本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔第1実施形態〕
図面を参照しながら第1実施形態に係る電源システム1について説明する。図1は、第1実施形態に係る電源システム1の構成例を示す回路図である。図2は、第1実施形態に係る急速充電時における電源システム1の動作例を示す回路図である。図3は、第1実施形態に係る超急速充電時における電源システム1の動作例を示す回路図である。図4は、第1実施形態に係る各リレーのON/OFFの一覧を示す図である。
電源システム1は、車両100に搭載され、電力を負荷部に供給するものである。電源システム1は、例えば、EV(Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等の電動車両に搭載される。電源システム1は、外部充電器により供給される電力を充電し、充電した電力を負荷部に供給する。電源システム1は、例えば、外部充電器としての急速充電器2又は超急速充電器3により供給される電力を充電し、充電した電力を負荷部としてのリアインバータ4Aを介してリアモータ5Aに供給する。ここで、急速充電器2は、例えば、その出力電圧が400V程度である。超急速充電器3は、急速充電器2よりも出力電圧が高く、例えば、出力電圧が800V程度である。急速充電器2及び超急速充電器3は、車両100の充電ステーション等に設置され、コネクタCを電源システム1のDC充電ポート20Aに装着することで電力を電源システム1に供給する。以下、電源システム1について詳細に説明する。
電源システム1は、蓄電部10と、第1入力部としてのDC充電ポート20Aと、リア電源ボックス30Aと、切替部としての充電切替部40と、制御部50とを備えている。蓄電部10は、電力を蓄電するものであり、第1バッテリとしての第1高電圧バッテリ11と、第2バッテリとしての第2高電圧バッテリ12と、第1バッテリ電圧検出部13と、第2バッテリ電圧検出部14と、バッテリECU(Electronic Control Unit;電子制御ユニット)15とを備えている。
第1高電圧バッテリ11は、車両100に搭載され、電力を蓄電可能な蓄電池である。第1高電圧バッテリ11は、複数の電池セルを有する。各電池セルは、それぞれが充放電可能な二次電池で構成され、例えば、リチウムイオン電池で構成されている。各電池セルは、それぞれが並んで配置され、隣に位置する電池セルと互いに直列に接続されている。
第2高電圧バッテリ12は、車両100に搭載され、電力を蓄電可能な蓄電池である。第2高電圧バッテリ12は、複数の電池セルを有する。各電池セルは、それぞれが充放電可能な二次電池で構成され、例えば、リチウムイオン電池で構成されている。各電池セルは、それぞれが並んで配置され、隣に位置する電池セルと互いに直列に接続されている。第2高電圧バッテリ12は、第1高電圧バッテリ11と同等の容量である。
第1バッテリ電圧検出部13は、第1高電圧バッテリ11の電圧を検出するものである。第1バッテリ電圧検出部13は、後述するリア電源ボックス30Aの回路電圧検出部33Aとは異なる電圧検出部である。第1バッテリ電圧検出部13は、第1高電圧バッテリ11に並列に接続され、当該第1高電圧バッテリ11の正極と負極との間の電圧を検出する。第1バッテリ電圧検出部13は、バッテリECU15に接続され、検出した電圧である検出電圧V1をバッテリECU15に出力する。
第2バッテリ電圧検出部14は、第2高電圧バッテリ12の電圧を検出するものである。第2バッテリ電圧検出部14は、リア電源ボックス30Aの回路電圧検出部33Aとは異なる電圧検出部である。第2バッテリ電圧検出部14は、第2高電圧バッテリ12に並列に接続され、当該第2高電圧バッテリ12の正極と負極との間の電圧を検出する。第2バッテリ電圧検出部14は、バッテリECU15に接続され、検出した電圧である検出電圧V2をバッテリECU15に出力する。
バッテリECU15は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を監視するものである。バッテリECU15及び第1、第2バッテリ電圧検出部13、14は、セルボルテージセンサ(CVS;Cell Voltage Sensor)やバッテリマネージシステム(BMS;Battery Management System)と称されるものである。バッテリECU15は、第1バッテリ電圧検出部13に接続され、当該第1バッテリ電圧検出部13から検出電圧V1が出力される。また、バッテリECU15は、第2バッテリ電圧検出部14に接続され、当該第2バッテリ電圧検出部14から検出電圧V2が出力される。バッテリECU15は、検出電圧V1、V2に基づいて第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を制御する。バッテリECU15は、例えば、検出電圧V1、V2に基づいて第1高電圧バッテリ11の充電量と第2高電圧バッテリ12の充電量とを同等とするように制御する。バッテリECU15は、制御部50に接続され、検出電圧V1、V2を制御部50に出力する。
DC充電ポート20Aは、いわゆるDCインレットであり、急速充電器2又は超急速充電器3のコネクタCが接続される。DC充電ポート20Aは、リア電源ボックス30Aに接続され、急速充電器2又は超急速充電器3から供給される電力をリア電源ボックス30Aに出力する。
リア電源ボックス30Aは、車両100の全長方向の後部側に設けられ、蓄電部10と車両100の後部側のリアインバータ4A及びリアモータ5Aとの電気的な接続をオンオフする。また、リア電源ボックス30Aは、蓄電部10とDC充電ポート20Aとの電気的な接続をオンオフする。リア電源ボックス30Aは、負荷電力切替部31Aと、メイン切替部32Aと、回路電圧検出部33Aとを備える。
負荷電力切替部31Aは、蓄電部10から負荷部に供給する電力を切り替えるものである。負荷電力切替部31Aは、負荷リレー31aと、負荷リレー31bとを含んで構成される。負荷リレー31a、31bは、電流を通電又は遮断するものである。負荷リレー31aは、第1高電圧バッテリ11の正極又は第2高電圧バッテリ12の正極とリアインバータ4Aの正極との間に設けられている。負荷リレー31aは、第1高電圧バッテリ11の正極又は第2高電圧バッテリ12の正極からリアインバータ4Aに流れる電流を通電又は遮断する。負荷リレー31bは、第1高電圧バッテリ11の負極又は第2高電圧バッテリ12の負極とリアインバータ4Aの負極との間に設けられている。負荷リレー31bは、リアインバータ4Aから第1高電圧バッテリ11の負極又は第2高電圧バッテリ12の負極に流れる電流を通電又は遮断する。
メイン切替部32Aは、DC充電ポート20Aから蓄電部10に供給される電力を切り替えるものである。メイン切替部32Aは、上流側メインリレー32aと、下流側メインリレー32bとを含んで構成される。上流側及び下流側メインリレー32a、32bは、電流を通電又は遮断するものである。上流側メインリレー32aは、DC充電ポート20Aの正極と第1高電圧バッテリ11の正極との間に設けられている。上流側メインリレー32aは、DC充電ポート20Aから第1高電圧バッテリ11に流れる電流を通電又は遮断する。また、上流側メインリレー32aは、DC充電ポート20Aの正極と第2高電圧バッテリ12の正極との間に位置している。上流側メインリレー32aは、DC充電ポート20Aから第2高電圧バッテリ12に流れる電流を通電又は遮断する。
下流側メインリレー32bは、第1高電圧バッテリ11の負極とDC充電ポート20Aの負極との間に設けられている。下流側メインリレー32bは、第1高電圧バッテリ11の負極からDC充電ポート20Aに流れる電流を通電又は遮断する。また、下流側メインリレー32bは、第2高電圧バッテリ12の負極とDC充電ポート20Aの負極との間に位置している。下流側メインリレー32bは、第2高電圧バッテリ12の負極からDC充電ポート20Aに流れる電流を通電又は遮断する。
回路電圧検出部33Aは、直列回路P及び並列回路Qの電圧を検出するものである。回路電圧検出部33Aは、直列回路Pを構成する第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に並列に接続され、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12により直列回路Pに印加する電圧を検出する。回路電圧検出部33Aは、制御部50に接続され、検出した第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の検出電圧V3を制御部50に出力する。
回路電圧検出部33Aは、第1高電圧バッテリ11に並列に接続され、第1高電圧バッテリ11により並列回路Qに印加する電圧を検出する。回路電圧検出部33Aは、検出した第1高電圧バッテリ11の検出電圧V3を制御部50に出力する。
回路電圧検出部33Aは、第2高電圧バッテリ12に並列に接続され、第2高電圧バッテリ12により並列回路Qに印加する電圧を検出する。回路電圧検出部33Aは、検出した第2高電圧バッテリ12の検出電圧V3を制御部50に出力する。
充電切替部40は、第1及び第2高電圧バッテリ11、12の接続回路を切り替えるものである。充電切替部40は、例えば、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を直列に接続する直列回路P(図3参照)、又は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を並列に接続する並列回路Q(図2参照)に切り替える。
充電切替部40は、充電リレー41aと、充電リレー41bと、充電リレー41cと、電流検出部42、43とを含んで構成される。充電リレー41a~41cは、電流を通電又は遮断するものである。充電リレー41aは、直列回路Pを形成するものであり、第2高電圧バッテリ12の正極と第1高電圧バッテリ11の負極との間に設けられている。充電リレー41aは、第2高電圧バッテリ12から第1高電圧バッテリ11に流れる電流を通電又は遮断する。なお、充電リレー41aは、電気的安全を確保するためのサービスプラグとしての役割も有し、物理的に着脱可能な構成であることが好ましい。
直列回路Pは、図3に示すように、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を直列に接続する回路である。直列回路Pは、例えば、DC充電ポート20Aの正極及び第1高電圧バッテリ11の正極が接続され、第1高電圧バッテリ11の負極及び第2高電圧バッテリ12の正極が充電リレー41aを介して接続され、第2高電圧バッテリ12の負極及びDC充電ポート20Aの負極が接続されている。なお、直列回路Pは、DC充電ポート20Aの正極と第1高電圧バッテリ11の正極との間に上流側メインリレー32aが設けられ、第2高電圧バッテリ12の負極とDC充電ポート20Aの負極との間に下流側メインリレー32bが設けられている。
充電リレー41bは、並列回路Qを形成するものであり、第1高電圧バッテリ11の負極とDC充電ポート20Aの負極との間に設けられている。充電リレー41bは、第1高電圧バッテリ11の負極からDC充電ポート20Aの負極に流れる電流を通電又は遮断する。
充電リレー41cは、並列回路Qを形成するものであり、DC充電ポート20Aの正極と第2高電圧バッテリ12の正極との間に設けられている。充電リレー41cは、DC充電ポート20Aの正極から第2高電圧バッテリ12の正極に流れる電流を通電又は遮断する。
並列回路Qは、図2に示すように、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を並列に接続した回路である。並列回路Qは、例えば、DC充電ポート20Aの正極及び第1高電圧バッテリ11の正極が接続され、且つ、第1高電圧バッテリ11の負極及びDC充電ポート20Aの負極が充電リレー41bを介して接続される第1閉回路と、DC充電ポート20Aの正極及び第2高電圧バッテリ12の正極が充電リレー41cを介して接続され、且つ、第2高電圧バッテリ12の負極及びDC充電ポート20Aの負極が接続される第2閉回路とを構成する。
電流検出部42は、電流を検出するものである。電流検出部42は、DC充電ポート20Aの正極と第1高電圧バッテリ11の正極との間に設けられ、DC充電ポート20Aから第1高電圧バッテリ11に流れる電流を検出する。電流検出部42は、例えば、直列回路P及び並列回路Qにおいて、それぞれDC充電ポート20Aから第1高電圧バッテリ11に流れる電流を検出する。電流検出部42は、制御部50に接続され、検出した検出電流I1を制御部50に出力する。
電流検出部43は、電流を検出するものである。電流検出部43は、第2高電圧バッテリ12の負極とDC充電ポート20Aの負極との間に設けられ、第2高電圧バッテリ12からDC充電ポート20Aに流れる電流を検出する。電流検出部43は、例えば、直列回路P及び並列回路Qにおいて、第2高電圧バッテリ12からDC充電ポート20Aに流れる電流を検出する。電流検出部43は、制御部50に接続され、検出した検出電流I2を制御部50に出力する。電流検出部42、43は、直列回路Pにおいて、それぞれが検出電流I1、I2を検出するので、いずれか一方が故障した場合でも他方により電流を検出することができる。
制御部50は、リア電源ボックス30A及び充電切替部40を制御するものである。制御部50は、例えば、放電する際にリアインバータ4Aに電力を供給する場合、充電リレー41b、41cをONし且つ充電リレー41aをOFFして並列回路Qを形成する。そして、制御部50は、負荷リレー31a、31bをONして蓄電部10とリアインバータ4Aとを並列回路Qを介して電気的に接続し、蓄電部10からリアインバータ4Aに電力を供給する。また、制御部50は、充電リレー41aをONし且つ充電リレー41b、41cをOFFして直列回路Pを形成する。そして、制御部50は、負荷リレー31a、31bをONして蓄電部10とリアインバータ4Aとを直列回路Pを介して電気的に接続し、蓄電部10からリアインバータ4Aに電力を供給する。
制御部50は、充電する際に急速充電器2のコネクタCがDC充電ポート20Aに接続された場合、充電切替部40を制御して並列回路Qを形成する。制御部50は、例えば、図2に示すように、充電リレー41b、41cをONし且つ充電リレー41aをOFFして並列回路Qを形成する。そして、制御部50は、上流側メインリレー32a及び下流側メインリレー32bをONして充電切替部40の並列回路QとDC充電ポート20Aとを電気的に接続し、急速充電器2から供給される電力を第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に充電する。なお、図4には、急速充電時における充電リレー41a、41b、41c、上流側メインリレー32a、及び、下流側メインリレー32bのON/OFFの関係を図示している。
一方、制御部50は、充電する際に超急速充電器3のコネクタCがDC充電ポート20Aに接続された場合、充電切替部40を制御して直列回路Pを形成する。制御部50は、例えば、図3に示すように、充電リレー41aをONし且つ充電リレー41b、41cをOFFして直列回路Pを形成する。そして、制御部50は、上流側メインリレー32a及び下流側メインリレー32bをONして充電切替部40の直列回路PとDC充電ポート20Aとを電気的に接続し、超急速充電器3から供給される電力を第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に充電する。なお、図4には、超急速充電時における充電リレー41a、41b、41c、上流側メインリレー32a、及び、下流側メインリレー32bのON/OFFの関係を図示している。
なお、制御部50は、例えば、急速充電器2のコネクタCがDC充電ポート20Aに接続された場合、DC充電ポート20Aを介して急速充電器2から入力した入力電圧(例えば400V程度)を表す電圧情報を取得し、取得した電圧情報に基づいて並列回路Qを形成するように充電切替部40を制御する。制御部50は、超急速充電器3のコネクタCがDC充電ポート20Aに接続された場合、DC充電ポート20Aを介して超急速充電器3から入力した入力電圧(例えば800V程度)を表す電圧情報を取得し、取得した電圧情報に基づいて直列回路Pを形成するように充電切替部40を制御する。
また、制御部50は、例えば、急速充電器2のコネクタCがDC充電ポート20Aに接続された場合、回路電圧検出部33Aにより急速充電器2から供給される電力の電圧を検出した結果に基づいて充電切替部40を制御してもよい。この場合、制御部50は、充電リレー41a~41cを全てOFFし、上流側メインリレー32a及び下流側メインリレー32bをONすることで、急速充電器2から供給される電力の電圧を回路電圧検出部33Aにより検出する。
次に、図5を参照して電源システム1の動作例について説明する。図5は、第1実施形態に係る電源システム1の動作例を示すフローチャートである。電源システム1において、制御部50は、入力電圧が400V程度であるか否かを判定する(ステップS1)。制御部50は、入力電圧が400V程度(第1電圧)である場合(ステップS1;Yes)、充電切替部40を制御して並列回路Qを形成する(ステップS2)。制御部50は、例えば、充電リレー41b、41cをONし且つ充電リレー41aをOFFして並列回路Qを形成する。そして、制御部50は、急速充電器2から供給される電力を第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に充電して充電処理を終了する。
一方、制御部50は、入力電圧が400V程度でなく400V程度よりも高い800V程度(第2電圧)の場合、場合(ステップS1;No)、充電切替部40を制御して直列回路Pを形成する(ステップS3)。制御部50は、例えば、充電リレー41aをONし且つ充電リレー41b、41cをOFFして直列回路Pを形成する。そして、制御部50は、超急速充電器3から供給される電力を第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に充電して充電処理を終了する。
次に、充電リレー41a~41cの故障検出について説明する。図6は、第1実施形態に係る充電リレー41a~41cのオン固着故障の検出例を示す回路図である。図7は、第1実施形態に係る充電リレー41aのオフ固着故障の検出例を示す回路図である。図8は、第1実施形態に係る充電リレー41cのオフ固着故障の検出例を示す回路図である。図9は、第1実施形態に係る充電リレー41bのオフ固着故障の検出例を示す回路図である。図10は、第1実施形態に係る充電リレー41a~41cの故障の検出例を示すフローチャートである。
制御部50は、急速充電器2又は超急速充電器3をDC充電ポート20Aに接続後、当該急速充電器2又は超急速充電器3からDC充電ポート20Aに電力を供給する前に、充電リレー41a~41cの故障を検出(診断)する。制御部50は、例えば、急速充電器2又は超急速充電器3のコネクタCがDC充電ポート20Aに接続されたことを検出した直後に、充電リレー41a~41cの故障検出を開始する。
制御部50は、例えば、充電リレー41a~41cの故障検出を行う場合、上流側メインリレー32a及び下流側メインリレー32bをOFFし、リア電源ボックス30AとDC充電ポート20Aとの電気的な接続を遮断した状態で故障検出を行う。制御部50は、図6及び図10に示すように、充電リレー41a~41cのオン固着故障の検出例を行う場合、充電リレー41a~41cを全てOFFする(ステップT1)。ここで、オン固着故障とは、充電リレー41a~41cがONに固着してOFFしない故障である。制御部50は、第1バッテリ電圧検出部13から第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1を取得し、第2バッテリ電圧検出部14から第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2を取得する(ステップT2)。次に、制御部50は、回路電圧検出部33Aから検出電圧V3を取得する(ステップT3)。
次に、制御部50は、検出電圧V3が0Vであるか否かを判定する(ステップT4)。制御部50は、検出電圧V3が0Vでない場合(ステップT4;No)、充電リレー41a~41cのいずれかがオン固着故障であると判定する(ステップT5)。つまり、制御部50は、充電リレー41a~41cを全てOFFしているにもかかわらず、回路電圧検出部33Aにより電圧を検出した場合、充電リレー41a~41cの少なくとも1つがオン固着故障であると判定する。
制御部50は、例えば、第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1と第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2とが異なるときに、検出電圧V3が第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1と等しい場合、第1高電圧バッテリ11を含む並列回路Qを構成する充電リレー41bがオン固着故障であると判定する。一方、制御部50は、第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1と第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2とが異なるときに、検出電圧V3が第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2と等しい場合、第2高電圧バッテリ12を含む並列回路Qを構成する充電リレー41cがオン固着故障であると判定する。制御部50は、検出電圧V3が第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1及び第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2の合計電圧と等しい場合、直列回路Pを構成する充電リレー41aがオン固着故障であると判定する。制御部50は、充電リレー41a~41cのいずれかがオン固着故障である場合、電源システム1を停止する(ステップT21)。制御部50は、例えば、負荷電力切替部31A、メイン切替部32A、及び、充電切替部40の全てのリレーをOFFすることで電源システム1の回路を遮断し、故障箇所と故障状態を外部のECUに伝達する。
制御部50は、検出電圧V3が0Vである場合(ステップT4;Yes)、充電リレー41a~41cがオン固着故障ではないと判定し、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の検出電圧V3に基づいて充電リレー41aの故障を検出する。制御部50は、例えば、図7に示すように、充電リレー41aをONして直列回路Pを形成し(ステップT6)、回路電圧検出部33Aから検出電圧V3を取得する(ステップT7)。なお、図4には、充電リレー41aの故障検出を行う際の各リレーのON/OFF関係を示している。制御部50は、検出電圧V3が検出電圧V1及び検出電圧V2の合計電圧と等しいか否かを判定する(ステップT8)。制御部50は、検出電圧V3が検出電圧V1及び検出電圧V2の合計電圧と等しくない場合(ステップT8;No)、直列回路Pを構成する充電リレー41aがオフ固着故障であると判定する(ステップT9)。ここで、オフ固着故障とは、例えば、充電リレー41a~41cがOFFに固着してONしない故障である。制御部50は、充電リレー41aがオフ固着故障である場合、電源システム1を停止する(ステップT21)。
制御部50は、検出電圧V3が検出電圧V1及び検出電圧V2の合計電圧と等しい場合(ステップT8;Yes)、充電リレー41aがオフ固着故障でないと判定する。そして、制御部50は、第2バッテリ電圧検出部14により検出された第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2、及び、回路電圧検出部33Aにより検出された第2高電圧バッテリ12の検出電圧V3に基づいて充電リレー41cの故障を検出する。制御部50は、例えば、充電リレー41aをOFFし(ステップT10)、充電リレー41cをONする(ステップT11)。なお、図4には、充電リレー41cの故障検出を行う際の各リレーのON/OFF関係を示している。制御部50は、回路電圧検出部33Aから検出電圧V3を取得し(ステップT12)、取得した検出電圧V3が第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2と等しいか否かを判定する(ステップT13)。制御部50は、検出電圧V3が第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2と等くない場合(ステップT13;No)、第2高電圧バッテリ12を含む並列回路Qを構成する充電リレー41cがオフ固着故障であると判定する(ステップT14)。制御部50は、充電リレー41cがオフ固着故障である場合、電源システム1を停止する(ステップT21)。
制御部50は、検出電圧V3が第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2と等しい場合(ステップT13;Yes)、充電リレー41cがオフ固着故障でないと判定する。そして、制御部50は、第1バッテリ電圧検出部13により検出された第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1、及び、回路電圧検出部33Aにより検出された第1高電圧バッテリ11の検出電圧V3に基づいて充電リレー41bの故障を検出する。制御部50は、例えば、充電リレー41cをOFFし(ステップT15)、充電リレー41bをONする(ステップT16)。なお、図4には、充電リレー41bの故障検出を行う際の各リレーのON/OFF関係を示している。制御部50は、回路電圧検出部33Aから検出電圧V3を取得し(ステップT17)、取得した検出電圧V3が第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1と等しいか否かを判定する(ステップT18)。制御部50は、検出電圧V3が第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1と等くない場合(ステップT18;No)、第1高電圧バッテリ11を含む並列回路Qを構成する充電リレー41bがオフ固着故障であると判定する(ステップT19)。制御部50は、充電リレー41bがオフ固着故障である場合、電源システム1を停止する(ステップT21)。制御部50は、検出電圧V3が第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1と等しい場合(ステップT18;Yes)、充電リレー41bがオフ固着故障でないと判定する。そして、制御部50は、充電リレー41bをOFFし(ステップT20)、故障検出を終了する。
以上のように、第1実施形態に係る電源システム1は、第1高電圧バッテリ11と、第2高電圧バッテリ12と、充電切替部40と、DC充電ポート20Aと、制御部50と、を備える。第1高電圧バッテリ11は、車両100に搭載され電力を蓄電可能なバッテリである。第2高電圧バッテリ12は、車両100に搭載され電力を蓄電可能なバッテリである。充電切替部40は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を直列に接続する直列回路P、又は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を並列に接続する並列回路Qに切り替え可能なリレーである。DC充電ポート20Aは、急速充電器2又は超急速充電器3に接続され、当該急速充電器2又は超急速充電器3から供給される電力を入力する。制御部50は、DC充電ポート20Aから入力した電力の入力電圧に基づいて充電切替部40を制御する。制御部50は、入力電圧が第1電圧(例えば400V程度)の場合、充電切替部40を制御して並列回路Qを形成し、急速充電器2から供給される電力を第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に充電する。制御部50は、入力電圧が第1電圧(例えば400V程度)よりも高い第2電圧(例えば800V程度)の場合、充電切替部40を制御して直列回路Pを形成し、超急速充電器3から供給される電力を第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に充電する。
この構成により、電源システム1は、DC充電ポート20Aにより入力した入力電圧に応じて並列回路Q又は直列回路Pを形成するので、当該入力電圧が異なる場合でも第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を適正に充電することができる。これにより、電源システム1は、急速充電器2や超急速充電器3等の電圧が異なる複数の外部充電器に対応することができるので、汎用性を向上することができる。
上記電源システム1において、充電切替部40は、直列回路Pを形成する充電リレー41a、並列回路Qを形成する充電リレー41b、及び、並列回路Qを形成する充電リレー41cを含んで構成される。直列回路Pは、DC充電ポート20Aの正極及び第1高電圧バッテリ11の正極が接続され、第1高電圧バッテリ11の負極及び第2高電圧バッテリ12の正極が充電リレー41aを介して接続され、第2高電圧バッテリ12の負極及びDC充電ポート20Aの負極が接続されている。並列回路Qは、DC充電ポート20Aの正極及び第1高電圧バッテリ11の正極が接続され、第1高電圧バッテリ11の負極及びDC充電ポート20Aの負極が充電リレー41bを介して接続され、更に、DC充電ポート20Aの正極及び第2高電圧バッテリ12の正極が充電リレー41cを介して接続され、第2高電圧バッテリ12の負極及びDC充電ポート20Aの負極が接続される。制御部50は、入力電圧が第1電圧(例えば400V程度)の場合、充電リレー41b及び充電リレー41cをオンし且つ充電リレー41aをオフして並列回路Qを形成する。制御部50は、入力電圧が第2電圧(例えば800V程度)の場合、充電リレー41aをオンし且つ充電リレー41b及び充電リレー41cをオフして直列回路Pを形成する。この構成により、電源システム1は、充電リレー41a~41cの数の増加を抑制した上で直列回路P及び並列回路Qを形成することができる。
上記電源システム1は、回路電圧検出部33Aと、第1バッテリ電圧検出部13と、第2バッテリ電圧検出部14とを更に備える。回路電圧検出部33Aは、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12により直列回路Pに印加する電圧、第1高電圧バッテリ11により並列回路Qに印加する電圧、及び、第2高電圧バッテリ12により並列回路Qに印加する電圧を検出可能である。第1バッテリ電圧検出部13は、第1高電圧バッテリ11の正極と負極との間の電圧を検出可能である。第2バッテリ電圧検出部14は、第2高電圧バッテリ12の正極と負極との間の電圧を検出可能である。制御部50は、急速充電器2又は超急速充電器3をDC充電ポート20Aに接続後、当該急速充電器2又は超急速充電器3からDC充電ポート20Aに電力を供給する前に、回路電圧検出部33A、第1バッテリ電圧検出部13、及び、第2バッテリ電圧検出部14の検出結果に基づいて、充電リレー41a、充電リレー41b、及び、充電リレー41cの故障を検出する。これにより、電源システム1は、充電開始前に充電リレー41a~41cの故障を検出することができ、充電時に生じる充電エラーを未然に防ぐことができる。これにより、電源システム1は、信頼性を向上させることができる。
上記電源システム1において、制御部50は、回路電圧検出部33Aにより検出された第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の検出電圧V3、第1バッテリ電圧検出部13により検出された第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1、及び、第2バッテリ電圧検出部14により検出された第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2に基づいて充電リレー41aの故障を検出する。制御部50は、回路電圧検出部33Aにより検出された第1高電圧バッテリ11の検出電圧V3、及び、第1バッテリ電圧検出部13により検出された第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1に基づいて充電リレー41bの故障を検出する。制御部50は、回路電圧検出部33Aにより検出された第2高電圧バッテリ12の検出電圧V3、及び、第2バッテリ電圧検出部14により検出された第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2に基づいて充電リレー41cの故障を検出する。これにより、電源システム1は、検出電圧V1、V2を基準にして充電リレー41a~41cの故障を判定するので、正確に故障を判定することができる。電源システム1は、例えば、充電量の違いや劣化等により第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の電圧が状況に応じて異なる場合でも充電リレー41a~41cの故障を正確に判定することができる。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る電源システム1Aについて説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。第2実施形態では、電源システム1Aは、上述の急速充電器2又は超急速充電器3により供給される高電圧の電力を充電し、又は、家庭用等の交流電源6から供給される低電圧の電力を昇圧して充電する。そして、電源システム1Aは、車両100の後部側のリアインバータ4A及びリアモータ5Aに電力を供給し且つ車両100の前部側のフロントインバータ4B及びフロントモータ5Bに電力を供給する。
第2実施形態に係る電源システム1Aは、車両100の前部側のフロントインバータ4B及びフロントモータ5Bに電力を分配するフロント電源ボックス30Bを備える点等で第1実施形態に係る電源システム1とは異なる。電源システム1Aは、図11に示すように、蓄電部10と、DC充電ポート20Aと、第2入力部としてのAC充電ポート20Bと、リア電源ボックス30Aと、フロント電源ボックス30Bと、充電切替部40Aと、制御部50と、OBC(On Board Charger)60とを備えている。図11は、第2実施形態に係る電源システム1Aの構成例を示す回路図である。蓄電部10は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12が直列回路P又は並列回路Qによって接続されることで構成される。
DC充電ポート20Aは、いわゆるDCインレットであり、上述のように、急速充電器2又は超急速充電器3のコネクタCに接続される。DC充電ポート20Aは、フロント電源ボックス30Bに接続され、急速充電器2又は超急速充電器3から供給される電力をフロント電源ボックス30Bに出力する。
AC充電ポート20Bは、いわゆるACインレットであり、急速充電器2よりも充電電圧が低い交流電源6に接続され、交流電源6から供給される電力を入力する。AC充電ポート20Bは、OBC60に接続され、交流電源6から供給された電力をOBC60を介してリア電源ボックス30Aに出力する。
リア電源ボックス30Aは、蓄電部10と車両100の後部側のリアインバータ4Aとの電気的な接続をオンオフ(ON/OFF)する。また、リア電源ボックス30Aは、蓄電部10とAC充電ポート20Bとの電気的な接続をオンオフする。
フロント電源ボックス30Bは、車両100の全長方向の前部側に設けられ、蓄電部10と車両100の前部側のフロントインバータ4Bとの電気的な接続をオンオフする。また、フロント電源ボックス30Bは、蓄電部10とDC充電ポート20Aとの電気的な接続をオンオフする。フロント電源ボックス30Bは、負荷電力切替部31Bと、メイン切替部32Bと、回路電圧検出部33Bとを備える。
負荷電力切替部31Bは、蓄電部10から負荷部に供給する電力を切り替えるものである。負荷電力切替部31Bは、負荷リレー31cと、負荷リレー31dとを含んで構成される。負荷リレー31c、31bは、電流を通電又は遮断するものである。負荷リレー31cは、第1高電圧バッテリ11の正極又は第2高電圧バッテリ12の正極とフロントインバータ4Bの正極との間に設けられている。負荷リレー31cは、第1高電圧バッテリ11の正極又は第2高電圧バッテリ12の正極からフロントインバータ4Bに流れる電流を通電又は遮断する。負荷リレー31dは、第1高電圧バッテリ11の負極又は第2高電圧バッテリ12の負極とフロントインバータ4Bの負極との間に設けられている。負荷リレー31dは、フロントインバータ4Bから第1高電圧バッテリ11の負極又は第2高電圧バッテリ12の負極に流れる電流を通電又は遮断する。
メイン切替部32Bは、DC充電ポート20Aから蓄電部10に供給される電力を切り替えるものである。メイン切替部32Bは、上流側メインリレー32cと、下流側メインリレー32dとを含んで構成される。上流側及び下流側メインリレー32c、32dは、電流を通電又は遮断するものである。上流側メインリレー32cは、DC充電ポート20Aの正極と第1高電圧バッテリ11の正極との間に設けられている。上流側メインリレー32cは、DC充電ポート20Aから第1高電圧バッテリ11に流れる電流を通電又は遮断する。また、上流側メインリレー32cは、DC充電ポート20Aの正極と第2高電圧バッテリ12の正極との間に位置している。上流側メインリレー32cは、DC充電ポート20Aから第2高電圧バッテリ12に流れる電流を通電又は遮断する。
下流側メインリレー32dは、第1高電圧バッテリ11の負極とDC充電ポート20Aの負極との間に設けられている。下流側メインリレー32dは、第1高電圧バッテリ11の負極からDC充電ポート20Aに流れる電流を通電又は遮断する。また、下流側メインリレー32dは、第2高電圧バッテリ12の負極とDC充電ポート20Aの負極との間に位置している。下流側メインリレー32dは、第2高電圧バッテリ12の負極からDC充電ポート20Aに流れる電流を通電又は遮断する。
回路電圧検出部33Bは、直列回路P及び並列回路Qの電圧を検出するものである。回路電圧検出部33Bは、直列回路Pを構成する第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に並列に接続され、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12により直列回路Pに印加する電圧を検出する。回路電圧検出部33Bは、制御部50に接続され、検出した第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の検出電圧V4を制御部50に出力する。
回路電圧検出部33Bは、第1高電圧バッテリ11に並列に接続され、第1高電圧バッテリ11により並列回路Qに印加する電圧を検出する。回路電圧検出部33Bは、検出した第1高電圧バッテリ11の検出電圧V4を制御部50に出力する。
回路電圧検出部33Bは、第2高電圧バッテリ12に並列に接続され、第2高電圧バッテリ12により並列回路Qに印加する電圧を検出する。回路電圧検出部33Bは、検出した第2高電圧バッテリ12の検出電圧V4を制御部50に出力する。
充電切替部40Aは、充電リレー41aと、充電リレー41bと、充電リレー41cと、充電リレー41dと、抵抗Rとを含んで構成される。充電リレー41a~41cは、第1実施形態で説明した充電リレーと同等の構成である。充電リレー41dは、第1高電圧バッテリ11の正極と第2高電圧バッテリ12の正極との間に設けられている。この例では、充電リレー41dは、第1高電圧バッテリ11の正極と充電リレー41cとの間に設けられている。充電リレー41dは、第1高電圧バッテリ11の正極と第2高電圧バッテリ12の正極との間の電気的な接続をオンオフする。抵抗Rは、充電リレー41dに並列に接続されている。
OBC60は、電力を変換するものである。OBC60は、AC充電ポート20Bに接続され、AC充電ポート20Bから出力される交流電力を直流電力に変換すると共に当該直流電力を昇圧する。OBC60は、リア電源ボックス30Aに接続され、昇圧した直流電力をリア電源ボックス30Aを介して蓄電部10に出力する。この場合、蓄電部10は、オンボードチャージャーによる昇圧時の損失を抑制するために並列回路Qを形成することが好ましい。
次に、電源システム1Aの車両走行時における動作例について説明する。図12は、第2実施形態に係る電源システム1Aの車両走行時における動作例を示す回路図である。制御部50は、車両走行時には、図12に示すように、充電リレー41b、41c、41d、負荷リレー31a、31b、31c、31dをONし、且つ、充電リレー41a、上流側メインリレー32a、32c、下流側メインリレー32b、32dをOFFする。これにより、制御部50は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を互いに並列に接続した並列回路Qを形成し、並列回路Qに形成された第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12からリアインバータ4A及びフロントインバータ4Bに電力を供給することができる。このとき、リアインバータ4A及びフロントインバータ4Bは、リアインバータ4A又はフロントインバータ4Bの出力電圧(例えば400V程度)で動作する。なお、図20には、車両走行時における各リレーのON/OFFの関係を図示している。
次に、電源システム1Aの急速充電時における動作例について説明する。図13は、第2実施形態に係る電源システム1Aの急速充電時における動作例を示す回路図である。制御部50は、急速充電の場合、充電切替部40Aを制御して第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を並列に接続した並列回路Qを形成する。制御部50は、例えば、図13に示すように、充電リレー41b、41c、41dをONし且つ充電リレー41aをOFFして並列回路Qを形成する。そして、制御部50は、上流側メインリレー32c、下流側メインリレー32dをONして充電切替部40Aの並列回路QとDC充電ポート20Aとを電気的に接続し、急速充電器2からDC充電ポート20Aを介して供給される電力を第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に充電する。このとき、急速充電器2から供給される供給電圧は、第1高電圧バッテリ11又は第2高電圧バッテリ12の出力電圧(例えば400V程度)と同等の電圧である。なお、図20には、急速充電における各リレーのON/OFFの関係を図示している。
次に、電源システム1Aの超急速充電時における動作例について説明する。図14は、第2実施形態に係る電源システム1Aの超急速充電時における動作例を示す回路図である。制御部50は、超急速充電の場合、充電切替部40Aを制御して直列回路Pを形成する。制御部50は、例えば、図14に示すように、充電リレー41aをONし且つ充電リレー41b、41c、41dをOFFして直列回路Pを形成する。そして、制御部50は、上流側メインリレー32c、下流側メインリレー32dをONして充電切替部40Aの直列回路PとDC充電ポート20Aとを電気的に接続し、超急速充電器3からDC充電ポート20Aを介して供給される電力を第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に充電する。このとき、超急速充電器3から供給される供給電圧は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の合計出力電圧(例えば800V程度)と同等の電圧である。なお、図20には、超急速充電における各リレーのON/OFFの関係を図示している。
次に、電源システム1Aのフロントプリチャージ時における動作例について説明する。図15は、第2実施形態に係る電源システム1Aのフロントプリチャージ時における動作例を示す回路図である。高電圧負荷部であるフロントインバータ4B等の入力側には、一般的に電源電圧を平滑化するためのキャパシタが設けられている。電源システム1Aは、当該電源システム1Aを起動する際に、このキャパシタを予め充電(プリチャージ)するフロントプリチャージを行うことが好ましい。
制御部50は、フロントプリチャージを行う場合、例えば、図15に示すように、充電リレー41c、負荷リレー31c、負荷リレー31dをONし且つ充電リレー41d等をOFFする。これにより、制御部50は、抵抗Rを介して第2高電圧バッテリ12及びフロントインバータ4Bを接続することができる。これにより、制御部50は、第2高電圧バッテリ12から供給される電力を抵抗Rを介してフロントインバータ4Bに供給することができ、フロントインバータ4B等の入力側のキャパシタを充電することができる。なお、図20には、フロントプリチャージ時における各リレーのON/OFFの関係を図示している。
次に、電源システム1Aのリアプリチャージ時における動作例について説明する。図16は、第2実施形態に係る電源システム1Aのリアプリチャージ時における動作例を示す回路図である。高電圧負荷部であるリアインバータ4A等の入力側には、一般的に電源電圧を平滑化するためのキャパシタが設けられている。電源システム1Aは、当該電源システム1Aを起動する際に、このキャパシタを予め充電(プリチャージ)するリアプリチャージを行うことが好ましい。
制御部50は、リアプリチャージを行う場合、例えば、図16に示すように、充電リレー41b、負荷リレー31a、負荷リレー31bをONし且つ充電リレー41d等をOFFする。これにより、制御部50は、抵抗Rを介して第1高電圧バッテリ11及びリアインバータ4Aを接続することができる。これにより、制御部50は、第1高電圧バッテリ11から供給される電力を抵抗Rを介してリアインバータ4Aに供給することができ、リアインバータ4A等の入力側のキャパシタを充電することができる。制御部50は、同じ抵抗Rを介してリアプリチャージ及びフロントプリチャージをするので、回路構成を簡素化することができる。なお、図20には、リアプリチャージ時における各リレーのON/OFFの関係を図示している。
次に、電源システム1Aのバッテリ均等化処理時における動作例について説明する。図17は、第2実施形態に係る電源システム1Aのバッテリ均等化処理時における動作例を示す回路図である。制御部50は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の電圧を均等化するバッテリ均等化処理を行う場合、例えば、図17に示すように、充電リレー41b、41cをONし且つ充電リレー41d等をOFFする。これにより、制御部50は、抵抗Rを介して第1高電圧バッテリ11の正極及び第2高電圧バッテリ12の正極を接続する閉回路を形成する。そして、制御部50は、第1高電圧バッテリ11の正極及び第2高電圧バッテリ12の正極において高電位側から低電位側に向けて抵抗Rを介して電流を流し、各バッテリの電圧を均等化する。なお、図20には、バッテリ均等化処理時における各リレーのON/OFFの関係を図示している。
次に、フローチャートを参照して、電源システム1Aのバッテリ均等化処理時における動作例について説明する。図18は、第2実施形態に係る電源システム1Aのバッテリ均等化処理時における動作例を示すフローチャートである。このバッテリ均等化処理は、例えば、車両100の停車時に行われる。制御部50は、図18に示すように、車両100の停車時にバッテリ状態を取得する(ステップU1)。制御部50は、例えば、上述した第1バッテリ電圧検出部13から第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1を取得し、第2バッテリ電圧検出部14から第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2を取得する。次に、制御部50は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の電位差が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップU2)。制御部50は、例えば、第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1と第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2とを比較し、これらの検出電圧V1、V2の電位差が許容範囲内であるか否かを判定する。制御部50は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の電位差が許容範囲内である場合(ステップU2;Yes)、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を並列に接続する並列接続処理を行う(ステップU3)。一方、制御部50は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の電位差が許容範囲内でない場合(ステップU2;No)、バッテリ均等化処理を行う(ステップU4)。制御部50は、例えば、充電リレー41b、41cをONし且つ充電リレー41d等をOFFし、抵抗Rを介して第1高電圧バッテリ11の正極及び第2高電圧バッテリ12の正極を接続する閉回路を形成し、高電位側から低電位側に向けて抵抗Rを介して電流を流す。そして、制御部50は、ステップU1に戻り、再度、バッテリ状態を取得し、上述の処理を繰り返す。これにより、制御部50は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を並列接続する際に、各バッテリの電位差を許容範囲内にすることができ、過大な電流が流れることを防止できる。
次に、電源システム1Aのバッテリ異常時における動作例について説明する。図19は、第2実施形態に係る電源システム1Aのバッテリ異常時における動作例を示す回路図である。制御部50は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の一方が異常である場合、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の他方によりリアインバータ4A及びフロントインバータ4Bに電力を供給するように制御する。この例では、第2高電圧バッテリ12が異常である場合について説明する。制御部50は、例えば、図19に示すように、第2高電圧バッテリ12が異常である場合、充電リレー41b、41d、負荷リレー31a~31dをONし且つ充電リレー(遮断用のスイッチ)41c等をOFFする。これにより、制御部50は、第1高電圧バッテリ11とリアインバータ4A及びフロントインバータ4Bとを接続し、且つ、第2高電圧バッテリ12をリアインバータ4A及びフロントインバータ4Bから切り離し第2高電圧バッテリ12を遮断することができる。これにより、制御部50は、第2高電圧バッテリ12が異常である場合に、第1高電圧バッテリ11からリアインバータ4A及びフロントインバータ4Bに電力を供給することができ、車両100の走行を継続することができる。
次に、フローチャートを参照して、電源システム1Aのバッテリ異常時における動作例について説明する。図21は、第2実施形態に係る電源システム1Aのバッテリ異常時における動作例を示すフローチャートである。制御部50は、図21に示すように、バッテリ状態を取得する(ステップW1)。制御部50は、例えば、上述した第1バッテリ電圧検出部13から第1高電圧バッテリ11の検出電圧V1を取得し、第2バッテリ電圧検出部14から第2高電圧バッテリ12の検出電圧V2を取得する。なお、バッテリ状態は、検出電圧V1、V2の他に、各バッテリの電流、温度、充電率、劣化度等を含んでもよい。次に、制御部50は、第1高電圧バッテリ11のバッテリ状態と第2高電圧バッテリ12のバッテリ状態とを比較する(ステップW2)。
制御部50は、第1高電圧バッテリ11が所定の電圧を出力しない等の異常である場合(ステップW3;Yes)、第1高電圧バッテリ11を遮断し(ステップW4)、第2高電圧バッテリ12からリアインバータ4A及びフロントインバータ4Bに電力を供給するように切り替え、処理を終了する。一方、制御部50は、第1高電圧バッテリ11が異常でなく(ステップW3;No)、第2高電圧バッテリ12が異常である場合(ステップW5;Yes)、第2高電圧バッテリ12を遮断し(ステップW6)、第1高電圧バッテリ11からリアインバータ4A及びフロントインバータ4Bに電力を供給するように切り替え、処理を終了する。なお、上述のステップW5で、制御部50は、第2高電圧バッテリ12が異常でない場合(ステップW5;No)、両方のバッテリが正常であるので、そのまま処理を終了する。なお、制御部50は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の両方が所定の電圧を出力しない等の異常である場合、より状態の悪いバッテリを遮断して残りのバッテリにより電力を供給するようにしてもよい。
以上のように、第2実施形態に係る電源システム1Aは、リア電源ボックス30Aと、フロント電源ボックス30Bとを備える。第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12は、直列回路P又は並列回路Qによって接続されて蓄電部10を構成する。リア電源ボックス30Aは、車両100の全長方向の後部側に設けられ、蓄電部10と車両100のリアインバータ4Aとの電気的な接続をオンオフする。フロント電源ボックス30Bは、車両100の全長方向の前部側に設けられ、蓄電部10と車両100のフロントインバータ4Bとの電気的な接続をオンオフする。フロント電源ボックス30Bは、蓄電部10とDC充電ポート20Aとの電気的な接続をオンオフする。この構成により、電源システム1Aは、車両100の後部側に設けられたリアインバータ4A及び車両100の前部側に設けられたフロントインバータ4Bに適正に電力を分配することができる。また、電源システム1Aは、DC充電ポート20Aを介して供給される電力を蓄電部10に適正に充電することができる。
上記電源システム1Aは、急速充電器2よりも充電電圧が低い交流電源6に接続され、当該交流電源6から供給される電力を入力するAC充電ポート20Bを備える。リア電源ボックス30Aは、蓄電部10とAC充電ポート20Bとの電気的な接続をオンオフする。この構成により、電源システム1Aは、AC充電ポート20Bを介して供給される電力を蓄電部10に適正に充電することができる。
上記電源システム1Aにおいて、充電切替部40Aは、充電リレー41d、及び、抵抗Rを含んで構成される。充電リレー41dは、第1高電圧バッテリ11の正極と第2高電圧バッテリ12の正極との間に設けられ、第1高電圧バッテリ11の正極と第2高電圧バッテリ12の正極との間の電気的な接続をオンオフする。抵抗Rは、充電リレー41dに並列に接続されている。制御部50は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の電圧を均等化する場合、充電リレー41dをオフし抵抗Rを介して第1高電圧バッテリ11の正極及び第2高電圧バッテリ12の正極を接続する閉回路を形成する。そして、制御部50は、第1高電圧バッテリ11の正極及び第2高電圧バッテリ12の正極において高電位側から低電位側に向けて抵抗Rを介して電流を流す。
この構成により、電源システム1Aは、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に電位差が生じている場合、当該電位差を解消することができる。これにより、電源システム1Aは、並列回路Qを形成する際に、当該電位差により過大な電流が流れることを抑制することができる。また、電源システム1Aは、プリチャージの際に使用する抵抗Rを兼用して電位差を解消するので、部品点数を削減することができる。これにより、電源システム1Aは、回路の大型化を抑制することができ、省スペース化、低コスト化を実現することができる。
上記電源システム1Aは、第1高電圧バッテリ11を遮断可能な充電リレー41b、及び、第2高電圧バッテリ12を遮断可能な充電リレー41cを備える。制御部50は、第2高電圧バッテリ12が異常である場合、充電リレー41cをオフして第2高電圧バッテリ12を遮断し、第1高電圧バッテリ11から車両100のリアインバータ4A及び車両100のフロントインバータ4Bに電力を供給する。一方、制御部50は、第1高電圧バッテリ11が異常である場合、充電リレー41bをオフして第1高電圧バッテリ11を遮断し、第2高電圧バッテリ12から車両100のリアインバータ4A及び車両100のフロントインバータ4Bに電力を供給する。この構成により、電源システム1Aは、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の一方が異常である場合でも、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の他方により電力を供給することができ、バッテリ異常がシステムに与える影響を最小限に抑えることができる。これにより、電源システム1Aは、車両走行に必要な電源を確保することができ、システムの信頼性の低下を抑制することができる。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態に係る電源システム1Bについて説明する。図22は、第3実施形態に係る電源システム1Bの構成例を示す回路図である。なお、第3実施形態では、第1及び第2実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。第3実施形態では、電源システム1Bは、直列回路Pに形成された第1及び第2高電圧バッテリ11、12からモータインバータ7(第2負荷部)に電力を供給する点で第1及び第2実施形態とは異なる。また、電源システム1Bは、FET41e、41fにより充電率の均等化の際に定電流制御を行う点で第1及び第2実施形態とは異なる。
電源システム1Bは、図22に示すように、第1高電圧バッテリ11と、第2高電圧バッテリ12と、BMS(Battery Management System)13Aと、BMS14Aと、負荷電力切替部31C、31Dと、メイン切替部32Cと、急速充電ポート20Cと、充電切替部40Bとを備える。
BMS13Aは、第1高電圧バッテリ11の状態を監視するものである。BMS13Aは、例えば、第1高電圧バッテリ11の総電圧や残容量、入出力電流、第1高電圧バッテリ11の各電池セルの電圧等を監視する。BMS13Aは、制御部50に接続され、第1高電圧バッテリ11の監視結果を当該制御部50に出力する。
BMS14Aは、第2高電圧バッテリ12の状態を監視するものである。BMS14Aは、例えば、第2高電圧バッテリ12の総電圧や残容量、入出力電流、第2高電圧バッテリ12の各電池セルの電圧等を監視する。BMS14Aは、制御部50に接続され、第2高電圧バッテリ12の監視結果を当該制御部50に出力する。
急速充電ポート20Cは、いわゆるインレットであり、上述した急速充電器2又は超急速充電器3のコネクタCが接続される。急速充電ポート20Cは、メイン切替部32Cを介して充電切替部40Bに接続され、急速充電器2又は超急速充電器3から供給される電力を充電切替部40Bに出力する。
メイン切替部32Cは、急速充電ポート20Cから蓄電部10に供給される電力を切り替えるものである。メイン切替部32Cは、急速充電ポート20Cと蓄電部10(第1及び第2高電圧バッテリ11、12)との間に設けられている。メイン切替部32Cは、急速充電ポート20Cから蓄電部10に流れる電流を通電又は遮断する。
負荷電力切替部31Cは、蓄電部10からモータインバータ7に供給する電力を切り替えるものである。負荷電力切替部31Cは、蓄電部10とモータインバータ7との間に設けられている。負荷電力切替部31Cは、蓄電部10からモータインバータ7に流れる電流を通電又は遮断する。
負荷電力切替部31Dは、蓄電部10から高電圧負荷部8に供給する電力を切り替えるものである。ここで、高電圧負荷部8は、例えば、電動A/Cコンプレッサ、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ等である。負荷電力切替部31Dは、蓄電部10と高電圧負荷部8との間に設けられている。負荷電力切替部31Dは、蓄電部10から高電圧負荷部8に流れる電流を通電又は遮断する。
充電切替部40Bは、第1及び第2高電圧バッテリ11、12の接続回路を切り替えるものである。充電切替部40Bは、例えば、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を直列に接続する直列回路P(図26参照)、又は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を並列に接続する並列回路Q(図27参照)に切り替える。
充電切替部40Bは、充電リレー41aと、充電リレー41bと、充電リレー41cと、電圧監視部33と、定電流用の第1スイッチとしてのFET41eと、定電流用の第2スイッチとしてのFET41fと、駆動回路41g、41hと、制御部50とを含んで構成される。充電リレー41a~41cは、電流を通電又は遮断するものである。充電リレー41aは、直列回路Pを形成するものであり、第2高電圧バッテリ12の正極と第1高電圧バッテリ11の負極との間に設けられている。充電リレー41aは、第2高電圧バッテリ12から第1高電圧バッテリ11に流れる電流を通電又は遮断する。
直列回路Pは、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を直列に接続する回路である。直列回路Pは、例えば、図26に示すように、急速充電ポート20Cの正極及び第1高電圧バッテリ11の正極が接続され、第1高電圧バッテリ11の負極及び第2高電圧バッテリ12の正極が充電リレー41aを介して接続され、第2高電圧バッテリ12の負極及び急速充電ポート20Cの負極が接続されている。
充電リレー41bは、並列回路Qを形成するものであり、第1高電圧バッテリ11の負極と急速充電ポート20Cの負極との間に設けられている。充電リレー41bは、第1高電圧バッテリ11の負極から急速充電ポート20Cの負極に流れる電流を通電又は遮断する。
充電リレー41cは、並列回路Qを形成するものであり、急速充電ポート20Cの正極と第2高電圧バッテリ12の正極との間に設けられている。充電リレー41cは、急速充電ポート20Cの正極から第2高電圧バッテリ12の正極に流れる電流を通電又は遮断する。
電圧監視部33は、直列回路P及び並列回路Qの電圧を監視するものである。電圧監視部33は、直列回路Pを構成する第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に並列に接続される。電圧監視部33は、急速充電ポート20Cから直列回路Pに入力される電圧を検出する。また、電圧監視部33は、並列回路Qを構成する第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に並列に接続される。電圧監視部33は、急速充電ポート20Cから並列回路Qに入力される電圧を検出する。電圧監視部33は、制御部50に接続され、検出した電圧を制御部50に出力する。
FET41e、41fは、電流を通電又は遮断するものである。FET41e、41fは、例えば、Nチャネル型のMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)FETであるが、これに限定されない。FET41eは、第1高電圧バッテリ11の正極と急速充電ポート20Cとの間に設けられる。FET41eは、充電時に、駆動回路41gによりONされ、急速充電ポート20Cから第1高電圧バッテリ11の正極に流れる電流を通電する。また、FET41eは、充電時に、駆動回路41gによりOFFされ、第1高電圧バッテリ11の正極から急速充電ポート20Cに逆流する電流を遮断する。
FET41eは、第1高電圧バッテリ11の正極と高電圧負荷部8との間にも配置される。FET41eは、放電時に、駆動回路41gによりONされ、第1高電圧バッテリ11から高電圧負荷部8に流れる電流を通電する。また、FET41eは、放電時に、駆動回路41gによりOFFされ、第1高電圧バッテリ11から高電圧負荷部8に流れる電流を遮断する。
FET41fは、第2高電圧バッテリ12の正極と急速充電ポート20Cとの間に設けられる。FET41fは、充電時に、駆動回路41hによりONされ、急速充電ポート20Cから第2高電圧バッテリ12の正極に流れる電流を通電する。また、FET41fは、充電時に、駆動回路41hによりOFFされ、第2高電圧バッテリ12の正極から急速充電ポート20Cに逆流する電流を遮断する。
FET41fは、第2高電圧バッテリ12の正極と高電圧負荷部8との間にも配置される。FET41fは、放電時に、駆動回路41hによりONされ、第2高電圧バッテリ12から高電圧負荷部8に流れる電流を通電する。また、FET41fは、放電時に、駆動回路41hによりOFFされ、第2高電圧バッテリ12から高電圧負荷部8に流れる電流を遮断する。
駆動回路41gは、FET41eを駆動制御するものである。駆動回路41gは、制御部50及びFET41eに接続され、制御部50から出力される制御信号に基づいてFET41eをON又はOFFする。
駆動回路41hは、FET41fを駆動制御するものである。駆動回路41hは、制御部50及びFET41fに接続され、制御部50から出力される制御信号に基づいてFET41fをON又はOFFする。
制御部50は、充電リレー41a~41c及び駆動回路41g、41hを制御するものである。制御部50は、BMS13Aから出力される第1高電圧バッテリ11の監視結果、BMS14Aから出力される第2高電圧バッテリ12の監視結果、電圧監視部33により検出された検出電圧等に基づいて、充電リレー41a~41c及び駆動回路41g、41hを制御する。
図23は、第3実施形態に係る電源システム1Bの車両走行時における動作例(その1)を示す回路図である。制御部50は、図23に示すように、車両走行時に負荷電圧が800V程度(第2電圧)であるモータインバータ7に電力を供給する場合、充電切替部40Bを制御し、第1高電圧バッテ11リ及び第2高電圧バッテリ12を含む直列回路Pを形成する。具体的には、制御部50は、充電リレー41a、41c及びFET41fをONし且つ充電リレー41b及びFET41eをOFFして直列回路Pを形成する。そして、制御部50は、直列回路Pを構成する第1高電圧バッテ11リ及び第2高電圧バッテリ12から800Vの電源ラインでモータインバータ7に電力を供給する。なお、図30には、車両走行時における800Vモータを駆動する場合において、充電リレー41a、41b、41c、FET41e、41fのON/OFFの関係を図示している。
図23に示す例では、制御部50は、負荷電圧が800V程度であるモータインバータ7に電力を供給すると共に、負荷電圧が400V程度(第1電圧)である高電圧負荷部8にも同時に電力を供給している。具体的には、制御部50は、直列回路P及びモータインバータ7を接続し、当該直列回路Pを構成する第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12からモータインバータ7に電力を供給すると共に、第2高電圧バッテリ12及び高電圧負荷部8を接続し、当該第2高電圧バッテリ12から400Vの電源ラインで高電圧負荷部8に電力を供給している。
図24は、第3実施形態に係る電源システム1Bの車両走行時における動作例(その2)を示す回路図である。この例では、モータインバータ7及び高電圧負荷部8の負荷電圧が共に400Vであることを想定している。この場合、制御部50は、充電切替部40Bを制御し、第1高電圧バッテ11リ及び第2高電圧バッテリ12を含む並列回路Qを形成する。具体的には、制御部50は、充電リレー41aをOFFし且つ充電リレー41b、41c及びFET41e、41fをONして並列回路Qを形成する。そして、制御部50は、並列回路Qを構成する第1高電圧バッテ11リ及び第2高電圧バッテリ12から400Vの電源ラインでモータインバータ7及び高電圧負荷部8に電力を供給する。なお、図30には、車両走行時における400Vモータを駆動する場合において、充電リレー41a、41b、41c、FET41e、41fのON/OFFの関係を図示している。
図25は、第3実施形態に係る電源システム1Bの車両走行時における動作例(その3)を示す回路図である。この例では、モータインバータ7及び高電圧負荷部8の負荷電圧が共に400Vであり、高電圧負荷部8に異常が発生したことを想定している。この場合、制御部50は、異常の高電圧負荷部8への電力供給を停止し、且つ、400Vの電源ラインでモータインバータ7への電力供給を継続する。具体的には、制御部50は、図24の並列回路Qの状態において、充電リレー41c及びFET41fをOFFして第2高電圧バッテリ12から高電圧負荷部8への電力供給を停止すると共に、FET41eをOFFして第1高電圧バッテリ11から高電圧負荷部8への電力供給を停止する(図25参照)。これにより、電源システム1Bは、高電圧負荷部8への電力供給を停止した状態でモータインバータ7への電力供給を継続することができ、車両の走行用モータへの影響(電源電圧の急激な落ち込み等)を抑制することができ、車両の走行における信頼性の低下を抑制できる。
図26は、第3実施形態に係る電源システム1Bの超急速充電時における動作例を示す回路図である。制御部50は、例えば、超急速充電(例えば800V充電)を行う場合、充電切替部40Bを制御して直列回路Pを形成する。制御部50は、例えば、図26に示すように、充電リレー41a及びFET41eをONし且つ充電リレー41b、41c及びFET41fをOFFして直列回路Pを形成する。そして、電源システム1Bは、メイン切替部32CをONして直列回路Pと急速充電ポート20Cとを電気的に接続し、急速充電ポート20Cから供給される電力を、800Vの電源ラインで第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に充電する。なお、図30には、超急速充電(800V充電)における充電リレー41a、41b、41c、FET41e、41fのON/OFFの関係を図示している。
図27は、第3実施形態に係る電源システム1Bの急速充電時における動作例(その1)を示す回路図である。制御部50は、例えば、急速充電(例えば400V充電)を行う場合、充電切替部40Bを制御して並列回路Qを形成する。制御部50は、例えば、図27に示すように、充電リレー41b、41c及びFET41e、41fをONし且つ充電リレー41aをOFFして並列回路Qを形成する。そして、電源システム1Bは、メイン切替部32CをONして充電切替部40Bの並列回路Qと急速充電ポート20Cとを電気的に接続し、急速充電ポート20Cから供給される電力を400Vの電源ラインで第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12に充電する。なお、図30には、急速充電(400V充電)における充電リレー41a、41b、41c、FET41e、41fのON/OFFの関係を図示している。
図28は、第3実施形態に係る電源システム1Bの急速充電時における動作例(その2)を示す回路図である。制御部50は、例えば、第1及び第2高電圧バッテリ11、12の充電量に偏りが生じた場合、一方のバッテリを優先的に充電して偏りを解消する必要がある。制御部50は、例えば、図28に示すように、第2高電圧バッテリ12が第1高電圧バッテリ11よりも充電量が少ない場合、充電リレー41c及びFET41fをONし且つ充電リレー41a、41b及びFET41eをOFFする。そして、電源システム1Bは、メイン切替部32CをONして第2高電圧バッテリ12と急速充電ポート20Cとを電気的に接続し、急速充電ポート20Cから供給される電力を400Vの電源ラインで第2高電圧バッテリ12に充電する。このとき、電源システム1Bは、第1高電圧バッテリ11と急速充電ポート20Cとが電気的に接続されていないので、急速充電ポート20Cから供給される電力を第1高電圧バッテリ11に充電しない。なお、電源システム1Bは、上述の急速充電時だけでなく、車両減速時のエネルギー回収を行う回生動作においても、バッテリ充電量の偏りを解消する制御を行ってもよい。
図29は、第3実施形態に係る電源システム1Bの急速充電時における動作例を示すフローチャートである。制御部50は、図29に示すように、全てのスイッチのOFFを確認する(ステップG1)。次に、制御部50は、第1及び第2高電圧バッテリ11、12の充電率(SOC;State of Charge)を取得する(ステップG2)。次に制御部50は、第1高電圧バッテリ11の充電率と第2高電圧バッテリ12の充電率とが同等であるか否かを判定する(ステップG3)。制御部50は、第1高電圧バッテリ11の充電率と第2高電圧バッテリ12の充電率とが同等である場合(ステップG3;Yes)、並列回路Qを形成し第1及び第2高電圧バッテリ11、12を充電する(ステップG4)。一方、制御部50は、第1高電圧バッテリ11の充電率と第2高電圧バッテリ12の充電率とが同等でない場合(ステップG3;No)、第2高電圧バッテリ12の充電率が第1高電圧バッテリ11よりも低いか否かを判定する(ステップG5)。制御部50は、第2高電圧バッテリ12の充電率が第1高電圧バッテリ11よりも低い場合(ステップG5;Yes)、図28に示すように、第1高電圧バッテリ11を充電せずに、第2高電圧バッテリ12を充電する(ステップG6)。一方、制御部50は、第1高電圧バッテリ11の充電率が第2高電圧バッテリ12よりも低い場合(ステップG5;No)、第2高電圧バッテリ12を充電せずに、第1高電圧バッテリ11を充電する(ステップG7)。
図31は、第3実施形態に係るFET41e、41fのダイオード動作を示す回路図である。図32は、第3実施形態に係るFET41e、41fのダイオード動作を示す図である。制御部50は、図31、図32に示すように、第1及び第2高電圧バッテリ11、12の電圧Vbatと急速充電ポート20Cから印加される充電電圧Vchrとを監視し、第1及び第2高電圧バッテリ11、12の電圧Vbatが充電電圧Vchrよりも小さい場合、FET41e、41fをONし、第1及び第2高電圧バッテリ11、12の電圧Vbatが充電電圧Vchrよりも大きい場合、FET41e、41fをOFFする。これにより、制御部50は、急速充電ポート20Cから第1及び第2高電圧バッテリ11、12に充電電流Ichrを流すことができると共に、第1及び第2高電圧バッテリ11、12の正極から急速充電ポート20Cに逆流する電流を遮断することができる。
図33は、第3実施形態に係る充電率の均等化処理を示す回路図である。図34は、第3実施形態に係る定電流回路の構成例を示す回路図である。図35は、第3実施形態に係る充電率の均等化処理を示すシーケンスチャートである。制御部50は、車両の走行時やバッテリ充電以外のときに、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12の充電率を均等化する。制御部50は、例えば、図33に示すように、充電リレー41b、41cをONし且つ充電リレー41aをOFFすることで並列回路Qを形成すると共に、FET41e、41fにより双方向の定電流制御を行う。FET41eは、第1高電圧バッテリ11から第2高電圧バッテリ12に流れる電流を調整する。FET41fは、第2高電圧バッテリ12から第1高電圧バッテリ11に流れる電流を調整する。なお、図30には、バッテリ電圧均等化における充電リレー41a、41b、41c、FET41e、41fのON/OFFの関係を図示している。
駆動回路41g、41hは、比較回路41i(図34参照)を含んで構成される。比較回路41iは、第1高電圧バッテリ11と第2高電圧バッテリ12との間に流れる電流の電流値を電圧値に換算した検出電圧Vsensと、予め定められた基準電圧Vrefとを比較した結果に基づいてFET41e、41fにゲート信号Sig1、Sig2を出力する。
例えば、図35に示すように、時刻t1において、第1高電圧バッテリ11の電圧V1が第2高電圧バッテリ12の電圧V2よりも高い場合、比較回路41iは、ゲート信号Sig2をFET41fに出力し、当該FET41fを完全にONする。そして、比較回路41iは、ゲート信号Sig2よりもON電圧が低いゲート信号Sig1をFET41eに出力し、当該FET41eにより定電流制御(電圧均等化)を行い、第1高電圧バッテリ11から第2高電圧バッテリ12に流れる充電電流Iaを一定にする。比較回路41iは、時刻t2において、第1高電圧バッテリ11の電圧V1と第2高電圧バッテリ12の電圧V2とが同等となった場合、FET41eを完全にONして電圧均等化処理を完了する。
以上のように、電源システム1Bにおいて、制御部50は、400Vの高電圧負荷部8に電力を供給する場合、充電切替部40Bを制御して並列回路Qを形成し、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12から400Vの高電圧負荷部8に電力を供給する。制御部50は、800Vのモータインバータ7に電力を供給する場合、充電切替部40Bを制御して直列回路Pを形成し、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12から800Vのモータインバータ7に電力を供給する。この構成により、電源システム1Bは、400V及び800Vの2つの電源電圧を使用する場合に、DC/DCコンバータを必要とせず、スイッチの切り替えにより両方の電源電圧を負荷部に供給することができる。この結果、電源システム1Bは、システム構成を簡素化することができ、汎用性を向上できる。
また、電源システム1Bにおいて、制御部50は、充電切替部40Bを制御して直列回路Pを形成し、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12からモータインバータ7に800V程度の電圧の電力を供給し、且つ、第2高電圧バッテリ12から高電圧負荷部8に400V程度の電圧の電力を供給する。この構成により、電源システム1Bは、800Vの電源電圧及び400Vの電源電圧を同時にそれぞれの負荷部に供給することができる。
また、電源システム1Bにおいて、充電切替部40Bは、並列回路Qを形成した際に、第1高電圧バッテリ11から第2高電圧バッテリ12に流れる電流を調整するFET41eと、第2高電圧バッテリ12から第1高電圧バッテリ11に流れる電流を調整するFET41fとを含んで構成される。この構成により、電源システム1Bは、FET41e、41fにより定電流制御を行うことができる。これにより、電源システム1Bは、並列回路Qを形成した際に、第1高電圧バッテリ11と第2高電圧バッテリ12との電位差により過大な電流が流れることを抑制することができ、バッテリの電圧均等化を適正に行うことができる。電源システム1Bは、電流を制限する抵抗器等を用いることなくバッテリの電圧均等化を行うことができるので、部品点数を削減することができる。これにより、電源システム1Bは、システムの大型化を抑制することができると共に、製造コストを抑制することができる。
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態に係る電源システム1Cについて説明する。なお、第4実施形態では、第1乃至第3実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図36は、第4実施形態に係るバッテリユニット70の構成例を示す斜視図である。図37は、第4実施形態に係るバッテリユニット70の構成例を示す回路図である。図38は、第4実施形態に係る電源システム1Cの構成例を示すブロック図である。
電源システム1Cは、図38に示すように、バッテリマネージメントコントローラ(マスターECU)BMと、負荷電力切替部31Dと、メイン切替部32Cと、急速充電ポート20Cと、複数のバッテリユニット70とを備える。電源システム1Cは、複数のバッテリユニット70が、それぞれ直列に接続されることで構成され、各種高電圧負荷部(走行用のモータ等)の仕様に応じた電圧の電源を供給する。電源システム1Cは、例えば、各バッテリユニット70において第1及び第2高電圧バッテリ11、12を直列に接続した直列回路Pを形成することで800Vの電圧を供給する。また、電源システム1Cは、各バッテリユニット70において第1及び第2高電圧バッテリ11、12を並列に接続した並列回路Qを形成することで400Vの電圧を供給する。電源システム1Cは、外部充電器から入力される入力電圧に応じて直列回路P又は並列回路Qを形成し第1及び第2高電圧バッテリ11、12を充電する。
バッテリマネージメントコントローラBMは、複数のバッテリユニット70を制御するものである。バッテリマネージメントコントローラBMは、各バッテリユニット70に通信可能に接続され、各バッテリユニット70から電流値や電圧値を取得し、各バッテリユニット70の充電リレー41a、FET41m、41nを制御するための制御信号を各バッテリユニット70に送信する。また、バッテリマネージメントコントローラBMは、メイン切替部32Cを制御して急速充電ポート20Cとの電気的な接続をON/OFFし、負荷電力切替部31Dを制御し高電圧負荷部8との電気的な接続をON/OFFする。
各バッテリユニット70は、図36、図37に示すように、第1高電圧バッテリ11と、第2高電圧バッテリ12と、バッテリ配電装置71とを備える。バッテリ配電装置71は、第1及び第2高電圧バッテリ11、12に接続され、当該第1及び第2高電圧バッテリ11、12に電力を配電するものである。バッテリ配電装置71は、第1及び第2高電圧バッテリ11、12の上面に搭載されている。バッテリ配電装置71は、第1入力部としての正極端子g1及び負極端子g2と、切替部としての充電リレー41a、FET41m、FET41nと、電流検出部42、43と、電圧監視部34A、34Bと、制御部50とを備える。
正極端子g1は、第1高電圧バッテリ11の正極に接続され、負極端子g2は、第2高電圧バッテリ12の負極に接続されている。正極端子g1は、他のバッテリ配電装置71の負極端子g2に接続され、負極端子g2は、他のバッテリ配電装置71の正極端子g1に接続される。
充電リレー41aは、直列回路Pを形成するものであり、第2高電圧バッテリ12の正極と第1高電圧バッテリ11の負極との間に設けられている。充電リレー41aは、第2高電圧バッテリ12から第1高電圧バッテリ11に流れる電流を通電又は遮断する。
FET41mは、並列回路Q(図39参照)を形成するものであり、第1高電圧バッテリ11の負極と負極端子g2との間に設けられている。FET41mは、第1高電圧バッテリ11の負極から負極端子g2に流れる電流を通電又は遮断する。
FET41nは、並列回路Qを形成するものであり、正極端子g1と第2高電圧バッテリ12の正極との間に設けられている。FET41nは、正極端子g1から第2高電圧バッテリ12の正極に流れる電流を通電又は遮断する。
電流検出部42は、正極端子g1と第1高電圧バッテリ11の正極との間に設けられ、正極端子g1から第1高電圧バッテリ11に流れる電流を検出する。電流検出部42は、検出した電流を制御部50に出力する。
電流検出部43は、第2高電圧バッテリ12の負極と負極端子g2との間に設けられ、第2高電圧バッテリ12から負極端子g2に流れる電流を検出する。電流検出部43は、検出した電流を制御部50に出力する。
電圧監視部34Aは、第1高電圧バッテリ11を構成する各電池セルの電圧を検出するものである。電圧監視部34Aは、検出した電圧を制御部50に出力する。
電圧監視部34Bは、第2高電圧バッテリ12を構成する各電池セルの電圧を検出するものである。電圧監視部34Bは、検出した電圧を制御部50に出力する。
制御部50は、電流検出部42、43及び電圧監視部34A、34Bから出力された検出結果に基づいて、充電リレー41a、FET41m、41nを制御するものである。各バッテリユニット70において、制御部50は、入力電圧が400Vの場合、充電リレー41a、FET41m、41nを制御して並列回路Qを形成し、外部充電器から供給される電力を第1及び第2高電圧バッテリ11、12に充電する。また、制御部50は、入力電圧が800Vの場合、充電リレー41a、FET41m、41nを制御して直列回路Pを形成し、外部充電器から供給される電力を第1及び第2高電圧バッテリ11、12に充電する。
図39は、第4実施形態に係るバッテリユニット70の構成例を示す概略図である。図39に示すバッテリユニット70は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12が共に満充電の状態であり、充電率が同等の状態を表している。図40は、第4実施形態に係る並列接続時の過電流抑制(その1)を示す概略図である。図40に示すバッテリユニット70は、第1高電圧バッテリ11の充電率が第2高電圧バッテリ12の充電率よりも高く、第1高電圧バッテリ11と第2高電圧バッテリ12との間で電位差が生じている。この場合、制御部50は、FET41mを完全にONすることで通電させ、且つ、FET41nにより定電流制御(電圧均等化)を行い、第1高電圧バッテリ11から第2高電圧バッテリ12に流れる電流Ibを一定にする。
図41は、第4実施形態に係る並列接続時の過電流抑制(その2)を示す概略図である。図41に示すバッテリユニット70は、第2高電圧バッテリ12の充電率が第1高電圧バッテリ11の充電率よりも高く、第1高電圧バッテリ11と第2高電圧バッテリ12との間で電位差が生じている。この場合、制御部50は、FET41nを完全にONすることで通電させ、且つ、FET41mにより定電流制御(電圧均等化)を行い、第2高電圧バッテリ12から第1高電圧バッテリ11に流れる電流Icを一定にする。
図42は、第4実施形態に係る並列接続時の過電流抑制を示すフローチャートである。バッテリマネージメントコントローラBMは、メイン切替部32C及び負荷電力切替部31DのOFFを確認する(ステップH1)。次に、各バッテリ配電装置71において、制御部50は、第1及び第2高電圧バッテリ11、12の電圧を取得し(ステップH2)、第1高電圧バッテリ11の電圧が第2高電圧バッテリ12の電圧よりも大きいか否かを判定する(ステップH3)。制御部50は、第1高電圧バッテリ11の電圧が第2高電圧バッテリ12の電圧よりも大きい場合(ステップH3;Yes)、制御部50は、図40に示すように、並列回路Qにおいて、FET41mを完全にONし(ステップH4)、FET41nにより定電流制御(電圧均等化)を行い(ステップH5)、第1高電圧バッテリ11から第2高電圧バッテリ12に流れる電流Ibを一定にする。
一方、制御部50は、第1高電圧バッテリ11の電圧が第2高電圧バッテリ12の電圧よりも小さい場合(ステップH3;No)、制御部50は、図41に示すように、並列回路Qにおいて、FET41nを完全にONし(ステップH6)、FET41mにより定電流制御(電圧均等化)を行い(ステップH7)、第2高電圧バッテリ12から第1高電圧バッテリ11に流れる電流Icを一定にする。このように、各バッテリ配電装置71において、制御部50は、定電流制御を行うことにより、並列回路Qを形成時に過電流によって周辺部品やバッテリ自身が故障することを防止する。
図43は、第4実施形態に係るバッテリ故障時の動作例を示す概略図である。制御部50は、電圧監視部34A、34B、電流検出部42、43から出力された検出結果に基づいて第1及び第2高電圧バッテリ11、12の故障(出力電圧の低下等)を判定する。制御部50は、第1高電圧バッテリ11又は第2高電圧バッテリ12の一方が故障した場合、故障したバッテリが他方の正常のバッテリに悪影響を与える場合があるので、故障したバッテリを電気的に切り離し、正常のバッテリにより電力を供給する。制御部50は、例えば、図43に示すように、第1高電圧バッテリ11が故障した場合、FET41mをOFFし、故障した第1高電圧バッテリ11を電気的に切り離し、正常の第2高電圧バッテリ12により電力を供給する。これにより、電源システム1Cは、信頼性を向上することができる。
図44は、第4実施形態に係るバッテリ故障時の動作例を示すフローチャートである。制御部50は、並列回路Qを形成しているか否かを判定する(ステップJ1)。制御部50は、並列回路Qを形成している場合(ステップJ1;Yes)、第1高電圧バッテリ11が故障しているか否かを判定する(ステップJ2)。制御部50は、第1高電圧バッテリ11が故障している場合(ステップJ2;Yes)、FET41mをOFFし(ステップJ3)、故障した第1高電圧バッテリ11を電気的に切り離し、正常の第2高電圧バッテリ12により電力を供給する(図43参照)。一方、制御部50は、第1高電圧バッテリ11が故障していない場合(ステップJ2;No)、第2高電圧バッテリ12が故障しているか否かを判定する(ステップJ4)。制御部50は、第2高電圧バッテリ12が故障している場合(ステップJ4;Yes)、FET41nをOFFし(ステップJ5)、故障した第2高電圧バッテリ12を電気的に切り離し、正常の第1高電圧バッテリ11により電力を供給する。制御部50は、第1及び第2高電圧バッテリ11、12が故障していない場合(ステップJ4;No)、並列回路Qを構成する第1及び第2高電圧バッテリ11、12により電力を供給する。
上述のステップJ1で、制御部50は、並列回路Qを形成していない場合、つまり直列回路Pを形成している場合(ステップJ1;No)、第1高電圧バッテリ11が故障しているか否かを判定する(ステップJ6)。制御部50は、第1高電圧バッテリ11が故障している場合(ステップJ6;Yes)、充電リレー41a及びFET41mをOFFし(ステップJ7)、FET41nをONし(ステップJ8)、故障した第1高電圧バッテリ11を電気的に切り離し、正常の第2高電圧バッテリ12により電力を供給する。一方、制御部50は、第1高電圧バッテリ11が故障していない場合(ステップJ6;No)、第2高電圧バッテリ12が故障しているか否かを判定する(ステップJ9)。制御部50は、第2高電圧バッテリ12が故障している場合(ステップJ9;Yes)、充電リレー41a及びFET41nをOFFし(ステップJ10)、FET41mをONし(ステップJ11)、故障した第2高電圧バッテリ12を電気的に切り離し、正常の第1高電圧バッテリ11により電力を供給する。制御部50は、第1及び第2高電圧バッテリ11、12が故障していない場合(ステップJ9;No)、直列回路Pを構成する第1及び第2高電圧バッテリ11、12により電力を供給する。
以上のように、電源システム1Cは、第1高電圧バッテリ11、第2高電圧バッテリ12、及び、バッテリ配電装置71を有するバッテリユニット70を複数備える。複数のバッテリユニット70は、それぞれが直列に接続されている。それぞれのバッテリユニット70において、制御部50は、入力電圧が400Vの場合、充電リレー41a、FET41m、41nを制御して並列回路Qを形成し、外部充電器から供給される電力を第1及び第2高電圧バッテリ11、12に充電する。また、制御部50は、入力電圧が800Vの場合、充電リレー41a、FET41m、41nを制御して直列回路Pを形成し、外部充電器から供給される電力を第1及び第2高電圧バッテリ11、12に充電する。この構成により、電源システム1Cは、バッテリユニット70毎にバッテリ切替スイッチ(充電リレー41a、FET41m、41n)を有するため、バッテリ容量(バッテリユニット70の個数)が異なる車両に対してもバッテリユニット70の接続個数を変更することで柔軟に適応することができ、汎用性を向上できる。また、電源システム1Cは、バッテリユニット70毎にバッテリ切替スイッチを有するため、それぞれのバッテリ切替スイッチの耐圧性を従来のバッテリ切替スイッチよりも低いものを適用することができ、製造コストを抑制できる。
〔変形例〕
次に、第1乃至第4実施形態の変形例について説明する。電源システム1は、DC充電ポート20Aを介して入力する入力電圧が400V程度又は800V程度である例について説明したが、これに限定されず、その他の電圧であってもよい。
蓄電部10は、2つのバッテリ(第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12)を備える例について説明したが、これに限定されず、3つ以上のバッテリを備えていてもよい。
制御部50は、急速充電器2又は超急速充電器3をDC充電ポート20Aに接続後、当該急速充電器2又は超急速充電器3からDC充電ポート20Aに電力を供給する前に、充電リレー41a~41cの故障を検出する例について説明したが、これに限定されず、その他のタイミングで故障を検出してもよい。
制御部50は、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12により直列回路Pに印加される電圧(検出電圧V3)、第1高電圧バッテリ11の正極及び負極の間の電圧(検出電圧V1)、及び、第2高電圧バッテリ12の正極及び負極の間の電圧(検出電圧V2)に基づいて充電リレー41aの故障を検出する例について説明したが、これに限定されない。制御部50は、例えば、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12により直列回路Pに印加される電圧(検出電圧V3)、及び、予め定められた閾値に基づいて充電リレー41aの故障を検出してもよい。
制御部50は、第1高電圧バッテリ11により並列回路Qに印加される電圧(検出電圧V3)、及び、第1高電圧バッテリ11の正極及び負極の間の電圧(検出電圧V1)に基づいて充電リレー41bの故障を検出する例について説明したが、これに限定されない。制御部50は、例えば、第1高電圧バッテリ11により並列回路Qに印加される電圧(検出電圧V3)、及び、予め定められた閾値に基づいて充電リレー41bの故障を検出してもよい。
制御部50は、充電リレー41cを含む並列回路Qに第2高電圧バッテリ12により印加される電圧(検出電圧V3)、及び、第2高電圧バッテリ12の正極及び負極の間の電圧(検出電圧V2)に基づいて充電リレー41cの故障を検出する例について説明したが、これに限定されない。制御部50は、例えば、第2高電圧バッテリ12により並列回路Qに印加される電圧(検出電圧V3)、及び、予め定められた閾値に基づいて充電リレー41cの故障を検出してもよい。
DC充電ポート20Aは、フロント電源ボックス30Bに接続され、AC充電ポート20Bは、リア電源ボックス30Aに接続される例について説明したが、これに限定されない。例えば、DC充電ポート20Aは、リア電源ボックス30Aに接続され、AC充電ポート20Bは、フロント電源ボックス30Bに接続されるように構成してもよい。
電源システム1Aは、充電切替部40Aを介してバッテリ均等化処理を実施する例について説明したが、これに限定されない。電源システム1Aは、例えば、充電切替部40Aを介さずに、別の回路により第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12を接続することで、バッテリ均等化処理を実施してもよい。
電源システム1Aは、充電切替部40Aを介して異常バッテリを遮断する例について説明したが、これに限定されない。電源システム1Aは、例えば、充電切替部40Aを介さずに、別の回路により異常バッテリを遮断しもよい。
電源システム1Bにおいて、制御部50は、充電リレー41a~41cを制御して直列回路Pを形成し、第1高電圧バッテリ11及び第2高電圧バッテリ12から、モータインバータ7に800V程度の電圧の電力を供給し、且つ、第2高電圧バッテリ12から高電圧負荷部8に400V程度の電圧の電力を供給する例について説明したが、この構成に限定されず、第2高電圧バッテリ12の代わりに第1高電圧バッテリ11から高電圧負荷部8に400V程度の電圧の電力を供給してもよい。