以下、本発明に係る内面研削装置の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る内面研削装置の斜視図である。図2は、図1に示す内面研削装置を後方から見た図である。図3は、図2に示す切断線A-A´における矢視断面図である。図4は、図1に示す内面研削装置における、棹体設置側の側面図である。図5は、図1に示す内面研削装置に具備される第1、2制御機構の構成を示すブロック図である。
なお、本明細書において内面研削装置の構成要素の位置あるいは構成要素内の箇所を説明する際に用いる「前」あるいは「前方」という表現は、砥石が配設されている側、あるいは研削対象の管に近い側をさす。同様に「後」あるいは「後方」という表現は、砥石が配設されている側とは反対側、あるいは研削対象の管から遠い側をさす。また、「上」あるいは「上方」という表現は天頂方向をさし、その反対方向を「下」と表現する。また、各図には、砥石13を固定した棹体14の軸14LをX軸とし、鉛直方向に沿った軸をZ軸とし、XおよびZ軸に垂直な軸をY軸とする三次元座標を示している。
(研削対象の管および管を支持する管支持装置)
本実施形態1の内面研削装置1が内面研削する対象である管100について説明する。管100は、例えば水道用管等として利用されるダクタイル鋳鉄管であってよい。ダクタイル鋳鉄管は、鉄管同士を連結する際に、或る鉄管の一端部に設けられた受口に、別の鉄管の他端部に設けられた挿し口を挿入する態様をとることができる。そして、この連結にあたり、鉄管の受口の内面には、連結のための段部や、管同士の水密性確保手段(ゴム輪)装着のための段部や環状溝を有するものがある。図1に示す管100にも、受口101の内面111に、そのような環状溝が形成されている。
管100は、管支持装置700によって、管軸100Cが略水平になるよう支持される。管支持装置700は、支持している管100を、管軸100Cを中心に回転させる構成となっている。なお、管100を支持し回転させる構成は、管支持装置700以外にも具備することができる。
(内面研削装置1の構成)
本実施形態の内面研削装置1は、環状溝を一部にでも有する受口101の内面111の中摺を行うために用いる装置である。
内面研削装置1は、ロボットアーム部200に釣り下げられた形態となっている。そのため、内面研削装置1は、ロボットアーム部200の先端部201に連結される連結部61を備えている。すなわち、内面研削装置1は、ロボットアーム部200のハンドと見なすことが可能である。一方で、本発明の一態様として、ロボットアーム部200を内面研削装置1の構成要素とすることも可能である。
内面研削装置1は、管100の内面111を研削する砥石13が固定された棹体14を支持する支持部10を備える。
支持部10は、内面研削装置1の下部に位置している。ここで、棹体14における砥石13側の端部とは反対側の端部には、回転トルク発生モーター80の動力が伝達されるよう構成されており、この動力の伝達を受けて、棹体14の軸14Lを中心に棹体14と砥石13が回転する。支持部10は、棹体14を回転可能に支持している。支持部10は、棹体14を二箇所においてその周面を把持している。
また、内面研削装置1は、第1制御機構3および第2制御機構5を備える。第1制御機構3は、棹体14の軸14Lに対して垂直な方向に延びたロッド2aを有する第1流体圧シリンダ2を含み、前記垂直な方向における前記支持部10の位置を制御する。そして、第1制御機構3は、更に、第1流体圧シリンダ2の流体圧を制御する第1制御部6を含む。このように、内面研削装置1は、第1制御機構3の第1流体圧シリンダ2が、管100の内面111に対する砥石13の、棹体14の軸方向に垂直な方向への押圧力を制御する。そして、第1制御機構3に含まれる第1制御部6が、砥石13の押圧力が所定の押圧力となるよう制御する。これにより、棹体14の軸方向に垂直な方向に関して砥石13が所望の押圧力で内面111に押圧することができる。
また、内面研削装置1は、第2制御機構5が、棹体の軸14Lに平行な方向に延びたロッド4aを有する第2流体圧シリンダ4を含み、前記平行な方向における支持部10の位置を制御する。そして、第2制御機構5は、更に、第2流体圧シリンダ4内の流体圧を制御する第2制御部7を含む。このように、内面研削装置1は、第2制御機構5の第2流体圧シリンダ4が、管100の内面111に対する砥石13の、棹体14の軸方向への押圧力を制御する。そして、第2制御機構5に含まれる第2制御部7が、砥石13の押圧力が所定の押圧力になるように制御する。これにより、棹体14の軸方向に関して砥石13が所望の押圧力で内面111に押圧することができる。
内面研削装置1の構成について更に説明する。内面研削装置1は、棹体14を支持する支持部10を含む第1支持部20を備える。また、内面研削装置1は、棹体14の軸14Lと平行である第1軸部30を介して、第1支持部20が傾動可能に接続されている第2支持部40を備える。また、内面研削装置1は、第1軸部30と平行である第2軸部50を介して、第2支持部40が第2軸部50に沿って摺動可能に接続されている第3支持部60を備える。
第1支持部20は、概して水平方向に広がる板状の構造体である。第1支持部20の下面には、支持部10が設けられており、第1支持部20の上面は、第2支持部40の下面と対向している。
第1支持部20と第2支持部40との連結形態について、図3に基づいて説明する。第1支持部20と第2支持部40とは、対向領域に配置した第1軸部30を介して連結している。第1軸部30は、図3に示すように、棹体の軸14Lと平行に配置されている。なお、図2に示すように、第1軸部30は、鉛直方向(Z軸方向)に沿って、第3支持部60の連結部61の真下に位置しているとともに、第2流体圧シリンダ4のロッド4aの軸の真下に位置している。そして、この鉛直方向に沿った第1軸部30の真下には、回転トルク発生モーター80の回転軸が位置している。すなわち、連結部61と、第2流体圧シリンダ4のロッド4aの軸と、第1軸部30と、回転トルク発生モーター80の回転軸とは、基本的にZ軸方向に沿って並んで位置している(図2の破線で示すセンター軸C)。第1軸部30と回転トルク発生モーター80の回転軸とが鉛直方向に沿って並んで位置していることによって、第1軸部30の回転制御において、モーターの重量の影響を小さくでき、第1制御機構3による、より精度の高い制御が可能となる。
第1軸部30は、図3の右側に部分拡大して示すように、第1支持部20の上面に設けられた第1軸受部21と、第2支持部40の下面に設けられた第2軸受部41とによって支持されている。各軸受部21、41の第1軸部30を挿通させる挿通穴21a、41aには、ブッシュ31が設けられている。
第1支持部20は、図2に示すように、第1軸部30を中心にして、第2支持部40に対して傾動可能に構成されている。図2では、第1軸部30を中心にして、第1支持部20が棹体14側を下にして傾斜している状態を破線で示している。傾動は、第1制御部6が流体圧シリンダ2を動作させた際に起こるとともに、砥石13が内面111に押圧したときに生じる押し戻しの際にも起こり得る。
ここで、棹体14を支持する支持部10は、図2に示す内面研削装置1の後方からの図の向かって左側の端部に設けられている。これにより、棹体14は、第1軸部30と平行であるとともに、第1軸部30を中心として回動する。すなわち、支持部10は、棹体14と第1軸部30とが、平行であり、且つ第1軸部30を中心とする円の円弧上を棹体14の軸14Lが回動する構成となるように、棹体14を支持している。
第2支持部40は、図1~図4に示すように、概して水平方向に広がる板状の構造体である。図2に示すように、第2支持部40の下面には第1軸部30が配置されており、第2支持部40の上面には、第1流体圧シリンダ2と、第2流体圧シリンダ4と、第2軸部50とが配設されている。
第1流体圧シリンダ2は、棹体14の軸14Lに対して垂直な方向に延びたロッド2aを有する。第1流体圧シリンダ2の本体部分が第2支持部40に固定されており、ロッド2aの先端部分が第1支持部20に固定されている。これにより、流体圧が変化することに伴うロッド2aの伸縮によって、第1支持部20が第1軸部30を中心に傾動する。
ここで、棹体14と第1軸部30との位置関係を言い換えれば、第1軸部30と棹体14とは、第1軸部30の中心軸を面内に含む第1鉛直面P1(図2のセンタ軸Cと同一位置にある面)と、棹体14の軸14Lを面内に含む第2鉛直面P2とがこれら鉛直面P1、P2に対して垂直方向に離間している位置関係にある。この位置関係において、第1制御機構3は、第1支持部20における棹体14近傍箇所の荷重を制御するものである。すなわち、第1制御機構3は、前記第1支持部20における第2鉛直面P2内に生じる荷重を制御するものである。このように、第1制御機構3が、棹体14近傍箇所、すなわち第1支持部20における第2鉛直面P2内に生じる荷重を上下方向に制御することにより、棹体14の軸14Lが、第1軸部30を中心とし、第1軸部30から棹体14の軸14Lまでを半径とする円弧上を回動する。これに伴い、砥石13の位置は、鉛直方向下方ではなく、第1軸部30を中心として周方向に沿って下がる。このため、管100の内面111との砥石13の接触面を一定にすることができる。これにより、受口101の内面111(図1)に複雑な凹凸形状が設けられていても、研削面が一定になり、研削ムラを減らして、精度よく研削することができる。
第1流体圧シリンダ2の流体圧は、第1制御部6によって後述するように制御される。第1流体圧シリンダ2としては、エアシリンダを用いることができるが、油圧式シリンダを用いることも可能である。
第2支持部40は、図4に示すように、第2軸部50を介して第3支持部60と連結している。具体的には、第2軸部50が、第2支持部40に固定されたリニアブッシュ42に挿通しており、第2軸部50の両端は、第3支持部60の下面に固定されたホルダ62に固定されている。これにより、第2支持部40は、第3支持部60に対して、第2軸部50に沿って摺動可能に接続されている。第2軸部50は、図2に示されているように、内面研削装置1のセンター軸(第1軸部30と回転トルク発生モーター80の回転軸とを通る仮想軸)を挟んで図面の左右両側に設けられており、各第2軸部50は、棹体14の軸14Lと平行に配置している。これにより、第2支持部40は、第3支持部60に対し、棹体14の軸14Lと平行に摺動可能である。
第2流体圧シリンダ4は、図2に示すようにロッド4aの軸が内面研削装置1のセンター軸C上に配置されており、図3に示すようにロッド4aの軸方向4aLは、棹体14の軸14Lと平行に配置されている。第2流体圧シリンダ4は、第2流体圧シリンダ4の本体部分が第3支持部60の下面に固定されており、ロッド4aの先端部分が第2支持部40に固定されている。これにより、流体圧が変化することに伴うロッド4aの伸縮によって、第2支持部40の位置を第2軸部50に沿って制御できる。
第2流体圧シリンダ4の流体圧は、第2制御部7によって後述するように制御される。第2流体圧シリンダ4も第1流体圧シリンダ2と同様に、エアシリンダを用いることができるが、油圧式シリンダを用いることも可能である。
図5を用いて、第1制御機構3および第2制御機構5について詳述する。
図5に示すように、第1制御機構3は、第1流体圧シリンダ2と、第1電磁弁6aと、第1制御部6とを有する。第1制御部6は、管100の内面111に対する砥石13の、棹体14の軸方向に垂直な方向への押圧力を所定の押圧力となるように制御する。具体的には、第1制御部6は、第1電磁弁6aを制御して、研削前に砥石13を研削開始位置に移動させるときに比べ、砥石13によって内面111を研削している間のほうが第1流体圧シリンダ2の流体圧(空気圧)が小さくなるように、第1流体圧シリンダ2を制御する。第1流体圧シリンダ2は、第1電磁弁6aによって高圧と低圧の2種類の間で切り替えられる構成となっている。これを、第1制御部6が、砥石13を研削開始位置に移動させる場合と、砥石13によって内面111を研削している場合とに応じて、それらの間で切り替えを行う構成となっている。第1流体圧シリンダ2がエアシリンダである場合には、第1制御部6が、エアシリンダの空気圧を切り替える第1電磁弁6aを制御する。第1制御部6は、回転トルク発生モーター80から、砥石13の押圧力を示す電流値を取得できる構成となっており、その電流値に基づいて、第1流体圧シリンダ2の流体圧を調整する機構としてもよい。
このように、第1制御部6によって第1支持部20、砥石13、および棹体14の荷重の大きさを調整することができ、研削前に砥石13を研削開始位置に移動させるときには、基準値よりも高圧にすることで、装置移動時に発生する慣性力による第1流体圧シリンダ2の伸縮を抑制し、砥石13を研削開始位置に配置する。また、砥石13による内面111の研削中は、基準値よりも低圧にすることで、棹体14の軸方向に垂直な方向へ所望の押圧力で砥石13が内面111に押圧されるよう制御することができる。
第2制御機構5は、第2流体圧シリンダ4と、第2電磁弁7aと、第2制御部7とを有する。第2制御部7は、棹体14の軸方向に関して砥石13が所望の押圧力で内面111に押圧するよう制御する。具体的には、第2制御部7は、第2電磁弁7aを制御して、研削前に砥石13を研削開始位置に移動させるときに比べ、砥石13によって内面111を研削している間のほうが第2流体圧シリンダ4の流体圧(空気圧)が小さくなるように、第2流体圧シリンダ4を制御する。第2流体圧シリンダ4は、第2電磁弁7aによって高圧と低圧の2種類の間で切り替えられる構成となっている。これを、第2制御部7が、砥石13を研削開始位置に移動させる場合と、砥石13によって内面111を研削している場合とに応じて、それらの間で切り替えを行う構成となっている。第2流体圧シリンダ4がエアシリンダである場合には、第2制御部7が、エアシリンダの空気圧を切り替える第2電磁弁7aを制御する。ここで、第2制御部7も第1制御部6と同様に、回転トルク発生モーター80から、砥石13の押圧力を示す電流値を取得できる構成となっており、第2制御部7は、その電流値に基づいて、第2流体圧シリンダ4の流体圧を調整する機構としてもよい。
このように、第2制御部7によって第2支持部40、砥石13、および棹体14の荷重の大きさを調整することができ、研削前に砥石13を研削開始位置に移動させるときには、基準値よりも高圧にすることで、装置移動時に発生する慣性力による第2流体圧シリンダ4の伸縮を抑制し、砥石13を研削開始位置に配置する。また、砥石13による内面111の研削中は、基準値よりも低圧にすることで、棹体14の軸方向へ所望の押圧力で砥石13が内面111に押圧されるよう制御することができる。
図6には、管100の管軸Cに沿った断面における受口101を中心とする部分を示す。受口101には先述のように環状溝が設けられており、図6では、この環状溝の一例として、管軸Cに対して傾斜している面102、管軸Cに対して垂直な面103、および管軸Cに対して平行な凹の底面104と凸の頂上面105によって構成された凹凸形状を図示している。内面研削装置1(図1)に支持された棹体14の先端に固定された砥石13は、棹体14の軸14Lを中心に回転しながら、図6に示す凹凸形状の各面に砥石13の円柱形状の側面あるいはその端部(角部)を押し付けて研削する。研削処理の間、内面研削装置1(図1)はロボットアーム部200の制御を受けて、管100の受口101側の管端から管内に向かって砥石13を挿入し、砥石13を研削開始位置である底面104に位置決めする。このときに、先述の第1制御部6および第2制御部7によって、第1流体圧シリンダ2および第2流体圧シリンダ4の圧力が基準値より高圧になるように制御され、これにより、砥石13が研削開始位置において所定の押圧力で底面104の面を押圧するように制御される。
研削開始位置から研削を開始すると、砥石13の研削位置は、ロボットアーム部200が制御する。具体的には、ロボットアーム部200は、砥石13を、管100の奥側の研削開始位置から受口101の管端に向かって移動させるとともに、凹凸形状に沿うように鉛直方向に移動させる。しかしながら、ロボットアーム部200は、予め取得している管100の凹凸形状のデータに基づいて、砥石13の位置を制御するものであるため、例えば管100の位置がずれた状態で管支持装置700(図1)に支持されている等の理由から、管100と砥石13との相対位置に変化が生じた場合に、その都度、変化に応じて制御内容を修正することは容易でない。
そこで、本実施形態の内面研削装置1は、第1制御機構3および第2制御機構5にそれぞれ設けた流体圧シリンダ2、4によって、そのような変化に対応し、それに応じて所定の押圧力となるように、砥石13の位置を制御することができる。また、先述の電流値をリアルタイムで取得することで、より精度の高い制御を行うことができる。
(砥石13)
砥石13は、研削を続けても外径が略変わらない砥石を採用する。これにより、砥石13の回転中心が経時的に変化することがなく、砥石13の位置のロボットアーム部200による制御をおこない易い。具体的には、砥石13として電着砥石または溶着砥石を採用できるほか、CBNやダイヤモンドの砥粒を含むものであってもよい。本実施形態では、円柱形状の砥石13を例に挙げて説明しているが、形状はこれに限定されるものではない。
〔変形例〕
上述の実施形態では、各流体圧シリンダ(第1流体圧シリンダ2、第2流体圧シリンダ4)にそれぞれ別個に制御部(第1制御部6、第2制御部7)を設けた構成について説明している。しかしながら、これに限定されるものではなく、1つの制御部が、電磁弁を介して、各流体圧シリンダを制御するものであってもよい。
〔参考形態1〕
以下、本発明の参考形態について、詳細に説明する。図7は、参考形態に係る内面研削装置の左側の側面の構成を示す側面図である。図8は、図中上側に、研削装置の前側の側面の構成を示し、図中下側に、後側の側面の構成を示す。
(1)内面研削装置の構成
本実施形態の内面研削装置501Aは、グラインダー部510と、支持部520と、ロボットアーム部530と、第1のバネ部540と、第2のバネ部550と、距離センサ560とを備えている。詳細は後述するが、本参考形態の内面研削装置501Aは、図7に示すように、グラインダー部510の棹体514が、支持部520に摺動可能に支持されている状態でロボットアーム部530の先端(後述する第2の対向面531)に懸架された態様である。
(グラインダー部510)
グラインダー部510は、フレキシャフトグラインダー511と、シャフト保持部512とを有している。
フレキシャフトグラインダー511は、研削対象の管の内面を研削する砥石13を先端部に有した棹体514を有する。棹体514における砥石側の端部とは反対側の端部には、図示しないモータ(回転トルク発生装置)に繋がるフレキシブルシャフト515が接続されている。フレキシャフトグラインダー511は、当該モーターの回転トルクによって、砥石13が棹体514の長手方向に沿った軸を中心として回転する構成となっている。砥石13については上述の実施形態において説明した砥石13と同等のものを使用可能である。また、フレキシャフトグラインダー511は、周知のフレキシャフトグラインダーを採用することができる。
シャフト保持部512は、フレキシャフトグラインダー511の棹体14の周面を把持する把持部516と、軸体517が固定された軸体固定部518a,518bとを有している。
把持部516は、棹体514の長手方向に沿って異なる2箇所において棹体514の周面を把持する。また、把持部516は、軸体固定部518a,518bと連結している。
軸体固定部518a,518bは、棹体514の長手方向に沿った軸に対して平行に延びた軸体517を固定している。軸体固定部518aが軸体517の前方側の端部を固定しており、軸体固定部518bが軸体517の後方側の端部を固定している。軸体517は、摺動可能に支持部520に貫通保持されている。図8(a)に示すように、軸体固定部518aは、左右方向に2つ並んで配設されており、図8(b)に示すように、軸体固定部518bも、左右方向に2つ並んで配設されている。これら2対の軸体固定部518a,518bの各対に、軸体517が固定されている。
なお、グラインダー部510は、シャフト保持部512と、フレキシャフトグラインダー511とを分離することが可能である。例えばフレキシャフトグラインダー511のメンテナンス時等にシャフト保持部512からフレキシャフトグラインダー511を取り外すことが可能である。
(支持部520)
支持部520は、棹体514を棹体の軸方向に摺動可能に支持する。具体的には、支持部520は、シャフト保持部512の軸体517を貫通保持し、軸体517の軸方向に摺動可能に連結されている。
また、支持部520には、ロボットアーム部530の第2の対向面531に対向する第1の対向面521が設けられている。第1の対向面521には、ロボットアーム部530の第2の対向面531に軸受部533を介して固定された軸部532(図7)が挿通されている軸受部522が設けられている。
(ロボットアーム部530)
ロボットアーム部530は、第2の対向面531に設けられた軸受部533に固定した軸部532を介して、支持部520と連結している。支持部520は、軸部532を中心に回動可能である。
ロボットアーム部530は、支持部520が回動可能に連結されており、支持部520を介して棹体514の位置および姿勢を変化させる。ロボットアーム部530は、図示しない制御装置による制御を受けて駆動し、第2の対向面531の位置および傾斜角度を変化させる。これにより、軸部532の位置および姿勢が変わり、支持部520とシャフト保持部512とを介して、フレキシャフトグラインダー511の位置および姿勢を変えることができる。
ロボットアーム部530は、予め取得している研削対象の管の内面の形状に基づいて第2の対向面531の位置および傾斜角度を制御する。これにより、棹体514が棹体514の軸方向に沿って正方向に移動して砥石13が管内に挿入されて、管内面を砥石13が略重力方向に向かって押圧する。これにより、管内面の研削がおこなわれ、ロボットアーム部530は、例えば砥石13を管軸方向に沿って負方向に移動させながら、管内面の研削対象領域に対して砥石13を連続的または断続的に押圧させて研削がおこなわれる(研削方法)。ロボットアーム部530は、周知のロボットアームを採用する。
(第1のバネ部540)
第1のバネ部540は、シャフト保持部512に固定されている棹体514を支持部520に対して棹体514の軸方向に弾性的に付勢する。第1のバネ部540は、支持部520が摺動可能に連結されている軸体517の周囲に巻回した巻きバネである前方バネ541aおよび後方バネ541bを有している。
前方バネ541aは、支持部520の前方側面と、軸体517の前方端部を固定している軸体固定部518aとの間において軸体517の周囲に巻回しており、シャフト保持部512に固定されている棹体514を、棹体514の軸方向に沿って前方(正方向)に付勢する。図8の上側に示すように、前方バネ541aは、左右に2つ並んでいる。
後方バネ541bは、支持部520の後方側面と、軸体517の後方端部を固定している軸体固定部518bとの間において軸体517の周囲に巻回しており、シャフト保持部512に固定されている棹体514を、棹体514の軸方向に沿って後方(負方向)に付勢する。図8の下側に示すように、後方バネ541bも、左右に2つ並んでいる。
このように内面研削装置501Aは、棹体514に固定されているシャフト保持部512と、シャフト保持部512が摺動可能に連結されている支持部520との間に、第1のバネ部540を介在させている。第1のバネ部540は前後方向に付勢することから、ロボットアーム部530がフレキシャフトグラインダー511を棹体514の軸方向(前後方向)に沿って所定の位置に移動させるだけで、砥石13は、適当な押圧力によって管内面を押圧して研削することができる。すなわち、砥石13の位置をロボットアーム部530によって詳細に制御しなくても、第1のバネ部540の付勢力を用いることにより、砥石513が管内面の所定の領域(管軸方向に対して傾斜している面または垂直な面)を所定の押圧力にて押し付けて研削することができる。要するに、ロボットアーム部530による制御だけを受ければ、砥石13の押圧箇所が所定の研削対象領域から前後に外れてしまう場合でも、第1のバネ部540を具備することにより、砥石13の位置が微調整されて、所定の研削対象領域を適当な押圧力によって研削することができる。
このように砥石13の位置を微調整できることにより、管が位置ずれを起こして回転支持された場合にも、所定の研削対象領域を適当な押圧力で押圧して精度よく研削することができる。特に、複数の管を順次研削するような製造ラインにおいては、何らかの事情で管が位置ずれした状態で支持される場合があるが、本実施形態1の研削装置を用いることによって、所定の研削対象領域を研削することができる。これについて図9に一例を示して説明する。
図9は、第1のバネ部540の作用を説明する図であり、内面研削装置501Aの左側の側面を図示している。図9では、砥石13が管の所定の研削対象領域Aを研削している様子を示しており、図中のSで示す線は、砥石13が管の所定の研削対象領域Aを研削しておらず、且つ棹体514が水平に延伸している状態における、軸部532の中心を通る垂線に相当する。この状態において、この垂線は、棹体514における一方の把持部516と他方の把持部516との中間点mを通る。以下では、この状態を初期状態と称する。図9に示しているのは、初期状態から、研削対象領域Aの研削をおこないながらロボットアーム部530が長さW1ほど後方に位置を移動した状態(第1の状態と称する)を示している。この第1の状態において、先述の中間点mの移動幅をW2とすると、W1とW2との関係はW1>W2である。これは、ロボットアーム部530の動作に従う支持部520に対して、研削対象領域Aおよびその近傍との砥石13の接触により、シャフト保持部512に設けられた後方側の軸体固定部518bが後方バネ541bを前方に弾性的に付勢するためである。このように、ロボットアーム部530の制御に加えて、管との接触によって生じる付勢力によって砥石13が精度よく位置決めされる。
(第2のバネ部550)
図7に示す第2のバネ部550は、支持部520をロボットアーム部530に対して軸部532を中心とする回動方向に弾性的に付勢する。具体的には、第2のバネ部550は、支持部520の第1の対向面521と、ロボットアーム部530の第2の対向面531との間に配設されている巻きバネである。
第2のバネ部550は、ロボットアーム部530と支持部520との間における、軸部532よりも砥石513に近い側に配設されている。要するに、第1の対向面521と第2の対向面531との対向領域を軸部532を挟んで砥石13に近い前方側と遠い後方側とに区分すると、第2のバネ部550は前方側に配されている。また、第2のバネ部550は、前方側において、図8の上側に示すように左右に2つ並んでいる。
ロボットアーム部530の第2の対向面531が、例えば水平状態に対して前方端部を下にして傾斜すると、支持部520も連動して前方を下にして傾斜し、これに伴って、棹体514が砥石13を下げるように傾斜する。しかしながら、支持部520は、第2のバネ部550によって第2の対向面531に対して軸部532を中心とする回動方向に弾性的に付勢されている。そのため、ロボットアーム部530の第2の対向面531が傾斜した大きさと、棹体514が傾斜した大きさとの間には差が生じる場合がある。これについて図10に一例を示して説明する。
図10は、第2のバネ部550の作用を説明する図であり、内面研削装置501Aの左側の側面を図示している。図10では、砥石13が管の所定の研削対象領域Aを研削している様子を示しており、図中のH1およびH2で示す線は、いずれも水平線であり、砥石13が管の所定の研削対象領域Aを研削しておらず、且つ棹体514が水平に延伸している状態における水平線H1と、その状態のときのロボットアーム部530の第2の対向面531の位置での水平線H2とを示す。この状態は、先述の初期状態と同じである。図10に示しているのは、初期状態から、研削対象領域Aの研削をおこないながらロボットアーム部530を第2の対向面531の角度がθ1ほど前方が下がるように傾斜させた状態(第2の状態と称する)である。この第2の状態では、砥石13が管の所定の研削対象領域Aを押圧して研削対象領域Aから上方に向かう力を受けており、この力が、支持部520の第1の対向面521にも及ぶ。本参考形態では、第1の対向面521と第2の対向面531との間に第2のバネ部550が設けられているため、その力を受けて、第2のバネ部550が第2の対向面531に弾性的に付勢する。そのため、棹体514が傾斜した角度の大きさθ2は、第2の対向面531が傾斜した角度の大きさθ1よりも小さい(θ1>θ2)。
また、第2のバネ部550は、ロボットアーム部530が第2の対向面531の高さを下げた場合にも有効に作用する。要するに、ロボットアーム部530が第2の対向面531が下方に下がった場合、これに伴って砥石513が下がると所定の研削対象領域を過度の押圧力で押圧するおそれがある。しかしながら、第2のバネ部550が設けられていることにより、先述と同じ原理で第1の対向面521の前方が上がる。
このように、砥石13の位置をロボットアーム部530によって詳細に制御しなくても、第2のバネ部550による付勢力を用いることにより、砥石13が管内面の所定の領域(管軸方向に対して平行な面)を所定の押圧力にて押し付けて研削することができる。
以上の構成により、内面研削装置501Aは、砥石13が所定の研削対象領域を適当な押圧力で押圧して精度よく研削することができる。
(距離センサ560)
図7に示す距離センサ560は、ロボットアーム部530と支持部520とを連結する軸部532よりも後方側において、シャフト保持部512の後端における所定位置と、この所定位置から略直上に位置するロボットアーム部530の所定位置との離間距離を検知するものである。離間距離が所定値を超えると報知する機能を有する。所定値は、第2のバネ部550の長さがこれ以上短くならない限界値に相当する。この限界値を超えるとロボットアーム部530の第2の対向面531の傾斜に伴って、棹体514が第2の対向面531の傾斜角度と等しい傾斜角度で傾斜してしまい、砥石13が過度に管内面に押し付けられて研削に問題を生じる。そのため、所定値を超えることを報知する距離センサ560を具備することによって、その問題を未然に防ぐことができる。
以上のように、本参考形態の内面研削装置501Aによれば、管の内面を精度よく研削することができる。管が所定の位置から多少ずれている場合であっても、ずれに合わせてロボットアーム部530が砥石13の位置を詳細に調整する必要がなく、砥石13を所定の位置に調整するだけで管の内面の所定の領域を砥石13が精度よく研削することができる。例えば管軸を中心に回転させる装置などに管を配置して研削をおこなう際、その装置に配置させた管が所定の位置から多少ずれる場合がある。もし仮に前記のような第1のバネ部540および第2のバネ部550を具備しない態様の場合には位置ずれをロボットアーム部530による砥石13の位置制御によって詳細に調整しなければならない。例えば複数の管を順次研削するようなラインを想定した場合には、管毎に管の位置に応じたロボットアーム部530の詳細な調整が必要となり、ライン稼働中にこれを実現するには、制御が複雑で設備が大掛かりなものとなる。そこで、前記の構成とすることによって、駆動部によって位置決めされた砥石13と、管の位置(研削しようとする位置)との間に多少の位置ずれが生じている場合であっても、第1のバネ部540および第2のバネ部550によってそのずれを吸収することができる。これにより、第1のバネ部540および第2のバネ部550が無い場合に比べてロボットアーム部530の制御が容易になり、先述のようなラインでの研削もスムーズにおこなうことができる。
〔参考形態2〕
本発明の他の参考形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記参考形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図11は、本参考形態2の内面研削装置501Bの左側の側面の構成を示す側面図である。図11は、参考形態1の図7に対応している。本参考形態の内面研削装置501Bと、上述の参考形態1の内面研削装置501Aとは、砥石の形状が異なっている点において相違している。
図11に示すように、本参考形態2の内面研削装置501Bに具備される砥石13´は、円柱形状の第1の部分13aと、第1の部分13aよりも先端に位置する第2の部分13bであって、先端に向かって縮径している円錐形状の第2の部分13bとを有する。
ここで、砥石13´と、研削対象領域との関係を、図12を用いて説明する。図12は、本参考形態2の内面研削装置501Bが研削対象とする管100の部分断面図であり、図11に示す砥石13´と共に示している。図12に示す管100は、図Eにおいて示した管100と同一で、受口101の内面に凹凸形状が設けられている。
砥石13´は、円柱形状の第1の部分13aの側面および端部(角部)を用いて、管軸方向に対して傾斜している面102、管軸方向に対して垂直な面103、および管軸方向に対して平行な凹の底面104と凸の頂上面105を研削することができる。また、円錐形状の第2の部分13bの側面を用いて、傾斜している面106を研削することができるほか、底角部106の面取りをおこなうことができる。
本参考形態2の内面研削装置501Bによっても、参考形態1の内面研削装置501Aと同様に、砥石13´を所定の押圧力で押し付けることができる。
〔参考形態3〕
本発明の他の参考形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記参考形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図13は、本参考形態3の内面研削装置501Cの概略構成を、研削対象である管100とともに示す図である。図13は、内面研削装置501Cの上面を示している。内面研削装置501Cは、上述の内面研削装置501A(参考形態1)と内面研削装置501B(参考形態2)とを併せ持った構成となっている。
すなわち、本参考形態3の内面研削装置1Cは、砥石として、砥石13(第1の回転砥石)および砥石13´(第2の回転砥石)を有しており、棹体として、砥石13を先端部に有した第1の棹体と、砥石13´を先端部に有した第2の棹体(第2の棹体)とを有している。なお、各内面研削装置501A,501Bの構成は、先述しており、ここでは説明を省略する。
図13では、管100の製造ラインに内面研削装置1Cが設置されていることを想定している。管100は、紙面上側から下側に向かって搬送装置580によって搬送され、内面研削装置501Aの棹体の軸方向と、管100の管軸とが図13に示す上面からみて同一軸上に位置するまで管100が管支持装置570に乗って移動される。移動が完了したら、内面研削装置501Aの砥石13が管100の内部に向かって移動して、研削対象領域(図Eの面102~105)の研削を開始する。
内面研削装置501Aによる研削が完了すると、搬送装置580は、管100を紙面下側(図13に示す矢印方向)に向かって搬送し、内面研削装置501Bの棹体の軸方向と、管100の管軸とが図13に示す上面からみて同一軸上に位置するまで管100を移動させる(図中に破線によって管100を示している)。移動が完了したら、内面研削装置501Bの砥石13´が管100の内部に向かって移動して、研削対象領域(図12の面106)の研削を開始する。
本参考形態3によれば、管100の受口101の内面の凹凸形状を、精度よく研削することができる。本参考形態3は、複数の管100を搬送装置580によって順次各内面研削装置の前に搬送して、研削処理ラインを実現することができる。特に本参考形態3によれば、管が所定の位置から多少ずれている場合であっても、ずれに合わせて各砥石の位置をロボットアーム部530が詳細に調整する必要がなく、ロボットアーム部530が砥石を所定の位置に調整すれば、砥石は第1のバネ部540および第2のバネ部550(図7)の付勢力を用いて研削対象領域に適当な押圧力で押し付けられる。故に、管の位置ずれを伴う場合でも簡易な装置で内面の特定の領域を精度よく研削して、ラインを円滑に稼働させることができる。
〔参考態様1~3のまとめ〕
前記の課題を解決するために、本発明の参考態様に係る内面研削装置は、管の内面を研削する回転砥石を先端部に有した棹体を棹体の軸方向に摺動可能に支持する支持部と、前記支持部が回動可能に連結されており、前記支持部を介して前記棹体の位置を変化させる駆動部と、を備え、前記棹体を前記支持部に対して前記棹体の軸方向に弾性的に付勢する第1の付勢部材と、前記支持部を前記駆動部に対して前記回動方向に弾性的に付勢する第2の付勢部材と、を更に備えている。
前記の構成によれば、管の内面を精度よく研削することができる。具体的には、前記の構成によれば、管が所定の位置から多少ずれて支持されている場合であっても、駆動部が回転砥石を所定の位置に調整するだけで、微妙な砥石の位置調整および当該位置における管内面への砥石の適切な押圧力は、第1の付勢部材および第2の付勢部材の付勢力によって実現することができる。すなわち、ずれに合わせて駆動部が回転砥石の位置を詳細に調整せずとも、内面の所定の領域を回転砥石が精度よく研削することができる。例えば管軸を中心に回転させる装置などに管を配置して研削をおこなう際、その装置に配置させた管が所定の位置から多少ずれる場合がある。もし仮に前記のような付勢部材を具備しない態様の場合には位置ずれを駆動部による回転砥石の位置制御によって詳細に調整しなければならない。その場合、時間を要し、例えば複数の管を順次研削するようなラインを想定した場合には、管毎に管の位置に応じた駆動部の詳細な調整が必要となり、制御が複雑で、大掛かりな装置となってしまう。そこで、前記の構成とすることによって、駆動部によって位置決めされた回転砥石と、管の位置(研削しようとする位置)との間に多少の位置ずれが生じている場合であっても、第1の付勢部材および第2の付勢部材によってそのずれを吸収することができる。これにより、第1の付勢部材および第2の付勢部材が無い場合に比べて駆動部の制御が容易になり、先述のようなラインでの研削もスムーズにおこなう簡易な内面研削装置を提供することができる。
本発明の参考態様に係る内面研削装置は、前記の構成において、前記第1の付勢部材によって、前記内面のうちの管軸方向に対して傾斜している面または垂直な面に前記回転砥石を所定の押圧力で押し付けることができ、前記第2の付勢部材によって、前記内面のうちの管軸方向に対して平行な面に前記回転砥石を所定の押圧力で押し付けることができる。
前記の構成によれば、回転砥石により、所定の位置を所定の押圧力にて研削することができる。
本発明の参考態様に係る内面研削装置は、前記の構成において、前記支持部および前記駆動部は、互いに対向する対向面を有しており、前記支持部と前記駆動部とは、各前記対向面に設けられた軸受部に挿通された軸部を介して、前記支持部が前記軸部を中心に回動可能なように連結されており、前記第2の付勢部材は、前記支持部の前記対向面と、前記駆動部の前記対向面との間に配設されている。
前記の構成によれば、第2の付勢部材が、支持部の対向面と駆動部の対向面との間に配設されていることから、前記軸部を中心とした支持部の回動に伴った回転砥石の回動を実現することができる。
本発明の参考態様に係る内面研削装置は、前記の構成において、前記第2の付勢部材は、前記駆動部と前記支持部との間における、前記回動の中心よりも、前記回転砥石に近い側に配設されている。
前記の構成によれば、管の内面に回転砥石を適切な押圧力によって押し付けることができる。
本発明の参考態様に係る内面研削装置は、前記の構成において、前記第1の付勢部材は、前記棹体の軸方向を正方向に付勢する付勢部材と、前記棹体の軸方向を負方向に付勢する付勢部材とを有している。
前記の構成によれば、管の内面に回転砥石を適切な押圧力によって押し付けることができる。
本発明の参考態様に係る内面研削装置は、前記の構成において、前記回転砥石には、円筒形状の第1の部分と、前記第1の部分よりも先端に位置する第2の部分であって、先端に向かって縮径している円錐形状の第2の部分と、が設けられている。
前記の構成によれば、円筒形状の第1の部分によって内面のうちの管軸方向に対して平行な面を研削することができる。また、円錐形状の第2の部分によって内面のうちの管軸方向に対して傾斜している面または垂直な面を研削することができ、特に、直管部と受口を有する管であって、受口の内周面に凹凸形状が設けられている管を研削対象とするような場合に、受口と直管部との境界にある傾斜面を、第2の部分によって研削することができる。
本発明の参考態様に係る内面研削装置は、前記の構成において、前記回転砥石は、前記内面のうちの管軸方向に対して傾斜している面または垂直な面を研削する第1の回転砥石と、前記内面のうちの管軸方向に対して平行な面を研削する第2の回転砥石と、を有し、前記棹体は、前記第1の回転砥石を先端部に有した第1の棹体と、前記第2の回転砥石を先端部に有した第2の棹体と、を有している。
前記の構成によれば、直管部と受口を有する管であって、受口の内周面に凹凸形状が設けられている管を研削対象とするような場合に、凹凸形状を精度よく研削することができる。
本発明の参考態様に係る内面研削装置は、前記の構成において、前記駆動部は、ロボットアームであり、前記支持部は、前記ロボットアームの先端に回動可能に連結されており、前記棹体は、前記支持部に摺動可能に支持されている状態で、前記ロボットアームの先端に懸架されている。
前記の構成によれば、ロボットアームの動作と、前記第1の付勢部材および前記第2の付勢部材の付勢力とによって、回転砥石が管の所定の領域を研削することができる。
また、前記の課題を解決するために、本発明の参考態様に係る内面研削方法は、前記の研削装置を用いて、管の受口の内面を研削する。
前記の構成によれば、管の受口の内面を精度よく研削することができる。具体的には、前記の構成によれば、管が所定の位置から多少ずれて支持されている場合であっても、駆動部が回転砥石を所定の位置に調整するだけで、微妙な砥石の位置調整および当該位置における管の受口の内面への砥石の適切な押圧力は、第1の付勢部材および第2の付勢部材の付勢力によって実現することができる。すなわち、ずれに合わせて駆動部が回転砥石の位置を詳細に調整せずとも、受口の内面の所定の領域を回転砥石が精度よく研削することができる。例えば管軸を中心に回転させる装置などに管を配置して研削をおこなう際、その装置に配置させた管が所定の位置から多少ずれる場合がある。もし仮に前記のような付勢部材を具備しない態様の場合には位置ずれを駆動部による回転砥石の位置制御によって詳細に調整しなければならない。その場合、時間を要し、例えば複数の管を順次研削するようなラインを想定した場合には、管毎に管の位置に応じた駆動部の詳細な調整が必要となり、制御が複雑で大掛かりな設備となってしまう。そこで、前記の構成とすることによって、駆動部によって位置決めされた回転砥石と、管の位置(研削しようとする位置)との間に多少の位置ずれが生じている場合であっても、第1の付勢部材および第2の付勢部材によってそのずれを吸収することができる。これにより、第1の付勢部材および第2の付勢部材が無い場合に比べて駆動部の制御が容易になり、先述のようなラインでの研削もスムーズにおこなう簡易な内面研削方法を実現することができる。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態および参考形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態および参考形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
特に、内面に段差または環状溝を有する管であれば本発明を適用可能である。