以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
図1から図4を参照して本発明の一実施形態に係るコイル部品1について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るコイル部品1の斜視図であり、図2は、図1のコイル部品1に含まれる上側コイルユニット1aの分解斜視図であり、図3は、図1のコイル部品1に含まれる下側コイルユニット1bの分解斜視図であり、図4は、図1のコイル部品をI-I線で切断した断面を模式的に示す図である。図2から図4においては、説明の便宜のために、外部電極の図示が省略されている。
これらの図には、コイル部品1の一例として、差動信号を伝送する差動伝送回路からコモンモードノイズを除去するためのコモンモードチョークコイルが示されている。コモンモードチョークコイルは、本発明を適用可能な磁気結合型コイル部品の一例である。コモンモードチョークコイルは、後述するように積層プロセス、薄膜プロセス、又はこれら以外の公知の方法によって作製される。本発明は、コモンモードチョークコイル以外にも、トランス、カップルドインダクタ及びこれら以外の様々なコイル部品に適用することができる。
図示のように、本発明の一実施形態におけるコイル部品1は、上側コイルユニット1aと下側コイルユニット1bとを備える。
上側コイルユニット1aは、絶縁性に優れた磁性材料から成る上側本体11aと、この上側本体11aに埋設された上側コイル導体25aと、当該上側コイル導体25aの一端と電気的に接続された外部電極21aと、当該上側コイル導体25aの他端と電気的に接続された外部電極21bと、を備える。上側本体11aは、直方体形状を有する。上側本体11aは、その全体が磁性材料から形成されていてもよい。つまり、上側本体11aは、非磁性材料からなる非磁性体を備えなくともよい。
下側コイルユニット1bは、上側コイルユニット1aと同様に構成される。具体的には、下側コイルユニット1bは、絶縁性に優れた磁性材料から成る下側本体11bと、この下側本体11bに埋設された下側コイル導体25bと、当該下側コイル導体25bの一端と電気的に接続された外部電極21cと、当該下側コイル導体25bの他端と電気的に接続された外部電極21dと、を備える。下側本体11bは、直方体形状を有する。下側本体11bは、その全体が磁性材料から形成されていてもよい。つまり、下側本体11bは、非磁性材料からなる非磁性体を備えなくともよい。
上側コイル導体25aは、上側本体11a内においてコイル軸Aの周りに巻回されている。下側コイル導体25bは、上側本体11b内においてコイル軸Aの周りに巻回されている。コイル軸Aは、図1のT軸と平行に延伸していてもよい。本明細書においてコイル部品1の上下方向に言及する際には、コイル軸Aに沿う方向をコイル部品1の上下方向とすることがある。コイル軸AがT軸と平行に延伸する場合には、T軸方向において負側から正側に向かう方向が上方向とされ、T軸方向において正側から負側に向かう方向が下方向とされてもよい。本明細書では、可能な限り、この用法に従って、T軸方向において負側から正側に向かう方向を上方向とし、T軸方向において正側から負側に向かう方向を下方向として説明を行う。例えば、コイル部品1を構成する一組のコイルユニットのうち、T軸方向の正側にあるコイルユニットを上側コイルユニット1aと呼び、T軸方向の負側にあるコイルユニットを下側コイルユニット1bと呼ぶのは、上下についての上記の用法に従ったものである。コイル軸Aは、T軸と垂直な方向、例えばL軸方向に沿って延伸しても良い。この場合もコイル軸Aに沿う方向をコイル部品1の上下方向とすることができる。したがって、コイル部品1の上下方向は、図示の実施形態のようにT軸と平行な方向であってもよく、他の実施形態においてはT軸と垂直な方向であってもよい。
本明細書においては、コイル部品1の「長さ」方向、「幅」方向、及び「厚さ」方向はそれぞれ、図1の「L」方向、「W」方向、及び「T」方向とする。
上側本体11aは、その下面において下側本体11bの上面と接合されている。上側本体11a及び下側本体11bは、互いに接合されることにより、本体10を構成する。よって、本体10は、上側本体11aと、この上側本体11aに接合された下側本体11bと、を有する。本体10は、その全体が磁性材料から形成されていてもよい。つまり、本体10は、非磁性材料からなる非磁性体を備えなくともよい。
本体10は、第1の主面10a、第2の主面10b、第1の端面10c、第2の端面10d、第1の側面10e、及び第2の側面10fを有する。本体10は、これらの6つの面によってその外面が画定される。第1の主面10aと第2の主面10bとは互いに対向し、第1の端面10cと第2の端面10dとは互いに対向し、第1の側面10eと第2の側面10fとは互いに対向している。図1において第1の主面10aは本体10の上側にあるため、第1の主面10aを本体10の「上面」と呼ぶことがある。同様に、第2の主面10bを本体10の「下面」と呼ぶことがある。コイル部品1は、第2の主面10bが回路基板(不図示)と対向するように配置されるので、第2の主面10bを「実装面」と呼ぶこともある。
外部電極21a及び外部電極21cは、本体10の第1の端面10cに設けられる。外部電極21b及び外部電極21dは、本体10の第2の端面10dに設けられる。各外部電極は、図示のように、本体10の上面及び下面まで延伸する。各外部電極の形状及び配置は、図示された例には限定されない。例えば、外部電極21a~21dはすべて本体10の下面10bに設けられてもよい。この場合、上側コイル導体25a及び下側コイル導体25bは、ビアを介して、本体10の下面10bに設けられた外部電極21a~21dと接続される。
図2を参照して上側本体11a及び当該上側本体11a内に設けられる上側コイル導体25aについてさらに説明する。図示のように、上側本体11aは、上側コイル部20a、当該上側コイル部20aの上面に設けられた上側第1カバー18a、及び当該上側コイル部20aの下面に設けられた上側第2カバー19aを備える。
上側コイル部20aは、複数の上側コイルパターン層と、複数の上側低透磁率層と、を有する。上側コイル部20aにおいて、当該複数の上側コイルパターン層と当該複数の上側低透磁率層とは交互に積層されている。図示の実施形態においては、上側コイル部20aは、5層の上側コイルパターン層12a1~12a5と、6層の上側低透磁率層14a1~14a6と、を有する。上側コイルパターン層12a1~12a5と上側低透磁率層14a1~14a6とは交互に積層されている。このように、上側コイルユニット1aは、上側コイルパターン層12a1~12a5と上側低透磁率層14a1~14a6とが交互に積層された積層体を有する。
上側コイル部20aの上端には、上側低透磁率層14a6が配されている。上側コイル部20aの上端には、上側低透磁率層ではなく、上側コイルパターン層(例えば、上側コイルパターン層12a5)が配されてもよい。上側コイル部20aの下端には、上側低透磁率層14a1が配されている。上側コイル部20aの下端には、上側低透磁率層ではなく、上側コイルパターン層(例えば、上側コイルパターン層12a1)が配されてもよい。
上側コイルパターン層12a1~12a5の各々は、上側低透磁率層14a1~14a6の各々の透磁率よりも高い透磁率を有する上側高透磁率層と、上側コイル導体25aの一部をなす上側導体パターンと、を備える。具体的には、上側コイルパターン層12a1は、上側高透磁率層13a1と上側導体パターン25a1とを備え、上側コイルパターン層12a2は、上側高透磁率層13a2と上側導体パターン25a2とを備え、上側コイルパターン層12a3は、上側高透磁率層13a3と上側導体パターン25a3とを備え、上側コイルパターン層12a4は、上側高透磁率層13a4と上側導体パターン25a4とを備え、上側コイルパターン層12a5は、上側高透磁率層13a5と上側導体パターン25a5とを備える。上側高透磁率層13a1~13a5はいずれも、上側低透磁率層14a1~14a6の各々の透磁率よりも高い透磁率を有する。上側コイルパターン層12a1~12a5に上側高透磁率層13a1~13a5が含まれているため、上側高透磁率層13a1~13a5も、上側低透磁率層14a1~14a6と交互に積層される。
コイル部品1において、上側高透磁率層13a1~13a5及び上側導体パターン25a1~25a5は、上側低透磁率層14a1~14a5の上面に設けられてもよい。図示の実施形態においては、上側高透磁率層13a1及び上側導体パターン25a1は、上側低透磁率層14a1の上面に設けられ、上側高透磁率層13a2及び上側導体パターン25a2は、上側低透磁率層14a2の上面に設けられ、上側高透磁率層13a3及び上側導体パターン25a3は、上側低透磁率層14a3の上面に設けられ、上側高透磁率層13a4及び上側導体パターン25a4は、上側低透磁率層14a4の上面に設けられ、上側高透磁率層13a5及び上側導体パターン25a5は、上側低透磁率層14a5の上面に設けられている。上側導体パターン25a1~25a5はいずれも、コイル軸Aの周方向に延伸するように形成される。
上側導体パターン25a1~25a5は、例えば、導電性に優れた金属又は合金から成る導電ペーストを、スクリーン印刷法により上側低透磁率層14a1~14a5の上面に印刷することにより形成される。この導電ペーストの材料としては、Ag、Pd、Cu、Al又はこれらの合金を用いることができる。上側導体パターン25a1~25a5は、これ以外の材料及び方法により形成されてもよい。上側導体パターン25a1~25a5は、例えば、スパッタ法、インクジェット法、又はこれら以外の公知の方法で形成されてもよい。
上側高透磁率層13a1~13a5は、例えば、磁性材料からなる磁性ペーストを、スクリーン印刷法により、上側低透磁率層14a1~14a5の上面に印刷することにより形成される。上側高透磁率層13a1~13a5は、スクリーン印刷以外の公知の様々な方法により形成されてもよい。上側高透磁率層13a1~13a5は、対応する上側導体パターン25a1~25a5の周囲に形成される。上側高透磁率層13a1~13a5は、上下方向において、対応する上側導体パターン25a1~25a5と等しい又はほぼ等しい厚さを有していてもよい。
このように、上側導体パターン25a1~25a5は、上側コイルパターン層12a1~12a5において、対応する上側高透磁率層13a1~13a5の内部に形成される。具体的には、上側導体パターン25a1は、上側コイルパターン層12a1において、上側高透磁率層13a1の内部に設けられており、上側導体パターン25a2は、上側コイルパターン層12a2において、上側高透磁率層13a2の内部に設けられており、上側導体パターン25a3は、上側コイルパターン層12a3において、上側高透磁率層13a3の内部に設けられており、上側導体パターン25a4は、上側コイルパターン層12a4において、上側高透磁率層13a4の内部に設けられており、上側導体パターン25a5は、上側コイルパターン層12a5において、上側高透磁率層13a5の内部に設けられている。上側コイルパターン層12a1~12a5の各々は、コイル軸Aと垂直な方向において、対応する上側高透磁率層13a1~13a5によって囲まれており、その下面及び上面において隣接する上側低透磁率層と接している。
上側低透磁率層14a2~14a5の所定の位置には、上側ビアVa1~Va4がそれぞれ形成される。上側ビアVa1~Va4は、上側低透磁率層14a2~14a5の所定の位置に、上側低透磁率層14a2~14a5をT軸方向に貫く貫通孔を形成し、当該貫通孔に導電ペーストを埋め込むことにより形成される。
上側導体パターン25a1~25a5の各々は、隣接する導体パターンと上側ビアVa1~Va4を介して電気的に接続される。このようにして接続された上側導体パターン25a1~25a5が、スパイラル状の上側コイル導体25aを形成する。すなわち、上側コイル導体25aは、上側導体パターン25a1~25a5及び上側ビアVa1~Va4を有する。
上側導体パターン25a1の上側ビアVa1に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極21aに接続される。上側導体パターン25a5の上側ビアVa4に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極21bに接続される。
上側コイル導体25aは、T軸方向の一方の端部であるコイル面26aと、T軸方向の他方の端部であるコイル面27aと、を有する。
上側第1カバー18a及び上側第2カバー19aは、磁性材料からなる複数の磁性体層が積層された積層体である。上側第1カバー18aは、上側コイル部20aの上面に、上側コイル導体25aのコイル面26aと対向するように設けられる。上側第2カバー19aは、上側コイル部20aの下面に、上側コイル導体25aのコイル面27aと対向するように設けられる。
次に、図3を参照して下側本体11b及び当該下側本体11b内に設けられる下側コイル導体25bについてさらに説明する。図示のように、下側本体11bは、下側コイル部20b、当該下側コイル部20bの上面に設けられた下側第1カバー18b、及び当該下側コイル部20bの下面に設けられた下側カバー層19bを備える。
下側コイル部20bは、複数の下側コイルパターン層と、複数の下側低透磁率層と、を有する。下側コイル部20bにおいて、当該複数の下側コイルパターン層と当該複数の下側低透磁率層とは交互に積層されている。図示の実施形態においては、下側コイル部20bは、5層の下側コイルパターン層12b1~12b5と、6層の下側低透磁率層14b1~14b6と、を有する。下側コイルパターン層12b1~12b5と下側低透磁率層14b1~14b6とは交互に積層されている。つまり、下側コイルユニット1bは、下側コイルパターン層12b1~12b5と下側低透磁率層14b1~14b6とが交互に積層された積層体を有する。
下側コイル部20bの上端には、下側低透磁率層14b1が配されている。下側コイル部20bの上端には、下側低透磁率層ではなく、下側コイルパターン層(例えば、下側コイルパターン層12b1)が配されてもよい。下側コイル部20bの下端には、下側低透磁率層14b6が配されている。下側コイル部20bの下端には、下側低透磁率層ではなく、下側コイルパターン層(例えば、下側コイルパターン層12b5)が配されてもよい。
下側コイルパターン層12b1~12b5の各々は、下側低透磁率層14b1~14b6の各々の透磁率よりも高い透磁率を有する下側高透磁率層と、下側コイル導体25bの一部をなす下側導体パターンと、を備える。具体的には、下側コイルパターン層12b1は、下側高透磁率層13b1と下側導体パターン25b1とを備え、下側コイルパターン層12a2は、下側高透磁率層13b2と下側導体パターン25b2とを備え、下側コイルパターン層12b3は、下側高透磁率層13b3と下側導体パターン25b3とを備え、下側コイルパターン層12b4は、下側高透磁率層13b4と下側導体パターン25b4とを備え、下側コイルパターン層12b5は、下側高透磁率層13b5と下側導体パターン25b5とを備える。下側高透磁率層13b1~13b5はいずれも、下側低透磁率層14b1~14b6の各々の透磁率よりも高い透磁率を有する。下側コイルパターン層12b1~12b5に下側高透磁率層13b1~13b5が含まれているため、下側高透磁率層13b1~13b5も、下側低透磁率層14b1~14b6と交互に積層される。
コイル部品1において、下側高透磁率層13b1~13b5及び下側導体パターン25b1~25b5は、下側低透磁率層14b2~14b6の上面に設けられてもよい。図示の実施形態においては、下側高透磁率層13b1及び下側導体パターン25b1は、下側低透磁率層14b2の上面に設けられ、下側高透磁率層13b2及び下側導体パターン25b2は、下側低透磁率層14b3の上面に設けられ、下側高透磁率層13b3及び下側導体パターン25b3は、下側低透磁率層14b4の上面に設けられ、下側高透磁率層13b4及び下側導体パターン25b4は、下側低透磁率層14b5の上面に設けられ、下側高透磁率層13b5及び下側導体パターン25b5は、下側低透磁率層14b6の上面に設けられている。下側導体パターン25b1~25b5はいずれも、コイル軸Aの周方向に延伸するように形成される。
下側導体パターン25b1~25b5は、例えば、導電性に優れた金属又は合金から成る導電ペーストを、スクリーン印刷法により下側低透磁率層14b2~14b6の上面に印刷することにより形成される。この導電ペーストの材料としては、Ag、Pd、Cu、Al又はこれらの合金を用いることができる。下側導体パターン25b1~25b5は、これ以外の材料及び方法により形成されてもよい。下側導体パターン25b1~25b5は、例えば、スパッタ法、インクジェット法、又はこれら以外の公知の方法で形成されてもよい。
下側高透磁率層13b1~13b5は、例えば、磁性材料からなる磁性ペーストを、スクリーン印刷法により、下側低透磁率層14b2~14b6の上面に印刷することにより形成される。下側高透磁率層13b1~13b5は、スクリーン印刷以外の公知の様々な方法により形成されてもよい。下側高透磁率層13b1~13b5は、対応する下側導体パターン25b1~25b5の周囲に形成される。下側高透磁率層13b1~13b5は、上下方向において、対応する下側導体パターン25b1~25b5と等しい又はほぼ等しい厚さを有していてもよい。
このように、下側導体パターン25b1~25b5は、下側コイルパターン層12b1~12b5において、対応する下側高透磁率層13b1~13b5の内部に形成される。具体的には、下側導体パターン25b1は、下側コイルパターン層12b1において、下側高透磁率層13b1の内部に設けられており、下側導体パターン25b2は、下側コイルパターン層12b2において、下側高透磁率層13b2の内部に設けられており、下側導体パターン25b3は、下側コイルパターン層12b3において、下側高透磁率層13b3の内部に設けられており、下側導体パターン25b4は、下側コイルパターン層12b4において、下側高透磁率層13b4の内部に設けられており、下側導体パターン25b5は、下側コイルパターン層12b5において、下側高透磁率層13b5の内部に設けられている。下側コイルパターン層12b1~12b5の各々は、コイル軸Aと垂直な方向において、対応する下側高透磁率層13b1~13b5によって囲まれており、その下面及び上面において隣接する下側低透磁率層と接している。
下側低透磁率層14b2~14b5の所定の位置には、下側ビアVb1~Vb4がそれぞれ形成される。下側ビアVb1~Vb4は、下側低透磁率層14b2~14b5の所定の位置に、下側低透磁率層14b2~14b5をT軸方向に貫く貫通孔を形成し、当該貫通孔に導電ペーストを埋め込むことにより形成される。
下側導体パターン25b1~25b5の各々は、隣接する導体パターンと下側ビアVb1~Vb4を介して電気的に接続される。このようにして接続された下側導体パターン25b1~25b5が、スパイラル状の下側コイル導体25bを形成する。すなわち、下側コイル導体25bは、下側導体パターン25b1~25b5及び下側ビアVb1~Vb4を有する。
下側導体パターン25b1の下側ビアVb1に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極21dに接続される。下側導体パターン25b5の下側ビアVb4に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極21cに接続される。
下側コイル導体25bは、T軸方向の一方の端部であるコイル面26bと、T軸方向の他方の端部であるコイル面27bと、を有する。
下側第1カバー18b及び下側第2カバー19bは、磁性材料からなる複数の磁性体層が積層された積層体である。下側第1カバー18bは、下側コイル部20bの上面に、下側コイル導体25bのコイル面26bと対向するように設けられる。下側第2カバー19bは、下側コイル部20bの下面に、下側コイル導体25bのコイル面27bと対向するように設けられる。
次に、本体10に含まれる各高透磁率層、各低透磁率層、及び磁性体層の材料について説明する。上側高透磁率層13a1~13a5、上側低透磁率層14a1~14a6、上側第1カバー18aを構成する磁性体層、上側第2カバー19aを構成する磁性体層、下側高透磁率層13b1~13b5、下側低透磁率層14b1~14b6、下側第1カバー18bを構成する磁性体層、及び下側第2カバー19bを構成する磁性体層はそれぞれ、絶縁性に優れた様々な磁性材料から形成される。この磁性材料として、フェライト材料、軟磁性合金材料、樹脂に多数のフィラー粒子を分散させた複合材料、又はこれら以外の任意の公知の磁性材料を用いることができる。
これらの層の材料となるフェライト材料には、Ni-Zn系フェライト、Ni-Zn-Cu系フェライト、Mn-Zn系フェライト、又はこれら以外の任意のフェライトが含まれる。
これらの層の材料となる軟磁性合金材料には、Fe-Si系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Co系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Si-B-Cr系合金、又はこれら以外の任意の軟磁性合金が含まれる。
これらの層が樹脂に多数のフィラー粒子を分散させた複合材料からなる場合、当該樹脂として、絶縁性に優れた熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)樹脂、フェノール(Phenolic)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、又はポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂を用いることができる。当該フィラー粒子として、フェライト材料の粒子、金属磁性粒子、SiO2やAl2O3などの無機材料粒子、ガラス系粒子、又はこれら以外の任意の公知のフィラー粒子を用いることができる。本発明に適用可能なフェライト材料の粒子は、例えば、Ni-Znフェライトの粒子またはNi-Zn-Cuフェライトの粒子である。本発明に適用可能な金属磁性粒子は、例えば、(1)金属系のFeもしくはNi、(2)合金系のFe-Si-Cr、Fe-Si-Al、もしくはFe-Ni、(3)非晶質のFe―Si-Cr-B-C、もしくはFe-Si-B-Cr、またはこれらの混合材料の粒子である。
上側高透磁率層13a1~13a5、上側低透磁率層14a1~14a6、上側第1カバー層18aを構成する磁性体層、上側第2カバー層19aを構成する磁性体層、下側高透磁率層13b1~13b5、下側低透磁率層14b1~14b6、下側第1カバー層18bを構成する磁性体層、及び下側第2カバー層19bを構成する磁性体層は、その全てがフェライト材料から形成されてもよく、その全てが軟磁性合金材料から形成されてもよく、その全てが樹脂に多数のフィラー粒子を分散させた複合材料から形成されてもよい。上側高透磁率層13a1~13a5、上側低透磁率層14a1~14a6、上側第1カバー層18aを構成する磁性体層、上側第2カバー層19aを構成する磁性体層、下側高透磁率層13b1~13b5、下側低透磁率層14b1~14b6、下側第1カバー層18bを構成する磁性体層、及び下側第2カバー層19bを構成する磁性体層においては、その一部の磁性体層がそれ以外の磁性体層と異なる材料から形成されてもよい。
上述のように、上側高透磁率層13a1~13a5はいずれも、上側低透磁率層14a1~14a6の各々の透磁率よりも高い透磁率を有し、下側高透磁率層13b1~13b5はいずれも、下側低透磁率層14b1~14b6の各々の透磁率よりも高い透磁率を有する。上側高透磁率層13a1~13a5、上側低透磁率層14a1~14a6、下側高透磁率層13b1~13b5、及び下側低透磁率層14b1~14b6の透磁率は、これらの透磁率層がフェライトからなる場合には、そのフェライトの組成を通じて適宜調整することができる。例えば、これらの透磁率層の素材としてNi-Zn-Cu系フェライトを用いる場合、NiとZnとの組成比を調整することにより、各透磁率層の透磁率を適宜調整することができる。上側高透磁率層13a1~13a5、上側低透磁率層14a1~14a6、下側高透磁率層13b1~13b5、及び下側低透磁率層14b1~14b6の透磁率は、これらの透磁率層が軟磁性金属からなる場合には、その軟磁性金属に含まれる鉄の含有比率を通じて適宜調整することができる。上側高透磁率層13a1~13a5、上側低透磁率層14a1~14a6、下側高透磁率層13b1~13b5、及び下側低透磁率層14b1~14b6の透磁率は、これらの透磁率層がフィラー粒子を分散させた樹脂からなる場合には、第1の領域30における当該フィラー粒子の含有率や当該フィラー粒子の材料を通じて適宜調整することができる。例えば、第1の領域30におけるフィラー粒子の含有率を高めることにより透磁率を高くすることができ、逆に、第1の領域30におけるフィラー粒子の含有率を低くすることにより透磁率を低くすることができる。また、フィラー粒子を高透磁率の素材から形成することにより透磁率を高くすることができ、逆に、フィラー粒子を低透磁率の素材から形成することにより透磁率を低くすることができる。
コイル部品1は、上記のコイルユニット1aとコイルユニット1bとを接合することにより得られる。このコイル部品1は、外部電極21aと外部電極21bとの間に配されている上側コイル導体25aと、外部電極21cと外部電極21dとの間に配されている下側コイル導体25bと、を有する。この2つのコイルの各々は、例えば、差動伝送回路における2本の信号線とそれぞれ接続される。このようにして、コイル部品1は、コモンモードチョークコイルとして動作することができる。
コイル部品1は、第3のコイル(不図示)を含むことができる。第3のコイルを備えるコイル部品1は、上側コイルユニット1aと同様に構成されたもう1つのコイルユニットを追加的に備える。当該追加のコイルユニットには、上側コイルユニット1a及び下側コイルユニット1bと同様にコイル導体が設けられ、当該コイル導体が追加的な外部電極と接続される。このような3つのコイルを含むコイル部品は、例えば、3本の信号線を有する差動伝送回路用のコモンモードチョークコイルとして用いられる。
図4に示すように、本体10は、上側低透磁率層14a1の下面と下側低透磁率層14b1の上面との間に配された第1の領域30と、この第1の領域30の上側に配された第2の領域40aと、この第1の領域30の下側に配された第3の領域40bと、を有する。第2の領域40aは、第1の領域30と上側第1カバー18aの下面との間に配されている。第2の領域40aは、第1の領域30と直接接していてもよい。第3の領域40bは、第1の領域30と下側第2カバー19bの上面との間に配されている。第3の領域40bは、第1の領域30と直接に接していてもよい。
本発明の一実施形態において、第1の領域30は、上側コイルユニット1aと下側コイルユニット1bとに跨がっている。第1の領域30は、上側第2カバー19a及び下側第1カバー18bを含む。第1の領域30は、上側第2カバー19a及び下側第1カバー18bのみから構成されてもよい。第1の領域30は、上側第2カバー19a及び下側第1カバー18bに加えて、磁性材料からなる追加的な磁性体層を含んでもよい。
本発明の一実施形態において、第2の領域40aは、上側高透磁率層13a1~13a5及び上側低透磁率層14a1~14a6を含む。第2の領域40aは、上側高透磁率層13a1~13a5及び上側低透磁率層14a1~14a6のみから構成されてもよい。第2の領域40aは、上側高透磁率層13a1~13a5、上側低透磁率層14a1~14a6に加えて、磁性材料からなる追加的な磁性体層を含んでもよい。
本発明の一実施形態において、第3の領域40bは、下側高透磁率層13b1~13b5及び下側低透磁率層14b1~14b6を含む。第3の領域40bは、下側高透磁率層13b1~13b5及び下側低透磁率層14b1~14b6のみから構成されてもよい。第3の領域40bは、下側高透磁率層13b1~13b5及び下側低透磁率層14b1~14b6に加えて、磁性材料からなる追加的な磁性体層を含んでもよい。
上側コイル導体25aは、本体10の第2の領域40a内に設けられている。上側低透磁率層14a1が省略される場合には、上側コイル導体25aは、コイル面27aが第2の領域40aから第1の領域30側に露出するように設けられる。上側低透磁率層14a6が省略される場合には、上側コイル導体25aは、コイル面26aが第2の領域40aから上側第1カバー18a側に露出するように設けられる。
下側コイル導体25bは、本体10の第3の領域40b内に設けられている。下側低透磁率層14b1が省略される場合には、下側コイル導体25bは、コイル面26bが第3の領域40bから第1の領域30側に露出するように設けられる。下側低透磁率層14b6が省略される場合には、下側コイル導体25bは、コイル面27bが第3の領域40bから下側第2カバー19b側に露出するように設けられる。
上述した上側コイルユニット1aにおいては、上側コイルパターン層12a1~12a5と複数の上側低透磁率層14a1~14a6とが交互に積層されているため、複数の上側コイルパターン層12a1~12a5のうち隣接する層間には、複数の上側低透磁率層14a1~14a6のうちの一つが配されている。この隣接する上側コイルパターン層の間に配された上側低透磁率層によって、隣接する上側コイルパターン層の間の磁気抵抗が高くなる。これにより、隣接する上側高透磁率層の間を通過する磁束が抑制される。よって、隣接する上側コイルパターン層における局所的な磁気飽和が抑制される。例えば、隣接する上側コイルパターン層12a1と上側コイルパターン層12a2との間には、上側低透磁率層14a2が配されている。この上側低透磁率層14a2によって、隣接する上側コイルパターン層12a1と上側コイルパターン層12a2との間の磁気抵抗が高くなる。よって、上側コイルパターン層12a1と上側コイルパターン層12a2との間での磁気飽和が抑制される。したがって、上側コイルユニット1aにおける直流重畳特性を改善することができる。
下側コイルユニット1bについても、同様の原理で、隣接する下側コイルパターン層12b1~12b5の間を通過する磁束が抑制されるため、隣接する下側コイルパターン層12b1~12b5の間での磁気飽和が抑制される。
上述した上側コイルユニット1aにおいて、第1の領域30の最も近くに配される上側導体パターン25a1は、上側低透磁率層14a1~14a6のうち第1の領域30の最も近くに配される上側低透磁率層14a1の上に設けられる。この上側低透磁率層14a1により、上側導体パターン25a1の周囲での局所的な磁気飽和を抑制できるとともに、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間を通過する漏れ磁束を抑制して上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの結合を改善することができる。
上側低透磁率層14a1は、上側低透磁率層14a2~14a5のいずれよりも低い透磁率を有していてもよい。これにより、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間を通過する漏れ磁束をより効果的に抑制することができる。
上述した下側コイルユニット1bにおいて、第1の領域30の最も近くに配される下側導体パターン25b1は、下側低透磁率層14b1~14b6のうち第1の領域30の最も近くに配される下側低透磁率層14b1の下に設けられる。この下側低透磁率層14b1により、下側導体パターン25b1の周囲での局所的な磁気飽和を抑制できるとともに、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間を通過する漏れ磁束を抑制して上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの結合を改善することができる。
下側低透磁率層14b1は、下側低透磁率層14b2~14b5のいずれよりも低い透磁率を有していてもよい。これにより、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間を通過する漏れ磁束をより効果的に抑制することができる。
上側低透磁率層14a1~14a5の各々は、上側高透磁率層13a1~13a5のいずれよりも鉄の含有量が多くてもよい。これにより、上側低透磁率層14a1~14a5の飽和磁束密度を上側高透磁率層13a1~13a5の飽和磁束密度よりも高くすることができる。このような高い飽和磁束密度を有する上側低透磁率層14a1~14a5により、上側コイルパターン層12a1~12a5の隣接する層間における局所的な磁気飽和をさらに抑制できる。
下側低透磁率層14b1~14b5の各々は、下側高透磁率層13b1~13b5のいずれよりも鉄の含有量が多くてもよい。これにより、下側低透磁率層14b1~14b5の飽和磁束密度を下側高透磁率層13b1~13b5の飽和磁束密度よりも高くすることができる。このような高い飽和磁束密度を有する下側低透磁率層14b1~14b5により、下側コイルパターン層12b1~12b5の隣接する層間における局所的な磁気飽和をさらに抑制できる。
上側高透磁率層13a1~13a5の各々は、上側低透磁率層14a1~14a6のいずれよりも厚く形成されてもよい。当該実施形態によれば、上側コイル導体25a及び下側コイル導体25bの両方と鎖交する主磁束の磁路において、上側高透磁率層13a1~13a5が占める割合を高くすることができる。これにより、上側低透磁率層14a1~14a6による実効透磁率の低下を抑制することができる。
下側高透磁率層13b1~13b5の各々は、下側低透磁率層14b1~14b6のいずれよりも厚く形成されてもよい。当該実施形態によれば、上側コイル導体25a及び下側コイル導体25bの両方と鎖交する主磁束の磁路において、下側高透磁率層13b1~13b5が占める割合を高くすることができる。これにより、下側低透磁率層14b1~14b6による実効透磁率の低下を抑制することができる。
上記実施形態によれば、本体10は磁性材料からなる。よって、非磁性体による実効透磁率の低下を防ぐことができる。
次に、コイル部品1の製造方法の一例を説明する。コイル部品1は、例えば積層プロセスによって製造することができる。以下では、積層プロセスを用いたコイル部品1の製造方法について説明する。
まず、完成品において上側低透磁率層14a1~14a6及び下側低透磁率層14b1~14b6の各々になるグリーンシートを作成する。これらのグリーンシートは、例えば、フェライト、軟磁性合金、又はフィラー粒子を分散させた樹脂、又はこれら以外の磁性材料から形成される。以下では、グリーンシートは、軟磁性合金から形成されるものとする。この低透磁率層用のグリーンシートを作成するために、Fe-Si系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Co系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Si-B-Cr系合金、又はこれら以外の任意の軟磁性合金から成る軟磁性金属粒子にバインダ樹脂及び溶剤を加えてスラリーを作成し、このスラリーをプラスチック製のベースフィルムの表面に塗布する。この塗布されたスラリーを乾燥させることでグリーンシートが作成される。
次に、上側低透磁率層14a2~14a5及び下側低透磁率層14b2~14b5となる各グリーンシートの所定の位置に、各グリーンシートをT軸方向に貫く貫通孔を形成する。
次に、上側低透磁率層14a1~14a5及び下側低透磁率層14b6~14b2となる各グリーンシートの上面の各々に、導電ペーストをスクリーン印刷法により印刷することで、当該各グリーンシートに導体パターンを形成する。また、各グリーンシートに形成された各貫通孔に導電ペーストを埋め込む。このようにして絶縁膜20a1~絶縁膜20a5となるグリーンシートに形成された導体パターンは、それぞれ上側導体パターン25a1~上側導体パターン25a5となり、各貫通孔に埋め込まれた金属が上側ビアVa1~Va4となる。また、下側低透磁率層14b6~14b2となるグリーンシートに形成された導体パターンは、それぞれ下側導体パターン25b5~下側導体パターン25b1となり、各貫通孔に埋め込まれた金属が下側ビアVb4~Vb1となる。各導体パターン及び各ビアは、スクリーン印刷法以外にも公知の様々な方法で形成され得る。
次に、上側低透磁率層14a1~14a5及び下側低透磁率層14b6~14b2となる各グリーンシートの上面における上側導体パターン25a1~上側導体パターン25a5及び下側導体パターン25b5~下側導体パターン25b1の周囲に、磁性材料からなるスラリーを塗布して磁性材料層を形成する。この磁性材料層は、完成品であるコイル部品1において上側高透磁率層13a1~13a5及び下側高透磁率層13b1~13b5となる。この高透磁率層用のスラリーは、例えば、スクリーン印刷法により、グリーンシートに塗布される。
この高透磁率層用のスラリーは、例えば、フェライト、軟磁性合金、又はフィラー粒子を分散させた樹脂、又はこれら以外の磁性材料を含む。高透磁率層用のスラリーには、低透磁率層用のスラリーに含まれる磁性材料の透磁率よりも高い透磁率を有する磁性材料が含まれる。低透磁率層用のスラリーに含まれる磁性材料は、高透磁率層用のスラリーに含まれる磁性材料よりもFeの含有比率が高くともよい。以下では、上側高透磁率層13a1~13a5及び下側高透磁率層13b1~13b5となる磁性材料ペーストは、軟磁性合金から形成されるものとする。この高透磁率層用のスラリーは、Fe-Si系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Co系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Si-B-Cr系合金、又はこれら以外の任意の軟磁性合金から成る軟磁性金属粒子にバインダ樹脂及び溶剤を加えることで作成される。
次に、上側導体パターン25a1~25a5となる導体パターン、ビアVa1~Va4となるビア、及び上側高透磁率層13a1~13a5となる磁性体層が形成されたグリーンシート並びに上側低透磁率層14a6となるグリーンシートを積層して、上側コイル積層体を得る。これらのグリーンシートは、上側導体パターン25a1~25a5の各々が隣接する導体パターンと上側ビアVa1~Va4を介して電気的に接続されるように積層される。同様に、下側導体パターン25b1~25b5となる導体パターン、ビアVb1~Vb4となるビア、及び下側高透磁率層13b1~13b5となる磁性体層が形成されたグリーンシート並びに下側低透磁率層14b1となるグリーンシートを積層して、下側コイル積層体を得る。これらのグリーンシートは、下側導体パターン25b1~25b5の各々が隣接する導体パターンと下側ビアVb1~Vb4を介して電気的に接続されるように積層される。
次に、上側第1カバー18a、上側第2カバー19a、下側第1カバー18b、及び下側第2カバー19b用のグリーンシートを作成する。これらのグリーンシートは、上述した低透磁率層用のグリーンシートと同様に、例えば、フェライト、軟磁性合金、又はフィラー粒子を分散させた樹脂、又はこれら以外の磁性材料から形成される。例えば、軟磁性合金から成る軟磁性金属粒子にバインダ樹脂及び溶剤を加えてスラリーを作成し、このスラリーをプラスチック製のベースフィルムの表面に塗布し、この塗布されたスラリーを乾燥させることでグリーンシートが作成される。
次に、上側第1カバー18a用の各グリーンシートを積層して上側第1積層体を形成し、上側第2カバー19a用の各グリーンシートを積層して上側第2積層体を形成し、下側第1カバー18b用の各グリーンシートを積層して下側第1積層体を形成し、下側第2カバー19b用の各グリーンシートを積層して下側第2積層体を形成する。
次に、下側第2積層体、下側コイル積層体、下側第1積層体、上側第2積層体、上側コイル積層体、及び上側第1積層体をT軸方向の負方向側から正方向側に向かってこの順序で積層し、この積層された各積層体をプレス機により熱圧着することで本体積層体が得られる。本体積層体は、下側第2積層体、下側コイル積層体、下側第1積層体、上側第2積層体、上側コイル積層体、及び上側第1積層体を形成せずに、準備したグリーンシート全てを順番に積層して、この積層されたグリーンシートを一括して熱圧着することにより形成しても良い。
次に、ダイシング機やレーザ加工機等の切断機を用いて上記本体積層体を所望のサイズに個片化することで、チップ積層体が得られる。次に、このチップ積層体を脱脂し、脱脂されたチップ積層体を加熱処理する。このチップ積層体の端部に対して、必要に応じて、バレル研磨等の研磨処理を行う。
次に、このチップ積層体の両端部に導体ペーストを塗布することにより、外部電極21a~外部電極21dを形成する。外部電極21a~外部電極21dには、必要に応じて、半田バリア層及び半田濡れ層の少なくとも一方が形成されてもよい。以上により、コイル部品1が得られる。
上記の製造方法に含まれる工程の一部は、適宜省略可能である。コイル部品1の製造方法においては、本明細書において明示的に説明されていない工程が必要に応じて実行され得る。上記のコイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、本発明の趣旨から逸脱しない限り、随時順番を入れ替えて実行され得る。上記のコイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、可能であれば、同時に又は並行して実行され得る。
各絶縁膜となるグリーンシートは、フェライト又はフィラー粒子を分散させた樹脂から形成されてもよい。コイル部品1は、公知の方法を用いることにより、フェライト又はフィラー粒子を分散させた樹脂から形成されたグリーンシートを用いて製造されてもよい。
コイル部品1に含まれる各絶縁膜は、各種のフィラー粒子を分散させた樹脂を仮硬化させた絶縁シートから形成されてもよい。かかる絶縁シートについては、脱脂を行う必要がない。
コイル部品1は、スラリービルド法又はこれ以外の任意の公知の方法により製造されてもよい。
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。