JP2019035134A - 積層造形用銅合金粉末、積層造形物の製造方法及び積層造形物 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械強度及び導電率を両立できる、銅合金から構成される積層造形用銅合金粉末、積層造形物の製造方法及び積層造形物を提供する。【解決手段】クロムの含有量が1.2at%を超え12.0at%以下であり、平均粒子径が20〜100μmであり、酸素濃度が1000wtppmである積層造形用銅合金粉末を用いることで、積層造形物の機械強度を高めつつ、高い導電率も得られることができる。【選択図】なし
Description
本発明は、積層造形用銅合金粉末、積層造形物の製造方法及び積層造形物に関し、特に、機械強度及び導電率を両立できる、銅合金から構成される積層造形用銅合金粉末、積層造形物の製造方法及び積層造形物に関する。
3Dプリンターは、積層造形(Additive Manufacturing:AM)とも呼ばれており、金属製の三次元形状造形物を製造する方法としては、電子ビーム(EB)、あるいはレーザーを用いた積層法が良く知られている。これは、焼結用テーブル上に金属粉末層を形成して、この粉末層の所定部にビームやレーザーを照射して焼結し、その後、上記粉末層の上に新たな粉末層を形成して、その所定部にビームを照射して焼結することで、下層の焼結部と一体となった焼結部を形成する。これを繰り返すことで、粉末から一層ずつ積層的に三次元形状を造形するものであり、従来の加工方法では困難、あるいは不可能であった複雑な形状を造形することが可能である。これらの手法によって、CAD等の形状データから所望の3次元立体モデルを直接、金属材料に成形することが可能である(非特許文献1)。
積層造形により得ようとする積層造形物には、機械強度とともに、導電率も高く要求されるものが存在する。例えば、ヒートシンク、金型、溶接トーチ、配電設備の部品などが挙げられる。ところが、電子ビーム(EB)や、レーザーを用いた積層法では、銅合金粉末が急速に加熱され、また急速に冷却されることで造形することになるので、その積層造形物の組織制御がしにくく、添加元素が含まれる場合にはこれらの元素が固溶してしまい、導電率が低下する原因となる。一方、添加元素を含まない場合には、所要の機械強度を得ることが困難となる。
機械強度及び導電率の両立に関する発明として、特許文献1には、積層造形用の金属粉末であって、アルミニウムを0.2質量%以上1.3質量%以下含有し、残部が銅および不可避不純物からなる、金属粉末が開示されている。この発明によれば、機械強度および導電率を両立できるとの効果が期待される。
『特集2 − 3Dプリンタ|魅せた!編|「設計・製造ソリューション展」レポート 樹脂、紙、金属など、造形材料が多様化』〔日経BP社発行「日経ものづくり8月号」(発行日:2013年8月1日)第64〜68頁〕
しかしながら、特許文献1には、添加元素が固溶する問題に関しては具体的な解決案を提示していない。実際には、アルミニウムは銅に固溶しやすいので、機械強度を得るためにアルミニウムを添加すると、今度は導電率が低下してしまうとの課題はまだ解決に至ったとはいえない。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、機械強度及び導電率を両立できる、銅合金から構成される積層造形用銅合金粉末、積層造形物の製造方法及び積層造形物を提供することを目的とする。
上記の技術課題を解決するために、本発明者らが鋭意研究を行ったところ、銅に対する固溶量の低い添加元素を用いることで固溶を低減し、上記機械強度及び導電率の二律背反を解消することができるとの知見を見出し、さらなる検討と考察を加えて本発明を完成させた。
上述した知見と結果に基づき、本発明は以下の発明を提供するものである。
(1)クロムの含有量が1.2at%を超え12.0at%以下である積層造形用銅合金粉末。
(2)平均粒子径D50が20〜100μmである(1)に記載の積層造形用銅合金粉末。
(3)酸素濃度が1000wtppm以下である(1)又は(2)に記載の積層造形用銅合金粉末。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の積層造形用銅合金粉末を用いて積層造形物を製造する方法であって、
造形用のステージに前記銅合金粉末を敷き詰めて薄層を形成する工程と、
前記薄層に対し、造形すべき部分に電子ビームを照射して前記銅合金粉末を溶解させ、その後自然冷却により凝固させる工程、
を複数回繰り返して積層造形物を製造する方法。
(5)銅合金から構成される積層造形物であって、
前記銅合金は、1.2at%を超え12.0at%以下のクロムを含有し、理論密度に対する相対密度が98%以上であり、導電率が50%IACS以上であり、0.2%耐力が700MPa以上である、積層造形物。
(1)クロムの含有量が1.2at%を超え12.0at%以下である積層造形用銅合金粉末。
(2)平均粒子径D50が20〜100μmである(1)に記載の積層造形用銅合金粉末。
(3)酸素濃度が1000wtppm以下である(1)又は(2)に記載の積層造形用銅合金粉末。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の積層造形用銅合金粉末を用いて積層造形物を製造する方法であって、
造形用のステージに前記銅合金粉末を敷き詰めて薄層を形成する工程と、
前記薄層に対し、造形すべき部分に電子ビームを照射して前記銅合金粉末を溶解させ、その後自然冷却により凝固させる工程、
を複数回繰り返して積層造形物を製造する方法。
(5)銅合金から構成される積層造形物であって、
前記銅合金は、1.2at%を超え12.0at%以下のクロムを含有し、理論密度に対する相対密度が98%以上であり、導電率が50%IACS以上であり、0.2%耐力が700MPa以上である、積層造形物。
本発明によれば、機械強度及び導電率を両立できる、銅合金から構成される積層造形用銅合金粉末、積層造形物の製造方法及び積層造形物を提供することができる。
(銅合金粉末)
銅合金粉末は、公知の方法によって製造された銅合金粉末を使用することができる。粒径数μm以上のサイズであれば、工業的には製造コストに優れるアトマイズ法に代表される乾式法によって製造された銅合金粉末を使用することが一般的ではあるが、還元法などの湿式法によって製造された銅合金粉末を使用することも可能である。具体的には、タンデッシュの底部から、溶融状態の合金成分を落下させながら、高圧ガスまたは高圧水と接触させ、合金成分を急冷凝固させることにより、合金成分を粉末化する。この他、たとえばプラズマアトマイズ法、遠心力アトマイズ法などによって、金属粉末を製造してもよい。これらの製造方法で得られた金属粉末を用いることにより、緻密な積層造形物が得られる傾向にある。
銅合金粉末は、公知の方法によって製造された銅合金粉末を使用することができる。粒径数μm以上のサイズであれば、工業的には製造コストに優れるアトマイズ法に代表される乾式法によって製造された銅合金粉末を使用することが一般的ではあるが、還元法などの湿式法によって製造された銅合金粉末を使用することも可能である。具体的には、タンデッシュの底部から、溶融状態の合金成分を落下させながら、高圧ガスまたは高圧水と接触させ、合金成分を急冷凝固させることにより、合金成分を粉末化する。この他、たとえばプラズマアトマイズ法、遠心力アトマイズ法などによって、金属粉末を製造してもよい。これらの製造方法で得られた金属粉末を用いることにより、緻密な積層造形物が得られる傾向にある。
銅合金粉末は、1.2at%を超え12.0at%以下のクロムを含有する。クロムを含有することにより、純銅の場合と比較してより高い機械強度を有する積層造形物を得ることができる。また、クロムの銅に対する固溶量が小さいので、造形における急速な加熱及び冷却によっても、クロムが銅に固溶した相の形成が抑制され、より高い導電率を得ることができる。
また、クロムの含有量が1.2at%を超えれば、機械強度の向上の効果がより現れ、12.0at%以下であれば、導電率の不必要な低下を防止することができるからである。
ここで、1.2at%を換算すると1.0質量%であるので、クロムの含有量が1.2at%を超えることは、1.0質量%を超えることを意味する。
また、機械強度の向上の効果の観点から、クロムの含有量は、1.3at%以上であることが好ましく、1.5at%以上であることがさらに好ましい。
銅に対する固溶量は、添加元素の固有の性質であり、一般的に相図と呼ばれる二つの元素の温度に対する相関係を示す図から抽出することができる。例えば、ASM International社発行のPhase Diagrams for Binary Alloys (ISBN: 0−87170−682−2) を参考して判断する。この相図から、銅に対するクロムの固溶量は、0.9at%程度である。
そして、クロムの含有量は、例えばSII社製SPS3500DDのICP−OES(高周波誘導結合プラズマ発光分析法)で測定することができる。
また、クロムの含有量が1.2at%を超えれば、機械強度の向上の効果がより現れ、12.0at%以下であれば、導電率の不必要な低下を防止することができるからである。
ここで、1.2at%を換算すると1.0質量%であるので、クロムの含有量が1.2at%を超えることは、1.0質量%を超えることを意味する。
また、機械強度の向上の効果の観点から、クロムの含有量は、1.3at%以上であることが好ましく、1.5at%以上であることがさらに好ましい。
銅に対する固溶量は、添加元素の固有の性質であり、一般的に相図と呼ばれる二つの元素の温度に対する相関係を示す図から抽出することができる。例えば、ASM International社発行のPhase Diagrams for Binary Alloys (ISBN: 0−87170−682−2) を参考して判断する。この相図から、銅に対するクロムの固溶量は、0.9at%程度である。
そして、クロムの含有量は、例えばSII社製SPS3500DDのICP−OES(高周波誘導結合プラズマ発光分析法)で測定することができる。
また、銅合金粉末の平均粒子径D50は20〜100μmであることが好ましい。平均粒子径D50を20μm以上とすることで、造形時に粉末が舞いにくくなり、粉末の取り扱いが容易になる。また、平均粒子径D50を100μm以下とすることで、より高精細な積層造形物を製造することが可能となる。また、平均粒子径D50を20〜100μmとすることで、積層造形物に未造形の銅合金粉末が混入することを抑制するもできる。
平均粒子径D50とは、顕微鏡画像解析により得られる粒子の画像から算出した面積に相当する円の直径を粒径として、当該粒度分布において、積算値50%での粒径をいう。
例えば、スペクトリス株式会社(マルバーン事業部)製の乾式粒子画像分析装置 Morphologi G3により測定することができる。
平均粒子径D50とは、顕微鏡画像解析により得られる粒子の画像から算出した面積に相当する円の直径を粒径として、当該粒度分布において、積算値50%での粒径をいう。
例えば、スペクトリス株式会社(マルバーン事業部)製の乾式粒子画像分析装置 Morphologi G3により測定することができる。
また、銅合金粉末中の酸素濃度は、1000wtppm以下であることが好ましく、500wtppm以下であることがより好ましい。より好ましくは250wtppm以下である。これは、銅合金粉末の内部に酸素が少なければ、酸素が内包されたまま造形物となること回避し、造形物の導電性に悪影響を与える可能性を小さくすることができるからである。この酸素濃度を実現するためには、ディスクアトマイズの利用が好ましい。ガスアトマイズでは、噴霧に使用するガスに含まれる酸素を内包する可能性が高く、酸素濃度が300wtppmを上回ることが多い。
酸素濃度は、LECO社製のTCH600にて、不活性ガス融解法で測定することができる。
酸素濃度は、LECO社製のTCH600にて、不活性ガス融解法で測定することができる。
銅合金粉末中に、クロム及び銅以外、不可避的不純物が含まれる場合があるが、銅合金粉末に必要な性質に影響がない限り不純物を含むことも可能である。この場合、ガス成分を除く不可避的不純物の濃度が0.01質量%以下とした方が、銅合金粉末を効率的に溶融結合できる観点から好ましい。
(積層造形物の製造方法)
本発明の銅合金粉末を用いる方法であれば、その具体的手段は特に制限されない。ここで、もっとも典型的な方法として、本発明の銅合金粉末の薄層を形成し、この薄層における銅合金粉末を、電子ビームやレーザーで焼結又は溶融結合により固化させて造形物層を形成し、この造形物層を積層することにより積層造形物を製造することができる。
好ましくは、造形用のステージに、本発明の銅合金粉末敷き詰めて薄層を形成する工程と、当該薄層に対し、造形すべき部分に電子ビームを照射して前記銅合金粉末を溶解させ、その後自然冷却により凝固させる工程を複数回繰り返して行うことで、本発明の積層造形物を製造することができる。
本発明の銅合金粉末を用いる方法であれば、その具体的手段は特に制限されない。ここで、もっとも典型的な方法として、本発明の銅合金粉末の薄層を形成し、この薄層における銅合金粉末を、電子ビームやレーザーで焼結又は溶融結合により固化させて造形物層を形成し、この造形物層を積層することにより積層造形物を製造することができる。
好ましくは、造形用のステージに、本発明の銅合金粉末敷き詰めて薄層を形成する工程と、当該薄層に対し、造形すべき部分に電子ビームを照射して前記銅合金粉末を溶解させ、その後自然冷却により凝固させる工程を複数回繰り返して行うことで、本発明の積層造形物を製造することができる。
(積層造形物)
本発明の製造方法により製造される積層造形物は、機械強度及び導電率が優れている。具体的には、理論密度に対する相対密度が98%以上であり、導電率が50%IACS以上であり、0.2%耐力が700MPa以上という特性を得ることが可能である。この観点から、99%以上がより好ましく、99.5%以上がより好ましい。
本発明の製造方法により製造される積層造形物は、機械強度及び導電率が優れている。具体的には、理論密度に対する相対密度が98%以上であり、導電率が50%IACS以上であり、0.2%耐力が700MPa以上という特性を得ることが可能である。この観点から、99%以上がより好ましく、99.5%以上がより好ましい。
本発明の積層造形物は、理論密度に対する相対密度が98%以上である。理論密度に対する相対密度が98%以上であれば、機械強度の要求の高い場面においても、本発明の積層造形物を用いることが可能である。
本発明では、積層造形物の密度は相対密度で示す。相対密度は、測定された密度及び理論密度によって、相対密度=(測定密度/理論密度)×100(%)で表される。理論密度とは、積層造形物の各構成元素において、各元素の理論密度から算出される密度の値である。例えば、W(タングステン)を5.0質量%含有するのであれば、各構成元素であるCuとWとの質量比を、Cu:W=95:5として、理論密度の算出に用いる。この場合、理論密度は、(Cuの密度(g/cm3)×95+Wの密度(g/cm3)×5)/100(g/cm3)として算出する。そして、Wの理論密度は19.25g/cm3、Cuの理論密度は8.94g/cm3として計算し、理論密度は9.455(g/cm3)と算出される。
なお、分析機器によってat%の測定結果となるが、質量%に換算することで計算できる。
一方、積層造形物の測定密度は、たとえばアルキメデス法により測定することができる。アルキメデス法による密度測定は、「JIS Z 2501:焼結金属材料‐密度、含油率および開放気孔率試験方法」に準拠して行うことができる。液体には水を用いればよい。
本発明では、積層造形物の密度は相対密度で示す。相対密度は、測定された密度及び理論密度によって、相対密度=(測定密度/理論密度)×100(%)で表される。理論密度とは、積層造形物の各構成元素において、各元素の理論密度から算出される密度の値である。例えば、W(タングステン)を5.0質量%含有するのであれば、各構成元素であるCuとWとの質量比を、Cu:W=95:5として、理論密度の算出に用いる。この場合、理論密度は、(Cuの密度(g/cm3)×95+Wの密度(g/cm3)×5)/100(g/cm3)として算出する。そして、Wの理論密度は19.25g/cm3、Cuの理論密度は8.94g/cm3として計算し、理論密度は9.455(g/cm3)と算出される。
なお、分析機器によってat%の測定結果となるが、質量%に換算することで計算できる。
一方、積層造形物の測定密度は、たとえばアルキメデス法により測定することができる。アルキメデス法による密度測定は、「JIS Z 2501:焼結金属材料‐密度、含油率および開放気孔率試験方法」に準拠して行うことができる。液体には水を用いればよい。
本発明の積層造形物は、導電率が50%IACS以上である。導電率が50%IACS以上であれば、導電率の要求の高い場面においても、本発明の積層造形物を用いることが可能である。導電率は70%IACS以上がより好ましく、90%IACS以上がより好ましい。
導電率は、市販の渦流式導電率計によって測定できる。なお、IACS(international annealed copper standard)とは、電気抵抗(又は電気伝導度)の基準として、国際的に採択された焼鈍標準軟銅(体積抵抗率:1.7241×10-2μΩm)の導電率を、100%IACSとして規定されたものである。
導電率は、市販の渦流式導電率計によって測定できる。なお、IACS(international annealed copper standard)とは、電気抵抗(又は電気伝導度)の基準として、国際的に採択された焼鈍標準軟銅(体積抵抗率:1.7241×10-2μΩm)の導電率を、100%IACSとして規定されたものである。
本発明の積層造形物は、0.2%耐力が700MPa以上である。0.2%耐力が700MPa以上であれば、機械強度の要求の高い場面においても、本発明の積層造形物を用いることが可能である。
0.2%耐力は、引張試験機を用いてJIS Z2241に準拠して測定する。
0.2%耐力は、引張試験機を用いてJIS Z2241に準拠して測定する。
以下、本発明を実施例、比較例に基づいて具体的に説明する。以下の実施例、比較例の記載は、あくまで本発明の技術的内容の理解を容易とするための具体例であり、本発明の技術的範囲はこれらの具体例によって制限されるものでない。
(実施例1〜10及び比較例1〜4の作製)
[積層造形物]
実施例1〜10及び比較例1〜4の積層造形物は、それぞれ表1に示される銅合金粉末により作製されたものである。これらの銅合金粉末いずれもディスクアトマイズ法で作製した銅粉を用いた。
積層造形物は、銅合金粉末を薄層に形成し、これに電子ビームを照射して、銅合金粉末を固化させて造形物層を形成し、この造形物層を積層することによって作製した。また、評価を容易にするため造形物の形状は、W80×L100×H35の板状試験片とした。
[積層造形物]
実施例1〜10及び比較例1〜4の積層造形物は、それぞれ表1に示される銅合金粉末により作製されたものである。これらの銅合金粉末いずれもディスクアトマイズ法で作製した銅粉を用いた。
積層造形物は、銅合金粉末を薄層に形成し、これに電子ビームを照射して、銅合金粉末を固化させて造形物層を形成し、この造形物層を積層することによって作製した。また、評価を容易にするため造形物の形状は、W80×L100×H35の板状試験片とした。
(実施例1〜10及び比較例1〜4の評価)
[組成]
積層造形物の原料となる銅合金粉末に含まれる元素の組成は、SII社製SPS3500DDのICP−OES(高周波誘導結合プラズマ発光分析法)で測定した。
なお、表に示されない残部は、銅及び不可避的不純物である。
[酸素濃度]
酸素濃度は、LECO社製のTCH600にて、不活性ガス融解法で測定した。
[平均粒子径D50]
平均粒子径D50(体積基準)は、以下の装置及び条件で測定した。
メーカー:スペクトリス株式会社(マルバーン事業部)
装置名 :乾式粒子画像分析装置 Morphologi G3
測定条件:
粒子導入量:11mm3
射出圧:0.8bar
測定粒径範囲:3.5−210μm
測定粒子数:20000個
[相対密度]
造形物からサンプルを20mm四方で切り出し、アルキメデス法にて測定密度を算出する。
[導電率]
造形物からサンプルを20mm四方で切り出し、市販の渦流式導電率計にて導電率を評価した。
[0.2%耐力]
試験片に対し、JIS Z2241に基いて引張り試験を行って、0.2%耐力(YS:MPa)を測定した。
[組成]
積層造形物の原料となる銅合金粉末に含まれる元素の組成は、SII社製SPS3500DDのICP−OES(高周波誘導結合プラズマ発光分析法)で測定した。
なお、表に示されない残部は、銅及び不可避的不純物である。
[酸素濃度]
酸素濃度は、LECO社製のTCH600にて、不活性ガス融解法で測定した。
[平均粒子径D50]
平均粒子径D50(体積基準)は、以下の装置及び条件で測定した。
メーカー:スペクトリス株式会社(マルバーン事業部)
装置名 :乾式粒子画像分析装置 Morphologi G3
測定条件:
粒子導入量:11mm3
射出圧:0.8bar
測定粒径範囲:3.5−210μm
測定粒子数:20000個
[相対密度]
造形物からサンプルを20mm四方で切り出し、アルキメデス法にて測定密度を算出する。
[導電率]
造形物からサンプルを20mm四方で切り出し、市販の渦流式導電率計にて導電率を評価した。
[0.2%耐力]
試験片に対し、JIS Z2241に基いて引張り試験を行って、0.2%耐力(YS:MPa)を測定した。
実施例1〜10によれば、1.2at%を超え12.0at%以下のクロムを含有させることで、積層造形物の機械強度を高めつつ、高い導電率も得られることが理解される。
一方、比較例1及び3はクロムの含有量が十分ではなかったため、機械強度と導電率の両立を実現できなかった。
比較例2はクロムの含有量が高すぎたため、機械強度は得られたが、導電率の低下が顕著であった。
比較例4は、銅に対する固溶量の高いアルミニウムを含有するため、機械強度と導電率の両立を実現できなかった。
一方、比較例1及び3はクロムの含有量が十分ではなかったため、機械強度と導電率の両立を実現できなかった。
比較例2はクロムの含有量が高すぎたため、機械強度は得られたが、導電率の低下が顕著であった。
比較例4は、銅に対する固溶量の高いアルミニウムを含有するため、機械強度と導電率の両立を実現できなかった。
本発明によれば、機械強度及び導電率を両立できる、銅合金から構成される積層造形用銅合金粉末、積層造形物の製造方法及び積層造形物を提供することができる。そのため、3Dプリンターに用いられる場合、機械強度及び導電率を両立することが可能である。
Claims (5)
- クロムの含有量が1.2at%を超え12.0at%以下である積層造形用銅合金粉末。
- 平均粒子径D50が20〜100μmである請求項1に記載の積層造形用銅合金粉末。
- 酸素濃度が1000wtppm以下である請求項1又は2に記載の積層造形用銅合金粉末。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の積層造形用銅合金粉末を用いて積層造形物を製造する方法であって、
造形用のステージに前記銅合金粉末を敷き詰めて薄層を形成する工程と、
前記薄層に対し、造形すべき部分に電子ビームを照射して前記銅合金粉末を溶解させ、その後自然冷却により凝固させる工程、
を複数回繰り返して積層造形物を製造する方法。 - 銅合金から構成される積層造形物であって、
前記銅合金は、1.2at%を超え12.0at%以下のクロムを含有し、理論密度に対する相対密度が98%以上であり、導電率が50%IACS以上であり、0.2%耐力が700MPa以上である、積層造形物。
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