JP7109769B2 - 機械加工装置 - Google Patents
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Description
具体的には、特許文献1は、その図1や図5に示されているように、付勢状態下で加工軸を軸方向(スラスト方向)に移動させるフローティング構造を採ることに加えて、付勢状態下で加工軸を傾斜させる構造を併用することによって、自由曲面を研磨するときにも、工具を適切に工作物の加工面に倣わせて移動することができるようにしたものであった。
垂直面に対しての研磨などの機械加工について産業用ロボットでのティーチングを行う場合、図5(A)に示す加工工具(研磨材)101を被加工面102に対して平行に持っていくと、図5(B)に示すように、点あたりになってしまう。その結果、図1(C)に示すように、あらかじめ角度を考慮してティーチングする必要が生じてしまう。このためティーチング作業が煩雑になり、多くの時間がかかってしまうという課題が生じる。さらに、図1(D)(E)に示すように、ー般に加工工具(研磨材)101の研磨材は被加工面と接触したところから磨耗していく。特許文献1や2の機械加工装置では、研磨材が傾斜揺動するため斜めに減って、図1(D)(E)の先端側のB寸法部が早く滅ってしまう。このため、まだ使える後端側のA寸法部を残して研磨材を交換することになり、研磨材の無駄使いから加工コスト高を招く結果となっている。
即ち、先端に設けられた加工工具を作動させるための加工軸を、フローティング構造によって、所定の圧力で前記加工軸のスラスト方向に付勢して工作物に対する機械加工を行うようにした加工装置において、前記加工軸と直交するラジアル方向に沿って移動可能に前記加工軸を支持する支持部と、前記加工軸に対してその周囲の複数方向から前記ラジアル方向の力を加える加圧部とを備え、前記加圧部からの力によって、前記加工軸が前記ラジアル方向と直交する状態を保って、前記ラジアル方向へ移動可能に付勢されるよう構成されたことを特徴とする機械加工装置を提供する。
前記支持部は、前記ラジアル方向に沿った基準面を備えた基準部材と、前記基準面に沿って相対的にラジアル方向へ移動する案内部材と、前記基準部材と前記案内部材との間に配置された滑動部材とを備え、前記基準部材と前記案内部材との何れか一方が前記加工軸を支持することにより、前記加工軸が前記ラジアル方向へ移動するように構成することができる。
また本発明は、このような適切な動きを実現するティーチングを効率的に行うことができる機械加工装置を提供することができたものである。
(概要)
この実施の形態にかかる機械加工装置10は、先端に設けられた研磨具などの加工工具42を作動させるための加工軸41を、フローティング構造によって、所定の圧力で加工軸41のスラスト方向に付勢して、研磨や研削などの機械加工を行うようにした加工装置である。
この機械加工装置10は、アーム11に対して、加工軸41及び加工工具42を、付勢状態下で軸方向(スラスト方向Z)に移動させるフローティング構造を採ることに加えて、付勢状態下で加工軸を水平移動(スラスト方向Zと直交する方向であるラジアル方向XY)に移動させる構造を併用するもので、スラスト方向Zとラジアル方向XYとの二つの方向に付勢されながら移動可能な状態を保つことによって、工作物51の垂直な被加工面52に加工工具42を加工できるようにティーチングさせるようにしたものである。このように加工工具42は、上記二つの方向に付勢状態下で移動可能としながら、エアツールなどの加工用ツール32によって、被加工面52の研磨や研削のための回転や前後動を行うことで、被加工面52に対して機械加工を行うものである。
この機械加工のための動きは、次の四つの動きによって実現される。
第一要素(図2の右上がり細斜線にてその主要部分を示す)
第一要素は、産業用ロボットのアーム11に対して固定されてこれと一体的に動く要素であり、アーム11に対して不動であって、アーム11共に移動する。
第二要素は、第一要素に対してスラスト方向Zに移動可能な要素である。
具体的にはフローティング構造13の筒状ピストン21と、筒状ピストン21の先端側に固定された取付け部22と、取付け部22に固定されて支持された加圧部23のエアアクチュエータ24のシリンダ本体25)である。なお、取付け部22の先端には、筒状のケーシング20の先端が固定されており、この筒状のケーシング20は後端側の接続部材12付近にまで伸びているが、接続部材12とは固定されていない。
第三要素は、第二要素に対してラジアル方向XYに移動可能な要素であり、機械加工装置10のアーム11に対してはスラスト方向Zとラジアル方向XYに移動する。
具体的には、エアアクチュエータ24のシリンダ本体25から出没するピストン31と、ピストン31によって付勢された加工用ツール32である。
第四要素は、具体的には前述した加工用ツール32の出力軸である加工軸41と加工工具42であり、第三要素に対しては加工のための動き(回転や前後動)を行う要素である。従って、アーム11に対しては、スラスト方向Zとラジアル方向XYに移動して付勢されながら工作物51の被加工面52に対する機械加工のための直接の動きをなす。
(第一要素について)
まず第一要素は、アーム11に対する接続部材12と、これに固定されたフローティング構造13のエアシリンダ14(シリンダボディ)である。エアシリンダ14は、内部のシリンダ空間15にエアを供給するための供給路16を備えており、供給路16から筒状ピストン21を作動するための所定圧力のエアが供給される。
第二要素は、フローティング構造13の筒状ピストン21と、筒状ピストン21の先端側に固定された取付け部22と、取付け部22に固定されて支持された加圧部23を構成する複数のエアアクチュエータ24のシリンダ本体25である。
それぞれのエアアクチュエータ24は、シリンダ本体25の内部のシリンダ空間26にエアを供給するための供給路27を備えており、供給路27からピストン31を作動するための所定圧力のエアが供給される。
案内部材28は、この例では環状の板材として実施されており、その後端側の面がシリンダ本体25に固定されている。そしてこれらの案内部材28は、その先端側の面または後端側の面に円滑な移動を促すための滑動部材としてベアリング29を備えている。
第三要素は、第二要素のエアアクチュエータ24のシリンダ本体25から突出して摺動するピストン31と、ピストン31によって付勢された加工用ツール32と、基準部材33を含む。
なお基準面を設ける部材は、案内部材28などの第二要素側の部材であってもよい。また滑動部材は、ベアリング29の他、滑り性の良い材質で構成しても構わない。
第四要素は、加工用ツール32の出力軸である加工軸41と、加工軸41に対してチャックなどの取付部材を介して設けられた加工工具42である。加工軸41は前述の加工用ツール32の具体的な工具の種類に応じた形態と動きを示すものが採用される。加工工具42には砥石や研磨ペーパーなどの研磨用工具や、切削能力を備えた刃物などが採用される。
本発明は種々変更して実施することができるものであり、上記の実施の形態ではスラスト方向Zに移動可能な第二要素の次に、ラジアル方向XYに移動可能な第三要素を設けたが、第二要素を第一要素に対してラジアル方向XYへ移動可能なものとし、第三要素をスラスト方向Zへ移動可能なものとしても構わない。またフローティング構造13のエアシリンダ14や加圧部23エアアクチュエータ24などの付勢手段は、流体圧を用いた流体圧アクチュエータが圧力の可変的な調整を行える点で有利であるが、その他バネなどの弾性変形による付勢、磁石などの磁力による付勢などの手段に変更したり併用したりしても構わない。
この実施の形態に係る機械加工装置10にあっては、加工工具42をラジアル方向XYへ平面移動可能に支持したため、工作物51の垂直な被加工面52に対して面直に 、ティーチングする場合、加工工具42を被加工面52と平行に接近させるようにすることができる。これによって、研磨材はその全体が被加工面52に対してほぼ均等に当たるようになり、ティーチング作業が簡易になり、時間短縮、ティーチングコストの削減が可能となる。また従来のように研磨材が斜めに減るのではなく、平行して減っていくので、減りムラがなく、研磨材が無駄なく使えるため、研磨材のコストを減らすことができる。
11 アーム
12 接続部材
13 フローティング構造
14 エアシリンダ
15 シリンダ空間
16 供給路
20 ケーシング
21 筒状ピストン
22 取付け部
23 加圧部
24 エアアクチュエータ
25 シリンダ本体
26 シリンダ空間
27 供給路
28 案内部材
29 ベアリング
31 ピストン
32 加工用ツール
33 基準部材
41 加工軸
42 加工工具
50 工作物
52 被加工面
Z スラスト方向
XY ラジアル方向
Claims (4)
- 先端に設けられた加工工具を作動させるための加工軸を、フローティング構造によって、所定の圧力で前記加工軸のスラスト方向に付勢して工作物に対する機械加工を行うようにした加工装置において、
前記加工工具の加工軸を前記スラスト方向と直交する平面に沿ってラジアル方向へ移動可能に支持し、前記ラジアル方向への移動の際に前記加工工具を押し戻す力を前記加工軸に与えて付勢する構造を備えたものであり、
第一要素、第二要素、第三要素及び第四要素を備え、
前記第一要素は、産業用ロボットのアームに対して固定されて一体的に動く要素であり、前記アームに対する接続部材と、これに固定されたフローティング構造のエアシリンダのシリンダボディとを備え、
前記第二要素は、第一要素に対してスラスト方向に移動可能な要素であり、前記フローティング構造の筒状ピストンと、前記筒状ピストンの先端側の取付け部と、前記取付け部に支持された加圧部のエアアクチュエータのシリンダ本体を備え、
前記取付け部の先端には、筒状のケーシングの先端が固定されており、前記筒状のケーシングは後端側の前記接続部材付近にまで伸びているが、前記接続部材とは固定されていないものであり、
前記シリンダ本体に、環状の板材である前後2つの案内部材が、固定され、
前記第三要素は、前記第二要素に対してラジアル方向に移動可能な要素であり、前記アームに対してはスラスト方向とラジアル方向に移動するものであり、前記エアアクチュエータの前記シリンダ本体から出没する複数のピストンと、前記ピストンによってラジアル方向に付勢された加工用ツールと、前後2つの基準部材とを備え、
前記加工用ツールのボディは、前記筒状ピストンの筒内にスラスト方向及びラジアル方向へ移動可能に挿通されており、
前後2つの前記基準部材は、前後2つの前記案内部材に対応して、前記加工用ツールに固定され、
前記基準部材は、ラジアル方向に沿った環状の平面である基準面を備え、
前記シリンダ本体は、前後2つの前記基準部材のそれぞれの前記基準面に挟まれた状態で、前記加工用ツールに対してラジアル方向に沿って相対的に移動可能であり、
前記第四要素は、前記加工用ツールの出力軸である加工軸を備え、
前記加工用ツールの前記出力軸は、前記第三要素に対しては加工のための動き行う要素であり、前記アームに対しては、スラスト方向とラジアル方向に移動して付勢されながら機械加工のための直接の動きをなすように構成されたことを特徴とする機械加工装置。 - 前記ピストンからの力によって、前記加工軸が前記ラジアル方向と直交する状態を保って、前記ラジアル方向へ移動可能に付勢されるよう構成されたことを特徴とする請求項1記載の機械加工装置。
- 前記加圧部は、前記加工軸の周囲に放射状に配置された複数の前記エアアクチュエータと、前記エアアクチュエータにより加えられるラジアル方向の力を調整する圧力調整部とを備えたことを特徴とする請求項2記載の機械加工装置。
- 前記フローティング構造は、前記アームに支持された前記エアシリンダと、前記エアシリンダ内に摺動可能に挿入された前記筒状ピストンとを備えることを特徴とする請求項3に記載の機械加工装置。
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