度、硬度ばらつき指標の平均値、および平均DASを表1に示す。
マグネシウム基合金粉末の特性を表1に示すように変更した以外は、それぞれサンプルNo.1と同様にしてマグネシウム基合金成形体を得た。
なお、高速回転水流アトマイズ装置の設定条件は以下のように変更した。そして、サンプルごとにジェットノズルから噴出する液体ジェットの噴出圧力を変更することにより、平均粒径の異なる粉末を製造するようにした。
・冷却液の噴出圧力 :150MPa
・冷却液の温度 : 10℃
・溶融金属の温度 :Tm+100℃
マグネシウム基合金粉末の特性を表1に示すように変更した以外は、それぞれサンプルNo.1と同様にしてマグネシウム基合金成形体を得た。
なお、高速回転水流アトマイズ装置の設定条件は以下のように変更した。そして、サンプルごとに冷却液の噴出圧力を下記の範囲内で変更することにより、平均粒径の異なる粉末を製造するようにした。また、高速回転水流アトマイズ装置においてジェットノズルを省略した。
・冷却液の噴出圧力 :120MPa以上200MPa以下
・冷却液の温度 : 20℃
・溶融金属の温度 :Tm+150℃
マグネシウム基合金の組成を以下に示すように変更した以外は、サンプルNo.1、4、5、8と同様にしてマグネシウム基合金成形体を得た。
Al:6.161質量%、Zn:0.074質量%、Mn:0.228質量%、Fe:0.006質量%、Si:0.003質量%、Cu:0.001質量%、Ni:0.002質量%、Ca:2.020質量%、Mg:残部
マグネシウム基合金の組成を以下に示すように変更した以外は、サンプルNo.4、5と同様にしてマグネシウム基合金成形体を得た。
Al:6.810質量%、Zn:0.964質量%、Mn:0.011質量%、Fe:0.008質量%、Ca:1.031質量%、La:2.961質量%、Mg:残部
ホットプレスおよび熱間加工に代えて、鋳造押出法により成形体を得るようにした以外は、サンプルNo.1と同様にしてマグネシウム基合金成形体を得た。
また、表1においては、各サンプルNo.のマグネシウム基合金粉末およびマグネシウム基合金成形体のうち、本発明に相当するものについては「実施例」、本発明に相当しないものについては「比較例」と示す。
2.1 マグネシウム基合金粉末の元素分布
各サンプルNo.のマグネシウム基合金粉末の断面について、電子線マイクロ分析による元素分析を行った。その結果、各粒子の表面には、カルシウムの偏析が認められた。そこで、各粒子の表面についてX線光電子分光による化学結合状態分析を行った。その結果、表面におけるカルシウムは、そのほとんどが酸化カルシウムの状態で存在していることが認められた。また、表面には、酸化カルシウムの他に酸化マグネシウムも集積していることが認められた。
さらに、電子顕微鏡によるマグネシウム基合金粉末の断面の観察像およびカルシウムの分布状態に基づき、被覆層の平均厚さを算出した。そして、平均粒径に対する被覆層の平均厚さの割合を算出した。算出結果を表1に示す。
各サンプルNo.のマグネシウム基合金粉末について、X線回折(XRD)による結晶構造解析を行った。そして、得られたX線回折スペクトルにおいて、マグネシウム単体に由来する最も強いピークの強度に対する、酸化マグネシウム(MgO)に由来する最も強いピークの強度の割合を算出した。同様に、得られたX線回折スペクトルにおいて、マグネシウム単体に由来する最も強いピークの強度に対する、アルミニウムとカルシウムの金属間化合物に由来する最も強いピークの強度の割合を算出した。それぞれの算出結果を表1に示す。
3.1 マグネシウム基合金成形体の引張強さ
各サンプルNo.のマグネシウム基合金成形体について、JIS Z 2241に規定の方法に準じて引張強さを測定した。そして、サンプルNo.18のマグネシウム基合金成形体について測定された引張強さを1としたときの相対値を求め、表1に示す。
各サンプルNo.のマグネシウム基合金成形体について、JIS Z 2241に規定の方法に準じて0.2%耐力を測定した。そして、サンプルNo.18のマグネシウム基合金成形体について測定された0.2%耐力を1としたときの相対値を求め、表1に示す。
各サンプルNo.のマグネシウム基合金成形体について、JIS Z 2241に規定の方法に準じて伸び(%)を測定した。そして、サンプルNo.18のマグネシウム基合金成形体について測定された伸び(%)を1としたときの相対値を求め、表1に示す。
以上、評価結果を表1に示す。
一方、比較例に相当するマグネシウム基合金成形体は、実施例に相当するものに比べて、機械的特性が特に低いことが認められた。
また、各実施例に相当するマグネシウム基合金成形体について、それぞれ難燃性を評価したところ、大気中での発火温度がいずれも600℃以上と高く、十分な難燃性を有していた。
Claims (8)
- 0.2質量%以上5質量%以下のカルシウムを含むマグネシウム基合金で構成され、
平均粒径が100μm以上1500μm以下であり、
粒子断面の10か所で測定されたマイクロビッカース硬度の最大値と最小値との差を前記最大値で割った値である硬度ばらつき指標の平均値が0.3以下であり、
粒子表面が酸化カルシウムを含む被覆層で覆われていることを特徴とするマグネシウム基合金粉末。 - 当該マグネシウム基合金粉末のX線回折スペクトルにおいて、カルシウムとアルミニウムとで構成される金属間化合物に由来する最も強いピークの強度が、マグネシウムに由来する最も強いピークの強度の3%以上40%以下である請求項1に記載のマグネシウム基合金粉末。
- 前記被覆層は、酸化カルシウムと酸化マグネシウムとの混合物を主材料とするものである請求項1または2に記載のマグネシウム基合金粉末。
- 前記マグネシウム基合金は、さらに、2.5質量%以上12質量%以下のアルミニウムを含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマグネシウム基合金粉末。
- 結晶組織の平均デンドライトアームスペーシング(DAS)が0.05μm以上5μm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマグネシウム基合金粉末。
- 高速回転水流アトマイズ法により製造されたものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載のマグネシウム基合金粉末。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のマグネシウム基合金粉末を用いて製造されたことを特徴とするマグネシウム基合金成形体。
- 前記マグネシウム基合金粉末を熱間押出に供する工程を経て製造されたものである請求項7に記載のマグネシウム基合金成形体。
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