以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1~図4を参照して説明する。図1に示すように、燃料電池システム1は、作動温度が高温(例えば、500℃~1000℃)となる固体酸化物型の燃料電池(すなわち、SOFC)10を備えている。
燃料電池10は、燃料ガスおよび酸化剤ガス(本例では空気)の電気化学反応により電気エネルギを出力する複数の発電セルを積層したスタック構造を有している。なお、発電セルの形状は、平板型および円筒型のいずれであってもよい。
図示しないが発電セルは、固体酸化物電解質、空気極(すなわち、カソード)、燃料極(すなわち、アノード)を含んで構成されている。本実施形態の発電セルは、炭化水素系の燃料である都市ガス(すなわち、メタンを主成分とするガス)を改質して生成される水素および一酸化炭素を燃料ガスとしている。なお、使用する燃料は、炭化水素系の燃料であれば、都市ガス以外のガスが採用されていてもよい。
燃料電池10は、以下の反応式F1、F2に示す水素および酸素の電気化学反応により電気エネルギを出力する。
(燃料極)2H2+2O2-→2H2O+4e- …(F1)
(空気極)O2+4e-→2O2- …(F2)
また、燃料電池10は、以下の反応式F3、F4に示す一酸化炭素および酸素の電気化学反応により電気エネルギを出力する。
(燃料極)2CO+2O2-→2CO2+4e- …(F3)
(空気極)O2+4e-→2O2- …(F4)
燃料電池10は、後述する空気予熱器22、改質器33等とともに断熱性を有するハウジングの内側に配置されている。なお、図示しないが、燃料電池10は、その起動時に後述する燃焼器73によって暖機されるようにハウジングの内側に配置されている。
燃料電池10は、空気入口部10aに、空気の流通経路である空気配管20が接続されている。空気配管20には、燃料電池10に空気を圧送する圧送ブロワ21、燃料電池10に供給する空気を加熱する空気予熱器22が設けられている。
圧送ブロワ21は、大気中の空気を吸い込んで燃料電池10に供給するブロワである。圧送ブロワ21は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動式のブロワで構成されている。
空気予熱器22は、圧送ブロワ21から圧送された空気を後述する燃焼器73で生成された燃焼ガスと熱交換させて加熱するものである。空気予熱器22は、燃料電池10に供給する空気と燃料ガスとの温度差を縮小して、燃料電池10の発電効率の向上を図るために設けられている。
一方、燃料電池10は、燃料入口部10bに、燃料や燃料ガスの流通経路である燃料配管30が接続されている。燃料配管30には、上流側から順に、燃料開閉弁31、燃料ポンプ32、改質器33が設けられている。
燃料開閉弁31は、燃料配管30のうち改質器33へ燃料を供給するための燃料経路30aを開閉するものである。燃料開閉弁31は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電磁弁で構成されている。なお、燃料経路30aは、燃料配管30のうち後述する燃料バイパス配管50との接続部から改質器33の燃料入口に至る経路である。
燃料ポンプ32は、燃料電池10側に向けて燃料を供給するためのポンプである。燃料ポンプ32は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動ポンプで構成されている。
改質器33は、水蒸気を用いて燃料ポンプ32から供給された燃料を改質して燃料ガスを生成するものである。改質器33は、例えば、ニッケルを含む水蒸気改質触媒、反応器を含んで構成されている。
ここで、改質器33としては、部分酸化改質反応により燃料ガスを生成する構成とすることが考えられるが、改質器33の構成機器に温度耐久性等が要求され、非常に高価になってしまう。このため、本実施形態では、改質器33として、部分酸化改質反応ではなく水蒸気改質反応により燃料ガスを生成するものを採用している。
具体的には、改質器33は、燃料および水蒸気を混合した混合ガスを燃焼ガスと熱交換させて加熱するとともに、以下の反応式F5に示す改質反応、および反応式F6に示すシフト反応により燃料ガス(水素、一酸化炭素)を生成する。
CH4+H2O→CO+H2 …(F5)
CO+H2O→CO2+H2 …(F6)
ここで、改質器33における水蒸気改質は吸熱反応であり、高温となる条件下にて改質率が向上する特性を有している。このため、改質器33は、燃料電池10の発電時に周囲に放出される熱(放射熱)を吸熱できるように、燃料電池10の周囲に配設されていることが望ましい。
改質器33の出口側には、改質器33の温度を検出するための改質温度センサ101が設置されている。改質温度センサ101は、改質器33を通過した後の流体の温度を検出する温度センサである。なお、改質温度センサ101は、改質器33の温度を直接的に検出する温度センサで構成されていてもよい。
燃料配管30には、燃料ポンプ32と改質器33との間に水供給配管40が接続されている。水供給配管40には、水ポンプ41、改質器33へ供給する水蒸気を生成する気化器42が設けられている。
水ポンプ41は、気化器42を介して改質器33側に水蒸気を供給するポンプである。水ポンプ41は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動ポンプで構成されている。本実施形態では、水ポンプ41が気化器42への水の供給量を調整する水量調整部を構成する。
気化器42は、燃焼ガスによって昇温するように構成されている。具体的には、気化器42は、水ポンプ41から供給される水を燃焼ガスと熱交換させて蒸発させる蒸発器で構成されている。
気化器42の出口側には、気化器42の温度を検出するための気化温度センサ102が設置されている。気化温度センサ102は、気化器42を通過した後の流体の温度を検出する温度センサである。なお、気化温度センサ102は、気化器42の温度を直接的に検出する温度センサで構成されていてもよい。
また、燃料配管30には、燃料開閉弁31の上流側に燃料バイパス配管50が接続されている。燃料バイパス配管50は、改質器33を介さずに後述する燃焼器73へ燃料を供給する燃料バイパス経路を構成する。
燃料バイパス配管50には、燃料を後述する燃焼器73に流すためのバイパスポンプ51が設けられている。バイパスポンプ51は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動ポンプで構成されている。
ここで、燃料電池システム1は、燃料開閉弁31、燃料ポンプ32、およびバイパスポンプ51の作動によって燃料経路30aおよび燃料バイパス配管50に対する燃料の供給割合を調整する構成になっている。具体的には、燃料電池システム1は、燃料開閉弁31によって燃料経路30aを開放した状態で燃料ポンプ32を作動させると、燃料が燃料経路30aに流れる。また、燃料電池システム1は、燃料開閉弁31によって燃料経路30aを閉鎖した状態でバイパスポンプ51を作動させると、燃料が燃料バイパス配管50に流れる。本実施形態では、燃料開閉弁31、燃料ポンプ32、およびバイパスポンプ51が燃料調整部を構成する。
さらに、燃料配管30には、燃料よりも炭素含有率が低い低炭素流体を改質器33の下流側から燃料経路30aに戻す循環経路を構成する循環配管60が接続されている。低炭素流体は、燃料電池10の停止時等に燃料配管30や改質器33に残留する残留ガスおよび外部から侵入した空気や水を含む流体であり、燃料よりも炭素含有率が低くなっている。
循環配管60は、改質器33を通過した低炭素流体を改質器33の上流側に戻すための配管である。循環配管60は、一端側が燃料配管30における改質器33と燃料電池10との間の部位に接続され、他端側が燃料配管30における燃料開閉弁31と燃料ポンプ32との間の部位に接続されている。
循環配管60には、循環調整弁61が設けられている。循環調整弁61は、改質器33の下流側の流体を燃料電池10側ではなく循環配管60側に流すためのものである。循環調整弁61は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電磁弁で構成されている。本実施形態では、循環調整弁61が循環配管60に流す低炭素流体の流量を調整する循環量調整部を構成する。
また、燃料電池10には、燃料電池10から排出するオフガスが流れるオフガス配管70が接続されている。具体的には、燃料電池10には、空気出口部10cに燃料電池10から排出される酸化剤オフガスが流れる空気排出配管71が接続され、燃料出口部10dに燃料電池10から排出される燃料オフガスが流れる燃料排出配管72が接続されている。
オフガス配管70には、燃焼器73が接続されている。燃焼器73は、燃料または燃料オフガスを燃焼させることで改質器33等を昇温させる燃焼ガスを生成するものである。燃焼器73は、例えば、燃料電池10の発電時に、酸化剤オフガスおよび燃料オフガスを混合した混合ガスを可燃ガスとして燃焼させることで、燃料電池システム1の各機器を昇温させるための燃焼ガスを生成する。図示しないが、燃焼器73は、燃料を燃焼させるためのバーナを有している。燃焼器73では、バーナの点火によって、燃料の燃焼が開始されて燃焼ガスが生成される。
燃焼器73には、高温の燃焼ガスを流通させる燃焼ガス配管74が接続されている。燃焼ガス配管74は、内部を流れる燃焼ガスの熱を有効活用すべく、上流側から順に、改質器33、空気予熱器22、気化器42といった順に接続されている。なお、燃焼ガスを各機器に流す順序は、各機器にて必要とされる熱量等に応じて変更してもよい。
次に、燃料電池システム1における電子制御部を構成する制御装置100について図2を参照して説明する。図2に示す制御装置100は、プロセッサ、メモリを含む周知のマイクロコンピュータと、その周辺回路で構成されている。制御装置100は、メモリに記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い出力側に接続された各種制御機器の作動を制御する。
制御装置100の入力側には、改質温度センサ101、気化温度センサ102を含む各種センサが接続されており、各種センサの検出結果が制御装置100に入力されるようになっている。
また、制御装置100には、操作パネル105が接続されている。操作パネル105には、燃料電池10の発電をオンオフするためのスタートスイッチ105a、燃料電池10の作動状態を表示するディスプレイ105b等が設けられている。
一方、制御装置100の出力側には、制御機器として、圧送ブロワ21、燃料開閉弁31、燃料ポンプ32、水ポンプ41、バイパスポンプ51、循環調整弁61、図示しない燃焼器73のバーナ等が接続されている。これら制御機器は、制御装置100から出力される制御信号に応じて、その作動が制御される。
次に、燃料電池システム1の全体的な作動について、図3のフローチャートを参照して説明する。図3に示す各制御処理は、スタートスイッチ105aがオンされると制御装置100によって実行される。
スタートスイッチ105aがオンされると、図3に示すように、制御装置100は、まず、ステップS10にて初期化処理を実行する。この初期化処理は、各種設定値、各種フラグ等を初期化する処理である。
続いて、制御装置100は、ステップS20にて、燃料電池10を含む各種機器を所望の温度まで昇温させる暖機処理を実行する。暖機処理は、燃料電池10の起動時に実行される起動処理の1つである。
制御装置100は、暖機処理時に、燃料が燃料バイパス配管50を介して燃焼器73に流れるように燃料開閉弁31、燃料ポンプ32、バイパスポンプ51を制御し、且つ、低炭素流体が循環配管60に流れるように循環調整弁61を制御する。
具体的には、制御装置100は、暖機処理時に、燃料経路30aが閉鎖されるように燃料開閉弁31を閉状態に制御し、且つ、循環配管60に流体が流れるように循環調整弁61を開状態に制御する。この状態で、制御装置100は、圧送ブロワ21、燃料ポンプ32、およびバイパスポンプ51を所定の回転数で作動させる。
これにより、図4の白抜き矢印で示すように、燃料が燃料バイパス配管50を介して燃焼器73に供給されるとともに、酸化剤ガスが燃料電池10を介して燃焼器73に供給される。
燃焼器73では、バーナの点火によって燃料および酸化剤ガスの混合ガスが可燃ガスとして燃焼されることで高温の燃焼ガスが生成される。燃焼器73で生成された燃焼ガスは、燃焼ガス配管74を流れる際に改質器33、空気予熱器22、気化器42に放熱する。これにより、改質器33、空気予熱器22、気化器42が昇温する。
この際、改質器33に対して水蒸気が供給されない状態で炭素含有率が高い燃料が供給されると、熱分解反応やブードワ反応(boudouard reaction)等によって改質器33に炭素析出が生じ易くなってしまう。
一方、暖機処理時に、改質器33に対する燃料等の流体の供給を停止することが考えられるが、この場合、改質器33が局所的に加熱されることで、改質触媒にシンタリングが生じ易くなってしまうといった背反がある。
これに対して、本実施形態の燃料電池システム1は、暖機処理時に、循環調整弁61を開放された状態で燃料ポンプ32を作動させる。このため、暖機処理時には、燃料経路30a、改質器33、循環配管60に存在する低炭素流体が、図4のドット柄を付した矢印で示すように、燃料経路30a、改質器33、循環配管60、燃料ポンプ32の順に循環する。このため、本実施形態の暖機処理時には、炭素析出およびシンタリングの発生が抑制される。
ここで、暖機処理時において、バイパスポンプ51の起動後に燃料ポンプ32を起動させると、燃料経路30aおよび循環配管60に対して燃焼器73および燃焼ガス配管74の流体が若干量引き込まれることがある。この場合、例えば、燃焼器73および燃焼ガス配管74の燃料の一部が燃料電池10を介して燃料経路30a側に引き込まれてしまう。暖機処理時に燃料経路30a等に燃料が引き込まれることは、改質器に流れ込む流体の炭素含有率が増加することになるため好ましくない。
このため、暖機処理時には、少なくとも燃料ポンプ32の起動後にバイパスポンプ51を起動させることが望ましい。これによると、暖機処理時において、燃料経路30aおよび循環配管60を循環させる流体の炭素含有率を低い状態に維持することができる。
また、燃焼器73のバーナの点火後に、燃料ポンプ32、圧送ブロワ21、バイパスポンプ51を起動させると、例えば、燃料がバーナから逆流することで失火してしまう虞がある。
このため、暖機処理時には、バイパスポンプ51の起動後に、燃焼器73のバーナの点火を実施することが望ましい。すなわち、暖機処理時には、制御装置100が、燃料ポンプ32の起動、圧送ブロワ21の起動、バイパスポンプ51の起動、燃焼器73のバーナの点火の動作順序となるように各機器を制御する構成になっていることが望ましい。
暖機処理の開始後、制御装置100は、ステップS30にて、蒸発可能状態であるか否かを判定する。すなわち、制御装置100は、ステップS30にて、燃焼ガスによって気化器42で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定する。
本実施形態の制御装置100は、気化温度センサ102の検出温度に基づいて、気化器42で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、気化温度センサ102の検出温度が所定の蒸発基準温度(例えば、100℃)以上となる場合に、気化器42で水を蒸発させることが可能な状態(すなわち、蒸発可能状態)であると判定する。一方、制御装置100は、気化温度センサ102の検出温度が蒸発基準温度未満となる場合に、気化器42で水を蒸発させることが困難な状態(すなわち、蒸発困難状態)であると判定する。
ステップS30の判定処理の結果が蒸発可能状態である場合、制御装置100は、ステップS40にて水蒸気生成処理を実行する。水蒸気生成処理は、燃料電池10の起動時に実行される起動処理の1つである。
制御装置100は、水蒸気生成処理時に、気化器42に対して水が供給されるように水ポンプ41を制御する。なお、制御装置100は、水ポンプ41以外の制御機器について暖機処理の制御状態を維持する。
気化器42では、水が供給されると、水が蒸発して水蒸気が生成される。この水蒸気は、図4の網目柄を付した矢印で示すように、燃料経路30aに流入して低炭素流体と混合される。これにより、水蒸気を多分に含む低炭素流体が改質器33に流入するので、改質器33における炭素析出が充分に抑制される。
水蒸気生成処理の開始後、制御装置100は、ステップS50にて、改質可能状態であるか否かを判定する。すなわち、制御装置100は、ステップS50にて、改質器33で燃料ガスの生成が可能な状態であるか否かを判定する。
本実施形態の制御装置100は、改質温度センサ101の検出温度に基づいて、改質器33で燃料ガスの生成が可能な状態であるか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、改質温度センサ101の検出温度が所定の改質基準温度(例えば、400℃)以上となる場合に、改質器33で燃料ガスの生成が可能な状態(すなわち、改質可能状態)であると判定する。一方、制御装置100は、改質温度センサ101の検出温度が改質基準温度未満となる場合に、改質器33で燃料ガスの生成が困難な状態(すなわち、改質困難状態)であると判定する。なお、改質器33における改質反応は、水が蒸発する温度よりも高い温度(例えば、400℃以上)で進行する。このため、改質基準温度は、蒸発基準温度よりも高い温度に設定される。
ステップS50の判定処理の結果が改質可能状態である場合、制御装置100は、ステップS60にて、改質器33にて燃料ガスを生成する改質処理を実行する。改質処理は、燃料電池10の起動時に実行される起動処理の1つである。
制御装置100は、改質処理時に、燃料が燃料経路30aを介して改質器33に流れるように燃料開閉弁31、バイパスポンプ51を制御する。なお、制御装置100は、燃料開閉弁31、バイパスポンプ51以外の制御機器について水蒸気生成処理の制御状態を維持する。
具体的には、制御装置100は、改質処理時に、燃料経路30aが開放されるように燃料開閉弁31を開状態に制御する。この状態で、制御装置100は、燃料バイパス配管50に流れる燃料が減少するようにバイパスポンプ51の回転数を低下させる。これにより、燃料が燃料配管30を介して改質器33に供給される。改質器33では、燃料および水蒸気の混合ガスが供給されると、前述の反応式F5、F6に示す反応により燃料ガス(水素、一酸化炭素)が生成される。
改質処理の開始後、制御装置100は、ステップS70にて、発電可能状態であるか否かを判定する。すなわち、制御装置100は、ステップS70にて、燃料電池10で電気エネルギを出力可能な状態であるか否かを判定する。
本実施形態の制御装置100は、図示しない電池温度センサの検出温度に基づいて、燃料電池10で電気エネルギを出力可能な状態であるか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、電池温度センサの検出温度が所定の発電基準温度(例えば、500℃)以上となる場合に、燃料電池10で電気エネルギを出力可能な状態(すなわち、発電可能状態)であると判定する。一方、制御装置100は、電池温度センサの検出温度が発電基準温度未満となる場合に、燃料電池10で電気エネルギの出力が困難な状態(すなわち、発電困難状態)であると判定する。なお、燃料電池10の発電は、改質器33で燃料ガスが生成される際の温度よりも高い温度(例えば、500℃以上)で進行し易い傾向がある。このため、発電基準温度は、改質基準温度よりも高い温度に設定されることが望ましい。
ステップS70の判定処理の結果が改質可能状態である場合、制御装置100は、ステップS80にて、燃料電池10で電気エネルギを出力する発電処理を実行する。具体的には、制御装置100は、発電処理時に、循環配管60に流体が流れないように循環調整弁61を閉状態に制御するとともに、燃料バイパス配管50に燃料が流れないようにバイパスポンプ51の作動を停止する。なお、制御装置100は、循環調整弁61およびバイパスポンプ51以外の制御機器について改質処理の制御状態を維持する。
これにより、改質器33で生成された燃料ガスが燃料電池10に供給される。燃料電池10では、燃料ガスおよび酸化剤ガスの電気化学反応により電気エネルギが出力される。そして、燃料電池10から排出されるオフガスは、可燃ガスとして燃焼器73で燃焼される。なお、燃焼器73で生成された燃焼ガスは、燃焼ガス配管74を流れる際に改質器33、空気予熱器22、気化器42に放熱する。
以上説明した燃料電池システム1は、燃料電池10の起動時の暖機処理時に、燃料よりも炭素含有率の低い低炭素流体を改質器33の下流側から改質器33の上流側に戻す構成になっている。
これによると、暖機処理時には、低炭素流体が改質器33に供給されるので、燃料が改質器33に供給される構成に比べて、改質器33における炭素析出の発生を抑制することができる。
加えて、循環配管60によって低炭素流体を循環させる構成では、暖機処理時における改質器33の一部の温度が過度に高くなることが抑制される。すなわち、循環配管60によって低炭素流体を循環させる構成では、暖機処理時に改質器33が均温化される。
このように、本実施形態の燃料電池システム1によれば、燃料電池10の起動時に改質器33の性能低下を招く要因(本例では、炭素析出、シンタリング)の発生を抑制することができる。
ここで、暖機処理の実行と同時に、気化器42に対して水を供給することが考えられるが、この場合、温度の低い水が気化器42に供給されると、当該水によって気化器42が昇温され難くなってしまう。このことは、燃料電池10の起動時間が長くなってしまう要因となることから好ましくない。
これに対して、本実施形態の燃料電池システム1は、暖機処理の開始後に、燃焼ガスによって気化器42で水を蒸発させることが可能な状態になると、気化器42へ水を供給する水蒸気生成処理が実行される構成になっている。このように、気化器42で水を蒸発させることが可能になった後に、気化器42に水を供給する構成では、燃焼ガスによって気化器42を早期に昇温させることができる。このことは、燃料電池10の起動時間の短縮化に寄与する。
また、燃料電池システム1は、水蒸気生成処理の開始後に、改質器33で燃料ガスの生成が可能な状態になると、燃料経路30aを介して燃料を改質器33に流す改質処理を実行する構成になっている。このように、水蒸気生成処理の開始後に改質処理を実行すれば、改質器33に供給する燃料中の炭素に対する水蒸気のモル比(すなわち、S/C)を高い状態に維持することが可能となるので、改質器33における炭素析出の発生を充分に抑制することができる。
(第1実施形態の変形例)
上述の第1実施形態では、改質処理時に、循環調整弁61を開状態に維持した状態で、改質処理を実行する例について説明したが、これに限定されない。燃料電池システム1は、例えば、改質処理時に循環調整弁61を閉状態に制御する構成になっていてもよい。
上述の第1実施形態では、水蒸気生成処理の開始後に、改質処理および発電処理を実行する例について説明したが、これに限定されない。燃料電池システム1は、例えば、水蒸気生成処理の開始後、改質可能状態になると、発電処理に移行するように構成されていてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図5を参照して説明する。本実施形態では、循環配管60が燃料排出配管72に接続されている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図5に示すように、循環配管60は、燃料電池の起動時に、低炭素流体が改質器33だけでなく燃料電池10にも流れるように、上流側が燃料排出配管72に接続され、下流側が燃料経路30aに接続されている。具体的には、循環配管60は、一端側が燃料排出配管72における燃料電池10と燃焼器73との間の部位に接続され、他端側が燃料配管30における燃料開閉弁31と燃料ポンプ32との間の部位に接続されている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。燃料電池システム1は、暖機処理時に、燃料経路30a、改質器33、燃料電池10、循環配管60に存在する低炭素流体が、図5のドット柄を付した矢印で示すように、燃料経路30a、改質器33、燃料電池10、循環配管60、燃料ポンプ32に循環する。
これによると、暖機処理時に改質器33と燃料電池10との温度差を縮小することができるので、改質器33と燃料電池10との間で均温化を図ることができる。加えて、暖機処理時に、燃料電池10に低炭素流体が流れ構成とすれば、燃料電池10の内部における炭素析出やシンタリングの発生を抑制することができる。
ここで、燃料電池10から排出される燃料オフガスには、燃料電池10における電気化学反応に利用されなかった未反応ガスが含まれている。このため、燃料オフガスを燃料電池10に戻す構成とすることで、燃費の向上を期待することができる。
本実施形態の燃料電池システム1は、循環配管60が燃料排出配管72に接続されている。このため、発電処理にて、循環配管60に流体が流れるように循環調整弁61を開状態に制御することで、燃料オフガスに含まれる未反応ガスを有効活用して燃費の向上を図ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図6を参照して説明する。本実施形態では、燃料配管30に対してエジェクタ81が設けられている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図6に示すように、燃料配管30には、燃料ポンプ32と改質器33との間にエジェクタ81が設けられている。エジェクタ81は、流体を噴射するノズル部811、燃料電池10の出口側から流体を吸引する吸引部812、ノズル部811から噴射される流体と吸引部812から吸引される流体とを混合して改質器33に向けて吐出する吐出部813を有する。
ノズル部811は、流体を噴射可能な絞り構造を有している。ノズル部811は、絞り開度が固定された固定絞り構造で構成されている。また、吐出部813は、ノズル部811からの流体および吸引部812からの流体が混合された後に昇圧されるように流路断面積が下流側に向かって拡大している。なお、ノズル部811は、絞り開度を変更可能な可変絞り構造で構成されていてもよい。
エジェクタ81の吸引部812は、ノズル部811の出口側の負圧を利用して燃料電池10の出口側から流体を吸引するように構成されている。具体的には、吸引部812には、燃料排出配管72を流れる流体が吸引されるように、燃料排出配管72から分岐する吸引配管82が接続されている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。燃料電池システム1は、暖機処理時に、燃料経路30a、改質器33、循環配管60に存在する低炭素流体が、図6のドット柄を付した矢印で示すように、燃料経路30a、エジェクタ81、改質器33、循環配管60、燃料ポンプ32に循環する。この際、エジェクタ81では、図6の網目柄を付した矢印で示すように、ノズル部811から低炭素流体が噴射されることで生ずる負圧によって、燃料電池10の出口側の低炭素流体が吸引部812に吸引される。
このように構成される燃料電池システム1は、燃料電池10の起動時に、エジェクタ81によって燃料電池10を通過した低炭素流体が燃料電池10の出口側から吸引される。これによると、動力を増やすことなく、改質器33に対して大流量の低炭素流体を供給することができる。なお、本実施形態では、循環調整弁61およびエジェクタ81が循環量調整部を構成する。
加えて、燃料電池システム1は、発電処理時においても、エジェクタ81によって燃料電池10から排出される燃料オフガスを燃料電池10の上流側に戻すことができるので、燃料オフガスに含まれる未反応ガスを有効活用して燃費の向上を図ることができる。
ところで、エジェクタ81は、駆動流としてノズル部811に流入する流体の質量流量の増加に伴って吸引部812から吸引される吸引流体の流量が増えるといった特性を有する。このため、発電処理時において、エジェクタ81のノズル部811に流入する流体の質量流量を増加させることで、吸引部812から吸引される燃料オフガスの吸引流量を増加させることが可能となる。
エジェクタ81のノズル部811に流入する流体の質量流量を増加させる手法として、例えば、燃料ポンプ32の燃料吐出能力(例えば、ポンプ回転数)を増加させることが考えられる。
しかしながら、上述の手法では、吸引部812から吸引される燃料オフガスの流量を増加させることができる一方で、燃料の供給量が増加してしまことになり、燃費の向上効果が限定的になってしまう虞がある。
本実施形態の燃料電池システム1は、循環配管60を有しており、循環配管60を介して改質器33で改質された燃料ガスの一部をエジェクタ81のノズル部811に流入させることが可能になっている。このため、燃料電池10の発電時には、循環配管60を介して改質器33で改質された燃料ガスの一部をエジェクタ81のノズル部811に流入させることで、エジェクタ81のノズル部811に流入する流体の質量流量を増加させることが望ましい。
これによると、燃料の供給量を増加させることなく、燃料電池10の上流側に戻す燃料オフガスの流量を増加させることができるので、未反応ガスを有効活用した燃費の向上効果を充分に得ることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図7を参照して説明する。本実施形態では、気化温度センサ102に代えて圧力センサ103が燃料経路30aに設けられている点が第3実施形態と相違している。本実施形態では、第3実施形態と異なる部分について主に説明し、第3実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図7に示すように、燃料経路30aには、圧力センサ103が設けられている。圧力センサ103は、燃料経路30aにおける圧力変化を検出可能に構成されている。なお、圧力センサ103は、燃料経路30aの圧力変化を検出可能であれば、燃料経路30a以外の位置(例えば、気化器42の内部)に設けられていてもよい。
本実施形態では、燃焼ガスによって気化器42で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定するために圧力センサ103を用いている。すなわち、制御装置100は、図3に示すステップS30にて、圧力センサ103の検出圧力に基づいて、気化器42で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定する。
ここで、低炭素流体に水が含まれる場合、気化器42の温度が水の沸点付近まで上昇すると、水蒸気が生ずることで気化器42の内部および気化器42の内部に連通する燃料経路30aの圧力が上昇する。特に、燃料経路30aにエジェクタ81が設けられている場合、水蒸気の発生に伴うエジェクタ81の上流側の圧力変動が顕著となる。このため、燃料経路30aにおける圧力変化に基づいて気化器42で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定することができる。
具体的には、制御装置100は、圧力センサ103の検出圧力が所定の蒸発基準圧力以上となる場合に、気化器42で水を蒸発させることが可能な状態(すなわち、蒸発可能状態)であると判定する。一方、制御装置100は、圧力センサ103の検出圧力が蒸発基準圧力未満となる場合に、気化器42で水を蒸発させることが困難な状態(すなわち、蒸発困難状態)であると判定する。
これによれば、気化器42で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かの判定を燃料経路30aにおける低炭素流体の状態変化に基づいて直接的に実施することができる。すなわち、本実施形態の燃料電池システム1によれば、蒸発可能状態であるか否かを高精度に判定することが可能となる。
(第4実施形態の変形例)
上述の第4実施形態では、エジェクタ81を備えることを前提とする燃料電池システム1において、圧力センサ103の検出圧力に基づいて蒸発可能状態であるか否かを判定する構成を例示したが、これに限定されない。上述の第4実施形態は、エジェクタ81を備えない燃料電池システム1に対しても適用可能である。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、図8を参照して説明する。本実施形態では、循環配管60に対して、バッファタンク62が設けられている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図8に示すように、循環配管60には、バッファタンク62が設けられている。このバッファタンク62は、燃料電池10の発電停止時等にシステム内に残留する流体等を低炭素流体として貯留するためのタンクである。バッファタンク62は、燃料が流入し難いように、循環配管60における改質器33の出口側から循環調整弁61までの範囲に設定されていることが望ましい。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の燃料電池システム1は、循環配管60に低炭素流体を貯留するためのバッファタンク62が設けられている。これによると、燃料電池10の起動時に、バッファタンク62に貯留された低炭素流体が燃料経路30aおよび循環配管60を循環するので、改質器33に対して大流量の低炭素流体を供給することができる。この結果、暖機処理時に改質器33を均温化して、シンタリング等の発生を抑制することができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について、図9を参照して説明する。本実施形態では、燃焼ガス配管74に対して燃焼ガスの温度を検出する燃焼温度センサ104が設けられている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図9に示すように、燃焼ガス配管74には、気化器42を通過した後の燃焼ガスの温度を検出する燃焼温度センサ104が設けられている。燃焼温度センサ104は、燃焼ガス配管74における気化器42の下流側に設置されている。
本実施形態では、燃焼ガスによって気化器42で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定するために燃焼温度センサ104を用いている。すなわち、制御装置100は、図3に示すステップS30にて、燃焼温度センサ104の検出温度に基づいて、気化器42で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定する。
ここで、気化器42を通過した後の燃焼ガスの温度が水の沸点付近まで上昇すれば、気化器42で水蒸気を生成可能となる。このため、気化器42を通過した後の燃焼ガスの温度に基づいて気化器42で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定することができる。
具体的には、制御装置100は、燃焼温度センサ104の検出温度が所定の蒸発基準温度以上となる場合に、気化器42で水を蒸発させることが可能な状態(すなわち、蒸発可能状態)であると判定する。一方、制御装置100は、燃焼温度センサ104の検出温度が蒸発基準温度未満となる場合に、気化器42で水を蒸発させることが困難な状態(すなわち、蒸発困難状態)であると判定する。
これによると、気化器42で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かの判定を燃焼ガスの温度に基づいて間接的に実施することができる。すなわち、本実施形態の燃料電池システム1によれば、第1実施形態と同様に蒸発可能状態であるか否かを判定することができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について、図10を参照して説明する。本実施形態では、循環配管60に対して、放熱器63が設けられている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
燃料電池システム1は、燃料電池10の起動時の暖機処理によって改質器33を昇温させる構成になっているが、暖機処理によって改質器33の温度が過度に上昇すると、シンタリングが生じてしまう虞がある。
そこで、本実施形態では、図10に示すように、循環配管60に対して放熱器63を設けている。この放熱器63は、低炭素流体を外気との熱交換によって放熱させるための熱交換器である。放熱器63は、例えば、フィンアンドチューブ型の熱交換器を採用することができる。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の燃料電池システム1は、循環配管60に低炭素流体を放熱させるための放熱器63が設けられている。これによると、暖機処理によって改質器33が過度に温度上昇することを抑制することができる。このことは、シンタリングの発生の抑制に寄与する。
また、放熱器63は、低炭素流体を貯留可能な容積を有する熱交換器で構成すれば、燃料電池10の発電停止時等に低炭素流体を貯留するバッファタンクとして放熱器63を機能させることも可能となる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について、図11を参照して説明する。本実施形態では、燃料経路30aに対して燃料開閉弁31が設けられていない点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図11に示すように、燃料電池システム1は、燃料配管30に対して燃料経路30aを開閉する燃料開閉弁31が設けられていない。燃料電池システム1は、制御装置100による燃料ポンプ32およびバイパスポンプ51の制御によって、燃料経路30aおよび燃料バイパス配管50に対する燃料の供給割合を調整する構成になっている。なお、本実施形態では、燃料ポンプ32およびバイパスポンプ51が燃料調整部を構成する。
制御装置100は、図3に示すステップS20の暖機処理において、燃料が燃料バイパス配管50を介して燃焼器73に流れるように燃料ポンプ32、バイパスポンプ51を制御し、且つ、低炭素流体が循環配管60に流れるように循環調整弁61を制御する。
具体的には、制御装置100は、暖機処理時に、循環配管60に流体が流れるように循環調整弁61を開状態に制御する。この状態で、制御装置100は、圧送ブロワ21、燃料ポンプ32、およびバイパスポンプ51を所定の回転数で作動させる。
この際、制御装置100は、燃料が燃料バイパス配管50に流れるように燃料ポンプ32およびバイパスポンプ51を制御する。具体的には、制御装置100は、燃料バイパス配管50側の圧力が燃料経路30a側の圧力以下となるように燃料ポンプ32およびバイパスポンプ51を制御する。換言すれば、制御装置100は、バイパスポンプ51の燃料吸込側の圧力が燃料ポンプ32の燃料吸込側の圧力以下となるように燃料ポンプ32およびバイパスポンプ51を制御する。これにより、図11の白抜き矢印で示すように、燃料が燃料バイパス配管50を介して燃焼器73に供給される。
一方、制御装置100は、改質処理時に、燃料が燃料経路30aに流れるように燃料ポンプ32およびバイパスポンプ51を制御する。具体的には、制御装置100は、燃料バイパス配管50側の圧力が燃料経路30a側の圧力よりも高くなるように燃料ポンプ32およびバイパスポンプ51を制御する。換言すれば、制御装置100は、バイパスポンプ51の燃料吸込側の圧力が燃料ポンプ32の燃料吸込側の圧力よりも高くなるように燃料ポンプ32およびバイパスポンプ51を制御する。これにより、燃料が燃料経路30aを介して改質器33に供給される。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。燃料電池システム1は、暖機処理時に、燃料バイパス配管50の圧力が燃料経路30aの圧力以下となるように燃料ポンプ32およびバイパスポンプ51を制御することで、燃料バイパス配管50を介して燃料を燃焼器73に流す構成になっている。また、燃料電池システム1は、改質処理時に、燃料バイパス配管50の圧力が燃料経路30aの圧力より高くなるように燃料ポンプ32およびバイパスポンプ51を制御することで、燃料経路30aを介して燃料を改質器33に流す構成になっている。
このように、燃料バイパス配管50と燃料経路30aとの圧力バランスによって燃料経路30aおよび燃料バイパス配管50の燃料の供給割合を調整する構成とすれば、システムの簡素化を図ることができる。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態では、暖機処理時に制御装置100が、燃料ポンプ32の起動、圧送ブロワ21の起動、バイパスポンプ51の起動、燃焼器73のバーナの点火の動作順序となるように各機器を制御するものを例示したが、これに限定されない。暖機処理時の各機器の動作順序は、上述のものとは異なる順序になっていてもよいし、一部の機器が同時に起動されるようになっていてもよい。
上述の実施形態では、暖機処理の開始後に気化器42で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定する判定処理を実行するものを例示したが、これに限定されない。燃料電池システム1は、例えば、暖機処理を開始してから所定時間が経過すると、水蒸気生成処理に移行する構成になっていてもよい。
上述の実施形態では、水蒸気生成処理の開始後に改質器33で燃料ガスを生成可能な状態であるか否かを判定する判定処理を実行するものを例示したが、これに限定されない。燃料電池システム1は、例えば、水蒸気生成処理を開始してから所定時間が経過すると、改質処理に移行する構成になっていてもよい。
上述の実施形態では、燃料ガスを改質器33で生成するものを例示したが、これに限定されない。燃料電池システム1は、改質器33だけでなく、燃料電池10の内部でも燃料ガスを生成可能な内部改質型の燃料電池10が採用された構成になっていてもよい。
上述の実施形態では、燃料調整部の1つを開閉弁からなる燃料調整弁31で構成したものを例示したが、これに限定されない。燃料電池システム1は、例えば、燃料調整弁31が開閉弁以外のもので構成されていてもよい。
上述の実施形態では、循環量調整部を循環調整弁61で構成したものを例示したが、これに限定されない。燃料電池システム1は、例えば、循環量調整部が循環調整弁61以外のもので構成されていてもよい。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、燃料電池システムは、固体酸化物型の燃料電池と、改質器と、燃焼器と、燃料経路と、燃料バイパス経路と、循環経路と、燃料調整部と、循環量調整部と、制御装置と、を備える。制御装置は、燃料電池の起動時に、燃料が燃料バイパス経路を介して燃焼器に流れるように燃料調整部を制御し、且つ、低炭素流体が循環経路に流れるように循環量調整部を制御する暖機処理を実行する。
第2の観点によれば、燃料電池システムは、改質器へ供給する水蒸気を生成する気化器と、気化器への水の供給量を調整する水量調整部と、を備える。気化器は、燃焼ガスによって昇温するように構成されている。制御装置は、暖機処理の開始後に、燃焼ガスによって気化器で水を蒸発させることが可能な状態になると、気化器へ水が供給されるように水量調整部を制御する水蒸気生成処理を実行する。
このように、気化器で水を蒸発させることが可能になった後に、気化器に水を供給する構成とすれば、燃焼ガスによって気化器を早期に昇温させることができる。このことは、燃料電池の起動時間の短縮化に寄与する。
第3の観点によれば、燃料電池システムの制御装置は、燃料経路における圧力変化に基づいて燃焼ガスによって気化器で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定する。
低炭素流体に水が含まれる場合、気化器の温度が水の沸点付近まで上昇すると、水蒸気が生ずることで燃料経路の圧力が上昇する。このため、燃料経路における圧力変化に基づいて気化器で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定することができる。
第4の観点によれば、燃料電池システムの制御装置は、気化器を通過した後の燃焼ガスの温度に基づいて燃焼ガスによって気化器で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定する。
気化器を通過した後の燃焼ガスの温度が水の沸点付近まで上昇すれば、気化器で水蒸気を生成可能となる。このため、気化器を通過した後の燃焼ガスの温度に基づいて気化器で水を蒸発させることが可能な状態であるか否かを判定することができる。
第5の観点によれば、燃料電池システムの制御装置は、水蒸気生成処理の開始後に、改質器で燃料ガスの生成が可能な状態になると、燃料が燃料経路を介して改質器に流れるように燃料調整部を制御する改質処理を実行する。
これによると、改質器に供給する燃料中の炭素に対する水蒸気のモル比(すなわち、S/C)を高い状態に維持することが可能となるので、改質器における炭素析出の発生を充分に抑制することができる。
第6の観点によれば、燃料電池システムは、燃料電池から排出される燃料オフガスを燃焼器に導く燃料オフガス経路を備える。循環経路は、燃料電池の起動時に、低炭素流体が改質器だけでなく燃料電池にも流れるように、上流側が燃料オフガス経路に接続され、下流側が燃料経路に接続されている。これによると、改質器と燃料電池との温度差を縮小することができるので、改質器と燃料電池との間で均温化を図ることができる。
第7の観点によれば、燃料電池システムの循環量調整部は、燃料経路に設けられたエジェクタを含んでいる。エジェクタは、流体を噴射するノズル部、ノズル部の出口側の負圧を利用して燃料電池の出口側から流体を吸引する吸引部、ノズル部から噴射される流体と吸引部から吸引される流体とを混合して改質器に向けて吐出する吐出部を有する。
これによると、燃料電池の起動時には、エジェクタによって燃料電池を通過した低炭素流体を燃料電池の出口側から吸引するので、動力を増やすことなく、改質器に対して大流量の低炭素流体を供給することができる。
第8の観点によれば、燃料電池システムの循環経路には、低炭素流体を貯留するためのバッファタンクが設けられている。これによると、燃料電池の起動時に、バッファタンクに貯留された低炭素流体が燃料経路および循環経路を循環するので、改質器に対して大流量の低炭素流体を供給することができる。この結果、暖機処理時に改質器を均温化して、シンタリング等の発生を抑制することができる。
第9の観点によれば、燃料電池システムの循環経路には、低炭素流体を放熱させるための放熱器が設けられている。このように、放熱器によって低炭素流体を適宜放熱させる構成とすれば、暖機処理によって改質器が過度に温度上昇することを抑制することができる。このことは、シンタリングの発生の抑制に寄与する。
第10の観点によれば、燃料電池システムの制御装置は、暖機処理時に、燃料バイパス経路の圧力が燃料経路の圧力以下となるように燃料調整部を制御することで、燃料バイパス経路を介して燃料を燃焼器に流す。
このように、燃料経路と燃料バイパス経路との圧力バランスによって燃料経路および燃料バイパス経路の燃料の供給割合を調整する構成とすれば、例えば、燃料経路に対して開閉弁を設ける構成に比べて、システムの簡素化を図ることができる。
第11の観点によれば、燃料電池システムの燃料調整部は、燃料経路に設けられた燃料ポンプ、および燃料バイパス経路に設けられたバイパスポンプを含んでいる。そして、制御装置は、暖機処理時に、低炭素流体が循環経路に流れるように循環量調整部を制御した状態で燃料ポンプを起動させ、燃料ポンプの起動後に燃料が燃料バイパス経路を介して燃焼器に流れるようにバイパスポンプを起動させる。これによると、暖機処理時において、燃料経路および循環経路を循環させる流体の炭素含有率を低い状態に維持することが可能になる。
第12の観点によれば、燃料電池システムの燃焼器は、燃料を燃焼させるためのバーナを有している。そして、制御装置は、暖機処理時に、燃料が燃料バイパス経路を介して燃焼器に流れるようにバイパスポンプを起動させた後に、バーナに点火する。これによると、燃料がバーナから逆流することで失火してしまうことが抑制される。