JP7065719B2 - 磁気結合型コイル部品及びその製造方法 - Google Patents

磁気結合型コイル部品及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、磁気結合型コイル部品及びその製造方法に関する。
磁気結合型コイル部品は、互いに磁気結合する一組のコイル導体を有する。磁気結合型コイル部品として、コモンモードチョークコイル、トランス及びカップルドインダクタがある。磁気結合型コイル部品においては、一般に、一組のコイル導体間の結合が高いことが望ましい。
積層プロセスによって作製される磁気結合型コイル部品が特開2016-131208号公報(特許文献1)に記載されている。この磁気結合型コイル部品は、磁性基体に埋め込まれた一組のコイルユニットを有している。この一組のコイルユニットは、各コイルユニットのコイル導体の巻回軸が略一致するとともに当該コイルユニット同士が密着するように互いに接合されており、これによりコイル導体間の結合が高められるとされている。
特開2005-064321号公報には、磁性基体(磁芯11)内に埋め込まれた一組のコイル導体の間に、当該磁性基体よりも小さな透磁率を有するスペーサが設けられた磁気結合型コイル部品が記載されている。かかるスペーサにより、当該一組のコイル導体間の結合が強められる。
特開2016-131208号公報 特開2005-064321号公報
磁気結合型コイル部品には、大きな直流電流が流れることがある。例えば、DC-DCコンバータにおいて用いられるチョークコイルには大電流が流れることが想定されている。チョークコイルを構成するコイル導体に直流電流が流れると、当該チョークコイルの磁性基体の透磁率が変化する。その結果、当該チョークコイルを構成する一組のコイル導体の各々の自己インダクタンス及び当該一組のコイル導体間の相互インダクタンスが変化する。
第1のコイル導体と第2のコイル導体との間の結合の強さを表す結合係数は、以下の式に示されるように、第1のコイル導体の自己インダクタンスL1、第2のコイル導体の自己インダクタンスL2、及び第1のコイル導体と第2のコイル導体との間の相互インダクタンスMに依存する。
Figure 0007065719000001
kは結合係数、L1は第1のコイル導体の自己インダクタンス、L2は第2のコイル導体の自己インダクタンス、Mは相互インダクタンスである。
したがって、一組のコイル導体間の結合係数は、各コイル導体に印加される印加電流の大きさに応じて変化する。従来の磁気結合型コイル部品においては、各コイル導体を流れる直流電流の大きさによる結合係数の変化について十分な検討が行われていなかった。磁気結合型コイル部品において、コイル導体への印加電流による結合係数の変化が大きいと、実装された回路において期待される性能を発揮できないおそれがある。磁気結合型コイル部品が所期の性能を発揮するためには、印加電流による結合係数の変化が小さいことが望まれる。
本発明の目的の一つは、コイル導体へ印加された電流による結合係数の変化が抑制可能な磁気結合型コイル部品を提供することである。本発明のこれ以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。
一実施形態に係る磁気結合型コイル部品は、磁性基体と、前記磁性基体の上面に設けられた上側カバー層と、前記磁性基体の下面に設けられた下側カバー層と、上側コイル面を有し、前記磁性基体内に少なくとも前記上側コイル面が前記上側カバー層と接するように設けられた第1のコイル導体と、下側コイル面を有し、前記磁性基体内に少なくとも前記下側コイル面が前記下側カバー層と接するように設けられた第2のコイル導体と、を備える。当該実施形態において、前記上側カバー層は、平面視において前記第1のコイル導体の前記上側コイル面と重複する上側第1領域を有し、少なくとも前記上側第1領域において前記磁性基体よりも低い飽和磁束密度を有する。
一実施形態において、前記上側第1領域は、前記磁性基体よりも鉄の含有比率が低い。
一実施形態において、前記下側カバー層は、平面視において前記第2のコイル導体の前記下側コイル面と重複する下側第1領域を有し、少なくとも前記下側第1領域において前記磁性基体よりも低い飽和磁束密度を有する。
一実施形態において、前記下側第1領域は、前記磁性基体よりも鉄の含有比率が低い。
一実施形態において、前記上側カバー層は、平面視において前記第1のコイル導体の前記上側コイル面と重複しない上側第2領域を有し、前記上側第2領域において前記磁性基体よりも低い飽和磁束密度を有する。
一実施形態において、前記上側第2領域は、前記磁性基体よりも鉄の含有比率が低い。
一実施形態において、前記下側カバー層は、平面視において前記第2のコイル導体の前記下側コイル面と重複しない下側第2領域を有し、前記下側第2領域において前記磁性基体よりも低い飽和磁束密度を有する。
一実施形態において、前記下側第2領域は、前記磁性基体よりも鉄の含有比率が低い。
一実施形態において、前記第1のコイル導体は、前記上側コイル面が前記磁性基体の前記上面と面一になるように設けられている。
一実施形態において、前記第2のコイル導体は、前記下側コイル面が前記磁性基体の前記下面と面一になるように設けられている。
一実施形態における磁気結合型コイル部品は、第1の外部電極と、第2の外部電極と、第3の外部電極と、第4の外部電極と、をさらに備える。当該実施形態において、前記第1のコイル導体は、その一端が前記第1の外部電極に接続されるとともにその他端が前記第2の外部電極に接続され、前記第2のコイル導体は、その一端が前記第3の外部電極に接続されるとともにその他端が前記第4の外部電極に接続されている。
本発明の一実施形態によれば、コイル導体へ印加された直流電流による結合係数の変化が抑制される。
本発明の一実施形態に係る磁気結合型コイル部品の斜視図である。 図1の磁気結合型コイル部品に含まれる2つのコイルユニットのうち一方の分解斜視図である。 図1の磁気結合型コイル部品に含まれる2つのコイルユニットのうち他方の分解斜視図である。 図1の磁気結合型コイル部品をI-I線で切断した断面を模式的に示す図である。 本発明の別の実施形態に係る磁気結合型コイル部品の断面を模式的に示す図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る磁気結合型コイル部品の断面を模式的に示す図である。
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
図1から図4を参照して本発明の一実施形態に係る磁気結合型コイル部品1について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る磁気結合型コイル部品1の斜視図であり、図2は、図1の磁気結合型コイル部品1に含まれるコイルユニット1aの分解斜視図であり、図3は、図1の磁気結合型コイル部品1に含まれるコイルユニット1bの分解斜視図であり、図4は、図1の磁気結合型コイル部品1をI-I線で切断した断面を模式的に示す図である。図2ないし図4においては、説明の便宜のために、外部電極の図示が省略されている。
本明細書においては、文脈上別に解される場合を除き、磁気結合型コイル部品1の「長さ」方向、「幅」方向、及び「厚さ」方向はそれぞれ、図1の「L」方向、「W」方向、及び「T」方向とする。
これらの図には、磁気結合型コイル部品1の一例として、DC-DCコンバータに用いられるチョークコイルが示されている。DC-DCコンバータ用のチョークコイルは、本発明を適用可能な磁気結合型コイル部品の一例である。DC-DCコンバータ用チョークコイルは、後述するように積層プロセス又は薄膜プロセスによって作製される。本発明は、DC-DCコンバータ用チョークコイル以外にも、トランス、カップルドインダクタ及びこれら以外の様々な磁気結合型コイル部品に適用することができる。
図示のように、本発明の一実施形態における磁気結合型コイル部品1は、コイルユニット1aとコイルユニット1bとを備える。磁気結合型コイル部品1は、コイルユニット1aのコイル導体25aとコイルユニット1bのコイル導体25bとが磁気結合するように構成される。コイル導体25a及びコイル導体25bについては後述する。
コイルユニット1aは、磁性材料から直方体形状に形成された上側磁性基体11aと、当該上側磁性基体11aの上面に設けられた磁性材料からなる上側カバー層18aと、当該上側磁性基体11a内に設けられたコイル導体25aと、当該コイル導体25aの一端と電気的に接続された外部電極21と、当該コイル導体25aの他端と電気的に接続された外部電極22と、を備える。上側磁性基体11aと上側カバー層18aとの境界は、コイルユニット1aの製法によっては、明瞭に確認できないことがある。
コイルユニット1bは、コイルユニット1aと同様に構成される。具体的には、コイルユニット1bは、磁性材料から直方体形状に形成された下側磁性基体11bと、当該下側磁性基体11bの下面に設けられた磁性材料からなる下側カバー層18bと、当該下側磁性基体11b内に設けられたコイル導体25bと、当該コイル導体25bの一端と電気的に接続された外部電極23と、当該コイル導体25bの他端と電気的に接続された外部電極24と、を備える。下側磁性基体11bと下側カバー層18bとの境界は、コイルユニット1bの製法によっては、明瞭に確認できないことがある。
磁気結合型コイル部品1は、回路基板2に実装されている。回路基板2には、ランド部3が設けられてもよい。磁気結合型コイル部品1が4つの外部電極21~24を備える場合には、これに対応して回路基板2には4つのランド部3が設けられる。磁気結合型コイル部品1は、外部電極21~24の各々と回路基板2の対応するランド部3とを接合することにより、当該回路基板2に実装されてもよい。回路基板2は、様々な電子機器に実装され得る。
上側磁性基体11aは、その下面において下側磁性基体11bの上面と接合されている。この上側磁性基体11a及び下側磁性基体11bが、磁性基体11を構成する。
上述した上側磁性基体11a、下側磁性基体11b、上側カバー層18a、及び下側カバー層18bが、本体10を構成する。図示の実施形態において、本体10は、下側カバー層18b、下側磁性基体11b、上側磁性基体11a、及び上側カバー層18aを有している。
本体10は、第1の主面10a、第2の主面10b、第1の端面10c、第2の端面10d、第1の側面10e、及び第2の側面10fを有する。本体10は、これらの6つの面によってその外面が画定される。第1の主面10aと第2の主面10bとは互いに対向し、第1の端面10cと第2の端面10dとは互いに対向し、第1の側面10eと第2の側面10fとは互いに対向している。
図1において第1の主面10aは本体10の上側にあるため、第1の主面10aを「上面」と呼ぶことがある。同様に、第2の主面10bを「下面」と呼ぶことがある。磁気結合型コイル部品1は、第2の主面10bが回路基板2と対向するように配置されるので、第2の主面10bを「実装面」と呼ぶこともある。磁気結合型コイル部品1の上下方向に言及する際には、図1の上下方向を基準とする。
外部電極21及び外部電極23は、本体10の第1の端面10cに設けられる。外部電極22及び外部電極24は、本体10の第2の端面10dに設けられる。各外部電極は、図示のように、本体10の上面及び下面まで延伸する。各外部電極の形状及び配置は、図示された例には限定されない。例えば、外部電極21~外部電極24はすべて本体10の下面10bに設けられてもよい。この場合、コイル導体25a及びコイル導体25bは、ビア導体を介して、本体10の下面10bに設けられた外部電極21~外部電極24と接続される。
上記のように、磁性基体11は、磁性材料から成る。磁気結合型コイル部品1は、互いに異なる磁性材料から成る2つ以上の領域を有していても良い。例えば、磁気結合型コイル部品1は、第1の磁性材料から成る第1の領域と、第2の磁性材料から成る第2の領域と、を有していても良い。例えば、上側磁性基体11aと下側磁性基体11bとは、互いに異なる磁性材料から形成されてもよい。磁性基体11の内部または外部に非磁性材料から成る要素又は部位が設けられても良い。この非磁性材料から成る要素又は部位は、磁性基体11の一部ではない。
次に、主に図2及び図3を参照して、コイルユニット1a及びコイルユニット1bについてさらに説明する。図2及び図3には、積層プロセスによって作成されるコイルユニット1a及びコイルユニット1bがそれぞれ示されている。2に示すように、コイルユニット1aに備えられる上側磁性基体11aは、磁性膜11a1~11a7及び磁性積層体11a8を備える。上側磁性基体11aにおいては、T軸方向の正方向側から負方向側に向かって、磁性膜11a1、磁性膜11a2、磁性膜11a3、磁性膜11a4、磁性膜11a5、磁性膜11a6、磁性膜11a7、磁性積層体11a8の順に積層されている。図3に示すように、コイルユニット1bに備えられる下側磁性基体11bは、積層された磁性膜11b1~11b7及び磁性積層体11b8を備える。下側磁性基体11bにおいては、T軸方向の正方向側から負方向側に向かって、磁性膜11b1、磁性膜11b2、磁性膜11b3、磁性膜11b4、磁性膜11b5、磁性膜11b6、磁性膜11b7、磁性積層体11b8の順に積層されている。コイルユニット1a及びコイルユニット1bは、積層プロセス以外の方法で作成されてもよい。コイルユニット1a及びコイルユニット1bは、例えば、コアに巻線が巻回された巻線型のコイルであってもよい。コイルユニット1a及びコイルユニット1bは、薄膜プロセスにより作成されたコイルユニットであってもよい。
磁性膜11a1~11a7及び磁性膜11b1~11b7は、磁性材料からなる。磁性膜11a1~11a7及び磁性膜11b1~11b7用の磁性材料として、フェライト材料、軟磁性金属又は軟磁性合金の粒子群、樹脂に多数の磁性材料から成るフィラー粒子を分散させた複合材料、又はこれら以外の任意の公知の磁性材料を用いることができる。軟磁性合金の粒子群に含まれる各粒子には、絶縁性に優れた絶縁材料から成る絶縁膜が形成される。
磁性膜11a1~11a7及び磁性膜11b1~11b7用の材料となるフェライトには、Ni-Zn系フェライト、Ni-Zn-Cu系フェライト、Mn-Zn系フェライト、又はこれら以外の任意のフェライトが含まれ得る。
磁性膜11a1~11a7及び磁性膜11b1~11b7用の材料となる軟磁性金属には、Fe、Ni、Co、及びこれら以外の任意の軟磁性金属が含まれる。
磁性膜11a1~11a7及び磁性膜11b1~11b7用の材料となる軟磁性合金には、Fe-Si系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Co系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Si-B-Cr系合金、又はこれら以外の任意の軟磁性合金が含まれる。
磁性膜11a1~11a7及び磁性膜11b1~11b7が樹脂に多数のフィラー粒子を分散させた複合材料からなる場合、当該樹脂として、絶縁性に優れた熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)樹脂、フェノール(Phenolic)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、又はポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂を用いることができる。当該フィラー粒子として、フェライト材料の粒子、金属磁性粒子、又はこれら以外の任意の公知のフィラー粒子を用いることができる。本発明に適用可能なフェライト材料の粒子は、例えば、Ni-Znフェライトの粒子またはNi-Zn-Cuフェライトの粒子である。本発明に適用可能な金属磁性粒子は、例えば、(1)金属系のFeもしくはNi、(2)合金系のFe-Si-Cr、Fe-Si-Al、もしくはFe-Ni、(3)非晶質のFe―Si-Cr-B-C、もしくはFe-Si-B-Cr、(4)またはこれらの混合材料の粒子である。
磁性膜11a1~11a7の各々の上面には、導体パターン25a1~25a7が形成され、磁性膜11b1~11b7の各々の上面には、導体パターン25b1~25b7が形成される。導体パターン25a1~25a7及び導体パターン25b1~25b7は、例えば、導電性に優れた金属又は合金から成る導電ペーストをスクリーン印刷法により印刷することにより形成される。この導電ペーストの材料としては、Ag、Pd、Cu、Al又はこれらの合金を用いることができる。導体パターン25a1~25a7は、これ以外の材料及び方法により形成されてもよい。導体パターン25a1~25a7及び導体パターン25b1~25b7は、例えば、スパッタ法、インクジェット法、又はこれら以外の公知の方法で形成されてもよい。
磁性膜11a1~磁性膜11a6の所定の位置には、ビアVa1~Va6がそれぞれ形成される。ビアVa1~Va6は、磁性膜11a1~磁性膜11a6の所定の位置に、磁性膜11a1~磁性膜11a6をT軸方向に貫く貫通孔を形成し、当該貫通孔に導電材料を埋め込むことにより形成される。
導体パターン25a1~25a7の各々は、隣接する導体パターンとビアVa1~Va6を介して電気的に接続される。このようにして接続された導体パターン25a1~25a7が、スパイラル状のコイル導体25aを形成する。すなわち、コイル導体25aは、導体パターン25a1~25a7及びビアVa1~Va6を有する。
導体パターン25a1のビアVa1に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極22に接続される。導体パターン25a7のビアVa6に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極21に接続される。
コイル導体25aは、T軸方向の一方の端部である上側コイル面26aと、T軸方向の他方の端部である下側コイル面27aと、を有する。図4に明瞭に示されているように、一実施形態において、上側コイル面26aは、磁性基体11(上側磁性基体11a)の上面と面一になるように設けられる。
磁性膜11b1~磁性膜11b6の所定の位置には、ビアVb1~Vb6がそれぞれ形成される。ビアVb1~Vb6は、磁性膜11b1~磁性膜11b6の所定の位置に、磁性膜11b1~磁性膜11b6をT軸方向に貫く貫通孔を形成し、当該貫通孔に導電材料を埋め込むことにより形成される。
導体パターン25b1~25b7の各々は、隣接する導体パターンとビアVb1~Vb6を介して電気的に接続される。このようにして接続された導体パターン25b1~25b7が、スパイラル状のコイル導体25bを形成する。すなわち、コイル導体25bは、導体パターン25b1~25b7及びビアVb1~Vb6を有する。
導体パターン25b1のビアVb1に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極24に接続される。導体パターン25b7のビアVb6に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極23に接続される。
コイル導体25bは、T軸方向の一方の端部である上側コイル面26bと、T軸方向の他方の端部である下側コイル面27bと、を有する。コイル導体25aは、その下側コイル面27aがコイル導体25bの上側コイル面26bと対向するように設けられている。図4に明瞭に示されているように、一実施形態において、下側コイル面27bは、磁性基体11(下側磁性基体11b)の下面と面一になるように設けられる。
磁性積層体11a8及び磁性積層体11b8は、複数の磁性膜が積層された積層体であってもよい。磁性積層体11a8及び磁性積層体11b8を構成する磁性膜の各々は、磁性膜11a1~11a7及び磁性膜11b1~11b7と同様に、様々な磁性材料から形成される。磁性積層体11a8を構成する磁性膜に用いられる磁性材料には、フェライト、軟磁性金属または軟磁性合金、樹脂に多数のフィラー粒子を分散させた複合材料、又はこれら以外の任意の公知の磁性材料が含まれる。
上側カバー層18aは、上側磁性基体11aの上面に設けられる。図4に示されている実施形態においては、コイル導体25aは、上側磁性基体11a内に、その上側コイル面26aが上側磁性基体11aの上面から露出するように設けられている。上側カバー層18aは、コイル導体25aの上側コイル面26aと接するように設けられる。図示の実施形態においては、上側コイル面26aが上側磁性基体11aの下面と面一となるように設けられている。このため、上側カバー層18aは、その下面においてコイル導体25aの上側コイル面26aと接している。
下側カバー層18bは、下側磁性基体11bの下面に設けられる。図4に示されている実施形態においては、コイル導体25bは、下側磁性基体11b内に、その下側コイル面27bが下側磁性基体11bの下面から露出するように設けられている。下側カバー層18bは、コイル導体25bの下側コイル面27bと接するように設けられる。図示の実施形態においては、下側コイル面27bが下側磁性基体11bの下面と面一となるように設けられている。このため、下側カバー層18bは、その上面においてコイル導体25bの下側コイル面27bと接している。
上側カバー層18a及び下側カバー層18bは、様々な磁性材料から形成される。上側カバー層18a及び下側カバー層18bの少なくとも一方は、磁性基体11の磁性材料よりも低い飽和磁束密度を有する磁性材料から形成される。これにより、上側カバー層18a及び下側カバー層18bの少なくとも一方は、磁性基体11よりも低い飽和磁束密度を有する。
上側カバー層18a及び下側カバー層18b用の磁性材料として、フェライト材料、軟磁性金属、軟磁性合金、樹脂に多数の磁性材料から成るフィラー粒子を分散させた複合材料、又はこれら以外の任意の公知の磁性材料を用いることができる。上側カバー層18a及び下側カバー層18b用の材料となる軟磁性合金として、Feを含有する軟磁性合金、例えば、Fe-Si系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Co系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、又はFe-Si-B-Cr系合金を用いることができる。
一実施形態においては、磁性基体11及び上側カバー層18aはいずれも、Feを含有する軟磁性合金の粒子群から形成される。この場合、上側カバー層18aにおける質量基準での鉄の含有比率は、磁性基体11における質量基準での鉄の含有比率よりも低い。例えば、磁性基体11及び上側カバー層18aがFe-Si系合金の粒子群を含む磁性材料から形成される場合、上側カバー層18aに含まれるFe-Si系合金におけるFeの質量基準での含有比率は、磁性基体11に含まれるFe-Si系合金におけるFeの質量基準での含有比率よりも小さくなる。上側カバー層18aと磁性基体11との間で、鉄の質量基準での含有比率の大小を比較する場合には、軟磁性合金粒子以外の上側カバー層18a及び磁性基体11の構成物(例えば、バインダ)の影響は無視して、上側カバー層18a及び磁性基体11の各々に含まれている軟磁性合金粒子における質量基準での鉄の含有比率の大小を比較することができる。
磁性基体11が第1の磁性材料から成る第1の領域と、第2の磁性材料から成る第2領域を有する場合には、上側カバー層18aにおける質量基準での鉄の含有比率は、当該第1領域における質量基準での鉄の含有比率よりも低く、且つ、当該第2領域における鉄の含有比率よりも低い。例えば、上側カバー層18aに含まれる軟磁性合金粒子群の各々における鉄の含有比率は、磁性基体11に含まれる軟磁性合金粒子群における鉄の含有比率よりも低い。このように、上側カバー層18aにおける質量基準での鉄の含有比率を磁性基体11における質量基準での鉄の含有比率よりも低くすることにより、上側カバー層18aの飽和磁束密度を磁性基体11の飽和磁束密度よりも低くすることができる。
一実施形態においては、磁性基体11及び下側カバー層18bはいずれも、Feを含有する軟磁性合金の粒子群から形成される。この場合、下側カバー層18bにおける質量基準での鉄の含有比率は、磁性基体11における質量基準での鉄の含有比率よりも低い。例えば、磁性基体11及び下側カバー層18bがFe-Si系合金の粒子群を含む磁性材料から形成される場合、下側カバー層18bに含まれるFe-Si系合金におけるFeの質量基準での含有比率は、磁性基体11に含まれるFe-Si系合金におけるFeの質量基準での含有比率よりも小さくなる。下側カバー層18bと磁性基体11との間で、鉄の質量基準での含有比率の大小を比較する場合には、軟磁性合金粒子以外の下側カバー層18b及び磁性基体11の構成物(例えば、バインダ)の影響は無視して、下側カバー層18b及び磁性基体11の各々に含まれている軟磁性合金粒子における質量基準での鉄の含有比率の大小を比較することができる。
磁性基体11が第1の磁性材料から成る第1の領域と、第2の磁性材料から成る第2領域を有する場合には、下側カバー層18bにおける質量基準での鉄の含有比率は、当該第1領域における質量基準での鉄の含有比率よりも低く、且つ、当該第2領域における質量基準での鉄の含有比率よりも低い。例えば、下側カバー層18bに含まれる軟磁性合金粒子群の各々における鉄の含有比率は、磁性基体11に含まれる軟磁性合金粒子群における鉄の含有比率よりも低い。このように、下側カバー層18bにおける鉄の含有比率を磁性基体11における鉄の含有比率よりも低くすることにより、下側カバー層18bの飽和磁束密度を磁性基体11の飽和磁束密度よりも低くすることができる。
鉄を含有する軟磁性合金は、一般に、鉄の含有比率が高いほど飽和磁束密度が高くなる。よって、上記のように、上側カバー層18aにおける鉄の含有比率を磁性基体11における鉄の含有比率よりも低くすることにより、上側カバー層18の飽和磁束密度を磁性基体11の飽和磁束密度よりも低くすることができ、同様に、下側カバー層18bにおける鉄の含有比率を磁性基体11における鉄の含有比率よりも低くすることにより、下側カバー層18bの飽和磁束密度を磁性基体11の飽和磁束密度よりも低くすることができる。上側カバー層18a及び下側カバー層18bの飽和磁束密度は、Feの含有比率以外のパラメータにより調整してもよい。
上側カバー層18aは、磁性積層体11a8と同様に、複数の磁性膜が積層された積層体であってもよい。下側カバー層18bは、磁性積層体11a8と同様に、複数の磁性膜が積層された積層体であってもよい。
磁性膜11a1~磁性膜11a7、磁性積層体11a8、上側カバー層18a、磁性膜11b1~磁性膜11b7、磁性積層体11a8、下側カバー層18bを構成する磁性膜は、その全てがフェライト材料から形成されてもよく、その全てが軟磁性金属材料または軟磁性合金材料から形成されてもよく、その全てが樹脂に多数のフィラー粒子を分散させた複合材料から形成されてもよい。磁性膜11a1~磁性膜11a7、磁性積層体11a8、上側カバー層18a、磁性膜11b1~磁性膜11b7、磁性積層体11a8、下側カバー層18bを構成する磁性膜は、その一部の磁性膜が他の磁性膜と異なる材料から形成されてもよい。
磁気結合型コイル部品1は、外部電極21と外部電極22との間に配されている第1コイル導体(コイル導体25a)と、外部電極23と外部電極24との間に配されている第2コイル導体(コイル導体25b)と、を有する。この2つのコイルの各々は、例えば、DC-DCコンバータに用いられる電源回路における2本の電源ラインとそれぞれ接続される。このようにして、磁気結合型コイル部品1は、コモンモードチョークコイルとして動作することができる。
磁気結合型コイル部品1は、第3のコイル(不図示)を含むことができる。第3のコイルを備える磁気結合型コイル部品1は、コイルユニット1aと同様に構成されたもう1つのコイルユニットを追加的に備える。当該追加のコイルユニットには、コイルユニット1a及びコイルユニット1bと同様にコイル導体が設けられ、当該コイル導体が追加的な外部電極と接続される。このような3つのコイルを含む磁気結合型コイル部品は、例えば、マルチフェイズDC-DCコンバータにおけるカップルドインダクタとして用いられる。
次に、図4を参照して、磁気結合型コイル部品1におけるコイル導体25aとコイル導体25bとの結合係数について説明する。図4は、図1の磁気結合型コイル部品をI-I線で切断した断面を模式的に示す図である。図4においては、コイル導体から発生する磁束(磁力線)が矢印で記載されている。また、図4においては、説明の便宜のために、個別の絶縁体層間の境界の図示は省略されている。
図示のように、コイル導体25aは、上側コイル面26aが上側カバー層18aと接するように上側磁性基体11a内に設けられている。コイル導体25aは、上側磁性基体11a内においてコイル軸Aの周りに巻回されている。コイル軸Aは、図1のT軸と平行に延伸している仮想的な軸線である。コイル軸Aは、T軸と垂直に配されてもよい。コイル導体25bは、下側コイル面27bが下側カバー層18bと接するように下側磁性基体11b内に設けられている。コイル導体25bは、上側磁性基体11aと同様にコイル軸Aの周りに巻回されている。
この磁気結合型コイル部品1の使用時には、コイル導体25a及びコイル導体25bに電流が流れる。図4の実施形態において、コイル導体25a及びコイル導体25bにおいて、外部電極21から外部電極22へ向かってコイル導体25aに電流が流れ、外部電極23から外部電極24へ向かってコイル導体25bに電流が流れている。コイル導体25a及びコイル25bに電流が流れると、コイル導体25aと鎖交する磁束41a、コイル導体25bと鎖交する磁束41b、及びコイル導体25a及びコイル導体25bの両方と鎖交する磁束42が発生する。図4においては、コイル導体25aに鎖交する磁束、コイル導体25bに鎖交する磁束、及びコイル導体25bの両方と鎖交する磁束の相互の区別をわかりやすくするために、磁束41a、磁束41b、及び磁束42が個別に描かれているが、これは説明の便宜のためのものであり、磁性基体11の各領域における実際の磁束は、コイル導体25a及びコイル導体25bのそれぞれを流れる電流によって発生する磁束を足し合わせたものとなる。図示の実施形態において、磁束41aは、コイル導体25aと鎖交しているがコイル導体25bとは鎖交していない磁束を表し、磁束41bは、コイル導体25bと鎖交しているがコイル導体25aとは鎖交していない磁束を表す。磁束42の向きはコイル導体25a及びコイル導体25bを流れる電流の量によって変化する。図4には、コイル導体25aを流れる電流の量がコイル導体25bを流れる電流の量よりも大きい場合における磁束42の向きが矢印で示されている。本明細書において、「鎖交」という用語は、本発明の技術分野における通常の意義に従って用いられている。すなわち、「鎖交」とは、2つの閉曲線が鎖のように互いに相手をくぐり抜けていることを意味する。
上記実施形態によれば、コイル導体25a及びコイル導体25bの両方と鎖交する磁束42は、飽和磁束密度が低い上側カバー層18a及び下側カバー層18bを通過する。言い換えれば、上側カバー層18a及び下側カバー層18bは、磁束42の磁路上に設けられている。これにより、コイル導体25a及びコイル導体25bへの電流印加時における結合係数の変化を抑制することができる。この点、以下でさらに説明する。
コイル導体25aおよびコイル導体25b両方に電流が流れると、前述のように磁束41a、磁束41bおよび磁束42が発生する。これらの磁束は、それぞれ自己インダクタンスL1、自己インダクタンスL2および相互インダクタンスMに寄与する磁束である。印加する電流を増加させると、磁性基体11の各領域において磁気飽和が進み、自己インダクタンスL1、自己インダクタンスL2および相互インダクタンスMは低下する。特に、コイル導体25aとコイル導体25bとの間にあるコイル間領域51では磁束41aと磁束41bが強め合うため、磁気飽和が進みやすい。このため、自己インダクタンスL1および自己インダクタンスL2が大きく低下する。よって、式1として示されている結合係数kの定義から明らかなように、相互インダクタンスMの変化が小さい場合には、L1およびL2の変化が結合係数kに対して支配的となる。つまり、自己インダクタンスL1および自己インダクタンスL2の低下によって式1の分母が小さくなるため、結合係数kが大きく変化する。従来の磁気結合型コイル部品では、自己インダクタンスL1および自己インダクタンスL2の変化量に比べてMの変化量が小さいため、結合係数kが大きく変化していた。
一方、上記の実施形態によれば、上側カバー層18aおよび下側カバー層18bに飽和磁束密度が小さい材料を使用している。磁束42は上側カバー層18aおよび下側カバー層18bの両方を通過している。このように、上記の実施形態による磁気結合型コイル部品1では、磁束42の経路に飽和磁束密度が小さく磁気飽和が進みやすい領域が含まれている。このため、磁気結合型コイル部品1では、磁束42の経路に飽和磁束密度が小さくなるように構成された領域を含まない従来の磁気結合型コイル部品と比較して、相互インダクタンスMが大きく低下するようになる。このため、コイル導体25aの自己インダクタンスL1とコイル導体25bの自己インダクタンスL2及びコイル導体25aとコイル導体25bとの間の相互インダクタンスMの両方を低下させることが出来、式1として示されている結合係数kの定義から明らかなように、結合係数kの変化を小さくすることができる。
上記実施形態によれば、磁束42の磁路上にある上側カバー層18a及び下側カバー層18bの少なくとも一方の飽和磁束密度を小さくすることで、結合係数の変化を抑制している。具体的には、上記実施形態において、磁束42の磁路上に設けられている上側カバー層18a及び下側カバー層18bの少なくとも一方が磁性基材11よりも飽和磁束密度の小さな磁性材料から構成されているため、かかる低飽和磁束密度領域が設けられていない同種のコイル部品と比較して相互インダクタンスMの低下率を大きくすることができる。相互インダクタンスMの低下率が大きくなることにより、自己インダクタンスL1及び自己インダクタンスL2の低下率と相互インダクタンスMの低下率との差を小さくすることができる。その結果、式1から理解されるように、結合係数kの変化を抑制することができる。
次に、磁気結合型コイル部品1の製造方法の一例を説明する。磁気結合型コイル部品1は、例えば積層プロセスによって製造することができる。まず、コイルユニット1a及びコイルユニット1bをそれぞれ作成する。
まず、磁性膜11a1~磁性膜11a7、磁性膜11b1~磁性膜11b7、磁性積層体11a8を構成する各磁性膜、磁性積層体11b8を構成する各磁性膜、上側カバー層18aを構成する各磁性膜、及び下側カバー層18bを構成する各磁性膜となるグリーンシートを作成する。これらのグリーンシートは、例えば、フェライト、軟磁性合金、又はこれら以外の磁性材料から形成される。以下では、磁性体シートは、軟磁性合金を含有する磁性材料から形成されるものとする。
まず、Fe-Si系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Co系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Si-B-Cr系合金、又はこれら以外の任意の軟磁性合金から成る軟磁性金属粒子の粒子群にバインダ樹脂及び溶剤を加えてスラリーを作成し、このスラリーをプラスチック製のベースフィルムの表面に塗布する。この塗布されたスラリーを乾燥させることでグリーンシートが作成される。
一実施形態において、上側カバー層18aを構成する各磁性膜の磁性材料における鉄の含有比率は、磁性膜11a1~磁性膜11a7及び磁性膜11b1~磁性膜11b7の磁性材料に含まれる鉄の含有比率よりも低い。例えば、上側カバー層18aに含まれる軟磁性合金粒子群の各々における鉄の含有比率は、磁性膜11a1~磁性膜11a7及び磁性膜11b1~磁性膜11b7の磁性材料に含まれる軟磁性合金粒子群における鉄の含有比率よりも低い。一実施形態においては、下側カバー層18bを構成する各磁性膜の磁性材料における鉄の含有比率は、磁性膜11a1~磁性膜11a7及び磁性膜11b1~磁性膜11b7の磁性材料に含まれる鉄の含有比率よりも低い。例えば、下側カバー層18bに含まれる軟磁性合金粒子群の各々における鉄の含有比率は、磁性膜11a1~磁性膜11a7及び磁性膜11b1~磁性膜11b7の磁性材料に含まれる軟磁性合金粒子群における鉄の含有比率よりも低い。
次に、磁性膜11a1~磁性膜11a6となる各グリーンシート及び磁性膜11b1~磁性膜11b6となる各グリーンシートの所定の位置に、各グリーンシートをT軸方向に貫く貫通孔を形成する。
次に、磁性膜11a1~磁性膜11a7となる各グリーンシートの上面及び磁性膜11b1~磁性膜11b7となる各グリーンシートの上面の各々に、導電ペーストをスクリーン印刷法により印刷することで、当該各磁性体シートに導体パターンを形成する。また、各磁性体シートに形成された各貫通孔に導電ペーストを埋め込む。このようにして磁性膜11a1~磁性膜11a7となるグリーンシートに形成された導体パターンは、それぞれ導体パターン25a1~導体パターン25a7となり、各貫通孔に埋め込まれた金属がビアVa1~Va6となる。また、磁性膜11b1~磁性膜11b7となるグリーンシートに形成された導体パターンは、それぞれ導体パターン25b1~導体パターン25b7となり、各貫通孔に埋め込まれた金属がビアVb1~Vb6となる。各導体パターン及び各ビアは、スクリーン印刷法以外にも公知の様々な方法で形成され得る。
次に、磁性膜11a1~磁性膜11a7となる各グリーンシートを積層して第1コイル積層体を得る。磁性膜11a1~磁性膜11a7となる各グリーンシートは、当該各グリーンシートに形成されている導体パターン25a1~25a7の各々が隣接する導体パターンとビアVa1~Va16を介して電気的に接続されるように積層される。同様に、磁性膜11b1~磁性膜11b7となる各グリーンシートを積層して第2コイル積層体を得る。磁性膜11b1~磁性膜11b7となる各グリーンシートは、当該各グリーンシートに形成されている導体パターン25b1~25b7の各々が隣接する導体パターンとビアVb1~Vb16を介して電気的に接続されるように積層される。
次に、磁性積層体11a8用の各グリーンシートを積層して第1下部積層体を形成し、上側カバー層18a用の各グリーンシートを積層して第1上部積層体を形成し、磁性積層体11b8用の各グリーンシートを積層して第2上部積層体を形成し、下側カバー層18b用の各グリーンシートを積層して第2下部積層体を形成する。
次に、第2下部積層体、第2コイル積層体、第2上部積層体、第1下部積層体、第1コイル積層体、及び第1上部積層体をT軸方向の負方向側から正方向側に向かってこの順序で積層し、この積層された各積層体をプレス機により熱圧着することで本体積層体が得られる。本体積層体は、2下部積層体、第2コイル積層体、第2上部積層体、第1下部積層体、第1コイル積層体、及び第1上部積層体を形成せずに、準備したグリーンシート全てを順番に積層して、この積層されたグリーンシートを一括して熱圧着することにより形成しても良い。
次に、ダイシング機やレーザ加工機等の切断機を用いて上記本体積層体を所望のサイズに個片化することで、チップ積層体が得られる。次に、このチップ積層体を脱脂し、脱脂
されたチップ積層体を加熱処理する。このチップ積層体の端部に対して、必要に応じて、バレル研磨等の研磨処理を行う。
次に、このチップ積層体の両端部に導体ペーストを塗布することにより、外部電極21、外部電極22、外部電極23、及び外部電極24を形成する。外部電極21、外部電極22、外部電極23、及び外部電極24には、必要に応じて、半田バリア層及び半田濡れ層の少なくとも一方が形成されてもよい。以上により、磁気結合型コイル部品1が得られる。
上記の製造方法に含まれる工程の一部は、適宜省略可能である。磁気結合型コイル部品1の製造方法においては、本明細書において明示的に説明されていない工程が必要に応じて実行され得る。上記の磁気結合型コイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、本発明の趣旨から逸脱しない限り、随時順番を入れ替えて実行され得る。上記の磁気結合型コイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、可能であれば、同時に又は並行して実行され得る。
磁気結合型コイル部品1に含まれる各磁性膜は、各種のフィラー粒子を分散させた樹脂を仮硬化させた絶縁シートから形成されてもよい。かかる絶縁シートについては、脱脂を行う必要がない。
磁気結合型コイル部品1は、スラリービルド法又はこれ以外の任意の公知の方法により製造されてもよい。
磁気結合型コイル部品1は、積層プロセスによって形成されるので、従来の組立型のカップルドインダクタよりも小型化が容易に可能となる。
続いて、図5を参照して、本発明の別の一実施形態について説明する。図5は、本発明の一実施形態による磁気結合型コイル部品101の断面を模式的に示している。図5に示されている磁気結合型コイル部品101は、磁性基体11の上に上側カバー層118aが設けられており、磁性基体11の下に下側カバー層118bが設けられている。この磁気結合型コイル部品101において、コイル導体25aは、その上側コイル面26aに加えてその外側面28aの一部及び内側面29aの一部においても上側カバー層118aに接するように設けられている。また、コイル導体25aは、その下側コイル面27bに加えてその外側面28bの一部及び内側面29bの一部においても下側カバー層118bに接するように設けられている。上側カバー層118a及び下側カバー層118bの少なくとも一方は、磁性基体11の磁性材料よりも低い飽和磁束密度を有する磁性材料から形成される。これにより、上側カバー層118a及び下側カバー層118bの少なくとも一方は、磁性基体11よりも低い飽和磁束密度を有する。
コイル導体25a及びコイル導体25bに両者が負結合する方向に電流が流れる場合、磁束42は、コイル導体25aの上側コイル面26a、外側面28aの上端付近、及び内側面29aの上端付近、並びに、コイル導体25bの下側コイル面27b、外側面28bの下端付近及び内側面29bの下端付近に集まる。図5に示されている実施形態によれば、コイル導体25aの上側コイル面26a付近だけでなく、外側面28aの上端付近及び内側面29aの上端付近にも上側カバー層118aが設けられており、また、コイル導体25bの下側だけでなく、コイル導体25bの外側面28bの下端付近及び内側面29bの下端付近にも下側カバー層118bが設けられている。このため、当該領域における磁気飽和が促進されるので、図4に示されている実施形態よりも、コイル導体25aとコイル導体25bとの相互インダクタンスMの変化をさらに大きくすることができる。これにより、結合係数の変化をさらに抑制することができる。
続いて、図6を参照して、本発明のさらに別の一実施形態について説明する。図6は、本発明の一実施形態による磁気結合型コイル部品201の断面を模式的に示している。図6に示されている磁気結合型コイル部品201は、磁性基体11の上に上側カバー層218aが設けられており、磁性基体11の下に下側カバー層218bが設けられている。
上側カバー層218aは、コイル軸Aにそった軸方向から見た平面視において、コイル導体25aの上側コイル面26aと重複する上側第1領域219aと、当該上側コイル面26aと重複しない上側第2領域220aと、を有する。下側カバー層218bは、コイル軸Aにそった軸方向から見た平面視において、コイル導体25bの下側コイル面26bと重複する下側第1領域219bと、当該下側コイル面27bと重複しない下側第2領域220bと、を有する。
上側カバー層218aのうち上側第1領域219aは、磁性基体11の磁性材料及び上側第2領域220aの磁性材料よりも低い飽和磁束密度を有する磁性材料から形成される。これにより、上側カバー層218aは、上側第1領域219aにおいて磁性基体11及び上側第2領域220aよりも低い飽和磁束密度を有する。
下側カバー層218bのうち下側第1領域219bは、磁性基体11の磁性材料及び上側第2領域220bの磁性材料よりも低い飽和磁束密度を有する磁性材料から形成される。これにより、下側カバー層218bは、下側第1領域219bにおいて磁性基体11及び下側第2領域220bよりも低い飽和磁束密度を有する。
図6に示されている実施形態によれば、コイル導体25aの上側コイル面26a付近に上側カバー層218aのうち飽和磁束密度が低い上側第1領域219aが設けられており、また、コイル導体25bの下側コイル面27b付近に下側カバー層218bのうち飽和磁束密度が低い下側第1領域219bが設けられている。このため、当該領域における磁気飽和が促進され、その結果、電流が印加されたコイル導体25aとコイル導体25bとの相互インダクタンスMの変化を大きくすることができる。これにより、結合係数の変化を抑制することができる。
図6に示されている磁気結合型コイル部品201は、上側第1領域219a及び下側第1領域219bを備えているが、このうちの一方を省略してもよい。すなわち、磁気結合型コイル部品201は、上側第1領域219a及び下側第1領域219bの少なくとも一方を備える。
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
1,101,201 磁気結合型コイル部品
11 磁性基体
18a,118a,218a 上部カバー層
18b、118b,218b 下部カバー層
219a 上側第1領域
219b 下側第1領域

Claims (15)

  1. 磁性基体と、
    前記磁性基体の上面に設けられた上側カバー層と、
    前記磁性基体の下面に設けられた下側カバー層と、
    上側コイル面を有し、前記磁性基体内に少なくとも前記上側コイル面が前記上側カバー層と接するように設けられた第1のコイル導体と、
    下側コイル面を有し、前記磁性基体内に少なくとも前記下側コイル面が前記下側カバー層と接するように設けられた第2のコイル導体と、
    を備え、
    前記上側カバー層は、平面視において前記第1のコイル導体の前記上側コイル面と重複する上側第1領域を有し、少なくとも前記上側第1領域において前記磁性基体よりも低い飽和磁束密度を有する、
    磁気結合型コイル部品。
  2. 前記上側第1領域は、前記磁性基体よりも鉄の含有比率が低い、
    請求項1に記載の磁気結合型コイル部品。
  3. 前記下側カバー層は、平面視において前記第2のコイル導体の前記下側コイル面と重複する下側第1領域を有し、少なくとも前記下側第1領域において前記磁性基体よりも低い飽和磁束密度を有する、
    請求項1又は請求項2に記載の磁気結合型コイル部品。
  4. 前記下側第1領域は、前記磁性基体よりも鉄の含有比率が低い、
    請求項3に記載の磁気結合型コイル部品。
  5. 前記上側カバー層は、平面視において前記第1のコイル導体の前記上側コイル面と重複しない上側第2領域を有し、前記上側第2領域において前記磁性基体よりも低い飽和磁束密度を有する、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁気結合型コイル部品。
  6. 前記上側第2領域は、前記磁性基体よりも鉄の含有比率が低い、
    請求項5に記載の磁気結合型コイル部品。
  7. 前記下側カバー層は、平面視において前記第2のコイル導体の前記下側コイル面と重複しない下側第2領域を有し、前記下側第2領域において前記磁性基体よりも低い飽和磁束密度を有する、
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の磁気結合型コイル部品。
  8. 前記下側第2領域は、前記磁性基体よりも鉄の含有比率が低い、
    請求項7に記載の磁気結合型コイル部品。
  9. 前記第1のコイル導体は、前記上側コイル面が前記磁性基体の前記上面と面一になるように設けられている、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の磁気結合型コイル部品。
  10. 前記第2のコイル導体は、前記下側コイル面が前記磁性基体の前記下面と面一になるように設けられている、
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の磁気結合型コイル部品。
  11. 第1の外部電極と、第2の外部電極と、第3の外部電極と、第4の外部電極と、をさらに備え、
    前記第1のコイル導体は、その一端が前記第1の外部電極に接続されるとともにその他端が前記第2の外部電極に接続され、
    前記第2のコイル導体は、その一端が前記第3の外部電極に接続されるとともにその他端が前記第4の外部電極に接続されている、
    請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の磁気結合型コイル部品。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の磁気結合型コイル部品を実装した回路基板。
  13. 請求項12に記載の回路基板を実装した電子機器。
  14. 請求項1に記載された磁気結合型コイル部品の製造方法であって、
    前記磁性基体となる第1部位、前記上側カバー層となる第2部位、及び前記下側カバー層となる第3部位を含む構造体であって、前記第1部位の内部に前記第1コイル導体となる第1導体部及び前記第2コイル導体となる第2導体部が設けられている構造体を作製する工程と、
    前記構造体に加熱処理を行う工程と、
    を備える製造方法。
  15. 前記構造体が積層プロセスにより作成される、
    請求項14に記載の製造方法。
JP2018136221A 2018-07-19 2018-07-19 磁気結合型コイル部品及びその製造方法 Active JP7065719B2 (ja)

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