JP6376209B2 - マグネシウム基合金粉末およびマグネシウム基合金成形体 - Google Patents

マグネシウム基合金粉末およびマグネシウム基合金成形体 Download PDF

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Description

本発明は、マグネシウム基合金粉末およびマグネシウム基合金成形体に関するものである。
マグネシウムは、そのクラーク数(地表付近に存在する元素の割合)がニッケルや銅の100倍以上であり、資源的には豊富に存在している。また、マグネシウムの比重はアルミニウムの約3分の2、鉄の約4分の1であるため、マグネシウムを用いて各種構造体を製造した場合、構造体の大幅な軽量化を図ることができる。このような背景から、自動車、航空機、携帯電話、ノートパソコンといった製品分野にマグネシウム合金製の部品が使用され始めている。
さらにマグネシウムは、電磁波シールド性、振動の減衰能、切削性、生体安全性がそれぞれ良好であるという性質も有している。
マグネシウム製の構造体を製造する際には、重力鋳造やダイカスト鋳造といった鋳造法、ビレットの熱間押出、冷間押出、圧延、鍛造といった塑性加工法、粉末のホットプレスや熱間押出による成形といった粉末冶金法等が用いられる。このうち、粉末冶金法によれば、局所的な組成変動が抑えられるため、より均質な構造体を製造することができる。
一方、マグネシウムは大気中で燃え易いという課題を抱えている。特にマグネシウム粉末は、空気中を浮遊する等して、いわゆる粉じん爆発を引き起こす危険性がある。このため、一般の金属材料や金属粉末をマグネシウムで単純に代替させることは不可能であり、これが構造体用材料としてのマグネシウムの普及を阻んでいた。
このような課題に鑑み、マグネシウムの難燃性に関する研究が進められている。そして、カルシウムを添加することによってマグネシウムに難燃性が付与されることが見出された。例えば特許文献1には、4〜8質量%のカルシウムを含有するMg合金押出材が開示されている。このような難燃性マグネシウムでは、従来に比べて発火温度が200℃以上高いため、構造体自体の難燃性が向上するのはもちろん、構造体を製造する際の安全性も向上する。このため、この難燃性マグネシウムを用いることにより、今後、マグネシウム製の構造体の普及が進むものと思われる。
ところが、難燃性マグネシウムは機械的強度が低いという課題を抱えている。このため、より機械的特性に優れた難燃性マグネシウム基金属成形体を製造し得る材料を開発する必要性が高まっている。
特開2010−82693号公報
本発明の目的は、成形時の圧密性に優れ、機械的特性の高い成形体を製造可能なマグネシウム基合金粉末、およびこのマグネシウム基合金粉末を用いて製造された機械的特性の高いマグネシウム基合金成形体を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のマグネシウム基合金粉末は、0.2質量%以上5質量%以下のカルシウムと、
リチウム、ベリリウム、アルミニウム、シリコン、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、銀、錫、金、および希土類元素のうち1種または2種以上と、
が添加されている粒子を含み、
前記粒子の表面におけるカルシウム濃度は、前記粒子の内部におけるカルシウム濃度の3倍以上47.6倍以下であり、
見かけ密度が0.2g/cm 以上1.2g/cm 以下であることを特徴とする。
本発明のマグネシウム基合金粉末では、前記リチウム、ベリリウム、アルミニウム、シリコン、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、銀、錫、金、および希土類元素の含有率が0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
本発明のマグネシウム基合金粉末では、当該マグネシウム基合金粉末におけるマグネシウムは、単体の状態または一部が酸化物もしくは金属間化合物の状態で存在することが好ましい。
本発明のマグネシウム基合金粉末では、平均粒径が100μm以上1500μm以下であり
前記粒子表面が酸化カルシウムを含む被覆層で覆われていることが好ましい。
これにより、優れた難燃性を維持しつつ、成形時の圧密性に優れた粉末となるため、機械的特性の高い成形体を製造可能なマグネシウム基合金粉末が得られる。
本発明のマグネシウム基合金粉末では、X線回折スペクトルにおいて、カルシウムとアルミニウムとで構成される金属間化合物に由来する最も強いピークの強度が、マグネシウムに由来する最も強いピークの強度の3%以上40%以下であることが好ましい。
これにより、難燃性を維持しつつ、成形時の機械的特性をさらに高め得るマグネシウム基合金粉末が得られる。
本発明のマグネシウム基合金粉末では、前記被覆層は、酸化カルシウムと酸化マグネシウムとの混合物を主材料とするものであることが好ましい。
これにより、酸化カルシウムによる難燃性と成形時の機械的特性との両立という効果のみでなく、酸化マグネシウムによる酸素の遮蔽性という効果が付与されることとなり、マグネシウム基合金粉末の粒子内部では、マグネシウムがより酸化し難くなる。そのため、粒子全体における酸素含有率の上昇を抑えることができ、最終的に得られる成形体の機械的特性の低下を抑制することができる。
本発明のマグネシウム基合金粉末では、前記マグネシウム基合金は、さらに、2.5質量%以上12質量%以下のアルミニウムを含むことが好ましい。
これにより、カルシウムとアルミニウムの金属間化合物が析出するため、マグネシウム基合金粉末の難燃性を高めることができ、成形体の耐熱性を高めることができる。
本発明のマグネシウム基合金粉末では、結晶組織の平均デンドライトアームスペーシング(DAS)が0.05μm以上5μm以下であることが好ましい。
これにより、結晶組織の大きさとマグネシウム基合金が占める体積率とのバランスが最適化されるため、結晶組織内における転位移動を抑えつつ、粒界のすべりによる変形も抑えることができ、マグネシウム基合金本来の機械的特性を得ることができる。
本発明のマグネシウム基合金粉末は、高速回転水流アトマイズ粉末であることが好ましい。
これにより、比較的粒径が大きく、かつ粒径の揃ったマグネシウム基合金粉末が得られる。
本発明のマグネシウム基合金粉末は、前記粒子の平均アスペクト比が0.5以上1以下であることが好ましい。
本発明のマグネシウム基合金成形体は、本発明のマグネシウム基合金粉末を含むことを特徴とする。
これにより、優れた難燃性と優れた機械的特性とを備えたマグネシウム基合金成形体が得られる。
本発明のマグネシウム基合金成形体は、前記マグネシウム基合金粉末の熱間押出体であることが好ましい。
これにより、全体で結晶組織が均一かつ微細なマグネシウム基合金成形体が得られる。
高速回転水流アトマイズ法によりマグネシウム基合金粉末を製造する装置の一例を示す縦断面図である。
以下、本発明のマグネシウム基合金粉末およびマグネシウム基合金成形体について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
[マグネシウム基合金粉末]
本発明のマグネシウム基合金粉末は、0.2質量%以上5質量%以下のカルシウムを含むマグネシウム基合金で構成され、粒子表面が酸化カルシウムを含む被覆層で覆われてなるものである。また、本発明のマグネシウム基合金粉末は、粒子の平均粒径が100μm以上1500μm以下であり、粒子断面の10か所で測定されたマイクロビッカース硬度の最大値と最小値との差を前記最大値で割った値である硬度ばらつき指標の平均値が0.3以下である、という条件を満足する粉末である。
このようなマグネシウム基合金粉末は、優れた難燃性を有するとともに、金属間化合物の偏析が少なく成形時の圧密性に優れたものとなる。これにより、機械的特性に優れた成形体(マグネシウム基合金成形体)が得られる。
以下、マグネシウム基合金粉末についてさらに詳述する。
マグネシウム基合金粉末を構成するマグネシウム基合金は、マグネシウムを主成分とし、0.2質量%以上5質量%以下のカルシウムを含むものである。このような割合でカルシウムを含むマグネシウム基合金は、機械的特性を大きく低下させることなく、十分な難燃性を有するものとなる。カルシウムは、いかなる状態で存在していてもよく、例えば単体、酸化物、金属間化合物等の状態で存在し得る。また、これらは合金中に均一に分散(固溶)していたり、結晶粒界に偏析していてもよい。
なお、カルシウムの含有率が前記下限値を下回った場合、マグネシウム基合金に十分な難燃性が付与されず、製造される成形体の難燃性が劣ることとなる。一方、カルシウムの含有率が前記上限値を上回った場合、マグネシウムに対してカルシウムの割合が大きくなり、製造される成形体の機械的特性が低下する。
また、カルシウムの含有率は、好ましくは0.5質量%以上4質量%以下程度とされ、より好ましくは0.8質量%以上3.5質量%以下程度とされる。
マグネシウム基合金は、マグネシウムやカルシウムの他にその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、リチウム、ベリリウム、アルミニウム、シリコン、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、銀、錫、金、希土類元素(例えばセリウム)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が添加されていてもよい。
これらの中でも、その他の成分としては特に、アルミニウム、マンガン、イットリウム、ストロンチウム、および希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。
その他の成分の含有率は、0.01質量%以上10質量%以下程度であるのが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下程度であるのがより好ましい。
なお、マグネシウムは、基本的に単体の状態で存在するが、一部、酸化物や金属間化合物等の状態で存在していてもよい。
マグネシウム基合金粉末の平均粒径は、100μm以上1500μm以下とされるが、好ましくは300μm以上1300μm以下とされ、より好ましくは500μm以上1100μm以下とされる。平均粒径を前記範囲内に設定することで、微粉においてよく見られる凝集(粉末形状に起因する凝集)が抑えられ、成形時の充填性向上が図られる。また、成形体中に形成される結晶粒径の小径化を図ることができる。これは、平均粒径が前記範囲内であることにより、加熱時の粒子の温度上昇が比較的均一になり、その結果、局部的な結晶粒径の肥大化が防止されるとともに、結晶粒径の粒径分布が狭まると考えられるからである。以上により、成形時の圧密性を高めることができ、機械的特性に優れた成形体が得られる。
また、カルシウムを比較的均一に分散させることができ、高度な難燃性を有する成形体が得られる。これは、平均粒径を前記範囲内に設定することで、カルシウムを含む金属間化合物が析出したときでも成形体中においてその金属間化合物の分布が均一になり易く、その結果、難燃性の均一化も図られるためである。難燃性の均一化を図ることにより、局所的に難燃性の低い部位が少なくなるため、全体的な難燃性の向上が図られることとなる。また、金属間化合物の分布が均一になることで、金属間化合物の偏析に伴って局所的な機械的強度が低下することが防止されるため、やはり機械的特性に優れた成形体が得られる。
また、粒子の表面積が比較的小さく抑えられることから、成形体における酸化物の析出が比較的少なく抑えられる。その結果、とりわけ機械的特性に優れた成形体が得られる。
なお、マグネシウム基合金粉末の平均粒径は、光学顕微鏡や電子顕微鏡等を用いて撮像された粒子像について、その面積(粒子の投影面積)と同じ面積を持つ円の直径の平均値であり、平均値の算出には無作為に選択した100個以上の粒子が用いられる。
また、平均粒径が前記下限値を下回った場合、マグネシウム基合金粉末の凝集性が高くなり、成形時の圧密性が低くなる。一方、平均粒径が前記上限値を上回った場合、粉末の充填性が低下し、成形時の圧密性が低くなる。
また、マグネシウム基合金粉末の最大粒径は、4000μm以下であるのが好ましく、3000μm以下であるのがより好ましい。最大粒径を前記範囲内に設定することで、粒度分布の適正化が図られ、成形時の充填性の向上が図られる。すなわち、最大粒径を前記範囲内に設定することにより、加熱時の粒子の温度上昇がより均一になり、その結果、局部的な結晶粒径の肥大化が防止されるとともに、結晶粒径の粒径分布をより狭めることができる。
なお、上記最大粒径とは、無作為に選択した100個以上の粒子の粒径のうち、最大の粒径のことをいう。
さらに、平均粒径は、最大粒径の0.1倍以上0.7倍以下であるのが好ましく、0.15倍以上0.6倍以下であるのがより好ましく、0.2倍以上0.5倍以下であるのがさらに好ましい。平均粒径と最大粒径との間でこのような関係を満足させることにより、成形時の圧密性を特に高めることができ、特に機械的特性に優れた成形体が得られる。
また、マグネシウム基合金粉末の平均円形度は、0.5以上1以下であるのが好ましく、0.6以上1以下であるのがより好ましい。このような平均円形度を有するマグネシウム基合金粉末は、流動性に優れるとともに、成形時の充填性向上の高いものとなる。その結果、成形時の圧密性を高めることができ、機械的特性に優れた成形体が得られる。
なお、マグネシウム基合金粉末の平均円形度は、光学顕微鏡や電子顕微鏡等を用いて撮像された粒子像において、(粒子の投影面積と同一面積を有する円の円周)/(粒子像の輪郭の長さ)により算出される円形度の平均値であり、平均値の算出には無作為に選択した100個以上の粒子が用いられる。
また、マグネシウム基合金粉末の平均アスペクト比は、0.5以上1以下であるのが好ましく、0.6以上0.9以下であるのがより好ましい。このような平均アスペクト比を有するマグネシウム基合金粉末は、やはり流動性に優れるとともに、成形時の充填性向上の高いものとなる。その結果、成形時の圧密性を高めることができ、機械的特性に優れた成形体が得られる。
なお、マグネシウム基合金粉末の平均アスペクト比は、光学顕微鏡や電子顕微鏡等を用いて撮像された粒子像において、短径/長径により算出されるアスペクト比の平均値であり、平均値の算出には無作為に選択した100個以上の粒子が用いられる。また、長径とは、粒子像においてとり得る最大長さであり、短径とは、その最大長さに直交する方向の最大長さである。
また、平均アスペクト比が前記上限値を上回った場合、粉末の充填性が低下し、成形時の圧密性が低くなる。一方、平均アスペクト比が前記下限値を下回った場合、成形時の保形性が低下し、成形体の寸法精度が低下することとなる。
また、マグネシウム基合金粉末の見かけ密度は、0.2g/cm以上1.2g/cm以下であるのが好ましく、0.3g/cm以上0.8g/cm以下であるのがより好ましい。見かけ密度を前記範囲内に設定することで、成形時の圧密性が特に高いマグネシウム基合金粉末が得られる。
なお、見かけ密度は、かさ比重とも呼ばれ、粉末を一定容積の容器の中に一定状態で入れたときに、容器内に入る粉末の量を測定し、単位体積当たりの質量を算出することで求められる。測定方法の規格としては、例えばJIS Z 2504が用いられる。
また、見かけ密度が前記下限値を下回った場合、粉末の充填性が低下し、成形時の圧密性が低くなる。一方、見かけ密度が前記上限値を上回った場合、粉末の充填性は高くなる一方、流動性が低下する。このため、成形時にはかえって圧密性が低下する。
また、本発明のマグネシウム基合金粉末は、その粒子の断面において均等に振り分けられた10か所についてマイクロビッカース硬度を測定し、10個の測定値における最大値と最小値との差を前記最大値で割った値である「硬度ばらつき指標」を算出したとき、この硬度ばらつき指標の平均値が0.3以下であることを特徴の1つとするものである。このようなマグネシウム基合金粉末は、1つの粒子において結晶組織の十分な均一性が図られたものとなる。このため、成形体となったときにも、肥大した結晶組織等をほとんど含まない成形体が得られることとなり、このような成形体は機械的特性が特に高いものとなる。すなわち、部分的に硬度が低い部位を含んだ粉末は、成形体になったとき、その部位を起点とした破壊を生じる等して成形体全体の機械的特性を低下させる要因となり得るが、本発明者は、粒子の断面におけるマイクロビッカース硬度のばらつきを前記範囲内に抑えることにより、破壊の起点となり得る部位があったとしても破壊の進展を確実に抑え得ることを見出したのである。
なお、上記マイクロビッカース硬度は、1つの粒子の断面について、均一に分散した10か所の硬度をそれぞれマイクロビッカース硬度計により測定した測定値である。そして、得られた10個の測定値から硬度ばらつき指標を求める。このような硬度ばらつき指標を50個以上の粒子について算出し、その平均値が0.3以下であればよい。測定の際、圧子に加える荷重は25gf(0.245N)とする。なお、この硬度ばらつき指標を求めるには、まず、粒子の断面の最大長さLを測定する。硬度ばらつき指標を求めるための50個以上の粒子は、この最大長さLが前述した平均粒径±20%の範囲に含まれている粒子の中から無作為に抽出した50個以上の粒子とする。また、1つの粒子の断面において10か所の測定点を決定する際には、粒子の断面において無作為に選択した1点目について硬度を測定した後、1点目の測定点から前記最大長さLの5%以上の距離離れた位置から2点目の測定点を選択するようにする。以後、これを繰り返しながら、10か所の測定点を決定する。例えば、最大長さLが100μmの粒子の場合、1点目の測定点と2点目の測定点との離間距離を5μm以上とし、3点目以降も1つ前の測定点から5μm以上離れた点を選択すればよい。
また、この硬度ばらつき指標の平均値は、0.2以下であるのが好ましく、0.15以下であるのがより好ましい。
また、本発明のマグネシウム基合金粉末は、粒子表面が酸化カルシウムを含む被覆層で覆われている。これにより、各粒子においてマグネシウムの酸化が緩和されることとなり、最終的に得られる成形体の機械的特性が低下するのを避けることができる。すなわち、粒子表面が酸化カルシウムで覆われることにより、機械的特性に優れた成形体が得られる。また、粒子表面が酸化カルシウムで覆われることにより、マグネシウム基合金粉末を成形して成形体としたとき、成形体全体においてカルシウムの分布が比較的均一になり易いため、難燃性の均一化が図られることとなる。その結果、難燃性の底上げが図られる。
なお、粒子表面が上記被覆層で覆われているか否かは、電子顕微鏡による観察像における濃淡や、カルシウムの分布状態を解析することによって評価することができる。後者としては、例えば、粒子内部よりも表面におけるカルシウム濃度が高ければ、粒子表面に酸化カルシウムを含む被覆層が形成されていると評価することができる。カルシウム濃度の測定には、例えば、スパーク放電発光分析(OES)、X線光電子分光分析(XPS)、2次イオン質量分析(SIMS)、電子線マイクロ分析(EPMA)、オージェ電子分光分析(AES)、ラザフォード後方散乱分析(RBS)等が用いられる。
具体的には、粒子表面におけるカルシウム濃度は、質量比で粒子内部のカルシウム濃度の2倍以上であるのが好ましく、3倍以上1000倍以下程度であるのがより好ましく、5倍以上800倍以下程度であるのがさらに好ましい。カルシウム濃度の差が前記範囲内であれば、優れた難燃性と成形後の優れた機械的特性とを高度に両立させることができる。
なお、粒子表面とは、粒子の表面から100nmの深さまでの領域をいう。
以上のことから、0.2質量%以上5質量%以下のカルシウムを含むマグネシウム基合金で構成され、粒子表面が酸化カルシウムを含む被覆層で覆われてなるマグネシウム基合金粉末であって、粒子の平均粒径が100μm以上1500μm以下であり、硬度ばらつき指標の平均値が0.3以下である、という条件を満足する本発明のマグネシウム基合金粉末は、優れた難燃性を維持しつつ、成形に適した硬度分布を備えたものとなる。このため、本発明のマグネシウム基合金粉末を用いることにより、成形時の圧密性に優れ、機械的特性に優れた成形体(マグネシウム基合金成形体)を得ることができる。
また、被覆層は、酸化カルシウムと酸化マグネシウムとの混合物を主材料とするものであるのが好ましい。このような被覆層が設けられることにより、酸化カルシウムによる難燃性と成形時の機械的特性との両立という効果のみでなく、酸化マグネシウムによる酸素の遮蔽性という効果が付与されることとなる。その結果、マグネシウム基合金粉末の粒子内部では、マグネシウムがより酸化し難くなる。そのため、粒子全体における酸素含有率の上昇を抑えることができ、最終的に得られる成形体の機械的特性の低下を抑制することができる。
さらに、被覆層に酸化マグネシウムが含まれていると、被覆層と粒子内部とに共通の元素が存在することになるため、粒子内部と被覆層との密着性が向上する。その結果、被覆層が剥離し難くなり、粒子内部の酸化を抑制するという効果がより安定的に保持されることとなる。
被覆層の平均厚さは、特に限定されないが、マグネシウム基合金粉末の平均粒径の1%以上20%以下程度であるのが好ましく、2%以上15%以下程度であるのがより好ましく、3%以上12%以下程度であるのがさらに好ましい。被覆層の平均厚さが前記範囲内であれば、被覆層によって難燃性と酸素の遮蔽性とを付与しつつ、粒子内部の成形時の圧密性を確保することができ、最終的に得られる成形体の機械的特性を高めることができる。
また、マグネシウム基合金粉末をX線回折による結晶構造解析に供したとき、得られるX線回折スペクトルにおいて、酸化マグネシウムに由来する最も強いピークの強度が、マグネシウム単体に由来する最も強いピークの強度の5%以上45%以下であることが好ましく、7%以上40%以下であることがより好ましい。このように酸化マグネシウムがマグネシウム単体に対して一定量含まれることにより、マグネシウム基合金粉末は、難燃性を維持しつつ、成形時の機械的特性をさらに高めることができる。このような効果が得られる理由は、酸化マグネシウムの含有量を最適化することによって、前述した粒子内部の酸化を抑制するという効果がより顕著になるためであると考えられる。また、粒子内部の成形時の圧密性をより高められるという観点からも、最終的に得られる成形体の機械的特性がより高くなる。
また、マグネシウム基合金は、前述したようにマグネシウムやカルシウムの他にその他の成分を含んでいてもよいが、特に2.5質量%以上12質量%以下のアルミニウムを含んでいるのが好ましい。この程度のアルミニウムが添加されることにより、カルシウムとアルミニウムとが金属間化合物を析出させる。この金属間化合物は高融点であるため、マグネシウム基合金粉末の難燃性を特に高め、成形体の耐熱性を高めることができる。なお、金属間化合物は母相への固溶度が低いため、成形体の延性等の機械的特性の低下を招くおそれがある。したがって、アルミニウムを添加する場合、その添加量を上記範囲内に設定することにより、機械的特性の低下を最小限に抑えつつ、マグネシウム基合金粉末の難燃性および成形体の耐熱性を十分に確保することができる。
なお、アルミニウムの含有量は3質量%以上11質量%以下であるのがより好ましく、4質量%以上10質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、マグネシウム基合金粉末をX線回折による結晶構造解析に供したとき、得られるX線回折スペクトルにおいて、カルシウムとアルミニウムとで構成される金属間化合物に由来する最も強いピークの強度が、マグネシウム単体に由来する最も強いピークの強度の3%以上40%以下であることが好ましく、4%以上35%以下であることがより好ましく、5%以上30%以下であることがさらに好ましい。このように金属間化合物がマグネシウム単体に対して一定量含まれることにより、マグネシウム基合金粉末は、難燃性を維持しつつ、成形時の機械的特性をさらに高めることができる。このような効果が得られる理由は定かではないが、一つには、金属間化合物がピンニング効果(変形によって生じる転位の移動を抑制する効果)をもたらし、それによって機械的特性を向上させていることが挙げられる。
なお、金属間化合物としては、例えば、AlCa、AlCa等が挙げられる。
また、金属間化合物の存在は、例えば、マグネシウム基合金粉末の粒子断面を走査型電子顕微鏡等で観察することによって確認することもできる。具体的には、金属間化合物からなる粒子がマグネシウムのマトリックス中に分散している形態が観察され、その粒子の平均粒径は50nm以上500nm以下程度であるのが好ましく、100nm以上300nm以下程度であるのがより好ましい。
なお、マグネシウム基合金粉末について得られるX線回折スペクトルにおいて、酸化マグネシウムに由来する最も強いピークの強度は、カルシウムとアルミニウムとで構成される金属間化合物に由来する最も強いピークの強度より小さいのが好ましい。具体的には、前者のピークの強度を1としたとき、後者のピークの強度は0.01以上0.5以下であるのが好ましく、0.02以上0.4以下であるのがより好ましい。これにより、酸化マグネシウムによる粒子内部の酸化抑制および圧密性の向上という効果と、金属間化合物によるピンニング効果とにより、成形時の機械的特性が特に高くなる。
また、マグネシウム基合金粉末の粒子における結晶組織の平均デンドライトアームスペーシング(DAS)は、好ましくは0.05μm以上5μm以下とされ、より好ましくは0.3μm以上4μm以下とされ、さらに好ましくは0.5μm以上3.5μm以下とされる。結晶組織の平均DASが前記範囲内であれば、機械的特性に特に優れた成形体が得られる。
すなわち、結晶組織の平均DASが前記下限値を下回った場合、粒界が占める体積が多くなり過ぎるため、マグネシウム基合金が占める体積が相対的に少なくなり、マグネシウム基合金の組成によっては、マグネシウム基合金本来の機械的特性が損なわれるおそれがある。一方、結晶組織の平均DASが前記上限値を上回った場合、結晶組織内における転位移動(すべり変形)等が生じ易くなり、マグネシウム基合金の組成によっては、やはりマグネシウム基合金本来の機械的特性が損なわれるおそれがある。
なお、DASの測定は、例えば「デンドライトアームスペーシング測定手順」(軽金属学会 鋳造・凝固部会)に記載の手順に準じて行うことができ、平均値の算出には無作為に選択した100個以上の粒子が用いられる。そして、粒子断面の中心部において観察されるデンドライトについてアームスペーシングを求め、これを平均したものを平均DASとする。
なお、これと同様に、粒子の断面の10か所についてDASを測定したとき、その最大値と最小値との差が、この最大値の30%以下であるのが好ましく、20%以下であるのがより好ましく、15%以下であるのがさらに好ましい。これにより、結晶組織が均一で機械的特性が特に高い成形体が得られる。
このような本発明のマグネシウム基合金粉末は、いかなる方法で製造されたものであってもよく、製造方法としてはアトマイズ法(例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法、粉砕法等の各種粉末化法が挙げられる。このうち、アトマイズ法により製造されたものが好ましく、高速回転水流アトマイズ法により製造されたものがより好ましい。このようなマグネシウム基合金粉末は、他の粉末化法で製造されたものに比べて、比較的粒径が大きくなり、かつ粒径が揃い易い。このため、粉末の流動性が高くなり、成形時の充填性にも優れたものとなる。さらには、粉末全体における酸化マグネシウムの量を少なく抑えられる。また、溶融状態にある原材料を、非常に短時間で急速に冷却することができるので、各粒子中の結晶組織の微細化が顕著になる。その結果、機械的特性に優れた成形体を製造可能な粉末が得られる。
このうち、高速回転水流アトマイズ法では、冷却用筒体の内周面に沿って冷却液を噴出供給し、冷却用筒体内周面に沿って旋回させることにより、内周面に冷却液層を形成する。一方、マグネシウム基合金の原材料を溶融し、得られた溶融金属(溶湯)を自然落下させつつ、これに液体または気体のジェットを吹き付ける。これにより溶融金属が飛散し、冷却液層に取り込まれる。その結果、飛散して微粉化した溶融金属が急速冷却されて固化し、マグネシウム基合金粉末が得られる。
図1は、高速回転水流アトマイズ法によりマグネシウム基合金粉末を製造する装置の一例を示す縦断面図である。
図1に示す粉末製造装置100は、内周面に冷却液層9を形成するための冷却用筒体1と、冷却液層9の内側の空間部23に溶融金属25を流下供給するための供給容器である坩堝15と、冷却用筒体1に冷却液を供給するための手段であるポンプ7と、流下した細流状の溶融金属25を液滴に分断するとともに冷却液層9に供給するための液体ジェット26を噴出するジェットノズル24と、を備えている。
冷却用筒体1は円筒状をなし、筒体軸線が鉛直方向に沿うように、または鉛直方向に対して30℃以下の角度で傾くように設置される。なお、図1は鉛直方向に対して傾いた状態を示している。冷却用筒体1の上端開口は蓋体2により閉塞されており、蓋体2には流下する溶融金属25を冷却用筒体1の空間部23に供給するための開口部3が形成されている。
また、冷却用筒体1の上部には、冷却用筒体1の内周面の接線方向に冷却液を噴出供給し得るよう構成された冷却液噴出管4が設けられている。そして、冷却液噴出管4の吐出口5は、冷却用筒体1の周方向に沿って等間隔に複数個設けられている。また、冷却液噴出管4の管軸方向は、冷却用筒体1の軸線に直交する平面に対して0°以上20°以下程度下方に傾くように設定される。
冷却液噴出管4は、ポンプ7を介してタンク8に配管接続されており、ポンプ7で吸い上げられたタンク8内の冷却液が冷却液噴出管4を介して冷却用筒体1内に噴出供給される。これにより、冷却液が冷却用筒体1の内周面に沿って回転しながら徐々に流下し、それに伴って内周面に沿う冷却液の層(冷却液層9)が形成される。なお、タンク8内や循環流路の途中には、必要に応じて冷却器を介在させるようにしてもよい。冷却液としては水の他、油(シリコーンオイル等)が用いられ、さらに各種添加物が添加されていてもよい。また、冷却液中の溶存酸素をあらかじめ除去しておくことにより、製造される粉末の冷却に伴う酸化を抑えることができる。
また、冷却用筒体1の内周面下部には、冷却液層9の層厚を調整する層厚調整用リング10が着脱自在に設けられている。この層厚調整用リング10を設けることにより、冷却液の流下速度が抑えられ、冷却液層9の層厚を確保するとともに、層厚の均一化を図ることができる。
また、冷却用筒体1の下部には、円筒状の液切り用網体11が連設されており、この液切り用網体11の下側には漏斗状の粉末回収容器12が設けられている。液切り用網体11の周囲には液切り用網体11を覆うように冷却液回収カバー13が設けられ、この冷却液回収カバー13の底部に形成された排液口14は、配管を介してタンク8に接続されている。
また、空間部23には、空気や不活性ガス等を噴出させるためのジェットノズル24が設けられている。このジェットノズル24は、蓋体2の開口部3を介して挿入されたガス供給管27の先端に取り付けられたものであり、その噴出口が、細流状の溶融金属25と冷却液層9とを指向するよう配置されている。
このような粉末製造装置100においてマグネシウム基合金粉末を製造するには、まず、ポンプ7を作動させ、冷却用筒体1の内周面に冷却液層9を形成し、次いで、坩堝15内の溶融金属25を空間部23に流下させる。この溶融金属25に液体ジェット26を吹き付けると、溶融金属25が飛散し、微粉化された溶融金属25が冷却液層9に巻き込まれる。その結果、微粉化された溶融金属25が冷却固化され、マグネシウム基合金粉末が得られる。
高速回転水流アトマイズ法では、冷却液を連続供給することにより一定条件の冷却液層9を安定的に維持することができるため、製造されるマグネシウム基合金粉末の粒径やアスペクト比、結晶組織等も安定する。その結果、上述した本発明のマグネシウム基合金粉末を特に効率よく製造することができる。
なお、マグネシウム基合金粉末の粒径、アスペクト比、見かけ密度、結晶組織のDAS、マイクロビッカース硬度、円形度等は、それぞれ製造条件を調整することにより制御することができる。例えば、冷却速度を高めることにより、より大きな粒径であっても、結晶組織のDASを小さくしたりマイクロビッカース硬度を高くしたりすることができ、1つの粒子内におけるDASのばらつきやマイクロビッカース硬度のばらつきもより小さくすることができる。また、冷却液の噴出時の圧力を高めることにより、マグネシウム基合金粉末の粒径をより小さくすることができる。
より具体的には、冷却用筒体1に供給する冷却液の噴出時の圧力を50MPa以上200MPa以下程度、液温を−10℃以上40℃以下程度に設定するのが好ましい。これにより、冷却液層9の流速の最適化が図られ、微粉化された溶融金属25を適度にかつムラなく冷却することができる。すなわち、冷却液の圧力が前記下限値を下回ったり液温が前記上限値を上回ったりした場合、冷却能力が不足し、大きな粒径の粒子において結晶組織が肥大化してしまうおそれがある。一方、冷却液の圧力が前記上限値を上回った場合、微粉化された溶融金属25が冷却液の流れによって引き伸ばされ、粒子形状が異形化するおそれがある。また、液温が前記下限値を下回った場合、その液温を維持することが難しく、経時的に液温が上昇する可能性があるため、製造されるマグネシウム基合金粉末の特性がバラつくおそれがある。
また、マグネシウム基合金の原材料を溶融する際、その溶融温度はマグネシウム基合金の融点Tmに対し、Tm+20℃以上Tm+200℃以下程度に設定されるのが好ましく、Tm+50℃以上Tm+150℃以下程度に設定されるのが好ましい。これにより、溶融金属25を液体ジェット26で微粉化する際、粒子間で特性のばらつきが特に小さく抑えられるとともに、粒径、アスペクト比、見かけ密度、硬度等が、前述した範囲内にある粒子が得られる。
また、ジェットノズル24から噴出する液体ジェット26の噴出圧力を調整することにより、マグネシウム基合金粉末の粒径を制御することができる。例えば、液体ジェット26の噴出圧力を高めることにより、マグネシウム基合金粉末の粒径をより小さくすることができる。
なお、ジェットノズル24は必要に応じて設けられればよく、省略してもよい。この場合、軸線が鉛直方向に対して傾くように冷却用筒体1を設置し、細流状の溶融金属25を直接冷却液層9に流下させる。これにより、冷却液層9の流れによって溶融金属25が微粉化されるとともに冷却固化されることとなり、比較的粒径の大きなマグネシウム基合金粉末が得られる。また、この方法は、単位時間当たりの冷却幅が非常に大きくなるため、結晶組織の微細化、均一化等の観点で特に有用である。
[マグネシウム基合金成形体]
本発明のマグネシウム基合金成形体は、本発明のマグネシウム基合金粉末をホットプレス焼結法、熱間等方圧焼結法(HIP法)、パルス通電加圧焼結法、電気炉やガス炉等による常圧焼結法等の各種焼結法により成形・焼成したり、熱間押出することにより製造される。
ホットプレスでは、マグネシウム基合金粉末を成形型内に充填し、加圧しながら加熱する。これにより、マグネシウム基合金成形体(焼結体)が得られる。この際、減圧雰囲気下および不活性ガス雰囲気下で加圧、加熱を行うことにより、マグネシウム基合金の酸化を抑制し、酸化マグネシウムの含有率が低いものが得られる。減圧時の圧力は、特に限定されないが、95kPa以下程度とされ、好ましくは0.1kPa以上90kPa以下程度とされる。
ホットプレスにおける成形温度は、マグネシウム基合金粉末の組成や粒径、成形体の形状等に応じて適宜設定されるが、例えば100℃以上800℃以下に設定されるのが好ましく、200℃以上700℃以下に設定されるのがより好ましい。
また、ホットプレスにおける成形圧力も、マグネシウム基合金粉末の組成や粒径、成形体の形状等に応じて適宜設定されるが、例えば300MPa以上1500MPa以下に設定されるのが好ましく、400MPa以上1100MPa以下に設定されるのがより好ましい。
一方、熱間押出では、粉末または圧粉体(ビレット)を加熱しつつ押し出す。これにより、マグネシウム基合金成形体が得られる。このような方法で製造されたマグネシウム基合金成形体は、製造時の均一化を図り易いため、全体で均一な大きさの結晶組織が分布したものとなる。これは、熱間押出加工に伴って粉末にせん断応力が加わるため、仮に比較的大きい結晶組織が含まれている場合でも、この結晶組織をより微細化することができるからである。その結果、全体で結晶組織の大きさの均一化が図られる。また、ダイスの形状を適宜選択することのみで、複雑な形状や中空形状の成形体であっても、効率よく製造することができる点で有用である。
熱間押出における押出温度は、マグネシウム基合金粉末の組成や粒径、成形体の形状等に応じて適宜設定されるが、例えば250℃以上500℃以下に設定されるのが好ましく、300℃以上450℃以下に設定されるのがより好ましい。
また、熱間押出における押出圧力も、マグネシウム基合金粉末の組成や粒径、成形体の形状等に応じて適宜設定されるが、例えば300MPa以上1000MPa以下に設定されるのが好ましく、400MPa以上800MPa以下に設定されるのがより好ましい。
このようなマグネシウム基合金成形体は、いかなる目的で用いられるものであってもよく、例えば、自動車用部品、鉄道車両用部品、船舶用部品、航空機用部品のような輸送機機器用部品の他、パソコン用部品、携帯電話端末用部品のような電子機器用部品、装飾品、人工骨、人工歯根等の各種構造体に用いられる。
以上、本発明のマグネシウム基合金粉末およびマグネシウム基合金成形体について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態に係る粉末の粒子表面に任意の被膜が形成されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.マグネシウム基合金成形体の製造
(サンプルNo.1)
[1]まず、原材料を高周波誘導炉で溶融するとともに、高速回転水流アトマイズ法により粉末化してマグネシウム基合金粉末を得た。得られたマグネシウム基合金粉末の合金組成を以下に示す。
Al:5.699質量%、Zn:0.057質量%、Mn:0.271質量%、Fe:0.002質量%、Si:0.025質量%、Cu:0.005質量%、Ni:0.002質量%、Ca:1.880質量%、Mg:残部
また、高速回転水流アトマイズ装置(粉末製造装置)の設定条件を以下に示す。
・冷却液の噴出圧力 :100MPa
・冷却液の温度 :30℃
・溶融金属の温度 :Tm+20℃
[2]次に、得られたマグネシウム基合金粉末の一部を円柱状に加圧成形(ホットプレス)し、圧粉体(ビレット)を得た。この際、成形温度を300℃、成形圧力を350MPa、成形雰囲気を減圧雰囲気とした。
[3]次に、得られた圧粉体を用いて熱間押出加工を行い、マグネシウム基合金成形体を得た。この際、押出温度を300℃、押出圧力を700MPaとした。
[4]ここで、得られたマグネシウム基合金粉末について走査型電子顕微鏡により撮像した。そして、撮像した粒子像について、その面積と同じ面積を持つ円の直径を算出した。このようにして100個の粒子について円の直径を算出し、これを平均してマグネシウム基合金粉末の平均粒径とした。また、100個の粒径データの中の最大値を最大粒径とした。
[5]また、撮像した粒子像について、短径/長径により算出されるアスペクト比を求めた。そして、100個の粒子についてアスペクト比を算出し、これを平均してマグネシウム基合金粉末の平均アスペクト比とした。
[6]さらに、得られたマグネシウム基合金粉末についてJIS Z 2504に規定の方法に準じて見かけ密度を測定した。
[7]また、得られたマグネシウム基合金粉末について、その粒子を切断し、その切断面の10か所についてマイクロビッカース硬度計による硬度測定を行った。そして、10個の測定値における最大値と最小値とを求め、その差を算出するとともに、その差の最大値に対する割合(硬度ばらつき指標)を算出した。これを100個の粒子について行い、その平均値を求めた。なお、測定の際、圧子に加える荷重は25gf(0.245N)とした。
[8]さらに、得られたマグネシウム基合金粉末について、粒子断面を電子顕微鏡で観察し、その中心部において観察されるデンドライトのアームスペーシング(DAS)を求めた。そして、100個の粒子についてアームスペーシングを算出し、これを平均してマグネシウム基合金粉末の平均DASとした。なお、DASの測定には、「デンドライトアームスペーシング測定手順」(軽金属学会 鋳造・凝固部会)に記載の手順を準用した。
以上により測定および算出された平均粒径、平均アスペクト比、見かけ密度、硬度ばらつき指標の平均値、および平均DASを表1に示す。
(サンプルNo.2〜4、9〜11)
マグネシウム基合金粉末の特性を表1に示すように変更した以外は、それぞれサンプルNo.1と同様にしてマグネシウム基合金成形体を得た。
なお、高速回転水流アトマイズ装置の設定条件は以下のように変更した。そして、サンプルごとにジェットノズルから噴出する液体ジェットの噴出圧力を変更することにより、平均粒径の異なる粉末を製造するようにした。
・冷却液の噴出圧力 :150MPa
・冷却液の温度 : 10℃
・溶融金属の温度 :Tm+100℃
(サンプルNo.5〜8)
マグネシウム基合金粉末の特性を表1に示すように変更した以外は、それぞれサンプルNo.1と同様にしてマグネシウム基合金成形体を得た。
なお、高速回転水流アトマイズ装置の設定条件は以下のように変更した。そして、サンプルごとに冷却液の噴出圧力を下記の範囲内で変更することにより、平均粒径の異なる粉末を製造するようにした。また、高速回転水流アトマイズ装置においてジェットノズルを省略した。
・冷却液の噴出圧力 :120MPa以上200MPa以下
・冷却液の温度 : 20℃
・溶融金属の温度 :Tm+150℃
(サンプルNo.12、13、14、15)
マグネシウム基合金の組成を以下に示すように変更した以外は、サンプルNo.1、4、5、8と同様にしてマグネシウム基合金成形体を得た。
Al:6.161質量%、Zn:0.074質量%、Mn:0.228質量%、Fe:0.006質量%、Si:0.003質量%、Cu:0.001質量%、Ni:0.002質量%、Ca:2.020質量%、Mg:残部
(サンプルNo.16、17)
マグネシウム基合金の組成を以下に示すように変更した以外は、サンプルNo.4、5と同様にしてマグネシウム基合金成形体を得た。
Al:6.810質量%、Zn:0.964質量%、Mn:0.011質量%、Fe:0.008質量%、Ca:1.031質量%、La:2.961質量%、Mg:残部
(サンプルNo.18)
ホットプレスおよび熱間加工に代えて、鋳造押出法により成形体を得るようにした以外は、サンプルNo.1と同様にしてマグネシウム基合金成形体を得た。
また、表1においては、各サンプルNo.のマグネシウム基合金粉末およびマグネシウム基合金成形体のうち、本発明に相当するものについては「実施例」、本発明に相当しないものについては「比較例」と示す。
2.マグネシウム基合金粉末の評価
2.1 マグネシウム基合金粉末の元素分布
各サンプルNo.のマグネシウム基合金粉末の断面について、電子線マイクロ分析による元素分析を行った。その結果、各粒子の表面には、カルシウムの偏析が認められた。そこで、各粒子の表面についてX線光電子分光による化学結合状態分析を行った。その結果、表面におけるカルシウムは、そのほとんどが酸化カルシウムの状態で存在していることが認められた。また、表面には、酸化カルシウムの他に酸化マグネシウムも集積していることが認められた。
また、電子線マイクロ分析で測定した粒子内部のカルシウム濃度に対する粒子表面のカルシウム濃度の倍率を算出した。算出結果を表1に示す。
さらに、電子顕微鏡によるマグネシウム基合金粉末の断面の観察像およびカルシウムの分布状態に基づき、被覆層の平均厚さを算出した。そして、平均粒径に対する被覆層の平均厚さの割合を算出した。算出結果を表1に示す。
2.2 マグネシウム基合金粉末の結晶構造解析
各サンプルNo.のマグネシウム基合金粉末について、X線回折(XRD)による結晶構造解析を行った。そして、得られたX線回折スペクトルにおいて、マグネシウム単体に由来する最も強いピークの強度に対する、酸化マグネシウム(MgO)に由来する最も強いピークの強度の割合を算出した。同様に、得られたX線回折スペクトルにおいて、マグネシウム単体に由来する最も強いピークの強度に対する、アルミニウムとカルシウムの金属間化合物に由来する最も強いピークの強度の割合を算出した。それぞれの算出結果を表1に示す。
3.マグネシウム基合金成形体の評価
3.1 マグネシウム基合金成形体の引張強さ
各サンプルNo.のマグネシウム基合金成形体について、JIS Z 2241に規定の方法に準じて引張強さを測定した。そして、サンプルNo.18のマグネシウム基合金成形体について測定された引張強さを1としたときの相対値を求め、表1に示す。
3.2 マグネシウム基合金成形体の0.2%耐力
各サンプルNo.のマグネシウム基合金成形体について、JIS Z 2241に規定の方法に準じて0.2%耐力を測定した。そして、サンプルNo.18のマグネシウム基合金成形体について測定された0.2%耐力を1としたときの相対値を求め、表1に示す。
3.3 マグネシウム基合金成形体の伸び
各サンプルNo.のマグネシウム基合金成形体について、JIS Z 2241に規定の方法に準じて伸び(%)を測定した。そして、サンプルNo.18のマグネシウム基合金成形体について測定された伸び(%)を1としたときの相対値を求め、表1に示す。
以上、評価結果を表1に示す。
Figure 0006376209
表1から明らかなように、実施例に相当するマグネシウム基合金成形体は、引張強さ、0.2%耐力、伸びといった機械的特性のバランスに優れており、構造体として有用なものであることが認められた。
一方、比較例に相当するマグネシウム基合金成形体は、実施例に相当するものに比べて、機械的特性が特に低いことが認められた。
また、各実施例に相当するマグネシウム基合金成形体について、それぞれ難燃性を評価したところ、大気中での発火温度がいずれも600℃以上と高く、十分な難燃性を有していた。
1……冷却用筒体 2……蓋体 3……開口部 4……冷却液噴出管 5……吐出口 7……ポンプ 8……タンク 9……冷却液層 10……層厚調整用リング 11……液切り用網体 12……粉末回収容器 13……冷却液回収カバー 14……排液口 15……坩堝 23……空間部 24……ジェットノズル 25……溶融金属 26……液体ジェット 27……ガス供給管 100……粉末製造装置

Claims (11)

  1. 0.2質量%以上5質量%以下のカルシウムと、
    リチウム、ベリリウム、アルミニウム、シリコン、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、銀、錫、金、および希土類元素のうち1種または2種以上と、
    が添加されている粒子を含み、
    前記粒子の表面におけるカルシウム濃度は、前記粒子の内部におけるカルシウム濃度の3倍以上47.6倍以下であり、
    見かけ密度が0.2g/cm 以上1.2g/cm 以下であることを特徴とするマグネシウム基合金粉末。
  2. 前記リチウム、ベリリウム、アルミニウム、シリコン、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、銀、錫、金、および希土類元素の含有率が0.01質量%以上10質量%以下である請求項1に記載のマグネシウム基合金粉末。
  3. 当該マグネシウム基合金粉末におけるマグネシウムは、単体の状態または一部が酸化物もしくは金属間化合物の状態で存在する請求項1または2に記載のマグネシウム基合金粉末。
  4. 均粒径が100μm以上1500μm以下であり
    前記粒子表面が酸化カルシウムを含む被覆層で覆われている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマグネシウム基合金粉末。
  5. 前記被覆層は、酸化カルシウムと酸化マグネシウムとの混合物を主材料とするものである請求項4に記載のマグネシウム基合金粉末。
  6. 当該マグネシウム基合金粉末のX線回折スペクトルにおいて、カルシウムとアルミニウムとで構成される金属間化合物に由来する最も強いピークの強度が、マグネシウムに由来する最も強いピークの強度の3%以上40%以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載のマグネシウム基合金粉末。
  7. 結晶組織の平均デンドライトアームスペーシング(DAS)が0.05μm以上5μm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のマグネシウム基合金粉末。
  8. 高速回転水流アトマイズ粉末である請求項1ないし7のいずれか1項に記載のマグネシウム基合金粉末。
  9. 前記粒子の平均アスペクト比が0.5以上1以下である請求項1ないし8のいずれか1項に記載のマグネシウム基合金粉末。
  10. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のマグネシウム基合金粉末を含むことを特徴とするマグネシウム基合金成形体。
  11. 前記マグネシウム基合金粉末の熱間押出体である請求項10に記載のマグネシウム基合金成形体。
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