JP7104266B1 - 希土類含有SiC基板及びSiC複合基板 - Google Patents

希土類含有SiC基板及びSiC複合基板 Download PDF

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Abstract

基板加工時の割れ及びクラックを低減可能な希土類含有SiC基板が提供される。この希土類含有SiC基板は、Bの濃度CBの、希土類元素の濃度CREに対する比CB/CREが、1.0×10-2~1.0×105である二軸配向SiC層を備える。

Description

本発明は、希土類含有SiC基板及びSiC複合基板に関する。
SiC(炭化珪素)は大電圧及び大電力を低損失で制御できるワイドバンドギャップ材料として注目を集めている。特に近年、SiC材料を用いたパワー半導体デバイス(SiCパワーデバイス)は、Si半導体を用いたものよりも、小型化、低消費電力化及び高効率化に優れるため、様々な用途における利用が期待されている。例えば、SiCパワーデバイスを採用することで、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向けのコンバータ、インバータ、車載充電器等を小型化して効率を高めることができる。
SiCパワーデバイスを作製するには、SiC単結晶基板上にSiC単結晶をエピタキシャル成長させる必要がある。SiC単結晶の成長方法として知られる液相成長法では、液相として用いる溶媒の炭素溶解度を向上させ、成長速度を増加させるためにYを用いることが好適であると報告されている。例えば、特許文献1(特開2019-19037号公報)には、Si、Y及びCを含む溶液にSiC種結晶の結晶成長面を接触させ、この結晶成長面にSiCを結晶成長させる、SiC単結晶の製造方法が開示されており、SiC単結晶の結晶成長速度の向上と金属不純物(CrやTi)の濃度低減を両立できるとされている。また、この文献には、得られるSiC単結晶のY濃度が1×1014~5×1015/cmでありうることも記載されている。また、特許文献2(特開2012-46384号公報)には、希土類元素を60at%以上含有した融液を利用した溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法が開示されている。この文献には、希土類元素の例としてSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuが記載されており、中でもDyが好ましいとされている。
特開2019-19037号公報 特開2012-46384号公報
上述のように希土類元素を使用することによりSiC単結晶の品質を向上させることができるものの、それだけでは十分ではない。例えば、SiC単結晶に希土類元素(例えばY)だけを添加すると、格子定数の変化により結晶に歪みが生じることや、結晶成長中にマクロステップが巨大化し溶媒の巻き込みや異種多形等のマクロ欠陥が生じることで、研削や研磨等の加工中にSiC基板に割れやクラックが多く発生しうる。
本発明者らは、今般、希土類含有SiC基板にホウ素(B)を所定の濃度比で含有させることで、基板加工時の割れ及びクラックを低減できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、基板加工時の割れ及びクラックを低減可能な希土類含有SiC基板を提供することにある。
本発明の一態様によれば、Bの濃度Cの、希土類元素の濃度CREに対する比C/CREが、1.0×10-2~1.0×10である二軸配向SiC層を備えた、希土類含有SiC基板が提供される。
本発明の他の一態様によれば、SiC単結晶基板と、前記SiC単結晶基板上の前記希土類含有SiC基板とを備えた、SiC複合基板が提供される。
SiC複合基板10の縦断面図である。 SiC複合基板10の製造工程図である。 エアロゾルデポジション(AD)装置50の構成を示す概念図である。
希土類含有SiC基板
本発明による希土類含有SiC基板は、希土類元素及びホウ素(B)を含む二軸配向SiC層を備える。二軸配向SiC層は、Bの濃度Cの、希土類元素の濃度CREに対する比C/CREが、1.0×10-2~1.0×10である。このように、希土類含有SiC基板(具体的には二軸配向SiC層)にホウ素(B)を所定の濃度比で含有させることで、基板加工時の割れ及びクラックを低減することができる。したがって、本発明の希土類含有SiC基板は高い歩留まりで製造及び加工することができる。
前述したように、希土類元素を使用することによりSiC単結晶の品質を向上させることができるが、SiC単結晶に希土類元素(例えばY)だけを添加すると、研削や研磨等の加工中にSiC基板に割れやクラックが多く発生する。この点、本発明によれば、かかる問題が好都合に解消される。そのメカニズムは必ずしも定かでないが、基板内部に希土類元素のみならずBが存在することでSiC結晶内の歪みが緩和された結果、加工時の割れやクラックが低減するものと考えられる。
本発明の希土類含有SiC基板が備える二軸配向SiC層は、Bの濃度Cの、希土類元素の濃度CREに対する比C/CREが、1.0×10-2~1.0×10である。このC/CREは1.0×10~1.0×10であるのが好ましい。このような濃度比とすることで、より効果的に基板加工時の割れ及びクラックを低減することができる。
希土類元素の濃度CREは3.0×1013~9.0×1015atoms/cmであるのが好ましく、より好ましくは1.0×1014~9.0×1015atoms/cmである。Bの濃度Cは4.5×1014~1.0×1018atoms/cmであるのが好ましく、より好ましくは1.0×1015~1.0×1018atoms/cmである。このような希土類元素及びBの濃度とすることで、より効果的に基板加工時の割れ及びクラックを低減することができる。
二軸配向SiC層に含まれる希土類元素の例としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、及びそれらの組合せが挙げられる。この希土類元素は、Y及び/又はCeであるのが割れ及びクラック低減の観点から好ましく、より好ましくはYである。
二軸配向SiC層は、c軸方向及びa軸方向に配向しているのが好ましい。また、希土類含有SiC基板が二軸配向SiC層で構成されるのが好ましい。二軸配向SiC層は、c軸及びa軸の二軸方向に配向している限り、SiC単結晶であってもよいし、SiC多結晶であってもよいし、モザイク結晶であってもよい。モザイク結晶とは、明瞭な粒界は有しないが、結晶の配向方位がc軸及びa軸の一方又は両方がわずかに異なる結晶の集まりになっているものをいう。配向の評価方法は、特に限定されるものではないが、例えばEBSD(Electron Back Scatter Diffraction Patterns)法やX線極点図等の公知の分析手法を用いることができる。例えば、EBSD法を用いる場合、二軸配向SiC層の表面(板面)又は板面と直交する断面の逆極点図マッピングを測定する。得られた逆極点図マッピングにおいて、(A)板面の略法線方向の特定方位(第1軸)に配向していること、(B)第1軸に直交する、略板面内方向の特定方位(第2軸)に配向していること、(C)第1軸からの傾斜角度が±10°以内に分布していること、及び(D)第2軸からの傾斜角度が±10°以内に分布していること、という4つの条件を満たすときに略法線方向と略板面方向の2軸に配向していると定義できる。言い換えると、上記4つの条件を満たしている場合に、c軸及びa軸の2軸に配向していると判断する。例えば板面の略法線方向がc軸に配向している場合、略板面内方向がc軸と直交する特定方位(例えばa軸)に配向していればよい。二軸配向SiC層は、略法線方向と略板面内方向の2軸に配向していればよいが、略法線方向がc軸に配向していることが好ましい。略法線方向及び/又は略板面内方向の傾斜角度分布は小さい方が二軸配向SiC層のモザイク性が小さくなり、ゼロに近づくほど単結晶に近くなる。このため、二軸配向SiC層の結晶性の観点では、傾斜角度分布は略法線方向及び略板面方向共に小さい方が好ましく、例えば±5°以下がより好ましく、±3°以下がさらに好ましい。
SiC複合基板
本発明の希土類含有SiC基板はSiC複合基板の形態であるのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、SiC単結晶基板と、SiC単結晶基板上の上述した希土類含有SiC基板とを備えた、SiC複合基板が提供される。このように、希土類元素及びホウ素(B)を所定の濃度比で含む二軸配向SiC層を備えた希土類含有SiC基板をSiC複合基板が備えることで、基板加工時の割れ及びクラックを低減することができる。
SiC単結晶基板は、典型的にはSiC単結晶で構成される層であり、結晶成長面を有する。SiC単結晶のポリタイプ、オフ角、及び極性は特に限定されるものではないが、ポリタイプは4H又は6Hが好ましく、オフ角は単結晶SiCの[0001]軸から0.1~12°であることが好ましく、極性はSi面であることが好ましい。ポリタイプは4H、オフ角は単結晶SiCの[0001]軸から1~5°、極性はSi面であることがより好ましい。
本発明の希土類含有SiC基板は、二軸配向SiC層単独の自立基板の形態であってもよいし、SiC単結晶基板を伴ったSiC複合基板の形態であってもよい。したがって、必要に応じて、二軸配向SiC層は最終的にSiC単結晶基板から分離されてもよい。SiC単結晶基板の分離は、公知の手法により行えばよく、特に限定されない。例えば、ワイヤーソーによって二軸配向SiC層を分離する手法、放電加工によって二軸配向SiC層を分離する手法、レーザーを利用して二軸配向SiC層を分離する手法等が挙げられる。また、SiC単結晶基板上に二軸配向SiC層をエピタキシャル成長させる形態の場合、SiC単結晶基板を分離後、二軸配向SiC層を別の支持基板に設置してもよい。別の支持基板の材質は特に限定はないが、材料物性の観点から好適なものを選択すればよい。例えば熱伝導率の観点では、Cu等の金属基板、SiC、AlN等のセラミックス基板等が挙げられる。
SiC複合基板の製造方法
本発明の希土類含有SiC基板を備えるSiC複合基板は、(a)SiC単結晶基板上に所定の配向前駆体層を形成し、(b)SiC単結晶基板上で配向前駆体層を熱処理してその少なくともSiC単結晶基板近くの部分を希土類含有SiC基板(二軸配向SiC層)に変換し、所望により(c)研削や研磨等の加工を施して二軸配向SiC層の表面を露出させることにより好ましく製造することができる。しかしながら、SiC複合基板の製造方法には限定がなく、希土類元素を含有するSiC基板を得ることができればよい。例えば、CVDや昇華法のような気相法でもよいし、溶液法のような液相法でもよい。二軸配向SiC層中のBの濃度は、原料に添加するホウ素やホウ素化合物(例えば炭化ホウ素)の量を調節したり、原料を仮焼したり、SiC単結晶へ金属ホウ素を蒸着することにより、制御することができる。このような製造方法によれば、希土類元素とBの濃度比が制御された二軸配向SiC層を備えた希土類含有SiC基板を好ましく作製することができ、希土類含有SiC基板ないしそれを用いたSiC複合基板加工時の割れ及びクラックを効果的に低減することができる。
以下、SiC複合基板の好ましい製造方法を説明する。図1はSiC複合基板10の縦断面図(SiC複合基板10の中心軸を含む面でSiC複合基板10を縦に切断したときの断面図)であり、図2はSiC複合基板10の製造工程図である。
図1に示すように、本実施形態のSiC複合基板10は、SiC単結晶基板20と、SiC単結晶基板上の希土類含有SiC基板30(本発明の希土類含有SiC基板に相当)とを備えている。
(a)配向前駆体層の形成工程(図2(a)参照)
配向前駆体層40は、後述の熱処理により希土類含有SiC基板(二軸配向SiC層)30となるものである。配向前駆体層40の形成工程では、SiC単結晶基板20の結晶成長面に配向前駆体層40を形成する。
配向前駆体層40の形成方法は、公知の手法が採用可能である。配向前駆体層40の形成方法は、例えば、AD(エアロゾルデポジション)法、HPPD(超音速プラズマ粒子堆積法)法等の固相成膜法、スパッタリング法、蒸着法、昇華法、各種CVD(化学気相成長)法等の気相成膜法、溶液成長法等の液相成膜法が挙げられ、配向前駆体層40を直接SiC単結晶基板20上に形成する手法が使用可能である。CVD法としては、例えば熱CVD法、プラズマCVD法、ミストCVD法、MO(有機金属)CVD法等を用いることができる。また、配向前駆体層40として、予め昇華法や各種CVD法、焼結等で作製した多結晶体を使用し、SiC単結晶基板20上に載置する方法も用いることができる。あるいは、配向前駆体層40の成形体を予め作製し、この成形体をSiC単結晶基板20上に載置する手法であってもよい。このような配向前駆体層40は、テープ成形により作製されたテープ成形体でもよいし、一軸プレス等の加圧成形により作製された圧粉体でもよい。
これらの配向前駆体層40を形成するにあたり、配向前駆体層40の原料に希土類化合物が含まれるようにするのが好ましい。希土類化合物としては、特に限定されるものではないが、上述した17種類の希土類元素のうちの少なくとも1種類の元素の酸化物、窒化物、炭化物、及びフッ化物等が挙げられる。希土類化合物として希土類元素の酸化物が好ましく、より好ましくはYの酸化物(酸化イットリウム)やCeの酸化物(酸化セリウム)である。前述したように、最終的に得られる二軸配向SiC層中の希土類元素とBの濃度比は、例えば、原料に添加するホウ素やホウ素化合物(例えば炭化ホウ素)の量を調節したり、原料を仮焼したり、SiC単結晶へ金属ホウ素を蒸着することにより、制御することができる。
なお、SiC単結晶基板20上に直接配向前駆体層40を形成する手法において、各種CVD法や昇華法、溶液成長法等を用いる場合、後述する熱処理工程を経ることなくSiC単結晶基板20上にエピタキシャル成長を生じ、希土類含有SiC基板30が成膜される場合がある。しかし、配向前駆体層40は、形成時には配向していない状態、即ち非晶質や無配向の多結晶であり、後段の熱処理工程でSiC単結晶を種として配向させることが好ましい。このようにすることで、希土類含有SiC基板30の表面に到達する結晶欠陥を効果的に低減することができる。この理由は定かではないが、一旦成膜された固相の配向前駆体層がSiC単結晶を種として結晶構造の再配列を生じることも結晶欠陥の消滅に効果があるのではないかと考えている。従って、各種CVD法や昇華法、溶液成長法等を用いる場合は、配向前駆体層40の形成工程においてエピタキシャル成長が生じない条件を選択することが好ましい。
しかしながら、AD法、各種CVD法でSiC単結晶基板20上に直接配向前駆体層40を形成する手法、又は昇華法、各種CVD法、焼結等で別途作製した多結晶体をSiC単結晶基板20上に載置する手法が好ましい。これらの方法を用いることで配向前駆体層40を比較的短時間で形成することが可能となる。AD法は高真空のプロセスを必要とせず、成膜速度も相対的に速いため、特に好ましい。配向前駆体層40として、予め作製した多結晶体を用いる手法では、多結晶体とSiC単結晶基板20の密着性を高めるため、多結晶体の表面を十分に平滑にしておく等の工夫が必要である。このため、コスト的な観点では配向前駆体層40を直接形成する手法が好ましい。また、予め作製した成形体をSiC単結晶基板20上に載置する手法も簡易な手法として好ましいが、配向前駆体層40が粉末で構成されているため、後述する熱処理工程において焼結させるプロセスを必要とする。いずれの手法も公知の条件を用いることができるが、以下ではAD法又は熱CVD法によりSiC単結晶基板20上に直接配向前駆体層40を形成する方法及び予め作製した成形体をSiC単結晶基板20上に載置する手法について述べる。
AD法は、微粒子や微粒子原料をガスと混合してエアロゾル化し、このエアロゾルをノズルから高速噴射して基板に衝突させ、被膜を形成する技術であり、常温で被膜を形成できるという特徴を有している。このようなAD法で用いられる成膜装置(AD装置)の一例を図3に示す。図3に示されるAD装置50は、大気圧より低い気圧の雰囲気下で原料粉末を基板上に噴射するAD法に用いられる装置として構成されている。このAD装置50は、原料成分を含む原料粉末のエアロゾルを生成するエアロゾル生成部52と、原料粉末をSiC単結晶基板20に噴射して原料成分を含む膜を形成する成膜部60とを備えている。エアロゾル生成部52は、原料粉末を収容し図示しないガスボンベからのキャリアガスの供給を受けてエアロゾルを生成するエアロゾル生成室53と、生成したエアロゾルを成膜部60へ供給する原料供給管54と、エアロゾル生成室53及びその中のエアロゾルに10~100Hzの振動数で振動が付与する加振器55とを備えている。成膜部60は、SiC単結晶基板20にエアロゾルを噴射する成膜チャンバ62と、成膜チャンバ62の内部に配設されSiC単結晶基板20を固定する基板ホルダ64と、基板ホルダ64をX軸-Y軸方向に移動するX-Yステージ63とを備えている。また、成膜部60は、先端にスリット67が形成されエアロゾルをSiC単結晶基板20へ噴射する噴射ノズル66と、成膜チャンバ62を減圧する真空ポンプ68とを備えている。噴射ノズル66は、原料供給管54の先端に取り付けられている。
AD法は、成膜条件によって膜中に気孔を生じる場合や、膜が圧粉体となることが知られている。例えば、原料粉末の基板への衝突速度や原料粉末の粒径、エアロゾル中の原料粉末の凝集状態、単位時間当たりの噴射量等に影響を受けやすい。原料粉末の基板への衝突速度に関しては、成膜チャンバ62と噴射ノズル66内の差圧や、噴射ノズルの開口面積等に影響を受ける。このため、緻密な配向前駆体層を得るには、これらのファクターを適切に制御することが必要である。
熱CVD法では、成膜装置は市販のもの等公知のものを利用することができる。原料ガスは特に限定されるものではないが、Siの供給源としては四塩化ケイ素(SiCl)ガスやシラン(SiH)ガス、Cの供給源としてはメタン(CH)ガスやプロパン(C)ガス等を用いることができる。成膜温度は1000~2200℃が好ましく、1100~2000℃がより好ましく、1200~1900℃がさらに好ましい。
熱CVD法を用いてSiC単結晶基板20上に成膜する場合、SiC単結晶基板20上にエピタキシャル成長を生じ、希土類含有SiC基板30を形成する場合があることが知られている。しかし、配向前駆体層40は、その作製時には配向していない状態、即ち非晶質や無配向の多結晶であり、熱処理工程時にSiC単結晶を種結晶として結晶の再配列を生じさせることが好ましい。熱CVD法を用いてSiC単結晶上に非晶質や多結晶の層を形成するには、成膜温度やSi源、C源のガス流量及びそれらの比率、成膜圧力等が影響することが知られている。成膜温度の影響は大きく、非晶質又は多結晶層を形成する観点では成膜温度は低い方が好ましく、1700℃未満が好ましく、1500℃以下がより好ましく、1400℃以下がさらに好ましい。しかし、成膜温度が低すぎると成膜レート自体も低下するため、成膜レートの観点では成膜温度は高い方が好ましい。
配向前駆体層40として予め作製した成形体を用いる場合、配向前駆体の原料粉末を成形して作製することができる。例えば、プレス成形を用いる場合、配向前駆体層40は、プレス成形体である。プレス成形体は、配向前駆体の原料粉末を公知の手法に基づきプレス成形することで作製可能であり、例えば、原料粉末を金型に入れ、好ましくは100~400kgf/cm、より好ましくは150~300kgf/cmの圧力でプレスすることにより作製すればよい。また、成形方法に特に限定はなく、プレス成形の他、テープ成形、押出し成形、鋳込み成形、ドクターブレード法及びこれらの任意の組合せを用いることができる。例えば、テープ成形を用いる場合、原料粉末にバインダー、可塑剤、分散剤、分散媒等の添加物を適宜加えてスラリー化し、このスラリーをスリット状の細い吐出口を通過させることにより、シート状に吐出及び成形するのが好ましい。シート状に成形した成形体の厚さに限定はないが、ハンドリングの観点では5~500μmであるのが好ましい。また、厚い配向前駆体層が必要な場合はこのシート成形体を多数枚積み重ねて、所望の厚さとして使用すればよい。これらの成形体はその後のSiC単結晶基板20上での熱処理によりSiC単結晶基板20近くの部分が、希土類含有SiC基板30となるものである。このような手法では、後述する熱処理工程において成形体を焼結させる必要がある。成形体が焼結し、多結晶体としてSiC単結晶基板20と一体となる工程を経たのちに、希土類含有SiC基板30を形成することが好ましい。成形体が焼結した状態を経ない場合、SiC単結晶を種としたエピタキシャル成長が十分に生じない場合がある。このため、成形体はSiC原料の他に、焼結助剤等の添加物を含んでいてもよい。
(b)熱処理工程(図2(b)参照)
熱処理工程では、SiC単結晶基板20上に配向前駆体層40が積層又は載置された積層体を熱処理することにより希土類含有SiC基板30を生成させる。熱処理方法は、SiC単結晶基板20を種としたエピタキシャル成長が生じるかぎり特に限定されず、管状炉やホットプレート等、公知の熱処理炉で実施することができる。また、これらの常圧(プレスレス)での熱処理だけでなく、ホットプレスやHIPなどの加圧熱処理や、常圧熱処理と加圧熱処理の組み合わせも用いることができる。熱処理の雰囲気は真空、窒素、及び不活性ガス雰囲気から選択することができる。熱処理温度は、好ましくは1700~2700℃である。温度を高くすることで、SiC単結晶基板20を種結晶として配向前駆体層40がc軸及びa軸に配向しながら成長しやすくなる。したがって、熱処理温度は、好ましくは1700℃以上、より好ましくは1800℃以上、さらに好ましくは1900℃以上、特に好ましくは2200℃以上である。一方、温度が過度に高いと、SiCの一部が昇華により失われたり、SiCが塑性変形して反り等の不具合が生じたりする可能性がある。したがって、熱処理温度は、好ましくは2700℃以下、より好ましくは2500℃以下である。しかしながら、熱処理条件は、二軸配向SiC層中の希土類元素やBの含有量に影響を与えるため、その条件(例えば熱処理温度や保持時間)を適宜制御するのが好ましい。このような観点から、熱処理温度は、好ましくは1900~2700℃、より好ましくは2200~2600℃、さらに好ましくは2400~2500℃である。また、その保持時間は2~30時間が好ましく、より好ましくは4~20時間である。また、熱処理は複数の段階に分けて行ってもよい。例えば、窒素雰囲気中で1950℃にて3時間熱処理し、その後アルゴン雰囲気中で2400℃にて3時間熱処理する等の条件で実施してもよい。このような場合であっても、熱処理温度及び合計保持時間は、上記範囲内であることが好ましい。さらに、熱処理温度や保持時間はエピタキシャル成長で生じる希土類含有SiC基板30の厚さにも関係しており、適宜調整することができる。
但し、配向前駆体層40として予め作製した成形体を用いる場合、熱処理中に焼結させる必要があり、高温での常圧焼成やホットプレスやHIP又はそれらの組み合わせが好適である。例えば、ホットプレスを用いる場合、面圧は50kgf/cm以上が好ましく、より好ましくは100kgf/cm以上、さらに好ましくは200kgf/cm以上であり、特に上限はない。また、焼成温度も焼結とエピタキシャル成長が生じる限り、特に限定はない。しかしながら、焼成条件は、二軸配向SiC層中の希土類元素やBの含有量に影響を与えるため、その条件(例えば焼成温度や保持時間)を適宜制御するのが好ましい。このような観点から、焼成温度は、好ましくは1700~2700℃である。また、その保持時間は2~18時間が好ましい。焼成時の雰囲気は真空、窒素、不活性ガス雰囲気又は窒素と不活性ガスの混合ガスから選択することができる。また、上記同様、焼成は複数の段階に分けて行ってもよく、焼成温度及び合計保持時間は、上記範囲内であることが好ましい。原料となるSiC粉末は、α-SiC及びβ-SiCの少なくとも一方で構成されていてもよいが、β-SiCで構成されるのが好ましい。SiC粉末は、好ましくは0.01~100μmの平均粒径を有するSiC粒子で構成される。なお、平均粒径は走査型電子顕微鏡にて粉末を観察し、1次粒子100個分の定方向最大径を計測した平均値を指す。
熱処理工程では、配向前駆体層40内の結晶はSiC単結晶基板20の結晶成長面からc軸及びa軸に配向しながら成長していくため、配向前駆体層40は、結晶成長面から徐々に希土類含有SiC基板30に変わっていく。生成した希土類含有SiC基板30を備えるSiC複合基板は、基板加工時の割れ及びクラックが低減されたものになる。この理由は不明だが、基板内部に希土類元素及びBが存在することでSiC結晶内の歪みが緩和された結果、基板加工時の割れやクラックが低減すると考えられる。
(c)研削工程(図2(c)参照)
研削工程では、熱処理工程後に希土類含有SiC基板30上に残った配向前駆体層40を研削除去して、希土類含有SiC基板30の表面を露出させ、露出した表面をダイヤモンド砥粒を用いて研磨加工し、更にCMP(化学機械研磨)仕上げを行う。こうすることにより、SiC複合基板10を得る。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。例えば、上述した実施形態では、SiC単結晶基板20上に希土類含有SiC基板30を1層のみ設けたが、2層以上設けてもよい。具体的には、SiC複合基板10の希土類含有SiC基板30に配向前駆体層40を積層し、熱処理及び研削をこの順に行うことにより、希土類含有SiC基板30の上に2層目の希土類含有SiC基板30を設けることができる。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1
(1)配向前駆体層の作製
市販の微細β-SiC粉末(体積基準D50粒径:0.7μm)100重量%に対して、酸化イットリウム粉末(体積基準D50粒径:0.1μm)9.0重量%、炭化ホウ素粉末(体積基準D50粒径:0.5μm)15.0重量%を、SiCボールを使用してエタノール中で24時間ボールミル混合し、乾燥することで混合粉末(原料粉体)を得た。SiC単結晶層として市販のSiC単結晶基板(n型4H-SiC、直径約100mm(4インチ)、Si面、(0001)面、オフ角4°、厚さ0.35mm、オリフラなし)を用意し、図3に示すAD装置50によりSiC単結晶基板上に混合粉末を噴射してAD膜(配向前駆体層)を形成した。
AD成膜条件は以下のとおりとした。まずキャリアガスはNとし、長辺5mm×短辺0.4mmのスリットが形成されたセラミックス製のノズルを用いて成膜した。ノズルのスキャン条件は、0.5mm/sのスキャン速度で、スリットの長辺に対して垂直且つ進む方向に105mm移動、スリットの長辺方向に5mm移動、スリットの長辺に対して垂直且つ戻る方向に105mm移動、スリットの長辺方向且つ初期位置とは反対方向に5mm移動、とのスキャンを繰り返し、スリットの長辺方向に初期位置から105mm移動した時点で、それまでとは逆方向にスキャンを行い、初期位置まで戻るサイクルを1サイクルとし、これを1200サイクル繰り返した。このようにして形成したAD膜の厚さは約120μmであった。
(2)配向前駆体層の熱処理
配向前駆体層であるAD膜を形成したSiC単結晶基板をAD装置から取り出し、N雰囲気中で1950℃にて3時間アニールし、その後アルゴン雰囲気中で2400℃にて3時間アニールした。すなわち、配向前駆体層を熱処理して熱処理層とした。
(3)研削及び研磨
得られた熱処理層の表面全域が裏面(SiC単結晶基板の底面)と平行となるようにグラインダ(1000~6000番手のダイヤモンドホイール)で平面研削を行った。続いて熱処理層の表面全域を、ダイヤモンド砥粒(粒度3.0μm、1.0μm、0.5μm及び0.1μmのもの)を粒度の大きい順に用いて研磨加工した後、化学機械研磨(CMP)仕上げをし、目標の厚さ及び面状態にして、研削及び研磨加工を終了した。このようにしてSiC基板を得た。
(4)SiC基板の評価
(4-1)研磨後の割れ及びクラック発生率
工業用顕微鏡(ニコン製、ECLIPSE、LV150N)を用いて、接眼レンズを10倍、対物レンズを5倍とした。偏光モード及び微分干渉モードにてSiC基板の表面全体を観察し、割れやクラックが確認された場合は割れやクラックが存在する基板とみなした。このとき、割れ及びクラックは長さが100μm以上のもののみを、割れ及びクラックとしてカウントした。上記のように作製したSiC基板と同一条件で作製したSiC基板100枚のうち、長さが100μm以上の割れ及びクラックがあるSiC基板の数を求めることで、割れ及びクラックの発生率(%)を算出した。
(4-2)熱処理層(二軸配向SiC層)内の希土類元素及びBの含有量
上記(4-1)の評価後、作製した100枚のSiC基板から1枚抜き取り、SiC基板の研磨面に対してダイナミック二次イオン質量分析(D-SIMS)を行った。希土類元素(本例ではY)とBの分析装置はCAMECA社製IMS-7fを用い、一次イオン種O 、及び加速電圧11.0kvにて測定を実施した。この測定は、熱処理層(二軸配向SiC層)の研磨面上で10箇所実施した。この10箇所の各箇所において、希土類元素の濃度の最大値及びBの濃度の最大値を測定し、これら10箇所の各最大値の平均値を算出した。この平均値を、二軸配向SiC層中の希土類元素の濃度CRE(atoms/cm)及びBの濃度C(atoms/cm)とした。また、Bの濃度Cの希土類元素の濃度CREに対する比C/CREも求めた。得られた結果を表1に示す。
(5)研削及び研磨
上記(4-2)の評価後、SiC基板を板面と直交する方向で基板の中心部を通るように切断した。切断した試料に対してダイヤモンド砥粒を用いたラップ加工にて断面を平滑化し、化学機械研磨(CMP)により鏡面仕上げとした。
(6)SiC基板の評価
(6-1)二軸配向性
EBSD(Electron Back Scatter Diffraction Patterns)法を用いて、以下に示す条件により、上記(5)にて作製した熱処理層の表面(板面)及び板面と直交する断面の逆極点図マッピングを測定したところ、傾斜角度分布は略法線方向及び略板面方向ともに0.01°以下であったため、熱処理層はc軸とa軸に配向した二軸配向SiC層であると判断した。
<EBSD測定条件>
・加速電圧:15kv
・スポット強度:70
・ワーキングディスタンス:22.5mm
・ステップサイズ:0.5μm
・試料傾斜角:70°
・測定プログラム:Aztec(version 3.3)
例2(比較)
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を10.0重量%、炭化ホウ素粉末を35.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例3
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を10.0重量%、炭化ホウ素粉末を34.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例4
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を10.0重量%、炭化ホウ素粉末を30.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例5
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を11.0重量%、炭化ホウ素粉末を30.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例6
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を10.0重量%、炭化ホウ素粉末を15.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例7
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を6.0重量%、炭化ホウ素粉末を15.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例8
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を5.0重量%、炭化ホウ素粉末を15.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例9
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を2.0重量%、炭化ホウ素粉末を15.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例10
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を1.0重量%、炭化ホウ素粉末を15.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例11
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を7.0重量%、炭化ホウ素粉末を21.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例12
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を7.0重量%、炭化ホウ素粉末を19.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例13
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を7.0重量%、炭化ホウ素粉末を9.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例14
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を7.0重量%、炭化ホウ素粉末を8.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例15
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を7.0重量%、炭化ホウ素粉末を7.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例16
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を7.0重量%、炭化ホウ素粉末を6.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例17
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を15.0重量%、炭化ホウ素粉末を20.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例18
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を16.0重量%、炭化ホウ素粉末を20.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例19
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を25.0重量%、炭化ホウ素粉末を20.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例20(比較)
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を26.0重量%、炭化ホウ素粉末を20.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例21
上記(1)において、α-SiC粉末(体積基準D50粒径:0.7μm)100重量%に対して、酸化イットリウム粉末を9.0重量%、炭化ホウ素粉末を15.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
例22
上記(1)において、β-SiC粉末100重量%に対して、酸化セリウム粉末(体積基準D50粒径:0.5μm)を9.0重量%、炭化ホウ素粉末を15.0重量%含む原料粉体を用いたこと以外は、例1と同様にしてSiC基板の作製及び評価を行った。得られた熱処理層は二軸配向SiC層であることが確認された。結果は表1に示されるとおりであった。
Figure 0007104266000001
例1、3~19、21及び22より、SiC基板加工時の割れ及びクラックの減少は、二軸配向SiC層において、Bの濃度Cの希土類元素の濃度CREに対する比C/CREを、1.0×10-2~1.0×10とすることにより達成されることが分かった。一方、例2及び20(比較)より、比C/CREが上記範囲を外れると、SiC基板の割れ及びクラックが増加することが分かった。また、比C/CREが、1.0×10~1.0×10であると割れ及びクラックがより減少することが分かった。CREが3.0×1013~9.0×1015atoms/cm、さらには1.0×1014~9.0×1015atoms/cmであることや、Cが4.5×1014~1.0×1018atoms/cm、さらには1.0×1015~1.0×1018atoms/cmであることが、割れ及びクラックの減少により効果的であることが分かった。

Claims (9)

  1. Bの濃度Cの、希土類元素の濃度CREに対する比C/CREが、1.0×10-2~1.0×10であり、かつ、前記希土類元素の濃度C RE が3.0×10 13 ~9.0×10 15 atoms/cm である二軸配向SiC層を備えた、希土類含有SiC基板。
  2. 前記比C/CREが、1.0×10~1.0×10である、請求項1に記載の希土類含有SiC基板。
  3. 前記希土類元素の濃度CREが1.0×1014~9.0×1015atoms/cmである、請求項1又は2に記載の希土類含有SiC基板。
  4. 前記Bの濃度Cが4.5×1014~1.0×1018atoms/cmである、請求項1~のいずれか一項に記載の希土類含有SiC基板。
  5. 前記Bの濃度Cが1.0×1015~1.0×1018atoms/cmである、請求項1~のいずれか一項に記載の希土類含有SiC基板。
  6. 前記希土類元素が、Y及び/又はCeである、請求項1~のいずれか一項に記載の希土類含有SiC基板。
  7. 前記希土類元素が、Yである、請求項1~のいずれか一項に記載の希土類含有SiC基板。
  8. 前記二軸配向SiC層が、c軸方向及びa軸方向に配向している、請求項1~のいずれか一項に記載の希土類含有SiC基板。
  9. SiC単結晶基板と、前記SiC単結晶基板上の請求項1~のいずれか一項に記載の希土類含有SiC基板とを備えた、SiC複合基板。
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