JP7106837B2 - 乗物用シートのヘッドレスト - Google Patents
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Description
図1に示すヘッドレスト8は、本発明の乗物用の内装品に相当する部材であり、本発明の他の内装品に相当するシートバック6の上方に隣接して配置されている。このヘッドレスト8は、乗員頭部を弾性的に支持可能な枕状の部材であり、図2を参照して、構造体10と、パッド材40と、表皮材70を備えている(各構成の詳細は後述)。このヘッドレストにおいては、後述するように構造体10の外側にパッド材40を被せているとともに、さらにパッド材40の外面を表皮材70で被覆している。そしてこの種の構成では、ヘッドレスト8が乗員などから押圧された際に、パッド材40と構造体10とが過度に位置ズレしないように配慮する必要がある。さらに乗物用シート2の分野では、ヘッドレスト8を、定期的なメンテナンスや故障発生の際などに点検又は修理することがある。このときパッド材40と表皮材70を構造体10から取外すのであるが、この種の構成では、パッド材40を、再利用などの観点などから極力破損させることなく構造体10から取外すことが望まれる。そこで本実施例では、後述する構成によって、パッド材40を、構造体10に対して取外し作業がより容易な状態として安定的に取付けておくこととした。以下、各構成について詳述する。
構造体10は、図2及び図3を参照して、ヘッドレスト8の内部構造をなす部材であり、後述するパッド材40よりも硬質な素材で形成されている。この構造体10は、シート幅方向に長尺な略直方体状の部材であり、骨格部12と、外側カバー部14と、後述する第一挿入部31及び左右一対の第二挿入部32a,32bとを有している。ここで骨格部12は、図2を参照して、概ね直方体状の金属部材であり、ヘッドレスト8の主骨格をなしている。この骨格部12には、正面視で逆U字をなす棒状のヘッドレストステー9の上部が取付けられているとともに、骨格部12の下方には、ヘッドレストステー9の左右の自由端が突出している。また外側カバー部14は、構造体10の外殻を形成している直方体状の中空部材であり、骨格部12の外側を被覆している。この外側カバー部14は、後述するように前カバー部材16と後カバー部材18とを組付けることで形成されている。
そして外側カバー部14の下面には、図3を参照して、外側カバー部14の内外を連通する複数の挿入部(第一挿入部31,左右一対の第二挿入部32a,32b)が設けられている。図3に示す第一挿入部31は、後述する図4の第一係止部61を挿入して係止可能な部位であり、外側カバー部14の下面の前側に設けられている。そして本実施例では、外側カバー部14の形成の際に、前カバー部材16の前側下面部20cと後カバー部材18の後側下面部22cとを前後方向に離間させておくことで、両下面部20c,22cの間に第一挿入部31を形成している。この第一挿入部31は、外側カバー部14の下面を左右に横断する溝状に形成されており、外側カバー部14の概ね全幅に配置されている。そして第一挿入部31の前後の開口寸法は、後述する図7の起立した第一係止部材51を面材44とともに挿入可能であるが、寝かせた状態の第一係止部材51は挿入不能な寸法に設定されている。
パッド材40は、図4及び図5を参照して、乗員頭部を弾性的に支持可能な部材であり、後述するように外側カバー部14に被せられた状態で構造体10に取付けることができる。このパッド材40は、ヘッドレスト8と概ね同形状とされた立方体状の中空部材であり、パッド層42と、面材44とを有している。そして面材44には、後述するように、第一突出部位46と、左右一対の第二突出部位48a,48bと、複数種類の係止部(第一係止部61,左右一対の第二係止部62a,62b)とが設けられている。
パッド層42は、図4~図6を参照して、パッド材40の外形を形成している弾性的に伸縮可能な部分である。この種のパッド層42の素材は特に限定しないが、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3~60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる。そしてパッド層42の外面前側には、後述する表皮の裏側に配置されるマット部材MMが配置されており、このマット部材MMは、スラブウレタンやフェルト材などの弾性を備えた面材である。またパッド層42の下面には、概ね矩形状の挿入開口部43が設けられている。この挿入開口部43は、パッド層42の内外を連通する矩形の貫通孔であり、構造体10を挿入可能な開口寸法を有している。
面材44は、図4~図6を参照して、パッド材40の裏側に一体化されている部材であり、パッド材40を構造体10に被せた状態において外側カバー部14の外面に接することが可能である。この種の面材44の素材は特に限定しないが、布帛(織物,編物,不織布)やフェルト材などの素材を例示でき、取付け安定性向上の観点などから後述の表皮材70に比して引張強度に優れる素材で形成することが望ましい。そして面材44は、インサート成形や接着などの手法でパッド材40の裏面略全面を覆うように一体化することができる。そして本実施例の面材44は、パッド層42の裏面よりも大きな面積を有しており、面材44の下側には、パッド層42の縁端から突出する後述する各突出部位46,48a,48bが設けられている。
第一突出部位46は、図4~図6を参照して、面材44の前側の下端を後方に向けて屈曲している部分であり、パッド層42の縁端に相当する挿入開口部43の前縁端43aから後方に突出している。この第一突出部位46は、左右方向に長尺な矩形状をなしているとともに、その左右の寸法は、図5に示す第一挿入部31に収まる寸法(本実施例では第一挿入部よりも短尺)に設定されている。また第一突出部位46の前後の寸法は、パッド材40を構造体10に被せた状態において後方に適宜張引することで第一挿入部31に到達可能な寸法に設定されている。そして第一突出部位46の縁端側には第一係止部61が設けられている。この第一係止部61は、第一突出部位46の後端と、樹脂製の第一係止部材51とで構成されている。第一係止部材51は、左右に長尺な矩形の平板材であり、左右に延びる縫合線SEWで第一突出部位46の後端に縫合されて取付けられている。そして第一係止部61を第一挿入部31に係止する際には、第一係止部材51を、図7に示すように縫合線SEWを基点として略水平に寝た状態から垂直に起立した状態に変位させることができる。
また左右一対の第二突出部位48a,48bは、図4及び図5を参照して、それぞれ面材44の後側の下端を前方に向けて屈曲している部分である。これら左右一対の第二突出部位48a,48bは、パッド材40に左右対称となるように設けられており、それぞれパッド層42の縁端に相当する挿入開口部43の後縁端43bから前方に突出している。右側の第二突出部位48aは、前後方向に長尺な矩形状をなしているとともに、挿入開口部43の後縁端43b右端から前方に突出している。この右側の第二突出部位48aの前後の寸法は、パッド材40を構造体10に被せた状態において前方に適宜張引することで図5の右側の第二挿入部32aに到達可能な寸法に設定されている。また左側の第二突出部位48bは、前後方向に長尺な矩形状をなしているとともに、挿入開口部43の後縁端43b左端から前方に突出している。この左側の第二突出部位48bの前後の寸法も、パッド材40を構造体10に被せた状態において前方に適宜張引することで図5の左側の第二挿入部32bに到達可能な寸法に設定されている。
そして図4を参照して、右側の第二突出部位48aには右側の第二係止部62aが設けられ、左側の第二突出部位48bには左側の第二係止部62bが設けられる。すなわち右側の第二係止部62aは、右側の第一突出部位46の前端に設けられている右側の係止孔49aと、この右側の係止孔49aに挿通される第二係止部材52とで構成されている。第二係止部材52は、右側の第二挿入部32aに挿入して係止可能な軸部52aと、この軸部52aよりも径大とされた頭部52bとを有している。そして図8を参照して、右側の第二係止部62aを右側の第二挿入部32aに係止する際には、第二係止部材の軸部52aを、右側の第一突出部位46(右側の係止孔49a)に挿通しつつ右側の第二挿入部32aに挿入する。この右側の第二挿入部32aの裏側には、図8に示すようにネジ孔を備えた係止板72が配設されており、この係止板72のネジ孔に軸部52aの端部側が螺合されて係止されることとなる。また同様に図4に示す左側の第二係止部62bは、左側の第二係止部62bの前端に設けられている左側の係止孔49bと、この左側の係止孔49bに挿通される第二係止部材52とで構成されている。この左側の第二係止部62bの各構成は、右側の第二係止部62aの対応する部位と同一構成を有している。このため左側の第二係止部62bも、右側の第二係止部62aと同一の手順で左側の第二挿入部32bに挿入して係止することができる。
表皮材70は、図2、図6及び図8を参照して、パッド材40の外面を被覆している面状部材であり、ヘッドレスト8の意匠面を構成することができる。この種の表皮材70の素材として、布帛や皮革(天然皮革,合成皮革)を例示することができる。この表皮材70は、パッド材40に一体化しておいたり、パッド材40に後付けしたりすることができる。本実施例では、インサート成形などの手法でパッド層42の下面を除く外面に表皮材70が一体化されており、パッド層42の下面は、表皮材70に被覆されておらず外部に露出している。
図2、図6及び図8を参照して、表皮材70が一体化されているパッド材40を構造体10に取付けることによりヘッドレスト8を形成する。このとき図5に示すパッド層42の挿入開口部43から構造体10を挿入しつつ、パッド材40を、構造体10の外殻をなす外側カバー部14に上側から被せていく。こうしてパッド材40によって、外側カバー部14の上面及び前後左右の面を覆うとともに、構造体10に取付けられているヘッドレストステー9の自由端を挿入開口部43から下方に突出させておく。そしてこの種の構成では、ヘッドレスト8が乗員などから押圧された際に、パッド材40と構造体10とが位置ズレしないように配慮する必要がある。さらに定期的なメンテナンスや故障発生の際などに、パッド材40を極力破損させることなく構造体10から取外すことが望まれる。
そして図1及び図2を参照して、ヘッドレスト8を、シートバック6の上部にあてがいつつ、ヘッドレスト8の下方に突出しているヘッドレストステー9をシートバック6上面の図示しない孔部に挿設する。こうすることでヘッドレスト8を、シートバック6の上部に取付けることができ、このときヘッドレスト8の下側が、シートバック6の上側に近接又は当接して配置される。このため本実施例では、図5に示す各係止部61,62a,62bと構造体10の係止箇所が、図2に示すシートバック6にて隠されて比較的目立たないことから、ヘッドレスト8の意匠性向上に資する構成となっている。そして図2に示す乗物用シート2に乗員(図示省略)が着座した際には、乗員頭部をヘッドレスト8で支持することができる。このとき本実施例では、図5、図6及び図8を参照して、面材44側に各係止部61,62a,62bを設けて、パッド層42の弾性を好適に維持しているため、各係止部61,62a,62bが原因となる異物感の発生を好適に回避できる。またヘッドレスト8に対して前後方向から力が加えられたとしても、各係止部61,62a,62bによる係止によってパッド材40と構造体10の位置ズレの発生が極力回避されている。
またヘッドレスト8の定期的なメンテナンスや故障発生の際などにおいては、パッド材40を構造体10から取外す必要がある。このとき本実施例では、図5、図6及び図8を参照して、パッド材40の裏側は、構造体10の外側に接着されることなく接しているため、パッド材40を極力破損させることなく構造体10から取外すことが可能となる。さらに各係止部61,62a,62bは、対応する挿入部31,32a,32bに対して着脱可能な状態で係止されている。すなわち第一係止部61を第一挿入部31から係脱するに際しては、第一係止部材51を垂直に立てながら第一挿入部31から抜き外すことで両部61,31を係脱できる。また各第二係止部62a,62bを対応する第二挿入部32a,32bから係脱するに際しては、各第二係止部材52を下方に抜き外すことで両部62a,32a(62b,32b)を係脱できる。こうして本実施例では、各係止部61,62a,62bが構造体10に係脱可能な状態で係止されているため、パッド材40を、構造体10からより容易に取外すことが可能となる。
4 シートクッション
6 シートバック(本発明の他の内装品)
8 ヘッドレスト(本発明の乗物用の内装品)
9 ヘッドレストステー
10 構造体
12 骨格部
14 外側カバー部
16 前カバー部材
16a 本体部
16b 被覆部
20a 前面部
20b 前側上面部
20c 前側下面部
20d 右面部
20e 左面部
18 後カバー部材
22a 後面部
22b 後側上面部
22c 後側下面部
22 締結部
24 側方窓部
26 締結座
28a,28b 下方窓部
31 第一挿入部
32a 右側の第二挿入部
32b 左側の第二挿入部
40 パッド材
42 パッド層
43 挿入開口部
43a 挿入開口部の前縁端(本発明のパッド層の縁端)
43b 挿入開口部の後縁端(本発明のパッド層の縁端)
44 面材
46 第一突出部位
48a 右側の第二突出部位
48b 左側の第二突出部位
49a 右側の係止孔
49b 左側の係止孔
51 第一係止部材
52 第二係止部材
52a 軸部
52b 頭部
61 第一係止部
62a 右側の第二係止部
62b 左側の第二係止部
70 表皮材
71 締結板
72 係止板
H 締結孔
MM マット部材
SEW 縫合線
SM 留め具
Claims (2)
- 弾性的に伸縮可能なパッド材と、該パッド材よりも硬い構造体とを備え、該パッド材は 、前記構造体の外側に被せられた状態とされて該構造体に取付けられている乗物用シートのヘッドレストにおいて、
前記パッド材は、前記構造体の一部に係止可能な係止部と、弾性的に伸縮可能なパッド層と、該パッド材の構造体の外側に相対する裏面を構成するように該パッド層に一体化された面材とを有し、
前記構造体の下面が、前記乗物用シートの背凭れとなるシートバックを臨むように配置され且つ前記パッド材が前記構造体の下面を除く外側に被せられている状態において、該パッド材の裏面をなす前記面材は、該構造体の外側に接着されることなく接しているとともに、
前記パッド層の縁端から突出している前記面材の突出部位に設けられた前記係止部が、前記構造体の下面に設けられた挿入部に挿入されて着脱可能に係止されることで、前記パッド材が該構造体に着脱可能に取付けられている乗物用シートのヘッドレスト。 - 前記シートバックに隣接して配置されている請求項1に記載の乗物用シートのヘッドレスト。
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