(第1実施形態)
<画像形成装置>
以下、まず本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置Hの断面概略図である。図1に示す様に、画像形成装置Hは、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナーを用いてシートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置Hは、シートにトナー像を転写して画像を形成する画像形成部と、画像形成部に向けてシートを供給するシート給送部と、シートにトナー像を定着させる定着部を備える。
画像形成部は、上記各色のトナーを使用して各色のトナー像を形成するプロセスユニット103(103Y、103M、103C、103K)を備える。また露光装置104(104Y、104M、104C、104K)、中間転写ベルト6、二次転写ローラ8、二次転写対向ローラ9などを備える。
各々のプロセスユニット103は、感光体ドラム3、帯電ローラ4、現像スリーブ5を有する現像装置、一次転写ローラ7を備える。なお、プロセスユニット103Y、103M、103C、103Kはイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックのトナーをそれぞれ使用し、使用するトナーの色以外の構成は各プロセスユニットで同様である。
次に、画像形成動作について説明する。まず図18に示すコントローラ基板120が画像形成ジョブ信号を受信すると、シートカセット101に積載収容されたシートS(記録材)がピックアップローラ2、給送ローラ10、搬送ローラ11によってレジストローラ12に送り込まれる。次に、シートSは、レジストローラ12によって斜行補正、タイミング補正がなされた後に、二次転写ローラ8と二次転写対向ローラ9から形成される二次転写部に送り込まれる。
一方、画像形成部においては、まず帯電ローラ4により感光体ドラム3表面が帯電させられる。その後、不図示の外部機器等から送信された画像データがコントローラ基板120に処理され、その処理結果に応じて露光装置104が各色の感光体ドラム3表面にレーザ光を照射する。これにより感光体ドラム3表面に画像データに応じた静電潜像が形成される。
その後、現像スリーブ5により感光体ドラム3表面に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させ、感光体ドラム3表面にトナー像を形成する。感光体ドラム3表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ7に一次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト6にそれぞれ一次転写される。これにより中間転写ベルト6表面にフルカラーのトナー像が形成される。
その後、不図示の駆動源から駆動力を受けた二次転写対向ローラ9が回転することで、中間転写ベルト6が従動回転してトナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において二次転写ローラ8に二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト6上のトナー像がシートSに転写される。
次に、トナー像が転写されたシートSは定着装置50に搬送される。定着装置50は、定着部として、ヒータ16(図2)を内包する定着ベルト20と、定着ベルト20を加圧するとともに不図示の駆動源の駆動力によって回転し、定着ベルト20を従動回転させる加圧ローラ22を備える。
定着装置50に搬送されたシートSは、定着ベルト20と加圧ローラ22から形成される定着ニップ部Nにおいて挟持、搬送されながら加熱、加圧処理が施され、これによりシートS上のトナー像がシートSに定着される。その後、トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ70によって排出トレイ106に排出される。
なお、本実施形態では、トナーにパラフィンワックスが内包されており、定着処理の熱により溶融したワックスを定着ベルト20とトナー像との界面に介在させてトナーが定着ベルト20に付着しないようにしている。このワックスの融点は約75℃前後であり、定着ニップ部の目標温度は170℃である。
またワックスは上記のものに限られず、例えばトナーの樹脂分子に炭化水素鎖等のワックス分子構造を反応させたものなど、ワックスの分子構造を含んだ化合物を用いることもできる。またワックスではなく、シリコンオイル等の離型作用を有する他の物質を用いることもできる。
またシートSの両面に画像を形成する場合、シートSは、定着装置50により表面にトナー像が定着された後に反転路13に導かれる。その後、反転ローラ14がシートSを挟持した状態で逆回転し、シートSは再給送路15を経由して表裏面が反転した後、二次転写部に再び送られる。次に、シートSの表面と同様に裏面に画像が形成され、その後にシートSは排出トレイ106に排出される。
ここで、画像形成装置Hは、画像形成部によって画像が形成されたシートSに対して綴じ処理や折り処理等を行う不図示のシート処理装置を装着することが可能となっている。本実施形態の画像形成装置Hにおいて、シート処理装置は、不図示の中継ユニット等を介して図1中の左側に接続される。つまり、シート処理装置は、画像形成装置Hに対して、画像形成装置Hの左右方向(幅方向)における定着装置50の反対側に装着される。
<定着装置>
次に、定着装置50の構成について説明する。
図2は、定着装置50の断面概略図である。図2に示す様に、定着装置50は、定着ベルト20、加圧ローラ22、通電により発熱するヒータ16、ヒータ16を保持するヒータホルダ17を備える。またガイド部材23、定着排紙ローラ26、メインサーミスタ19、サブサーミスタ18を備える。
加圧ローラ22は、ステンレス製の芯金の上に射出成形によって厚み約3mmのシリコーンゴム層を形成し、その上に厚み約40μmのPFA樹脂チューブを被覆して形成されている。また加圧ローラ22は、芯金の両端部がフレーム24に取り付けられた不図示の軸受に回転自在に保持されており、不図示の駆動源の駆動力によって回転する。
定着ベルト20は、無端円筒状の部材であり、ヒータホルダ17にルーズに外嵌されている。またヒータホルダ17は、加圧ローラ22の回転軸線方向の両端部を不図示の付勢機構により片側98N、合計196Nの力で加圧ローラ22に向けて付勢されている。これによりヒータ16が定着ベルト20を介して加圧ローラ22に圧接し、定着ニップ部Nが形成される。なお、付勢機構は、ジャム処理時にシートSを除去するために付勢を解除できる構成となっている。
また加圧ローラ22が回転すると、加圧ローラ22と接する定着ベルト20が摩擦力により内周面をヒータ16に接触・摺動させながらヒータホルダ17の外回りを従動回転する。またヒータホルダ17と定着ベルト20の内周面との摺動性を確保するために、定着ベルト20の内周面にはグリスが塗布されている。
メインサーミスタ19は、ヒータ16の裏面に接触するように設けられ、ヒータ16の温度を検出する。サブサーミスタ18は、定着ベルト20の内周面に弾性的に接触して設けられ、定着ベルト20の温度を検出する。これらのメインサーミスタ19、サブサーミスタ18は、不図示のA/Dコンバータを介してCPU21に接続されている。CPU21は、メインサーミスタ19、サブサーミスタ18の出力に基づいてヒータ駆動回路28によるヒータ16への通電を制御し、ヒータ16を温調制御する。尚、メインサーミスタ19は、ヒータ16の長手方向における中央付近に配置される。サブサーミスタ18は、定着ベルト20の長手方向における端部付近に設けられている。
ガイド部材23は、シートSに接触することでシートSを定着ニップ部Nに案内する。またガイド部材23は、本実施形態ではポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂で形成されている。
定着処理を行う際は、まず未定着のトナー像を担持したシートSが定着ニップ部Nに導入される。次に、定着ニップ部NにおいてシートSがトナー像の担持面側を定着ベルト20の外周面に接触させながら挟持搬送される。この搬送過程において、ヒータ16の熱が定着ベルト20を介してシートS上のトナー像に付与され、未定着のトナー像が溶融してシートSに定着される。その後、定着ニップ部Nを通過したシートSは、定着ベルト20から曲率分離されて定着排紙ローラ26により排出ローラ70側に搬送される。
<冷却部>
次に、定着ニップ部Nを冷却する冷却部について説明する。
定着装置50に搬送されるシートSが大きい場合、定着ニップ部Nでは、シートSの搬送方向と直交するシート幅方向のほぼ全域をシートSが通過する。これにより定着ニップ部Nのほぼ全域の熱がシートSに奪われ、定着ニップ部Nの温度はシート幅方向でほぼ一定の温度となる。
これに対して定着装置50に搬送されるシートSが小さい場合、定着ニップ部Nでは、シート幅方向の中央付近のみをシートSが通過する。このため、定着ニップ部Nでは、シート幅方向の中央付近の熱はシートSに奪われるものの両端部の熱は奪われず、両端部の温度は中央付近の温度と比較して高温となる。
この場合、中央部での定着性を保つためにヒータ16の温度を上げると、中央部の温度は所望の温度になるものの両端部の温度は上がり続け、部材の変形等、定着装置50に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで画像形成装置Hは、定着ニップ部Nのシート幅方向の両端部の昇温を抑制するために、定着ニップ部Nを冷却する冷却部として、ファン95、96と冷却用ダクト30を備える。
図3は、定着装置50とファン95、96と冷却用ダクト30の模式図である。図4は、画像形成装置Hの内部説明図であり、装置本体の外装の一部を透明化した状態の斜視図である。図5は、ファン95、96の駆動タイミングを説明するためのグラフである。
図3~図5に示す様に、定着ベルト20の回転軸線方向の両端部には、定着ベルト20を冷却するための2つのファン95、96と冷却用ダクト30が設けられている。冷却用ダクト30は、定着ベルト20の両端部であり、定着装置50が小サイズのシートSに定着処理を行った際に定着ベルト20において小サイズのシートSが通過しない非通過領域に空気を案内する。またファン95、96は、サブサーミスタ18の検出温度が所定以上の時に駆動がONされ、所定以下の時に駆動がOFFされる。
このような構成により、小サイズのシートSに定着処理を連続して行った際に非通過領域が昇温することを抑制することができる。なお、本実施形態では、ファン95、96としてシロッコファン等の遠心ファンを用いるものの、他の種類のファンを用いることも可能である。
<ダクトユニットの概要>
次に、画像形成装置Hから排気される空気の脱塵を行うダクトユニット200の概要について説明する。画像形成装置Hは、装置本体1にダクトユニット200が取り付けられている。装置本体1の背面側には、外装カバーとしての上カバー111と下カバー112が設けられ、ダクトユニット200は上カバー111と下カバー112を介して装置本体1に取り付けられている。ダクトユニット200は、定着装置50により暖められた空気を装置本体1の外部に排気するための流路を形成する。
上述したように、定着装置50において定着処理のためにシートS上のトナー像に熱を付与した場合、トナーに内包されるワックスの一部が気化し、気化したワックスは空気中で冷やされて凝縮してダストを含む空気となる。このダストの多くは定着装置50のシート導入口400近傍に付着し、特に高温環境下ではダストが大粒径化してシート導入口400の近傍に付着しやすくなることが本発明者の研究で分かっている。
ここで欧州におけるBLUE ANGEL規格では、超微粒子(ULTRA FINE PARTICLES)の排出量規格が規定されており、画像形成装置Hにおいても超微粒子の排出量低減が望まれている。そこで画像形成装置Hは、定着装置50により暖められた空気の脱塵を行うために、ダクトユニット200を搭載している。
図6は、画像形成装置Hを背面側からみた斜視図である。図6に示す様に、画像形成装置Hの外装には、後方に突出するようにダクトユニット200が設けられている。ダクトユニット200は、上ダクト224を備える上部ユニット220と、上ダクト224と連結する下ダクト241を備える下部ユニット240から構成される。
図7は、ダクトユニット200の模式図である。図7(a)に示す様に、定着装置50の近傍には排熱を行うためのファン91(第1ファン)、ファン92(第2ファン)が設けられている。ファン91、92は、ファンホルダ280にそれぞれ保持されており、ファンホルダ280は後側板80(図4)に締結されている。
また、ファン91は、定着装置50周辺の空気を排気する。またファン92は、ファン91よりも上方(シート搬送方向下流側)のシートSの搬送パス近傍に配置され、排出部75周辺の空気を機外に排気する。排出部75は、定着装置50の上方の空間であり、排出ローラ70周囲の空間である。ファン91とファン92は、後側板80(図4)よりも画像形成装置Hの背面側に設けられている。
定着装置50で発生したダストを含む空気は、ファン91が生成した気流により装置本体1の排気口227から排気され、上ダクト224の給気口230(第1給気口)から上ダクト224内に運ばれる。また自然対流によって上方に運ばれたダストを含む空気は、ファン92が生成した気流により装置本体1の排気口228から排気され、上ダクト224の給気口231(第2給気口)から上ダクト224内に運ばれる。
上ダクト224は、2つの給気口230、231を備え、それぞれの給気口230、231を介して装置本体1内から排気される空気を導くためにカバー部材225の内面に設けられる内ダクト233を備える。また内ダクト233と下部ユニット240の下ダクト241と連結し、内ダクト233を介して装置本体1内から排気される空気を下部ユニット240へ導く外ダクト226を備える。上ダクト224は、この内ダクト233と外ダクト226から構成される。
排気口227、228から排気された空気は、内ダクト233の一部である隔壁部229aによってそれぞれが隔てられた後、合流部229bで合流し、外ダクト226を介して下ダクト241に運ばれる。つまり合流部229bよりも空気の流れる方向の上流側に、給気口230から給気された空気と給気口231から給気された空気とを隔てる隔壁部229aが設けられている。
下ダクト241に運ばれた空気は、ファン102(第3ファン)に生成された気流によりダクト排気口244(第3排気口)側に運ばれる。そして排気口227、228とダクト排気口244との間の排気経路上に設けられたフィルタ260でダストが捕集された後、ダクト排気口244から画像形成装置Hの外部へ排気される。
このようにフィルタ260を、給気口230から給気された空気と給気口231から給気された空気とが合流する合流部229bよりも空気の流れる方向の下流側に配置する。これによりフィルタ260において空気が合流する構成と比較して、フィルタ260に入る面の面積を低減してフィルタ260を小型化することができる。
また図7(b)に示す様に、ファン102の中心線L1と上ダクト224の中心線L2とが重ならない配置とすることで、下ダクト241内の空気を径方向に流れさせて、フィルタ260の広範囲を通過させてダストを効率的に捕集することができる。
<ダクトユニットの詳細な構成>
次に、ダクトユニット200の詳細な構成について説明する。
図8、図9は、ダクトユニット200の斜視図である。図10、図11は、図8に示すL-L断面、図9に示すH-H断面でそれぞれ切断したときのダクトユニット200の断面図である。図12は、図9に示すJ-J断面で切断したときのダクトユニット200の断面図である。ここで図8、図10は上部ユニット220が閉状態である場合を示す図であり、図9、図11、図12は上部ユニット220が開状態である場合を示す図である。
図8~図12に示す様に、上部ユニット220は、軸部221a、221bを有する。軸部221a、221bは、同軸上に配置され、画像形成装置Hの装置本体1の外装である上カバー111に形成された不図示の穴部に挿入されている。従って、上部ユニット220は、軸部221a、221bを中心に回動自在に上カバー111に支持されており、回動することで画像形成装置Hの装置本体1に対して開閉する。また検知手段としての開閉センサ25により、上部ユニット220が装置本体1に対して開状態であることが検知される。
また、上部ユニット220は、外装カバーを成すカバー部材225と、カバー部材225の内部に設けられる上ダクト224とによって構成されている。そして、カバー部材225は、カバー部材225と対向する装置本体1側に設けられるLANケーブル接続部122やHDD挿入部121a等のユーザインターフェース130を露出するための開閉カバーとなっている。
ここで、本実施形態の画像形成装置Hにおいて、ユーザインターフェース130は、装置本体1の背面側であって左右方向においてシート処理装置が装着される側面と反対側、つまり定着装置50側に配置されている。
HDD挿入部121aには、ハードディスクドライブ121(以下、HDD121:Hard Disk Drive)が挿抜可能になっている。つまり、上部ユニット220が閉じられた状態で、装置本体1に設けられたユーザインターフェース130は、ダクトユニット200の内ダクト233により覆われる位置に設けられている。このため、上部ユニット220を開くとユーザインターフェース130にアクセス可能となり、HDD121の挿抜や不図示のLANケーブルの接続を行うことができる。
またカバー部材225には、マグネットキャッチ用の板金223が設けられ、上カバー111の板金223と対向する部分にはマグネットキャッチ222が設けられている。カバー部材225は、マグネットキャッチ222により装置本体1側(装置本体側)に吸着可能に構成される。
マグネットキャッチ222は、板金223を介して磁力によりカバー部材225を閉じる方向に付勢し、板金223を吸着させてカバー部材225を閉状態で保持する。つまり、上部ユニット220はマグネットキャッチ222の磁力によって閉状態で保持される。なお、本実施形態では、上部ユニット220が閉じた状態を維持するためにマグネットキャッチ222を用いるものの、他の付勢手段によって上部ユニット220を閉じる方向に付勢する構成であってもよい。
上部ユニット220が閉じられた状態において、給気口230はファン91によって装置本体1内の空気が排出される排気口227(第1排気口)と連結され、給気口231はファン92によって装置本体1内の空気が排出される排気口228(第2排気口)と連結される。また上ダクト224の外ダクト226は、下部ユニット240が備える下ダクト241と連結されている。
すなわち、第1のダクトとしての内ダクト233は、装置本体1に対して開閉可能に設けられている。上部ユニット220を装置本体1に対して閉じたとき、内ダクト233を介して排気口227、228からダクト排気口244への排気経路が形成される。上部ユニット220を装置本体1に対して開いたとき、ユーザインターフェース130が露出されてアクセス可能となる。なお、下ダクト241は、装置本体1に固定された第2のダクトとして構成される。
定着装置50により暖められた空気は、ファン91、92により排気口227、228から排気され、給気口230、231から上ダクト224の内ダクト233に給気される。その後、空気は内ダクト233から外ダクト226、外ダクト226から下ダクト241に運ばれる。なお、ダクトユニット200の上部ユニット220を装置本体1に対して閉じた状態において、内ダクト233によりHDD121が気流に曝されることを防止する。これにより排気口228から排出される高温の空気がHDD121に直接触れることは防止される。
ここで給気口231には、排気口228との連結部の隙間を封止するために、封止部材231aが両面テープで固定されている。この隙間の大きさは部品単体の成型バラツキや取り付けガタ等によってバラツキがあるため、封止部材231aは、隙間よりも厚い弾性部材を圧縮する構成が好ましい。本実施形態では、封止部材231aとしてオプシーラJKX-1105(三和化工株式会社製)を使用している。
また外ダクト226には、カバー部材225との固定部の隙間を封止するために、封止部材226aが両面テープで固定されている。封止部材226aも封止部材231aと同様に弾性部材を圧縮する構成が好ましい。本実施形態では、封止部材226aとしてカームフレックスF-2(株式会社イノアックコーポレーション製)を使用している。
また下ダクト241には、外ダクト226との連結部の隙間を封止するために、封止部材241aが両面テープで固定されている。本実施形態では、封止部材241aとしてオプシーラJKX-1105(三和化工株式会社製)を使用している。また上部ユニット220の開閉による封止部材241aの摩耗を抑制するために表面にはPF-050H(DIC株式会社製)を使用している。
また上部ユニット220を開閉する際、封止部材241aの摩耗を抑制するためには、封止部材241aを上部ユニット220の回転軸線方向と直交する方向(本実施形態では水平方向)に圧縮させるのが望ましい。しかし外ダクト226の外形に合わせて下ダクト241との連結部250を形成すると、上部ユニット220を開閉する際に外ダクト226と下ダクト241とが干渉してしまう。
そこで図12に示す様に、下ダクト241の外ダクト226との連結部250は、外ダクト226の外形に沿った領域Fと、上部ユニット220が回転した際にカバー部材225の端部225aが通過する軌跡に沿った領域Gとで構成している。これにより上部ユニット220を開閉する際に外ダクト226と下ダクト241とが干渉しない。また、上部ユニット220を閉じたときに、軸部221a、221bの軸線方向に対して直交する方向に封止部材241aを圧縮することができる。
このように、本実施形態では、上部ユニット220を装置本体1に対して開閉可能にすると共に、装置本体1と上部ユニット220との間に封止部材241aを有する構成とした。これにより、装置本体1の左右方向に対して、シート処理装置が装着される側面と反対側である定着装置50が設けられる位置近傍にユーザインターフェース130を有する構成であっても、ユーザの操作性を低下させることなく、ダクトユニット200の排気効率を低下させることを抑制することができる。
図13は、下部ユニット240が有するファンホルダ280を取り外した状態の下部ユニット240の斜視図である。図14は、下部ユニット240が有する下ダクト241とフィルタ260を取り外した状態の下部ユニット240の斜視図である。なお、図14においては、上ダクト224も取り外した状態の図となっている。
図13、図14に示す様に、下ダクト241は、上ダクト224側が開放されており、この開放された部分と外ダクト226とが連結される。また下ダクト241は、上カバー111、下カバー112、ファンホルダ280に設けられた固定部280a、111a、112aにビス固定されている。板状の部材である上カバー111(第1の板状部材)、下カバー112(第2の板状部材)は、装置本体1の外装であり、下部ユニット240は下ダクト241、上カバー111、下カバー112によって空気流路を形成している。
なお、上カバー111には、下ダクト241との連結部の隙間を封止するために、封止部材111bが設けられている。本実施形態では、封止部材111bとしてオプシーラJKX-1105(三和化工株式会社製)を使用し、封止部材111bは上カバー111に設けられたリブ111dに貼り付けられている。
また下部ユニット240において、下ダクト241の内部には、ファン102、フィルタ260が設けられている。また下ダクト241の下部にはダクト排気口244が設けられている。ダクト排気口244は、下ダクト241における空気が流れる方向の下流端部に設けられた排気口である。
フィルタ260は、樹脂製の枠体261に対してろ材262が固定された構成となっている。ろ材262は、枠体261内でプリーツ状に設けられ、これにより表面積を増加させてダストの捕集効率を上げている。またろ材262を2つに分割して枠体261で保持することで強度を確保している。なお、本実施形態では、ろ材262としてFM-9406WP(日本バイリーン株式会社製)を使用している。
フィルタ260は、4つの位置決め部243により上下方向の位置が規制され、下ダクト241の内側と、上カバー111とにより挟まれる形で保持される。またフィルタ260の枠体261の全周には、下ダクト241、上カバー111、下カバー112に対する隙間を封止するための封止部材260aが設けられている。本実施形態では、封止部材260aとしてカームフレックスF-2(株式会社イノアックコーポレーション製)を使用している。
ファン102は、ファンホルダ280(保持部材)に保持されており、ファンホルダ280は、下カバー112に対してビス固定される。ファン102は、フィルタ260よりもダクト排気口244から排気される気流の下流側に設けられている。ファン102は、下ダクト241のダクト排気口244から排気するための気流を生成する。
ここでフィルタ260とファン102の間隔が近すぎる場合、ファン102で生成された気流がフィルタ260の一部分のみを通過し、ダストの捕集効率が低下するおそれがある。そこで本実施形態では、フィルタ260とファン102との間隔を約40mm確保してダストの捕集効率を維持している。つまりフィルタ260とファン102との間の排気経路上の距離は、40mm以上であることが好ましい。
またファンホルダ280には、下カバー112との隙間を封止するために、封止部材280cが設けられている。さらに下ダクト241との隙間を封止するために封止部材280dが設けられている。本実施形態では、封止部材280c、280dとして、オプシーラJKX-1105(三和化工株式会社製)を使用している。
またファン102と画像形成装置Hの内部に設けられた不図示の基板とを電気的に接続する束線283(電線)が、ファンホルダ280に保持されている。束線283は、中継コネクタ284を介してファン102と、装置本体1内(上カバー111及び下カバー112の内側)に設けられる不図示の基板とを電気的に接続する。
図15は、図14に示すK-K断面で切断したときの下部ユニット240の断面図である。尚、図15においては、下ダクト241及びフィルタ260が取り付けられた状態の断面図である。図15に示す様に、下ダクト241に対向する装置本体1の外装としての上カバー111と下カバー112の間の位置には、Hの装置本体1内から束線283を通すための開口部285が形成されている。
またファンホルダ280には、開口部285と間隔を持って対向して配置され、ファン102の回転軸線方向(図15に示す線Dの方向)と直交する方向(画像形成装置Hの前後方向)から見たときに開口部285を覆うカバー部280bが設けられている。カバー部280bは、下ダクト241を流れる空気の流れに逆行する方向に傾斜して延びている。つまり、ファン102の回転軸線方向と直交する方向に関してカバー部280bの先端部は、基端部よりも開口部285から離れた位置にある。また、カバー部280bは、先端部が基端部よりも上カバー111から離れるように傾斜している。
このようにカバー部280bを設けることで、ダクトユニット200内を空気が流れる場合に、開口部285の近傍に渦を巻くような気流Eを生じさせることができる。この気流Eによって開口部285から装置本体1内(上カバー111及び下カバー112よりも装置本体1の内側)の空気が下ダクト241に流入することを抑制することができる。このため、装置本体内で意図しない空気の流れが発生してトナーが飛散する等の悪影響が発生することを抑制し、また下ダクト241の排気効率を向上させることができる。
また、本実施形態ではファン102の回転軸線方向とカバー部280bが空気の流路に沿って延びる方向とのなす角度(カバー部280bの傾斜角)θは10°となっている。この角度θを10°以上45°以下とすることで、渦を巻くような気流Eが発生しやすくなり、上述した効果を向上させることができる。
また下ダクト241の一部を構成する上カバー111において、下カバー112(開口部285)と近い側の下端部111cは、下ダクトの内側に屈曲している。つまり、上カバー111の下端部111cは、下カバー112から離れる方向(装置本体1の外側)に向かって傾斜している。このような構成により、開口部285の開口幅を維持することができるため、ファン102の束線やそれ以外の配線を通すためのスペースが確保しやすくなる。また、束線283を配線するための開口部285を設ける構成であっても、開口部285から装置本体1内の空気がダクトユニット200内に流入することを抑制することができる。
<ダクトユニットの温度分布と空気流量について>
次に、ダクトユニット200の温度分布と空気流量ついて説明する。
まずダクトユニット200の温度分布について説明する。図16は、ダクトユニット200のダクト内の温度分布を示すグラフである。図16に示す様に、ダクトユニット200は画像形成装置Hの外側に設けられ、外気にさらされる構成である。そのため、上ダクト224の入口付近の内部温度は76℃と高温なのに対して、下ダクト241の入口241x付近であって、空気の流れる方向においてフィルタ260よりも上流側の内部温度は47℃まで下がる。つまりフィルタ260は、ダクトユニット200が外気に曝されることで、ダクト入口の空気の第1の温度と、フィルタ260内を通過している空気の第2の温度との温度差が少なくても20℃以上(所定の温度差)になる位置に設けられている。
ここで、上ダクト224の入口とは、給気口230及び給気口231であって、ダクトユニット200内の空気の流れる方向において上ダクト224の上流端部側のことである。また、下ダクト241の入口241xとは、ダクトユニット200内の空気の流れる方向において下ダクト241の上流端部側のことであり、フィルタ260を挟んでダクト排気口244と反対側の端部側のことである。
このようにダクトユニット200が外気にさらされる構成とし、空気がフィルタ260に到達するまでにダクト内の空気の温度を低下させることで、フィルタ260付近でダストの凝集が十分に進む。従って、凝集することによってフィルタ260で捕集がしやすくなるため、フィルタ260によるダストの捕集効率を向上させることができる。
また、ダクト排気口244付近では、空気の温度は41℃まで下がる。このため、ダクト排気口244から排気された空気が高温化することを抑制し、ユーザに不快感を与えることを抑制することができる。
次に、上ダクト224および下ダクト241に給排気される空気の流量について説明する。図17は、上ダクト224の給気口230から給気される空気の流量A、給気口231から吸気される空気の流量Bと、ダクト排気口244から排気される空気の流量Cと、画像形成装置Hの装置内温度との関係を示すグラフである。ここで、上ダクト224の給気口230から吸気される空気の流量Aは、ファン91によって装置本体1の排気口227から排出される空気の流量と略等しい。また、給気口231から給気される空気の流量Bは、ファン92によって装置本体1の排気口228から排出される空気の流量と略等しい。また、ダクト排気口244から排気される空気の流量Cは、ファン102によってダクトユニット200外へ排出される空気の流量と略等しい。
図17に示す様に、流量の関係がC<A+Bの場合、定着装置50により暖められた空気を十分に排気できずに上ダクト224、下ダクト241内に熱が籠り、画像形成装置Hが昇温する。この場合、トナーの固着等の不具合が発生するおそれがある。
そこで給気口230および231から給気される単位時間当たりの空気の流量を、ダクト排気口244から排気される単位時間当たりの空気の流量以下とする。つまり流量A、B、Cの関係をC≧A+Bとする。これにより定着装置50により暖められた空気を十分に排気して、画像形成装置Hの昇温を抑制することができる。本実施形態では、ファン91、92に対してファン102の回転数を増加させたり、ファン102自体の大きさを大きくすることで上述した流量の関係を満たす構成としている。
<ダクトユニットの配置>
次に、ダクトユニット200の配置について説明する。
図18は、画像形成装置Hを背面側からみたときのダクトユニット200と電気系ユニットの配置図である。図18に示す様に、画像形成装置Hの装置本体1の背面側には、受信した画像データを画像出力するための演算処理を行う電子回路を持つコントローラ基板120が配置されている。また、装置本体に電力を供給する電源基板123、エンジン制御基板124、HDD121等が配置されている。
なお、図18では、図示を省略するが、上カバー111及び下カバー112は、コントローラ基板120、電源基板123およびエンジン制御基板124等を覆うように画像形成装置Hの外装カバーとして外側に設けられている。つまりコントローラ基板120、電源基板123、エンジン制御基板124は、上カバー111と下カバー112の内側に設けられている。
これらの電気系ユニット、特に電源基板123とコントローラ基板120に実装されるCPU等の電子部品は熱に弱く冷却を必要とする。そこでコントローラ基板120、電源基板123の近傍には、これらの基板に実装された電子部品を冷却するためのファン97、98が設けられている。またファン97、98、及び、ファン97、98を覆う外装であるルーバー113、114は、画像形成装置Hの装置本体1の背面側から見たときにコントローラ基板120、電源基板123とそれぞれ重なる位置に設けられている。さらに画像形成装置Hの装置本体1の背面側から見たときにエンジン制御基板124と重なる位置には、画像形成装置Hの外装としてルーバー115が設けられている。
ここで前述したように、ダクトユニット200内を通る空気は定着装置50により暖められた比較的高温の空気である。このため、画像形成装置Hを背面側から見たときに上記の電気系ユニットと重なる位置にダクトユニット200が位置する場合、ダクトユニット200内を通る高温の空気によって電気系ユニットが昇温しやすくなる。
そこで画像形成装置Hの装置本体1の背面側から見た場合に、ダクトユニット200と、コントローラ基板120、HDD121、電源基板123、エンジン制御基板124とを重ならないように配置している。つまり、画像形成装置Hを背面から見た場合に、コントローラ基板120の横に上ダクト224を配置し、鉛直方向においてコントローラ基板120の下方に下ダクト241の一部が位置するように下ダクト241を配置している。これにより、電気系ユニットの冷却効率を阻害することなく、画像形成装置H内の空気をダクトユニット200を介して機外へ排気することができる。
このような構成により、上記の冷却が必要な電気系ユニットが昇温することを抑制できる。またダクトユニット200がルーバー113、114、115を塞ぐことがないため、電気系ユニットの冷却が妨げられることを防止することができる。
尚、本実施形態では、コントローラ基板120、HDD121、電源基板123、エンジン制御基板124を避けてダクトユニット200を配置する構成としたが、この構成に限らなくてもよい。少なくとも、熱に弱い電気系ユニットを避けた位置にダクトユニット200を配置する構成であれば、他の構成であってもよい。また、熱に弱い電子部品を搭載していないモータドライバ等の駆動系の基板に対しては、装置本体1の前後方向においてダクトユニット200が重なる位置に設けられる構成であってもよい。