JP7107132B2 - 転写シート、転写シートの製造方法及び化粧材 - Google Patents

転写シート、転写シートの製造方法及び化粧材 Download PDF

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Description

本発明は、転写シート、転写シートの製造方法及び化粧材に関する。
家具、建材等に使用される転写シートにおいて、高輝度な金属調の意匠が求められる場合がある。従来、このような金属調の意匠を再現する方法として、支持体となるシートの上に蒸着膜を形成する方法、粒径の異なる粒子を組み合わせて印刷により塗膜を形成する方法等が提案されている。このうち、後者の方法は、蒸着膜を形成する方法に比べて低コストで転写シートを作製できるという利点がある(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2015-214031号公報 実開平5-080746号公報
上記転写シートにおいては、低コストを維持しつつ、輝度と密着性の向上が求められている。
本発明の目的は、低コストを維持しつつ、輝度と密着性を向上させた転写シート、転写シートの製造方法及び化粧材を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜に改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
第1の発明は、離型性支持体(10)と、装飾層(30)を含む転写層(2)と、が積層された転写シート(1)であって、前記装飾層は、大粒径の金属鱗片(L)及び小粒径の金属鱗片(S)を複数含有した樹脂(R)からなるメタリック層(32)を有し、前記メタリック層は、前記離型性支持体の側から順に、前記樹脂からなる樹脂層(321)と、前記小粒径の金属鱗片及び前記大粒径の金属鱗片を含有した第1光輝性樹脂層(322)と、前記大粒径の金属鱗片及び前記小粒径の金属鱗片を含有した第2光輝性樹脂層(323)と、を備え、前記第1光輝性樹脂層には、前記第2光輝性樹脂層よりも、前記小粒径の金属鱗片の単位体積当たりの個数が多く含有されている転写シートである。
第2の発明は、第1の発明の転写シートであって、前記第1光輝性樹脂層に含有される前記小粒径の金属鱗片及び前記大粒径の金属鱗片は、前記第2光輝性樹脂層側の表層を覆うように平行に配列しており、前記第2光輝性樹脂層に含有される前記大粒径の金属鱗片は、厚さ方向に一様に分布し且つ層方向に平行に配列しており、前記第2光輝性樹脂層に含有される前記大粒径の金属鱗片は、前記第1光輝性樹脂層側の表層を覆うように平行に配列している。
第3の発明は、第1又は第2の発明の転写シートであって、前記小粒径の金属鱗片の粒径は、前記大粒径の金属鱗片の粒径の0.42倍未満であり、前記メタリック層は、樹脂が100質量部に対して金属鱗片が40質量部以下である。
第4の発明の転写シートは、第1から第3までのいずれかの発明の転写シートであって、前記装飾層は、前記メタリック層の前記離型性支持体の側に絵柄層(31a)及び着色透明層(31b)のうち少なくとも一方を有する。
第5の発明の転写シートは、第1から第4までのいずれかの発明の転写シートであって、前記装飾層は、前記メタリック層の前記離型性支持体とは反対側に着色不透明層(33)を有する。
第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明の転写シートの製造方法であって、リーフィングタイプの小粒径の金属鱗片と樹脂とを混合した塗料を、離型性支持体に形成された剥離層の表面に塗布して、第1塗膜を形成する第1塗膜形成工程と、ノンリーフィングタイプの大粒径の金属鱗片と樹脂とを混合した塗料を、前記第1塗膜の表面に塗布して、第2塗膜を形成する第2塗膜形成工程と、を含み、前記第1塗膜形成工程において、前記小粒径の金属鱗片を、前記離型性支持体とは反対側の表層を覆うように平行に配列させ、前記第2塗膜形成工程において、前記第2塗膜に含まれる一部の前記大粒径の金属鱗片を、前記第1塗膜の表層に配列している前記小粒径の金属鱗片と共に前記第1塗膜の表層を覆うように平行に配列させると共に、前記第2塗膜に含まれる前記大粒径の金属鱗片の残りを、厚さ方向に一様に分布し且つ層方向に平行に配列させ、前記第1塗膜に含まれる一部の前記小粒径の金属鱗片を、前記第2塗膜の表層を覆うように配列させる転写シートの製造方法である。
第7の発明は、第1から第5までのいずれかの発明の転写シートを用いた化粧材100である。
本発明によれば、低コストを維持しつつ、輝度と密着性を向上させた転写シート、転写シートの製造方法及び化粧材を提供できる。
実施形態における転写シート1の断面図である。 小粒径鱗片Sの粒径Dsと大粒径鱗片Lの粒径Dとの関係を説明する模式図である。 化粧材100の製造方法を説明する図である。 化粧材100の製造方法を説明する図である。 実施例の転写シートAの製造方法を説明する図である。 実施例及び比較例1、2の評価結果を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書に添付した各図面は模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。また、各図においては、一部の部材について断面を示すハッチングを省略する。
本明細書中に記載する数値、形状、材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜に選択して使用してよい。
図1は、本実施形態における転写シート1の断面図である。
図1に示すように、本実施形態の転写シート1は、離型性支持体10、剥離層20、装飾層30、接合層40及び剥離シート50を備える。本実施形態の転写シート1において、剥離層20、装飾層30及び接合層40は、転写層2を構成する。なお、本発明において、転写層2の構成は、本実施形態の組み合わせに限らず、他の機能層が含まれていてもよいし、本実施形態の組み合わせから一部の機能層が含まれない構成としてもよい。
(転写シート1の構成)
本実施形態の転写シート1は、転写層2(剥離層20)に対して離型性を有する離型性支持体10として、可撓性を有し且つ薄膜のシートの形態を採用する。この離型性支持体10上において、転写層2を構成する剥離層20、装飾層30及び接合層40は、この順に積層される。なお、本発明における「この順に積層」とは、直接的な積層だけでなく、間接的な積層をも含む意味であり、例えば、離型性支持体10と剥離層20との間に、他の層があっても許容する意味である。
<離型性支持体10>
離型性支持体10は、接合層40を含む転写層2を支持するシートである。離型性支持体10は、転写層2に対して離型性(剥離性)を有し、転写シート1が被転写基材60(後述)に接着された後、剥離層20(転写層2)との界面から剥離される。離型性支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂から成るシートが挙げられる。また、離型性支持体10として、紙の転写層2を形成する側の表面に、この転写層2と離型性を有する樹脂層を積層した形態が挙げられる。紙としては、上質紙、リンター紙、グラシン紙、パーチメント紙、クラフト紙等が使用できる。転写層2に対して離型性を有する樹脂層としては、前記各種熱可塑性樹脂の他、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、珪素樹脂等が挙げられる。これら離型性支持体のうち、強度及び柔軟性に優れる点で、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)シートが好ましい。なお、離型性支持体10における剥離層20側の表面には、従来公知の離型層が形成されていてもよく、離型処理が施されていてもよい。
離型性支持体10の膜厚は、10μm以上250μm以下が好ましく、20μm以上60μm以下がより好ましい。
剥離層20は、転写層2から離型性支持体10の剥離を容易にするために積層される層である。剥離層20は、転写シート1の転写層2が被転写基材60上に接着され、離型性支持体10が剥離された後、転写層2の最も外側の層として残存する。剥離層20は、転写シート1が転写された化粧材において、最表面の保護層として利用できるが、剥離層20の表面に更にトップコート層70(後述)を形成してもよい。剥離層20の表面にトップコート層70を形成することにより、化粧材100の表面の耐摩耗性、耐汚染性、耐水性、耐候性等の耐久性をより強化できる。
剥離層20を構成する樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル樹脂、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体等の1種又は2種以上と、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル等の分子中にOH基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体の1種又は2種以上と、更に必要に応じ、スチレン単量体等とを共重合させて得られたアクリルポリオール、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル酸メチル-塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なお、ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタアクリル酸を意味する表記である。
また、これらの組成物において、更に、イソシアネート化合物等が剥離強度の調整用に微量添加されていてもよい。更に、これらの組成物に、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等の有機化合物、或いは酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の微粒子から成る紫外線吸収剤(UVA)、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤(HALS)等のラジカル捕捉剤を添加してもよい。
剥離層20の層厚(dry)は、例えば、1μm以上10μm以下程度である。
<装飾層30>
装飾層30は、転写シート1の絵柄(意匠)が形成される層であり、印刷等により形成される。装飾層30は、絵柄模様層31と、メタリック層32と、着色不透明層33と、から構成される。
本実施形態では、装飾層30として、絵柄模様層31、メタリック層32及び着色不透明層33を備えた構成について説明するが、装飾層30は、後述する実施例(及び比較例1、2)のように、少なくともメタリック層32を備えていればよい。
絵柄模様層31は、絵柄層31aと、着色透明層31bと、から構成される。
絵柄層31aは、絵柄、図柄、模様等の意匠が形成された層である。絵柄層31aは、着色顔料が樹脂100質量部に対して15質量部以上となるように形成される。絵柄層31aを構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ)、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、或いはこれらの樹脂から選んだ2種以上を混合した組成物、例えば、アクリル樹脂と塩酢ビとを1:9から9:1までの範囲において、適宜の質量比で混合した組成物等が挙げられる。また、絵柄層31aには、所望の色に着色するための着色剤、及び必要に応じて各種添加剤(紫外線吸收剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、可塑剤、体質顔料等)等が添加される。
着色透明層31bは、絵柄層31aに積層される透明な着色層である。着色透明層31bは、着色顔料が樹脂100質量部に対して15質量部未満となるように形成される。着色透明層31bとしては、例えば、アクリル系樹脂に着色剤を配合した混合物を用いることができる。なお、本実施形態では、絵柄模様層31として、絵柄層31aと着色透明層31bとを設けた例について説明するが、これに限らず、絵柄模様層31は、絵柄層31aのみでもよいし、着色透明層31bだけでもよい。
上述した絵柄層31a及び着色透明層31bを含む絵柄層31aの層厚(dry)は、約5μm程度である。
メタリック層32は、転写シート1に高輝度な金属調の意匠を与える層であり、鏡面性を有する。メタリック層32は、離型性支持体10の側から順に、樹脂層321と、第1光輝性樹脂層322と、第2光輝性樹脂層323と、を備える。メタリック層32の層構成については、後述する。
着色不透明層33は、被転写基材60(後述)に転写された転写層2を剥離層20の側から見たときに、被転写基材60を見えにくくための隠蔽層である。着色不透明層33は、着色顔料が樹脂100質量部に対して100質量部以上となるように形成される。着色不透明層33は、装飾層30の全面を覆うように形成され、例えば、白色、グレー、茶色等に着色される。着色不透明層33を構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ)、アクリル酸エステル-塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。着色不透明層33として使用可能な樹脂材料は、ガラス転移点(Tg)が常温以上であることが好ましい。
また、着色不透明層33には、所望の色に着色するための着色剤及び必要に応じて各種の添加剤を添加してもよい。着色剤及び添加剤としては、上述した絵柄模様層31の説明において例示したものの中から、所望の色及び隠蔽性並びに諸物性を発現するのに適したものを適宜選択して使用する。
着色不透明層33の層厚(dry)は、1μm以上が好ましい。
<接合層40>
接合層40は、転写シート1を被転写基材60に転写した際に、転写シート1と被転写基材60とを接合する層である。接合層40の材料としては、公知の各種材料及び接着力を発現する形態のものから適宜に選択すればよい。接合層40としては、例えば、粘着剤組成物の硬化物を用いることができる。粘着剤組成物は、主剤としてのアクリル系粘着剤と、イソシアネート系硬化剤と、を含有する。
接合層40の層厚は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上30μm以下であることがより好ましい。
[アクリル系粘着剤]
好ましいアクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させた(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸-tert-ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸-n-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、上記アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、ニッセツ(日本カーバイド社製)、SKダイン(綜研化学社製)等を好適に用いることができる。
[イソシアネート系硬化剤]
粘着剤組成物は、イソシアネート系硬化剤を含有する。イソシアネート系硬化剤は、転写シート1を被転写基材60(後述)に転写した際の粘着性を得るために添加される。アクリル系粘着剤は、水酸基を有するため、イソシアネート系硬化剤を用いることにより、更に部分架橋を向上させることができ、接合層40となったときに、内部破壊がなく適度な貯蔵弾性率を得られる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、このウレタンプレポリマーの3量体等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,5-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4′-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4′-ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。
接合層40における上記イソシアネート系硬化剤の含有量は、ゲル分率に合わせて設定される。
また、接合層40として、ヒートシール層を用いることができる。ヒートシール層としては、例えば、アクリル-エポキシ樹脂、アクリル-ウレタン樹脂、アクリル酸エステル-塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等を用いることができる。接合層40をヒートシール層とした場合の膜厚は、例えば、2~4μm程度が好ましい。接合層40を交互に形成する場合には、上述した材料の中から組成の異なる材料を適宜に選択すればよい。
また、接合層40は、転写シート1に形成するだけでなく、被転写基材60(後述)上に形成しておき、接合層40を備えていない転写シート1を被転写基材60に転写してもよい。その場合の接合層40は、転写シート1の用途に応じて選択される。
後述する実施例では、接合層40となるヒートシール層を被転写基材60の側に形成し、転写シート1を被転写基材60に熱転写する例を示している。
<剥離シート50>
剥離シート50は、転写シート1を被転写基材60に転写する際に、転写シート1から剥離される部材である。剥離シート50としては、例えば、シリコン離型タイプのポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理のポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等が挙げられる。
剥離シート50の厚さは、10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上60μm以下がより好ましい。
なお、接合層40としてヒートシール層を用いた場合、剥離シート50は、不要となる。
(メタリック層32の構成)
次に、装飾層30に設けられたメタリック層32の構成について説明する。
メタリック層32は、図1に示すように、離型性支持体10の側から順に、樹脂層321と、第1光輝性樹脂層322と、第2光輝性樹脂層323と、を備える。
なお、図1では、メタリック層32を構成する樹脂層321、第1光輝性樹脂層322及び第2光輝性樹脂層323の範囲を概念的に示している。
樹脂層321は、樹脂Rのみで構成される層であり、後述する小粒径鱗片S及び大粒径鱗片Lは、実質的に含まれていない。実質的に含まれていないとは、樹脂層321の中に、小粒径鱗片S又は大粒径鱗片Lが稀に存在していても、その量が樹脂層321の光学性能に影響を与えない程度であることを意味する。
樹脂Rとしては、バインダーとして使用できるものであれば、特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ)、アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体とを混合した組成物等が挙げられる。樹脂Rとしては、これら材料を1種又は2種以上を組み合わせて使用される。また、樹脂Rには、着色顔料、着色染料等が添加されてもよい。なお、樹脂Rは、後述する第1光輝性樹脂層322及び第2光輝性樹脂層323にも含まれている。第1光輝性樹脂層322及び第2光輝性樹脂層323に含まれる樹脂Rは、樹脂層321の樹脂Rと同じでもよいし、異なる材料でもよい。
第1光輝性樹脂層322は、小粒径の金属鱗片Sと、大粒径の金属鱗片Lと、樹脂Rと、を含有する層である。第1光輝性樹脂層322には、小粒径の金属鱗片Sが多く含まれており、大粒径の金属鱗片Lはごく僅かしか含まれていない。
第2光輝性樹脂層323は、大粒径の金属鱗片Lと、小粒径の金属鱗片Sと、樹脂Rと、を含有する層である。第2光輝性樹脂層323には、大粒径の金属鱗片Lが多く含まれており、小粒径の金属鱗片Sはごく僅かしか含まれていない。
すなわち、第1光輝性樹脂層322には、第2光輝性樹脂層323よりも、小粒径の金属鱗片Sの単位体積当たりの個数がより多く含有されている。
以下の説明においては、小粒径の金属鱗片Sを「小粒径鱗片S」と呼称し、大粒径の金属鱗片Lを「大粒径鱗片L」と呼称する。
小粒径鱗片Sと大粒径鱗片Lは、金属から構成される。例えば、アルミニウム、金、銀、銅、錫、ニッケル、クロム、真鍮等の金属光沢を有する金属が使用できる。代表的なものとしては、金属光沢が良好で、価格も安価、反射光スペクトルが可視光線帯域全域で平坦(即ち無色)である点から、アルミニウムの粒子が用いられる。以下、形状が鱗片状に形成されたアルミ粒子をアルミニウム顔料と呼称する。アルミニウム顔料は、リーフィングタイプとノンリーフィングタイプとに大別される。本実施形態において、小粒径鱗片Sは、リーフィングタイプの顔料である。また、大粒径鱗片Lは、ノンリーフィングタイプの顔料である。
リーフィングタイプの顔料は、塗膜を形成した後、乾燥する過程において、塗膜の表面側に浮き上がる特性を有する。リーフィングタイプの顔料からなる小粒径鱗片Sは、第1光輝性樹脂層322において、第2光輝性樹脂層323側の表層を覆うように平行に配列する。なお、リーフィングタイプの顔料としては、光輝性を高めた高輝度タイプを用いることが好ましい。
一方、ノンリーフィングタイプの顔料は、塗膜を形成した際、乾燥する過程において、塗膜の厚さ方向に一様に分散する特性を有する。ノンリーフィングタイプの顔料からなる大粒径鱗片Lの多くは、第2光輝性樹脂層323の厚み方向に一様に分布し且つ層方向に平行に配列する。
第2光輝性樹脂層323(≒第2塗膜32B)において、樹脂Rに対する大粒径鱗片Lの混合比率は、樹脂Rの100質量部に対して40質量部以下とすることが好ましい。また、大粒径鱗片Lの混合比率における下限は、輝度及び塗布量の限界を考慮して、20質量部以上とすることが好ましい。大粒径鱗片Lを添加する量を35~40質量部とした場合、樹脂Rと大粒径鱗片Lの面積(体積)比率は、およそ4:1となる。これによれば、大粒径鱗片Lの厚さと同じ厚さの塗膜を1層分塗ると、後述する図2に示す正方形(一辺が粒径D×2)において、大粒径鱗片Lが1個収まる計算となる。したがって、大粒径鱗片Lの厚さと同じ厚さの塗膜を4層分塗ると、図2に示すように、平面視において、正方形の枠内に4個の大粒径鱗片Lが収まることになる。
ここで、小粒径鱗片Sの粒径Dsと大粒径鱗片Lの粒径Dとの関係について説明する。
図2は、小粒径鱗片Sの粒径Dsと大粒径鱗片Lの粒径Dとの関係を説明する模式図である。
図2では、塗膜の単位面積となる範囲を、一辺が大粒径鱗片Lの粒径Dの2倍となる正方形の枠で示している。メタリック層32(第2塗膜32B)の塗膜の厚みが、大粒径鱗片Lの厚さの4倍となる場合、図2に示すように、正方形の枠は、最大で4個の大粒径鱗片Lにより埋められる。一方、大粒径鱗片Lの間には隙間が出来るため、4個の大粒径鱗片Lだけでは粒子感(鏡面性の不足)が目立ってしまう。
小粒径鱗片Sの粒径Dsは、輝度と密着性を両立させるため、大粒径鱗片Lの粒径Dの0.42未満とすることが好ましい。具体的には、隙間に収まる小粒径鱗片Sの粒径Dsは、大粒径鱗片Lの粒径Dを1とすると、(√2-1)で求められ、およそ0.42となる。そのため、小粒径鱗片Sの粒径Dsを、大粒径鱗片Lの粒径Dの0.42未満とすることにより、大粒径鱗片Lの間の隙間を、小粒径鱗片Sでほぼ埋めることができる。図2に示すように、小粒径鱗片Sの数は、一辺が大粒径鱗片11aの粒径Dの2倍となる正方形(単位面積)の範囲に4個となる。図2に示す小粒径鱗片Sの粒径Dsは、大粒径鱗片Lの粒径Dの0.42となり、大粒径鱗片Lの間の隙間を埋めることができる最大径となる。このように、小粒径鱗片Sの粒径Dsを、大粒径鱗片Lの粒径Dの0.42未満とすれば、小粒径鱗片Sにより大粒径鱗片Lの間の隙間を埋めることができるため、粒子感を目立ちにくくしつつ、密着性の低下を抑制できる。
金属鱗片の形状は、長径(平均粒子径D50)と短径(平均粒子厚み)により表現される。
平均粒子径は、顕微鏡法、篩分け法、沈降法、コールターカウンター法、レーザー光散乱・回折法等により測定できる。
また、平均粒子厚みは、JIS法(JIS K5906:1998)で水面拡散面積を測定することにより、下記の式(1)により間接的に算出できる。
平均粒子厚み(μm)=
10,000/[顔料の密度×水面拡散面積(cm/g)] ・・・式(1)
小粒径鱗片Sの添加部数wsは、下記の式(2)により算出される。なお、以下に示す式の説明においては、部材の符号を適宜に省略する。
小粒径鱗片Sの添加部数ws=
樹脂の部数(=100)]×[単位塗膜内の小粒径鱗片の重量Ws]
/[単位塗膜内の樹脂の重量Wm] ・・・式(2)
式(2)は、下記のように置き換えることができる。
ws=[樹脂の部数(=100)]×[塗膜内の小粒径鱗片の体積Vs]×[アルミ鱗片の密度dp]
/(([単位塗膜体積Vcs]-Vs)×[樹脂密度(≒比重)dm])
ここで、第1塗膜32Aの単位面積当たりの塗膜(単位塗膜)において、塗膜内の小粒径鱗片の体積Vs、単位塗膜体積Vcsは、以下のように表される。
Vs=π/4×[小粒径鱗片の粒径Ds]×[小粒径鱗片の厚さts]×[単位面積内の個数(=4)]
Vcs=[大粒径鱗片の粒径Dの2倍径の正方形面積]×[塗膜厚tcs]
したがって、小粒径鱗片の添加部数wsは、下記の式(3)により算出できる。
ws=
100×dp/dm×(π×Ds×ts)
/(4×D ×tcs-π×Ds×ts) ・・・式(3)
本実施形態において、アルミ鱗片の密度dpは、およそ2.5g/cmとなる。また、樹脂密度dmは、およそ1.2~1.4g/cmとなる。小粒径鱗片の粒径Ds、大粒径鱗片の粒径Dは、選択した材料の値となる。また、小粒径鱗片の厚さtsは、選択した材料の水面拡散面積から算出される値となる。したがって、第1塗膜32Aの塗膜厚tcsを任意に設定することにより、小粒径鱗片の添加部数wsを定めることができる。なお、塗膜厚tcsは、安定且つ均一な塗膜を得るために、1μm以上に設定することが望ましい。
上述したメタリック層32のうち、樹脂層321及び第1光輝性樹脂層322は、小粒径鱗片S、樹脂R及び溶剤を混合した塗料を、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の手法により、離型性支持体10に形成された剥離層20の表面に塗布し、乾燥させることにより形成される。また、第2光輝性樹脂層323は、大粒径鱗片L、小粒径鱗片S、樹脂R及び溶剤を混合した塗料を、上記印刷の手法により、第1光輝性樹脂層322の表面に塗布し、乾燥させることにより形成される。
上記各層を備えたメタリック層32の層厚(dry)は、例えば、約5μm程度である。
(化粧材100の製造方法)
次に、本実施形態の転写シート1を用いた化粧材100の製造方法について説明する。
図3及び図4は、それぞれ化粧材100の製造方法を説明する図である。ここでは、化粧材100の製造工程(A)~(D)を、図3及び図4に分けて説明する。
まず、図3(A)に示すように、転写シート1から剥離シート50を剥離する。転写シート1から剥離シート50を剥離することにより、接合層40において離型性支持体10とは反対側の面が露出する。
次に、図3(B)に示すように、剥離シート50を剥離した転写シート1を、被転写基材60に貼り付ける。転写シート1の被転写基材60への貼り付けは、例えば、ロール・ツゥ・ロール、ロール・ツゥ・シート等の形態により連続して行うことができる。
「ロール・ツゥ・ロール」とは、帯状の転写シート1をロール(巻取)から引き出して平板状の被転写基材に供給し、転写層2を被転写基材上に貼り付けた後、転写層2が剥離された帯状の離型性支持体を、再度ロールに巻き取る加工形態を言う。
また、「ロール・ツゥ・シート」とは、帯状の転写シート1をロール(巻取)から引き出して平板状の被転写基材に供給し、転写層2を被転写基材上に貼り付ける前後において、転写シート1を概ね被転写基材の1枚分に相当する寸法に切断して枚葉化し、転写層2が剥離された枚葉の離型性支持体を、1枚毎に除去(廃棄)する加工形態を言う。また、転写シート1を手作業により被転写基材60に貼り付け、その後、ヘラ等により押圧して、被転写基材60の表面に均一に密着させてもよい。
接合層40を粘着剤組成物等により形成した場合、転写シート1は、被転写基材60に常温で貼り付けることができる。また、接合層40としてヒートシール層を用いた場合、転写シート1は、100数十度の熱圧により被転写基材60に貼り付けられる。すなわち、接合層40としてヒートシール層を用いた場合、熱圧着、インモールド成型等によりヒートシール層に熱を加えて融解させることにより、転写シート1を被転写基材60に密着させる必要がある。
図3(B)に示すように、被転写基材60は、被転写基材本体61と、シーラー層62と、を備える。
被転写基材本体61は、転写シート1が転写される被転写基材そのものである。被転写基材本体61としては、例えば、無機材、木材、樹脂等の材料からなる板、壁等が挙げられる。このうち、無機材としては、例えば、ケイ酸カルシウム、各種石材、コンクリート、陶磁器(窯業系燒成物)、ガラス、金属等が挙げられる。木材としては、例えば、杉、松、檜、樫、楢、ラワン、チーク等が挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
シーラー層62は、被転写基材本体61の表面を滑らかにし、また被転写基材本体が多孔質又は液体吸收性の場合には、その表面を目止め又は充填して、被転写基材本体61と転写シート1との密着性を高めるための下塗り層である。被転写基材本体61の表面(被転写面)の平滑性が十分で且つ表面の多孔質性や吸收性が転写に支障ない程度である場合、シーラー層62を省略できる。
次に、図4(C)に示すように、被転写基材60上に接着された転写シート1から離型性支持体10を剥離する。転写シート1から離型性支持体10を剥離することにより転写工程が完了し、剥離層20の装飾層30とは反対側の面が露出する。転写シート1から離型性支持体10を剥離することにより、化粧材100が完成するが、後述するように、露出した剥離層20の表面に他の機能層(例えば、トップコート層)を形成してもよい。
なお、転写シート1の接合層40と被転写基材60との間の剥離強度を適宜に調節することにより、転写シート1から離型性支持体10を剥離した際に、転写シート1が被転写基材60から剥離することはない。
次に、図4(D)に示すように、剥離層20の露出した面の上に、トップコート層70を形成する。以下、トップコート層70を含む転写層2と被転写基材60との積層体を「化粧材100」ともいう。トップコート層70は、仕上げ剤として、化粧材100の表面に色彩、光沢等を付与すると共に、装飾層30を保護するための層である。また、トップコート層70を形成することにより、化粧材100に耐候性、耐汚染性、耐摩耗性等の耐久性を付与することもできる。トップコート層70としては、例えば、紫外線(UV樹脂)、電子線(EB)等の電離放射線、或いは熱で硬化するアクリル樹脂、珪素系樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
トップコート層70の厚さについては、特に限定されないが、5μm以上1000μm以下が好ましく、10μm以上300μm以下がより好ましい。
以上の工程を経ることにより、被転写基材60に転写シート1が転写された化粧材100を得ることができる。
次に、実施例及び比較例を示して、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
後述する実施例及び比較例1、2において、「リーフィングタイプのアルミ鱗片」は、実施形態の小粒径鱗片Sに相当する。「ノンリーフィングタイプのアルミ鱗片」は、実施形態の大粒径鱗片Lに相当する。なお、比較例1は、小粒径鱗片Sとして、ノンリーフィングタイプのアルミ鱗片を使用した例を示している。
(実施例)
図5は、実施例の転写シートAの製造方法を説明する図である。実施例の転写シートAは、装飾層30としてメタリック層32のみを備えている。以下、実施例の転写シートAの製造工程(A)~(C)を、図5に基づいて説明する。図5では、実施形態(図1)の転写シート1と同じ構成部材には同一符号を付している。
図5(A)に示すように、離型性支持体10として、厚さ20μmの2軸延伸PETフィルム(「E5001」 東洋紡株式会社製)を用意した。
その一方の面にアクリル樹脂組成物(「46-7」 昭和インク工業株式会社製)からなるインキを塗布して、膜厚(dry)2μmの剥離層20を形成した。
次に、アルミニウム顔料を含むインキとして、アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体とを混合した組成物(「化X-Z」 昭和インク工業株式会社製)に、粒径10μm(厚み0.17μm)のリーフィングタイプのアルミ鱗片(「0870TS」東洋アルミニウム株式会社製)を樹脂100質量部に対して3.8質量部となるように添加したグラビアインキを用意した。そして、図5(B)に示すように、このグラビアインキを剥離層20の表面に印刷して、厚さ1μmの第1塗膜32Aを形成した。第1塗膜32Aを乾燥させることにより、後述するように、樹脂層321と第1光輝性樹脂層322とが形成される。
第1塗膜32Aに含まれるリーフィングタイプのアルミ鱗片(小粒径鱗片S)は、第1塗膜32Aが乾燥すると、図5(B)に示すように、離型性支持体10とは反対側に移動して、その表層を覆うように平行に配列する。第1塗膜32Aにおいて、リーフィングタイプのアルミ鱗片が配列している領域は、第1光輝性樹脂層322となる。一方、第1塗膜32Aにおいて、リーフィングタイプのアルミ鱗片が離型性支持体10とは反対側の表層に移動すると、離型性支持体10側の領域には、樹脂からなる樹脂層321が形成される。
更に、粒径25μm(厚み0.40μm)のノンリーフィングタイプのアルミ鱗片(「MG600」 東洋アルミニウム株式会社製)を樹脂100質量部に対して36質量部となるように添加したグラビアインキを用意した。そして、図5(C)に示すように、このグラビアインキを第1塗膜32Aの表面に印刷して、厚さ3μmの第2塗膜32Bを形成した。以上の工程により、実施例の転写シートAを得た。第1塗膜32Aと第2塗膜32Bは、実施例の転写シートAにおいて、メタリック層32となる。
第1塗膜32Aの表面に第2塗膜32Bとなるグラビアインキを印刷すると、第1塗膜32Aの最表層の樹脂は、グラビアインキにより僅かに溶融する。この溶融により、グラビアインキに含まれるノンリーフィングタイプのアルミ鱗片(大粒径鱗片L)のうち、第1塗膜32Aとの界面に存在している一部のノンリーフィングタイプのアルミ鱗片は、第1塗膜の側に移動する。これにより、図5(C)に示すように、ノンリーフィングタイプのアルミ鱗片(大粒径鱗片L)は、第1塗膜32Aの第2塗膜32B側の最表層に配列しているリーフィングタイプのアルミ鱗片(小粒径鱗片S)と共に第1塗膜32Aの表層を覆うように平行に配列する。したがって、第1塗膜32Aからなる第1光輝性樹脂層322は、小粒径の金属鱗片Sが多く含まれ、大粒径の金属鱗片Lがごく僅かに含まれた層となる。
上述したように、第1塗膜32Aの表面に第2塗膜32Bを印刷すると、第1塗膜32Aの最表層の樹脂が溶融するため、第1塗膜32Aと第2塗膜32Bとの界面は、実質的に判別できなくなる。そのため、以下の説明においては、メタリック層32において、第1塗膜32Aと第2塗膜32Bとの界面に相当する領域を「メタリック層32の界面領域」ともいう。メタリック層32の界面領域には、第1塗膜32Aの第2塗膜32B側の最表層が含まれる。
第2塗膜32Bにおいて、その他のノンリーフィングタイプのアルミ鱗片(大粒径鱗片L)は、図5(C)に示すように、第2塗膜32Bの厚さ方向に一様に分布し且つ層方向に平行に配列する。
また、第1塗膜32Aの最表層の樹脂が、第2塗膜32Bとなるグラビアインキにより僅かに溶融すると、第1塗膜32Aに含まれるリーフィングタイプのアルミ鱗片(小粒径鱗片S)のうち、第2塗膜32Bの界面に存在している一部のリーフィングタイプのアルミ鱗片は、図5(C)に示すように、第2塗膜32Bの側に移動する。したがって、第2塗膜32Bからなる第2光輝性樹脂層323は、大粒径の金属鱗片Lが多く含まれ、小粒径の金属鱗片Sがごく僅かに含まれた層となる。
次に、被転写基材60となるアクリル板を用意し、その表面にアクリル-ウレタン樹脂組成物(「KSIプライマー」 昭和インク工業株式会社製)を塗布して、接合層40となるヒートシール層を形成した(不図示)。そして、上記アクリル板に形成されたヒートシール層の表面に転写シートAを180℃で熱転写することにより、実施例の化粧材を得た。
(比較例1)
転写シートにおいて、リーフィングタイプのアルミ鱗片を、粒径9μm(厚み0.15μm)のノンリーフィングタイプのアルミ鱗片(「260M-S」 東洋アルミニウム株式会社製)に変更し、このアルミ鱗片を樹脂100質量部に対して2.8質量部となるように添加した以外は、上記実施例と同じ条件で比較例1の化粧材を得た。
(比較例2)
リーフィングタイプのアルミ鱗片を、粒径15μm(厚み0.13μm)のアルミ鱗片(「30T」 東洋アルミニウム株式会社製)に変更し、このアルミ鱗片を樹脂100質量部に対して3.9質量部となるように添加した。また、ノンリーフィングタイプのアルミ鱗片を、東洋アルミニウム株式会社製の「MG2030」に変更し、粒径33μm(厚み0.73μm)とした。これ以外は、上記実施例と同じ条件で比較例2の化粧材を得た。
上記3種類の化粧材について、メタリック層の断面と密着性について評価を行った。
メタリック層の断面をSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)で撮影し、SEM画像にて評価した。SEM画像において、メタリック層32の界面領域に、小粒径鱗片Sと大粒径鱗片Lとが平行に配列している場合を「○」とし、それ以外を「×」とした。
密着性は、JIS K5600-5-6に準拠したクロスカット法により試験した。密着性の試験では、メタリック層内における剥離の有無を観察した。試験結果の分類が0(剥離なし)又は1(剥離が5%以内)を「○」とし、それ以外を「×」とした。
実施例及び比較例1、2の各化粧材について、上記各試験項目による評価結果を図6に示す。図6は、実施例及び比較例1、2の評価結果を説明する図である。
(評価結果)
実施例の化粧材は、SEM画像において、小粒径鱗片Sと大粒径鱗片Lとがメタリック層32の界面領域に平行に配列していることが観察された。このように、小粒径鱗片Sと大粒径鱗片Lとがメタリック層32の界面領域に平行に配列していると、化粧材としての主な輝度感を大粒径鱗片Lにより得ることができる。また、大粒径鱗片Lの隙間により生じる粒子感(鏡面性の不足)を、大粒径鱗片Lの間に並ぶ小粒径鱗片Sにより補間することができる。そのため、実施例の化粧材では、輝度が向上していることが明らかとなった。
また、実施例の化粧材は、密着性の試験においてメタリック層内における剥離が観察されず、密着性に優れていることが確認された。
比較例1の化粧材は、密着性については、実施例と同等の結果が得られた。しかし、比較例1の化粧材は、メタリック層32の界面領域に小粒径鱗片Sと大粒径鱗片Lとが平行に配列していないことが確認された。これは、比較例1の化粧材(転写シート)では、小粒径鱗片Sと大粒径鱗片Lをすべてノンリーフィングタイプとしたため、小粒径鱗片Sが第1塗膜32A内に分散してしまい、第1塗膜32Aの第2塗膜32B側の最表層に配列しなかったためと考えられる。このように、比較例1の化粧材では、メタリック層32の界面領域に小粒径鱗片Sと大粒径鱗片Lとが平行に配列していないため、実施例と同じ輝度が得られないことが明らかとなった。
なお、図6に示す比較例1の「界面の鱗片面積率」は、第1塗膜32Aに含まれる小粒径鱗片Sが、メタリック層32の界面領域に配列していると仮定した場合の値である。比較例1においては、小粒径鱗片Sの添加部数が少ないため、実際にはメタリック層32の界面領域に小粒径鱗片Sが存在しない可能性が高いと考えられる。
比較例2の化粧材は、メタリック層32の層構成については、実施例と同等の結果が得られた。しかし、比較例2の化粧材は、メタリック層32内において剥離が観察され、密着性が低いことが確認された。これは、比較例2の化粧材では、小粒径鱗片Sの粒径を大きくしたため、同一平面内において、小粒径鱗片Sと大粒径鱗片Lとが占める割合が大きくなり過ぎ、密着性が低下したものと考えられる。
以上の結果から、実施例の化粧材は、装飾層として蒸着膜を形成する方法に比べて低コストでありながら、輝度及び密着性ともに優れていることが明らかとなった。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
(変形形態)
実施形態では、メタリック層32を形成する小粒径鱗片S及び大粒径鱗片Lの好ましい材料として、アルミニウム顔料を用いた例について説明したが、これに限定されない。大粒径鱗片L及び小粒径鱗片Sの材料は、他の金属材料(例えば、鉄、銅、ニッケル等)又はこれらの合金材料等であってもよい。
1 転写シート
2 転写層
10 離型性支持体
20 剥離層
30 装飾層
31 絵柄模様層
31a 絵柄層
31b 着色透明層
32 メタリック層
32A 第1塗膜
32B 第2塗膜
33 着色不透明層
40 接合層
50 剥離シート
60 被転写基材
70 トップコート層
321 樹脂層
322 第1光輝性樹脂層
323 第2光輝性樹脂層
S 小粒径の金属鱗片(小粒径鱗片)
L 大粒径の金属鱗片(大粒径鱗片)
R 樹脂

Claims (8)

  1. 離型性支持体と、装飾層を含む転写層と、が積層された転写シートであって、
    前記装飾層は、大粒径の金属鱗片及び小粒径の金属鱗片を複数含有した樹脂からなるメタリック層を有し、
    前記メタリック層は、前記離型性支持体の側から順に、
    前記樹脂からなる樹脂層と、
    前記小粒径の金属鱗片及び前記大粒径の金属鱗片を含有した第1光輝性樹脂層と、
    前記大粒径の金属鱗片及び前記小粒径の金属鱗片を含有した第2光輝性樹脂層と、
    を備え、
    前記第1光輝性樹脂層には、前記第2光輝性樹脂層よりも、前記小粒径の金属鱗片の単位体積当たりの個数が多く含有され、
    前記小粒径の金属鱗片は、リーフィングタイプであり且つ粒径が10μm以下であり、
    前記小粒径の金属鱗片の粒径は、前記大粒径の金属鱗片の粒径の0.42倍未満である、
    転写シート。
  2. 請求項1に記載の転写シートであって、
    前記メタリック層は、樹脂が100質量部に対して金属鱗片が40質量部以下である、
    転写シート。
  3. 離型性支持体と、装飾層を含む転写層と、が積層された転写シートであって、
    前記装飾層は、大粒径の金属鱗片及び小粒径の金属鱗片を複数含有した樹脂からなるメタリック層を有し、
    前記メタリック層は、前記離型性支持体の側から順に、
    前記樹脂からなる樹脂層と、
    前記小粒径の金属鱗片及び前記大粒径の金属鱗片を含有した第1光輝性樹脂層と、
    前記大粒径の金属鱗片及び前記小粒径の金属鱗片を含有した第2光輝性樹脂層と、
    を備え、
    前記第1光輝性樹脂層には、前記第2光輝性樹脂層よりも、前記小粒径の金属鱗片の単位体積当たりの個数が多く含有され、
    前記小粒径の金属鱗片の粒径は、前記大粒径の金属鱗片の粒径の0.42倍未満であり、
    前記メタリック層は、樹脂が100質量部に対して金属鱗片が40質量部以下である、
    転写シート。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の転写シートであって、
    前記第1光輝性樹脂層に含有される前記小粒径の金属鱗片及び前記大粒径の金属鱗片は、前記第2光輝性樹脂層側の表層を覆うように平行に配列しており、
    前記第2光輝性樹脂層に含有される前記大粒径の金属鱗片は、厚さ方向に一様に分布し且つ層方向に平行に配列しており、
    前記第2光輝性樹脂層に含有される前記大粒径の金属鱗片は、前記第1光輝性樹脂層側の表層を覆うように平行に配列している、
    転写シート。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の転写シートであって、
    前記装飾層は、前記メタリック層の前記離型性支持体の側に絵柄層及び着色透明層のうち少なくとも一方を有する、
    転写シート。
  6. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の転写シートであって、
    前記装飾層は、前記メタリック層の前記離型性支持体とは反対側に着色不透明層を有する、
    転写シート。
  7. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の転写シートの製造方法であって、
    リーフィングタイプの小粒径の金属鱗片と樹脂とを混合した塗料を、離型性支持体に形成された剥離層の表面に塗布して、第1塗膜を形成する第1塗膜形成工程と、
    ノンリーフィングタイプの大粒径の金属鱗片と樹脂とを混合した塗料を、前記第1塗膜の表面に塗布して、第2塗膜を形成する第2塗膜形成工程と、を含み、
    前記第1塗膜形成工程において、前記小粒径の金属鱗片を、前記離型性支持体とは反対側の表層を覆うように平行に配列させ、
    前記第2塗膜形成工程において、前記第2塗膜に含まれる一部の前記大粒径の金属鱗片を、前記第1塗膜の表層に配列している前記小粒径の金属鱗片と共に前記第1塗膜の表層を覆うように平行に配列させると共に、前記第2塗膜に含まれる前記大粒径の金属鱗片の残りを、厚さ方向に一様に分布し且つ層方向に平行に配列させ、前記第1塗膜に含まれる一部の前記小粒径の金属鱗片を、前記第2塗膜の表層を覆うように配列させる、
    転写シートの製造方法。
  8. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の転写シートを用いた化粧材。
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