JP7103805B2 - アニオン重合開始剤及び該アニオン重合開始剤を含有する重合性組成物 - Google Patents

アニオン重合開始剤及び該アニオン重合開始剤を含有する重合性組成物 Download PDF

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Description

本発明は、イオン性ホスフィド化合物を含有するアニオン重合開始剤及び該アニオン重合開始剤を含有する重合性組成物に関する。
アニオン重合開始剤を含有する重合性組成物は、インキ、塗料、各種コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において用いられている。
例えば、下記特許文献1~4には、各種アニオン重合開始剤が開示されており、下記特許文献5には、メタル化有機ホスフィンを、共役ジエンモノマーを含むモノマーに導入して反応性ポリマーを生成するポリマーの調製方法が開示されている。
特開平8-100014号公報 特開2008-088435号公報 特開2013-023570号公報 国際公開2014/987924号 特表2015-512461号公報
しかしながら、これら公知のアニオン重合開始剤を用いた場合、得られるポリマーの分子量分布が広い、得られるポリマーが着色するなどの問題が生じることがあった。
本発明の目的は、反応性が高く副生成物が少なく、反応の結果得られるポリマーの分子量が大きく分子量分布が狭く着色が少ないアニオン重合開始剤、及び、該アニオン重合開始剤を含有する重合性組成物を提供することにある。
本発明は、イオン性ホスフィド化合物を少なくとも一種含有するアニオン重合開始剤を提供することで、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記アニオン重合開始剤(A)及びアニオン重合性有機物質(B)を含有する重合性組成物を提供するものである。
本発明のアニオン重合開始剤は反応性が高く、したがって、該アニオン重合開始剤を含有する重合性組成物は、硬化性が高いものである。また、本発明のアニオン重合開始剤を用いて得られる重合物は着色が少ないものである。このため、本発明のアニオン重合開始剤及び該アニオン重合開始剤を含有する重合性組成物は、接着剤及び各種コーティング材料等各種用途において有用なものである。
以下、本発明のアニオン重合開始剤、重合性組成物並びにその重合物について詳細に説明する。
本発明のアニオン重合開始剤は、イオン性ホスフィド化合物を少なくとも一種含有する。イオン性ホスフィド化合物とは、重合性組成物中でアニオン重合開始種として作用することが可能なリン化合物である。
上記イオン性ホスフィド化合物としては、特に制限されず公知の化合物を用いることができるが、例えば、下記一般式(I)で表されるものが挙げられる。
Figure 0007103805000001
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基又は炭素原子数7~20のアリールアルキル基を表し、Mn+は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、その他の金属イオンもしくはカチオン性を示す有機イオンを表し、nは1~5の数である。)
上記一般式(I)中、R及びRで表される炭素原子数1~10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、iso-ブチル、アミル、iso-アミル、tert-アミル、ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、t-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、テトラフルオロエチル、トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、テトラフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、パーフルオロブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシル等が挙げられ、
及びRで表される炭素原子数6~20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセン-1-イル、フェナントレン-1-イル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、4-ビニルフェニル、3-イソプロピルフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-ブチルフェニル、4-イソブチルフェニル、4-t-ブチルフェニル、4-ヘキシルフェニル、4-シクロヘキシルフェニル、4-オクチルフェニル、4-(2-エチルヘキシル)フェニル、2,3-ジメチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、3,4-ジメチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、2,4-ジ-t-ブチルフェニル、2,5-ジ-t-ブチルフェニル、2,6-ジ-t-ブチルフェニル、2,4-ジ-t-ペンチルフェニル、2,5-ジ-t-アミルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニル、2,4,5-トリメチルフェニル、4-クロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、4-トリクロロフェニル、4-トリフルオロフェニル及びパーフルオロフェニル等が挙げられ、
及びRで表される炭素原子数7~20のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2-フェニルプロピル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル及び4-クロロフェニルメチル等が挙げられる。
及びRは、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基又は炭素原子数7~10のアリールアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(I)におけるMn+で表されるアルカリ金属イオンとしては、Li、Na及びK等が挙げられ、アルカリ土類金属イオンとしては、Mg2+、Ba2+、Ca2+及びSr2+等が挙げられる。また、その他の金属イオンとしては、Ag、Cu、Zn2+、Fe2+、Cu2+、Fe3+、Al3+等が挙げられる。
上記一般式(I)におけるカチオン性を示す有機イオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどの四級アンモニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオンなどの四級ホスホニウムイオン、テトラフェニルスルホニウムなどの三級スルホニウムイオン等が挙げられる。
上記一般式(I)で表されるイオン性ホスフィド化合物としては、例えば、下記化合物No.1~No.22が挙げられる。
Figure 0007103805000002
Figure 0007103805000003
Figure 0007103805000004
上記一般式(I)で表されるイオン性ホスフィド化合物は、従来公知の方法により製造することができるが、例えば、金属アルコキシド及び金属フェノキシドのような有機金属を有機ホスフィンと-78~100℃で1分から10時間反応させることにより得られる。また、例えば、アルカリ金属ホスフィドのアルカリ金属イオンを、テトラブチルアンモニウムイオンなどのカチオン性を示す有機イオンとイオン交換することによっても得られる。
本発明に係るアニオン重合開始剤(A)は、上記一般式(I)で表されるイオン性ホスフィド化合物を少なくとも一種含有し、他の公知のアニオン重合開始剤と併用することもできる。他のアニオン重合開始剤と併用する場合、上記一般式(I)で表されるイオン性ホスフィド化合物は、アニオン重合開始剤(A)100質量部中、50~90質量部であるのが、反応性が高いので好ましい。
本発明の重合性組成物は、上記アニオン重合開始剤(A)及びアニオン重合性有機物質(B)を含有する。
後述のアニオン重合性有機物質(B)に対する上記アニオン重合開始剤(A)の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すれば問題ないが、例えば、アニオン重合性有機物質(B)100モル%に対して、アニオン重合開始剤(A)0.1~20モル%、好ましくは1~15モル%とすることができる。少なすぎると硬化が不十分となりやすく、多すぎると重合物の吸水率や重合物強度などの諸物性に悪影響を与える場合がある。
本発明に使用する上記アニオン重合性有機物質(B)は、加熱により活性化したアニオン重合開始剤により高分子化または、架橋反応を起こす化合物であり、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、スチレンやアクリル化合物等のエチレン性不飽和化合物、スチレン化合物、ラクトン化合物の他、エポキシ化合物と酸無水物の反応物、エポキシ化合物とチオールの反応物、エポキシ化合物とフェノールの反応物、エポキシ化合物とカルボン酸の反応物及びアクリル化合物とチオールの反応物等が挙げられ、中でもエポキシ化合物が、得られる重合物の分子量が大きく分子量分布が狭いので好ましい。
上記エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物(B1)、脂肪族エポキシ化合物(B2)及び芳香族エポキシ化合物(B3)等が挙げられる。
上記脂環式エポキシ化合物(B1)の具体例としては、少なくとも1個の脂環式環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物またはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、プロパン-2,2-ジイル-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン、1,2-エポキシ-2-エポキシエチルシクロヘキサン、7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン,ポリ[オキシ-(1-オキソ-1,6-ヘキサンジイル)]]誘導体、ヘキサン二酸ビス[(7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-イル)メチル]、α-ピネンオキシド及びリモネンジオキシド等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を混合して用いることができる。
脂環式エポキシ化合物(B1)としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート又は3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレートが、密着性向上の観点から好ましい。
上記脂環式エポキシ化合物(B1)としては、市販品のものを用いることができる。例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000及びサイクロマーM100(ダイセル社製);CYRACURE UVR-6128(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
本発明の重合性組成物は、アニオン重合性有機物質(B)100質量%に対して、脂環式エポキシ化合物(B1)が、0~70質量%、特に20~65質量%であることが、粘度、塗工性及び反応性が向上するので好ましい。
上記脂肪族エポキシ化合物(B2)とは、上記脂環式エポキシ化合物(B1)や後述の芳香族エポキシ化合物(B3)に分類されないエポキシ化合物を指し、該脂肪族エポキシ化合物の具体例としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等の単官能エポキシ化合物、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、及び脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。代表的な化合物として、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12~13混合アルキルグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル及びポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテルが挙げられる。また、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン及びグリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物及び脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。更に、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油及びエポキシ化ポリブタジエン等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を混合して用いることができる。
脂肪族エポキシ化合物(B2)としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、及び脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物が、粘度、塗工性及び反応性が向上するので好ましい。さらに、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル及び1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが好ましい。
上記脂肪族エポキシ化合物(B2)としては、市販品のものを用いることができる。例えば、デナコールEX-121、デナコールEX-171、デナコールEX-192、デナコールEX-211、デナコールEX-212、デナコールEX-313、デナコールEX-314、デナコールEX-321、デナコールEX-411、デナコールEX-421、デナコールEX-512、デナコールEX-521、デナコールEX-611、デナコールEX-612、デナコールEX-614、デナコールEX-622、デナコールEX-810、デナコールEX-811、デナコールEX-850、デナコールEX-851、デナコールEX-821、デナコールEX-830、デナコールEX-832、デナコールEX-841、デナコールEX-861、デナコールEX-911、デナコールEX-941、デナコールEX-920及びデナコールEX-931(ナガセケムテックス社製);エポライトM-1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF及びエポライト100MF(共栄社化学社製);アデカレジンEP-4088S、アデカグリシロールED-503、アデカグリシロールED-503G、アデカグリシロールED-506及びアデカグリシロールED-523T(ADEKA社製)等が挙げられる。
本発明の重合性組成物は、アニオン重合性有機物質(B)100質量%に対して、脂肪族エポキシ化合物(B2)が、0~70質量%、特に20~65質量%であることが、粘度、塗工性及び反応性が向上するので好ましい。
上記芳香族エポキシ化合物(B3)とは、エポキシ基を複数有し芳香環を含むエポキシ化合物を指す。このような多官能芳香族エポキシ化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等、少なくとも1個の芳香族環を有する1価フェノール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、又はこれらに更にアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル化物やフェノールノボラック型エポキシ化合物;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル;ベンゼンジメタノールやベンゼンジエタノール、ベンゼンジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のポリグリシジルエステル;安息香酸やトルイル酸、ナフトエ酸等の安息香酸類のポリグリシジルエステル及びグリシジルエステル;スチレンオキサイド及びジビニルベンゼンのエポキシ化物等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を混合して用いることができる。
中でも、フェノール類のポリグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物、多価フェノール類のポリグリシジルエーテル化物、安息香酸類のポリグリシジルエステル、多塩基酸類のポリグリシジルエステルの群から選ばれる少なくとも一種を含有することが、重合性組成物の低粘度化の観点から好ましい。
上記芳香族エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールE型エポキシ化合物及びフェノールノボラック型エポキシ化合物が、硬化性に優れるため好ましい。
本発明の重合性組成物は、アニオン重合性有機物質(B)100質量%に対して、芳香族エポキシ化合物(B3)が0~70質量%、特に20~65質量%であることが、硬化性向上の観点から好ましい。
上記エチレン性不飽和化合物としては、下式(II)で表される単量体、下記式(III)で表される単量体等が挙げられる。
Figure 0007103805000005
(式中、Xは、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数6~12のアリール基、炭素原子数6~12のアリールオキシ基もしくは炭素原子数6~10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである。)
Figure 0007103805000006
(式中、R191は、水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表し、X’は、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数6~12のアリール基若しくは炭素原子数6~10の脂環式炭化水素基、又はこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである。)
上記式(II)中のXで表される炭素原子数1~7のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、iso-ブチル、アミル、iso-アミル、tert-アミル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、iso-ヘプチル及びtert-ヘプチル等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1~4のアルキル基、又はエポキシ基、オキセタン基、水酸基及びカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で部分的に置換された炭素原子数1~4のアルキル基が、硬化性の点から好ましい。
上記式(II)中のXで表される炭素原子数1~7のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、iso-プロピルオキシ、ブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシ、iso-ブチルオキシ、アミルオキシ、iso-アミルオキシ、tert-アミルオキシ、ヘキシルオキシ、2-ヘキシルオキシ、3-ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4-メチルシクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2-ヘプチルオキシ、3-ヘプチルオキシ、iso-ヘプチルオキシ及びtert-ヘプチルオキシ等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1~4のアルキル基、又はエポキシ基、オキセタン基、水酸基及びカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で部分的に置換された炭素原子数1~4のアルコキシ基が、硬化性の点から好ましい。
上記式(II)中のXで表される炭素原子数6~12のアリール基としては、フェニル、メチルフェニル及びナフチル等が挙げられる。
上記式(II)中のXで表される炭素原子数6~12のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ、メチルフェニルオキシ及びナフチルオキシ等が挙げられる。
上記式(II)中のXで表される炭素原子数6~10の脂環式炭化水素基としては、シクロへキシル、メチルシクロヘキシル、ノルボルニル、ビシクロペンチル、ビシクロオクチル、トリメチルビシクロヘプチル、トリシクロオクチル、トリシクロデカニル、スピロオクチル、スピロビシクロペンチル、アダマンチル及びイソボルニル等が挙げられる。
上記式(II)において、Xの一部がエポキシ基またはオキセタン基で置換されている場合における、式(II)で表される単量体としては、例えば、下記式(1)~(3)で表される単量体が挙げられる。
Figure 0007103805000007
(式中、R192は、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、mは、1~6の整数である。)
Figure 0007103805000008
(式中、R193は、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、nは、1~6の整数である。)
Figure 0007103805000009
(式中、R194は、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、sは、1~6の整数である。)。
上記式(III)において、R191で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等が挙げられる。
上記式(III)において、X’の一部がエポキシ基またはオキセタン基で置換されている場合における、式(III)で表される単量体としては、下記式(4)~(6)で表されるものが挙げられる。
Figure 0007103805000010
(式中、R191は、上記式(II)と同じであり、R195は、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、tは、1~6の整数である。)
Figure 0007103805000011
(式中、R191は、上記式(II)と同じであり、R196は、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、qは、1~6の整数である。)
Figure 0007103805000012
(式中、R191は、上記式(II)と同じであり、R197は、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、yは、1~6の整数である。)。
上記ポリマーにおいて、該ポリマーを構成する単量体の使用割合は、上記Xが、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換された炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数6~12のアリール基もしくは炭素原子数6~10の脂環式炭化水素基である場合における、上記(II)又は(III)で表される単量体が10~100質量%となるように用いるのが、接着性が向上するので好ましい。
本発明の重合性組成物には、さらに、公知の硬化剤を加えることができる。硬化剤としては、従来公知のものを適宜用いることができるが、例えば、イミダゾール化合物、アミン化合物、アミド化合物、酸無水物化合物、フェノール化合物、チオール化合物、潜在性熱硬化剤、オニウム塩等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては、例えば、2-ウンデシルイミダゾール及び特開2015-017059号公報に記載されている化合物等が挙げられ、
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン及びヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン化合物;N-メチルアニリン、m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、ジフェニルアミン及びヒドロキシフェニルグリシン等のアリール脂肪族アミン化合物;1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、N-メチルピペラジン、モルホリン、ピペリジン、イソホロンジアミン及び4,4-メチレンビスシクロヘキサンアミン等の環状脂肪族アミン化合物等が挙げられ、
アミド化合物としては、例えば、ジシアンジアミドが挙げられ、
酸無水物化合物としては、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、ドデセニル無水コハク酸、脂肪族二塩基酸ポリ無水物、クロレンド酸無水物、メチルブテニルテトラヒドロフタル酸無水物、アルキル化テトラヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、アルケニル基で置換されたコハク酸無水物及びグルタル酸無水物等が挙げられ、
フェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が挙げられる。
上記オニウム塩としては、[A]m+[B]m-で表される陽イオンと陰イオンの塩が挙げられ、具体的にはスルホニウム塩及びヨードニウム塩が挙げられる。
本発明の重合性組成物において、上記硬化剤の含有量は、0.001~50%であるのが、反応性が高くなるので好ましい。
本発明の重合性組成物には、硬化促進剤を加えることができる。硬化促進剤としてはイミダゾール及びジメチルアミノピリジンなどの3級アミン化合物;トリフェニルホスフィンなどの燐系化合物;3フッ化ホウ素及び3フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体などの3フッ化ホウ素アミン錯体;チオジプロピオン酸等の有機酸化合物;チオジフェノールベンズオキサジン及びスルホニルベンズオキサジン等のベンズオキサジン化合物;スルホニル化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。これら触媒の添加量は、熱重合性組成物100質量部中0.001~15質量部の範囲であることが好ましい。
本発明のアニオン重合開始剤(A)に対する上記公知の硬化剤の使用割合は、上記アニオン重合開始剤(A)100質量部に対し、公知の硬化剤が0~10質量部である。
本発明の重合性組成物には、さらにシランカップリング剤を加えることができる。シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ官能性アルコキシシランを用いることができ、代表的な化合物としては、γ-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン及びβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記エポキシ官能性アルコキシシランとして市販品を用いることもでき、例えば、D2632、G0261、G0210及びT2675(東京化成社製);KBM-303、KBM-402、KBM-403、KBE-402及びKBE-403(信越シリコーン社製)等が挙げられる。
本発明の重合性組成物には、必要に応じて熱可塑性有機重合体を加えることによって、重合物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート-エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸-メチルメタクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート-ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド及び飽和ポリエステル等が挙げられる。
本発明の重合性組成物には、上記アニオン重合開始剤(A)及びアニオン重合性有機物質(B)の各成分を溶解または分散する溶媒を加えることができる。例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及び2-ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル及びテキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル及びエチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-プロパノール、iso-ブタノール、n-ブタノール及びアミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート及びエトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン及びキシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D-リモネン及びピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油社製)及びソルベッソ#100(エクソン化学社製)等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン及び1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;プロピレンカーボネート、カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド及び水等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
本発明の重合性組成物において、上記アニオン重合開始剤(A)の溶媒中の濃度は、0.005~5mol/lである。
本発明の重合性組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、支持基体上に塗布することができる。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
上記支持基体の材料としては、特に制限されず、通常用いられるものを使用することができる。例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース及びニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-1,2-ジフェノキシエタン-4,4'-ジカルボキシレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル及びポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート及びポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂及びシクロオレフィンポリマー(COP)等の高分子材料が挙げられる。
尚、上記支持基体に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理及びレーザー処理等の表面活性化処理を行っても構わない。
また、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他のモノマー、エネルギー線感受性重合開始剤、無機フィラー、有機フィラー、顔料、染料などの着色剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、レべリング剤、難燃剤、チクソ剤、希釈剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤、接着促進剤及びランダム化剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。
本発明の重合性組成物を加熱により硬化させる場合の条件は、70~250℃で1~100分である。プレベイク(PAB;Pre applied bake)した後、加圧して、ポストベイク(PEB;Post exposure bake)することもでき、異なる数段階の温度でベイクすることもできる。
加熱条件は各成分の種類及び配合割合によって異なるが、例えば、70~180℃で、オーブンなら5~15分間、ホットプレートなら1~5分間加熱し、その後、180~250℃、好ましくは200~250℃で、オーブンなら30~90分間、ホットプレートなら5~30分間加熱処理することによって硬化することができる。
本発明の重合性組成物の具体的な用途としては、帯電防止剤、光学フィルム、偏光板、接着剤、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、コーティング剤、自動車内外装材料、ライニング剤、インキ、レジスト、液状レジスト、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、又はこのようなシートを用いたバックライト、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用注型剤、ゴム、タイヤ等を挙げることができる。
例えば光学フィルムとして適用する場合には、基材として、金属、木材、ゴム、プラスチック、ガラス及びセラミック製品等を用い、基材に本発明の重合性組成物を上述の手段で塗布し、上述の手段で加熱して硬化させる。光学フィルムの代表的な構成としては、透明支持体に、必要に応じて、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、ガスバリア層、潤滑層、粘着剤層等の各層を設けたものが挙げられる。
また、支持基体としては、基材に無機材料を用い、上記の方法により塗布した膜、あるいは真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、イオンアシスト法、反応性スパッタリング法及び化学的気相成長法等の各種蒸着法により作製した膜を積層したものを用いることもできる。
蒸着法により膜を積層する場合、基材としては、ガラスを用いるのが好ましく、膜厚は、使用する無機材料の種類等によっても異なるが、例えば、5~300nmである。蒸着膜は、基板の片面のみに形成させることもできるし、基板の両面に形成させることもできる。
上記無機材料としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、インジウム(In)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)及びアンチモン(Sb)等の酸化物;インジウム・スズ複合酸化物(ITOと略す。)及びアンチモン・スズ複合酸化物(ATOと略す。)等の複合酸化物を使用することができる。
本発明の重合性組成物の重合物としては特に制限されないが、例えば下記一般式(IV)で表される構造である重合物が挙げられる。
Figure 0007103805000013
(式中、Yはヒドロキシル基又は-PR1112を表し、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基又は炭素原子数7~20のアリールアルキル基を表す。αはポリマー鎖であり、βは水素原子又は重合停止末端基を表す。
上記一般式(IV)中、R11及びR12で表される炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基及び炭素原子数7~20のアリールアルキル基としては、上記一般式(I)で挙げたものと同じものが挙げられ、αで表されるポリマー鎖としては、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン及びポリオレフィン等が挙げられる。
βで表される重合停止末端基としては、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基等のアミノ基、エトキシ、n-プロピルオキシ基、1-ヒドロキシ-2-メチル-プロピルオキシ基及び2-ヒドロキシプロピルオキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。
上記重合物の分子量は、500~10000であるのが、重合物の硬化性が高くなるので好ましい。
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下、本発明の重合性組成物及び該重合性組成物を硬化して得られる重合物に関し、実施例、評価例及び比較例により具体的に説明する。
[合成例1]化合物No.5の合成
100mL四つ口フラスコを減圧乾燥し、窒素フローを行った後、ビス(4-メトキシフェニル)ホスフィン及びTHFを入れ、5℃で撹拌した。そこに、ビス(4-メトキシフェニル)ホスフィンに対して1.03当量のカリウムt-ブトキシドを、THF(テトラヒドロフラン)溶液として滴下して加えた。滴下終了後、室温で4時間撹拌を行った。エバポレータを用いて20℃で減圧濃縮・乾燥を行った。窒素を導入して常圧に戻し、白色粉状物を収率86%で得た。H-NMR、31P-NMR及びマススペクトルにより、目的物の生成を確認した。
[合成例2]化合物No.16の合成
100mL三ツ口フラスコを減圧乾燥し、窒素フローを行った後、テトラブチルアンモニウムクロリド及び脱水アセトニトリルを入れ、5℃で撹拌を行った。そこに、テトラブチルアンモニウムクロリドに対して1.1当量のジフェニルホスフィンカリウムを、THF溶液として滴下して加えた。滴下終了後、5℃で5時間、室温で1時間撹拌、ろ過し、白色粉状物(KCl)を除去した。エバポレータを用いて、ろ液を30℃で減圧濃縮した。さらに真空乾燥を行い、黄色油状物を収率28%で得た。H-NMRにより、目的物の生成を確認した。
[実施例1-1~1-2及び比較例1-1~1-4]重合性組成物の調製及び重合1
セプタムを取り付けた50mL三ツ口フラスコに窒素フロー(20mL/min)を行った後、グリシジルフェニルエーテルを入れ、5℃で撹拌を行った。そこに、グリシジルフェニルエーテルに対して0.05当量の表1記載のアニオン重合開始剤を、THF溶液として滴下して加えた。滴下終了後、70℃で6時間加熱撹拌して重合物を得た。得られた重合物の分子量をポリスチレン換算によりGPCで測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007103805000014
表1より、上記一般式(I)で表される化合物をアニオン重合開始剤として含有する本願の重合性組成物の重合物は、分子量が大きく分子量分布が狭いが、それ以外のアニオン重合開始剤を用いて得られた重合物は分子量が小さいかあるいは分子量分布が広いことが明らかである。
[実施例2-1~2-2及び比較例2-1~2-2]重合性組成物の調整及び重合2
真空脱気を行った100mL三ツ口フラスコにアデカレジンEP-4100E(ビスフェノールA型多官能エポキシ:ADEKA社製)を加え、減圧・窒素置換(フロー:20mL/min)を行った後、脱水THF5mLを加えて5℃で撹拌を行った。そこに、アデカレジンEP-4100Eに対して0.10当量の表2記載のアニオン重合開始剤のTHF溶液を、発熱に注意しながら滴下して加えた。滴下終了後、65℃で5時間加熱撹拌を行った。得られた重合物の外観を確認し、黄変したものは×、淡黄色のものは△、白色のものは〇とした。また、重合物の熱重量減少を測定し、重合物の物性を比較した。結果を表2に示す。
Figure 0007103805000015
表2より、上記一般式(I)で表される化合物をアニオン重合開始剤として含有する本願の重合性組成物の重合物は、着色が少なく反応性が高いために耐熱性高いが、それ以外のアニオン重合開始剤を用いて得られた重合物は、着色があり反応性が低いために耐熱性に劣ることが明らかである。
[実施例3-1~3-2及び比較例3-1~3-2]重合性組成物の調整及び重合3
アルミパンにアデカレジンEP-4100Eを入れ、そこにアデカレジンEP-4100Eに対して0.10当量の表3記載のアニオン重合開始剤を加えた。これをホットプレート上で120℃に加熱し、ゲル化までの時間(硬化時間)を調べた。結果を表3に示す。
Figure 0007103805000016
表3より、上記一般式(I)で表される化合物をアニオン重合開始剤として含有する本願の重合性組成物は硬化性が高いが、それ以外のアニオン重合開始剤は硬化性が低いことが明らかである。
[実施例4-1及び比較例4-1~4-2]重合性組成物中の反応率の測定
真空脱気した50mL三ツ口フラスコに窒素フロー(20mL/min)を行い、グリシジルフェニルエーテルとo-クレゾールを等モル入れ、5℃で撹拌した。そこに、グリシジルフェニルエーテルに対して0.01当量の表4記載のアニオン重合開始剤のTHF溶液を滴下して加えた。10分間撹拌後、75℃で加熱撹拌を行った。1時間毎にサンプリングしH-NMR測定を行った。H-NMRの積分比(グリシジルフェニルエーテルの3.90ppmと生成物の3級炭素に置換している水素4.43ppmとの積分比)より反応率を求めた。結果を表4に示す。
Figure 0007103805000017
表4より、上記一般式(I)で表される化合物をアニオン重合開始剤として含有する本願の重合性組成物は反応性が高いが、それ以外のアニオン重合開始剤含有する重合性組成物は反応性が低いことが明らかである。
表1~表4より、本発明の重合性組成物は、反応性が高く、その重合物の分子量が高く分子量分布が狭く着色が少なく硬化性が高いことが明らかである。

Claims (6)

  1. アニオン重合開始剤(A)及びアニオン重合性有機物質(B)を含有する重合性組成物であって、
    上記アニオン重合開始剤(A)がイオン性ホスフィド化合物を少なくとも一種含有し、
    上記イオン性ホスフィド化合物が、下記一般式(I)で表され、
    上記アニオン重合性有機物質(B)が単官能エポキシ化合物又は多官能エポキシ化合物を含む、重合性組成物。
    Figure 0007103805000018

    (式中、R 及びR は、それぞれ独立に、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基又は炭素原子数7~20のアリールアルキル基を表し、M n+ は、K 、又は四級アンモニウムイオン、四級ホスホニウムイオン及び三級スルホニウムイオンから選ばれるカチオン性を示す有機イオンを表し、nは1~5の数である。)
  2. 請求項1に記載の重合性組成物を、加熱により重合させる重合物の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の重合性組成物の重合物。
  4. 下記一般式(IV)で表される構造を有する請求項3に記載の重合物。
    Figure 0007103805000019

    (式中、Yはヒドロキシル基又は-PR1112を表し、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基又は炭素原子数7~20のアリールアルキル基を表す。αはポリマー鎖であり、βは水素原子又は重合停止末端基を表す。)
  5. イオン性ホスフィド化合物を少なくとも一種含有するアニオン重合開始剤であって、
    上記イオン性ホスフィド化合物が、下記一般式(I)で表されるアニオン重合開始剤(但し、共役ジエンモノマーを含むモノマーをアニオン重合するものを除く)。
    Figure 0007103805000020

    (式中、R 及びR は、それぞれ独立に、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基又は炭素原子数7~20のアリールアルキル基を表し、M n+ は、K 、又は四級アンモニウムイオン、四級ホスホニウムイオン及び三級スルホニウムイオンから選ばれるカチオン性を示す有機イオンを表し、nは1~5の数である。)
  6. 上記四級アンモニウムイオンが、テトラメチルアンモニウムイオン、又はテトラブチルアンモニウムイオンであり、
    上記四級ホスホニウムイオンが、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、又はテトラフェニルホスホニウムイオンであり、
    上記三級スルホニウムイオンがテトラフェニルスルホニウムイオンである、請求項5に記載のアニオン重合開始剤。
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