JP7105535B2 - 蒸気タービン翼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蒸気タービン翼の製造方法に関する。本発明は、特には、耐エロージョン摩耗性、耐食性に極めて優れた蒸気タービン翼の製造方法に関する。
一般に、蒸気タービンでは、液滴化した蒸気が衝突することによりタービン低圧段翼の前縁部(蒸気入口側)にエロージョン摩耗が生じる。エロージョン摩耗対策として、上記翼前縁部に、火炎トーチや高周波誘導加熱、レーザ加熱を用いた母材の硬化処理を行い、翼前縁部の耐エロージョン摩耗性を向上させており、蒸気タービン翼前縁部には、通常、硬化層が形成されている。
特に、地熱発電に用いられるタービンの駆動蒸気には、腐食成分の混入が多く、前記の耐エロージョン摩耗性に加えて、耐食性が要求される。そこで、耐エロージョン摩耗性と耐食性の両特性に優れる合金、例えばステライト(登録商標)による被覆層をろう付けによりタービン翼の母材上に形成する技術が知られている。このろう付けは、板状の耐食合金をタービン翼の複雑曲面形状に合わせて曲げ加工したものを用いる。この複雑曲面形状に追従した曲げ加工には熟練したノウハウが要求されるため、品質の維持が難しい場合があった。
レーザクラッディングを用いてステライトのクラッド層をタービン翼の母材上に形成し、上記の複雑形状追従に対する問題を解決する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この方法は、入熱管理が容易であり、かつ微細処理が可能で、様々な翼形状に追従可能であるという利点をもつ。
レーザクラッディング装置に複数の粉末供給管を設けるレーザクラッディング技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)。このようなクラッディング装置において、金属またはセラミック等の粉末を用いることも開示されている。
特開平9-314364号公報 特開平11-775号公報
近年、腐食環境により適した材料が求められている。耐食性に優れるニッケル系材料は硬度が低く、耐エロージョン摩耗性を満足しない。一方、高硬度、高耐食を両立する材料であるセラミック材は、溶射などの手段によりコーティングが可能であるが、コーティング層に多数の空隙が発生する。このため、これらの空隙を通して腐食成分が侵入することで、コーティング層下の母材が腐食し、コーティング層の剥離・破壊が生じる問題がある
上述した問題に対し、過酷な腐食環境においても、高耐エロージョン摩耗性、高耐食性を両立する蒸気タービン翼を提供することを目的とする。
本発明は、一実施形態によれば、[1]セラミック材料粉末と金属材料粉末とを噴射量を個別に制御して噴射する工程と、噴射された前記セラミック材料粉末と前記金属材料粉末との混合噴射粉末を母材上に供給する工程と、前記母材上の前記混合噴射粉末にレーザを照射して、クラッド層を形成する工程とを含む、蒸気タービン翼の製造方法に関する。
[2] 前記[1]に記載の製造方法において、前記セラミック材料粉末が、被覆金属により被覆された金属被覆セラミック材料粉末であることが好ましい。
[3] 前記[2]に記載の製造方法において、前記金属被覆セラミック材料粉末は、前記セラミック材料粉末がタングステンカーバイドであり、前記被覆金属材料が耐食合金であることが好ましい。
[4] 前記[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法において、前記金属材料粉末が、耐食合金であることが好ましい。
[5] 前記[2]~[4]のいずれかに記載の製造方法において、前記クラッド層中の網目状化合物の面積比率が、単位断面積あたり70%未満であることが好ましい。
[6] 前記[1]に記載の製造方法において、前記セラミック材料粉末と前記金属材料粉末の平均粒径が、所定の粒径比率であることが好ましい。
[7] 前記[6]に記載の製造方法において、前記セラミック材料粉末の平均粒径が100~250μmであり、前記金属材料粉末の平均粒径が50~150μmであって、前記セラミック材料粉末の平均粒径が前記金属材料粉末の平均粒径よりも大きいことが好ましい。
[8] 前記[1]~[7]のいずれかに記載の製造方法において、前記母材が、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼であることが好ましい。
本発明は、また別の実施形態によれば、[9] 前記[1]~[8]のいずれかに記載の製造方法により製造された蒸気タービン翼に関する。
[10] 前記[9]に記載の蒸気タービン翼において、前記クラッド層の総質量に対し、セラミック材料が40~80質量%含まれており、前記クラッド層の厚さが2mm以上であることが好ましい。
[11] 前記[9]または[10]に記載の蒸気タービン翼において、前記母材が、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼であることが好ましい。
本発明によれば、蒸気タービン翼においてエロージョンおよび腐食が同時に発生する部位、例えばタービン低圧翼前縁部に、高耐エロージョン摩耗性と高耐食性を両立するクラッド層を形成することができ長寿命を有する蒸気タービン翼を提供する。
本発明に係る蒸気タービン翼の製造方法を模式的に示す図である。 蒸気タービン翼の腐食が生じやすい部位を示す図である。 本発明の実施例1における、クラッド層が形成された部位における蒸気タービンの断面を示す写真である。 比較例における、母材上にセラミックがコーティングされた部材の断面写真を示す図である。 本発明の実施例2において用いたサーメット材の写真及び表面成分分析結果を示す図である。 本発明の実施例1において用いたサーメット材、製造されたクラッド層の部分断面を示す写真である 本発明の実施例1における、クラッド層の断面写真を示す図である。
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。また、図面は、本発明を説明するための例示的な概略図であって、図中の各部材の寸法や相対的な位置関係は、本発明を限定するものではない。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態による、クラッド層形成工程を模式的に示すものである。図1において、製造される蒸気タービン翼1は、母材12と、その一部に形成されたクラッド層11から構成されている。レーザクラッディング装置2は、被加工物である蒸気タービン翼1に対向して配置されている。
蒸気タービン翼1の母材12としては、耐エロージョン摩耗性、耐食性、に優れたステンレス鋼を用いることができ、特には、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼から選択されるステンレス鋼を用いることが好ましい。また、地熱発電用の蒸気タービン翼の母材12としては、耐食性の観点から、マルテンサイト系ステンレス鋼を用いることがさらに好ましい。当該所定の材料を、所定の翼形状に成形し、本実施形態における母材12とすることができる。翼形状に加工したものにクラッド層11を形成してもよく、母材12の一部を切り取って、切り取った形状のクラッド層11を形成してもよい。母材12は、クラッド層形成工程前に、必要に応じて、研磨紙で磨くなどの物理的表面処理や、母材強度等の特性に影響を与えないそのほかの表面処理を行ってもよい。
母材12におけるクラッド層11形成部位は、蒸気タービン翼として用いる場合に、腐食が発生しやすい部位であってよく、例えば、翼先端近傍の周速が大きくなる部位や、周縁部位などの厚さが薄い部位であってよく、典型的には翼前縁部であるが、これらには限定されない。図2は、一般的な蒸気タービン翼の腐食が発生しやすい部位を模式的に示す図である。図2(a)は、蒸気タービン翼1の正面図を示し、(b)は、翼先端の断面図を示す。いずれの図においても、翼前縁部が、腐食が発生しやすい部位Eとなっている。このEで示す部位に、クラッド層11を形成することができる。
クラッド層11を形成する材料としては、セラミック材料粉末Cと、金属材料粉末Mとを用いる。特に、本実施形態においては、セラミック材料粉末Cとして、金属材料によって表面被覆されていないセラミック材料粉末を用いる。
表面被覆されていないセラミック材料粉末としては、特には限定されず、任意のセラミック材料を用いることができる。セラミック材料に属する化合物はいずれも、クラッド層11に耐エロージョン摩耗性を付与するのに十分な硬度を備えているためである。具体的な化合物としては、例えば、タングステンカーバイド(WC、WC)、NbC、VC、CrC、MoC等が挙げられるが、これらには限定されない。セラミック材料粉末は、平均粒径が100~250μmであることが好ましく、100~150μmであることがさらに好ましい。本明細書において、平均粒径とは、レーザー回折法で測定した平均粒径をいうものとする。セラミック材料粉末は、上記好ましい範囲から、後述する金属材料粉末の平均粒径よりも大きくなるように選択する。
金属材料粉末としては、高耐食合金の粉末を用いることができる。高耐食合金としては、例えば、Co、Ni、Fe、Cr、Mo、V、Ti、Nb等の耐食合金が挙げられるが、これらには限定されない。中でも、例えばニッケル合金を使用することができる。特には、ニッケルを主成分とし、モリブデンやクロム等をさらに含む合金であることが摩耗及び耐食の観点から好ましい。このような合金としては、ハステロイ(登録商標)として知られているもの、あるいはハステロイを含む複合材を用いることができるが、これらには限定されない。ハステロイとしては、例えば、ハステロイC4、C2000、C22、C276、BC-1、G3、N、Xが挙げられるが、これらには限定されない。このような金属材料粉末は、クラッド層11に耐食性を与え、錆を防止することができる。金属材料粉末の平均粒径は、50~150μmであることが好ましい。ただし、金属材料の平均粒径は、セラミック材料の平均粒径以下となるように選択する。加えて、セラミック材料粉末の平均粒径と金属材料粉末の平均粒径の比は、1:1~2:1であると望ましい。
クラッド層11の形成は、レーザや、高密度エネルギー線によるクラッディングにより実施することができ、装置の汎用性の観点から、レーザクラッディングにより実施することが好ましい。一例として、図1に示すレーザクラッディング装置2を用いたクラッディングについて説明する。図1に示すレーザクラッディング装置2は、クラッディングレーザ21と、ノズル23と、粉体供給管23と、噴射制御部24とから主として構成されている。クラッディングレーザ21としては、半導体レーザを用いることが好ましい。レーザ照射条件は、母材12や金属材料、セラミック材料の組成、母材の曲率などにより、決定することができ、当業者であれば、レーザクラッディングにおける各種条件を、適宜設定することができる。
レーザクラッディング装置2を用いてレーザクラッディングを行う場合、クラッディングレーザ21からレーザ光Lを照射するとともに、複数の粉体供給管23から、粉体供給管上流に設けられた噴射制御部24と図示しないキャリアガスにより、セラミック材料粉末Cと、金属材料粉末Mとを供給する。セラミック材料粉末Cと金属材料粉末Mは、それぞれ、噴射制御部24により個別に噴射量を制御して噴射され、それぞれが別個の粉体供給管23から供給される。そして、これらを、ノズル22において均一に混合し、混合噴射粉末を母材上に供給することが好ましい。したがって、粉体供給管23は、2本、4本、6本、8本、あるいはそれ以上とすることが好ましい。このとき、セラミック材料粉末Cの供給率は、8~15mm/secとすることが好ましく、金属材料粉末Mの供給率は、19~28mm/secとすることが好ましく、粉体供給率の総計が27mm/sec以上であって、43mm/sec以下程度とすることが好ましい。また、セラミック材料粉末Cと金属材料粉末Mの供給比を、体積比で、4:6~7:3とすることが好ましい。また、クラッディングレーザ21を母材12に対し、4~15mm/secで、XY方向に走査することができる。これにより、母材12上で金属材料粉末Mを溶融し、金属層の内部にセラミック材料が分散したクラッド層11を形成することができる。
クラッド層11の厚さは、必要とされる蒸気タービン翼1の仕様等により当業者が適宜決定することができ、特には限定されないが、例えば、2mm以上とすることが好ましい。クラッド層11が薄すぎると耐食性・耐エロージョン摩耗性が不十分となる場合があり、厚すぎると歪により割れやすくなる場合がある。本実施形態により製造された蒸気タービンにおいては、クラッド層11が、金属とセラミックスの複合材料により形成され、セラミックス間の空隙が金属で充填されて、空隙が存在しないものとなっている。具体的には、製造後のクラッド層においては、クラッド層全体の質量に対して、約40~80質量%のセラミック材料粉末が、金属層中に分散されており、セラミック材料粉末の粒径は、好ましくは製造時の93~100%程度となっている。
本実施形態に係る蒸気タービン翼の製造方法には、蒸気タービン翼を新たに製造する際の製造に加えて、蒸気タービン翼を修復する方法も含むものとする。この場合、必要に応じて、母材の一部に研磨処理等を行った上で、本実施形態の製造方法同様に、必要な個所に対して、クラッド層形成工程を実施し、蒸気タービン翼を修復し、製造することができる。
本実施形態による製造方法によれば、金属材料とセラミック材料との複合材であるクラッド層を形成した蒸気タービン翼を製造することができる。このようなクラッド層は、腐食物質の母材への浸透を防ぎ、高耐食性と高耐エロージョン摩耗性を併せ持つ蒸気タービン翼を実現することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、セラミック材料粉末が、被覆金属により被覆された金属被覆セラミック材料粉末である方法に関する。「被覆金属により被覆された金属被覆セラミック材料粉末」とは、セラミック材料粉末が被覆金属で完全に被覆されている場合もあり、1つのセラミック粒子の表面が被覆金属により少なくとも部分的に被覆された態様であってもよい。また、複数のセラミック粒子が被覆金属により固着された態様であってもよい。なお、固着された状態においても、複数の固着されたセラミック粒子の外表面側のセラミック粒子が被覆金属により少なくとも部分的に被覆された態様であってもよい。
第2実施形態においても、レーザクラッディング装置2、被加工物である蒸気タービン翼1の母材12、母材12におけるクラッド層11形成部位は、第1実施形態と同様であってよい。また、クラッド層11を形成する材料としては、金属材料粉末Mと、金属被覆セラミック材料粉末を用いる。
金属被覆セラミック材料粉末は、好ましくは、例えば、0.5~3μmの微細なセラミック粒子を被覆金属(固着金属)によって固めたサーメット材料である。サーメット材料においては、セラミック材料粉末の表面には被覆金属材料が露出している。サーメット材料におけるセラミック粒子を構成する化合物は特に限定されず、第1実施形態において例示した化合物を用いることができる。一方、セラミック粒子同士を固着する金属としては、レーザ吸収率の低い金属を用いることができ、例えば、Co、Ni、Fe、Cr、Mo、V、Ti、Nb等の耐食合金が挙げられるが、これらには限定されない。サーメット材料の平均粒径は、40~100μmであることが好ましく、50~70μmであることがさらに好ましい。このような金属被覆セラミック材料粉末は、レーザ光照射時のセラミック粉末の過加熱を防止し、セラミック溶融に起因する化合物が、クラッド層に形成されることを抑制することができる点で、有利である。
金属材料粉末は、第1実施形態と同様の種類の金属を用いることができ、金属材料粉末はサーメット材料の固着金属の種類とは関係なく、独立して選択することができる。また、その平均粒径については、40~100μmであることが好ましく、50~70μmであることがさらに好ましい。また、金属被覆セラミック材料粉末がサーメット材料の場合に、サーメット材料の平均粒径が、金属材料粉末の平均粒径以上であることが好ましい。
第2実施形態においても、第1実施形態で説明したレーザクラッディング装置2を用いてクラッディング層を形成することができる。したがって、レーザクラッディング装置2の構成、クラッディングレーザ21の種類や、レーザ照射条件もまた、第1実施形態と同様であってよい。レーザクラッディング装置2において複数の粉体供給管23を用いる態様も、第1実施形態と同様であってよい。第2実施形態において、金属被覆セラミック材料粉末の供給率は、19~28mm/secとすることが好ましい。金属材料粉末の供給率は、8~15mm/secとすることが好ましく、粉体供給率の総計が27mm/sec以上であって、43mm/sec以下程度とすることが好ましい。また、金属被覆セラミック材料粉末と金属材料粉末の供給比を、質量比(体積比)で、4:6~7:3とすることが好ましい。クラッディングレーザ21の走査速度及び走査態様もまた、第1実施形態と同様とすることができる。
第2実施形態においても、クラッド層11の厚さは、例えば、2mm以上とすることが好ましい。本実施形態により製造された蒸気タービンにおいても、クラッド層11が、金属とセラミックスの複合材料により形成され、セラミックス間の空隙が金属で充填されて、空隙が存在しないものとなっている。具体的には、製造後のクラッド層においては、クラッド層全体の質量に対して、約40~80質量%のセラミック材料粉末が、金属層中に分散されており、セラミック材料粉末の粒径は、好ましくは製造時の93~100%程度となっている。そして、クラッド層中においては、セラミック溶融に起因して生成しうる網目状化合物が存在するが、その存在量は、単位断面積あたりの面積率で、好ましくは70%未満である。
第2実施形態においては、特に、サーメット材料などの金属被覆セラミック材料粉末を用いることで、セラミック材料の溶融を抑えながら、金属材料を溶融させて、金属層の内部にセラミック材料が分散したクラッド層を形成することができる。クラッド層の厚さは、2mm以上であることが好ましい。第2実施形態によれば、クラッド層内に、セラミック材料の成分と、金属成分とから構成される化合物が形成されるのを抑制することができる。このようなクラッド層を備える蒸気タービン翼は、耐エロージョン摩耗性に優れるとともに、耐腐食性に極めて優れており、腐食試験を実施し、過酷な腐食環境に曝した後であっても、欠陥につながる組織が生成することはない。
以下、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
タービン翼の母材として、13クロム合金鋼(マルテンサイト系ステンレス鋼)によって構成されており、所定の形状に加工されているものを用いた。13クロム合金鋼は、レーザ吸収率のばらつきを抑制するため、あらかじめ#80の研磨紙で磨いておいた。クラッド層を形成する材料としては、セラミック材料として平均粒径が150μmのWCを用い、金属材料として平均粒径が100μmのハステロイC276を用いた。
クラッディング用レーザには波長940、980±10nmを発振する半導体レーザ(laserline社製)を用いた。レーザ焦点位置がタービン翼母材の表面となるようにレーザヘッド高さを調整した。レーザ出力を1200W、レーザスポット径は、5.4×5mmとした。レーザクラッディング装置は、粉体供給ノズルが4本のものを使用し、2本からセラミック材料粉末を、2本から金属材料粉末を供給してこれらを均一に混合した。セラミック材料の供給レートは、8mm/sec、金属材料の供給レートは、19mm/secとし、供給レートの総計は28.9mm/secとした。
これらの条件によりクラッド層を形成した。図3(a)は、母材上に形成されたクラッド層の断面写真であり、図3(b)は、(a)の一点鎖線で囲んだ部位を拡大して、走査型電子顕微鏡で観察した写真である。図3(b)から、クラッド層は、耐食性が高いが低硬度のNi系耐食合金(ハステロイC276)Hの層の中に、高硬度で耐エロージョン摩耗性が高いセラミック粒子(WC)が分散していることが確認できる。また、クラッド層厚さは2.4mmであり、2mm以上の厚膜なクラッド層が得られた。本実施例の材料構成及び製法により、高硬度なセラミックによる耐エロージョン摩耗性を確保しつつ、空隙がなく腐食性成分の侵入経路がない高耐食性なクラッド層をもつ蒸気タービンが得られたことを確認した。
比較例として、同一の母材上に、平均粒径が60μmのWCからなるセラミック材料単体の約50μmのコーティング層を、溶射により形成した。図4は、セラミック材料単体のコーティング層を、走査型電子顕微鏡により観察した写真である。セラミック材料単体のコーティング層には、多くの空隙Pがみられた。このような空隙の存在は、耐食性物質が母材に達する経路となりうる。
[実施例2]
タービン翼の母材としては、実施例1と同様の物を用い、あらかじめ#80の研磨紙で磨いておいた。クラッド層を形成する材料としては、金属被覆セラミック材料粉末として、平均粒径が60μm程度のWC/Coサーメットを用い、金属材料粉末として平均粒径が60μmのハステロイC276を用いた。図5(a)は、本実施例で用いたWC/Coサーメットの走査型電子顕微鏡写真である。WC/CoサーメットSは、粒径が1μm程度の微細なWC粒子を溶融Coにより固着した粉末材料であり、その外表面側のWC粒子の3割ほどがCoに覆われている。図5(b)は、図5(a)の一点鎖線で囲んだ部位の拡大写真である。図5(b)において、白い粒状にみえるのが、WC粒子である。図5(c)は、5(b)の視野についてのEDXマッピングによるCoの元素分析結果であり、図5(c)中の白く見える分布がCoの分布である。
クラッディング用レーザは、実施例1と同じものを用い、レーザ照射条件についても、実施例1と同様とした。レーザクラッディング装置は、粉体供給ノズルが4本のものを使用し、2本からセラミック材料を、2本から金属材料を供給して、これらを均一に混合した。セラミック材料の供給レートは、8mm/sec、金属材料の供給レートは、19mm/secとした。
図6(a)は、実施例2により得られたクラッド層の断面写真であり、図6(b)は、その拡大写真である。図6(c)は、実施例1のWC粉末を用いたクラッド層の断面を示す写真である。実施例2のクラッド層では、実施例1のクラッド層と比較して網目状の化合物Xの形成量が少ないことがわかる。この網目状の化合物は、Ni-Mo-W化合物であり、レーザクラッディングにおいてみられるセラミック溶融に起因する化合物である。腐食試験においては、この網目状の化合物の量が少ないほど寿命が長く、単位断面積当たりの網目状化合物の占める面積比率が、70%以上の範囲で寿命が極端に減少した。
図7(a)は、実施例1の母材上に形成されたクラッド層の断面写真であり、図7(b)は、(a)の一点鎖線で囲んだ部位を拡大して、走査型電子顕微鏡で観察した写真である。図7(c)は、(b)の一点鎖線で囲んだ部位をさらに拡大して、走査型電子顕微鏡で観察した写真である。図7(c)に示すクラッド層に含まれる網目状化合物X、片状化合物Z、黒色部分Y、並びにハステロイC276(POWDER)の組織分析を行った結果を、下記表1に示す。
Figure 0007105535000001
EDXによる分析結果から、網目状化合物X、片状の化合物Zは、セラミック粉末成分であるタングステン(W)を多く含んでおり、網目状化合物Xはセラミックの溶融により発生したNi-Mo-W化合物、片状化合物ZはNi-W化合物、黒色部分Yは、ハステロイC276であることがわかった。
実施例2により得られた蒸気タービンのクラッド層においては、製造過程でセラミックの溶融が抑制され、Ni-Mo-W化合物の形成を抑制することができる。このため、クラッド層内に、耐食性の低下に繋がり得るNi-Mo-W化合物が少なく高耐食性なクラッド層をもつ蒸気タービンが得られた。これは、セラミック材料粉末として、WC/Coサーメットを用いることにより、セラミックのレーザ吸収率が高いことに起因する溶融を、Coなどの被覆金属により抑えることができたためであると考えられる。なお、写真は示さないが、WC/Coサーメットに代えて、WC/Niサーメットを用いた場合にも、同様の結果が得られた。
本発明の方法により製造された蒸気タービン翼は、発電用に好ましく用いられる。例えば、地熱発電用蒸気タービン翼、火力発電用蒸気タービン翼に用いられ、耐食性が高いことから、特には地熱発電用蒸気タービン翼として好適に用いられる。
1 蒸気タービン翼
11 クラッド層
12 母材
2 レーザクラッディング装置
21 クラッディングレーザ
22 ノズル
23 粉体供給管
24 噴射制御部
C セラミック材料粉末
M 金属材料粉末
L レーザ光

Claims (9)

  1. セラミック材料粉末と金属材料粉末とを異なる粉体供給管から、噴射量を個別に制御して噴射する工程と、
    噴射された前記セラミック材料粉末と前記金属材料粉末との混合噴射粉末を母材上に供給する工程と、
    前記母材上の前記混合噴射粉末にレーザを照射して、クラッド層を形成する工程と
    を含み、前記セラミック材料粉末が、被覆金属により被覆された金属被覆セラミック材料粉末である、蒸気タービン翼の製造方法。
  2. 前記金属被覆セラミック材料粉末は、前記セラミック材料粉末がタングステンカーバイドであり、前記被覆金属材料が耐食合金である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記金属材料粉末が、ニッケルを主成分としモリブデンまたはクロムをさらに含むニッケル合金を含む耐食合金である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記セラミック材料粉末と前記金属材料粉末の平均粒径が、所定の粒径比率である、請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記セラミック材料粉末の平均粒径が40~100μmであり、
    前記金属材料粉末の平均粒径が40~100μmである、請求項に記載の製造方法。
  6. 前記母材が、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼である請求項1~のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 母材上に形成されたクラッド層を備える蒸気タービン翼であって、前記クラッド層が、金属層の内部に金属被覆セラミック材料が分散された層であり、前記クラッド層中の網目状化合物の面積比率が、単位断面積あたり70%未満である、蒸気タービン翼。
  8. 前記クラッド層の総質量に対し、セラミック材料が40~80質量%含まれており、前記クラッド層の厚さが2mm以上である、請求項に記載の蒸気タービン翼。
  9. 前記母材が、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレスである請求項7または8に記載の蒸気タービン翼。
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