JP7104665B2 - 新規なポリシロキサン系汚損抑制塗装系 - Google Patents
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Description
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、殺生物剤及び酵素から選択された1つ以上の有効成分を含み、
b)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、
前記1つ以上の有効成分が殺生物剤(群)を含む場合、
c)前記第1の被膜の前記バインダマトリクスは、その一部として、親水性オリゴマ/ポリマ部分を含んでおり、及び/又は、前記第1の被膜は、更に、1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含み、又は、
d)前記第2の被膜の前記バインダマトリクスは、その一部として、親水性オリゴマ/ポリマ部分を含んでおり、及び/又は、前記第2の被膜は、更に、1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含む、汚損抑制塗装系に関する。
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、殺生物剤及び酵素から選択された1つ以上の有効成分を含み、
b)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、
c)前記第1の被膜及び/又は前記第2の被膜の前記バインダマトリクスは、その一部として、
親水性オリゴマ/ポリマ部分、及び/又は
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、殺生物剤及び酵素から選択された1つ以上の有効成分を含み、
b)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、
c)前記第2の被膜の前記バインダマトリクスは、その一部として、親水性オリゴマ/ポリマ部分を含んでおり、及び/又は、前記第2の被膜は、更に、1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含む、汚損抑制塗装系に関する。
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、殺生物剤及び酵素から選択された1つ以上の有効成分を含み、
b)前記第1の被膜の前記バインダマトリクスは、その一部として、親水性オリゴマ/ポリマ部分を含んでおり、及び/又は前記第1の被膜は、更に、1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含み
c)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表される、汚損抑制塗装系に関する。
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、1つ以上の酵素を含み、
b)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表される、汚損抑制塗装系に関する。
本発明は、特に、少なくとも硬化した第1の被膜と硬化した第2の被膜とを備える汚損抑制塗装系に関し、以下において、発明の3つの選択的な態様を更に詳細に説明している。
ポリシロキサン系バインダマトリクス(第1の被膜及び第2の被膜参照)は、好ましくは、反応性ポリシロキサンバインダ成分、例えば、機能性オルガノポリシロキサン(ポリジアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、又はそれらの組み合わせ等)、架橋剤、ケイ酸塩(例えば、エチルシリケート)等により構成される。したがって、こうした成分間の反応は、一般的な3次元共有結合性の相互結合網の形態であるバインダマトリクスをもたらすと考えられる。
-本明細書に開示したポリシロキサン部、例として、式(1)、(1x)のジオルガノポリシロキサン(群)又はそれらの組み合わせ、
-本明細書に定めた親水性オリゴマ/ポリマ部分、例として、
a)式(1c)又は(2a)の親水性オリゴマ/ポリマ部分であり、以下によりバインダマトリクスに含まれるもの、
-例えば、式(1f)に示したような、側鎖のグラフト化、又は
-例えば、式(1d)、(2a)、又は(1g)に示したような、ポリシロキサン骨格の導入、又は
その任意の組み合わせ、及び/又は
b)非反応性親水性変性ポリシロキサン油、例として、
-例えば、式(A)に示した、本明細書に開示したポリ(オキシアルキレン)鎖がグラフト化されたポリシロキサン、
-例えば、式(B)に示したような、本明細書に開示したポリ(オキシアルキレン)鎖が骨格に組み込まれたポリシロキサン、又は
-例えば、式(c)に示したような、本明細書に開示したポリオキシアルキレン鎖が骨格に組み込まれ、ポリオキシアルキレン鎖がグラフト化されたポリシロキサン、
-本明細書に定めた架橋剤(群)、例として、式(2)のものから選択された架橋剤、及び
-他の構成要素、例えば、添加剤、顔料、フィラー等、並びに以下に開示した任意の殺生物剤(群)及び酵素(群)。
架橋剤(ii)は、好ましくは、乾燥重量で塗装組成物の0~10%を構成し、例えば、以下に示す一般式(2)で表される有機ケイ素化合物、その部分加水分解縮合生成物、又はこれら2つの混合物である。
「ポリシロキサン」という用語が、ケイ素及び酸素の原子が交互に存在し、炭素原子の無い骨格を有するポリマを示すことは周知である(The New Encyclopedia Britannica in 30 volumes micropaedia volume IX. 1975、ケイ素を参照してポリシロキサンを定義)。同様に、ポリオルガノシロキサンという用語は、ケイ素原子上に有機(即ち、炭素系)置換基を有するポリシロキサン骨格を意味するものである。
第1の被膜及び第2の被膜のそれぞれを形成する塗装組成物は、更に、架橋を促進するために縮合触媒を含み得る。適切な触媒の例には、有機カルボン酸の有機金属塩及び金属塩、例えばジラウリン酸ジブチル錫、二酢酸ジブチル錫、ジオクタン酸ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸ジブチル錫、ジラウリン酸ジオクチル錫、二酢酸ジオクチル錫、ジオクタン酸ジオクチル錫、2-エチルヘキサン酸ジオクチル錫、ジネオデカン酸ジオクチル錫、ナフテン酸錫、酪酸錫、オレイン酸錫、カプリル酸錫、2-エチルヘキサン酸ビスマス、オクタン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、2-エチルヘキサン酸鉄、2-エチルオクタン酸鉛、2-エチルヘキサン酸コバルト、2-エチルヘキサン酸マンガン、2-エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、及びナフテン酸チタンと、チタン酸エステル及びジルコン酸エステル、例としてチタン酸テトラブチル、チタン酸テトラキス(2-エチルヘキシル)、チタン酸トリエタノールアミン、チタン酸テトラ(イソプロペノキシ)、チタンテトラブタノレート、チタンテトラプロパノレート、チタンテトライソプロパノレート、ジルコニウムテトラプロパノレート、ジルコニウムテトラブタノレートと、キレート化チタン酸塩、例としてジイソプロピルビス(アセチルアセトニル)チタネートと、リン酸水素(ビス(2-エチル-ヘキシル)等のリン酸系触媒とが含まれる。他の触媒には、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、及び1,4-エチレンピペラジン等の三級アミンが含まれる。他の例には、グアニジン系触媒が含まれる。縮合触媒の他の例は、WO2008/132196及びUS2004/006190に記載されている。
溶媒、添加剤、顔料、及びフィラー
第1の被膜及び第2の被膜のそれぞれを形成するために用いられる塗装組成物は、更に、溶媒及び添加剤を含み得る。
溶媒の例には、ホワイトスピリット、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、及びナフサ溶媒等の脂肪族、脂環式、及び芳香族炭化水素と、酢酸メトキシプロピル、酢酸n-ブチル、及び酢酸2-エトキシエチル等のエステルと、オクタメチルトリシロキサンと、それらの混合物とが含まれる。或いは、溶媒系は、水を含んでもよく、或いは水性(溶媒系において水が50%超)にしてもよい。
添加剤の例は、次の通りである。
(i)非反応性流体、例としてオルガノポリシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、石油、及びそれらの組み合わせ、
(ii)界面活性剤、例としてアルキルフェノールエチレンオキシド縮合物(アルキルフェノールエトキシレート)等のプロピレンオキシド又はエチレンオキシドの誘導体、リノール酸のエトキシル化モノエタノールアミド等の不飽和脂肪酸のエトキシル化モノエタノールアミド、ドデシル硫酸ナトリウム、及び大豆レシチン、
(iii)湿潤剤及び分散剤、例としてM. Ash and I. Ash,“Handbook of Paint and Coating Raw Materials, Vol. 1”, 1996, Gower Publ. Ltd., Great Britain, pp 821-823 and 849-851に記載のもの、
(iv)増粘剤及び沈降防止剤(例えば、チキソトロープ剤)、例としてコロイドシリカ、水和ケイ酸アルミニウム(ベントナイト)、アルミニウムトリステアレート、アルミニウムモノステアレート、キサンタンガム、クリソタイル、焼成シリカ、水素添加ヒマシ油、有機変性粘土、ポリアミドワックス、及びポリエチレンワックス、
(v)染料、例として1,4-ビス(ブチルアミノ)アントラキノン及び他のアントラキノン誘導体、トルイジン染料等、
(vi)抗酸化剤、例としてビス(tert-ブチル)ハイドロキノン、2,6-ビス(tert-ブチル)フェノール、レゾルシン、4-tert-ブチルカテコール、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ビス(2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート等。
硬化した第1の被膜
硬化した第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表される。第1の被膜に特有の特徴は、殺生物剤及び酵素から選択された1つ以上の有効成分を更に含むことである。
一変形例において、第1の被膜に含まれる有効成分は、1つ以上の殺生物剤を含む。
本発明に関連して、「殺生物剤」という用語は、化学的又は生物学的手段により、任意の有害生物を駆除する、阻止する、無害にする、その作用を防止する、又は他の抑制効果を発揮する活性物質を意味するものとなる。しかしながら、殺生物剤(群)は、存在する場合、1つ以上の酵素(下記参照)と組み合わせて使用可能であることを理解されたい。
現在好適な殺生物剤は、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル(クロロタロニル)、チオシアン酸銅(スルホシアン酸第一銅)、N-ジクロロフルオロメチルチオ-N’,N’-ジメチル-N-フェニルスルファミド(ジクロフルアニド)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(ジウロン)、N2-tert-ブチル-N4-シクロプロピル-6-メチルチオ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(シブトリン)、4-ブロモ-2-(4-クロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-ピロール-3-カルボニトリル、(2-(p-クロロフェニル)-3-シアノ-4-ブロモ-5-トリフルオロメチルピロール、トラロピリル)、N2-tert-ブチル-N4-シクロプロピル-6-メチルチオ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(シブトリン)、(RS)-4-[1-(2,3-ジメチルフェニル)エチル]-3H-イミダゾール(メデトミジン)、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT、Sea-Nine(登録商標) 211N)、ジクロロ-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-フルオロ-N-(p-トリル)メタンスルフェンアミド(トリルフルアニド)、2-(チオシアノメチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール((2-ベンゾチアゾリルチオ)メチルチオシアネート、TCMTB)、トリフェニルボランピリジン(TPBP)、ビス(1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジンチオナート-O,S)-(T-4)亜鉛(亜鉛ピリジンチオン、亜鉛ピリチオン)、ビス(1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジンチオナート-O,S)-T-4)銅(銅ピリジンチオン、銅ピリチオン)、亜鉛エチレン-1,2-ビス-ジチオカルバメート(亜鉛-エチレン-N,N’-ジチオカルバメート、ジネブ)、酸化銅(I)、金属銅、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(ジウロン)、及びジヨードメチル-p-トリルスルホン、アミカル48から成る群から選択される。好ましくは少なくとも1種類の殺生物剤が上記リストから選択される。
他の変形例において、第1の被膜に含まれる有効成分は、1つ以上の酵素を含む。
第1の被膜に1つ以上の酵素が含まれる場合、酵素が最外被膜のみに存在するポリシロキサン系汚損除去系と比較して、前記酵素の環境への放出を制御することにより、前記ポリシロキサン系汚損抑制系の生物汚損に対する抵抗性が向上すると考えられる。酵素は、付着前又は付着中に付着を防止すること、或いは付着前に戻すことにより、塗装の汚損抑制特性に寄与する。シロキサン系汚損抑制塗装は、それ自体が生物汚損有機体の付着の阻害に非常に優れているが、酵素は、特に問題となる生物汚損種に対する選択標的機構により、或いは広範囲の防汚機構による保護機構の全体的な向上により、汚損抑制系の全体的な防汚能力に寄与することができる。
EC3.2:糖類(DNAグリコシラーゼ、グリコシドヒドロラーゼ)
EC3.3:エーテル結合
EC3.4:ペプチド結合(プロテアーゼ/ペプチダーゼ)
EC3.5:炭素-窒素結合、ペプチド結合以外
EC3.6:酸無水物(ヘリカーゼ及びGTPアーゼを含む酸無水物加水分解酵素)
EC3.7:炭素-炭素結合
EC3.8:ハロゲン結合
EC3.9:リン-窒素結合
EC3.10:硫黄-窒素結合
EC3.11:炭素-リン結合
EC3.12:硫黄-硫黄結合
EC3.13:炭素-硫黄結合
EC4.2:デヒドラターゼ等、炭素-酸素結合を切断するリアーゼを含む
一実施形態において、硬化した第1の被膜は、「親水性変性ポリシロキサン油」の節において、硬化した第2の被膜に対して指定した種類の1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含む。好ましくは、こうした親水性ポリシロキサン油(存在する場合)の含有量は、硬化した第2の被膜に対して指定した通りである。
50重量%超がポリシロキサン部により表されるポリシロキサン系バインダマトリクスを、乾燥重量で40~98%、例えば60~95%と、
乾燥重量で0.1~25%、例えば2~20%の1つ以上の殺生物剤と、
乾燥重量で0.1~15%、例えば1~10%の1つ以上の添加剤と、
乾燥重量で0~20%、例えば1~10%の1つ以上の顔料及びフィラーと、を含む。
50重量%超がポリシロキサン部により表されるポリシロキサン系バインダマトリクスを、乾燥重量で40~98%、例えば60~95%と、
乾燥重量で0.1~25%、例えば2~20%の1つ以上の殺生物剤と、
乾燥重量で0.1~15%、例えば1~10%の1つ以上の添加剤と、
乾燥重量で0~20%、例えば1~10%の1つ以上の顔料及びフィラーと、
乾燥重量で0.5~20%、例えば1~15%の1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油と、を含む。
50重量%超がポリシロキサン部により表されるポリシロキサン系バインダマトリクスを、乾燥重量で40~98%、例えば60~95%と、
乾燥重量で0.0001~5%、例えば0.001~2%の1つ以上の酵素と、
乾燥重量で0.1~15%、例えば1~10%の1つ以上の添加剤と、
乾燥重量で0~20%、例えば1~10%の1つ以上の顔料及びフィラーと、を含む。
50重量%超がポリシロキサン部により表されるポリシロキサン系バインダマトリクスを、乾燥重量で40~98%、例えば60~95%と、
乾燥重量で0.0001~5%、例えば0.001~2%の1つ以上の酵素と、
乾燥重量で0.1~15%、例えば1~10%の1つ以上の添加剤と、
乾燥重量で0~20%、例えば1~10%の1つ以上の顔料及びフィラーと、
乾燥重量で0.5~20%、例えば1~15%の1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油と、を含む。
第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表される。多くの場合、この第2の被膜は、汚損抑制塗装系の最外層を構成する。
一変形例において、バインダマトリクスは、その一部として、親水性オリゴマ/ポリマ部分を含んでいる。任意の親水性オリゴマ/ポリマ部分は、好ましくは、バインダマトリクスの1~30重量%、例として2~25重量%、例えば1~20重量%を構成する。
Rは、それぞれ独立して、炭素数1~6の非置換又は置換1価炭化水素基又は加水分解性基を表し、
Xは、それぞれ独立して、加水分解性基を表し、
R2は、それぞれ独立して、-H、C1-4アルキル(例えば、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3)、フェニル(-C6H5)、及びC1-4アルキルカルボニル(例えば、-C(=O)CH3、-C(=O)CH2CH3、及び-C(=O)CH2CH2CH3)、特に、-H及びメチルから選択され、
R3は、それぞれ独立して、C2-5アルキレン(例えば、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)-、CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH2CH3)-)、アリーレン(例えば、1,4-フェニレン)、及びアリール(例えば、1-フェニルエチレン)により置換されたC2-5アルキレン、特にC2-5アルキレン、例えば-CH2CH2-及び-CH2CH(CH3)-)から選択され、
pは、0~50、
aは、0~2、
zは、1~3である。
他の変形例(上述した「バインダマトリクスの親水性変性」に関する段落において言及した第1の変形例と組み合わせ得る)において、第2の被膜は、更に、親水性変性ポリシロキサン油、即ち、ポリシロキサン系バインダマトリクスとの共有結合を形成しない成分を含み得る。親水性変性ポリシロキサン油は、同じ分子に親水性及び親油性基が含有されるため、界面活性剤及び乳化剤として広く用いられている。上述したポリシロキサン成分とは対照的に、親水性変性ポリシロキサン油は、バインダ(又はバインダ成分)又は架橋剤(存在する場合)との反応が可能な基を含まないように選択され、したがって、親水性変性ポリシロキサン油は、特にバインダ成分に関して、非反応性となるようにする。特に、親水性変性ポリシロキサン油は、Si-OH基のようなケイ素反応基、Si-OR(アルコキシ、オキシム、アセトキシ等)基のような加水分解性基等を全く含まず、ポリシロキサン系バインダ系との反応を避けるようにする。
R1は、それぞれ独立して、C1-5アルキル(直鎖又は分岐炭化水素基を含む)及びアリール(例えば、フェニル(-C6H5))、特にメチルから選択され、
R2は、それぞれ独立して、-H、C1-4アルキル(例えば、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3)、フェニル(-C6H5)、及びC1-4アルキルカルボニル(例えば、-C(=O)CH3、-C(=O)CH2CH3、及び-C(=O)CH2CH2CH3)、特に-H及びメチルから選択され、
R3は、それぞれ独立して、C2-5アルキレン(例えば、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH2CH3)-)、アリーレン(例えば、1,4-フェニレン)、及びアリール(例えば、1-フェニルエチレン)により置換されたC2-5アルキレン、特に、-CH2CH2-及び-CH2CH(CH3)-等のC2-5アルキレンから選択され、
xは、0~2500、yは、1~100、x+yは、1~2000であり、
nは、0~50、mは、0~50、m+nは、1~50である。
R1は、それぞれ独立して、C1-5アルキル(直鎖又は分岐炭化水素基を含む)及びアリール(例えば、フェニル(-C6H5))、特にメチルから選択され、
R2は、それぞれ独立して、-H、C1-4アルキル(例えば、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3)、フェニル( C6H5)、及びC1-4アルキルカルボニル(例えば、-C(=O)CH3、-C(=O)CH2CH3、及び-C(=O)CH2CH2CH3)、特に-H及びメチルから選択され、
R3は、それぞれ独立して、C2-5アルキレン(例えば、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH2CH3)-)、アリーレン(例えば、1,4-フェニレン)、及びアリール(例えば、1-フェニルエチレン)により置換されたC2-5アルキレン、特に、-CH2CH2-及び-CH2CH(CH3)-等のC2-5アルキレンから選択され、
xは、0~2500であり、
nは、0~50、mは、0~50、m+nは、1~50である。
R1は、それぞれ独立して、C1-5アルキル(直鎖又は分岐炭化水素基を含む)及びアリール(例えば、フェニル(-C6H5))、特にメチルから選択され、
R2は、それぞれ独立して、-H、C1-4アルキル(例えば、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3)、フェニル(-C6H5)、及びC1-4アルキルカルボニル(例えば、-C(=O)CH3、-C(=O)CH2CH3、及び-C(=O)CH2CH2CH3)、特に-H及びメチルから選択され、
R3は、それぞれ独立して、C2-5アルキレン(例えば、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH2CH3)-)、アリーレン(例えば、1,4-フェニレン)、及びアリール(例えば、1-フェニルエチレン)により置換されたC2-5アルキレン、特に-CH2CH2-及び-CH2CH(CH3)-等のC2-5アルキレンから選択され、
xは、0~2500、yは、1~100、x+yは、1~2000であり、
kは、0~50、lは、0~50、k+lは、1~50であり、
nは、0~50、mは、0~50、m+nは、1~50である。
上記式(C)の一実施形態において、n+mは、3~30個の反復単位、例えば3~20個の反復単位、例えば3~15個、又は4~12個の反復単位を含む。他の興味深い実施形態において、n+mは、6~20個の反復単位、例えば8~15個の反復単位を含む。
興味深い一実施形態において、硬化した第2の被膜は、ペンダント親水性オリゴマ/ポリマ部分を一部として含んでいるポリシロキサン系バインダマトリクスを含む。
50重量%超がポリシロキサン部により表されるポリシロキサン系バインダマトリクスを、乾燥重量で40~98%、例えば60~95%と、
乾燥重量で0.1~20%、例えば1~10%の1つ以上の添加剤と、
乾燥重量で0~25%、例えば0.1~15%の1つ以上の顔料及びフィラーと、
乾燥重量で0.1~20%、例えば1~15%の1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油と、を含む。
50重量%超がポリシロキサン部により表され、その一部としてペンダント親水性オリゴマ/ポリマ部分を含んでいるポリシロキサン系バインダマトリクスを、乾燥重量で40~98%、例えば60~95%と、
乾燥重量で0.1~20%、例えば1~10%の1つ以上の添加剤と、
乾燥重量で0~25%、例えば0.1~15%の1つ以上の顔料及びフィラーと、を含む。
5~45重量%、例えば10~40重量%又は15~40重量%又は20~35重量%が親水性オリゴマ/ポリマ部分により表されるポリシロキサン系バインダマトリクスを、乾燥重量で40~98%、例えば60~95%と、
乾燥重量で0.1~20%、例えば1~10%の1つ以上の添加剤と、
乾燥重量で0~20%、例えば0.1~15%の1つ以上の顔料及びフィラーと、
乾燥重量で0.1~20%、例えば1~15%の1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油と、を含む。
第1の被膜及び第2の被膜は、対応する塗装組成物、即ち、第1の塗装組成物及び第2の塗装組成物から調製される。
本発明は、更に、少なくとも硬化した第1の被膜と硬化した第2の被膜とを備える汚損抑制塗装系であって、
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、殺生物剤及び酵素から選択された1つ以上の有効成分を含み、
b)前記第1の被膜の前記バインダマトリクスは、その一部として、親水性オリゴマ/ポリマ部分を含んでおり、及び/又は前記第1の被膜は、更に、1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含み、
c)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表される、汚損抑制塗装系に関する。
他の変形例において、1つ以上の有効成分は、1つ以上の酵素を含む。
本発明は、更に、少なくとも硬化した第1の被膜と硬化した第2の被膜とを備える汚損抑制塗装系であって、
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、1つ以上の酵素を含み、
b)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表される、汚損抑制塗装系に関する。
一実施形態において、第1の被膜は、更に、1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含む(上記「親水性変性ポリシロキサン油」の節参照)。
したがって、本発明は、更に、硬化した第1の被膜を構築するための塗装組成物を提供し、前記組成物は、ポリシロキサン系バインダマトリクスと、1つ以上の触媒と、溶媒、添加剤、顔料及びフィラー、1つ以上の酵素、及びバインダマトリクスに含まれる親水性変性ポリシロキサン油及び/又は親水性オリゴマ/ポリマ部分から選択された1つ以上の材料とを含む。
第1の被膜及び第2の被膜のポリシロキサン系バインダマトリクスに関する全ての詳細は、バインダマトリクス、酵素、親水性変性ポリシロキサン油、任意の触媒、任意の溶媒、添加剤、顔料及びフィラー等、並びに適切な調製方法に関する全ての詳細と同じく、上述した通りである。しかしながら、本発明の第2の選択的な態様における第2の被膜は、特に親水性である必要はないことに留意されたい。
本発明の一般的な態様に加え、本発明は、更に以下の具体的な実施形態に関する。
殺生物剤を第1の被膜に含め、親水性変性ポリシロキサン油を後続の被膜(群)に含めることにより、前記汚損抑制系の生物汚損に対する抵抗性は、第2の被膜が親水性油を含まない系と比較して向上すると考えられる。特定の理論に縛られることなく、最外塗装層の親水性変性ポリシロキサン油は、最外層を拡散中に殺生物剤を移動させると考えられる。
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、1つ以上の殺生物剤を含み、
b)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第2の被膜は、更に、1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含み、硬化した第2の被膜の平衡水接触角は、0°~27°の範囲である。
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、1つ以上の殺生物剤を含み、
b)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第2の被膜の前記バインダマトリクスは、その一部として、親水性オリゴマ/ポリマ部分を含んでおり、硬化した第2の被膜平衡水接触角は0°~27°の範囲である。
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、1つ以上の酵素を含み、
b)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第2の被膜は、更に、1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含み、硬化した第2の被膜の平衡水接触角は、0°~27°の範囲である。
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、1つ以上の酵素を含み、
b)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第2の被膜の前記バインダマトリクスは、その一部として、親水性オリゴマ/ポリマ部分を含んでおり、硬化した第2の被膜の平衡水接触角は、0°~27°の範囲である。
殺生物剤と(i)バインダマトリクスの親水性変性及び/又は(ii)親水性変性ポリシロキサン油とを第1の被膜に含め、外側層に殺生物剤及び親水性バインダ変性及び/又は親水性変性ポリシロキサン油が存在しない、又は実質的に存在しない状態を保つことにより、前記汚損抑制系の生物汚損に対する抵抗性は、こうした親水性変性を第1の層が含まない系と比較して向上すると考えられる。特定の理論に縛られることなく、バインダマトリクスの親水性変性及び/又は親水性変性ポリシロキサン油は、第1の層における殺生物剤の拡散を促進するため、最外層により制御された状態の拡散により生じる殺生物剤の一定の放出速度を保つと考えられる。
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、1つ以上の殺生物剤を含み、
b)前記第1の被膜の前記バインダマトリクスは、その一部として、親水性オリゴマ/ポリマ部分を含んでおり、及び/又は前記第1の被膜は、更に、1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含み、
c)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表される。
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、1つ以上の酵素を含み、
b)前記第1の被膜の前記バインダマトリクスは、その一部として、親水性オリゴマ/ポリマ部分を含んでおり、及び/又は前記第1の被膜は、更に、1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含み、
c)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表される。
酵素を第1の被膜に含め、外側層に酵素が存在しない、又は実質的に存在しない状態を保つことにより、前記汚損抑制系の生物汚損に対する抵抗性は、酵素を含む第1の被膜が存在しない系と比較して向上すると考えられる。特定の理論に縛られることなく、酵素は、外側層を介して徐々に拡散するため、長期間に亘り、酵素の放出を安定した状態に保つと考えられる。
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、1つ以上の酵素と、任意に1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油とを含み、
b)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表される。
本発明の塗装組成物は、一般に、基材の表面の少なくとも一部に塗布される。
「塗布」という用語は、塗料産業における通常の意味で用いられる。したがって、「塗布」は、例えば、ブラシ、ローラ、吹き付け、浸し塗り等、任意の従来の手段を用いて実施される。塗装組成物を「塗布」する商業的に最も興味深い方法は、吹き付けである。したがって、塗装組成物は、好ましくは吹き付け可能である。吹き付けは、当業者に既知である従来の吹き付け装置を用いて達成される。塗装は、一般に、50~600μm、例として50~500μm、例えば75~400μm、又は20~150μm、又は30~100μmの乾燥膜厚で塗布される。
b)ポリシロキサン系塗装組成物の1つ以上の層を、前記硬化した第1の被膜の表面に塗布し、前記層(群)を硬化させることにより、第1の選択的な態様、第2の選択的な態様、又は第3の選択的な態様のそれぞれについて定めたような硬化した第2の被膜を形成すること。
b)タイコート組成物の1つ以上の層を前記下塗り済み基材の表面に任意に塗布し、前記層(群)を硬化させることにより、硬化したタイコートを形成すること、
c)ポリシロキサン系塗装組成物の1つ以上の層を、場合に応じて前記下塗り済み基材の表面又は前記タイコートの表面に塗布し、前記層(群)を硬化させることにより、第1の選択的な態様、第2の選択的な態様、又は第3の選択的な態様について定めたような硬化した第1の被膜を形成すること、及び
d)ポリシロキサン系塗装組成物の1つ以上の層を前記硬化した第1の被膜の表面に塗布し、前記層(群)を硬化させることにより、第1の選択的な態様、第2の選択的な態様、又は第3の選択的な態様についてそれぞれ定めたような硬化した第2の被膜を形成すること。
b)タイコート組成物の1つ以上の層を前記封止基材の表面に任意に塗布し、前記層(群)を硬化させることにより、硬化したタイコートを形成すること、
c)ポリシロキサン系塗装組成物の1つ以上の層を場合に応じて前記下塗り済み基材の表面又は前記タイコートの表面に塗布し、前記層(群)を硬化させることにより、第1の選択的な態様、第2の選択的な態様、又は第3の選択的な態様について定めたような硬化した第1の被膜を形成すること、及び
d)ポリシロキサン系塗装組成物の1つ以上の層を前記硬化した第1の被膜の表面に塗布し、前記層(群)を硬化させることにより、第1の選択的な態様、第2の選択的な態様、又は第3の選択的な態様についてそれぞれ定めたような硬化した第2の被膜を形成すること。
b)ポリシロキサン系塗装組成物の1つ以上の層を場合に応じて前記下塗り済み基材の表面又は前記タイコートの表面に塗布し、前記層(群)を硬化させることにより、第1の選択的な態様、第2の選択的な態様、又は第3の選択的な態様について定めたような硬化した第1の被膜を形成すること、及び
c)ポリシロキサン系塗装組成物の1つ以上の層を前記硬化した第1の被膜の表面に塗布し、前記層(群)を硬化させることにより、第1の選択的な態様、第2の選択的な態様、又は第3の選択的な態様についてそれぞれ定めたような硬化した第2の被膜を形成すること。
本発明は、更に、外表面の少なくとも一部に、これまでに本明細書で定めたような最外汚損抑制塗装系を有する海洋構造物を提供する。特に、最外塗装を有する外表面の少なくとも一部は、前記構造物の水中部分となる。
1~4層、例えば2~4層の塗布により構築される、合計乾燥膜厚が150~400μmであるエポキシ系塗装の防食層と、
1~2層の塗布により構築される、合計乾燥膜厚が20~400μmであるタイコートと、
1~2層の塗布により構築される、合計乾燥膜厚が20~400μmである汚損抑制塗装の第1の被膜と、
1~2層の塗布により構築される、合計乾燥膜厚が20~400μmである汚損抑制塗装の第2の被膜と、を含む汚損抑制塗装系により被覆されたものとなる。
本明細書及び特許請求の範囲では、ポリシロキサン(a polysiloxane)等に言及するが、本明細書に定めた塗装組成物は、個別の成分を1種類、2種類、又はそれ以上含み得ることを理解されたい。こうした実施形態において、それぞれの成分の総量は、個別の成分について上述した量に対応するべきである。
モデル塗料の調製方法
(i)部分:バインダ、溶媒、顔料、殺生物剤(必要な場合)、及び添加剤を、インペラディスクを備えたDiaf溶解機において混合する(例えば、直径70mmインペラディスクにより1L缶において2000rpmで15分間)。
粘度
特許請求の範囲を含む本願において、粘度は、25℃でISO2555:1989に従い測定する。
硬化表面の平衡水接触角は、接触測角器(Dataphysics OCA)によりMilli-Q水を試験液として測定した、固着液滴(sessile drop)接触角を用いて確定する。基材を温度制御室に置き、20μlの液滴を基材上に分散させることにより静的接触角を測定する。水接触角は、Dataphysics OCAソフトウェアを用いて自動的に確定する。水接触角は、少なくとも5分間の間隔を空けた2回の連続した測定値が互いに有意に異なっていないと見做される場合に、安定していると見做す。これが生じない場合、60分後の水接触角を報告する。
パネルの調製
塗装の付着を促進するために片側をサンドブラストしたアクリルパネル(150×200mm)を、エアスプレにより塗布した市販のエポキシ(HEMPEL Light Primer 45551)100μm(DFT)により被覆する。室温で6~24時間乾燥させた後、タイコートをドクタブレードにより隙間300μmで塗布する。16~30時間乾燥させた後、第1の層をドクタブレードにより、実施例において指定した隙間で塗布する。16~30時間乾燥させた後、第2の被膜をドクタブレードにより、層の湿潤膜厚が対応する実施例に指定した通りになるように隙間を空けて塗布する。パネルは、少なくとも72時間乾燥後、ラフト上で浸漬する。
パネルは、スペインとシンガポールという2つの異なる場所で試験する。
スペインの試験場:スペイン北西部のビラノバに位置する。この試験場において、パネルは、平均温度17~18℃で、塩分濃度が37~38パーミルの範囲の海水に浸漬する。
パネルは、4~12週間に亘り調査し、以下の基準に従って評価する。
モデル塗料表の全項目は、特に明記しない限り重量単位とする。最終的なポリシロキサンマトリクスの計算においては、全ての加水分解性基が加水分解及び反応して、ポリシロキサンバインダとの縮合反応によりマトリクスになるものとする。したがって、エチルシリケートは、その重量の41%が最終的なポリシロキサンマトリクスの計算に寄与し、ビニルトリメトキシシランは、これに応じて、その重量の54%が寄与する。バインダマトリクスのポリシロキサン含有量を計算する際に、成分は、出発原料として計算に含まれるが、しかしながら、エチルシリケート及びビニルトリメトキシシランについて上述したように補正される。
RF-5000、信越化学工業(日本)、シラノール末端ポリジメチルシロキサン
キシレン、地元供給業者
Aerosil R972、Evonik industries
Silikat TES 40 WN、Wacker-Chemie(ドイツ)、エチルシリケート
ネオスタンU-12、日東化成(日本)、ラウリン酸ジブチル錫
アセチルアセトン、Wacker-CHemie(ドイツ)、2、4-ペンタンジオン
Byk331、Byk(ドイツ)、非反応性ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン油
Bayferrox 130M、Lancess(ドイツ)、酸化鉄
銅オマジン、Arch-CHemicals Inc.(アイルランド)、銅ピリチオン
DC190、Dow Corning(米国)、ポリエーテル変性ポリシロキサン
Tego glide 435、Evonik Industries(ドイツ)、非反応性ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン油
DC5103、Dow Corning(米国)、ポリエーテル変性ポリシロキサン(シロキシル化ポリエーテル)
DC550、Dow Corning(米国)、ポリフェニルメチルジメチルシロキサン
DC57、Dow Corning(米国)、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
SIV9280.0、Gelest(米国),ビニルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン
ポリアミドワックス
Sachtleben R320、Sachtleben(ドイツ)、微粒子化ルチル型二酸化チタン
亜鉛オマジン、Arch-CHemicals Inc.(アイルランド)、亜鉛ピリチオン
Econea、JanssenPMP(ベルギー)、トラロピリル
セルラーゼ、(22178)、Sigma Aldrich Cellulase、クロコウジカビ由来
Savinase 16L type EX、Novozymes(デンマーク)、プロテアーゼ(スブチリシン)の溶液
共重合体
KF6015、信越化学工業(日本)、ポリエーテル変性シリコーンオイル
Dynasylan VTMO、Evonik Industries(ドイツ)、ビニルトリメトキシシラン
キシレン中の白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金濃度2.1~2.4%、CAS No.68478-92-2
ポリジメチルシロキサン、ヒドリド末端-MWn=1100、当量=550g/eq
メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体、ヒドリド末端-MWn=2300、当量=200g/eq
ポリエチレングリコールジアリルエーテル-MWn=300g/mol、当量=150g/eq
ポリエチレングリコールモノアリルエーテル(ヒドロキシル末端)-MWn=350g/mol、当量=350g/eq
ポリエチレングリコールモノアリルエーテル(ヒドロキシル末端)-MWn=500g/mol、当量=500g/eq
分岐型親水性変性ポリシロキサン(HMP3)
直鎖型硬化性ポリ(エチレングリコール)変性ポリシロキサンは、ヒドリド末端ポリジメチルシロキサン100.0gを無水トルエン75.0gに溶解したものを、キシレン溶液中の白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体0.17gと混合することにより調製する。溶液を攪拌下で80℃に加熱する。この溶液に、1.7gのポリエチレングリコールジアリルエーテル[AA300]を滴下して添加し、2時間、80℃で反応させる反応完了後、5.4gのビニルトリメトキシシランを80℃で滴下して添加し、1時間、80℃で反応させる。HMP4中のPEG変性PDMSバインダの含有量は、58.8w/w%となる。HMP4バインダ中のPEGの量は、5.0w/w%となる。
分岐型硬化性ポリ(エチレングリコール)変性ポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサン-メチルヒドロシロキサン(ヒドリド末端)25.0gを無水トルエン50.0gに溶解したものを、キシレン溶液中の白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体0.14gと混合することにより調製する。溶液を80℃に加熱する。この溶液に、4.0gのビニルトリメトキシシランを滴下して添加し、1/2時間、80℃で反応させる。反応完了後、90.0gのポリエチレングリコールモノアリルエーテル[A500]を滴下して添加し、3時間、80℃で反応させる。HMP5中のPEG変性PDMSバインダの量は、64.4w/w%となる。HMP5バインダ中のPEGの量は、75.6w/w%となる。
反応性の親水性変性ポリシロキサン(MHP3、MHP4、HMP5)は、乾燥窒素下で密閉容器に保存し、配合前に水分との接触を回避する。
Claims (14)
- 少なくとも硬化した第1の被膜と硬化した第2の被膜とを備える汚損抑制塗装系であって、
a)前記第1の被膜は、乾燥重量で前記第1の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、前記第1の被膜は、更に、1つ以上の殺生物剤を含み、
b)前記第2の被膜は、乾燥重量で前記第2の被膜の少なくとも40%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、前記バインダマトリクスの50重量%超は、ポリシロキサン部により表され、
前記第2の被膜は、更に、1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油を含み;前記1つ以上の親水性変性ポリシロキサン油は、バインダ又は架橋剤と反応し得る基を含まず;
前記第2の被膜はその中に含まれる1つ以上の殺生物剤を有し、
前記第1の被膜は前記第2の被膜の下に位置し;
前記硬化した第2の被膜の平衡水接触角は0~27°の範囲であり;
前記第1の被膜と前記第2の被膜とは以下の項目の少なくとも1つにおいて異なる:
i)殺生物剤の含有量及び/又は種類、及び
ii)親水性変性ポリシロキサン油の含有量及び/又は種類
、汚損抑制塗装系。 - 前記親水性変性ポリシロキサン油がケイ素反応基を含まない、請求項1に記載の汚損抑制塗装系。
- 前記親水性変性ポリシロキサン油が、非ケイ素由来の親水性オリゴマ/ポリマ基でポリシロキサンを変性することによって得られる、請求項1又は2に記載の汚損抑制塗装系。
- 前記親水性変性ポリシロキサン油の親水性が非ケイ素由来のポリオキシアルキレン基でのポリシロキサン油の変性によって得られる、請求項1~3のいずれか1項に記載の汚損抑制塗装系。
- 前記親水性変性ポリシロキサン油が3~200の反復単位を有する親水性オリゴマ/ポリマ部分またはポリオキシアルキレン基でのポリシロキサン油の変性によって得られる、請求項3又は4に記載の汚損抑制塗装系。
- 前記親水性オリゴマまたはポリマ部分またはポリオキシアルキレン基が100~50,000g/モルの範囲の数平均分子量(Mn)を有する、請求項3~5のいずれか1項に記載の汚損抑制塗装系。
- 前記親水性オリゴマ/ポリマ部分またはポリオキシアルキレン基が親水性変性ポリシロキサン油の総重量の25~60%の範囲で存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載の汚損抑制塗装系。
- 前記親水性変性ポリシロキサン油がポリ(オキシアルキレン)-変性ポリシロキサンである、請求項1~7のいずれか1項に記載の汚損抑制塗装系。
- 前記殺生物剤が銅ピリチオンである、請求項1~8のいずれか1項に記載の汚損抑制塗装系。
- 前記バインダマトリクスが(i)バインダ及び(ii)架橋剤を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の汚損抑制塗装系。
- 前記架橋剤がテトラエトキシシランまたはその加水分解縮合生成物である、請求項10に記載の汚損抑制塗装系。
- 前記第1の被膜が基材上に調製され、前記第2の被膜が最外層である、請求項1~11のいずれか1項に記載の汚損抑制塗装系。
- 前記第1の被膜が親水性変性ポリシロキサン油を含まない、請求項1~12のいずれか1項に記載の汚損抑制塗装系。
- 基材の表面に汚損抑制塗装系を構築する方法であって、連続するステップとして、
a)ポリシロキサン系塗装組成物の1つ以上の層を、前記基材、例えば、場合に応じて未処理基材又は既に1つ以上の塗装を有する基材の表面に塗布し、前記層(群)を硬化させることにより、請求項1~13のいずれか1項に記載の硬化した第1の被膜を形成するステップと、
b)ポリシロキサン系塗装組成物の1つ以上の層を前記硬化した第1の被膜の表面に塗布し、前記層(群)を硬化させることにより、それぞれ請求項1~13のいずれか1項に記載の硬化した第2の被膜を形成するステップとを備える方法であって、前記硬化した第2の被膜の平衡水接触角は0~27°の範囲であり;
前記第1の被膜と前記第2の被膜とは以下の項目の少なくとも1つ:
i)殺生物剤の含有量及び/又は種類、及び
ii)親水性変性ポリシロキサン油の含有量及び/又は種類
において異なる方法。
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